2012年01月03日 10:47米国東部時間
民族衝突で数万人避難 南スーダン、死傷者も
国連平和維持活動(PKO)のため日本の陸上自衛隊施設部隊が派遣される南スーダンの東部ジョングレイ州で昨年12月末から民族衝突が激化、国連の担当者は2日、ロイター通信に対し、推定で2万〜5万人が避難民になっていると述べた。死傷者も出ているもようだが、詳細は確認されていない。
現地からの報道では、ロウ・ヌエル民族の武装集団約6000人が昨年12月31日、同州のムルレ民族の町ピボルを襲撃し、民家を焼き払うなどした。両民族は以前から家畜の牛などをめぐり対立。ムルレ民族の多くの住民は森の中に逃げ込んだという。
ピボルで活動する国際緊急医療援助団体「国境なき医師団」のスタッフも住民と共に避難、英BBC放送によると約130人のスタッフと連絡が取れていない。同団体によると日本人はいない。(共同)
南スーダンで民族対立、5万人が避難 事態掌握へ部隊派遣
2012.01.03 Tue posted at: 13:49 JST
スーダン(CNN) 南スーダンの東部ジョングレイ州で民族対立が勃発(ぼっぱつ)して5万人規模の避難民が出ている問題で、同国の情報相は2日、襲撃を受けていた同州の町ピボルについて、支配権を取り戻し、事態を掌握しつつあると明らかにした。南スーダンには、国連平和維持活動(PKO)のために、日本の陸上自衛隊が派遣されることになっている。
同相によれば、避難民の一部は自宅に戻り始めたという。
軍当局の同日の発表によれば、約4000人の兵士と警察の増員部隊がピボルに派遣されたという。同町では、昨年12月末から民族対立が激化。ロウ・ヌエル民族が、ピボルを地元とするムルレ民族と衝突したことで、国連がPKO部隊を送り込む事態となっていた。
ジョングレイ州では、放牧地や水の利権をめぐり、民族間の対立が強まっていた。
家畜の牛をめぐり過去最悪の民族衝突、政府軍が支配権奪還 南スーダン
2012年01月04日 18:02 発信地:ジュバ/南スーダン
【1月4日 AFP】南スーダン東部のジョングレイ(Jonglei)州の町ピボル(Pibor)で家畜の牛をめぐり過去最悪の民族衝突に発展した問題で、同国のバルナバ・ベンジャミン(Barnaba Marial Benjamin)情報相は3日、ピボルの支配権を奪還したと発表した。
民族衝突は、ロウ・ヌエル(Lou Nuer)部族の6000人余りの武装集団が、敵対するムルレ(Murle)部族を牛の強奪犯と名指しし、ムルレ部族のせん滅を誓ってピボルを襲撃したことが発端となった。武装集団はわらぶき屋根の住居に火を放ち、国境なき医師団(Doctors Without Borders)が運営する病院を略奪した。
この衝突による避難民は、国連の推計で2万人以上にのぼった。避難した女性や子供、最大で150人が殺害されたとの未確認情報もある。
ベンジャミン情報相は会見で、ロウ・ヌエル部族に対しピボルからの退去を命じ、退去が始まっていることも明らかにした。
国連の報告書によると、同州では昨年1年間に民族間対立、牛の強奪、その報復攻撃による死者が1100人を超え、避難民も6万3000人に達している。民族間対立が新生国家の不安定化要因になることを危惧する政府と国連は同州の駐留軍を強化している。(c)AFP
南スーダン、民族衝突の死者数百人か
2012/1/4 23:31
国連平和維持活動(PKO)のため日本の陸上自衛隊が派遣される南スーダン駐在のグランド国連事務総長特別代表が3日、昨年末に激化した東部の民族衝突による死者が数百人に上る恐れがあると述べた。事態は沈静化したが、現場地域は食料や水が不足しているという。
グランド氏はニューヨークの国連本部の記者会見に現地から中継映像で参加。東部ジョングレイ州のムルレ民族の町ピボルを襲撃したロウ・ヌエル民族の武装集団は既に引き揚げ、町から避難した住民は帰還しつつあると述べた。
ピボルは陸自の施設部隊が活動する予定の首都ジュバから約300キロ離れている。衝突した両民族は家畜の牛などをめぐり対立していた。(ニューヨーク=共同)
南スーダン、民族衝突の死者3000人を超える 独立後で最悪の衝突に
2012年01月06日 20:15 発信地:ジュバ/南スーダン
【1月6日 AFP】南スーダン東部ジョングレイ(Jonglei)州ピボル(Pibor)郡で前週、家畜をめぐる争いを機に起きた大規模な民族衝突は、死者が3000人を超え、数万人が避難を強いられる事態となっている。
ピボルでは前週、ロウ・ヌエル(Lou Nuer)民族の武装集団6000人余りが、牛を強奪されたとの理由で、以前から敵対していたムルレ(Murle)民族が住むピボルを襲撃。政府軍が応戦するまで、わらぶき屋根の住居に火を放ったり、病院の略奪などを続けた。これが発端となって、両民族間の大規模衝突に発展した。
ジョシュア・コニイ(Joshua Konyi)郡政委員は6日、ピボルでは大量殺害が行われており、これまでに計3141人の遺体を確認したことを明らかにした。内訳は女性と子ども2182人、男性959人だという。
国連(UN)と南スーダン軍では、まだ犠牲者の数を確認できていないが、遠隔地ピボルでの犠牲者数を独自に確認することは難しい。だが、犠牲者数が3141人と確定されれば、昨年7月に南スーダンが分離・独立を達成して以来、最悪の民族衝突となる。
コニイ氏によると、1000人以上の子どもたちが行方不明となっており、ロウ・ヌエル側に拉致された恐れが出ている。このほかにも、牛数万匹が強奪されたという。(c)AFP
2012年1月6日23時36分
南スーダン、民族間衝突で3千人超死亡か
南スーダン東部のジョングレイ州ピボルの当局者は6日、昨年末から激化した民族間の衝突で、これまで3141人の遺体を確認したと語った。AFP通信などが伝えた。事実とすれば、スーダンから分離・独立した昨年7月以降、最悪の衝突となる。
現場は、日本の陸上自衛隊が国連平和維持活動(PKO)に当たる予定の首都ジュバからは約300キロ離れている。今回確認された遺体は、2182人が女性や子どもで、959人が男性。そのほか多数の子どもが誘拐された可能性があるという。国連や南スーダン軍は詳細を把握していないとしている。
ジョングレイ州は、歴史的に牛の盗難に端を発した民族衝突が続いている。スーダンから独立した直後の8月にも約600人が死亡する衝突があった。(ヨハネスブルク=杉山正)
南スーダンでのPKOに派遣される陸自施設部隊などの発足式 野田首相らが出席
南スーダンでのPKO(国連平和維持活動)に派遣される陸上自衛隊の施設部隊などの発足式が行われ、野田首相や一川防衛相などが出席し、現地で掲げる部隊の旗が手渡された。
野田首相は「国際社会に、感謝の気持ちをまさに身をもって示す、今回はその第一歩だと思います」と述べた。
(01/07 18:52)
野田総理が派遣隊員らを激励 南スーダンPKO(01/07 11:51)
野田総理大臣は、南スーダンでのPKO=国連平和維持活動に参加する陸上自衛隊の式典に出席し、「円滑に任務にあたれるよう全面的に支援する」と激励しました。
野田総理大臣:「遠いアフリカの地、困難を伴うことも想像される。隊員全員が安心して円滑に任務にあたられるよう、政府としても全面的に後押しする」
式典には南スーダンに派遣される1次隊の約240人が参加し、一川防衛大臣から隊旗が渡されました。父親が自衛隊員だった野田総理は、派遣される隊員の家族らも激励しました。隊員らは今月11日から来月にかけて南スーダンに向けて出国し、宿営地の設営のほか、インフラ整備などの任務にあたります。
南スーダンの衝突激化、年末から3141人死亡
【ヨハネスブルク=中西賢司】南スーダン東部ジョングレイ州で昨年末以降、対立する部族間の武力衝突が頻発し、これまでに3141人が死亡した。AFP通信が6日、地元当局者の話として伝えた。
牛を奪われたとしてロウ・ヌエル族の武装集団がムルレ族の村を襲撃したのが発端で、2万人以上が避難した。国軍の出動で事態は沈静化したという。同国では2005年まで20年以上に及んだ内戦中に武器が拡散し、部族間抗争の被害が深刻化している。
現場は、国連平和維持活動(PKO)に参加する日本の陸上自衛隊が派遣される首都ジュバから北東に約340キロ・メートル離れている。
(2012年1月7日11時12分 読売新聞)
南スーダンの民族衝突、年末から3000人超死亡か
現地報道
2012/1/7 2:29
国連平和維持活動(PKO)のため日本の陸上自衛隊施設部隊が派遣される南スーダンからの報道によると、東部ジョングレイ州ピボルの地元政府当局者は6日までに、昨年末から激化した民族衝突で、これまでに3141人の遺体が確認されたと述べた。
南スーダン政府や国連などは死者数を確認していないが、事実であれば同国が昨年7月に独立して以来、最悪規模の民族衝突となる。
ピボルはムルレ民族の町で、以前から家畜の牛を奪い合うなどして対立するロウ・ヌエル民族の武装集団が昨年末以降、襲撃。事態は沈静化したが、同当局者によると男性959人のほか、女性や子どもの遺体を確認したという。
現地では食料や水が不足しており、同国政府はジョングレイ州の「人道危機」を宣言、国際的な援助機関に緊急支援を求めている。
ピボルは陸自部隊が活動する予定の首都ジュバからは約300キロ離れている。(ヨハネスブルク=共同)
南スーダンへの武器輸出、米が解禁
2012/1/7 19:00
オバマ米大統領は6日、南スーダンに対する米国からの武器輸出解禁を決めた。ヌランド国務省報道官は記者会見で、両政府が防衛協力について協議を続けているとした上で「結論には至ってはいない」と述べた。
南スーダン当局は5日までに、昨年末から民族衝突が激化した東部の「人道危機」を宣言、国際援助機関に緊急支援を求めた。南スーダンは昨年7月、米政府が「テロ支援国家」に指定し制裁を科しているスーダンから分離独立した。(ワシントン=共同)
南スーダンPKO:陸自1次派遣、隊旗授与
昨年7月にスーダンから分離・独立した南スーダンで国連平和維持活動(PKO)にあたる陸上自衛隊の第1次派遣隊への隊旗授与式が7日、東京・市ケ谷の防衛省であった。
野田佳彦首相や防衛省幹部、隊員家族ら約500人が出席。調整所長として日本代表を務める生田目(なまため)徹1等陸佐と、施設隊の隊長、坂間輝男2等陸佐に一川保夫防衛相が隊旗を手渡した。
野田首相は訓示で、今回の派遣を東日本大震災で各国から寄せられた支援に感謝を示す第一歩とし、「見事に任務を完遂してほしい」と激励。坂間隊長は「国づくりに貢献したい」と語った。派遣されるのは、中央即応連隊を中心とする「派遣施設隊」212人と、施設隊を支える「現地支援調整所」要員27人の計239人。【鈴木泰広】
毎日新聞 2012年1月7日 東京夕刊
南スーダンの大量虐殺に「証拠なし」、国連報告
2012年01月08日 19:29 発信地:ナイロビ/ケニア
【1月8日 AFP】国連南スーダン派遣団(UN Mission in South Sudan、UNMISS)のヒルデ・ジョンソン(Hilde Johnson)事務総長特別代表は7日、南スーダンで報告された大量虐殺について、調査の結果「証拠が見つからなかった」と語った。だが一方で同氏は、迅速な支援を必要とする人が6万人に上っていると注意を喚起している。
前週、武装した若者最大8000人が南スーダン東部ジョングレイ(Jonglei)州のピボル(Pibor)郡を襲撃し、3000人以上を殺害したとの報告があったが、ジョンソン特別代表は、誤報だったとみられると述べた。
ジョンソン氏はピボルを訪れた後に、「重要なのは、死者数を裏付ける証拠が発見されなかったことだ」と語った。
ピボルに住むムルレ(Murle)民族を襲撃したロウ・ヌエル(Lou Nuer)民族の武装集団は、ムルレ側が誘拐や、家畜を強奪していると非難しており、民族間での報復の応酬が激化している。
ジョンソン特別代表は、この襲撃による死者数はまだ判明していないが、同地域のわらぶき屋根の住居のうち最大3分の1が放火され、およそ6万人が緊急の支援を必要としていると述べた。(c)AFP
南スーダン:民族衝突で死者3000人に
【ヨハネスブルク高尾具成】南スーダン東部ジョングレイ州の地元当局者は6日、昨年12月末に発生した家畜を巡る争いを発端とした民族衝突で、これまでに死者が3000人以上に達したと述べた。AFP通信が伝えた。数万人が避難民になっているとされ、昨年7月の南スーダン独立以来、最悪規模の衝突。
武装化したロウ・ヌエル人の集団6000人以上が「家畜の牛を奪われた」との理由からムルレ人の居住地域を襲撃した。
牛は南スーダンで財産の象徴とされ、部族ごとに異なる印を付けて厳重に管理されている。
毎日新聞 2012年1月8日 東京朝刊
南スーダンPKOに出発 まず現地調整所要員
2012/1/11 19:52
南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)に参加するため、現地政府機関などとの連絡・調整にあたる陸上自衛隊の現地支援調整所要員が11日、同国に向けて出発した。今後は3月までに施設部隊の1次隊約210人が順次現地入りし、陸自の宿営所整備や道路補修を手掛ける。5月以降は2次隊約330人を送り、活動を本格化させる。
施設部隊は南スーダンの首都ジュバとその周辺で道路、橋などのインフラ整備を担う。派遣期間は10月末までだが、現地のインフラ需要は大きく、国連の要請を踏まえて活動期間が5年程度と長期間にわたることも想定する。
南スーダンは昨年7月に独立。首都ジュバは海岸線から約2000キロ離れており、物資や機材の輸送ルートの安定確保が課題となる。同国とスーダンの国境付近では武力衝突によって多数の死傷者が出ており、治安を不安視する声もある。
南スーダンPKO:陸自先遣隊が出発
昨年7月に独立した南スーダンで国連平和維持活動(PKO)にあたる陸上自衛隊第1次派遣隊の先遣メンバー5人が11日、成田空港から出発した。12日に現地入りする予定。
この日出発したのは、1次隊239人のうち、活動内容や後方支援の調整を首都ジュバや輸送の中継地となるウガンダで担う「現地支援調整所」の要員。
現地へは資機材を大型輸送機アントノフで約40機分送り込む予定で、第1便は13日に水タンク車や浄水車、食料、テントなどを載せて成田をたつ。14日には日本代表を務める調整所長の生田目(なまため)徹1佐ら34人が出国する予定だ。【鈴木泰広】
毎日新聞 2012年1月12日 東京朝刊
南スーダンPKO、先遣隊が出発
2012/1/14 19:05
南スーダンで国連平和維持活動(PKO)にあたる陸上自衛隊第1次派遣隊の先遣メンバーら34人が14日、成田発の民間機で出発した。15日に現地入りする予定。現地支援調整所長を務める生田目徹1佐は14日、記者団に「南スーダンがより良くなる提言をして、形にしていきたい」と語った。
陸自は3月下旬までに1次の施設部隊約240人を現地に派遣し、首都ジュバを拠点に宿営地の整備や道路や橋の補修に取り組む。5月には2次隊約330人を送り、活動が本格化する。
2012年1月15日20時35分
自衛隊の南スーダン入り歓迎 情報相「非常に感謝」
南スーダンのバルナバ情報相が朝日新聞の取材に応じ、「ゼロからの国づくりだ。非常に感謝したい」と自衛隊の首都ジュバ入りを歓迎した。日本からの投資にも期待感を示した。
治安が比較的安定しているジュバ周辺で活動する自衛隊に対し、情報相は「南スーダンは広い。ジュバにとどまらず、将来的には北部のマラカルなど、どこででも活躍してもらいたい」と語った。
ただし日本側には治安の確保という制約があり、ジュバの北にある南スーダン東部のジョングレイ州では、民族間の紛争で多数の死傷者が出ている。情報相は「牛の盗難に端を発するものであり、外国人を攻撃するものではない」と説明。同州で活動しても支障はないという。
また、「(南スーダンには)豊富な石油資源に加え、広大な農地もある。自衛隊が来ることで、日本の民間企業が進出するうえで自信が出るのではないか」と強調した。自衛隊の南スーダン入りをきっかけに日本からの投資を呼び込みたい考えだ。(ジュバ=杉山正)
2012年1月15日22時4分
自衛隊先遣隊、南スーダン到着 任務は国連との調整
南スーダンで国連平和維持活動(PKO)にあたる陸上自衛隊の先遣隊主力の23人が15日、民間機で首都ジュバに着いた。現地支援調整所を立ち上げて国連などとの調整にあたるのが主な任務だ。
所長をつとめる生田目(なまため)徹1佐(45)はジュバで記者団に「新しい国づくりは日本の復興にも重なる。復興に向かう日本の姿勢をアピールしていきたい」と話した。また「(中心街から)一歩はずれると何もない街だという印象がある。その分だけ、やりがいがあるところに来たなと思う」とも語った。
防衛省は今後、3月までに宿営地の整備などを担う1次隊約210人を、5月ごろに2次隊約330人を派遣。道路補修などのインフラ整備を進める予定だ。(ジュバ=杉山正)
南スーダンPKO:施設隊が出発
南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に参加する陸上自衛隊の施設隊212人のうち第1陣13人が14日、成田空港から出発した。施設隊は3月下旬までに順次現地入りし、インフラ整備などをする。迷彩服の13人は、国連などと活動内容を調整する「現地支援調整所」の要員21人とともに民間機で出国。家族や同僚約100人が見送った。
毎日新聞 2012年1月15日 東京朝刊
世界銀行と米Google、「Map Maker」による途上国の地図作製で提携を発表
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20120117_505071.html
世界銀行と米Googleは16日、Googleが世界銀行とその提携組織に対して地図作製プラットフォーム「Google Map Maker」を提供し、途上国地域の地図作製にクラウドソーシングを用いることで提携すると発表した。途上国地域の地図データが改良され、公共サービスの監視、災害や人道的危機への対応を改善することを目指す。
こうした地域では、例えば学校や病院、水源の場所など基本的な地図データが存在しなかったり、データが不正確あるいは古くなっているため、実質的に役立たないことが多い。Google Map Makerを使用すれば、実際に市民にの生の情報を集めることができ、情報を速やかに修正・追加していくことができる。
世界銀行とGoogleの協力関係はこれが初めてではなく、2011年4月には南スーダンの地図作製で協力した経緯がある。
今回の提携で地図作製が開始される地域は、ケニア、南スーダン、タンザニア、シエラレオネ、ガーナ、ザンビア、ナイジェリア、DRC(コンゴ民主共和国)、モルドバ、モザンビーク、ネパール、ハイチだ。
作製されたデータは、承認後にGoogle マップとGoogle Earthにも反映されるという。
南スーダン、石油生産停止へ 隣国の差し押さえに反発
2012/1/21 19:42
国連平和維持活動(PKO)のため陸上自衛隊先遣隊が首都ジュバ入りした南スーダンからの報道によると、同国政府は20日、隣国スーダンが南スーダン産の石油を無断で差し押さえているとして、石油生産を停止することを決定した。政府報道官が報道陣に明らかにした。
政府報道官によると、今後1〜2週間で停止するという。
昨年7月にスーダンから分離独立した南スーダンは内陸国で、石油を輸出するにはスーダンを通る既存のパイプラインを使用しなければならない。スーダン側はパイプライン使用料が支払われていないとして、石油を一部差し押さえたという。
一方、南スーダン側は使用料を支払っているとしている。独立前から使用料をめぐり交渉が続けられてきたが、両国の主張には金額に大きな開きがあり、交渉は暗礁に乗り上げている。
両国とも歳入の多くを石油に頼っており、実際に停止されれば双方の経済に大きな影響が出そうだ。
ロイター通信によると、南スーダンの石油生産量は日量約35万バレル。(ナイロビ=共同)
南スーダン、石油生産を停止 隣国の差し押さえに対抗
2012/1/30 9:51
【ナイロビ=共同】昨年7月にスーダンから分離独立した南スーダンの政府当局者は29日、同国の石油生産が同日、完全に停止したと述べた。ロイター通信が伝えた。輸送パイプラインの使用料が支払われていないとして、スーダンが南スーダン産の石油を差し押さえたことへの対抗措置。
政府当局者は、係争地の油田地帯アビエイ地区などについて両国が合意しない限り、石油生産を再開しないとも述べた。
南スーダンは、石油輸出にはスーダンを通る既存のパイプラインを使用する必要があるが、両国は使用料をめぐり対立中。南スーダンの石油生産量は昨年11月の時点で日量約35万バレルだった。
南スーダンには国連平和維持活動(PKO)のため陸上自衛隊先遣隊が派遣されている。
南スーダンが原油生産を停止、中国と日本は代替原油探しに奔走
(ロイター - 01月31日 17:00)
[シンガポール 30日 ロイター] 昨年7月にスーダンから分離独立した南スーダンが原油生産を停止したことを受け、既に過去最高のプレミアムが乗っているスポット原油相場がさらに高値へ押し上げられる可能性がある。
スーダン産原油の主要顧客である中国と日本が、イランに対する国際制裁が原油フローに与える影響を検討する一方で、代替となる原油探しに奔走しているためだ。
南スーダンは今月、石油産業の開放や国境問題、債務分担をめぐるスーダンとの対立を受け、推定日量約35万バレルの原油生産を停止した。
中国通関統計によると、2011年に中国はスーダンから日量約26万バレルの原油を輸入した。中国は契約条件をめぐるイラン政府との衝突でイランからの輸入を削減しており、スーダン産原油輸入の減少分を合わせると、不足分は輸入全体の約10%に相当する日量54万5000バレル前後となる。
オイルコンサルタント、パービン・アンド・ガーツの上級パートナー、ビクター・シュム氏は「全体の量がかなり多いので、今回の突然の生産停止による供給不足分を補うのは至難の業となるだろう。総合的に見て、アジアの精製業者にとって需給がひっ迫する状況だ」と指摘した。
昨年の東日本大震災による原発の稼働停止で日本からの発電用需要が急増し、余地が限られているため、アジアのスポット原油市場が救いの神となる可能性は低い。
供給をめぐる混乱が相場上昇に一役買っており、スポット原油3月渡しのプレミアムは過去最高水準に達している。第2・四半期に予定される精製所のメンテナンスで一時的に上昇が抑えられるかもしれないが、相場はさらに上昇する可能性もある。
スーダンは今月29日、南スーダン産原油を積載したタンカーの拘束を解除したものの、ターミナルからの今後の輸出にはまだ合意していない。
南スーダンが原油生産を停止したことで、権益を保有する中国石油天然ガス集団(CNPC)、マレーシア国営石油会社ペトロナス、インド石油ガス公社(ONGC)への供給も止まっている。1社の関係者は「生産停止で積み出しスケジュールにある程度の混乱は予想している。早期の解決を願っている」と語った。
南スーダン産のナイル・ブレンドおよびダール・ブレンドといった重質スイート原油は日本が発電用に輸入しており、中国の精製企業の需要も旺盛だ。
アジア太平洋地域では、インドネシアとベトナムで老朽油田からの生産が減少し、生産企業が増加傾向にある国内需要を満たす方向に切り替えているため、全体として原油が不足状態にある。
イラン産原油の減少を補うため、中国は1月と2月に既にロシアやアフリカ西部、中東、ベトナム産のスポット原油を追加購入している。
日本はベトナムやインドネシアから中・重質スイート原油を大量に定期購入しており、これらの原油はスポット市場にはほとんど流入してこない。
オイルエコノミストの藤沢治氏は、日本にとってスーダン産原油の代替となるのは、ガボンのラビ・ライト原油や低硫黄燃料油だと話す。ラビ・ブレンドの試用は既に始まっており、7月から月間60万─120万バレルが日本に輸入される。
日本は昨年1─11月にスーダン産原油を日量4万8847バレル輸入。輸入量は前年の4万4294万バレルを上回った。主要輸入企業はJXホールディングス<5020.T>子会社のJX日鉱日石エネルギーと三菱商事<8058.T>。
日本にとってスーダンはインドネシアに次ぐスイート原油供給国。
南スーダン:ケニアへパイプライン 建設合意、石油輸出ルート確保
【ヨハネスブルク高尾具成】昨年7月にスーダンから分離独立した南スーダンと、南隣に位置するケニアの両国政府が今月24日、南スーダンからインド洋に面するケニア東部ラムへ通じる石油パイプライン建設に合意する覚書に署名した。南スーダンからの石油輸出ルートは現在、北のスーダンを通る既存パイプラインに限定され、原油権益の分配を巡る南北スーダン間の対立が続いている。南スーダンは、新パイプライン建設でスーダンからの依存脱却を目指す意向を示した形だ。
AFP通信によると、覚書は南スーダンからケニアへ石油パイプラインと光ファイバーケーブルを建設するという内容。南スーダンの首都ジュバで、キール南スーダン大統領とケニアのオディンガ首相が立ち会い、署名された。
国連平和維持活動(PKO)のため陸上自衛隊先遣隊が入った南スーダンは、独立以前の南北スーダン全体の約4分の3にあたる豊富な油田を抱える。南北内戦終結の包括和平合意(05年)でいったんは権益を南北で折半すると決めたが、南スーダン独立後、北部スーダン側にあるパイプラインや輸出港の使用料などを巡る交渉が暗礁に乗り上げている。
毎日新聞 2012年1月31日 東京朝刊
asahi.com 2012年2月5日20時14分
南スーダンで無差別発砲、37人死亡 PKO要員もけが
国連の平和維持活動(PKO)にあたっている国連南スーダン派遣団(UNMISS)は3日、同国北部のユニティ州で地元の治安要員が機関銃を乱射し、住民ら37人が死亡したことを明らかにした。ロイター通信などが伝えた。PKO要員も1人けがを負ったという。
乱射は、政府や国連の仲介で民族衝突への対応を協議するため1日に開かれていた会議のさなかに起きた。複数の治安要員がトラックに乗って現れ、発砲したという。動機は不明だが、UNMISSは「国連を狙ったものではない」としている。ユニティ州は日本の自衛隊が活動する首都ジュバから北に200キロ以上離れている。(カイロ=杉山正)
South Sudan, India Signs Pan African E-Network Project MoU
http://www.oyetimes.com/news/105-africa/17688-south-sudan-india-signs-pan-african-e-network-project-mou
The Ministry of Telecommunication and Postal Services in Juba last Monday signed a Memorandum of Understanding (MoU) with the Government of India on the establishment of the Pan African E- Network Project in South Sudan.
Speaking after the signing ceremony, the Deputy Minister of Telecommunication and Postal Services, Beatrice Khamisa Wani said the MoU aims to open other avenues for cooperation.
“The MoU will open other avenues on telemedicine, e-education and rural access of latest technology in South Sudan. I know we have been referring patients from South Sudan to other hospitals in the Diaspora. Now doctors in Juba Teaching Hospital can consult online with doctors in India on various diseases to minimise referrals,” Khamisa added.
“With this MoU, we want to make sure that the Republic of South Sudan isn’t left behind technology-wise. We want to make sure that even schools benefit from e-education programs and also to improve government institutions through rural connectivity with the latest technology. This will mean taking the towns to the rural areas,” she said.
According to Ms. Khamisa, “when the project is rolled out late this month, it will rejuvenate the work of the Ministry with regards to Information Communication Technologies (ICT). There will be capacity building for all our staff as well.”
The Consul General of India, Mr. Parimal Kar added that this is the biggest project in the field of e-education and Telemedicine undertaken in South Sudan.
“This Project will bring the people of South Sudan and India together for better service delivery. India has set up a solar electrification systems in Gudele residential area to benefit South Sudan,” Mr. Kar said.
By signing this MoU, South Sudan has joined 48 other African countries with similar ICT agreements with India.
PAN AFRICAN e-NETWORK PROJECT
The Pan-African e-Network project is being funded by the Government of India with an approved budgetary cost of INR 5429 Million i.e.over US$125 Million.The Ministry of External Affairs,Govt.of India has been designated as the Nodal Ministry.TCIL has been designated as the turnkey Implementing Agency.In this capacity,TCIL’s role is to design the network,procure & install the equipment,provide consultancy to the Ministry of External affairs,Government of India on all matters related to the project.
数百万人に飢餓の恐れ 南スーダンで国連調査
2012.2.9 20:00
国連食糧農業機関(FAO)と世界食糧計画(WFP)は9日までに、昨年7月にスーダンから分離独立した南スーダンで今年、数百万人が飢餓に陥る恐れがあるとする報告書を発表した。穀物生産量の減少や食料価格高騰、紛争などの影響によるもので、WFPの担当者は「危機が急速に迫っている」と警鐘を鳴らした。
両機関は昨年10〜11月に共同調査を実施。その結果、南スーダンで今年、食料が足りない人は昨年の330万人から470万人に増加すると判明。うち100万人が深刻な食料不足に直面するとし、紛争が続けばその数は倍増する恐れがあると警告した。(共同)
南スーダン事業、丸紅受注
丸紅は、昨年7月に独立したアフリカ・南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に伴う施設や社会基盤(インフラ)整備の事業を防衛省から受注した。陸上自衛隊の宿営地の設営や、上下水道、電気配線の設置などを手掛ける。
南スーダンでは港湾や道路などのインフラが未整備で、自衛隊の活動に支障が出る恐れがある。特に春以降は激しい降雨のため、活動が制約されかねず、宿営地などの施設整備が急務となっている。宿営地の整備は、現地の土木・建設会社に委託し、今月中旬から5月末にかけて整備する。
資材などはケニアなど隣国から運ぶ必要があるため、丸紅はナイロビ支店を拠点としたアフリカの事業網を活用し、近隣諸国から必要な資材を調達する。自衛隊の要望に応じて、食料の調達など幅広い分野での受注を目指す。
(2012年2月10日 読売新聞)
2012年2月18日18時32分
「外国人への敵意ない」南スーダンPKO派遣の陸自1佐
asahi.com
南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)で、国連などとの調整にあたる陸上自衛隊の現地支援調整所長・生田目徹1佐(45)が18日、首都ジュバで取材に応じ、「ジュバ市内の道路整備から始めたい」と当面の活動方針を語った。現地の治安情勢については「ジュバでは外国人への敵意はなく、(地方部の)部族衝突の影響はない」との見方を示した。
生田目1佐によると、国連南スーダン派遣団(UNMISS)からは、自衛隊に要望する活動として道路整備のほか、ジュバとその北方約150キロの河川港整備などを提案された。自衛隊の活動範囲は当面、安全確保などのためにジュバ周辺に限定するが、技官が港の設計図を国連側に提供し、採用されたという。
自衛隊の1次隊は約80人がすでにジュバと隣国ウガンダに入り、20日に主力の約120人がジュバに到着する。(ジュバ=渡辺丘)
南スーダンで蠢くチャイナマネー
2012/02/20 11:39
未開発の地下資源が眠る南スーダンでは、各国による石油争奪戦が展開されている。中でも中国は経済成長と人口増加で増大する石油需要をまかなうため、なりふり構わぬ資源獲得外交で他国を圧倒している。南スーダンに進出した中国系企業は現地に雇用をもたらし、中国の存在感を高めている。国連平和維持活動(PKO)に参加した日本だが、中国に押され、存在感は薄い。(ジュバ 峯匡孝)
アフリカ東北部を流れるナイル川に架かるジュバ橋。南スーダンの“建国特需”にあやかろうとするウガンダ人やケニア人が長距離バスに乗り、この橋を渡って首都ジュバに入る。
「中国系企業が進出しジュバには働き口があふれている。それを目当てにみんな出稼ぎに来ているのさ」。現地の男性ドライバーはこう話す。
中国は南スーダンにとって最大の貿易相手国だ。ジュバ市内を見渡すと、中国系の石油関連企業や中華料理店が目立つ。地元のスーパーには中国製の日用品であふれ、ジュバ空港に降り立つ東洋人は中国人が多い。
「ジュバにある省庁舎の建設費をすべて中国政府が肩代わりした」(日本政府関係者)ともいわれる。
国庫収入の98%を石油に依存するといわれる南スーダンは、これまで全量をスーダン経由のパイプラインで輸出してきた。ところが南スーダンは今年1月、石油生産を停止し、ほぼ“無収入”の状態が続いている。パイプライン使用料をめぐってスーダンと対立が続き、さらにスーダン側が石油を抜き取っていることが発覚したためだ。
陸自主力部隊、南スーダン首都に到着
nikkei.com
2012/2/20 20:04
南スーダンの国連平和維持活動(PKO)でインフラ整備を担当する日本の陸上自衛隊施設部隊1次隊の主力約120人が20日、首都ジュバに空路到着した。(ジュバ=共同)
2012年2月20日22時29分
PKO主力部隊、南スーダン到着 宿営地建設を本格化
asahi.com
南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)にあたる陸上自衛隊の1次隊主力約120人が20日、航空自衛隊のC130輸送機で首都ジュバの空港に到着した。約50人の施設隊と合流し、プレハブの宿営地づくりを本格化させる。
空港では、南スーダン政府の大臣や和田明範・駐スーダン大使らが出迎えた。ギエル道路橋梁(きょうりょう)相は報道陣に「道路建設は農業、治安維持、経済を向上させる鍵になる。自衛隊を歓迎したい」。バルナバ情報相は「PKO部隊が襲われたことはなく、治安に問題はない」と述べた。
派遣部隊の隊長をつとめる坂間輝男2佐(50)は「日本の力で、南スーダンの国づくりに貢献したい」と語った。
南スーダンPKO:陸自先遣隊、敵は気温40度 「ちゃぶ台返し」で発散
【ジュバ山本太一】南スーダンの首都ジュバで、国連平和維持活動(PKO)にあたる陸上自衛隊の先遣隊が宿営地整備を急ピッチで進めている。20日には第1次派遣隊の主力120人が到着する予定で、インフラ整備の計画づくりも始まった。20年以上の内戦を経て独立したアフリカ54番目の新国家を支えようと、隊員たちは乾期真っただ中の炎天下で、汗を流す。
ジュバ空港に隣接する国連南スーダン派遣団(UNMISS)司令部。気温が40度を超えた今月15日、砂ぼこりが舞う敷地内に、PKO用に白く塗装され「UN(国連)」と書かれた重機の音が響いていた。
バングラデシュ軍の横に割り当てられた約4万6000平方メートルの荒れ地が陸自の宿営地。隊員は迷彩服を汗でぬらし、間もなく来る主力が当面生活するテントの設営に追われていた。
1月中旬〜下旬に到着した先遣隊のうち54人は整地して10張りのテントを立て、一つのテントで6〜7人が共同生活する。砂が入らないよう密閉でき、クーラーも設置されている。
あるテントに入ると、余った木材で作ったというテーブルがあった。脇に「ちゃぶ1号」と書かれている。「ストレスがたまった時にひっくり返すんです。何度も使いました」。隊員の一人が笑った。
食事は「戦闘糧食」と呼ばれるレトルト食品で、メニューは米、ハンバーグ、豚角煮など21種類。仕事の後、周辺を他国軍の隊員たちとランニングする隊員も少なくないという。家族との連絡は衛星携帯電話で週10分以内と決められ、週末に利用する隊員が多い。
アフリカでの活動は隊員の健康管理が大きな課題だ。医官の高橋亮太3佐(33)の指導のもと、全員がマラリア予防薬を週1回服用し、熱中症対策で塩分やミネラルを含んだ錠剤を飲む。これまで軽度の熱中症の隊員が1人出ただけといい、高橋3佐は「感染症対策をマニュアル化して後の部隊に引き継ぎ、重症者を出さないよう努めたい」と話す。
陸自の想定活動期間は約5年。雨期の水はけを考え砂利も入れて地盤を固め、資材が届く3月末から長期使用に耐える仮設の宿舎や事務所を建設する。4月にはジュバ市内の道路整備などに取り掛かり、6月ごろ2次隊の330人と交代する。
人口約40万人の首都ジュバには大量の帰還民が戻り、都市が膨張している。ホテルやマンションなどの建設ラッシュで活気あふれるが、インフラ整備の遅れが目立つ。幹線道路から一歩裏に入ると、落差が1メートルもあるでこぼこ道に出くわすことも多い。
自衛隊への期待は大きいようだ。ケニアの難民キャンプから帰還したたばこ屋のピーターさん(45)は「日本人は勤勉だと聞いている。敗戦後に世界有数の経済大国を築いた力で、私たちを支えてほしい」。隣国ウガンダから仕事を求めて来た運転手のダビッドさん(33)も「道路を造ってアフリカの経済発展を助けてもらいたい」という。
道路の整備計画を担当する松崎信義3佐(44)は意気込む。「長く使える道路を造り、南スーダンの人たちの記憶に残る仕事をしたい」
毎日新聞 2012年2月20日 東京朝刊
南スーダンPKO:陸自主力隊きょう現地入り 「国造り」を支援 JICA・NGOと連携、現地に調整所
昨年7月に独立した南スーダンで国連平和維持活動(PKO)にあたる陸上自衛隊第1次派遣隊の主力120人が19日、羽田空港をチャーター機でたち、20日に首都ジュバに入る。すでに約80人の先遣隊が現地入りし、準備を進めている。自衛隊のPKO参加は20年前の92年にカンボジアに派遣されて以来9回目。今回は国連や現地政府と活動内容を調整する現地支援調整所を初めて設け、「国造り」に主体的に関わっていく。
調整所には、PKOに参加する自衛隊の活動を日本の国際協力機構(JICA)やNGO(非政府組織)と連携させ、日本の貢献度をアピールする狙いもある。国連駐在官やアフリカ派遣の経験がある生田目(なまため)徹1佐(45)が所長を務める。1次隊は宿営地を整備して活動基盤を作り、4月から道路などのインフラ整備を始める予定。
南スーダンPKOには約60カ国から軍事要員約5000人、文民警察官約450人が派遣されている。【鈴木泰広】
毎日新聞 2012年2月20日 東京朝刊
2012年2月21日23時13分
南スーダンPKO指揮官を電話で激励 田中防衛相
asahi.com
田中直紀防衛相は21日、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣した陸上自衛隊の部隊指揮官と、インターネットを使ったテレビ電話で約10分間話した。現地支援調整所長の生田目徹1佐と派遣施設隊長の坂間輝男2佐が、現地の治安状態や生活環境を報告。「住民の国連への感情は良好だ」「隊員は衛星電話や電子メールで日本の家族と連絡を取っている」などと語った。田中氏は「我が国の代表として誇りを持って任務を遂行してほしい」と声をかけた。
[FT]南スーダンが試す中国外交の原則(社説)
nikkei.com
2012/2/22 14:00
(2012年2月22日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
中国は過去10年間、「内政不干渉」という外交の原則で大きな成功を収めた。他国の内政への口出しを控える中国の姿勢を好感し、中国と関係を深める国は多い。現在では、約85万人の中国人が国外で働いており、アジアや中東、アフリカで危険地帯とみなされる地域でも数千人の中国人が働く。
■もはや「ただ乗り」は許されない
しかし、最近の東アフリカでの一連の出来事が、中国のこの成功原則を試練にさらしている。南スーダンは、昨年に分離独立を果たした後も石油収益の配分を巡りスーダンと対立し、生産を停止。中国にとって7番目に大きな石油輸入国からの供給が途絶えた。政治混乱のなかで中国人労働者29人が誘拐され、中国国内では民衆から不満の声も聞かれるようになった。
中国はこれまで、南北スーダンの仲裁を都合良く他国に任せてきた。昨年の包括和平合意に至った交渉の仲介は主に米、英、ノルウェーの3カ国が担当。現在の石油収益を巡る対立解消に向けた取り組みはアフリカ連合(AU)が主導している。
中国にとっては残念なことだが、もはや「ただ乗り」が許されるような状況ではない。南スーダンがAUによる石油収益配分の解決案を拒否し、AUの仲介能力に対する信頼性が損なわれた。米国は長期にわたる経済制裁や昨年の南スーダン独立への関与によりスーダン政府との関係が極めて悪化しており、信頼関係を再構築するのは難しい。
■中国は南北スーダンの仲裁に尽力を
このようにして生まれた政治的空白を中国が埋めるのは極めて自然の成り行きだ。中国政府はスーダン政府に巨額の資金を融資しているため、かなりの影響力を持つ。中国と南スーダンの間には長い相互不信の歴史があるが、南スーダンの交渉団は「中国は長期的な戦略パートナーである」と認めた。
経済的、政治的な緊張が増せば新たな武力衝突のリスクも高まる。同地域にとって中国の一段の関与が好ましいのは明らかだが、それは中国自身にも利益をもたらすだろう。
内政不干渉の原則は、中国が途上国に進出するうえで大きな役割を果たしてきた。だが、中国が手にした利益を守りたいと考えるならば、自らは一歩引いて他の国が問題を解決してくれるよう期待するばかりではならない。
子どもが1キロ以上歩いて水を運ぶ…南スーダン
自衛隊が国連平和維持活動(PKO)に参加しているアフリカ・南スーダン。
20年余の内戦を経て昨年7月に独立を果たしたものの、道路や水道の整備、教育機関など国造りの課題は山積している。首都ジュバ市内でさえ、学校に通えない子どもたちが給水所から1キロ以上も歩いて水を運んでいる(写真部 上甲鉄)
(2012年2月27日17時25分 読売新聞)
南スーダンPKO、危険拡大なら撤収検討 防衛相
nikkei.com
2012/3/28 18:55
田中直紀防衛相は28日の参院外交防衛委員会で、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣している陸上自衛隊施設部隊について、南北スーダンの軍事衝突が拡大して活動に危険が及ぶ場合は撤収を検討する考えを表明した。
防衛相は「私が撤収の判断を任されている。緊張感を持って決断すべきときは決断する」と述べた。岩崎茂統合幕僚長からスーダン情勢の報告を受け、撤収構想を意見交換したとも語った。
渡辺周防衛副大臣は南スーダンのキール大統領が「これは戦争だ」と発言したことに触れ「真意や状況を調べ、各省庁と連携を取って万全の対応をしたい」と強調した。
南スーダンの自衛隊第一回 「何もかも足りない」世界で一番新しい独立国家
菅原 出(すがわら・いずる)
1969年、東京生まれ。中央大学法学部政治学科卒。平成6年よりオランダ留学。同9年アムステルダム大学政治社会学部国際関係学科卒。国際関係学修士。在蘭日系企業勤務、フリーのジャーナリスト、東京財団リサーチフェロー、英危機管理会社役員などを経て、現在は国際政治アナリスト。会員制ニュースレター『ドキュメント・レポート』を毎週発行。著書に『外注される戦争』(草思社)、『戦争詐欺師』(講談社)、『ウィキリークスの衝撃』(日経BP社)などがある。
2012年3月30日(金)
2月20日、自衛隊の施設隊約120名が南スーダンの首都ジュバに到着した。すでに現地入りしていた司令部要員や現地で支援調整を行う部隊に加えて、道路等のインフラ整備を行う主力の施設隊が到着したことで、自衛隊の南スーダンでの活動がいよいよ本格的に始動する。
南スーダンは長年の南北スーダン内戦、和平合意の履行を経て、昨年7月9日に独立をした世界で一番新しい国家である。これに対して我が国は、国連からの要請を受けて、「国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)」に対し、陸上自衛隊の施設部隊最大330名と、同部隊の活動を支援するため、国連や現地政府機関等との調整を行う陸自の部隊最大40名を派遣することを決定。今年1月から順次部隊を展開している。
日本政府は、「国際社会の責任ある一員として、主要国と協調し、南スーダンの平和と安定に積極的に関与していく」とさらりと自衛隊派遣の意義を説明しているだけで、国内では今回の自衛隊南スーダン派遣について真剣な議論がなされた形跡はない。
しかし、国際的にみれば、昨年はアフリカ東部ジプチに、ソマリア沖アデン湾で海賊対策任務に従事する海上自衛隊の(事実上の)基地を開設したばかり。自衛隊にとって初の本格的な海外基地をジプチにつくり、今度は南スーダンに300名規模の陸上自衛隊の派遣を決めた訳である。「日本の狙いは何だ?」と疑われたとしても無理はない。
国際的には「軍隊」と見なされる我が国の組織が、海外でどんな活動を行っているのかについて、我々はもっと関心を持つべきではないだろうか。これから自衛隊が本格的に活動を開始する南スーダンとはそもそもどんなところなのか。世界で一番新しい国家の国づくりとはどのようなものになり、そこで自衛隊が展開する活動とはどんなものになるのだろうか。そして、その国際政治上のインパクトはいかなるものになるのだろうか?
このコラムでは、2月上旬から3週間にわたり現地を取材した国際政治アナリスト・菅原出氏が、南スーダンの最新情勢と自衛隊の活動をレポートする。
アフリカ最後の未開発地域の争奪戦
スーダンは1956年の独立以来、50年にわたり紛争に悩まされた。エジプト、リビア、チャド、中央アフリカ、コンゴ民主共和国、ウガンダ、ケニア、エチオピアそしてエリトリアと9カ国と国境を接する「地政的な環境」から隣国の影響を受けやすく、政治的な安定を維持するのは非常に難しい。
スーダン国内でも、様々な対立から多くの紛争が起きてきたが、中でもイスラム教の北部とキリスト教の南部間の南北内戦は1983年から2005年まで続き、実に200万人の国民が犠牲になったと言われている。
スーダンはかつてオサマ・ビン・ラーディンをかくまっていたため、米国から「テロ支援国家」に指定され、クリントン政権時代には巡航ミサイルを撃ち込まれたこともあった。米国の圧力の下、欧米系石油会社が撤退した後、主にスーダンの石油開発を請け負ったのは中国であった。スーダン政府はイランからの武器を購入しており、米国は南北内戦においては、南部の反政府勢力(当時)だった「スーダン人民解放軍(SPLA)」を支援した。
2005年に南北政府が和平協定に調印し、2010年にはスーダン国内で大統領選挙と総選挙が実施され、翌2011年に南部の住民が住民投票で独立を支持し、同年7月9日に「南スーダン」として独立した。イギリスの植民地支配の頃から、南部は政策的に未開発のままにされたため、石油産業を除いてはほとんど何も開発されていない。
石油産業といっても輸出のための石油積み出し施設や精製施設は北部側にあるため、南スーダンは(北)スーダンを通じてしか石油を外に出す手段を持っていない。しかも石油収入の配分をめぐって南北スーダンはいまだに合意に至っておらず、対立が続いている。
過去半世紀にわたって紛争に悩まされ、国家としての基本的なインフラが全く整備されていない地域が、世界で一番新しい国家として独立した訳である。しかも同国は、アルカイダ等のイスラム原理主義勢力、中国やイランなど、現代国際政治のキープレーヤーの利害が絡み合う世界がもっとも注目するホットスポットの1つでもある。南スーダンには石油資源に限らず、鉱物資源などの天然資源も豊富にあるとも言われており、同国の独立を強力に推し進めた米国の思惑は天然資源だとの見方も根強い。ナイル川流域の肥沃な土地でもあることから、農業分野の潜在力も高いと見られており、同国は現代では数少ない「手つかず」の大地…、アフリカ最後の未開発地域とみられている。
昨年7月、国連安保理は決議第1996号を全会一致で採択し、「国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS」を設立した。UNMISSは、南スーダン政府に対し、【1】平和の定着並びにそれによる長期的国づくり及び経済開発に対する支援、【2】紛争予防・緩和・解決及び文民の保護に関する南スーダン政府の責務の履行に対する支援、そして【3】治安の確保、法の支配の確立、治安部門・司法部門の強化に対する支援等を行うとされている。
日本はUNMISSの一員として自衛隊を派遣することで、世界のパワープレーヤーの利害が激しくぶつかり合う南スーダン争奪戦に「参戦」した訳である。
実は外国人にフレンドリーな南スーダン人
2月10日、南スーダンの首都ジュバの空港に降り立つと、じりじりと肌を焦がすような強烈な日差しを受けて思わず日陰を探してターミナルへと急いだ。日中は45度近くまで上がる暑さは、この国の最大の特徴の1つである。
そして砂ぼこりを舞い上げながら吹き付ける強い風。南スーダンは日本の国土の1.7倍の広さがあるが、舗装された道路は60キロくらいしかない。道路だけではない。学校も病院も浄水施設も発電所も、何もかもが足りない。
スーダンと聞けば多くの日本人が「紛争」や「貧困」を思い浮かべ、危険なところと考えてしまうのではないだろうか。
確かに南スーダンの一部の州では部族対立が激化しており、対立する部族同士で一日に数十名が殺害されるような事件が起きている。
また、油田の多くが南スーダンにあるものの、石油の精製施設や積み出し港は北スーダンにあり、南北スーダンはいまだに石油収入の配分をめぐってもめており、北スーダンが原油のパイプラインを閉鎖したため、南スーダンは原油を輸出することができずに、両国間は政治的に緊張している。国境線でもいまだにもめており、国境沿いでは武力衝突も起きている。
しかし治安上の問題があるのは一部の地域に限定されており、自衛隊が活動を展開する予定の首都ジュバ近辺の状況は極めて安定している。実際ジュバでは建設ラッシュが起きており、あちこちで新しい建物の建設が行われている。「何もかも足りない」南スーダンにとって国際社会からの支援は命綱であり、国連をはじめとする外国に対する感情は大変友好的である。
一般犯罪をみても、正式の統計はないものの、他のアフリカ諸国に比べれば、犯罪率は格段に低いと考えられる。ジュバから北に600キロ近くにあるマラカルという町を訪れたが、ここではホテルでチップを置いておいても、部屋の掃除にきた従業員はチップには手をつけずに奇麗に机の上に置かれたままだった。パソコンやデジタルカメラなど高価なものを部屋に置いていても、盗まれる心配はほとんどなかった。
国民はとても信心深くキリスト教の影響が非常に強いこともあり、穏やかでまじめな国民性を持っていることに、正直驚かされた。
マラカルでは、町を歩いていると、皆私を見てほほ笑んで手を振ってくれる。中国人と間違えられるためか、「ニーハオー」などと声をかけてくる子供たちも多い。貧しくても悲壮感はなく、こちらから「ハロー」と言って手を振ると、皆、無条件で笑顔で手を振り返してくれる。
実際にマラカルでは、日本政府機関の宿営地を建設中の現場を視察したが、南スーダンの労働者たちは、驚くほど一生懸命に働いていた。40度を超える炎天下の中、「よく頑張るな」とこちらが感心するほどである。
スウェーデン人の現場監督に話を聞いても、技能は低いものの、学ぶ意欲は旺盛だし、正直だと話していた。「約束したことを守って報酬さえしっかり支払えば、彼らは何の問題もなくよく働く」と証言していた。
南スーダンでは車と言えばトヨタやいすずで、トヨタ車と同じように日本人や日本の経済力、技術力に対する信頼も高いようである。国連や欧米NGO関係の人たちと話をしていても、南スーダン人が外国人に対して敵対心を持っておらず、非常にフレンドリーだと口をそろえて証言していた。
日本では自衛隊の南スーダン派遣前に、同国の治安の酷さを強調して「自衛隊は全滅か」などと報じるメディアもあったが、実際に現地をみてみれば、治安上の問題はそれほど深刻ではないことがわかる。国際部隊に対して組織的に武装抵抗を続ける強力な勢力はいないので、自衛隊の活動に対する治安面での問題は、現状ではそれほど心配する必要はないと考えられる。
(つづく)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20120326/230227/ 南スーダンPKO、危険拡大なら撤収検討 防衛相 2012/3/28 18:55 小サイズに変更 中サイズに変更 大サイズに変更 印刷 田中直紀防衛相は28日の参院外交防衛委員会で、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣している陸上自衛隊施設部隊について、南北スーダンの軍事衝突が拡大して活動に危険が及ぶ場合は撤収を検討する考えを表明した。 防衛相は「私が撤収の判断を任されている。緊張感を持って決断すべきときは決断する」と述べた。岩崎茂統合幕僚長からスーダン情勢の報告を受け、撤収構想を意見交換したとも語った。 渡辺周防衛副大臣は南スーダンのキール大統領が「これは戦争だ」と発言したことに触れ「真意や状況を調べ、各省庁と連携を取って万全の対応をしたい」と強調した。
南スーダンの自衛隊第二回 何もない南スーダンに派遣された日本の自衛隊はいま何をしているのか
菅原 出(すがわら・いずる)
1969年、東京生まれ。中央大学法学部政治学科卒。平成6年よりオランダ留学。同9年アムステルダム大学政治社会学部国際関係学科卒。国際関係学修士。在蘭日系企業勤務、フリーのジャーナリスト、東京財団リサーチフェロー、英危機管理会社役員などを経て、現在は国際政治アナリスト。会員制ニュースレター『ドキュメント・レポート』を毎週発行。著書に『外注される戦争』(草思社)、『戦争詐欺師』(講談社)、『ウィキリークスの衝撃』(日経BP社)などがある。
2012年4月2日(月)
2月20日、自衛隊の施設隊約120名が南スーダンの首都ジュバに到着した。すでに現地入りしていた司令部要員や現地で支援調整を行う部隊に加えて、道路等のインフラ整備を行う主力の施設隊が到着したことで、自衛隊の南スーダンでの活動がいよいよ本格的に始動する。これから自衛隊が本格的に活動を開始する南スーダンとはそもそもどんなところなのか。世界で一番新しい国家の国づくりとはどのようなものになり、そこで自衛隊が展開する活動とはどんなものになるのだろうか。そして、その国際政治上のインパクトはいかなるものになるのだろうか? このコラムでは、2月上旬から3週間にわたり現地を取材した国際政治アナリスト・菅原出氏が、南スーダンの最新情勢と自衛隊の活動をレポート。今回は建設中の基地に働く隊員たちに話を聞いた。
こうした中、2月20日にジュバ入りした自衛隊の一次隊は、主に自衛隊の宿営地を整備し、本格的な施設支援活動のための準備をすることになっている。自衛隊は国連の平和維持活動(PKO)のため、UNMISSの一員となっている。自衛隊が現地でどんな活動をするのか、その任務を与えるのはUNMISSである。
UNMISSの基地はジュバ国際空港に隣接した広大な地域にある。「トンピン」と呼ばれるこの地区の正面ゲートから入ると、ちょうど敷地の一番奥に赤褐色の空き地があり、「UN」の文字のついた白いローラー車が整地作業を行っていた。緑の迷彩服を着た東洋人の姿が見える。自衛隊の隊員たちだ。
この自衛隊の宿営地建設予定地には、3月末頃に資材が届き始め、6月の雨季が始まる頃までには突貫で建設を完了させる予定だという。それまでの間、隊員たちはテントでの生活を続ける。建設予定地の隣の土地に、深緑色の自衛隊のテントが整然と並んでいた。
国連の基地内と言っても、そこはただの何もない砂漠の空き地に過ぎない。水道があるわけでもなければ電気が通っている訳でもない。その何もないところに、300名規模の日本人が長期間にわたって生活をしていくための基盤を作るのは容易な作業ではない。
隊員たちはトラックでナイル川まで行き、大型タンクに水をくみ、それを浄水車両で浄水して生活用水を確保しなければならない。
シャワー用のテントの中をのぞくと、プラスチック製のスノコの上にきちんと風呂用のいすが並べられており、隊員たちが並んでシャワーを浴びられるようになっていた。ジュバのホテルでは蛇口をひねるとまず茶色い水が出てくる。ナイル川の水をそのまま使っているのだ。この自衛隊の簡易シャワーの方がよほど快適だろう。
テントの外の一角に大量の段ボール箱が積み重ねられている。箱には「戦闘糧食I型」と記されており、その横には「かも肉じゃが」、「ウィンナーカレー」など味の種類が記されていた。一次隊の隊員たちにとって、もっとも苦しいのが食事だという。「戦闘食」などといっても要は温めるだけのレトルト食である。幾ら味の種類が20種類以上あるとはいえ、毎日続けば一月もすれば飽きてしまうだろう。隊員の中には、ふりかけやペッパーソースなど、いろいろな調味料を持ってきて、少しずつ味を変える工夫をしている者も多いという。
自衛隊員の平均的な1日のスケジュール
2月20日にジュバに到着したばかりの工藤長生・三等陸尉(28)は、それでも「私たちが着いた時には、シャワーも水も使える状況になっていましたので快適に過ごしています。先に来て準備をしてくださった先発隊の方々の苦労に比べれば楽なものです」と明るく語った。
工藤・三等陸尉に平均的な1日のスケジュールを聞いてみた。
「起床は朝6時。7時25分には朝礼があり、その後12時まで業務となります。昼休みは12時から13時30分。その後17時まで午後の任務となります。それ以降は個人の時間になりますが、体力錬成のために30分くらいは走っています」
走っている?そういえばこの宿営地に来る途中、国連の基地内をジョギングしている自衛隊員を見かけた。ジュバの日中の暑さは40度を超える。炎天下の作業は相当身体に堪えるはずだが、それでも自由時間にジョギングをするというのだから、やはり日本人は真面目だな、と思わざるを得ない。
「任務は宿営地を作り上げ引き継ぐこと」
国際ミッションを何度も経験している藤川秀之曹長(53)にも話を聞いた。
「自分の任務は、宿営地を完成して2次隊以降に引き継ぐことですから、確実にその任務を果たしたい。そして国連内の整備も行い、早く外へ出て南スーダンの人たちの役に立つような本来の任務ができるようにしたいです」と今後の抱負を語っていた。
藤川曹長も自由時間には同じようにジョギングをしたり、本を読んだり、洗濯などをして過ごしているという。
「南スーダンで自衛隊が活動」などと聞くと、そもそも「南スーダン」という言葉自体が「紛争」や「危険」という言葉を連想させるため、今にも武装したゲリラや民兵が襲撃してきそうな危ない地域で、野営をしながら危険な任務についているようなイメージを持つのではないだろうか。
しかし現実はそのようなイメージとはほど遠いものであった。UNMISSの基地は、外部とのアクセスが制限された広大な空間であり、ジュバ市内よりもはるかに安全である。一次隊の主な任務はこの中で自衛隊の宿営地を建設することなので、隊員たちが外に出て活動する時間は限定的である。この砂漠の荒れた地を整え、資材が届けばそこに基礎をつくり、コンテナハウスを使って宿営地を建設していく。極めて単調で地味な建設作業が淡々と行われていくことになる。
「施設隊が到着」と聞いてジュバまで飛んできた日本の報道陣は、取材するものがなくて、“面喰って”しまったのではないか。隊員たちの多くは、まだ南スーダンの人たちと直接的な接触すらなく、暑い中、黙々と土木工事をしているだけなのだから。
もちろん、夏以降、この宿営地が完成し、自衛隊にUNMISSから任務が付与されれば、本格的な外での活動が始まることになるのだが、それでも自衛隊の活動範囲はこの宿営地から「日帰りで行ってこられる範囲」に限定される。任務の内容にもよるが、この宿営地に滞在して活動をする分には、南スーダンの全土の治安が劇的に悪化しない限り、日本で想像するような危険は少ないと言えるだろう。
長期間生活すること自体が大変
それよりもむしろ、こうした環境下で長期間生活をしていくということ自体が大変なことであり、そちらの心配をした方がいい。そういう意味で、隊員の勤務時間を聞いて少し不安を覚えた。朝は早めに仕事を開始して昼休みを1330まで長めにとってはいるものの、基本的に日本の勤務時間と大きな変化はない。南スーダンで3週間生活をしてみて感じたのは、日中の特に11時から15時くらいの間はあまりの暑さで仕事にならないという事実である。
私が視察した、北部の町マラカルの建設現場では、日中は現地人たちでさえ皆日陰に入ってすぐに座って休んでしまっていた。そのため、柔軟なスウェーデン人の現場監督が、朝は7時から開始して12時まで午前中は働き、昼休みは思い切って15時までの3時間とり、午後は15時から18時まで、と務時間を変更していた。
自衛隊も今後は現地の事情に合わせたこうしたちょっとした工夫も、取り入れていく必要があるだろう。
1つのテントに4〜5人が宿泊
一般隊員たちのテントの中を見せてもらった。一つのテントで4〜5人が寝泊まりをするので、もちろんプライベートなどない。簡易ベッドの周囲のわずかなスペースに各自の持ち物が奇麗に整理・整頓されて置かれていた。週末には会議室で映画の上映会なども行われているというが、隊員たちのレクリエーションなど、自由時間を少しでも快適に過ごすための環境整備が今後必要になるだろう。
こうしたことはあまり注目されないが、長期間にわたる海外派遣の場合、隊員たちの士気を持続させるためにも、一定の快適さの確保は重要である。海外派遣ではどうしても治安の問題や安全確保にばかり目が行きがちだが、日本とは異なる厳しい環境で、地味で単調な仕事を長期間持続的に続けることに耐えられるような環境の整備にも目を向ける必要がある。 隊員のメンタル・ケアも含めた「長期戦」への備えを今から整えていくべきである。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20120326/230249/
南スーダンの自衛隊第三回 何もない砂漠で国を造っている日本人たちがいる
「オールジャパン」と「国連ファミリー」で動く
菅原 出(すがわら・いずる)
1969年、東京生まれ。中央大学法学部政治学科卒。平成6年よりオランダ留学。同9年アムステルダム大学政治社会学部国際関係学科卒。国際関係学修士。在蘭日系企業勤務、フリーのジャーナリスト、東京財団リサーチフェロー、英危機管理会社役員などを経て、現在は国際政治アナリスト。会員制ニュースレター『ドキュメント・レポート』を毎週発行。著書に『外注される戦争』(草思社)、『戦争詐欺師』(講談社)、『ウィキリークスの衝撃』(日経BP社)などがある。
2012年4月6日(金)
2月20日、自衛隊の施設隊約120名が南スーダンの首都ジュバに到着した。すでに現地入りしていた司令部要員や現地で支援調整を行う部隊に加えて、道路等のインフラ整備を行う主力の施設隊が到着したことで、自衛隊の南スーダンでの活動がいよいよ本格的に始動する。これから自衛隊が本格的に活動を開始する南スーダンとはそもそもどんなところなのか。世界で一番新しい国家の国づくりとはどのようなものになり、そこで自衛隊が展開する活動とはどんなものになるのだろうか。そして、その国際政治上のインパクトはいかなるものになるのだろうか? このコラムでは、2月上旬から3週間にわたり現地を取材した国際政治アナリスト・菅原出氏が、南スーダンの最新情勢と自衛隊の活動をレポート。
3月1日、自衛隊がUNMISSから受けた初の施設整備任務を実施すると聞いて現場を取材した。
最初の任務は 排水溝の工事
UNMISSの自衛隊宿営地に行くと、「UN」の文字の入った一台のショベルカーが、自衛隊の宿営地が建設される予定の敷地と隣のインド軍敷地との間にある排水溝の工事をしていた。自衛隊がUNMISSから受けた初の任務とは、このUNMISS敷地内の排水溝の工事だったのである。
意外に思われる読者もいるかもしれないが、自衛隊が受ける任務の中には、UNMISSを構成する様々な部隊の活動を支えるための施設整備活動も含まれている。だからUN敷地内の工事も彼らの任務になり得るのだ。
UNMISS司令部を始め関係当局と調整をしながら、自衛隊施設隊の任務をつくっていく役割を果たすのが、自衛隊の「現地支援調整所」である。南スーダンで自衛隊にどんなニーズがあるのか、自衛隊が今後どんな任務を担っていくのか、その将来像を描いているのが、この調整所で初代調整所長をつとめる生田目(なまため)徹一佐(45)である。
国づくりの順番を提案
生田目一佐は、自衛隊を代表して国連や南スーダン政府の関係機関と実際に調整にあたっている人物だ。3月1日、ジュバ市内のホテルで同一佐に話を聞いた。
生田目一佐は、1月15日にジュバ入りして以来、主力である施設隊の受け入れ準備を進める一方で、関係機関と協議を行い、現地にどのようなニーズがあるのかについて情報収集を重ねてきた。
「とにかくニーズはたくさんあることが分かりました。ただ余りにたくさんあり過ぎて、一体どこから手をつけるべきなのか、優先順位に関する整理がなされていないのが現状だと感じています。だからたくさんあるニーズの中から、どこから始めるのがいいのか、なぜここから始めるといいのか、我々の考え方を提示していきたいと思っています」
生田目一佐はこのように語り、国づくりをどこから始めていくべきなのか、なぜそうなのかという考え方を提示することで、優先順位をつける際の一例にしてもらうことができるのではないかと考えていた。
「何もかも足りない」南スーダンには先進国である日本に対するニーズは山のようにある。その中で日本の過去の経験を踏まえて、国づくりを進めるための「考え方」を丁寧に説明したいというのである。そして、その一方で、「援助の押しつけにならないように、あくまで我々の考え方を提示して南スーダン側の考え方を聞く、インターアクションを重ねながら、我々の任務をつくっていきたい」と生田目一佐は述べていた。
国際協力機構(JICA)の場合もそうだが、日本の支援は非常にきめ細かで細部まで配慮がなされている。恐らくどんなことをしても現地から感謝されることになるのだろう。しかし、その一方で一つの疑問が沸いた。
今回日本はUNMISSの一員として国連の帽子をかぶって南スーダンに入っている。自衛隊に任務を与えるのはあくまでUNMISSである。イラクのサマワの時のように「日本」を全面的に押し出した活動をしにくいのではないかということである。
国連の帽子をかぶった自衛隊として
もちろん、日本としてはいわゆる「顔の見える支援」、日の丸が見える支援を期待しているはずだ。その調整が難しいのではないかと思ったのである。実際、自衛隊が現地で使う車両は全て「UN」の文字の入ったものなのだが、車両のフロントガラスに小さな日の丸をつけていただけで、UNMISS側からクレームがついて外さざるを得なかった、とある隊員が話していた。
「我々はあくまでUNMISSの一員ですから、UNMISSを構成する各国部隊に対する施設整備のニーズに応えるのは当然のことです。我々は国連の基地の整備を含めてUNMISSの要請にはきっちりと応えていきます」
と生田目一佐は説明した。その一方で、
「ただ、国連から要請されたことを受動的にやるだけでは足りないと考えています。UNMISSの大きな任務の一つは南スーダンの国づくりを支援するということです。ですから、南スーダンの国づくりを支援するという観点に立てば、こんな支援もできるのではないか、こういう仕事も自衛隊はできますよ、ということを我々が自ら発掘して、それをUNMISSに提案して我々の任務として認めてもらう、そんな提案型の任務づくりをしていきたいと思っています」
と述べていた。UNMISSの一員として行くのだから、本来はUNから言われた任務だけをやっていれば誰からも文句は言われない。
しかしそれだけでなく、自ら「南スーダンの国づくりに寄与する」ニーズを掘り起こし、案件をつくり、それをUNMISSに提案して自分たちのミッションをつくっていく、というのである。
そしてそのために生田目一佐が考えているコンセプトが二つあるという。
オールジャパンという発想と国連と協力
「一つはオールジャパンという考え方です。すでに南スーダンでは国際協力機構(JICA)や複数の非政府組織(NGO)などの日本の組織が国づくりのための有益な活動を展開しています。こうした他の日本の組織と連携・協力を深め、日本の取り組みが全体としてより効果的に発揮されるような案件を形成できないかと考えています」
実は生田目一佐は、南スーダンに来る前から、こうしたオールジャパンの取り組みの必要性を認識し、日本でJICAをはじめとする他の組織との調整のパイプをつくってきたという。日本としての取り組みをアピールするために、自衛隊が独自でと言うよりも、他の日本組織の活動を支援する形で「日本の支援」を全体として盛り上げていくという考え方だ。
具体的な案件については調整中とのことで教えてくれなかったが、例えばJICAがある地域で橋の建設を行うとすれば、その橋に通じる道路を自衛隊が建設するといったコラボレーションをイメージすればいいだろう。
生田目一佐が考えるもう一つのコンセプトは、「UNファミリー」である。
「国連の中にも国連世界食糧計画(WFP)や国連児童基金(UNICEF)など様々な組織があり、それぞれが素晴らしい働きをしています。だから我々がそうした大きな意味での国連ファミリーの組織が必要とする施設を整備することで、彼らの活動をサポートし、間接的に南スーダンの国づくりに貢献することができると思うのです」
「これには実は前例があります。自衛隊がハイチでPKOのミッションを行った時に、国際移住機関(IOM)という国連の機関の依頼で施設造成を行ったことがあるのです」
生田目一佐は、日本の他の機関だけでなく、国連のUNMISS以外の機関の要請にも応じて、彼らの活動を支援することで、南スーダンの国づくりに貢献しようと考えているのである。
「考えてみれば、私が現在運営しているこの調整所という機能も東ティモールのPKO活動の教訓から設置されたものです。現在は統合幕僚監部にも国際協力室という組織があり、世界のPKO活動を調査する機能を果たしている。こうした組織の必要性もこれまでのPKOの経験から生み出されたものです。そういう意味で言えば、オールジャパンの取り組みやUNファミリーとの連携といった構想自体、別に私のオリジナルでも何でもなく、過去20年間の自衛隊のPKO活動の延長線に出てきたコンセプトだということもできるでしょう。すでにこの国で立派な活動をやっている同胞や国連の組織の現状を謙虚に把握し、皆の努力をつなぐ、そんな役割を自衛隊が果たすことができるのではないか、と思っているのです」
自衛隊は珍しい組織
こんなことを考える軍事組織は世界でも珍しい。国連のPKO活動というのは、純粋な国際協力や支援というよりは、通常自国の利益のために行われる。PKOに部隊を派遣する発展途上国の多くは、自国の兵士に対する給料を払えないためにPKOのミッションに参加させている。その間その兵士たちの給与は国連から支払われるし、通常自国の給与のレベルより国連からの給与の方が高いから、その差額を国がピンはねすることができる。ある意味でPKOという「出稼ぎ」に兵士を送っているにすぎない。
一方で先進国の場合は、自分たちの輸出産業がその国に入っていくための基盤をつくるために軍隊が送られることが多い。例えば医療部隊がPKOで派遣され医療支援活動を行った後に、その国の医療機器メーカーが参入をするといった形である。
日本の場合はそのどちらでもない。本来であれば国家として何らかの明確な目的があり、その目的を達成するために、国家が持つツールをその目的に応じて計画的に使っていくのが筋なのだが、日本政府はそうした手順を一切踏まずに自衛隊を派遣しているのが現実だ。
つまり、なぜ自衛隊なのか、なぜ南スーダンなのか、それが日本の利益とどうかかわっているのかという議論や説明なしに、国際政治のホットスポットに軍事組織を送ってしまっている。
しかし、生田目一佐の話から分かるように、派遣される側の現場の自衛官たちは、与えられたこと以上に任務について深く分析し、自ら日本にとって必要なことを探して現場レベルで真剣に対応している。これまでの海外派遣でも、送る側の政治は駄目でも、送られる現場がしっかりしていたために大きな問題や事故が起きずに済んできたのだが、今回も全く同じ構図が存在する。
もちろん、今後の活動に全く不安がない訳ではない。現在は治安状況も落ち着いているが、南スーダンの経済状況は極めて不安定である。同国は産油国であり、政府の収入は原油の輸出に依存している。しかし、原油を輸出するためのパイプラインや積み出し基地はスーダンにしかなく、南スーダンは原油の輸出ルートという点で北の隣国スーダンに依存している。しかも、南北スーダン政府間で石油収入の分配をめぐる対立が続いており、南スーダンは現在原油を輸出できない状態になる。今のところ、独立後の期待値が高く国際社会からの支援を歓迎している南スーダンだが、財政難が国民の生活にネガティブな影響を与え、現在は「穏やかな」南スーダン人の態度に変化が生じる可能性がないとは言えない。
「そうならないためにも、早く南スーダンの人たちに成功体験をしてもらいたい。戦いではなく開発によって収入を得られるような体験をしてもらいたい。そして自衛隊の活動が彼らの将来にプラスになるような実例を一つでも多くつくっていきたいと思っています」
と生田目一佐は熱く語っていた。こうした現場レベルの真剣な取り組みが実を結べば、日本の国際協力活動に対する評価は高まり、アフリカの安定に一定の貢献をすることに繋がるだろう。
自衛隊派遣の前に目的や意義を議論されたか
本来であれば自衛隊を派遣する前に、その目的や意義に関して国民的な議論がなさるべきだったが、それがないままに、南スーダンでの自衛隊の活動が始まった。我々は、少なくとも現地に派遣された自衛官たちが現在どんな状況にあり、これからどんな活動をしようとしているのかについて伝えるべきだとの思いから、3回にわたり南スーダンの自衛隊の活動を取り上げてきた。
現場取材を通じて、現地に派遣された隊員たちはストイックなほど真面目に日々の任務をこなしていることが分かった。現地の自衛隊を代表する生田目一佐は、「言われたことだけをやるのではなく、自ら任務をつくっていく、皆の努力をつなぐ」と実に日本人らしい謙虚な姿勢で将来の任務形成に意欲を燃やしていたことを報告したい。
そしてこれからこの狙い通りに任務を遂行することができるのかどうか、自衛隊の活動を検証していく義務が、我々国民にはあるはずだ。今後も南スーダンの自衛隊の活動をフォローしていきたい。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20120326/230254/
南北スーダン、衝突激化も 油田地帯の帰属で
2012/4/12 18:55
【カイロ=押野真也】スーダンと、同国と隣接する南スーダンとの軍事衝突が激化している。南スーダンは12日までに国境付近の油田地帯、ヘグリグを制圧。同地域の帰属を巡って対立するスーダンは即座に反発し、国営メディアが同国国防相の「軍に派遣命令を出す」との発言を伝えるなど緊張が高まっている。
南スーダンは2011年7月にスーダンから独立。両国間では国境付近の油田地帯の帰属や石油収入の配分方法が決まっておらず、両国軍は断続的に衝突している。石油収入は両国の経済を支える生命線だけに、どちらも譲らず、アフリカ連合(AU)が仲介に乗り出している。
南スーダンの首都ジュバには国連平和維持活動(PKO)で日本の陸上自衛隊施設部隊が派遣されている。日本政府は南北スーダンの軍事衝突が拡大して活動に危険が及ぶ場合は撤収を検討する考えを表明している。
南北スーダン、軍事衝突激化 油田地帯帰属巡り
2012/4/12 22:13
【カイロ=押野真也】スーダンと、同国と隣接する南スーダンとの軍事衝突が激化している。スーダン政府は12日、帰属を巡り争う国境付近の油田地帯を南スーダンが制圧したことへの報復として、同国北部の都市を空爆。死傷者の有無は不明だが、南スーダンは強く反発し、制圧した油田地帯から撤退しない方針を示すなど緊張が高まっている。
南スーダンは2011年7月にスーダンから独立。両国間では国境付近の油田地帯の帰属や石油収入の配分方法が決まっておらず、両国軍は断続的に衝突している。石油収入は両国の経済を支える生命線だけに、どちらも譲らず、アフリカ連合(AU)が仲介に乗り出している。
南スーダンの首都ジュバには国連平和維持活動(PKO)で日本の陸上自衛隊施設部隊が派遣されている。日本政府は南北スーダンの軍事衝突が拡大して活動に危険が及ぶ場合は撤収を検討する考えを表明している。
南北スーダン 戦闘拡大の懸念
4月13日 5時53分
油田の収益の配分などを巡って対立が続くアフリカの南スーダンとスーダンの国境付近では、双方の軍による衝突が激しさを増しており、全面的な戦闘に拡大する懸念が高まっています。
両国の国境付近では、今週、南スーダン軍が越境してスーダン側の油田地帯を制圧したのに対し、スーダン軍も南側の町を空爆するなど、双方の軍による衝突が激しさを増しています。
国連やアフリカ連合は、南スーダンに部隊の撤退を促していますが、南スーダンのサルバ・キール大統領は12日、議会で演説し、「撤退には応じられない」と述べたうえで、帰属が決まっていない別の油田地帯にも部隊を派遣する考えを示しました。
南の軍が制圧した油田地帯の産油量はスーダン全体の半分以上を占めているだけに、スーダン政府は、「南の軍が撤退しなければ、武力を使ってでも取り戻す」として、強硬な姿勢を崩しておらず、全面的な戦闘に拡大する懸念が高まっています。
南スーダンは20年余りにわたる内戦を経て、去年7月、スーダンから独立しましたが、油田の収益の配分などを巡って対立が続き、先月も国境付近で衝突が起きていました。
南スーダンの首都ジュバには、国連のPKO=平和維持活動のため陸上自衛隊が派遣されていますが、戦闘地域からは500キロ以上離れており、現地の日本大使館は、「自衛隊の活動に影響はない」と話しています。
油田めぐり南北スーダンの国境地帯で軍事衝突
2012.04.13 Fri posted at: 10:37 JST
南スーダン・マラカイ(CNN) 国境付近にある油田地帯の帰属をめぐり、スーダンと南スーダンの間で緊張が高まっている。
スーダン政府は国境近くの町ヘグリグにある油田の所有権を主張している。同油田はスーダンの原油生産量の半分を占めている。
一方、南スーダン軍の広報官は11日、同国軍がスーダン軍の攻撃からこの2日間、領土を防衛していると述べた。「(ヘグリグ油田は)南スーダン領だ。スーダン政府は国境線の画定を拒んできた。われわれはどこが国境か承知している」
スーダン政府は11日、国連安全保障理事会とアフリカ連合(AU)に対し、自国領であるヘグリグからの撤退を南スーダンに働きかけるよう申し立てを行った。
20年あまり続いた内戦を経て昨年7月、南スーダンは独立し、これによりスーダンの石油資源の3分の4が南スーダンのものとなった。両国の間では、港をもたない内陸国の南スーダンが、スーダン領内のパイプラインや精製施設を使うためにどのくらい払うべきか話し合いが行われていた。
その後、南スーダンは原油生産を停止。スーダンが8億1500万ドル相当の原油を「盗んだ」というのがその理由だった。スーダン側はパイプラインなどの未払い使用料に充当するために差し押さえたのだと主張している。
4月に入り、スーダンのバシル大統領は南スーダンを訪問して首脳会談を行い、国境画定などに関する合意文書に署名する予定だった。だが国境付近での戦闘が始まり、訪問はキャンセルされた。
国境地帯の油田から部隊撤収 南スーダン
2012/4/20 23:12
南スーダン政府報道官は20日、スーダンとの国境地帯にあるスーダンのヘグリグ油田から、南スーダン軍部隊が撤収すると報道陣に語った。撤収は南スーダンのキール大統領の命令で、3日以内に完了する予定という。ロイター通信などが伝えた。
両国軍は3月下旬以降、国境地帯で衝突を続け、南スーダン軍は領有権を主張するヘグリグ油田を今月10日に掌握。スーダン側は奪還を宣言しており、両国の全面的な戦闘に発展する恐れが強まっていた。実際に部隊が撤収すれば、緊張緩和につながる可能性がある。(ナイロビ=共同)
南スーダン:油田地帯から撤退表明
毎日新聞 2012年04月20日 22時17分(最終更新 04月21日 09時01分)
【ヨハネスブルク服部正法】スーダンと南スーダンとの国境地帯で続く両国軍の衝突で、南スーダン政府は20日、南スーダン軍が制圧したスーダン領内の油田地帯ヘグリグから撤退すると表明した。一方、スーダン政府は南側の表明直後、「ヘグリグをスーダン軍が解放した」と発表した。ロイター通信が報じた。どちらの発表が事実かは不明だが、南側がヘグリグから退くことで、危惧されてきた全面戦争突入が回避されるか可能性が出てきた。
南スーダン政府報道官のベンジャミン情報相が、ヘグリグから即時撤退を開始し3日以内に完了するとのキール大統領の命令を発表。次いでスーダンのフセイン国防相がスーダン軍によるヘグリグの「解放」を表明した。
3月末に始まった衝突は、今月に入り南スーダン軍が、スーダンの原油生産量の半分を占めるとされるヘグリグを制圧したことで激化。奪還を目指すスーダン軍は空爆などで対抗し、スーダンのバシル大統領は18日、「南スーダン市民を解放する」と、宣戦布告とも取られかねない強い口調で南スーダン政府を非難していた。
南スーダンの首都ジュバには、日本の自衛隊が国連平和維持活動のため駐留している。
南スーダン軍、油田から撤収完了
2012/4/23 11:24
南スーダン軍の報道官は22日、同国軍部隊がスーダンとの国境地帯にあるヘグリグ油田からの撤収を完了したと述べた。ロイター通信などが伝えた。報道官は、撤収中にスーダン軍機による空爆があったとしてスーダン側を非難した。
一方、スーダン側は油田を武力で奪還したと主張しており、両国関係は依然緊張したままだ。
南スーダン軍は、領有権を主張するヘグリグ油田を10日に掌握したが、国際社会から違法行為との批判が上がり、20日に撤収開始を表明した。(ナイロビ=共同)
田中防衛相:南スーダンの衝突激化で調査ミッション派遣へ
毎日新聞 2012年04月24日 11時40分(最終更新 04月24日 11時54分)
田中直紀防衛相は24日午前の閣議後の記者会見で、国連平和維持活動(PKO)で自衛隊を派遣している南スーダンとスーダンが国境地帯で軍事衝突を続けていることについて「深く憂慮している。防衛省として調査ミッションを派遣し考え方を至急まとめる」と述べ、南スーダンの治安状況を把握するため近く調査団を派遣する考えを示した。政府は6月ごろ、南スーダンの首都ジュバに2次隊330人を派遣する予定で、調査結果を踏まえて慎重に判断する。【朝日弘行】
南スーダン大統領が中国滞在切り上げ 「スーダンが宣戦布告」
2012.04.26 Thu posted at: 12:12 JST
(CNN) 国境や油田地帯の帰属をめぐりスーダンと南スーダンの軍事的緊張が高まっている問題で、中国を訪問中の南スーダンのキール大統領は25日、予定していた上海訪問を中止し、滞在日程を切り上げた。これに先立つ胡錦濤国家主席との会談では、スーダンに宣戦を布告されたとの認識を示している。
キール大統領は28日まで5日間の日程で中国に滞在する予定だった。帰国がいつになるのかは不明。24日に北京で行われた胡主席との会談では、「極めて重要な局面だ。隣国のスーダン政府が宣戦を布告してきた」と述べ、スーダンを非難していた。
両国にとって重要な貿易相手国である中国は、自制と交渉による解決を促し、中国のアフリカ担当特使を両国に派遣して和平交渉の仲介に当たると表明した。
南スーダンは昨年7月にスーダンから独立したが、国家債務の分担や国境の確定、石油資源の分配などをめぐって未解決の問題が山積している。
アフリカ連合は24日、両国に対して48時間以内に敵対を中止し、3カ月以内に未解決の問題に関する交渉を決着させるよう要請。両国間で解決できない場合は仲裁手続へと進む可能性を示唆した。
南スーダンに調査団派遣…陸自部隊への影響調査
防衛省は1日、陸上自衛隊が国連平和維持活動(PKO)に参加しているアフリカ・南スーダンの治安状況などを調べる調査団6人を現地に派遣した。
6日に帰国する予定だ。
隣接するスーダンとの国境付近で軍事的緊張が高まっていることから、首都ジュバで活動している部隊への影響などを調査する。
(2012年5月1日23時34分 読売新聞)
南スーダンPKO、2次隊派遣ずれ込みへ 治安悪化で
2012/5/3 23:51
政府が国連平和維持活動(PKO)で南スーダンに派遣している陸上自衛隊施設部隊について、本格作業部隊である2次隊の派遣が予定していた5月中からずれ込む見通しとなった。南北スーダン国境付近での衝突が激化。田中直紀防衛相が自衛隊の活動拠点である首都ジュバへの影響を懸念し、1日に派遣した追加の調査団の結果報告を待って派遣時期を判断する。
調査団はジュバで国連南スーダン派遣団(UNMISS)司令部や陸自先遣部隊から情勢報告を受ける。6日に帰国する予定だ。
防衛省は調査団の派遣前に、中央即応集団司令官を現地に送って情勢を視察させていた。それでも調査団を送ったのは防衛相の強い意向。省内には「現地情勢を二重に調査することになり、陸自の活動が滞る可能性がある」との指摘もある。
南スーダンの自衛隊第四回 南北スーダン軍事衝突激化で日本の自衛隊はどうなるのか
菅原 出(すがわら・いずる)
1969年、東京生まれ。中央大学法学部政治学科卒。平成6年よりオランダ留学。同9年アムステルダム大学政治社会学部国際関係学科卒。国際関係学修士。在蘭日系企業勤務、フリーのジャーナリスト、東京財団リサーチフェロー、英危機管理会社役員などを経て、現在は国際政治アナリスト。会員制ニュースレター『ドキュメント・レポート』を毎週発行。著書に『外注される戦争』(草思社)、『戦争詐欺師』(講談社)、『ウィキリークスの衝撃』(日経BP社)などがある。
2012年5月7日(月)
南北スーダンが「最悪」の軍事衝突
南スーダンとスーダンの間で軍事衝突が起きている問題で、南スーダンに派遣されている陸上自衛隊の活動に影響があるのかどうかに注目が集まっている。陸自側は深刻な事態ではないと分析しているものの、田中直紀防衛相が調査団の派遣を決めたことで、2次隊の派遣が遅れる可能性も出てきた。
今回、南北スーダンの関係が悪化したのは、南北国境地域で両国が共に「自分たちのものだ」と主張している油田地域ヘグリグを、4月10日に南スーダン軍が軍事占領したためだ。南スーダンは昨年7月に独立し、北側の「スーダン」とは別の国家になったわけだが、このヘグリグを含め、領有権をめぐって係争中の問題がいくつもある。
南スーダンには油田がたくさんあるが、石油を輸出するにはスーダンを通過するパイプラインで輸送するしか手段がない。しかし、この石油収入の配分をめぐっても両国はもめており、今年の1月以降、スーダンはこのパイプラインを止めてしまい、南スーダンは石油を輸出できなくなり、生産を停止したまま両国間の対立は続いていた。
こうした中で4月10日に、それまでスーダン側が支配していたヘグリグを、南スーダンが軍事占領してしまったことから、両国間の軍事衝突がエスカレートしたのだった。
私はちょうどこの4月10日に再び南スーダンに入っていた。別に軍事衝突を予想していた訳ではなくまったくの偶然だ。南スーダン軍がヘグリグを支配下におさめると、スーダン政府はこの戦略的に重要な油田を奪還すると宣言してスーダン軍を送り、昨年夏の南スーダン独立以来最悪の軍事衝突に発展した。
私は翌日に南スーダン北部のスーダンとの国境に近いマラカルという町に入った。ヘグリグの北40キロ地点で両軍が衝突したとのニュースが流れ、ホテルでは現地の人たちが食い入るようにテレビのニュースを観ていた。空軍力で優勢を保つスーダン軍は空からの攻撃を激化させ、国境を大きく超えて南スーダン側に侵入し、南スーダン・ユニティ州の州 都ベントゥへの空爆を開始した。私のいたマラカルからは200キロほど離れていたが、南スーダンの民間人にも死者が出たため、緊張が高まっていった。
ヘグリグ周辺では両軍の衝突が本格化し、南スーダン軍がスーダン軍の戦車を2両破壊したとか、戦闘機を撃墜したといった報道が流れ、スーダン軍は南スーダン軍の補給路をたたくべく、ユニティ州への空爆をエスカレートさせた。私のいたマラカルのある北ナイル州の北部でも、スーダンの支援を受けた民兵(ゲリラ)組織が南スーダンの警察署を襲撃するなど、スーダン側が南スーダン軍の後方を攪乱する作戦に着手した様子が確認された。直接的な軍事的な脅威は高くなかったものの、マラカルでも水や燃料といった生活必需品が市場から消え、物価がみるみる高騰していった。また、民間機が軍に強制的にとられるといった事態も発生して交通も混乱した。
南スーダンに圧力かけた国際社会
私は18日にマラカルから首都のジュバに戻ったが、ちょうどこの日にスーダンのバシル大統領が首都ハルツームで開かれた集会で演説し、「我々がジュバ(南スーダンの首都)に到達するか、南がハルツーム(スーダンの首都)に到達するまで戦う」と宣言し、南スーダン軍を「虫けら」と呼んで大規模攻撃を示唆していた。しかし、ジュバはさすがに国境地域から600キロも離れているため、平穏で、マラカルのような緊迫感はなかった。いくらバシル大統領が「ジュバに到達するまで戦う」と宣言したところで、現実のスーダン軍にそこまでの能力があるとは誰も信じておらず、空爆の可能性も極めて低いと考えられていたからだ。
今回の国境付近における軍事衝突が、ジュバで活動を展開している自衛隊に直接的な軍事的脅威を与える可能性は低いが、今後国際社会と南スーダンの関係がぎくしゃくすることで、活動がしにくくなる恐れがあるのではないか、との懸念を抱いた。
4月19日に国連、アフリカ連合(AU)、米国、中国、日本などが、南スーダンによるヘグリグ占領を「違法」と非難し、南スーダンに対し即刻ヘグリグから撤退するようにと猛烈な圧力をかけたからである。国連事務総長は、南スーダンによる今回の武力侵攻を「スーダンの主権の侵害であり明確な違法行為だ」と断じた。これに対して南スーダンでは国連に抗議をする政治集会が各地で開催され、南スーダン人たちが国連に対する不満をあらわにしていたからである。
国際社会が今回の南北紛争でスーダン側の肩を持ったことは、外交に不慣れな独立したての南スーダンにとっては意外だったのであろう。特にこれまで長きにわたり南スーダンを支援してきた米国が、悪名高きバシル大統領のスーダンを支持するとは計算外だったのではないかと思われる。おそらくは米国を中心に西側諸国が「援助を引くぞ」と南スーダンに猛烈な圧力をかけた結果だと思われるが、4月20日に南スーダンのキール大統領はヘグリグから南スーダン軍を撤退させると発表した。南スーダンはその後3日以内にヘグリグからの撤退を完了させた。
南スーダンはあくまでヘグリグが自分たちの領土であるという主張に変わりはないと述べているが、もはや将来にわたって南スーダンのヘグリグに関する主張は国際的には承認されないということが、今回明らかになった訳である。今後、南スーダン内部の強硬派の反発を抑えるのは容易ではないだろう。
今回の紛争において米国や日本も含めた国際社会が、事実上スーダン側の肩を持ったことは、南スーダン人の国際社会に対する反発や不信感となって残る可能性は否定できない。
ジュバ市民との交流を深める自衛隊
ジュバに戻った後でこの懸念を自衛隊の幹部に伝え、これまでと変わった状況はあるかどうかを確認したが、市民の感情に特段の変化は見られないとのことだった。
ちなみに現地の自衛隊施設隊は、4月2日よりジュバ市内のジュベル川(ナイル川)沿いにある給水点と市内とを結ぶ道路の補修作業を実施しており、ジュバ市民の生活に直結する支援活動を展開している。自衛隊の活動現場を通行するドライバー達(たち)がこれまでと変わらず隊員たちに笑顔で手を振って通り過ぎており、国境付近での武力衝突が激化する中でも、住民感情に特別な変化は見られていないようだった。
また最近、施設隊の隊員の中から有志が集まり、週末にジュバ市内の孤児院を訪問して子供たちとの交流を行うなど、自衛隊は積極的にジュバ市民との交流の機会をつくっている。今後はボランティアで孤児院の施設の補修作業も行う予定だという。
今回の南北軍事衝突をめぐり、国連が南スーダンに圧力をかけたことで今後の自衛隊の活動に影響があるかどうかを、自衛隊の「現地支援調整所」で初代調整所長をつとめる生田目徹一佐(45)に聞いてみた。同一佐は、今回の件で「国連が存在することの利益を逆に南スーダン側に実感させる必要性が高まっている」と述べ、そのためにも「住民の目に触れる活動を行っている自衛隊がますます評価されるチャンスかもしれない」と一層任務に意欲を燃やしていた。
これまで国連は、住民の生活の向上に直接つながるような活動を十分に行ってきたとは言い難い。そこで住民の目に触れる活動を現在実施している自衛隊の活動の重要性が高まっており、むしろ国連のためにも自衛隊が頑張らなくては、と現地の自衛隊幹部たちは気持ちを引き締めているとのことだった。
しかし、その後、ヘグリグから南スーダン軍が撤退を完了させても、スーダン軍は南スーダンに対する空爆を止めることなく、国境付近の戦闘は続いている。スーダン側が攻撃を止めないことに南スーダンは不満を募らせて全国的に兵士のリクルートを開始するなど、緊張は続いている。国連をはじめとする国際社会は、南スーダンに圧力をかけて軍を撤退させたものの、スーダン側に空爆を止めさせる圧力が足りず、調整不足の感は否めない。
もしこのような状況が続けば、いくら「国連のために自衛隊が頑張って」もいずれ限界が来よう。本コラムでは、自衛隊を派遣する前に、その目的や意義に関する国民的な議論がなされなかったために、現場の自衛隊の努力に依存せざるを得ない状況になっていることを指摘してきたが、現地情勢の悪化によりますますその構図が鮮明になっている。日本として南北スーダンにどうかかわっていくのか、日本にとって東アフリカの重要性は何なのか、そしてそのためにどこまで日本の外交資源を注ぎ込むのか。自衛隊の撤退戦略も含めて、今一度真剣に議論すべき時ではないのか。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20120427/231450/
南スーダンPKO、防衛相「前提崩れてない」
田中防衛相は8日の閣議後の記者会見で、陸上自衛隊が国連平和維持活動(PKO)に参加しているアフリカ・南スーダンと、隣国スーダンとの国境地帯で軍事的緊張が高まっていることに関連し、「(PKO)派遣の前提は崩れていない」と語り、活動を継続する考えを示した。
両国の軍事衝突を受け、防衛省は陸自部隊への影響などを調べるため、南スーダンの首都ジュバに5月1日から調査団を派遣していた。
藤村官房長官、玄葉外相、田中氏らの関係閣僚会議は近く報告される調査結果を基に、2次隊の派遣時期などを決める予定。
(2012年5月8日17時30分 読売新聞)
スーダン情勢
【日本テレビ 野口記者】大臣は、先日、南北スーダンの閣僚と会談をされてますが、現地の情勢を今どういうように大臣ご自身がご覧になっているかということと、南スーダンのジュバには陸上自衛隊が展開してますが、治安がこれ以上悪化した場合に現地自衛隊の活動に影響があるのかということ。それともう1つ、日本としてこのスーダンに言質すべき貢献というと、どういうことを考えていらっしゃいるのか。3点お願いします。
【玄葉大臣】TICADに出席をした際に、スーダンの外務大臣、そして南スーダンからは、かつてスーダンで実は大臣を経験した方が副大臣になって、南スーダンから来ておりましたので、会談をいたしました。両当事者にある意味同じような働きかけをいたしました。つまりは、同じような働きかけというのは、まったく同じ働きかけではありませんが、要は、双方に南北スーダンの平和的共存が死活的に重要であると。したがって、安保理決議というものを遵守するようにという働きかけを行いました。その中身はお互い少し違いますので、そういう意味で同じようなという言い方をしました。
これまで、たしか累積で7.3億ドルぐらいの援助を日本は、実は南北スーダンにバランスよく行っています。どちらかというと国際社会全体は南スーダンに偏りがちでありますけれども、私(大臣)は日本の特徴としてバランスよく援助をしてきたことで、両当事者とも耳を傾ける、そういう雰囲気を率直に申し上げて感じました。
ですから、私(大臣)からそういう働きかけをしながら、もし状況が悪化すれば、我々が行っている経済援助にも支障をきたしかねないという懸念も含めて伝えました。その上で、やはり両当事者が安保理決議を遵守をして、いわゆる、例えば国境線のモニタリングだとか、そういったことの重要性も含めて私(大臣)のほうから伝達をしたということであります。
ちなみに、南スーダンの方にはジュバの状況も聞きましたけれども、ジュバは心配ないという話でありました。ただ、今、防衛省で調査団を出していますので。まだ報告は直接聞いておりません。結論だけは実は聞いていますけれども、詳細聞いておりませんので、その上で申し上げないといけないのだろうというように思っていますけれども、やはり冒頭申し上げたようにバランスよく援助をしてきているということもあり、日本国政府の言葉に対して、かなり真剣に耳を傾けていたように、私(大臣)には感じられたということは、敢えて申し上げたいなというように思います。お互いに、当たり前のことですけれども、南北スーダンが平和的共存をしなければ道はないというのは、もう十二分にわかっているのです。ですから
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/kaiken/gaisho/g_1205.html
政府、南スーダンPKO2次隊派遣を確認 5月下旬にも
2012/5/10 19:29
政府は10日、国連平和維持活動(PKO)で南スーダンに派遣中の陸上自衛隊施設部隊について、今月下旬にも本格作業部隊となる2次隊約330人などを現地に派遣する方針を確認した。
藤村修官房長官、玄葉光一郎外相、田中直紀防衛相が協議し「南北スーダン間の軍事的緊張は限定的であり、PKO参加5原則は崩れていない」との認識で一致した。
南北スーダンの国境付近では両国の戦闘が激しくなっており、防衛省は追加の調査団を1日に派遣した。2次隊の派遣がずれ込む可能性もあったが、調査団は「自衛隊の活動への影響は特にない」と報告した。
陸自部隊は南スーダンの首都ジュバで活動している。ジュバから約500キロ以上離れた南北スーダンの国境付近では軍事衝突が激しくなり、死傷者が多数出ている。
南スーダンPKO、2次隊派遣は6月8日以降
2012/5/11 20:20
田中直紀防衛相は11日、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣している陸上自衛隊施設部隊について、2次隊の派遣に向けた準備をするよう自衛隊に指示した。本格的な作業部隊となる2次隊約330人を6月8日以降に順次、現地に送り、1次隊と入れ替える。国連などと作業内容を調整する「現地支援調整所」の要員も5月中旬から交代させる。
防衛省は今月初め、南北スーダンの戦闘が激しくなっていることを受け、自衛隊が活動する南スーダンの首都ジュバに調査団を派遣。「現時点で陸自の活動に影響を及ぼす可能性は低い」との報告をまとめた。
南スーダン空爆:国連人権弁務官「怒りを覚える」と非難
毎日新聞 2012年05月12日 22時48分
【ヨハネスブルク服部正法】南スーダンからの報道によると、ピレイ国連人権高等弁務官は11日、首都ジュバで会見し、スーダンによる南スーダン空爆について「激しい怒りを覚える」と非難した。3月末から続くスーダン、南スーダン両国軍の国境地帯での衝突では、スーダンによる南側への越境空爆が国際的に批判されているが、スーダンは一貫して空爆を否定している。
ピレイ高等弁務官は「私は過去6カ月の間に2度、スーダン軍による無差別空爆を非難してきた。市民を危険にさらすこのような攻撃に悲しみと激しい怒りを覚える」と述べた。
国連安全保障理事会は今月2日、両国に衝突の即時停止を求める決議を採択、衝突の要因となった石油権益配分などを巡る交渉の再開を求めた。
2012年5月29日21時58分
南スーダン援助「ミスマッチ」 朝日新聞ツイッタビュー
南スーダンで援助活動を行っている国際NGO「ADRA Japan」の現地スタッフが29日、朝日新聞霞クラブのツイッター(@asahi_gaikou)取材に応じた。首都ジュバで自衛隊が行っている道路整備について「地方にこそ自衛隊にしかできないことがある」と語り、現地のニーズとのミスマッチを指摘した。
野田政権は今年2月から、自衛隊施設部隊を国連平和維持活動(PKO)でジュバに派遣している。ADRAジュバ事務所の鈴木崇浩さん(31)は「ジュバの道路整備には多くの外国企業が参入しており、労働力の一部を現地で調達するため雇用を生んでいる」と強調。自前で作業を完結する自衛隊の手法だと雇用創出の効果が薄いため、「人材を育てることを視野に入れるべきだ」と語った。
エチオピアとの国境の村パガックで活動する幸村真希さん(27)は「地方は政府による公共事業も行われていないし、民間の参入もない」と語り、自己完結型の自衛隊は地方の道路整備などで役割を果たして欲しいと訴えた。
一方、南北スーダンの武力衝突の影響について鈴木さんは「ジュバで目立った治安の悪化はない」と説明。幸村さんは「パガックから100キロ離れた郡で空爆があった」と話し、緊張が高まっていると指摘した。(土佐茂生)
南スーダン独立1周年、現実の厳しさに薄れる高揚感
2012年07月09日 14:33 発信地:ジュバ/南スーダン
南スーダンは9日、北部からの独立1周年を迎えた。首都ジュバ(Juba)では8日にサルバ・キール・マヤルディ(Salva Kiir Mayardit)大統領らが出席して記念式典が行われた。
しかし、世界で最も若いこの国の前に立ちはだかる厳しい現実を思い知った国民に、1年前の沸き立つような高揚感はない。かなり改善が進んだとはいえ南スーダンは世界最貧国の1つであり、道路や電気・水道といった基本インフラも整備されていない。成人の73%は読み書きができず、中学校への進学率はわずか6%、技術者も圧倒的に不足している。
写真はジュバで、南スーダン国旗をなびかせ独立1周年を喜ぶオートバイに乗った男性(2012年7月8日撮影)。(c)AFP/Giulio Petrocco
http://www.afpbb.com/article/politics/2888624/9232294?ctm_campaign=txt_topics
南スーダンが独立1周年、式典で軍事パレード
2012/7/9 20:35
20年以上の内戦を経てスーダンから分離独立した南スーダンは9日、独立1周年を迎え、首都ジュバで記念式典を開催した。スーダンとの軍事的緊張が続く中、昨年7月の独立式典では行われなかった大規模な軍事パレードを実施した。
この1年で石油収益をめぐるスーダンとの対立は深刻化、今年前半には国境地帯で両国の軍事衝突が続いた。国内経済は悪化しており、世界一新しい国である南スーダンは難題山積のまま2年目に入った。
昨年の独立式典に参加したスーダンのバシル大統領は今年は欠席した。今回の式典にはウガンダのムセベニ大統領やアフリカ連合(AU)のピン委員長らが出席、会場には数万人規模の国民が詰め掛けた。
軍事パレードでは、戦車や重火器、ヘリコプターなどが登場した。
国連平和維持活動(PKO)でジュバに1月から展開中の日本の陸上自衛隊施設部隊は、2次隊約330人の派遣が6月下旬に完了。国造り支援のためのインフラ整備活動を本格化させている。(ジュバ=共同)
南スーダン:独立1年 汚職横行 必需品の値段は4倍に
毎日新聞 2012年07月09日 17時56分(最終更新 07月10日 00時21分)
アフリカ東部のスーダンから南スーダンが分離独立して、9日で1年を迎えた。スーダンとの交戦は続き、石油収入分配交渉は頓挫、経済も大幅に悪化した。独立の興奮から冷め、疲弊感すら漂う南スーダンの現状を追った。
「独立で何もかも良くなる。皆そう思ったのだが、全く逆です」。首都ジュバで社会改善活動を続けてきたクリス・ロティヨ牧師(60)は6日、毎日新聞の電話取材に心境を吐露した。ロティヨさんによると、生活必需品の価格は前年比で4倍近くに高騰し、食料品や燃料の不足も深刻化している。
「低所得者層は大打撃を受け、1日1食も取れない人たちがいる」。NGO「南スーダン非暴力・開発機構」(本部・ジュバ)のモーゼス・ジョン事務局長は、医薬品不足などによる医療サービスの悪化を懸念する。
生活に困窮する市民をよそに、政府内では汚職が横行。キール大統領は5月3日付の文書で、総額約40億ドル(約3180億円)の公的資金を横領したと見られる75人の元・現職員に返還を命じた。
泥沼の南北スーダン対立、石油収入激減で経済疲弊
カイロ支局 押野真也
2012/7/18 14:00
アフリカ東部のスーダンと、同国から独立した南スーダンとの対立が続いている。南スーダンの独立から1年を経ても、油田地帯の帰属や国境の画定作業は停滞している。両国の対立から石油生産は中断しており、石油収入に歳入の大半を依存する両国とも経済の疲弊が目立ってきた。スーダンでは緊縮財政に怒る国民が反体制運動を実施するなど、情勢は不安定さを増している。
南スーダンは9日に独立1周年を迎えた。首都ジュバでは数万人が参加する大規模な記念式典が開かれたが、スーダンのバシル大統領の姿はなかった。南スーダンのキール大統領によれば、バシル氏は招待を拒否したという。
両国はスーダン南部の国境地帯に位置する油田の帰属を巡って対立が続く。4月には、油田地帯で大規模な軍事衝突が発生、双方に死傷者が発生した。両大統領の直接会談が14日に実現したものの、双方とも従来通りの主張を展開したとみられ、問題解決の糸口が見えないのが実情だ。
油田地帯の帰属以外にも、両国が対立するのはパイプラインの使用料問題だ。油田の大半は南スーダン側に位置するものの、同国は独自のパイプラインを持たない。このため、紅海の港から輸出する場合、スーダンのパイプラインを経由する必要がある。ところが、このパイプラインの使用料について、1バレル当たり30ドル(約2400円)以上を求める北側と1ドル以下を主張する南側とで意見が対立。南側は「(スーダンに)石油が盗まれている」と強く抗議し、1月から石油生産を中止している。
生産中止により、スーダンの石油関連の収入は激減し、国家財政は疲弊。外貨も減少し、通貨スーダン・ポンド(SDG)は下落。同国の公式の為替レートは1ドル=約2.7SDGだが、市中の両替商は5.4SDG台で取引しているようだ。大手金融機関の交換レートもこうした水準に近づいており、物価上昇につながっている。
6月の物価上昇率は37%で、今後の上昇を予想する声が多い。バシル大統領は6月、燃料や食料などに適用されている補助金を廃止するなどの経済再生策を発表。この決定に反対する国民が首都ハルツームで数千人規模のデモを実施する事態を招いた。
一方、石油収入に歳入の9割以上を依存する南側の疲弊も深刻だ。北側と同様、通貨下落と物価上昇を招いている。ただ、石油生産を再開すれば北側に搾取されるとの警戒もあり、再開に踏み切れない状況だ。こうした現状について、米政府のスーダン問題特使、ライマン氏は「心中行為」と指摘し、双方に対話を促している。
ただ、現状では、双方とも歩み寄りの姿勢は見られない。すでに周辺国には両国から多数の難民が避難している。経済不安がこれ以上拡大すれば、両国の政情の不安定化も避けられず、アフリカの経済成長を阻害しかねないとの懸念も募る。
越境空爆めぐり南北スーダンが直接交渉中止
【ヨハネスブルク=黒岩竹志】南スーダンからの報道によると、同国政府は21日、同国北部がスーダン軍によって空爆されたことを明らかにし、22日にエチオピアの首都アディスアベバで予定されていたスーダン政府代表団との直接交渉を中止すると発表した。
南スーダン軍は、スーダンとの国境に接する北バールアルガザル州の村を、スーダン軍機が20日に空爆し、2人が負傷したと発表。スーダン政府は「スーダン領内の反政府武装勢力を攻撃した」とし、越境攻撃を否定した。
両国は4月、国境付近の油田地帯を巡り軍事衝突が激化。国連安全保障理事会は5月、戦闘行為の即時停止と、懸案となっている国境線の画定や原油収入の分配などについて、交渉を8月2日までに妥結させることを求める決議を採択した。
(2012年7月22日21時11分 読売新聞)
米国務長官、南スーダンを訪問 昨年7月の独立後初
2012/8/3 20:37
アフリカ歴訪中のクリントン米国務長官は3日、南スーダンの首都ジュバに到着した。AP通信などが伝えた。クリントン氏の南スーダン入りは昨年7月の同国独立後、初めてで、米政府高官として最高位の訪問となった。
米国務省によると、クリントン氏はキール大統領と会談する予定。石油問題などで対立するスーダンとの交渉を進展させるよう促す一方、南スーダンへの米国の支援を再確認する。
スーダンと南スーダンは今年前半、国境地帯で何度も軍事衝突し、国連安全保障理事会が5月、停戦が履行されなければ両国への経済制裁を警告する決議を採択。安保理は紛争解決の期限を今月2日に設定したが、両国の交渉は停滞している。
ジュバには、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)で日本の陸上自衛隊施設部隊が展開中。(ナイロビ=共同)
南スーダンが原油輸出再開へ、スーダンへの手数料設定で合意
2012.08.04 Sat posted at 15:38 JST
(CNN) アフリカ北部スーダンの国営テレビは4日、石油収益を巡る南スーダンとの交渉でスーダン領内のパイプラインを経由した南スーダン生産の原油輸出を再開させることで合意したと報じた。
当局筋の情報として伝えた。両国代表団はエチオピアの首都アディスアベバでアフリカ連合の議長も立ち会って交渉。原油輸出の再開時期については詰めの交渉を行うとしている。
両国は、昨年7月の南スーダンの独立後、石油収益の分配問題や国境線画定などで対立、軍事衝突を起こすまで関係が悪化していた。石油資源の75%は南スーダン内にあるが、輸送パイプラインや積み出し港はスーダン側に位置する。スーダンは、南スーダンの独立に伴って多くの石油資源を失い、経済悪化に直面していた。
交渉では南スーダンによるパイプラインや港の利用料の水準が焦点となっていたが、スーダン側が輸出税や精製経費としてパイプラインで輸送される原油1バレル当たり25.80ドル(約2012円)を受け取ることで合意した。
また、国境線画定問題に関する協議は4日行われる見通し。
南スーダンは今年1月下旬、スーダン側が8億1500万ドル相当の原油を盗んでいるとして原油生産を中止。スーダンは南スーダン側が必要な経費を払っていないため原油を押収したと反論していた。
両国の軍事衝突に伴い、南スーダンの上ナイル州にはスーダン側から避難民が殺到。援助団体などはこれら避難民の数は少なくとも15万人と推定している。
国営テレビはまた、両国国境周辺で活動していたスーダンの反政府武装勢力と同国政府が2州での一部停戦に合意し、戦闘に巻き込まれていた住民への人道援助が可能になったとも伝えた。
2012年8月4日23時29分
南北スーダン、石油の利益配分に合意 通信社報道
石油を巡り対立するスーダンと南スーダンが4日、エチオピアで協議し、石油利益配分について合意した。スーダン政府の話としてAFP通信などが伝えた。
昨年7月に分離独立した南スーダンは、スーダン側のパイプラインを使って石油を輸出していた。しかし、今年1月、パイプライン使用料が法外だとして生産を停止。南スーダンの国家収入の95%以上が失われ、財政が困窮していた。
生産再開の交渉の中で、スーダンが使用料を1バレルあたり22.2ドルを要求するのに対し、南スーダンは7.61ドルを主張していた。今回の詳しい合意内容は明らかにされていないが、スーダン政府側は「合理的」としている。
一方、両国間では国境の産油地帯の帰属が決まっていないなどの未解決の問題があり、石油を巡る争いが再燃する可能性がある。(ナイロビ=杉山正)
南北スーダン、石油交渉で合意
2012/8/5 1:25
【ナイロビ=共同】エチオピアからの報道によると、南アフリカのムベキ元大統領は4日、アディスアベバで記者団に、南スーダンの石油収益の配分交渉で同国とスーダンが合意に達したと述べた。ムベキ氏は南北スーダン問題でアフリカ連合(AU)の調停役を務めている。
ムベキ氏は両国が今後、南スーダンの石油輸出の再開時期を話し合うと語った。ロイター通信によると、スーダン側交渉団は国営スーダン通信に、合意が実行されるのは両国間の安全保障問題の解決後だと述べた。
南スーダンは内陸国で、石油輸出にはスーダンを通る既存のパイプラインを使う必要があるが、両国はパイプライン使用料で対立。南スーダンは1月に石油生産を停止し、両国軍はその後、国境地帯で衝突した。
国境地帯で空爆、住民7人が死亡 南スーダン
2012/11/24 11:48
【モプティ(マリ中部)=共同】南スーダン軍報道官は23日、スーダンとの国境に接する北バハルアルガザル州の村をスーダン軍機が20〜22日に空爆し、住民7人が死亡、8人が負傷したと述べた。ロイター通信などが伝えた。スーダン側は空爆を否定している。
今年前半、国境地帯で武力衝突を繰り返した両国は9月、国境への非武装地帯設定で合意。1月に停止した南スーダンの石油生産の再開も決まったが、同国のキール大統領は、スーダンの新たな要求で生産再開が遅れていると批判している。
南スーダンの首都ジュバには、国連平和維持活動(PKO)で陸上自衛隊部隊が展開している。
saahi.com 2012年12月22日11時22分
南スーダンで国連ヘリ撃墜、4人死亡 政府側が誤射
【ニューヨーク=春日芳晃】国連は21日、南スーダン東部ジョングレイ州で同日朝、偵察中の国連ヘリコプターが南スーダン軍に撃墜され、ロシア人乗務員4人が死亡したと発表した。
ロイター通信などによると、南スーダン政府が誤射を認め、反政府勢力ヤオヤオ派に物資を提供するために飛来したスーダン政府機と間違えたと釈明している。
南スーダンでは国連平和維持活動(PKO)の南スーダン派遣団(UNMISS)が活動している。日本も自衛隊施設部隊をUNMISSに派遣し、首都ジュバでインフラ整備などにあたっている。