1 アフリカを知ろう
1 アフリカの国々の姿
2 グローバル社会と現代アフリカ
3 アフリカの歴史と世界
4 アフリカの社会と文化
5 なぜアフリカを研究するのか
2 アフリカの研究者に聞いてみよう
AJF会員である北川さん、武内さん、高橋さん、舩田さんへのインタビューのほか、アフリカNOWで著作を紹介した亀井君(「アフリカのろう者と手話の歴史」著者)、アフリカのエイズ問題について詳しい若杉さん、アフリカひろばで話を聞いた鈴木さんらへのインタビューが収められています。
人びとは、富をいかに分け与え、「自分のもの」として独占しているのか? エチオピアの農村社会を舞台に、「所有」という装置が、いかに生成・維持されているのか、緻密に描き出す。「私的所有」という命題へ人類学から挑戦する、気鋭の力作。
第3章 タンザニア農村における貧困問題と農家経済経営 辻村英之
2001年、米国連邦議会でコートジボワールのカカオ農園での児童労働が取り上げられ、児童労働によって作られたチョコレートを規制しようとする法案が用意された。チョコレートメーカーは、「根拠」とされたレポートの真実性を問題にする大キャンペーンを行った。この動きの中で何が明らかになったのか、何が不明なままなのか、米国のジャーナリストがチョコレートの歴史にさかのぼって、チョコレートと途上国の人々の暮らし、先進国のチョコレート・ブームそして現在のフェアトレード・チョコレート、オーガニック・チョコレートの実像に迫る。
国連ボランティアとしてモザンビークで活動したことをきっかけにモザンビーク研究を始めた著者が、12年近くの年月をかけてまとめた。
サブサハラ・アフリカで最も成功したと言われてきた国家的潅漑計画の歴史と、1990年代末から始まった新しい動きを伝える。
中国商品のアフリカ流入、中国経済人のアフリカでの活動がもたらしている影響を具体的に報告する。
ケニアにある国際昆虫生理生態学センター(ICIPE)、ナイジェリアにある国際熱帯農業研究所(IITA)等でアフリカの昆虫研究に従事した日本人研究者が、人びとの健康や農業に関わる昆虫研究の課題を紹介する。
アフリカの人びとがラジオ、カセットテープを通して親しんでいるポップスを多数紹介。最後に収録されたエイズで亡くなった大スター自身のエイズの恐ろしさをえがく歌が印象的。
精神障害当事者の手記、当事者インタビューなども収録。ナイジェリアの精神医療がどうなっているのか、どのように調べていけばよいのかが判る。
フランス、ベルギーで発行された研究書・レポートをもとに、モブツを追いかける形でコンゴ民主共和国の現代史を描く。日本鉱業の鉱山運営、帝国石油の石油開発参加を通して日本とモブツそしてコンゴ民主共和国の関係も詳述。(旧ザイール)の関係
十代でケニア土地解放軍の闘いに参加し、ケニア独立後は政治家としても活躍した女性の自叙伝の前半。後半の翻訳も待たれる。70歳を超えて、ケニア独立の理念を高く掲げた政党を立ち上げた著者から目が離せない。
【12月12日 AFP】東アフリカに横たわる大地溝帯(Great Rift Valley)では現在、新技術を使った地熱資源探査が試験的に行われているが、この地域に莫大な地熱エネルギーが眠っている可能性が明らかになった。
国連気候変動枠組み条約(UN Framework Convention on Climate Change、UNFCCC)第14回締約国会議(COP14)が開催されているポーランドのポズナニ(Poznan)で9日、国連環境計画(UN Environment Programme、UNEP)と地球環境ファシリティー(Global Environment Facility、GEF)が会見し、同探査によってこれまでにケニアの首都ナイロビ(Nairobi)付近で複数の熱水脈が見つかったと発表した。
うち一つは推定8メガワットの発電能力を持ち、そのほかも4-5メガワットの発電が可能だという。また、大地溝帯全体では「少なくとも7000メガワット」の地熱発電が可能で、東アフリカ12か国のエネルギー需要に大きく貢献すると期待される。
地球のマグマに熱せられて地表にわき出る地熱水は、その温度により用途が分かれる。
ケニアで発見されたような、2-3キロの深さで熱せられ蒸気としてわき出る地熱水は、タービンの駆動に活用できる。
ケニアには約25年前にオルカリア(Olkaria)に建設された地熱発電所が1基あり、約115メガワットを供給しているが、これはケニア全体の発電能力の10分の1に過ぎない。UNEPによると、ケニアでは人口の急増に伴い発電量の増加が急務となっている。現在も停電が頻繁に起こるような状況だという。
地球環境ファシリティーは、同探査に90万ドル(約8300万円)の支援を行っている。
大地溝帯は地殻変動により地表が裂けて谷になったもので、紅海から東アフリカを通り、巨大な地殻変動エネルギーにより地殻プレートが割れているマダガスカル周辺まで伸びている。(c)AFP/Richard Ingham
【モスクワ=副島英樹】主な天然ガス生産国が参加する「ガス輸出国フォーラム」が23日、モスクワで開かれ、新機構を創設する規約を採択した。インタファクス通信によると15カ国が加盟し、本部はカタールのドーハに置く。加盟国で世界のガス埋蔵量の7割、産出量の4割を占め、石油輸出国機構(OPEC)のガス版ともいえる。生産量や価格の調整が主眼ではないとしているが、ガスを輸入に頼る西欧などは警戒している。
同通信などによると、フォーラムには天然ガス埋蔵量が世界1、2、3位のロシア、イラン、カタールなどのエネルギー相らが参加。会議後の会見でロシアのシマトコ・エネルギー相は新機構について「生産調整はしない」とし、ガス田開発の投資計画の調整や技術協力を進めるとした。
また、ロシアのプーチン首相も会議の冒頭で「安いガスの時代は終わろうとしている。ガス田開発に必要な費用は増えている」と述べ、常設機構による協力の必要性を強調した。
同フォーラムは01年に情報交換を主眼に結成され、このうち「ガス・ビッグ3」ともいわれるロシア、イラン、カタールが10月21日にガス市場で緊密に協力していくことで合意し、新機構の創設をめざしていた。
「ガス版OPEC」を巡っては、「ガス外交」を展開するロシアや反米のイランが積極的に進める一方、ロシアやアルジェリアに天然ガスの約3分の1を頼る西欧諸国をはじめ、米国などが警戒。加盟国の中にも、新機構が政治的に利用されることへの懸念が出ている。
◇G8と中印など
8日からイタリアで開かれる主要国首脳会議(サミット)で、日米欧露の主要8カ国(G8)と中国、インドなど新興5カ国でまとめる首脳宣言に、アフリカ開発援助について、透明性の確保など先進国の援助方針を新興国も共有することを確認する文言を入れる方向で調整していることが分かった。【犬飼直幸】(10面にニュースナビ)
近年アフリカに対しては、新興国が資源獲得を目指して援助を増大しているが、相手国の経済成長や技術移転などにつながっていないとの批判が強く、「特に援助を増やしている中国が先進国に歩調を合わせるよう促す」(外務省幹部)のが狙いだ。
G8と新興5カ国の計13カ国は、今回のサミットで初めて共同の首脳宣言を採択する。
中国やインドなどは、石油や鉱物など天然資源を確保するため、アフリカなどへの援助を増強している。
特に中国は経済援助の44%がアフリカ向けとの情報もあり、相手国の大統領官邸や国会議員宿舎の建設など「政権実力者に結びついたり、自国の企業のビジネスに貢献する援助が多く、実態も明らかでない」(外務省幹部)状況だ。
G8はロシアを除いて、経済協力開発機構(OECD)の下部組織である開発援助委員会(DAC)に加盟しているため、DACの援助基準にのっとり、相手国の経済開発や社会福祉の増進などに寄与する援助が義務付けられている。
しかし、中国、インドなどはDACに加盟していないため、欧米などから援助方針の共通化を強く求められていた。
毎日新聞 2009年7月3日 東京朝刊
オーストラリア、カナダなどでウラン鉱山の開発や拡張が相次いでいる。電力需要が急増する中国やインドを中心に原子力発電所の新設計画が目白押しで、燃料ウランの需要増が見込まれるためだ。産出国のなかにはアフリカなど政治的に不安定な地域もあり、廃棄物管理や核不拡散の体制整備が課題になりそうだ。
世界最大のウラン埋蔵量が確認されているオーストラリアでは、英豪資源大手のBHPビリトンが南部のオリンピックダム鉱山で生産量を現在の4.2倍に当たる年間1万9000トンへ引き上げる計画だ。豪南部では米ウラン大手ゼネラル・アトミクスも同国政府から生産認可を取得。外国企業も参入を加速する。の整備を支援しようとしている。(シドニー=高佐知宏、シカゴ=毛利靖子) (07:01)
【ケープタウン=岐部秀光】アフリカを舞台とする新興国の資源争奪戦が激しさを増してきた。先行した中国を追い、ブラジルやインドが資源分野への投資を本格化させている。ブラジルはバイオ燃料、インドは農業分野での実績を掲げて技術協力で各国政府に接近。関係強化を通じて有力企業の進出後押しを狙う。アフリカでは日米欧の先進国が多額の人道支援を提供してきたが、新興国が急速に存在感を高めている。
アフリカは石油やレアメタル(希少金属)などの資源が豊富。開発で先行する中国はインフラ建設支援による関係強化に注力するが、大量の自国労働者を派遣するため技術移転や雇用創出につながりにくいとの不満が進出先で指摘されていた。
ブラジル、インドは相手国の長期的な経済成長に貢献する姿勢を強調。環境配慮型のバイオ燃料「バイオエタノール」生産で実績があるブラジルは、アフリカでの同燃料生産支援へアフリカ開発銀行を通じた大規模な資金協力を検討している。公用語が同じポルトガル語のアンゴラやモザンビークが計画している投資額数十億ドル規模のバイオエタノール事業を資金・技術面で支援する。
インドは品質改良などによる農業生産性向上を実現した実績を強調。政府レベルでの農業技術支援を表明している。インドは英植民地時代に労働力として多くの国民がアフリカ大陸に渡った経緯があり、文化的なつながりも大きい。
政府間の関係強化と並行して企業による資源開発投資も加速、ブラジル企業は石炭を狙う。資源大手ヴァーレはモザンビークで投資額13億ドルの大規模な石炭開発事業を展開。鉄鋼大手CSNも同国での炭鉱開発事業への参加を決めた。
インド企業は石油関連分野での動きが目立つ。インド石油(IOC)は1月、アンゴラ西部ロビトでの投資額数十億ドルの大型製油所建設への参加を表明した。中国企業が手掛けるはずだったが、計画内容で合意できず白紙となっていた。
「BRICs」の中で出遅れた形のロシアも昨年6月にメドベージェフ大統領がナイジェリア、アンゴラなどを歴訪。ロシア国営ガス会社ガスプロム関係者がナイジェリア国営石油会社との協力拡大で合意するなど巻き返しに動いている。
エネルギー輸入を拡大する中国は過去10年でアフリカとの貿易額が10倍に増えた。ブラジルも2001年と比べた08年の貿易額は約5倍。インドは現在年間300億ドル程度のアフリカとの貿易額が5年で倍増するとの見通しを発表している。
日本の商社もアフリカの資源開発に注力。伊藤忠商事はナミビアでのウラン鉱山開発に参画。総事業費600億円以上を投じて開発を進め、13 年に生産を始める計画だ。住友商事はマダガスカルで総事業費37億ドル(約3400億円)のニッケル鉱山開発を推進している。
植民地を統治する行政官らがヘルメット型の防暑帽を荷物に詰め、母国に引き揚げ始めてから半世紀。サハラ砂漠以南のアフリカ諸国(サブサハラアフリカ)は、何度も当てにならない期待を経験してきた。社会主義や国家主義、資本主義が様々な度合いで入り交じる独裁政権が栄えては滅び、悲惨な結果をもたらさない場合も、概して期待外れに終わった。
民主主義が根づいた国、ほんの一握り
1990年代終盤になっても、政府の介入や世界銀行が処方した緊縮財政措置、それに続く市場改革がほとんど奏功せず、サブサハラアフリカ 48カ国のうち、外国の援助に頼らない自律的な経済成長を遂げられるようになった国は一握りしかなかった。今日に至っても、本当の民主主義が根づいた国はほんの一握りだ。
しかし今、アフリカ大陸の戦略的重要性と景況感が同時に上向き、将来展望が明るさを増してきたまさにその時に、幸運にもサッカー・ワールドカップがアフリカで開催されるということになり得るのではないか?
安定的に流れ込む数十億ドル規模の投資や有利な交易条件の復活、アフリカ市場への関心の高まりは、この大陸に再び好機が訪れたことを示唆している。
「アフリカは豊かで、株価は上昇している。土地と鉱物も値上がりしている」。先週、アフリカの開発目標の達成に向けた進ちょく度合いの評価報告を発表したコフィ・アナン前国連事務総長はこう語った。「資源は潤沢だし、知識も欠落していない。計画にも事欠かない。アフリカの前進はほかの何より政治的意志の動員にかかっている」
BRICsに続く投資先として浮上
楽観論が再浮上した背景には、アフリカが世界の多くの国に先駆けて昨年の景気後退から立ち直りつつあることがある。国際通貨基金(IMF)はサブサハラアフリカのGDP(国内総生産)成長率が今年4.7%に達し、2011年には成長率が6%近くに拡大すると予想している。もっとも、世界経済が再び景気後退に陥れば、こうした予想は白紙に戻る。
世界銀行のオコンジョ・イウェアラ専務理事は、サブサハラアフリカは投資が向かう先として「BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)」に加わろうとしていると主張する。「ある著名経済人はかつて、認識と現実のギャップが最も大きい場所に利益が存在すると言った。これは間違いなくサブサハラアフリカに当てはまる」
こうした自信の一部は、改善されたマクロ経済運営と最近の債務免除から来ている。しかし、大部分はアフリカの資源の価値に由来している。折しも長期的な世界の資源消費量が拡大しているからだ。
中国、対アフリカ貿易5倍に拡大
アフリカは世界の石油埋蔵量の約10%、ことによるとそれ以上の石油を握っている。南アフリカ共和国には世界の金の40%が眠っている。アフリカ大陸はコバルト埋蔵量全体の3分の1以上を擁し、ベースメタル(卑金属)も豊富にある。農業の可能性はなお未開拓と言っていい状態だ。
この10年間で、アフリカのコモディティー(商品)に対するアジアの需要が、過去の慢性的な赤字を生んだコモディティー価格の低迷傾向を反転させた。こうした動きを受け、欧州諸国や米国を含む他国の投資家もアフリカに対するアプローチを見直すようになった。この方向転換の先導役を務めたのが、2003年以降、対アフリカ貿易を5倍に拡大させた中国だ。
アフリカが独自で成し遂げた発展もあった。例えば携帯電話はあらゆる予想を覆す勢いで普及しており、かつて貧しすぎてカネにならないと考えられていた人口9億人の大陸が巨大な消費市場になり得ることを示している。先月、大手監査法人プライスウォーターハウスクーパース(PwC)が実施した調査では、調査対象となった数百人のアフリカ人経営者が他大陸の経営者よりも将来を楽観していることが分かった。
経済成長、民間分門が先導役
だが、アナン氏の評価報告は、大半の前進は政府の意図にかかわらず起きているものだと結論づけた。善意に解釈すれば、政府の役割が小さくなり、今では民間部門が先導役を果たしていることになる。寛容でない見方をすれば、定期的な選挙にもかかわらず、今なお責任ある指導力が絶対的に不足しており、社会的、物的インフラを拡大する機会が無駄になりかねない大きなリスクが存在するということだ。
ガーナのJ・H・メンサー元財務相は言う。「これまで何度も何度も、余剰資金を蓄えて生産性の拡大に投資する機会があった。それなのに我々は消費してしまう。こうした風潮の転換を何とかして実現させなければならない」
最近の試算によれば、1970年以降、アフリカから流出した資本逃避の累計金額は少なくとも8540億ドルに上る。アフリカのエリート層は依然、大半のアフリカ人が強いられている貧困生活を何とも思わず、無節操な外国企業と共謀して地元経済を食い物にしている。
「アフリカには指導力と統治の危機が存在している。我々はその事実と向き合わなければならない」。スーダン出身の通信王で、慈善家に転じたモ・イブラヒム氏はこう語る。「エリート層は何百万人もの子供が夕食も食べずに寝ていることを知っている。こうした子供たちの不遇は、武器やプライベートジェットにカネを使う連中の責任だ」
多くの地域、政府の基本機能すら存在せず
確かに、アフリカ諸国が直面する課題を1つずつ見ていくと、将来展望は暗くなる。アフリカ大陸では今もエイズが猛威を振るっており、行く手には気候変動の影響も大きく立ちはだかる。
植民地支配の時代から引き継がれた人為的な国境の枠内で国家のアイデンティティーを築き上げた国はほとんどなく、多くの国は今なお民族紛争や政治紛争に引き裂かれている。スーダンからコンゴに至るまで、アフリカ大陸の多くの地域では、政府の基本的な機能すら存在しない。
アフリカ大陸の成長をけん引するケニア、ナイジェリア、南アフリカの3カ国はいずれも難しい改革を推し進めている最中で、このうち信頼に足る民主主義国は1カ国だけだ。
一方、貿易の方向は変わっているかもしれないが、原材料の輸出と完成品の輸入という貿易の特徴は変わっていない。だが、長期的には、アフリカのコモディティーや土地、人的資源に対する需要が減退することはないだろう。今回の将来展望に対する楽観論は、ビジョンを持った独裁者とは関係なく、マクロ経済環境によるところが大きいのだ。
もしオコンジョ・イウェアラ氏の言い分が正しく、サブサハラアフリカの住民が世界の次なるフロンティア市場を構成するのだとすれば、今はアフリカ全体の総力が個々の部分の合計を上回る好機なのかもしれない。来週始まるワールドカップで競い合うアフリカ諸国のチームは、彼ら自身にも同じことが当てはまることを期待しているだろう。
By William Wallis
(翻訳協力 JBpress)
【ハノイ=岩本陽一】双日はハイブリッド車や液晶テレビなどの生産に欠かせないレアアース(希土類)の調達先を拡大する。中国、オーストラリア、ベトナムに続き、アフリカ南部からの調達についても検討を始める。2013年をメドに日本の現在の総需要の半分程度に相当する年間1万5000トン程度を確保できる体制を整える。産業界では中国依存への不安が根強いため、世界規模で供給元の開拓を急ぐ。
双日の加瀬豊社長がハノイで日本経済新聞に明らかにした。中国から年間3000トン程度の調達を続けるほか、11年にはオーストラリア西部から、12年末にはベトナム北部から輸入を始める。豪州では当面、同7000トンを確保。豊田通商と共同で取り組むベトナムのプロジェクトでは、双日分として3000トン規模の供給が可能になる見通し。
加瀬社長は「他の地域でも並行して話を進める」と強調。11年にアフリカからの調達について本格的な検討を始める方針を明らかにした。対象地域はアフリカ南部が有力。生産量など詳細は明らかにしなかったが、「レアアース以外の鉱物資源を開発する際に得られる副次的な物質として抽出する」と述べた。
調達先の多様化により、双日が単独で輸入できるレアアースは、13年に従来の4〜5倍に当たる年間1万5000トン程度に達する。現在の国内需要の約半分に相当し、同社の中核事業の一つになる見通し。
双日は今後、経済成長のペースが速い東南アジアでの業容拡大も図る。人口増加で食料需要が急拡大しているタイやフィリピン、ベトナムで肥料を増産。インドネシアでの工場建設も検討する。東南アジア全体の肥料生産能力を現在の年間200万トンから250万〜300万トンに引き上げる方針だ。製品はラオスやカンボジア、ミャンマーにも輸出する。