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エジプト・アラブ共和国 2013年7月1日〜10日

アフリカアフリカ Africa 2014

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○外務省 各国・地域情勢 エジプト・アラブ共和国

◆2013/07/01 nikkei.com エジプト、デモ拡大で混乱全土に 7人が死亡
◆2013/07/01 asahi.com エジプト反政権デモ、100万人規模に 衝突で4人死亡
◆2013/07/01 cnn.co.jp エジプト各地でデモ、反大統領派と支持派衝突 死者3人
◆2013/07/01 yomiuri.co.jp エジプト反大統領デモ、全国で200万人規模に
◆2013/07/01 毎日新聞 エジプト:革命後、最大級のデモに 数十万人が参加
◆2013/07/01 毎日新聞 エジプト:4閣僚辞表 退陣求め群衆数万人、死者16人に
◆2013/07/01 毎日新聞 エジプト:最大級デモ 数十万人、大統領辞任求め
◆2013/07/01 毎日新聞 街角から:真夏のラマダン エジプト・カイロで秋山信一
◆2013/07/01 トラベルビジョン エジプト・カイロ、大統領就任1周年をめぐる反政府デモ等に伴う影響-続報
◆2013/07/02 nikkei.com エジプト、4閣僚が辞意 大統領に抗議か
◆2013/07/02 nikkei.com エジプト軍、介入表明 48時間以内の解決策要求
◆2013/07/02 nikkei.com エジプト軍、介入の姿勢 48時間以内の解決策要求
◆2013/07/02 nikkei.com エジプト大統領、軍の要求を拒否 対立先鋭化へ
◆2013/07/02 asahi.com エジプト軍、デモ収拾へ「48時間以内の合意」要求
◆2013/07/02 cnn.co.jp エジプト軍が介入を通告、48時間以内の「秩序回復」迫る
◆2013/07/02 yomiuri.co.jp エジプト、軍が政治介入を示唆…緊急声明で
◆2013/07/02 yomiuri.co.jp エジプト大統領府が拒否声明…軍の介入予告に
◆2013/07/02 yomiuri.co.jp エジプト、全面衝突の懸念…両派がデモ呼びかけ
◆2013/07/02 毎日新聞 エジプトデモ:軍、大統領退陣勧告 期限は48時間
◆2013/07/02 毎日新聞 エジプト:「反政権デモ中にセクハラ」 市民団体が発表
◆2013/07/02 毎日新聞 エジプト:軍介入の可能性高まる 大統領、辞任否定
◆2013/07/02 毎日新聞 エジプト:軍介入の公算大 「最後通告」を政権拒否
◆2013/07/02 毎日新聞 エジプト:反政権派のデモでセクハラが多発
◆2013/07/02 毎日新聞 エジプト:反政権デモ 軍、大統領退陣勧告 「期限は48時間」
◆2013/07/03 nikkei.com エジプト、外相ら6閣僚が辞意 軍の存在感強まる
◆2013/07/03 nikkei.com エジプト緊張高まる 反大統領派「不服従」宣言
◆2013/07/03 nikkei.com [FT]エジプト、大規模デモの先に待つ未知の混沌
◆2013/07/03 nikkei.com エジプト大統領、退陣拒否 軍の通告期限迫る
◆2013/07/03 nikkei.com 米軍「緊急事態に備え」 エジプト情勢めぐり
◆2013/07/03 nikkei.com [FT]エジプトに必要な民主主義者
◆2013/07/03 asahi.com 期限48時間、エジプト緊迫 政権派は軍の介入拒否
◆2013/07/03 cnn.co.jp エジプト大統領、軍の最後通告を拒否
◆2013/07/03 cnn.co.jp エジプト軍、「血を流す覚悟」 カイロ大で16人死亡、200人負傷
◆2013/07/03 asahi.com エジプト大統領派デモに銃撃 23人死亡200人けが
◆2013/07/03 yomiuri.co.jp エジプト大統領、辞任拒否「血を流す準備ある」
◆2013/07/03 毎日新聞 エジプト:大統領、退陣を改めて拒否…軍介入期限迫る
◆2013/07/03 毎日新聞 エジプト:軍介入期限前にデモ隊衝突 緊迫の度合い強める
◆2013/07/03 毎日新聞 エジプト:ムバラク前大統領、デモに「うれしそうな様子」
◆2013/07/03 毎日新聞 エジプト:軍が反政権派につき情勢一変 国民も軍を支持
◆2013/07/03 毎日新聞 アルジャジーラ:報道政権寄り…エジプトのデモ巡り
◆2013/07/03 毎日新聞 エジプト:軍が反政権派につき情勢一変 国民も軍を支持
◆2013/07/03 毎日新聞 エジプト:ムバラク前大統領、デモに「うれしそうな様子」
◆2013/07/03 毎日新聞 エジプト:アルジャジーラ、政権寄り デモ報道めぐり
◆2013/07/03 毎日新聞 エジプト:反政権デモ大規模化 深まる混迷 軍介入、効果不透明
◆2013/07/03 トラベルビジョン エジプトの渡航情報引き上げ、大手各社がツアー中止
◆2013/07/04 nikkei.com エジプト軍が政治介入か 大統領ら渡航禁止の報道
◆2013/07/04 nikkei.com 軍事クーデターとエジプト与党 現地メディア報道
◆2013/07/04 nikkei.com エジプト情勢さらに緊迫 世界経済にも影響
◆2013/07/04 nikkei.com エジプト軍、大統領の解任を発表 事実上のクーデター
◆2013/07/04 nikkei.com モルシ大統領、権限剥奪「全面的に拒否」
◆2013/07/04 nikkei.com エジプト「革命」再び、首都広場に歓喜の市民
◆2013/07/04 nikkei.com 米大統領、エジプト情勢「深く懸念」
◆2013/07/04 nikkei.com 米大統領、エジプト政変「深く懸念する」
◆2013/07/04 nikkei.com 国連や英、エジプト混乱「軍介入に懸念」
◆2013/07/04 nikkei.com 官房長官、エジプト混乱「民主的に国民和解を」
◆2013/07/04 nikkei.com 官房長官、エジプト情勢「強い懸念持って注視」
◆2013/07/04 nikkei.com モルシ氏失脚、サウジは歓迎 国連と英「軍介入に懸念」
◆2013/07/04 nikkei.com エジプトツアー中止相次ぐ 情勢緊迫で
◆2013/07/04 nikkei.com エジプト政変、長期の混乱不可避 死傷者数百人に
◆2013/07/04 nikkei.com エジプト政変 軍が大統領拘束、選挙呼びかけ
◆2013/07/04 nikkei.com 米大統領「深い懸念」 文民政権へ早期移譲求める
◆2013/07/04 nikkei.com エジプト、暫定大統領が就任 混乱は続く可能性
◆2013/07/04 nikkei.com エジプト、暫定大統領が就任 挙国一致内閣樹立へ
◆2013/07/04 cnn.co.jp エジプト軍、ムルシ大統領の権限剥奪
◆2013/07/04 cnn.co.jp エジプト情勢に懸念、オバマ米大統領
◆2013/07/04 asahi.com エジプト大統領、野党に連立内閣呼びかけ 退陣は拒否
◆2013/07/04 asahi.com エジプト大統領、軟禁の情報 軍が全権掌握の構え
◆2013/07/04 asahi.com 米大統領、エジプト軍に懸念 サウジ国王は支持表明
◆2013/07/04 asahi.com エジプト軍がクーデター 大統領を拘束、デモ隊に死者か
◆2013/07/04 asahi.com エジプト軍、民意の大権破棄 強権体制へ逆戻り
◆2013/07/04 asahi.com エジプト政変、歓喜と反発 反政権派「軍と民衆一つ」
◆2013/07/04 asahi.com マンスール氏が暫定大統領就任を宣誓 エジプト
◆2013/07/04 cnn.co.jp 在エジプト米大使館に避難命令、在住者は出国を
◆2013/07/04 yomiuri.co.jp エジプト大統領、「挙国一致政府」を提案
◆2013/07/04 yomiuri.co.jp エジプト、速やかな民政復帰を…米大統領声明
◆2013/07/04 yomiuri.co.jp 「勝利だ」「モルシ出て行け」反大統領派は熱気
◆2013/07/04 yomiuri.co.jp エジプト軍、モルシ大統領を解任・憲法を停止
◆2013/07/04 yomiuri.co.jp エジプト国民に冷静さ呼びかけ…国連事務総長
◆2013/07/04 毎日新聞 エジプト:大統領「暫定内閣」提案 「軍が軟禁」報道も
◆2013/07/04 毎日新聞 エジプト:反モルシ派、熱狂 支持派と衝突も散発
◆2013/07/04 毎日新聞 エジプト:アラブの春に冷水 民主化は振り出しに
◆2013/07/04 毎日新聞 エジプト:米大統領「深い懸念」…クーデター
◆2013/07/04 毎日新聞 ムバラク・エジプト前大統領:「11年よりデモ隊多い」
◆2013/07/04 毎日新聞 エジプト:軍介入に支持多く 国民、現政権に失望
◆2013/07/05 nikkei.com エジプト、挫折した「アラブの春」
◆2013/07/05 nikkei.com エジプト進出企業、対応に追われる
◆2013/07/05 nikkei.com エジプト政変、周辺国に影 チュニジア・リビアでも不満
◆2013/07/05 nikkei.com ドバイ原油価格が上昇 輸送への影響意識
◆2013/07/05 nikkei.com 米、文民政権への早期移行促す エジプト情勢
◆2013/07/05 nikkei.com エジプト、モルシ前大統領派がデモ呼びかけ
◆2013/07/05 nikkei.com 官房長官、エジプト「民主的政府の早期樹立を」
◆2013/07/05 nikkei.com 国際社会、エジプトに早期民政復帰求める
◆2013/07/05 nikkei.com [FT]エジプト政変が問う「クーデター」の判断
◆2013/07/05 nikkei.com エジプト軍、暫定内閣成立急ぐ 早急な治安回復カギ
◆2013/07/05 cnn.co.jp エジプト、暫定大統領が就任 検察はムルシ氏ら捜査
◆2013/07/05 asahi.com アフリカ連合、エジプトの加盟資格を停止
◆2013/07/05 asahi.com 「エジプト軍介入支持せず」「国民の選択尊重」各国反応
◆2013/07/05 asahi.com 水買いだめ、退去準備… エジプト政変そのとき日本人は
◆2013/07/05 asahi.com エジプト軍、絶大な存在感 ムスリム同胞団とは敵対関係
◆2013/07/05 asahi.com 金曜礼拝迎えるエジプト緊張 ムルシ派も大規模デモ計画
◆2013/07/05 yomiuri.co.jp 軍が同胞団徹底弾圧、暫定大統領就任…エジプト
◆2013/07/05 yomiuri.co.jp 「貴様も解任だ」モルシ氏亡命拒否、引導渡す
◆2013/07/05 yomiuri.co.jp エジプト軍、クーデター否定…米の援助は命綱
◆2013/07/05 yomiuri.co.jp モルシ氏支持派「拒絶の日」、デモ呼びかけ
◆2013/07/05 yomiuri.co.jp アフリカ連合、エジプトの加盟資格を一時停止
◆2013/07/05 yomiuri.co.jp 国連事務総長、エジプト軍介入に「深刻な懸念」
◆2013/07/05 毎日新聞 エジプト:軍事クーデター 「同胞団」相次ぎ逮捕
◆2013/07/05 毎日新聞 エジプト:イスラエル「悪い時代終わり」外交再構築に期待
◆2013/07/05 毎日新聞 エジプト:モルシ前大統領母体「同胞団」幹部を軍が逮捕
◆2013/07/05 毎日新聞 エジプト:モルシ氏亡命拒否 政府系紙がクーデター内幕
◆2013/07/05 毎日新聞 エジプト:クーデター 中東では賛否両論
◆2013/07/05 毎日新聞 ガザ地区:ガソリン供給途絶える エジプト情勢急変で
◆2013/07/05 毎日新聞 エジプト:同胞団数万人デモ 暫定政権、憲法宣言へ
◆2013/07/05 毎日新聞 エジプト:同胞団デモに軍発砲か…3人死亡、報道官否定
◆2013/07/05 毎日新聞 エジプト:軍事クーデター 経済失政が命取り 観光低迷、投資は減少 IMF融資も受けられず
◆2013/07/06 nikkei.com エジプトクーデターに国際世論厳しく
◆2013/07/06 nikkei.com 国防相、前大統領の動き封じる エジプトクーデター
◆2013/07/06 nikkei.com エジプト暫定大統領が上院解散 権限掌握強める
◆2013/07/06 nikkei.com フィッチ、エジプトの格付けを1段階引き下げ 見通しも弱含み
◆2013/07/06 nikkei.com 緊迫の首都、響く怒号 エジプトで大規模な衝突
◆2013/07/06 nikkei.com 米国務長官、エジプトのクーデター時にヨット
◆2013/07/06 nikkei.com エジプト衝突、死者20人超 同胞団は徹底抗戦へ
◆2013/07/06 cnn.co.jp エジプト各地で衝突 死者26人、負傷者850人超
◆2013/07/06 asahi.com エジプト全土で大規模デモ 100万人規模、死者も
◆2013/07/06 asahi.com エジプトの衝突拡大、死者30人 ムルシ派など銃撃戦も
◆2013/07/06 asahi.com キリスト教徒、政権崩壊を歓迎 ムルシ支持派の報復警戒
◆2013/07/06 yomiuri.co.jp エジプト前大統領派デモに軍発砲、3人死亡
◆2013/07/06 yomiuri.co.jp エジプト死者17人に…モルシ支持派デモで衝突
◆2013/07/06 yomiuri.co.jp エジプト各地で衝突、死者30人超…AP
◆2013/07/06 nikkei.com 親モルシ派がデモ継続呼びかけ エジプト政変
◆2013/07/06 東京新聞 モルシ氏「これはクーデターだ」 解任の瞬間 地元紙報道
◆2013/07/06 東京新聞 エジプト衝突拡大 イスラム過激派 政府機関を襲撃
◆2013/07/06 東京新聞 米国務長官 クーデター中 ヨット楽しむ
◆2013/07/06 nikkei.com エジプト全土への渡航延期を勧告 外務省
◆2013/07/06 毎日新聞 なるほドリ・the・World:エジプト、なぜ動乱続き?=回答・坂口裕彦
◆2013/07/06 毎日新聞 エジプト:「最悪のクーデター」負傷の市民怒り…3人死亡
◆2013/07/06 毎日新聞 エジプト:デモ発砲…死者30人に 同胞団と治安部隊衝突
◆2013/07/06 毎日新聞 エジプト:各地で衝突、36人死亡 クーデター後最悪
◆2013/07/06 毎日新聞 エジプト:「モルシこそ大統領」 同胞団トップに大歓声
◆2013/07/06 毎日新聞 シナイ半島:武装勢力拡大 イスラエル、ハマスの攻撃懸念
◆2013/07/07 cnn.co.jp 衝突続くエジプト 首相にエルバラダイ氏有力か
◆2013/07/07 cnn.co.jp 経済支える観光業に再度の打撃 エジプトの政情悪化
◆2013/07/07 asahi.com エジプト暫定首相にエルバラダイ氏有力
◆2013/07/07 yomiuri.co.jp デモ続くエジプト、モルシ派は徹底抗戦の構え
◆2013/07/07 yomiuri.co.jp 「クーデター」避ける米、エジプトで影響力低下
◆2013/07/07 nikkei.com 親モルシ派、デモ継続を呼びかけ エジプト政変
◆2013/07/07 nikkei.com 中東の民主化に試練 生活苦なお エジプト、公約ほごに怒り
◆2013/07/07 nikkei.com 米大統領、エジプトの「特定政党、団体支持せず」
◆2013/07/07 nikkei.com エジプトの混乱、長期化のおそれ 暫定首相の選出作業続く
◆2013/07/07 東京新聞 エジプト 両派がデモ呼び掛け
◆2013/07/07 yomiuri.co.jp エジプト暫定政府の首相指名、一転中止に
◆2013/07/07 毎日新聞 エジプト:暫定首相で亀裂 エルバラダイ氏にヌール党反発
◆2013/07/07 毎日新聞 エジプト:復権か殉教か 徹底抗戦誓う同胞団
◆2013/07/07 毎日新聞 エジプト:暫定内閣、人選進む 抗議続き死者36人に
◆2013/07/07 毎日新聞 エジプト:衝突続く 死者36人
◆2013/07/08 東京新聞 ひげ そり落とす人続々 同胞団と誤解されるの恐れ
◆2013/07/08 東京新聞 エジプト 暫定首相指名が難航
◆2013/07/08 asahi.com エルバラダイ氏軸に人選 エジプト暫定首相、反対勢力も
◆2013/07/08 asahi.com エジプト軍、イスラム系テレビを規制 スタッフら逮捕
◆2013/07/08 asahi.com エジプト暫定首相に弁護士浮上 イスラム厳格派は反対
◆2013/07/08 asahi.com ムルシ派、銃撃され34人死亡か エジプトで抗議行動中
◆2013/07/08 yomiuri.co.jp エジプト政変でピラミッドに閑古鳥…観光業打撃
◆2013/07/08 nikkei.com エジプト、前大統領去就で緊迫 両派が再び集会
◆2013/07/08 nikkei.com 駐米エジプト大使「クーデター起きてない」
◆2013/07/08 nikkei.com エジプト、暫定首相の指名難航 有力候補に反発
◆2013/07/08 nikkei.com 「前大統領派に銃撃、15人死亡」 アルジャジーラ報道
◆2013/07/08 nikkei.com 「前大統領派に銃撃、死者35人」 エジプト保健省
◆2013/07/08 nikkei.com イスラム台頭の潮目変化 エジプト政変、周辺国に溝
◆2013/07/08 cnn.co.jp エジプト軍が群衆に発砲 死者40人、負傷者300人
◆2013/07/08 AFP BB News エジプト政変は「国民の意思」、軍支持派数万人がタハリール広場でデモ
◆2013/07/08 asahi.com エルバラダイ氏軸に人選 エジプト暫定首相、反対勢力も
◆2013/07/08 asahi.com エジプト軍、イスラム系テレビを規制 スタッフら逮捕
◆2013/07/08 asahi.com エジプト暫定首相に弁護士浮上 イスラム厳格派は反対
◆2013/07/08 nikkei.com エジプト、前大統領派に銃撃 51人死亡
◆2013/07/08 msn産経ニュース 【正論】東京大学准教授・池内恵 「アラブの春」遠ざかるエジプト
◆2013/07/08 毎日新聞 エジプト:デモ隊に発砲、51人死亡
◆2013/07/08 National Geographic News 騒乱のエジプト、国軍の歴史と役割
◆2013/07/08 毎日新聞 動乱エジプト:アルジャジーラ支局長逮捕 検察「報道で治安に脅威」 即日保釈
◆2013/07/08 毎日新聞 エジプト:反モルシ派が大規模集会 モルシ派も数万人で
◆2013/07/08 毎日新聞 エジプト:反モルシ派11人に無罪…カイロの裁判所
◆2013/07/08 毎日新聞 エジプト:アルジャジーラ支局長を逮捕、即日保釈
◆2013/07/08 毎日新聞 エジプト:「政権崩壊、軍が世論分析で介入準備」野党党首
◆2013/07/08 毎日新聞 エジプト:デモ隊に発砲、51人死亡
◆2013/07/08 毎日新聞 動乱エジプト:反モルシ派、大規模集会 数十万人、モルシ派も数万人で
◆2013/07/08 毎日新聞 エジプト:「礼拝中、突然の銃撃」同胞団、怒りあらわ
◆2013/07/08 毎日新聞 エジプト:憲法修正、国民投票へ 民主体制維持は合意
◆2013/07/08 毎日新聞 エジプト:暫定首相人事、対立 エルバラダイ氏案、イスラム勢力反発
◆2013/07/08 毎日新聞 動乱エジプト:憲法修正、国民投票へ 暫定政権、民主体制維持は合意
◆2013/07/09 cnn.co.jp カイロの衝突で死者50人超、435人負傷
◆2013/07/09 cnn.co.jp エルバラダイ氏、副大統領に指名か エジプト
◆2013/07/09 cnn.co.jp 米政府、エジプト政変を「クーデター」と呼ばず
◆2013/07/09 asahi.com エジプト軍発砲、ムルシ派51人死亡 400人以上けが
◆2013/07/09 asahi.com 暫定大統領、憲法改正や選挙の日程を発表 エジプト
◆2013/07/09 yomiuri.co.jp エジプトで銃撃戦…51人死亡、1千人以上負傷
◆2013/07/09 yomiuri.co.jp エジプト暫定大統領が「憲法宣言」実施は不透明
◆2013/07/09 nikkei.com エジプト、年内に改憲の国民投票 14年に大統領選
◆2013/07/09 nikkei.com 米、エジプト軍事支援継続へ 「凍結国益にならず」
◆2013/07/09 毎日新聞 動乱エジプト:カイロ51人死亡 「礼拝中、突然の銃撃」 同胞団、怒りあらわ
◆2013/07/09 毎日新聞 エジプト:一触即発、響く銃撃音 惨劇の舞台ルポ
◆2013/07/09 毎日新聞 エジプト:デモ隊撃たれ51人死亡 同胞団、「蜂起」呼び掛け
◆2013/07/09 毎日新聞 動乱エジプト:カイロ51人死亡「礼拝中、突然の銃撃」 同胞団、怒りあらわ
◆2013/07/09 毎日新聞 エジプト:発砲事件 主張食い違い
◆2013/07/09 毎日新聞 エジプト:「軍、介入準備していた」−−反モルシ勢力「国民救済戦線」指導者、アフメド・サイード氏
◆2013/07/09 毎日新聞 エジプト:来年1月にも大統領選 国民投票で憲法修正へ
◆2013/07/09 毎日新聞 エジプト:発砲事件 軍、モルシ氏支持派で証言に食い違い
◆2013/07/09 毎日新聞 エジプト:来年1月にも大統領選 暫定政府が憲法修正へ
◆2013/07/09 毎日新聞 動乱エジプト:軍と同胞団、にらみ合い 一触即発、距離10メートル
◆2013/07/09 毎日新聞 エジプト:同胞団、米への不満高まる
◆2013/07/10 asahi.com エジプト暫定首相にベブラウィ氏 リベラル派の元財務相
◆2013/07/10 yomiuri.co.jp エジプト暫定政府、エルバラダイ氏を副大統領に
◆2013/07/10 yomiuri.co.jp エジプト暫定首相、イスラム主義勢力に入閣打診
◆2013/07/10 nikkei.com エジプト副大統領にエルバラダイIAEA前事務局長
◆2013/07/10 nikkei.com [FT]エジプトだけではない 自由と民主主義の衝突
◆2013/07/10 nikkei.com エジプト暫定政権組閣へ サウジなど8千億円支援
◆2013/07/10 nikkei.com エジプト首相にベブラウィ元財務相 国際社会の支援継続目指す
◆2013/07/10 nikkei.com エジプトのベブラウィ首相、組閣本格化 国際支援つなぎ留め
◆2013/07/10 毎日新聞 エジプト:暫定政権の副大統領にエルバラダイ氏
◆2013/07/10 毎日新聞 エジプト:観光業に打撃 経済立て直しに影響
◆2013/07/10 毎日新聞 エジプト:暫定政権参加勢力に足並みの乱れ
◆2013/07/10 毎日新聞 エジプト:「反クーデター」広がらず 対立は局地戦の様相
◆2013/07/10 毎日新聞 エジプト:「アルジェリア化」懸念も 大量の武器も流入か
◆2013/07/10 毎日新聞 エジプト:暫定政権の副大統領にエルバラダイ氏 首相に元財務相任命

 
 
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エジプト、デモ拡大で混乱全土に 7人が死亡

nikkei.com

2013/7/1 11:18

【カイロ=押野真也】大統領に反対する勢力と大統領支持派の双方がデモを行うエジプトで、混乱が全土に広がっている。ロイター通信によると6月30日夜(日本時間7月1日未明)までに全土で7人が死亡。政権側は対話を呼び掛けて混乱収拾を図る考えだが双方の主張に溝は大きい。対話機運は高まっておらず、同国の混乱は長期化する可能性もある。

エジプトでは、6月30日にモルシ大統領就任1年を迎え、反大統領派が大規模デモを展開。これに対抗するため、大統領支持派も同規模の支援者集会を開き、双方が対立している。中東の衛星テレビによると、エジプトの全27行政区のうち、24区でデモや集会が実施されるなど、混乱は全土に広がっている。

ロイター通信は双方の衝突で計7人が死亡し、少なくとも600人が負傷したと伝えた。モルシ大統領を支持するイスラム原理主義勢力が反大統領派を襲撃したとの情報があるが、真偽は不明。一方、モルシ大統領の支持基盤であるイスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」のカイロにある事務所が反大統領派のデモ隊に襲撃されたもようだ。

大統領報道官は大規模デモが起きた同日夕方に記者会見し「民主主義に沿った問題解決の唯一の手段は対話だ」と述べ、反大統領派に対話を呼び掛けた。しかし、大統領の即時退陣を求める反大統領派との主張に隔たりは大きい。

混乱が長期化すれば、政権側が国際通貨基金(IMF)と進めている48億ドル(約4700億円)の融資交渉にも悪影響を与えかねない。IMFからの融資は低迷する同国経済の再生に不可欠との見方が大勢だ。すでに大幅に遅れているIMFとの融資交渉の正式合意がさらに遅れれば経済再生は遠のき、政情・社会不安を一層高める可能性もありそうだ。



 
 
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asahi.com 2013年07月01日13時35分

エジプト反政権デモ、100万人規模に 衝突で4人死亡

【カイロ=神田大介】エジプトでムルシ大統領の辞任を求めて起きたデモは6月30日夜、カイロ中心部のタハリール広場に集まった参加者が約20万人に上った。デモは全土であり、参加者は計100万人を超えたとみられる。反政権派と大統領支持派の衝突で4人が死亡、約400人がけがをした。

AP通信によると、中部アシュートで3人、ベニスエフで1人の反政権派が銃で撃たれて死亡。大統領を支持するイスラム組織「ムスリム同胞団」のカイロ郊外にある本部が火炎瓶や石で攻撃されたほか、少なくとも2カ所の同胞団施設が放火された。詳細は不明で、被害者数は増える可能性がある。

カイロでは大統領府前にも反政権派数万人が集まり、約2キロ離れたモスク周辺で支持派数万人が「大統領を守る」と気勢を上げたが、目立った衝突はなかった。警察はデモ隊の前に姿を現さず、軍の動きもヘリコプターによる監視などにとどまった。

ムルシ大統領は30日付の英ガーディアン紙で、公正な選挙で選ばれたとして、反政権派が求める再選挙の実施を否定。大統領報道官は30日夜、「対話がなければどんな問題も解決できない」とし、改めて反政権派に対話を呼びかけた。



 
 
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エジプト各地でデモ、反大統領派と支持派衝突 死者3人

cnn.co.jp

2013.07.01 Mon posted at 09:59 JST

エジプト・カイロ(CNN) エジプトでムルシ大統領の就任から1年目を迎えた30日、各地で大統領反対派と支持派の衝突が発生し、当局によると少なくとも3人が死亡、174人が負傷した。

反大統領派はこの日、カイロ中心部のタハリール広場などに集まってムルシ大統領の辞任を要求するデモを展開。一方、支持派も大統領宮殿前などで集会を開き、一部で衝突が発生して首都カイロ南部で1人、中部のアシュートで2人が、いずれも銃で撃たれて死亡した。

抗議デモを呼びかけた勢力は、ムルシ大統領の辞任を求めて署名集めを展開してきた。ただ、反ムルシ勢力が要求する内容は必ずしも一致していない。デモには旧ムバラク政権の支持派や軍の介入を求める勢力、燃料不足や停電、景気後退、治安悪化などに不満を持つ市民も加わった。

デモの最中にタハリール広場上空を飛行した軍のヘリコプターは、拍手と歓声で迎えられた。

これに対してムルシ大統領支持派は、エジプトの問題を解決するためにはまだ時間が必要だと訴えている。

国営アハラム通信によると、カイロのほかにスエズ、シャルキヤ、ガルビヤなどの各地でもデモが行われ、港湾都市アレクサンドリアでは交通がマヒ状態となった。

ムルシ大統領は、ムバラク政権崩壊後初の大統領選挙で選ばれ、1年前に就任した。しかし投資の撤退や観光客の減少で経済は悪化の一途をたどり、国内の治安も悪化。ムバラク大統領が軍事力を背景に法と秩序を維持していた時代を懐かしむ声も出ている。

政府系のアルアフバル紙は、「エジプトは噴火寸前」と伝えた。



 
 
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エジプト反大統領デモ、全国で200万人規模に

【カイロ=久保健一】エジプトのモルシ大統領の辞任を求める大規模デモは6月30日夜(日本時間1日未明)、カイロ北東部にある大統領宮殿を包囲するなど各地でふくれ上がり、政府系紙アル・アハラムは、デモ参加者が全国で計200万人に及んだと伝えた。

首都中心部タハリール広場のデモも、ナイル川の対岸まで参加者で埋まり、ムバラク政権を退陣に追いやった2011年2月以降、最大規模となった。

大統領府のアイマン報道官は30日夜の記者会見で、「我々は街の人々の声を尊重する。要求がある者は対話の席に着くべきだ」と、デモを主導する世俗・リベラル派に対話を呼びかけた。だが、有力な若者グループ「4月6日運動」は、支持者に大統領宮殿前での座り込みを呼びかける声明を出すなど、対話に応じない構えだ。

(2013年7月1日11時45分 読売新聞)



 
 
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エジプト:革命後、最大級のデモに 数十万人が参加

毎日新聞 2013年07月01日 10時32分(最終更新 07月01日 11時11分)

【カイロ秋山信一】エジプトのモルシ大統領の辞任を求めるデモは1日未明(日本時間1日早朝)も続いた。全国で少なくとも数十万人がデモに参加したとみられ、ムバラク前政権を崩壊させた2011年の革命後では最大級のデモとなった。懸念された大統領支持派との大きな衝突は起きていないが、野党勢力は大統領辞任までデモを続けるとしており、今後の情勢は不透明だ。デモが長引けば低迷する経済に追い打ちをかける恐れがある。

首都カイロの大統領宮殿前には6月30日夕方、カイロ近郊からデモ隊が次々と集結し、数万人規模に膨れ上がった。モルシ政権を倒すために軍の介入を期待する声も強く、軍のヘリコプターが上空を旋回するたびに大きな歓声が上がった。デモ参加者の警察官、ワエル・ファウアドさん(39)は「モルシ政権に評価すべき点は何もない。政権を倒すまでデモを続ける」と語った。

11年の革命の舞台となった市中心部のタハリール広場にも数万人が集まったほか、第2の都市アレクサンドリアやモルシ大統領の出身地シャルキーヤ県でも行われた。大統領報道官は30日夜の記者会見で「デモの要求は尊重するが、対話が必要だ」と述べた。

デモは大統領就任1年となる30日を前に、全国に拡大。保健省などによると、政権支持派との衝突で26日以降、14歳の少年や米国人大学生を含む12人が死亡。反政権派は、モルシ大統領の出身組織で穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団への反感が強く、カイロなど十数カ所で同胞団の事務所が襲撃された。

一方、同胞団は30日、大統領宮殿から約2キロ離れたモスクの前で約1万人の集会を開催。一部は夜になっても座り込みを続けた。反政権との衝突に備え、モスクに通じる道路には金属の棒を持った同胞団のメンバーが待機していた。



 
 
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エジプト:4閣僚辞表 退陣求め群衆数万人、死者16人に

毎日新聞 2013年07月01日 19時33分(最終更新 07月02日 01時17分)

【カイロ秋山信一】「第2の革命」の実現を−−。エジプトの首都カイロ中心部のタハリール広場に1日結集した数万人規模の群衆は、モルシ大統領の退陣を求めてシュプレヒコールを繰り返した。現場には、2年前にムバラク独裁政権を崩壊させた民主化要求運動さながらの熱気があふれている。

ロイター通信によると、反政権派への連帯を示すため、4閣僚が辞表を提出した。保健省によると一連の騒乱での死者は16人に増加している。

オバマ米大統領は1日、エジプト情勢に懸念を表明、エジプト政府や反政権派に自制を求めた。

「もはや妥協は許されない。同胞団は平和的に政権を去るしかない」。モルシ氏に辞任を要求している市民団体「反乱(タマルド)」は30日夜の声明で宣言。退陣の期限に設定した2日以降、大統領が滞在しているとみられるカイロ市内のクッバ宮殿にデモ隊が向かうとした。

デモ隊の一部は1日も、タハリール広場や大統領宮殿前で座り込みを続けた。主要野党勢力「国民救済戦線」や2011年の革命を先導した若者グループ「4月6日運動」もデモ継続を呼びかけた。

だが大統領報道官は30日夜、デモ隊の行動に敬意を示しながらも、「解決策は対話しかない」と述べた。大統領も30日付の英紙ガーディアンとのインタビューで、自らが民主的な選挙で選ばれたことを強調し、辞任する考えがないと述べた。政権支持派は28日以降、イッティハーディーヤ大統領宮殿近くのラバ・アダウィーヤ・モスク前で座り込みを続けている。

反政権派は、軍の離反が政権打倒の鍵になるとみている。軍は全国各地に部隊を待機させている。援助を通じて軍と緊密な関係を築いている米国は、双方に対話を求めている。



 
 
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エジプト:最大級デモ 数十万人、大統領辞任求め

毎日新聞 2013年07月01日 東京夕刊

【カイロ秋山信一】エジプトのモルシ大統領の辞任を求めるデモは1日未明(日本時間1日早朝)も続いた。全国で少なくとも数十万人がデモに参加したとみられ、ムバラク前政権を崩壊させた2011年の革命後では最大級のデモとなった。懸念された大統領支持派との大きな衝突は起きていないが、野党勢力は大統領辞任までデモを続けるとしており、今後の情勢は不透明だ。デモが長引けば低迷する経済に追い打ちをかける恐れがある。

首都カイロの大統領宮殿前には6月30日夕方、カイロ近郊からデモ隊が次々と集結し、数万人規模に膨れ上がった。モルシ政権を倒すために軍の介入を期待する声も強く、軍のヘリコプターが上空を旋回するたびに大きな歓声が上がった。

11年の革命の舞台となった市中心部のタハリール広場にも数万人が集まったほか、第2の都市アレクサンドリアやモルシ大統領の出身地シャルキーヤ県でも行われた。大統領報道官は30日夜の記者会見で「デモの要求は尊重するが、対話が必要だ」と述べた。

デモは大統領就任1年となる30日を前に、全国に拡大。保健省などによると、政権支持派との衝突で26日以降、14歳の少年や米国人大学生を含む12人が死亡。反政権派は、モルシ大統領の出身組織で穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団への反感が強く、カイロなど十数カ所で同胞団の事務所が襲撃された。

一方、同胞団は30日、大統領宮殿から約2キロ離れたモスクの前で約1万人の集会を開催。一部は夜になっても座り込みを続けた。



 
 
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街角から:真夏のラマダン エジプト・カイロで秋山信一

毎日新聞 2013年07月01日 東京朝刊

夏の始まりを迎えたカイロは連日、最高気温が35度を超えている。炭酸飲料やアイスクリームの広告が街のあちこちに出ている。今夏はイスラム教の断食月(ラマダン)と重なる。炭酸ののど越しや、ひんやりしたアイスの食感を想像しながら、日中を耐え忍ぶ気持ちを思うと、これは神が与えた試練かと思ってしまう。

ところがエジプト人たちは、ラマダンが楽しみなようだ。「1年で一番楽しい時期」と支局助手のザイナブさん(25)。日没と同時に親族で宴会を始める。道行く人に、ごちそうを振る舞うテーブルも街に出る。断食には過酷なイメージしかなかったので、どんな雰囲気なのか楽しみだ。

そんな中、もう一人の助手イナスさん(32)の顔色がさえない。彼女は今、ダイエットの真っ最中なのだ。医師の指導で、大好物のファストフードを断ち、豆や果物、魚が中心の食事を続けている。

ただ運動はほとんどできないという。ジョギングをすれば、男性から好奇の目でみられる。「女性の胸元が揺れ、誘惑していると思われかねない」とは知人のエジプト人男性。自転車をこいでも、身体に関する下品な言葉を浴びせられる。スポーツクラブは、利用料が高額だ。散歩をするにも、整備された歩道は少なく、空気も排ガスでよどんでいる。

それでも食事の改善によって2カ月で4キロ減らした頑張りは立派だ。だがラマダンに向けては「ダイエットは中断する」と早くも白旗を揚げている。ラマダン中は宴会続きで太る人と、食欲が減って痩せる人がいるらしい。彼女は前者の傾向が強いらしい。

努力を続けてほしいが、日中の我慢を思うと強くは言えない。エジプトでは7月10日からラマダンが始まる。



 
 
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エジプト、4閣僚が辞意 大統領に抗議か

nikkei.com

2013/7/2 0:43

【カイロ=押野真也】エジプトでモルシ大統領の退陣を求めるデモが広がる中、政権の4閣僚が1日、辞意を表明した。いずれも大統領が属するイスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」のメンバーではない。

辞意を表明したのは観光相と通信・情報技術相、議会と環境をそれぞれ担当する2国務相の計4人。辞任には強権的な姿勢を続けるモルシ大統領への抗議を示す狙いがあるとみられる。



 
 
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エジプト軍、介入表明 48時間以内の解決策要求

nikkei.com

2013/7/2 0:44

【カイロ=押野真也】エジプト軍は1日、混乱が続く同国情勢についての声明を発表し、事態打開に向け、積極介入する姿勢を鮮明にした。モルシ大統領を含む政権側と反大統領派の双方に「48時間以内の解決策」を模索するよう要求。解決策を見つけることができなければ、軍が主導して「将来に向けたロードマップ(行程表)」を作成すると述べた。

報道官は軍参謀本部の声明として発表した。48時間以内に両者の交渉を経て、具体的な解決策を提示できなければ、軍が主導して打開策を提示するとした。軍による政治介入の可能性を示唆したものだ。

エジプト軍はこれまで政治介入を控え、中立的な姿勢を維持してきた。しかし、声明では現在のエジプト情勢について、「極めて危険な状態で、(デモに参加しない)一般の国民と国家を危険にさらしている」と指摘。同国情勢が「容認できないレベル」に達したことを示す。

エジプトメディアはこの声明について、「大統領と反大統領派の双方にとって非常に強い警告」だと指摘した。

エジプトの反大統領デモを巡っては、30日から今までに10人以上が死亡。大統領への反対運動を受け、1日には4閣僚が辞意を表明した。いずれも大統領が属するイスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」のメンバーではなく、大統領への抗議を示す狙いがありそうだ。



 
 
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エジプト軍、介入の姿勢 48時間以内の解決策要求

nikkei.com

2013/7/2 1:27

【カイロ=押野真也】エジプト軍報道官は1日、大規模なデモ発生などの混乱に関連してシシ国防相の声明を発表し、事態打開に向け、積極的に介入する姿勢を鮮明にした。モルシ政権と反大統領派を含むすべての政治勢力に「48時間以内の解決策」を模索するよう要求。解決策を見つけられなければ、軍主導で「将来に向けたロードマップ(行程表)」を作成すると表明した。

シシ国防相は軍のトップ。48時間後(現地時間3日夕)までに、全勢力が交渉して具体的な解決策を提示すべきだと強調した。解決策に合意できず軍が打開策を提示する場合、「(軍は)政党ではない。すべての(政治)勢力と協力する」と言明。軍単独で統治に乗り出すことには否定的な考えを示した。

今回の混乱で、軍は特定の勢力を支持せず中立的な立場を維持していた。しかし声明では「一般の国民と国家を危険にさらしている。(情勢は)極めて危険で、容認できない水準だ」との認識を示した。

反大統領派の主要グループは1日、「軍の声明を歓迎する」とコメントした。今後はモルシ大統領がどんな対応を見せるか注目される。反大統領派が求める大統領辞任には応じないとの見方が強いが、軍の警告を受けて首相更迭など何らかの譲歩を迫られそうだ。

6月30日に発生した反大統領デモでは10人以上が死亡。カイロ中心部では1日も小規模なデモが続いた。同日には政権の5閣僚が辞意を表明。大統領への抗議を示す狙いがありそうだ。



 
 
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エジプト大統領、軍の要求を拒否 対立先鋭化へ

nikkei.com

2013/7/2 11:57

【カイロ=押野真也】エジプトの大統領府は2日未明(日本時間同日午前)に声明を発表し、48時間以内に大規模デモなど国内の混乱の解消に向けた打開策の提示を求めた軍の要求を事実上拒否した。軍は期限を過ぎれば自らが主導して打開策を模索するとしており、政権側と軍との対立が先鋭化する可能性が高まってきた。

大統領府の声明は、事態の打開について「我々は(大統領を選んだ)民主主義のメカニズムに従って、(和解を)我々のやり方で進める」と表明。軍が求める現地時間1日夕から48時間以内の打開策の提示を拒んだ。政権側がどのような解決策を検討しているかは不明で、軍が政権批判を強めるのは確実だ。

軍は1日、政府が期限内に解決策を提示しなければ「今後のロードマップ(行程表)を作成する」と表明。政治への介入を示唆している。大統領側は2日の声明で「エジプトは(軍政への)回帰は求めていない」と軍をけん制。軍が政治介入すれば、軍とモルシ政権との対立は一気に再燃しかねない情勢だ。

軍は2011年2月にムバラク政権が崩壊して以降、暫定統治を担った。昨年6月30日にモルシ氏が大統領に就任してからも軍が政治権限を移譲せず、双方の対立が続いた経緯がある。



 
 
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asahi.com 2013年07月02日03時51分

エジプト軍、デモ収拾へ「48時間以内の合意」要求

【カイロ=川上泰徳】エジプトでイスラム系のムルシ大統領に反対する大規模デモが続く中、軍が1日午後、大統領と反政権の双方に「48時間以内に合意を目指せ」と求める声明を出した。合意できない場合は「軍が全国民が参加するロードマップ(行程表)を宣言する」としている。

声明は軍が実質的に政治的危機の収拾の主導権を握ろうとする意思を示したものだ。軍は昨年6月に民主的な選挙でムルシ大統領が就任し、実権を移譲して以来、政治的な中立を表明していた。また、ロイター通信によると、閣僚5人が辞任を表明した。

軍の声明は全政治勢力に「国民の要求を実現せよ」と求めている。反政権派は国民の要求として「大統領辞任」を求め、政権との合意が成立する可能性は薄い。エジプト最大のイスラム政治組織ムスリム同胞団を支持母体とするムルシ大統領が辞任を受け入れることもあり得ず、48時間以内の合意は困難とみられる。

もし、軍が行程表を出すことになれば、ムルシ大統領に即時の辞任を求めなくても、政治的な混乱を収拾するために早期の大統領選挙の実施を発表することは考えられる。そうなれば、ムスリム同胞団が軍の動きに反発することは必至で、状況は予断を許さない。

ムルシ大統領に反対する反政権勢力の若者組織「タマルド(反乱)」は6月30日夜、ムルシ大統領に2日午後5時(日本時間3日午前0時)までに辞任するよう求める声明を出した。応じなければ「全面的な不服従行動に出る」と警告している。保健省の発表では30日から1日にかけ、反政権派と大統領支持派の衝突により全国で計16人が死亡した。

タマルドは声明で、「ムルシ(大統領)はもはや正統な大統領ではない」と、改めて大統領選の実施を求めている。ムルシ大統領の退陣を求める2200万人の署名を29日までに集めたと主張。昨年の大統領選の決選投票でムルシ氏が獲得した1300万票を大きく超えていることを退陣要求の理由としている。

反政権派は30日夕から深夜にかけてカイロ中心部のタハリール広場でデモを呼びかけ、参加者は約20万人に上った。全国各地でもデモがあり、参加者は全体で100万人を超える規模に達したとみられる。一方、ムスリム同胞団やイスラム厳格派は、カイロ郊外のナセルシティーで数万人を動員する政府支持デモを28日から続けている。

大統領府報道官は30日夕、「政治的な対話によって国民の合意を形成することが唯一の解決だ」と対話を呼びかけた。

    ◇

〈エジプト革命と軍〉 エジプト軍はムバラク政権が崩壊した2011年2月、軍最高評議会を結成し、全権を握った。タンタウィ国防相が元首となり暫定統治したが、若者勢力などは反軍政デモを繰り返した。12年6月の大統領選で当選したムルシ氏は議会の解散などを巡り軍評議会と衝突。同年8月にタンタウィ氏を解任する大統領令を出し、権限の掌握に動いた。



 
 
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エジプト軍が介入を通告、48時間以内の「秩序回復」迫る

cnn.co.jp

2013.07.02 Tue posted at 10:57 JST

カイロ(CNN) ムルシ大統領の辞任を要求するデモが広がっているエジプトで、軍は1日に声明を発表し、政府が48時間以内に国民の要求に応えなければ、秩序回復のため介入すると通告した。

軍の声明はラジオとテレビを通じてエジプト全土で放送された。今回の通告について「我が国の歴史的瞬間について責任を担う最後の機会」と位置付けている。

ただ、軍の報道官は同日、「軍事クーデーターは容認しない」と言明し、声明の意図は、早期解決と国家的合意を促すことにあり、軍が政治勢力や支配勢力に加担する意図はないとコメントした。

首都カイロ中心部のタハリール広場では、ラジオや携帯電話から軍の声明が流れると、集まっていたデモ隊から歓声が上がった。

同国指導部に近い関係者によると、軍は政治に直接介入する意図はないとしながらも、エジプトで初めて民意によって選ばれた大統領に対し、大統領の出身母体である「ムスリム同胞団」の影響力を低下させるとともに、大統領選と議会選を早期に実施して、政権の立て直しを図るよう要求しているという。

ムルシ大統領はこの発表の直後に、カンディール首相や軍のトップのシシ国防相らと会って対応を協議したことを明らかにした。会談の内容は公表していない。

一方、反大統領派は同日、ムルシ大統領が2日までに辞任しなければ抵抗運動を開始し、国内全土の抗議運動と大統領宮殿前でのデモ行進を呼びかけると表明した。

同グループはこれまでに、大統領の辞任を求める1700万人の署名を集めたとしている。これは大統領選でムルシ氏が集めた得票数を400万ほど上回る。

ムスリム同胞団メンバーの元議員はCNNの取材に対し、軍は国内の対話を仲介する存在になり得ると期待を示す一方で、ムルシ大統領は何度も反大統領派の指導者と接触してきたにもかかわらず反大統領派が「民主主義を恐れている」と批判した。

1日にはデモ隊がムスリム同胞団の本部を襲撃し、火炎瓶を投げたり事務所に放火するなどしている。

国営通信が厚生相の話として伝えたところでは、30日から1日にかけてのデモで、少なくとも16人が死亡、780人が負傷した。スリム同胞団の本部襲撃による死者だけでも8人に上っているという。

また、政府系の日刊紙アルアハラムは、性的嫌がらせ撲滅を訴えているボランティア団体の話として、デモの最中に性的暴行を受けた被害者は30日以降だけで46人に上ると伝えた。



 
 
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エジプト、軍が政治介入を示唆…緊急声明で

【カイロ=酒井圭吾】エジプトのシシ国防相は1日、国営テレビを通じて緊急声明を読み上げ、モルシ大統領と反大統領派の双方に対し、「48時間以内に国民の要求に応えなければ、軍は独自の行程表を提案する」と述べ、事態が収拾しなければ軍の政治介入もあり得ることを示唆した。

軍事力を背景にした軍トップの発言に、モルシ氏が反発することも予想され、情勢は緊張の度合いを増している。

シシ国防相は声明で、「国は非常に危機的状況にある」と述べ、エジプトが非常時にあることを指摘。そのうえで、「政治や行政に関与することはないだろう」とし、軍事政権の樹立については否定した。行程表の詳細は明かされていないが、軍が大統領の辞任を迫る可能性がある。

(2013年7月2日01時14分 読売新聞)



 
 
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エジプト大統領府が拒否声明…軍の介入予告に

【カイロ=溝田拓士】エジプト軍が1日、「48時間以内」に事態が収拾されなければ介入もあり得ると示唆したことに対し、エジプト大統領府は2日未明、「国家を分断する話は受け入れられない」と拒否する声明を発表した。

大統領派と反大統領派の対立が激化する中、モルシ大統領と軍の対立が先鋭化している。

大統領府声明は、軍が出した声明について「社会の安定を損なう」と批判。軍が突き付けた「48時間」の期限についても、大統領は考慮に入れず独自の国民和解を進める考えを示した。

大統領の出身母体であるイスラム主義組織ムスリム同胞団も1日夜、他のイスラム主義勢力と合同で声明を発表し、「軍事クーデターを阻止しなければならない」と大統領派にデモの継続を呼びかけた。

(2013年7月2日13時24分 読売新聞)



 
 
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エジプト、全面衝突の懸念…両派がデモ呼びかけ

【カイロ=酒井圭吾】エジプトのモルシ大統領の出身母体であるイスラム主義組織「ムスリム同胞団」幹部は2日、軍による介入予告を「クーデター」と批判し、大統領支持者に徹底抗戦を呼びかけた。

反大統領派も全土で大規模の集会を続けており、同日夕現在、両派の全面衝突が懸念される展開となっている。

同胞団のベルタギ幹部は同日、「軍のクーデターを防ぐために、殉教する気で臨んでほしい」とする声明を出した。支持派は2日、カイロ郊外ギザ市のカイロ大学前などに数万人を動員し、軍の介入を非難している。

反大統領派は2日、カイロのタハリール広場を再び参加者で埋め、大統領宮殿前でも座り込みを続けた。夜にかけてデモはさらに膨れあがる見通しだ。東部ポートサイドなどでは、両派の衝突も起きている。

(2013年7月2日22時04分 読売新聞)



 
 
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エジプトデモ:軍、大統領退陣勧告 期限は48時間

毎日新聞 2013年07月02日 01時11分(最終更新 07月02日 01時48分)

【カイロ秋山信一】エジプトのモルシ大統領の辞任を求めるデモは1日も首都カイロのタハリール広場などで続き、エジプトのシシ国防相は国営テレビを通じて発表した声明で「全ての政治勢力が48時間以内に市民の要求に応えなければ、軍が未来へのロードマップ(行程表)を提示する」と述べ、モルシ政権が反政権派との政治対立を解消できなければ軍が政治介入する意向を示した。介入すれば、「若者も含め全政治勢力の参加で改革を実行する」と説明した。

タハリール広場などに集まった反政権派のデモ隊は、軍による「大統領への最後通告」と受け止めている。

デモ隊は一部が暴徒化し、30日夜から1日にかけ大統領の出身母体である穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団の本部に放火し内部に突入した。

大統領は辞任拒否の構えだが、デモを呼びかけた市民団体は2日夕を期限に設定、辞任しない場合のストライキ突入を国民に要請した。



 
 
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エジプト:「反政権デモ中にセクハラ」 市民団体が発表

毎日新聞 2013年07月02日 10時52分(最終更新 07月02日 18時07分)

【カイロ秋山信一】エジプトの市民団体「反セクハラ運動」は1日、カイロのタハリール広場で行われた6月30日の反政権デモで、女性に対する性的嫌がらせ(セクシュアルハラスメント)が少なくとも46件あったと発表した。デモ中のセクハラは2011年の革命時に問題化し、ボランティアによる巡回強化などの対策もとられたが、問題の深刻さが改めて浮き彫りになった。

タハリール広場には30日、数万人以上が集まり、騒然として、身動きがとりにくい状態だった。男たちは、タハリール広場に通じる地下鉄の駅出口付近などで女性を囲い込んで体を触るなどしていたという。女性が泣き寝入りするケースも多く、実際の被害はさらに多いとみられる。ボランティア団体は夜間には広場に近づかないよう女性に呼びかけている。

エジプトでは11年の革命時に、タハリール広場で取材していた米国人記者がレイプされるなど、性犯罪が多発した。特に警備が緩い反政権派のデモで被害が増える傾向がある。



 
 
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エジプト:軍介入の可能性高まる 大統領、辞任否定

毎日新聞 2013年07月02日 11時25分(最終更新 07月02日 18時06分)

【カイロ秋山信一】エジプトのシシ国防相が1日、モルシ大統領に対して48時間以内に反政権派との対立を解消できなければ軍が政治介入すると通告したことに、大統領府は「混乱を招く」と反発、「予定通り包括的な国民和解を目指す」と通告を拒絶する声明を出した。一方、主要野党勢力は政権との対話を拒否しており、軍による政治介入の可能性が高まっている。

大統領の出身母体である穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団などで作るイスラム連合は2日未明、記者会見を開き「軍を利用して正統な政権を乗っ取る動きがある」と軍の動きを批判した。

モルシ大統領の辞任を求めるデモは1日夜も続き、カイロのタハリール広場やイッティハーディーヤ宮殿前には前夜に続いて数万人が集まった。軍のヘリコプターは、エジプト国旗をぶら下げて、タハリール広場の上空を旋回するなど反政権派への連帯を示した。

シシ国防相は1日に発表した声明で政治介入に言及。ただ介入後も政権には直接関与せず、軍が主導する形で、与野党勢力の協力を促す意思を示している。



 
 
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エジプト:軍介入の公算大 「最後通告」を政権拒否

毎日新聞 2013年07月02日 22時00分(最終更新 07月02日 23時18分)

エジプト情勢が緊迫している。就任1年を迎えたモルシ大統領の退陣を求めるデモが大規模化し、国軍は1日、事態収拾のため48時間以内に「国民の要求」に応えるよう大統領や野党勢力に求めた。だが大統領は軍の「最後通告」を拒否。反政権派も政権との対話には否定的だ。一方、2日までに5閣僚が辞任し、政権も混乱。軍は3日にも政治介入に踏み切る公算が大きいが「クーデターの意思はない」とも強調しており、対立の解消につながるかは不透明だ。【カイロ秋山信一】

「誰もが国民の声を聞いた。彼らの要求に応えなければならない」。1日、国営テレビを通じて約4分間の声明を発表したシシ国防相は、反政権デモへの連帯を強調した。カイロだけでも数十万人規模になった6月30日のデモを「世界が注視する中、前例のない平和的なデモだった」と称賛。与野党の政治勢力に対して、48時間以内に「国民の要求」に応じなければ政治介入すると警告した。

軍による介入宣言の背景には、政権支持派と反政権派の衝突への懸念が大きい。30日夜、大統領の出身母体である穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団の本部が暴徒化した反政権派に襲われ、8人が死亡。同胞団は反発を強め、カイロ近郊の集会場ではヘルメットや金属製のこん棒を装備したメンバーが気勢を上げた。

軍と同胞団は政権発足当初から緊張関係にあった。昨年8月、モルシ大統領が革命後に暫定政権を率いていたタンタウィ国防相を解任し、権力を誇示。

一方で、新憲法でも軍予算を国会の審理対象外とするなど配慮を示し、軍も政治的中立を保ってきた。だが、権力の均衡は今回の大規模デモで崩れた。

しかし、介入が奏功するかは不透明だ。クーデターで大統領を追放するとの臆測も出たが、軍は1日夜に別の声明を発表。「クーデターの意図はない」と説明した。軍には政権と反政権派の対話を促したい思惑があるとみられるが、軍事力を行使せずに双方を対話させる見通しは立たない。

3日までに政治勢力の協議が不調に終わった場合、軍は改革のためのロードマップ(行程表)を提示する方針だ。だが「政権に入るつもりはない」とも強調。軍はムバラク前政権崩壊後に暫定統治した際、民主化勢力から反軍政デモを繰り返し受けた経緯がある。

元軍大佐のハサン・メダニ氏(63)は「大統領や議会の選挙までは、政治勢力を結集した暫定統治機構を作り、軍は監視役にとどまる」と推測する。

◇「これで終わり」デモ参加者は歓迎

デモに参加した反政権派の市民からは、軍の介入に歓迎の声が上がっている。11年の革命の舞台となったタハリール広場やイッティハーディーヤ宮殿前には数万人が集まり、「(モルシ大統領は政権を)去れ、去れ」とシュプレヒコールを上げた。家族6人で宮殿前に来ていた観光ガイドのワエル・フサインさん(40)は「こんなに早く軍が介入するとは思わなかったが、これで同胞団は終わりだ」と話した。

今回のデモは「反乱(タマルド)」と称する大統領辞任を求める署名活動が原動力となった。5月上旬、カイロ在住のジャーナリストら十数人の友人グループがカフェで活動の計画を練った。

インターネットや口コミで活動は一気に拡大した。主要野党勢力「国民救済戦線」や11年の革命を主導した若者グループ「4月6日運動」も活動に便乗。6月29日までに集めた署名は、モルシ氏の大統領選での得票数(約1300万票)を超え、延べ約2200万人分に至った。

国民は経済面での政府の無策に失望していた。政府統計によると、食品価格は革命後の約2年間で約3割上昇。失業者は革命後に100万人以上増え、失業率は12%を超えた。

観光業の不振などで外貨不足が深刻化し、小麦や石油などの輸入を続けるため、カタールやリビアなど産油国の金融支援を仰いできた。こうした状況が、反政権署名やデモの拡大につながった。

ただ軍の介入がモルシ大統領の辞任につながるか疑問視する声もある。デモに来ていた大学教授のムハンマド・モルシさん(63)は「反政権デモに勢いはついたが、同胞団は簡単には政権を手放さないと思う」と話した。

◇強権姿勢、反発浴びる

「ムバラク前政権には戻さない」。モルシ大統領の出身母体であるムスリム同胞団などイスラム連合が2日未明、カイロ近郊のモスクで記者会見を開いた。4時間半遅れで始まった会見は、約10分間、声明を読み上げただけ。軍のクーデターに反対した以外は的外れな内容に終始した。

モスク周辺に集まる約1万人の政権支持派には、6月28日から座り込みを続けている人も多い。北部アレクサンドリアから来た公務員のムハンマド・アブドゥさん(33)は「同胞団幹部の自宅も襲撃されたと聞いた。何が起きるか分からない」と力なく語った。

同胞団は11年の革命後、人民議会(国会)選や大統領選で続けて勝利。社会福祉活動で培った組織力と支持の大きさを見せつけた。だが、政権に就いた後は、失業や物価上昇などの解決策を示せず、治安の悪化や燃料不足などを招いた。

最近は政権に批判的な活動家を次々に拘束するなど、強権的な姿勢も見せていた。民間調査機関によると、モルシ政権の支持率は昨年8月の72%から6月には25%に低下。モルシ大統領が6月26日夜の演説で、経済が低迷する原因は、政権と協力しない野党勢力にあると発言したことも、火に油を注いだ。

大統領府は2日未明、軍からの改革要求を事実上拒否した。同胞団も軍批判を強め、対立は先鋭化する兆しを見せている。

◇欧米や日本、安定望む

2011年の革命後、民主化を支援してきた日本や欧米諸国は、地域大国であるエジプトの安定を望んでいる。「アラブの春」で独裁政権が倒れたリビアやチュニジアも新政権が安定しておらず、悪影響を懸念する声もある。

また人口約8400万人のエジプトは市場としても有望で、日本の食品やおむつメーカーも11年の革命後に工場を新規稼働させた。今回の騒乱では、一部の金融機関や商店が6月30日以降に休業するなど、地元経済にも影響が出ている。日本の大手商社幹部は「先が読めず、緊張している。早くビジネス環境を安定させてほしい」と話した。



 
 
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エジプト:反政権派のデモでセクハラが多発

毎日新聞 2013年07月02日 東京夕刊

【カイロ秋山信一】エジプトの市民団体「反セクハラ運動」は1日、カイロのタハリール広場で行われた30日の反政権デモで、女性に対する性的嫌がらせ(セクシュアルハラスメント)が少なくとも46件あったと発表した。デモ中のセクハラは2011年の革命時に問題化し、ボランティアによる巡回強化などの対策もとられたが、問題の深刻さが浮き彫りになった。

タハリール広場には30日、数万人以上が集まり、騒然として、身動きがとりにくい状態だった。男たちは、タハリール広場に通じる地下鉄の駅出口付近などで女性を囲い込んで体を触るなどしていたという。女性が泣き寝入りするケースも多く、実際はさらに多いとみられる。ボランティア団体は夜間には広場に近づかないよう女性に呼びかけている。

エジプトでは11年の革命時に、タハリール広場で取材していた米国人記者がレイプされるなど、性犯罪が多発した。特に警備が緩い反政権派のデモで被害が増える傾向がある。



 
 
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エジプト:反政権デモ 軍、大統領退陣勧告 「期限は48時間」

毎日新聞 2013年07月02日 東京朝刊

【カイロ秋山信一】エジプトのモルシ大統領の辞任を求めるデモは1日も首都カイロのタハリール広場などで続き、エジプトのシシ国防相は国営テレビを通じて発表した声明で「全ての政治勢力が48時間以内に市民の要求に応えなければ、軍が未来へのロードマップ(行程表)を提示する」と述べ、モルシ政権が反政権派との政治対立を解消できなければ軍が政治介入する意向を示した。

介入すれば、「若者も含め全政治勢力の参加で改革を実行する」と説明した。タハリール広場などに集まった反政権派のデモ隊は、軍による「大統領への最後通告」と受け止めている。

デモ隊は一部が暴徒化し、30日夜から1日にかけ大統領の出身母体である穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団の本部に放火し内部に突入した。大統領は辞任拒否の構えだが、デモを呼びかけた市民団体は2日夕を期限に設定、辞任しない場合のストライキ突入を国民に要請した。



 
 
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エジプト、外相ら6閣僚が辞意 軍の存在感強まる

nikkei.com

2013/7/3 0:43

【カイロ=押野真也】モルシ大統領と反大統領派の対立で混迷が続くエジプトで、軍部の存在が急速に高まっている。軍は現地時間の3日夕方(日本時間4日未明)までに混乱収拾に向けた解決策を提示するよう政権と反大統領派などに要求。大統領側はこの提案を拒否し、期限が過ぎれば軍は政治に介入することを示唆している。

モルシ大統領とカンディール首相は2日、軍トップのシシ国防相と会談。内容は不明だが、同国防相は事態打開に向けて政権側に対応を促したとみられる。閣僚などからは離反の動きが相次ぎ、アムル外相ら6閣僚が辞意を示したほか、大統領府と政権の報道官計3人も辞任する意向だ。

軍は期限を過ぎた場合、軍主導で「ロードマップ(行程表)」を作成するとしている。大統領選挙や解散中の下院選挙の日程などを決め、政権側と反大統領派を含めた国内各勢力の合意を得て履行する方針とみられる。

昨年12月に施行した新憲法では、大統領は行政の長で、権限の制限や解任は議会で弾劾決議が採択された場合などに限定。軍主導のロードマップ作成は大統領権限を制限することになり、「事実上のクーデター」(現地メディア)ともいえる。

軍が武力を背景にこうした介入を実行すれば、大統領の支持基盤であるイスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」が反発するのは必至。民主化を求める欧米などからも批判が出ることも予想される。特に、エジプトに毎年13億ドル(約1300億円)の軍事費を支援する米国からは「民主化停滞」を理由に、支援について議会の承認を得られなくなるリスクもある。

このため、軍は司法機関を使って大統領への圧力を強める可能性もある。エジプトの司法権は独立しているものの、判事の大半は旧体制下で任命され、軍と緊密な関係があるとされる。裁判所は最近、モルシ氏は2011年1月に反体制運動の混乱に乗じて投獄されていた刑務所から脱獄したと指摘。大統領資格を問う姿勢を示している。

2日には最高裁判所にあたる破棄院が、モルシ氏が解任したマハムード検事総長について、解任を無効とし職務に復帰させる判断を下した。大統領や同胞団に対する不正疑惑などの捜査に着手する可能性がある。

エジプトの政治に詳しいカイロ・アメリカン大学のガマル・アブエルガワド教授は「モルシ氏はイスラム原理主義勢力などから支持を得ており、簡単には軍に屈しない」と指摘する。

モルシ氏が軍の要求を強硬に拒否し続け、政権側と軍部との対立が先鋭化すれば、11年2月以降に始まったエジプトの民主化プロセスが逆転することになる。モルシ政権と軍部の動向は、エジプトと同様に民主化運動「アラブの春」を経験したチュニジアなど周辺国への影響も大きく、各国は注視している。



 
 
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エジプト緊張高まる 反大統領派「不服従」宣言

nikkei.com

2013/7/3 1:32

【カイロ=押野真也】モルシ大統領と反大統領派が対立するエジプトで、軍が示した混乱収拾の期限が3日夕方(日本時間4日未明)に迫り、緊張が高まっている。軍は解決策の提示を政権と反大統領派などに要求しているが、大統領側はこの提案を拒否。期限が過ぎれば軍は政治に介入することを示唆している。反大統領派の一部は現政権への「不服従」を宣言。ストライキを呼び掛けるなど混迷に拍車がかかっている。

軍が介入の可能性に言及したことで、反大統領派は勢いづいている。2日にはカイロ中心部の広場などに反大統領派数千人が集まり、大統領退陣を要求。一部は公務員などにストを呼び掛けており、同調者が増えれば行政機能などがまひする可能性もある。

こうした中、モルシ大統領とカンディール首相は2日、軍トップのシシ国防相と会談。内容は不明だが、同国防相は事態打開に向けて政権側に対応を促したとみられる。閣僚などからは離反の動きが相次ぎ、アムル外相ら6閣僚が辞意を示したほか、大統領府と政権の報道官計3人も辞任する意向だ。

軍は期限を過ぎた場合、軍主導で「ロードマップ(行程表)」を作成するとしている。具体的な内容は不明だが、ロイター通信は昨年12月に施行した憲法の一時停止やイスラム勢力が多数を握る上院の解散などを軍が検討していると報じた。

すでに下院は解散しており、上院が解散すれば立法機関が不在となり、軍部が立法権を掌握する可能性もある。軍主導の行程表作成は「事実上のクーデター」(現地メディア)ともいえる。

軍が武力を背景にこうした介入を実行すれば、大統領の支持基盤であるイスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」が反発するのは必至。民主化を求める欧米などからも批判が出ることも予想される。特に、エジプトに毎年13億ドル(約1300億円)の軍事費を支援する米国からは「民主化停滞」を理由に、支援について議会の承認を得られなくなるリスクもある。

このため、軍は司法機関を使って大統領への圧力を強める可能性もある。エジプトの司法権は独立しているものの、判事の大半は旧体制下で任命され、軍と緊密な関係があるとされる。裁判所は最近、モルシ氏は2011年1月に反体制運動の混乱に乗じて投獄されていた刑務所から脱獄したと指摘。大統領資格を問う姿勢を示している。

2日には最高裁判所にあたる破棄院が、モルシ氏が解任したマハムード検事総長について、解任を無効とし職務に復帰させる判断を下した。大統領や同胞団に対する不正疑惑などの捜査に着手する可能性がある。

カイロ・アメリカン大学のガマル・アブエルガワド教授は「モルシ氏はイスラム原理主義勢力などから支持を得ており、簡単には軍に屈しない」と指摘する。



 
 
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[FT]エジプト、大規模デモの先に待つ未知の混沌

nikkei.com

2013/7/3 7:00

(2013年7月2日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

集まった群衆の数は大変なもので、2年前にムバラク政権を倒したタハリール広場のデモの時より多いと考える人もいた。モルシ大統領と大統領が所属するムスリム同胞団に抗議するシュプレヒコールには、2011年にムバラク政権の崩壊を求めていたそれと同じくらい激しい敵意がこもっていた。

6月30日にエジプト各地の広場に押し寄せた数百万人の国民は2度目の革命を起こした。今回厳しい攻撃を受けているのは「政治的イスラム」だ。

意外なことではないが、革命を求めるエジプトの情熱がもたらす代償は非常に大きい。その先にあるのは、少なくとも短期的には、未知の領域への再突入というシナリオでしかない。

本来の任務に昨年戻されていたエジプト軍は7月1日午後までに、国民の強い要望に応えてこの国の政治の仲裁者になると宣言した。

エジプト現代史の重大な転換点では常に軍が背後で糸を引いている。今回も同じだった。政治アナリストは「これは完全に軍事クーデターだ」と述べる。また、西側出身のある評論家は「スローモーションの」クーデターと形容する。

エジプト軍は、大統領支持派と反大統領派が48時間以内に意見の違いを解消するよう求めており、それができない場合は軍独自のロードマップ(行程表)を導入すると警告している。ただ、これがモルシ氏の退陣要求を意味しているのかどうかははっきりしない。

■大統領に懸念強める軍部

エジプト軍の最高司令官であるシシ氏は、モルシ大統領が昨年昇格させた人物だ。モルシ氏は文民の政府を擁護しながらも、軍の予算は議会の詮索から守るよう保証してきた。

ただ軍はそれと同時に、政府の能力のなさ、この国で進んでいる政治的分裂、そしてモルシ大統領が先日決めた元ジハード主義者の登用にも次第に懸念を強めている。

仮に、軍の計画が大統領の譲歩を求めているだけだとしても、これはムスリム同胞団の鼻をへし折る軍事介入となるだろう。

確かに、エジプトはこれ以上不安定な状況には耐えられない。経済は破綻寸前で、外貨準備は危機的な低水準に落ち込んでいる。社会もかなり二極化しており、主流派の宗教組織の聖職者たちも先週、内戦になりかねないと警告を発している。

一方、モルシ氏は、社会の多くのグループを遠ざけてしまい、その結果、旧政権の支持者による反革命の動きと新興の左翼リベラル勢力による反乱とを事実上融合させている。

モルシ氏に対する反感は、ムスリム同胞団が独占的な力を持つ専制主義勢力だと考える人々から、経済状態が2011年の革命以降さらに悪化していることにうんざりしている人々に至るまで、様々な方面で生じている。

旧政権への忠誠心をまだ維持している一部の部隊は、多数の人々が抱く不満に乗じて復活を試みようとしている。

これらのグループの間で共通している戦略は、唯一、エジプト軍に介入するよう促すことだけのようだ。

西側の外交筋によれば、エジプト軍は政治に再度介入することに消極的であるらしい。ムバラク氏を排除した後の政権移行に軍の幹部たちがとても手間取ったことがその理由だ。実際、軍はあの時、わずか数カ月でエジプト国民の批判の矢面に立たされてしまった。そのため今回は文民がトップに立つ政権移行を演出する計画を立てている、と外交筋は話している。

■軍事介入で民主的秩序は後退

しかし、もし軍がモルシ氏を押しのけるつもりだとすれば、選挙で選ばれた大統領の強制退陣は、それがいくら国民による大規模な支持表明の後であろうとも、エジプトが民主的秩序を築くチャンスが大きく後退したことを意味し、イスラム原理主義者を先鋭化させる恐れがある。

ムスリム同胞団の幹部らはここ数日、1つのことを強調してきた。モルシ氏が正当な大統領だということである。同胞団いわく、もしモルシ氏が就任1年で追放されるようなら、軍がまた次の指導者に対して同じことをするのを防ぐものは何もない。

エジプトは、不和があまりに激しくなったため、仲裁者が必要だった。だが、これが軍政への回帰を意味するのであれば、いま歓喜している人々は今後、ひどく失望させられる可能性がある。

By Roula Khalaf in London

(翻訳協力 JBpress)



 
 
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エジプト大統領、退陣拒否 軍の通告期限迫る

nikkei.com

2013/7/3 10:56

【ドバイ=久門武史】大規模デモが続くエジプトのモルシ大統領は2日深夜(日本時間3日朝)国民向けにテレビ演説し、改めて退陣を拒否した。エジプト軍は自ら設定した期限である3日夕(同4日未明)までに混乱を収拾できない場合、大統領の退陣を求めるとの見方が出ており、事態打開の見通しは立っていない。

エジプト軍は期限が過ぎた場合、軍主導で「ロードマップ(行程表)」を策定する構え。ロイター通信によると、憲法を一時停止して大統領に代わる評議会を設置し、その後に新憲法制定、大統領選を実施する方向で検討している。

これに対しモルシ氏は演説で「私には選挙で選ばれた正統性があり、職務を続ける責任を負っている」と訴え、続投を宣言。ムバラク前政権の残党が危機をあおっていると批判した。これに先立ち、短文投稿サイトのツイッターで、軍が設定した期限を撤回するよう求めた。

反大統領派の抗議行動はカイロ中心部のタハリール広場などで続いている。一方、カイロ大学付近で大統領支持派と治安部隊の衝突があり、国営テレビは3日、16人が死亡、200人が負傷したと伝えた。

軍が実際に退陣要求に踏み込んだ場合、大統領の支持基盤であるイスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」が反発を強めるのは必至。軍との対立が再燃し、混乱が一段と深まる可能性もある。

デモが続く中、政権からは側近の離反も相次いでいる。アムル外相ら6閣僚が辞意を示したほか、大統領府報道官らが辞表を提出した。



 
 
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米軍「緊急事態に備え」 エジプト情勢めぐり

nikkei.com

2013/7/3 11:35

【ワシントン=共同】米国防総省のリトル報道官は2日、エジプト情勢に関連し「中東やアフリカの一部地域の不安定さを踏まえ、緊急事態に備えた計画がある」と述べ、米軍が警戒態勢を取っていることを明らかにした。

米軍は最近になって、海兵隊の即応部隊がスペイン南部モロンで駐留を開始したのに続き、一部がよりエジプトに近いイタリア・シチリア島に移動。米公館の安全確保や米市民の退避が必要になれば迅速に対応できるとしている。



 
 
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[FT]エジプトに必要な民主主義者

nikkei.com

2013/7/3 21:31

(2013年7月3日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

6月30日、カイロのタハリール広場上空に軍のヘリコプターが現れ、モルシ大統領の退陣を求めるリベラル派や左派の市民が歓声をあげる中、エジプト国旗を投下した。軍は親近感を振りまきながらその姿をちらつかせたかったようだ。

1日夜にはアブデル・ファタハ・アル・シシ参謀総長が大統領に48時間以内に事態を収拾するよう最後通告を出し、軍の意図をより鮮明にした。

エジプトでは将軍たちが神意を受けて救済に駆けつける馬上の人たちのような存在のようだ。アラブ諸国では軍が社会的に出世できる場で主要な国家機関でもある。

モルシ氏は1年前の選挙で勝利し、それまで一時的に国を統治していた将軍たちを解任、新たな人物を登用し軍と協調関係を築いた。

リベラル派は将軍たちが忠誠を誓うのは自分たち自身に対してであり、後は気まぐれであることに留意すべきだ。

リベラル派、左派、世俗勢力による緩やかな連合組織「救国戦線」が軍とは話し合うが政府とは話し合わないと言っている。彼らは「ムハンマド・モルシとムスリム同胞団の打倒」を呼びかける第1号指令を出した。それは政治的な幼さがごちゃ混ぜになった指令だ。

世俗政治はもとより民主主義とは困難な事業だ。だが、米欧諸国はそんなことを言える立場にない。彼らは歴史的にアラブの民主主義を流産させただけでない。数十年にわたり専制君主たちに資金を援助してきた。

こうした旧来の秩序が多くの人の政治的意見の表明を妨げ、その一方でモスクに手がつけられないためにイスラム主義者を生んできた。神意を受けたという制服の男たちが問題を作り出したのだから彼らが解決策になるわけがない。

民主主義には民主主義者が必要だ。制服を着たデウス・エクス・マキナ(機械仕掛けで登場する神)は必要ない。

By David Gardner



 
 
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asahicom 2013年07月03日02時56分

期限48時間、エジプト緊迫 政権派は軍の介入拒否

【カイロ=川上泰徳】イスラム系のムルシ大統領の辞任を求める大規模デモが起きているエジプトで、軍が3日夕(日本時間同日深夜)までの48時間を期限として、事態の収拾に乗り出す姿勢を示したことに、政権を主導するイスラム組織「ムスリム同胞団」は軍の介入を拒否し、大統領支持を訴える大規模なデモを構えている。軍と同胞団の出方次第では、混乱が広がる可能性がある。

■政権派、闘争も示唆

同胞団が創設した与党・自由公正党のサイトでエリヤン副党首は「軍指導部は大統領と憲法と法を無視するという誤りを犯した」「投票箱を通じて示された民意を侵害することは誰にもできない」と軍の動きを強く非難した。

全国に100万人以上のメンバーを抱えるとされる同胞団指導部は軍声明の後、メンバーの携帯電話に「われわれはきわめて深刻な状況にある。親戚や友人とともに街頭に出よ」というメッセージを送り、動員をかけた。

一方、反政権派はカイロ中心部のタハリール広場で数万人規模のデモを続けている。

軍が2日未明に声明を出した後、大統領府は「大統領は軍声明の検討を終えていないが、国政に混乱を起こしかねない表現がある」と慎重な表現で警戒感を示したうえで、「大統領は国民対話の呼びかけを継続する」とした。

一方、大統領を支えるイスラム組織ムスリム同胞団は同日夜、全組織に「街頭に繰り出せ」と動員を指示、「今後起こることを我慢して、態勢につけ」と警戒を呼びかけた。メンバーの携帯電話に送られたメッセージは「天国があなたたちを呼んでいる」と結ばれていた。

同胞団はエジプトに100万人以上のメンバーを抱える巨大組織だ。カイロの本部の最高指導者と指導部の下に、全県に県指導部があり、市町村までピラミッド的な組織を張りめぐらしている。今回の動員指示は、指導部から全国各地の末端にまで届いたとみられる。

同胞団メンバーの間で議論となっているのは、「アルジェリア・シナリオ」だ。1991年のアルジェリア総選挙で、イスラム救国戦線(FIS)が勝利した。しかし、軍が選挙を無効とし、FISは非合法化された。その後、イスラム派の武装勢力と軍との間で約10年間、内戦状態に陥った。

エジプトの同胞団は70年代以降、穏健派として武装闘争を否定してきたが、今回のメンバーを動員する携帯電話メッセージで「ジハード(聖戦)」を示す「天国が呼ぶ」という言葉が使われており、アルジェリアのように軍が民主的な手続きで行われた昨年の大統領選を無効とし、ムルシ大統領を排除する動きに出た場合、武装闘争に出ることもありうることを示唆している。

■軍、実権回復狙いか

ロイター通信が2日、軍筋の情報として伝えたところでは、政治的合意を求める48時間の期限が3日夕に切れた後に、軍が用意している「ロードマップ(行程表)」案には、反政権勢力からイスラム的と批判が強い新憲法の停止やイスラム派が多数を占める諮問議会(上院)の解散などが検討されているという。

軍は2011年2月のエジプト革命でムバラク大統領が退陣した後、実権を掌握し、新憲法制定や民主的選挙実施などの監督役を担った。しかし、昨年6月にムルシ大統領が就任後、軍政から民政へ権限が移譲され、軍の政治力は低下した。昨年8月にはムルシ大統領が当時のタンタウィ軍最高評議会議長兼国防相を更迭し、シーシ新国防相を任命し、軍を抑えこむ動きに出た。

軍は今回の声明で、政治危機収拾のために介入し、政治勢力の合意ができなければ、「ロードマップ(行程表)」を出すとしている。

軍としては民主化プロセスを監督するという民政移譲前の状況に戻す形で、実権を回復することを狙うとの見方が強い。その場合、軍が同胞団を排除する道を選べば、政治状況は大きく混乱しかねない。

反政権派は6月30日夜、カイロ中心部のタハリール広場と大統領府前をそれぞれ20万人規模の大群衆で埋めた。翌日の反ムルシの独立系新聞には「われわれは正当性を得た」と見出しが出た。反政権派は全国で計1千万人を超えたという軍筋の推計もある。

■旧体制勢力も関与

反政権勢力は左派・リベラルの世俗派とされる。しかし、エジプト革命後の議会選挙や昨年末の新憲法案の国民投票結果を見ても、同胞団やイスラム厳格派で7割を占め、世俗派などに選挙やデモで民衆を大規模動員する組織力はない。

一方で革命後、同胞団に対抗する大規模動員があったのは、昨年6月のムルシ氏と元軍幹部シャフィーク氏が対決した大統領選だ。ムルシ氏1300万票、シャフィーク氏1200万票と接戦となった。

ムルシ氏は同胞団の組織票と、旧体制の復活を恐れる左派・リベラル派の革命勢力の票を集めた。それに対抗して、シャフィーク氏の得票は、革命後に解体された前ムバラク体制の与党・国民民主党がひそかに動員をかけたためと言われた。

今回の同胞団と反政権派の対立では世俗派の若者は反同胞団に動いた。しかし、双方の大規模動員合戦は実質的に1年前の大統領選の再現であり、同胞団と旧体制勢力という対立の構造が基底にある。



 
 
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エジプト大統領、軍の最後通告を拒否

cnn.co.jp

2013.07.03 Wed posted at 11:36 JST

カイロ(CNN) エジプトのムルシ大統領は2日、48時間以内の事態収拾を求めた軍の「最後通告」を拒否する姿勢を示した。大統領の辞任を要求するデモはこの日も続き、軍の定めた期限が現地時間の3日夕に迫る中、緊張が高まっている。

ムルシ大統領はテレビ演説で、「国民は自由選挙で私を大統領に選んだ。私は国民が制定した憲法に従わなければならない」と強調。自身の辞任や選挙の前倒しには言及しないまま、軍に対して最後通告を撤回し、本来の任務に戻るよう促した。

中東メディアなどの報道によると、ムルシ大統領が反大統領派との間で期限内にデモ終結の合意を取り付けられなかった場合、軍は憲法停止、イスラム勢力主導の議会解散、大統領の権限剥奪に踏み切る構えだという。

その上で、主に文民で構成する暫定議会を設置して新憲法を起草し、大統領選を実施する意向とされる。

大統領が軍の要求を拒否したことで、「ムスリム同胞団」など大統領支持派と反大統領派の衝突がさらに激化する不安も高まった。

デモは3日目に突入。保健省によると、カイロ大学で銃に撃たれるなどして少なくとも7人が死亡した。国営通信は先に、エジプト全土で少なくとも4人が死亡、144人が負傷と伝えていた。

米政府高官によれば、米政府は情勢の緊迫化を受け、ムルシ大統領に対して早期の選挙を促すとともに、エジプト軍に対しては、もしクーデターを起こせば米国からの援助を打ち切られる危険を冒すことになると警告した。



 
 
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エジプト軍、「血を流す覚悟」 カイロ大で16人死亡、200人負傷

cnn.co.jp

2013.07.03 Wed posted at 12:47 JST

カイロ(CNN) エジプト軍は3日、ムルシ大統領が軍の最後通告を拒否したことを受け、「われわれはエジプト国家と国民のために自らの血を犠牲にする覚悟だ」と警告を発した。大統領の退陣を求めるデモ隊と政権支持派の衝突は各地で続き、カイロ大学では16人の死者が出ている。

軍の声明は、インターネット交流サイト「フェイスブック」の軍最高評議会公式アカウントに「最終局面」と題して掲載された。「いかなるテロリストや過激派、愚か者に対しても」国を守るために、犠牲を払うと誓っている。

軍はモルシ大統領に対し、3日夕(日本時間同日深夜)までに事態を収拾できない場合は軍事介入に踏み切るとの最後通告を出したが、大統領はこれを拒否して撤回を求め、対決姿勢を強めている。

一方、首都カイロでは反政権派が大規模なデモを続け、政権支持派と衝突した。国営メディアによると、カイロ大学では2日深夜から3日早朝にかけての衝突で少なくとも16人が死亡、200人が負傷した。 アラブのメディアや情報筋によれば、2日午後から夜にかけても同国各地で計2〜7人が死亡、144人が負傷したとされるが、人数の確認は取れていない。



 
 
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asahicom 2013年07月03日13時17分

エジプト大統領派デモに銃撃 23人死亡200人けが

【カイロ=神田大介】ムルシ大統領の辞任を求めるデモが続くエジプトの首都カイロで2日夜、大統領支持派が20万人規模のデモを組織した。支持派は反政権デモや軍の介入に反発しており、緊張が高まっている。ロイター通信によると、支持派のデモが行われていたカイロ大学付近を何者かが銃で襲撃し、16人が死亡、200人がけがをした。他にも各地で支持派と反政権派の衝突があり、少なくとも7人が死亡。死者は計23人に上ると見られる。

AFP通信によると、カイロ大近くでの支持派デモに参加していた人は、同通信に電話で「武装した人たちに襲われた。頭を撃たれた人を運んだ」と話したという。

支持派による大規模なデモは初めて。大統領を支えるイスラム組織ムスリム同胞団が呼びかけ、「民主主義を守る」「(2011年の)革命を守る」と気勢を上げた。

一方、ムルシ大統領は2日深夜から3日未明(日本時間3日朝)にかけてテレビ演説をし、辞任の意思がないことを重ねて表明した。

軍は3日夕(日本時間同日深夜)までに事態が収拾しなかった場合、新憲法の停止や諮問議会(上院)の解散を求めると報じられている。これに対し、ムルシ大統領は演説で「民意に基づく正当性に反したいかなる決定も受け入れられない」と強調。憲法も上院も国民の投票で選ばれたものだとして、軍の要求を拒否する構えを見せた。

ムルシ氏は「正当性を維持するためには、流血の代償さえいとわない。私は自らを犠牲にする用意がある」とも述べ、軍の介入はムスリム同胞団との全面対決を招くと警告した。

また、反政権派は2日、軍の介入を受け入れるとして、エルバラダイ前国際原子力機関事務局長を政治的交渉の代表に選んだ。2日夜には反政権派もカイロ中心部タハリール広場などに計20万人を集めた。



 
 
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エジプト大統領、辞任拒否「血を流す準備ある」

【カイロ=井上亜希子】エジプトのモルシ大統領は2日深夜から3日未明(日本時間同朝)にかけて、国営テレビを通じて演説し、「国民は、自由・公正選挙で私を選んだ。この正当性こそがわが国を守り、流血を避ける唯一の道だ」と述べた。

大規模デモを続ける反大統領派の辞任要求を拒否するとともに、3日午後5時(同4日午前0時)を期限に国民への妥協を迫った軍の通告もはねつけたもので、軍による介入や、大統領支持派と反対派による全面衝突の恐れが高まった。

就任1年を機とする大規模デモが起きてから初めて公に発言したモルシ大統領は、約45分間の演説で民選大統領としての「正当性」を繰り返し強調。「正当性を守る対価が私の血だとすれば、血を流す準備はある。国を守るためなら安いものだ」と、反大統領派との対決も辞さない構えを示した。

大統領演説に対し、軍は3日未明、交流サイト「フェイスブック」に「最後の時」と題した声明を出し、「我々は自らの血を犠牲にしようとも、エジプト国家と国民をテロリストや過激派、愚か者から守る」と、政治介入にとどまらず治安維持のため出動する方針も示唆した。

(2013年7月3日12時43分 読売新聞)



 
 
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エジプト:大統領、退陣を改めて拒否…軍介入期限迫る

毎日新聞 2013年07月03日 11時45分(最終更新 07月03日 12時33分)

【カイロ秋山信一】エジプトのモルシ大統領は2日夜(日本時間3日未明)、国営テレビで演説し、「法に基づく政権を守り、職責を果たす」と述べ、反政権派の退陣要求を改めて拒否し、対決姿勢を鮮明にした。国軍は両派の妥協が成立しなければ3日夕(同4日未明)にも政治介入に踏み切る方針。ロイター通信によると、軍は大統領を退陣させ暫定統治評議会を設置し、新憲法制定と大統領選を実施するロードマップ(行程表)をまとめた。政権側の強い反発は必至で、事態悪化の懸念が強まっている。

首都カイロなどで大規模デモを続けている反政権派と、政権支持派、治安部隊の衝突は3日も続き、AP通信などによると2日だけで少なくとも23人が死亡、一連の騒乱での死者は39人に達した。

6月30日の大規模な反政権デモ以降、初めて公に姿を現したモルシ大統領はテレビ演説で「(民主選挙で選ばれた)正統な存在を侵すことは犯罪だ」などと主張し、反政権派や軍をけん制した。

国軍の行程表では、最高憲法裁判所長官が議長で各政治勢力や実務者が構成する評議会を大統領に代わり設置。憲法は停止し諮問評議会(上院に相当)も解散する。数カ月かけて新憲法案を起草し、大統領選、議会選を行う。国軍は「クーデターの意図はない」と説明しているが、軍のフェイスブックには2日「テロリストから国民を守るため血を流す用意がある」とのメッセージが掲載された。

米国務省のサキ報道官は2日、ケリー米国務長官がアムル・エジプト外相と電話協議し、国民の声に耳を傾けるべきだとの考えを伝えたと述べた。しかし、アムル外相は2日に辞表を提出し、国防相と警察担当の内相は2日の閣議を欠席。主要閣僚の離反で内閣存続は困難になっている。



 
 
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エジプト:軍介入期限前にデモ隊衝突 緊迫の度合い強める

毎日新聞 2013年07月03日 20時26分(最終更新 07月03日 23時05分)

【カイロ秋山信一】モルシ大統領の退陣を求める抗議活動に揺れるエジプトで3日、国軍による政治介入の期限である午後5時(日本時間4日午前0時)を前に、首都カイロなどで反体制派と大統領支持派がデモを続けた。2日夜にはモルシ大統領が改めて辞任を拒否。AP通信によるとカイロ近郊などでの両派や治安部隊の衝突で23人が死亡した。軍が退陣を迫れば反発した支持派との衝突を生む懸念もあり、情勢は緊迫の度を強めている。

地元メディアによると、軍は最高憲法裁判所長官がトップの暫定統治評議会による政権運営を構想。実行されれば実質的に大統領を排除する「クーデター」となる。ロイター通信は、軍が3日の期限後に声明を発表すると伝えた。

軍は1日夕、48時間以内に反政権派と妥協するよう大統領に求めた。モルシ大統領は2日夜のテレビ演説で「正統な政権を守るため血を流す覚悟だ」と述べ、辞任を否定した。

ただ3日朝には大統領支持のイスラム政党連合内の強硬派からも、早期の大統領選実施を求める声が出た。

シシ国防相は3日、軍幹部らと緊急協議を行った。AP通信によると、与党・自由公正党幹部にも会談を呼びかけたが拒否された。

反政権派は軍主導の暫定統治に協力する意向で、主要野党勢力「国民救済戦線」は2日、エルバラダイ国際原子力機関(IAEA)前事務局長を軍との折衝役に決めた。デモを呼びかけた市民団体「反乱」も新統治機構への参加を表明した。

2011年の民主化要求運動「アラブの春」でムバラク独裁政権が崩壊した後、エジプト初の民主選挙で選出されたモルシ氏だが、経済低迷やイスラム色を強めた新憲法への国民の猛反発で就任1年で辞任の危機に直面。エジプトの混乱は、チュニジアなど民主化に取り組む中東諸国の今後にも懸念を生みそうだ。



 
 
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エジプト:ムバラク前大統領、デモに「うれしそうな様子」

毎日新聞 2013年07月03日 20時27分(最終更新 07月03日 22時29分)

【カイロ秋山信一】エジプトのモルシ大統領の辞任を求めるデモについて、2011年の革命で政権を追われたムバラク前大統領(85)はテレビでその様子を見て、「11年よりもデモ隊の人数が多い」と述べた。エジプト紙アルマスリ・アルヨウムが関係者の話として伝えた。ムバラク氏は「私はエジプト国民を守るために辞任した」と話した。関係者は同紙に「ムバラク氏はうれしそうな様子だった」と話したという。

ムバラク氏は11年の革命時にデモ隊の殺害に関与した疑いで訴追された。1審で終身刑判決を受け、現在はカイロ郊外のトラ刑務所に収監されている。



 
 
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エジプト:軍が反政権派につき情勢一変 国民も軍を支持

毎日新聞 2013年07月03日 20時33分(最終更新 07月04日 02時36分)

【カイロ秋山信一】エジプトのモルシ大統領の辞任を求める大規模デモは、軍が反政権派寄りの姿勢を見せたことで情勢が一変した。2011年の革命で独裁政権を倒し、初めて民主的な選挙で選ばれた大統領を、就任からわずか1年で非民主的な手法で軍が追い込む構図だが、国民の多くは景気浮揚などに失敗した現政権に失望しており、軍を支持している。

軍が大統領に事実上の退陣勧告を突き付けたことで、反政権派のデモ隊は勢いづいている。

数万人にふくれ上がった反政権派が集まるタハリール広場で、友人2人とデモに参加したデザイナーのアレ・サバハさん(31)は「軍が革命の味方をしてくれてうれしい」と興奮気味に語った。

軍はエジプト最大の権力機構だ。1952年の王制打倒以降、4代続けて軍出身者が大統領職を独占してきた。日用品の製造・販売から観光に至るまで幅広く独自のビジネスも展開し、軍の経済活動は国全体の4割に上るとの指摘もある。一方で、73年の第4次中東戦争をきっかけに、イスラエルからシナイ半島を取り戻したことは今も国民の誇りで、軍への信頼は厚い。

ただ2011年の革命後は、その信頼に揺らぎが生じた。昨年6月の民政移管までの暫定統治中、民主化勢力から「権力を温存し、民政移管を遅らせている」と非難され、反軍政デモも続発。モルシ政権発足後には、軍トップのタンタウィ氏が大統領に解任された。その後は政治介入は控え、昨年11月以降、新憲法を巡る与野党の対立や、革命2周年をきっかけに反政権デモが続いた際も、双方に対話を求めた。

だが大統領が対話を呼びかけても、野党側はさまざまな条件を突きつけて拒み、対立だけが深刻化。軍が、「全土で数百万人が参加した」ともいわれる大規模デモが起きた翌日に介入の意図を示した背景には、政治勢力に任せていては混乱を収拾できないとの危機感があったとみられる。

軍の介入は反政権派にとっても「渡りに船」だ。大統領の出身母体である穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団は、社会福祉活動を通じて全国に基盤がある。反政権派は組織力に劣り、今春以降、11年の革命を主導した若者グループなどが反政権デモを呼びかけても、参加者は数百人にとどまっていた。

カイロ・アメリカン大学のアブデル・ガワド教授(政治学)は「民主主義が根づいていない現状では、軍が同胞団に対抗できる唯一の存在だ。反民主的であっても国民は軍に頼らざるを得ない」と指摘している。



 
 
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アルジャジーラ:報道政権寄り…エジプトのデモ巡り

毎日新聞 2013年07月03日 12時43分

【カイロ秋山信一】エジプトのモルシ大統領の辞任を求めるデモを巡って、中東カタールの衛星テレビ局アルジャジーラの報道が「政権寄り」だと指摘されている。地元テレビが反政権デモを大々的に報じる中、政権支持派の動向を細かく伝えている。カタールは、大統領の出身母体である穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団を支援している。

シシ国防相が大統領に事実上の退陣勧告をした1日午後、エジプトや欧米のテレビ局は、タハリール広場で歓喜に沸く反政権派の市民を大写しにした。だがアルジャジーラは普段とは異なる角度から、比較的参加者が少ない部分を映した。2011年の革命時にデモ隊が密集する部分に焦点を当てたのとは好対照だった。

6月28日以降続く双方のデモでも、政権支持派を先に扱う報道が目立った。2日もピラミッドに近いカイロ近郊のギザやカイロ大学であった同胞団の小規模な集会を、現地から報告した。

イスラム教スンニ派の王族が支配するカタールは、エジプトやシリアなどで同胞団などスンニ派のイスラム勢力を支援。エジプトのシンクタンク・アハラム政治戦略研究所のサイード・オケーシャ氏は「クーデターの意図を否定した軍の声明を『撤退』と報じるなど、言葉遣いも同胞団寄りになっている。カタール政府の意向を受けているのは明らかだ」と指摘する。

アルジャジーラはカタール政府などの出資で95年に設立。イラク戦争やアフガニスタン戦争の報道で注目され、欧米中心の国際報道に一石を投じた。米ノースウエスタン大カタール校が中東8カ国で実施した調査(12年12月〜今年3月)によると、約26%がアルジャジーラを「よく利用する」と答え、テレビやインターネットサイトの中でトップだった。



 
 
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エジプト:軍が反政権派につき情勢一変 国民も軍を支持

毎日新聞 2013年07月03日 20時33分(最終更新 07月04日 02時36分)

【カイロ秋山信一】エジプトのモルシ大統領の辞任を求める大規模デモは、軍が反政権派寄りの姿勢を見せたことで情勢が一変した。2011年の革命で独裁政権を倒し、初めて民主的な選挙で選ばれた大統領を、就任からわずか1年で非民主的な手法で軍が追い込む構図だが、国民の多くは景気浮揚などに失敗した現政権に失望しており、軍を支持している。

軍が大統領に事実上の退陣勧告を突き付けたことで、反政権派のデモ隊は勢いづいている。

数万人にふくれ上がった反政権派が集まるタハリール広場で、友人2人とデモに参加したデザイナーのアレ・サバハさん(31)は「軍が革命の味方をしてくれてうれしい」と興奮気味に語った。

軍はエジプト最大の権力機構だ。1952年の王制打倒以降、4代続けて軍出身者が大統領職を独占してきた。日用品の製造・販売から観光に至るまで幅広く独自のビジネスも展開し、軍の経済活動は国全体の4割に上るとの指摘もある。一方で、73年の第4次中東戦争をきっかけに、イスラエルからシナイ半島を取り戻したことは今も国民の誇りで、軍への信頼は厚い。

ただ2011年の革命後は、その信頼に揺らぎが生じた。昨年6月の民政移管までの暫定統治中、民主化勢力から「権力を温存し、民政移管を遅らせている」と非難され、反軍政デモも続発。モルシ政権発足後には、軍トップのタンタウィ氏が大統領に解任された。その後は政治介入は控え、昨年11月以降、新憲法を巡る与野党の対立や、革命2周年をきっかけに反政権デモが続いた際も、双方に対話を求めた。

だが大統領が対話を呼びかけても、野党側はさまざまな条件を突きつけて拒み、対立だけが深刻化。軍が、「全土で数百万人が参加した」ともいわれる大規模デモが起きた翌日に介入の意図を示した背景には、政治勢力に任せていては混乱を収拾できないとの危機感があったとみられる。

軍の介入は反政権派にとっても「渡りに船」だ。大統領の出身母体である穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団は、社会福祉活動を通じて全国に基盤がある。反政権派は組織力に劣り、今春以降、11年の革命を主導した若者グループなどが反政権デモを呼びかけても、参加者は数百人にとどまっていた。

カイロ・アメリカン大学のアブデル・ガワド教授(政治学)は「民主主義が根づいていない現状では、軍が同胞団に対抗できる唯一の存在だ。反民主的であっても国民は軍に頼らざるを得ない」と指摘している。



 
 
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エジプト:ムバラク前大統領、デモに「うれしそうな様子」

毎日新聞 2013年07月03日 20時27分(最終更新 07月10日 09時22分)

【カイロ秋山信一】エジプトのモルシ大統領の辞任を求めるデモについて、2011年の革命で政権を追われたムバラク前大統領(85)はテレビでその様子を見て、「11年よりもデモ隊の人数が多い」と述べた。エジプト紙アルマスリ・アルヨウムが関係者の話として伝えた。ムバラク氏は「私はエジプト国民を守るために辞任した」と話した。関係者は同紙に「ムバラク氏はうれしそうな様子だった」と話したという。

ムバラク氏は11年の革命時にデモ隊の殺害に関与した疑いで訴追された。1審で終身刑判決を受け、現在はカイロ郊外のトラ刑務所に収監されている。



 
 
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エジプト:アルジャジーラ、政権寄り デモ報道めぐり

毎日新聞 2013年07月03日 東京夕刊

【カイロ秋山信一】エジプトのモルシ大統領の辞任を求めるデモを巡って、中東カタールの衛星テレビ局アルジャジーラの報道が「政権寄り」だと指摘されている。地元テレビが反政権デモを大々的に報じる中、政権支持派の動向を細かく伝えている。カタールは、大統領の出身母体である穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団を支援している。

シシ国防相が大統領に事実上の退陣勧告をした1日午後、エジプトや欧米のテレビ局は、タハリール広場で歓喜に沸く反政権派の市民を大写しにした。だがアルジャジーラは普段とは異なる角度から、比較的参加者が少ない部分を映した。2011年の革命時にデモ隊が密集する部分に焦点を当てたのとは好対照だった。

6月28日以降続く双方のデモでも、政権支持派を先に扱う報道が目立った。2日もピラミッドに近いカイロ近郊のギザやカイロ大学であった同胞団の小規模な集会を、現地から報告した。

イスラム教スンニ派の王族が支配するカタールは、エジプトやシリアなどで同胞団などスンニ派のイスラム勢力を支援。エジプトのシンクタンク・アハラム政治戦略研究所のサイード・オケーシャ氏は「クーデターの意図を否定した軍の声明を『撤退』と報じるなど、言葉遣いも同胞団寄りになっている。カタール政府の意向を受けているのは明らかだ」と指摘する。

アルジャジーラはカタール政府などの出資で95年に設立。イラク戦争やアフガニスタン戦争の報道で注目され、欧米中心の国際報道に一石を投じた。米ノースウエスタン大カタール校が中東8カ国で実施した調査(12年12月〜今年3月)によると、約26%がアルジャジーラを「よく利用する」と答え、テレビやインターネットサイトの中でトップだった。



 
 
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エジプト:反政権デモ大規模化 深まる混迷 軍介入、効果不透明

毎日新聞 2013年07月03日 東京朝刊

エジプト情勢が緊迫している。就任1年を迎えたモルシ大統領の退陣を求めるデモが大規模化し、国軍は事態収拾のため3日夕(日本時間同日深夜)までに「国民の要求」に応えるよう大統領や野党勢力に求めた。だが大統領は軍の「最後通告」を拒否。反政権派も政権との対話には否定的だ。一方、2日までに5閣僚が辞任し、政権も混乱。軍は3日にも政治介入に踏み切る公算が大きいが「クーデターの意思はない」とも強調しており、対立の解消につながるかは不透明だ。【カイロ秋山信一】

「誰もが国民の声を聞いた。彼らの要求に応えなければならない」。1日、国営テレビを通じて約4分間の声明を発表したシシ国防相は、反政権デモへの連帯を強調した。カイロだけでも数十万人規模になった6月30日のデモを「世界が注視する中、前例のない平和的なデモだった」と称賛。与野党の政治勢力に対して、48時間以内に「国民の要求」に応じなければ政治介入すると警告した。

軍による介入宣言の背景には、政権支持派と反政権派の衝突への懸念が大きい。30日夜、大統領の出身母体である穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団の本部が暴徒化した反政権派に襲われ、8人が死亡。同胞団は反発を強め、カイロ近郊の集会場ではヘルメットや金属製のこん棒を装備したメンバーが気勢を上げた。

軍と同胞団は政権発足当初から緊張関係にあった。昨年8月、モルシ大統領が革命後に暫定政権を率いていたタンタウィ国防相を解任し、権力を誇示。

一方で、新憲法でも軍予算を国会の審理対象外とするなど配慮を示し、軍も政治的中立を保ってきた。だが、権力の均衡は今回の大規模デモで崩れた。

しかし、介入が奏功するかは不透明だ。クーデターで大統領を追放するとの臆測も出たが、軍は1日夜に別の声明を発表。「クーデターの意図はない」と説明した。軍には政権と反政権派の対話を促したい思惑があるとみられるが、軍事力を行使せずに双方を対話させる見通しは立たない。

3日までに政治勢力の協議が不調に終わった場合、軍は改革のためのロードマップ(行程表)を提示する方針だ。だが「政権に入るつもりはない」とも強調。軍はムバラク前政権崩壊後に暫定統治した際、民主化勢力から反軍政デモを繰り返し受けた経緯がある。

元軍大佐のハサン・メダニ氏(63)は「大統領や議会の選挙までは、政治勢力を結集した暫定統治機構を作り、軍は監視役にとどまる」と推測する。

◇「これで終わり」デモ参加者は歓迎

デモに参加した反政権派の市民からは、軍の介入に歓迎の声が上がっている。11年の革命の舞台となったタハリール広場やイッティハーディーヤ宮殿前には数万人が集まり、「(モルシ大統領は政権を)去れ、去れ」とシュプレヒコールを上げた。家族6人で宮殿前に来ていた観光ガイドのワエル・フサインさん(40)は「こんなに早く軍が介入するとは思わなかったが、これで同胞団は終わりだ」と話した。

今回のデモは「反乱(タマルド)」と称する大統領辞任を求める署名活動が原動力となった。5月上旬、カイロ在住のジャーナリストら十数人の友人グループがカフェで活動の計画を練った。

インターネットや口コミで活動は拡大。主要野党勢力「国民救済戦線」や11年の革命を主導した若者グループ「4月6日運動」も活動に便乗。6月29日までに集めた署名は、モルシ氏の大統領選での得票数(約1300万票)を超え、延べ約2200万人分に至った。

国民は経済面での政府の無策に失望していた。政府統計によると、食品価格は革命後の約2年間で約3割上昇。失業者は革命後に100万人以上増え、失業率は12%を超えた。観光業の不振などで外貨不足が深刻化し、小麦や石油などの輸入を続けるため、カタールやリビアなど産油国の金融支援を仰いできた。ただ軍の介入がモルシ大統領の辞任につながるか疑問視する声もある。デモに来ていた大学教授のムハンマド・モルシさん(63)は「同胞団は簡単には政権を手放さないと思う」と話した。

◇強権姿勢、反発浴びる−−同胞団

「ムバラク前政権には戻さない」。モルシ大統領の出身母体であるムスリム同胞団などイスラム連合が2日未明、カイロ近郊のモスクで記者会見を開いた。4時間半遅れで始まった会見は、約10分間、声明を読み上げただけ。軍のクーデターに反対した以外は的外れな内容に終始した。

モスク周辺に集まる約1万人の政権支持派には、6月28日から座り込みを続けている人も多い。北部アレクサンドリアから来た公務員のムハンマド・アブドゥさん(33)は「同胞団幹部の自宅も襲撃されたと聞いた。何が起きるか分からない」と力なく語った。

同胞団は11年の革命後、人民議会(国会)選や大統領選で続けて勝利。社会福祉活動で培った組織力と支持の大きさを見せつけた。だが、政権に就いた後は、失業や物価上昇などの解決策を示せず、治安の悪化や燃料不足などを招いた。

最近は政権に批判的な活動家を次々に拘束するなど、強権的な姿勢も見せていた。民間調査機関によると、モルシ政権の支持率は昨年8月の72%から6月には25%に低下。モルシ大統領が6月26日夜の演説で、経済が低迷する原因は、政権と協力しない野党勢力にあると発言したことも、火に油を注いだ。

大統領府は2日未明、軍からの改革要求を事実上拒否した。同胞団も軍批判を強め、対立は先鋭化する兆しを見せている。

◇欧米や日本、安定望む

2011年の革命後、民主化を支援してきた日本や欧米諸国は、地域大国であるエジプトの安定を望んでいる。「アラブの春」で独裁政権が倒れたリビアやチュニジアも新政権が安定しておらず、悪影響を懸念する声もある。

また人口約8400万人のエジプトは市場としても有望で、日本の食品やおむつメーカーも11年の革命後に工場を新規稼働させた。今回の騒乱では、一部の金融機関や商店が6月30日以降に休業するなど、地元経済にも影響が出ている。日本の大手商社幹部は「先が読めず、緊張している。早くビジネス環境を安定させてほしい」と話した。



 
 
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エジプト軍が政治介入か 大統領ら渡航禁止の報道

nikkei.com

2013/7/4 1:41

【カイロ=押野真也】緊張が続くエジプトで3日、軍が政治介入に動き始めた。AFP通信やフランス公共ラジオによると、エジプト軍と治安当局は同日、モルシ大統領らに対して渡航を禁止する措置を取った。軍が大統領に事態の収拾を求めた最後通告は3日夕(日本時間4日未明)に期限が過ぎた。軍が政治介入に動いたことで、エジプト情勢は重大な局面を迎えた。

大統領の退陣を要求する大規模なデモをふまえ、軍は政治介入をちらつかせながらモルシ政権に解決策を示すよう求めていた。だが、最後通告の期限が目前に迫った3日午後も、大統領はかさねて退陣を拒否する考えを表明。同日夕になって、大統領府が広範な政治勢力が参加する暫定内閣の設置を呼びかけたが、軍は抜本的な解決にはつながらないと判断したもようだ。

大統領の就任1年というタイミングで6月30日に始まった反大統領派の大規模なデモはエジプト各地に拡大。モルシ政権を支持するイスラム原理主義勢力との間で衝突を繰り返していた。



 
 
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軍事クーデターとエジプト与党 現地メディア報道

nikkei.com

2013/7/4 1:41

【カイロ=共同】中東の衛星テレビ、アルアラビーヤによると、モルシ大統領の与党、自由公正党の報道官は3日、軍事クーデターが進行中で、軍が道路に戦車を展開させていると述べた。情報の真偽は確認されていない。



 
 
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エジプト情勢さらに緊迫 世界経済にも影響

nikkei.com

2013/7/4 1:45

【カイロ=押野真也】エジプト情勢は軍がモルシ政権に解決策を示すよう求めた最後通告の期限を過ぎ、新たな局面を迎えた。軍によるクーデターが始まっているとの情報や大統領を渡航禁止下に置いたとの報道が入り乱れているが、軍による正式な声明は出ていない。軍は近く国営テレビを通じ国民に向けて何らかの発表を行うとの観測もある。エジプト情勢は緊迫の度合いを増しており、世界経済にも影響を与えつつある。

エジプトではモルシ大統領を支持する勢力と退陣を求める反大統領派の対立が激しさを増した。2日夜から3日未明にかけてはカイロ大学の周辺で衝突が発生。16人が死亡し、200人以上が負傷した。

抗議デモの主力は学生や若年層、政教分離を重視する世俗派の市民とされる。経済低迷に伴う失業や物価高に苦しんでいる市民も加わる。大統領は約200万人のメンバーを抱えるイスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」に所属。イスラム勢力や貧困層からの支持を得ている。

カギを握るのは軍の動きだ。国内を二分する対立のなか、後継大統領に担ぐ人材は見当たらない。2011年のムバラク政権の崩壊後は軍が暫定統治を続けた経緯もあり、軍トップのシシ国防相が実権を握って、事実上の軍政に移行するという観測もある。

エジプトの政治混乱は金融市場に飛び火している。ニューヨーク市場の原油先物価格は3日に一時1バレル102ドル台を付け、今週初めに比べて約4%上昇した。スエズ運河や原油輸送パイプラインの操業に支障が出るという不安が高まっているためだ。

英バークレイズは報告書で「反大統領派が港湾都市でタンカーや外国人を標的とする懸念がある」と指摘した。中東情勢の不安定化などで、3日の欧州株式市場も全面安となった。



 
 
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エジプト軍、大統領の解任を発表 事実上のクーデター

nikkei.com

2013/7/4 4:45

【カイロ=押野真也】エジプト軍トップのシシ国防相は3日夜(日本時間4日未明)に声明を発表し、憲法を停止してモルシ大統領を解任すると発表した。事実上の軍によるクーデターで、同国の民主化プロセスは振り出しに戻る。

モルシ大統領に代わる暫定大統領として、憲法裁判所長官のアドリ・マンスール氏を指名した。総選挙と大統領選挙などを早期に実施するとした。



 
 
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モルシ大統領、権限剥奪「全面的に拒否」

nikkei.com

2013/7/4 6:35

【カイロ=共同】エジプトのモルシ大統領は3日、軍による権限剥奪を「完全なクーデターであり、全面的に拒否する」と批判する声明を交流サイト、フェイスブックに掲載した。モルシ氏の所在は不明。



 
 
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エジプト「革命」再び、首都広場に歓喜の市民

nikkei.com

2013/7/4 7:28

【カイロ=共同】エジプトのモルシ大統領の権限剥奪が宣言された3日夜、大統領退陣を求める市民で埋め尽くされた首都カイロのタハリール広場は、再び歓喜の渦に包まれた。2011年の革命でムバラク政権を打倒したデモの舞台は無数の国旗で染まり、2度目の「革命」に沸いた。

シシ国防相が国営テレビを通じて権限剥奪を発表すると、その内容は瞬く間に広場に伝わった。暗闇に向かって色とりどりの花火が打ち上げられ、一帯にかん高い笛の音が響いた。

女子大学生のヤスミン・ヤヘヤさん(19)は「約束を破り続けたモルシに正統性はない。私たちは軍を信じている」と熱っぽく語った。約30年続いた前政権を振り返りながら、「モルシはムバラクと同じ独裁者だ」と切り捨てた。

一方、モルシ氏支持派はカイロ近郊に集合。無職男性、サミハ・アッラーミさん(35)は「モルシ氏は選挙で選ばれた正統な大統領だ。軍のクーデターは人々を分断するだろう」と警告した。



 
 
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米大統領、エジプト情勢「深く懸念」

早期の民政復帰求める

nikkei.com

2013/7/4 8:13

【ワシントン=共同】オバマ米大統領は3日、エジプト軍がモルシ大統領の権限を剥奪、憲法を停止したことについて「深く懸念する」とした声明を発表し、速やかな民政復帰を求めた。



 
 
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米大統領、エジプト政変「深く懸念する」

早期の民政復帰求める

nikkei.com

2013/7/4 8:35

【ワシントン=吉野直也】オバマ米大統領は3日、「エジプト軍がモルシ大統領の権限を剥奪し、憲法の停止を決めたことを深く懸念する」との声明を発表した。そのうえで「できるだけ早く、透明な過程で国民が民主的に選んだ政府が戻ってくることを求める」と強調した。



 
 
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国連や英、エジプト混乱「軍介入に懸念」

nikkei.com

2013/7/4 11:05

エジプト軍の事実上のクーデターに対し、国連や各国は混乱収拾に期待を示す一方、軍が前面に出ることに懸念を表明している。

ロイター通信によると、国連の潘基文(バン・キムン)事務総長は3日声明を出し、「エジプトでの抗議行動は人々の不満の表れ」とする一方、「軍の介入は懸念もある」とし、「民主主義に基づく民政への早期回復が重要だ」と強調した。事務総長は冷静で自制的な行動を呼びかけるとともに、表現の自由や集会の自由などの擁護も求めた。

ヘイグ英外相は3日、「紛争解決の手段として軍が介入することを英国は支持しない」とする声明を発表した。同時にすべての勢力に自制と暴力に訴えないよう求めた。早期選挙に基づく民主的な政権を樹立することが、エジプトの安定につながると指摘した。



 
 
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官房長官、エジプト混乱「民主的に国民和解を」

nikkei.com

2013/7/4 11:59

菅義偉官房長官は4日午前の記者会見で、エジプトのクーデターに関して「すべての当事者に暴力を行使せずに最大限の自制と責任ある行動を求めていきたい」と述べた。「情勢が安定してエジプト政府が経済社会面で課題克服に取り組むことができるように、それぞれの勢力が民主的な手続きの下で国民和解を進展させて真摯に協力していくことを期待したい」とも語った。

エジプト情勢の混乱に伴う原油価格の上昇には「周辺諸国への波及の可能性も含めて情勢を注視していく」と強調した。



 
 
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官房長官、エジプト情勢「強い懸念持って注視」

nikkei.com

2013/7/4 12:18

菅義偉官房長官は4日午前の記者会見で、エジプトで軍部がモルシ大統領の権限を剥奪したと発表するなど混乱が続いていることに関して「事態の推移を強い関心と懸念を持って注視していきたい」と述べた。そのうえで「全ての当事者に対し、暴力を行使せずに最大限の自制と責任がある行動を求めていきたい」と表明した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕



 
 
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モルシ氏失脚、サウジは歓迎 国連と英「軍介入に懸念」

nikkei.com

2013/7/4 12:06 (2013/7/4 12:32更新)

エジプト軍の事実上のクーデターに対し、国連や欧米諸国からは軍が前面に出ることに懸念を示す一方、早期の混乱収拾を求める声が目立つ。一方、サウジアラビアなどアラブ諸国はモルシ氏の失脚を歓迎している。

国連の潘基文(バン・キムン)事務総長は3日声明を出し、「エジプトでの抗議行動は人々の不満の表れ」とする一方、「軍の介入は懸念もある」とし、「民主主義に基づく民政への早期回復が重要だ」と強調した。事務総長は冷静で自制的な行動を呼びかけるとともに、表現の自由や集会の自由などの擁護も求めた。

ヘイグ英外相は3日、「紛争解決の手段として軍が介入することを英国は支持しない」とする声明を発表した。すべての勢力に自制も求めた。

一方、サウジアラビアのアブドラ国王は4日未明(日本時間同日午前)、国営通信社を通じてエジプトの暫定大統領になるマンスール憲法裁判所長官に祝電を送った。アラブ首長国連邦(UAE)のアブドラ外相も「エジプトはこの困難な時期を乗り越えることができる」と述べた。

ペルシャ湾岸諸国の多くは、2011年の民衆運動「アラブの春」が王制の否定につながりかねないと警戒。モルシ氏が属するイスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」にも警戒感を示していた。



 
 
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エジプトツアー中止相次ぐ 情勢緊迫で

nikkei.com

2013/7/4 12:51

エジプトで反政府デモが拡大するなど情勢が緊迫したことを受け、日本の大手旅行会社は4日までに、同国へのツアーを相次いで見合わせた。

阪急交通社は客の安全確保が難しいとして17日までに出発するツアーを中止、18日以降については情勢を見極めて判断するという。JTBも31日までに出発するツアーを既に見合わせ、顧客に代金を返還している。

外務省はこれまでエジプトの一部地域への渡航延期を勧告していたが、デモで死傷者が出たことなどを受けて3日に危険情報を引き上げ、同国全土のそれ以外の地域も渡航の是非を検討するよう求めた。〔共同〕



 
 
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エジプト政変、長期の混乱不可避 死傷者数百人に

nikkei.com

2013/7/4 10:54 (2013/7/4 13:15更新)

【カイロ=押野真也】エジプト軍が3日夜(日本時間4日未明)、国内の混乱収拾のため、モルシ氏の大統領権限を奪い、身柄拘束に踏み切った後も、同国の混乱長期化は避けられない情勢だ。エジプト各地で抗議活動を繰り広げる同氏支持派が治安当局などと衝突し、数百人の死傷者が出ている。

シシ国防相が3日夜にモルシ氏の大統領解任を発表すると、大統領打倒のためにカイロ中心部の広場に集まった数万人の市民は「独裁者の追放に成功した」などと歓喜の声を上げた。無数の花火が打ち上がり、歓迎を示すクラクションが響き渡った。

治安部隊はモルシ氏が属するイスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」傘下の政党「自由公正党」のカタトニ党首のほか、幹部数人を拘束した。他の幹部にも渡航禁止措置も発令しており、「同胞団つぶし」の様相が強まっている。

当局の一連の行為に対し、同胞団やその支持者らは強く反発している。ロイター通信によると、地中海沿岸の都市、マルサ・マトルーフなど各地でモルシ氏の支持者が治安当局や反支持者と衝突して14人が死亡、340人以上が負傷した。軍はカイロの主要交差点や管理下に置いた国営テレビの周辺に多数の装甲車を展開し、厳戒態勢を敷いている。

中東の衛星テレビは同胞団の関係者約300人が拘束されるとの見通しを示しており、今後、同胞団への締め付けが強まるのは必至だ。同胞団は穏健な原理主義組織として知られるが、軍や治安当局に対する抗議活動を強めそうだ。

エジプトは2011年2月に長期の独裁体制だったムバラク政権が民衆運動で崩壊した。軍の暫定統治と選挙を経てモルシ政権に政治権限を移譲した。ただ、経済の低迷やモルシ氏の強権的な政治姿勢などに反発が広がり、モルシ氏の大統領就任1年に当たる6月30日に大規模デモが発生した後、混迷が深まっていた。

今回の政変でエジプトの国家再建は振り出しに戻った。同国の混乱は、エジプトと同じく11年の民衆運動「アラブの春」で独裁政権が崩壊したチュニジアやリビアなど周辺国にも大きな影響を与えそうだ。



 
 
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エジプト政変 軍が大統領拘束、選挙呼びかけ

nikkei.com

2013/7/4 11:03 (2013/7/4 13:15更新)

【カイロ=押野真也】エジプトの治安当局は4日未明(日本時間同日午前)、モルシ大統領を拘束した。これに先立ち、軍は大統領を解任し、憲法裁判所のアドリ・マンスール長官に権限を移譲すると発表。モルシ氏の退陣を求める大規模デモが続いたことに、軍が超法規的な措置であるクーデターで混乱収拾を図った。モルシ氏の支持者は激しく反発し、各地の衝突で数百人の死傷者が出た。同国の混乱長期化は避けられない情勢だ。

ロイター通信や現地メディアはモルシ氏が軍の施設に拘束されていると一斉に報じた。軍トップのシシ国防相は3日夜にテレビ演説し、モルシ氏が「(大統領として)国民の要望を満たすことに失敗した」と述べ、大統領権限を剥奪し、解任する意向を示した。現在の憲法を停止したうえで、4日午前にも憲法裁判所のマンスール長官が暫定大統領に就任する宣誓式を開く。早期の議会選挙と大統領選挙の実施も呼び掛けた。

軍は3日午後からモルシ大統領の政治姿勢に反発する政治勢力や若者組織のほか、イスラム聖職者などと断続的に会談して対応を協議。幅広い層の支持を受けた措置であることを強調し、クーデター色を薄める狙いがあるとみられる。反大統領派の有力者であるエルバラダイ国際原子力機関(IAEA)前事務局長は「(軍が発表した内容は)国民の求めに合っている」と語った。

一方、モルシ氏は拘束前にテレビ演説で「軍によるクーデターは容認できない」と強く反発した。「(私は)選挙を通じて選ばれており、エジプト国民は(大統領の)正統性を守るため、平和的に抗議すべきだ」と述べ、支持者に対して軍への抗議を呼び掛けた。

モルシ氏を支持するイスラム原理主義組織、ムスリム同胞団は3日夜からエジプト各地で抗議活動を繰り広げ、反モルシ派や治安部隊と衝突。ロイター通信は14人が死亡したと伝えた。負傷者も数百人出ているもようだ。

軍は1日、政権側と反大統領派を含むすべての政治勢力に3日夕方(日本時間4日未明)を期限に解決策を提示するよう要求。政治勢力が具体的な解決策を提示できなければ、軍が主導して「ロードマップ(行程表)を作成する」と政治介入を示唆していた。



 
 
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米大統領「深い懸念」 文民政権へ早期移譲求める

エジプトでクーデター

nikkei.com

2013/7/4 11:13 (2013/7/4 12:42更新)

【ワシントン=吉野直也】オバマ米大統領は3日、エジプト軍による事実上のクーデターについて、文民政権への早期移譲を求めるとの声明を発表した。声明では「深い懸念」を示すとともにエジプトへの支援見直しも表明した。軍事クーデターと正式に認めれば、対外援助法の規定で支援は凍結することになる。

オバマ氏は声明を発表後、ホワイトハウスに急きょ、ヘーゲル米国防長官を呼び、今後の対応を協議した。米メディアによると、米政府はエジプトに年間約1500億円の支援をしている。その多くが軍事関連で、支援を凍結した場合、エジプト情勢にも大きな影響を与える。米国務省はエジプト国内の米公館職員や家族に国外退避を勧告した。

共和党のロイス下院外交委員長は軍によるモルシ政権の転覆について声明で「モルシ大統領はエジプト国民が望む民主主義の障害だった。モルシ氏の退陣がエジプトのより良い未来への道を切り開くことを期待する」と強調した。

国連の潘基文(バン・キムン)事務総長は声明で「民主主義に基づく民政への早期回復が重要だ」と強調した。「エジプトでの抗議行動は人々の不満の表れ」とも指摘した。



 
 
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エジプト、暫定大統領が就任 混乱は続く可能性

nikkei.com

2013/7/4 19:28

【カイロ=共同】エジプト軍のクーデターから一夜明けた4日、権限を剥奪されたモルシ大統領に代わり、マンスール最高憲法裁判所長官が暫定大統領に就任、暫定政権づくりが本格化した。モルシ氏の出身母体であるイスラム組織ムスリム同胞団支持者らの激しい反発は確実で、混迷は当分続きそうだ。

マンスール氏は就任演説で、クーデターを起こした軍を「国の良心を体現した」と称賛し、「国民が発した命令」に基づいて暫定大統領職を受け入れると表明。強権的な政治姿勢で反発を招いたモルシ政権を念頭に「国民の意思に基づく選挙」を実施すると述べた。

警察は4日までに、同胞団系の政党「自由公正党」党首ら幹部2人を逮捕、同胞団員300人の逮捕命令を出すなど、政権からのイスラム勢力排除の動きが加速した。

国際社会からは、民主的で自由な選挙で選ばれたモルシ氏を軍が強制的に排除、憲法も停止される事態に懸念を示す声が相次いだ。

マンスール氏はムバラク政権時代に任命された裁判官で、モルシ政権と対立してきた法曹界トップ。軍は2011年のムバラク政権崩壊直後に自ら暫定統治を行い、国民の批判にさらされたことから、今回は文民をトップに据えたとみられる。

一方、モルシ氏は国防省で拘束されているが、今後の処遇などは明らかにされていない。

シシ国防相が3日夜に発表したロードマップ(行程表)によると、今後は実務者内閣の設置やモルシ政権下で制定された憲法の見直しなどが行われる。

モルシ氏は昨年、イスラム色を強めた憲法を強引に制定、社会のイスラム化を警戒する世俗派などが強く反発していた。



 
 
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エジプト、暫定大統領が就任 挙国一致内閣樹立へ

nikkei.com

2013/7/4 23:16

【カイロ=花房良祐】エジプト軍のクーデターでモルシ前大統領が解任されたことを受け、最高憲法裁判所のマンスール長官は4日、暫定大統領に就任した。宣誓式で「軍はこの国の保護者だ」と言明。超法規的な措置で混乱収拾に乗り出す考えを示した。早期に大統領選挙と議会選挙を実施する意向も示した。野党勢力を取り込んだ挙国一致の暫定内閣も樹立し、国際社会の批判を抑える狙いだ。

マンスール氏は近く反モルシ派のデモを主導した野党連合「救国戦線」などを含めた組閣を目指すとみられる。ロイター通信によると、軍関係者は暫定首相について「エルバラダイ国際原子力機関(IAEA)前事務局長が第1候補だ」との見方を示した。エルバラダイ氏は国内で若者層の一定の支持を受けているほか、国際社会での知名度も高い。ガンズーリ前首相とエルオクダ中央銀行前総裁の名前も浮上。4日にも決まるとの情報もある。

マンスール氏は「国造りから誰も阻害されない」と述べ、イスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」にも参加するように呼びかけた。ただ軍は同胞団出身のモルシ前大統領を軍施設に軟禁。同胞団のバディア最高指導者と同胞団傘下の与党「自由公正党」のカタトニ党首も拘束された。同胞団は「軍事政権」は許容できないとして平和的な抗議を呼びかけた。

エジプトでは2011年2月、反政府デモで独裁者のムバラク元大統領が辞任。1年前に民意で選ばれたモルシ氏がクーデターによって失脚したことで、民主化は振り出しに戻った。

ムバラク政権の崩壊時も軍は当時の国防相が国の事実上のトップとなって民主化プロセスを実施した。ただ、軍は旧政権の象徴で、早期民主化を求める反軍デモが発生したこともある。幅広い政治勢力が納得する民主化を実現できなければ、軍への抗議デモが再発する恐れもある。



 
 
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エジプト軍、ムルシ大統領の権限剥奪

cnn.co.jp

2013.07.04 Thu posted at 10:07 JST

カイロ(CNN) エジプト軍トップのシシ国防相は3日夜、全土に向けたテレビ放送を通じ、憲法を停止して議会選挙を実施し、最高憲法裁判所のマンスール長官がムルシ大統領に代わって暫定大統領に就任すると発表した。

ムルシ大統領の支持母体「ムスリム同胞団」の広報は、ムルシ氏が大統領警護隊の本部で拘束されていると明らかにした。ムルシ氏は外部との接触を断たれ、誰も面会できない状態だという。大統領側近もほとんどが拘束されたとしている。

シシ国防相は、ムルシ氏が国民の目標を達成できず、軍の通告にも従わなかったと強調。マンスール氏は憲法令発布の権限を持ち、「強力で多様な政権を樹立」すると表明した。ムルシ大統領の権限剥奪(はくだつ)は、軍が国を守るために「歴史的責任」を果たしたものだと強調している。

一方、ムルシ大統領は衛星放送のアルジャジーラを通じて声明を流し、自分はエジプトの正統な大統領だと強調。「我々は自ら障壁を克服できる。これは国民の意思であり、取り消すことはできない」と訴えた。引き続き交渉と対話に応じる用意があると述べ、支持者には平和的なデモを行うよう呼びかけている。

アルジャジーラはこの声明を放映した直後にエジプトの放送局が襲撃され、スタッフ数人が拘束されたと伝えた。

ムスリム同胞団も、同団体の放送施設が封鎖されたとしている。国営通信などの報道によれば、同胞団の幹部2人が拘束され、警察がさらに300人の行方を追っているという。

シシ国防相の発表を受け、首都カイロ中心部のタハリール広場に集まっていた反大統領派は熱狂ムードに包まれ、花火が打ち上げられた。一方、ムルシ氏支持派は「打倒軍政」など抗議の声を上げている。

軍は発表を前に、首都の要所に部隊を配備してナイル川にかかる橋を封鎖し、ムルシ氏支持派が集まっていた広場を取り囲んでいた。

3日に全土で起きた衝突では、少なくとも8人が死亡、340人が負傷したと伝えられている。

ムルシ氏はムバラク政権がデモで崩壊したことを受け、2012年6月に実施された大統領選で同国で初めて民意によって大統領に選出された。しかし景気低迷が続いて治安も悪化、観光客や投資家が遠のいて、反対派はムルシ氏の強権的な姿勢に対して批判を強めていた。

反大統領派のデモ拡大を受けて軍は1日、ムルシ大統領に対し、3日夜を期限として改革を断行するよう迫っていた。

この通告期限が切れた直後にムルシ氏は交流サイトのフェイスブックに、クーデターが進行中だとする書き込みを投稿。「民主主義においては、現在のような状況の結果として、大統領が次の選挙に敗れるか、与党が次回選挙でつけを負うという結末しかない。それ以外はすべて暴民政治だ」と断じた。

これに対して野党議員は「断じて軍事クーデターではない。これは革命だ」と反論している。



 
 
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エジプト情勢に懸念、オバマ米大統領

cnn.co.jp

2013.07.04 Thu posted at 11:27 JST

ワシントン(CNN) エジプト軍がムルシ大統領の排除と憲法停止を発表したことを受けて、オバマ米大統領は3日、「深い憂慮」を表明し、エジプト軍事支援に関する再検討を関係省庁に指示したことを明らかにした。国連の潘基文(パンギムン)事務総長も、早期に文民統制に戻すよう促している。

オバマ大統領は声明の中で、「エジプトの恒久的な安定のための基盤は、全方面の全政党が参加する民主的な政治秩序にあると確信している」と述べ、軍が国民の権利を保障することを期待すると表明した。

軍に対してはさらに、ムルシ大統領や支持者の「恣意的な拘束」は避けるよう促し、「迅速な対応によってできる限り早期に、民主的に選ばれた文民政府に全権限を返還するよう呼びかける」とした。

声明の発表に先立ち、ホワイトハウスではヘーゲル国防長官、デンプシー統合参謀本部議長、ブレナン中央情報局(CIA)長官ら国家安全保障担当幹部を招集して会議が開かれた。

エジプトは1973年にイスラエルと平和条約を締結し、石油輸送の生命線であるスエズ運河の通行を保証して、米国の中東での利益を守る上で重要な役割を果たしてきた経緯がある。与党民主党議員によれば、米国はエジプトに対し、年間10億ドルを超す軍事援助を行っている。

しかし米国には、選挙で選ばれた政府指導者が軍事クーデターによって追放された国に対する援助を制限する法律がある。

オバマ大統領の声明ではクーデターという単語の使用は避けながら、関連省庁に対し、この法律に照らして対エジプト援助について再検討するよう指示したことを明らかにした。

国連の潘事務総長も、早期に文民統制に戻すよう促したうえで、「平静、非暴力、対話、自制」を求めた。



 
 
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asahi.com 2013年7月4日0時26分

エジプト大統領、野党に連立内閣呼びかけ 退陣は拒否

【カイロ=北川学】エジプトのムルシ大統領は3日夕、退陣を改めて拒否し、野党勢力などが参加する連立内閣をつくることを呼びかける声明を出した。

世俗・リベラル派野党勢力「救国共同戦線」などによる反政権デモが続き、軍も介入姿勢を示す中、政権側が野党に対話を求めた形だ。

エジプトでは大規模な反政権デモが続く中、1日にエジプト軍が、大統領と反政権派の双方に、事態の収拾に向け、「48時間以内の合意」を求め、できない場合は「軍が行程表を示す」とする声明を出し、3日夕に期限を迎えた。



 
 
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asahi.com 2013年7月4日1時32分

エジプト大統領、軟禁の情報 軍が全権掌握の構え

【カイロ=北川学】ムルシ大統領の辞任を求めるデモが続くエジプトで3日夕(日本時間同日深夜)、48時間以内の政治合意を求めた軍の期限を迎えた。ムルシ氏は辞任の意思がないことを重ねて表明し、軍の要求を拒んでいるのに対し、軍は全権掌握につながる構えを見せている。

英BBCは3日夕、軍がムルシ氏を自宅軟禁したと報じた。衛星放送アルアラビアは、与党・自由公正党の報道官の話として「クーデターが進行中だ。通りに戦車が出ている」と伝えた。

ムルシ氏は期限切れ直後の3日夕、野党勢力などが参加する連立内閣の設置を呼びかける声明を出した。反政権派に改めて対話を求めた形だが、事態の収拾につながるかは予断を許さない。カイロ市内では同日夕、反政権派、大統領派がそれぞれ大規模なデモを続けた。

3日付政府系アハラム紙によると、軍はイスラム系のムルシ政権が主導して制定した新憲法を停止し、諮問議会(上院)を解散。各政治勢力や専門家による暫定評議会を立ち上げて数カ月かけて憲法を改正し、そのうえで早期の大統領選を実施するとのロードマップ(行程表)案を練っているとされる。

軍は1日、大統領と反政権派に対して事態収拾に向け、対話に入るよう要求。3日夕までに合意に至らなければ、政治介入に踏み切る意向を示していた。

ムルシ氏がテレビ演説で軍の要求を拒否すると表明した直後の3日未明、軍は「テロリストや愚か者から国家と国民を守るため、命を捧げる覚悟がある」との声明を発表した。治安出動の可能性を示唆したものと受け止められており、情勢は緊迫度を増している。AFP通信などによると、軍高官らは期限を前に緊急会議に入った。ロードマップ案の詳細や今後の対応について検討した模様だ。

一方、ロイター通信によると、反政権派を代表するエルバラダイ前国際原子力機関事務局長が3日、軍最高評議会のシーシ議長(国防相)と会談した。会談内容は不明だが、反政権派と大統領派の衝突を食い止めるため、軍の介入を求めたとみられる。

ムルシ政権与党・自由公正党幹部のベルタギ氏は同日、反政権派に向けて対話に応じるよう求める声明を発表。危機回避に向けたギリギリの努力も続いている。



 
 
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asahi.com 2013年7月4日10時59分

米大統領、エジプト軍に懸念 サウジ国王は支持表明

【ワシントン=望月洋嗣、ロンドン=沢村亙、ドバイ=村山祐介】エジプトのクーデターについて、オバマ米大統領は3日、「ムルシ大統領を退陣させ、憲法を停止したエジプト軍の決定を深く懸念する」とする声明を発表した。また、ムルシ氏や支持者を不法に拘束せず、民主的な選挙で選ばれた政府に早急に権限を移行するよう、エジプト軍に求めた。

オバマ氏は、実権を握った軍に対し「平和的な集会や自由で公正な裁判の権利を含む権利を保護してほしい」と要請。軍事援助を見直すよう米政府の関係機関に指示したことも明らかにし、エジプト軍の対応次第では援助を打ち切る可能性を示唆した。

また英国のヘイグ外相も同日夜、声明で「民主体制における問題解決にあたって軍の介入は支持しない」と述べ、エジプト軍による事実上のクーデターを批判した。一方で「将来を考えれば、経済、政治面でより早く前進することを欲するエジプト国民の要求に応えることは重要だ」と一定の理解も示した。そのうえで、暴力に訴えないよう自制を呼びかけ、全政治勢力が平等な立場で参加する公正な選挙を早急に実施するよう求めた。

サウジアラビアの国営通信によると、アブドラ国王は3日夜、エジプトの暫定大統領に就任する最高憲法裁判所のマンスール長官に対し、「歴史上の重要な時期に指導者に就任することをお祝いする」とする祝電を送った。とりわけ軍最高評議会のシーシ議長について「決定的な瞬間に暗いトンネルからエジプトを救い出した」とたたえ、「我々はシーシ議長に代表される全ての兵士と固く手を握る」としるし、軍が果たした役割に強い支持を表明した。



 
 
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asahi.com 2013年7月4日11時1分

エジプト軍がクーデター 大統領を拘束、デモ隊に死者か

【カイロ=北川学】エジプト軍最高評議会のシーシ議長(国防相)は3日夜(日本時間4日未明)、現憲法を停止し、最高憲法裁判所のマンスール長官が暫定大統領として国事を行うと国営テレビを通じて発表した。昨年6月の大統領選で同国初の文民大統領となったイスラム系のムルシ氏について、ロイター通信は当局に拘束されたと報じた。軍がクーデターに踏み切り、排除した形だ。

シーシ議長の発表には、野党勢力指導者のエルバラダイ国際原子力機関前事務局長やイスラム教、キリスト教の指導者らが同席、各界の支援を得た措置であることを強調した。ただ、文民が暫定統治を担うものの、軍が背後で監督するとみられ、2011年2月にムバラク政権崩壊に追い込んだ「アラブの春」による民主化の後退は否めない。

シーシ議長は、次期大統領を選出するまでの「ロードマップ(行程表)」を発表した。それによると、暫定大統領の下に「実務者内閣」を設けるとしたうえで、すべての政治・社会勢力を集めた憲法改正委員会をつくって憲法を改正し、早期に大統領選を実施すると説明した。その後、選挙法を改正したうえで国民議会(下院)選挙を行うとしている。

シーシ議長は「軍はムルシ氏に対し、すべての政治勢力との対話を繰り返し求めてきたが、何度も拒否され、48時間の期限も切れたために、こうした措置を取った」と説明した。軍は1日、デモによる混乱を収拾させるため、ムルシ氏に対して各政治勢力と48時間以内に合意することを求め、できない場合は軍主導のロードマップを発表するとしていた。

一方、地元メディアによると、ムルシ氏の出身母体のイスラム組織「ムスリム同胞団」のバイユーミ、シャーテル両副団長、同胞団系の自由公正党のカタトニ党首らも拘束された。

地元メディアによると、軍は3日夕以降、都市部の要衝や、ムルシ氏支持者のデモ会場周辺に戦車や装甲車を出動させ、厳戒態勢を取った。軍や警察は今後、大統領選や議会選までに、民衆に根を張る同胞団の抑え込みを図るとみられる。しかし、同胞団は100万人以上のメンバーを抱えており、抗議行動が広がり、治安当局と衝突する可能性もある。

AFP通信によると3日夜、北部アレクサンドリアなどで親ムルシ派と反ムルシ派のデモ隊が衝突し、少なくとも10人が死亡した。

    ◇

〈クーデター〉 フランス語で、「国への一撃」の意味。軍などが武力で権力を奪取するような政変を指す。エジプトでは1952年7月23日、「自由将校団」がクーデターを起こして国王を追放。翌年、共和制に移行した。



 
 
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asahi.com 2013年07月04日11時28分

エジプト軍、民意の大権破棄 強権体制へ逆戻り

【カイロ=川上泰徳】今回のエジプトの政変は、同国で初めて民主的な選挙で選ばれた初の文民大統領を、軍が実力で排除した。最高憲法裁判所長官を暫定大統領と決めるなど、「文民統治」を演出しているが、民意という正当性は破棄され、軍の一存で全てが決まる政治の始まりである。2011年2月のエジプト革命で始まった民主化の歩みは大きく後退した。

すでにムルシ大統領や出身組織のムスリム同胞団の幹部が次々と当局に拘束されている。さらにムルシ氏支持派デモのテレビの実況中継が警察に禁止されるなど、言論への権力の介入も始まった。軍支配のもとで、市民生活や言論を取り締まる強権体制への逆戻りが始まっている。

ムルシ氏は昨年8月、革命後全権を握ってきた軍最高評議会議長と参謀総長を大統領令で更迭した。国民は選挙を通じ、民意に支えられた大統領の権限の強大さに目を見張った。

今回、軍はムルシ大統領から民意の大権をはぎ取った。契機となったのは、ムルシ氏批判の大規模な反対デモだ。人々はガソリンの不足、失業率の上昇、物価上昇、治安の悪化など同胞団政権の失政への不満を口々に語った。しかし、政治や経済での政府の失政を批判することと、軍が乗り出して民主体制を崩すことにはかなりの距離がある。

新聞もテレビも大統領や政府を自由に批判することができた。タハリール広場でムルシ氏の退陣を求める大規模なデモをしても、ムバラク前政権時代のように治安部隊と衝突する心配はなかった。

今回、タハリール広場を埋めた群衆は、軍がムルシ氏を排除したことを打ち上げ花火で喜んだ。しかし、エジプト革命では「政権崩壊」を叫ぶデモ隊がタハリール広場にたどり着くために800人を超える若者が治安部隊の銃撃で命を失った。その犠牲を払ってやっと手に入れた民主主義の意味が、よく理解されていなかったのかもしれない。



 
 
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asahi.com 2013年07月04日17時50分

エジプト政変、歓喜と反発 反政権派「軍と民衆一つ」

エジプトのムルシ大統領が、軍によって排除された。憲法も停止した。ムルシ氏の退陣を求めてきた民衆は歓喜の声を上げたが、ムルシ氏支持派は反発を強めている。同国初の民主的な大統領選挙から1年。「アラブの春」で手に入れた民主主義はどこへ向かうのか。

【カイロ=山尾有紀恵】ムルシ氏の退陣を求め数万人が集まっていたカイロ中心部のタハリール広場では、「排除」の報道が広まると、人々がエジプト国旗を振りながら大きな歓声を上げ、花火を打ち上げた。

歓喜に沸くデモ隊に応えるかのように、軍のヘリコプターが突如、広場上空に飛来し、広場を埋め尽くしたデモ隊の上をゆっくりと旋回した。デモ隊から「軍と民衆は一つだ!」「エジプトは私たちの国だ!」とシュプレヒコールが上がった。

参加者のアムル・ファドルさん(38)は「軍ならやってくれると思っていた。ムルシのせいで電気もガスも水道も料金が上がって、もう耐えられなかった」と語った。

イスラム色の強い憲法案の起草など、イスラム主義的政策が批判を浴びたムルシ氏に対して、敬虔(けいけん)なイスラム教徒の評価も手厳しい。ハナン・リヤドさん(49)は「ムルシはイスラム教のイメージを悪くした。経済も雇用もだめだし、政治家として素人すぎた」と話した。

■同胞団は非難の声明

【カイロ=川上泰徳】エジプト軍最高評議会のシーシ議長(国防相)によるムルシ大統領排除の発表に、大統領の出身組織で同国最大のイスラム組織「ムスリム同胞団」は強く反発している。

カタールの衛星放送アルジャジーラがシーシ議長の発表後に放送したムルシ大統領のビデオ演説で、「軍が行っていることは軍事クーデターである」とした。撮影が議長の発表後かどうかはわからないが、ムルシ氏は「平和的な抗議を続ける」と語った。

同胞団のマフムード・グズラン報道官は「シーシ国防相の発表は、国の正当性を侵害する明らかなクーデターである」と非難する声明を出した。「デモ隊の数が多くても、民衆の意思とは言わない。選挙で選ばれたムルシ大統領は憲法上の正当性がある。数だけで言えば、ムルシ支持の方が国民の多数だ」と付け加えた。

同胞団が創設した自由公正党のサイトによると、ムルシ大統領の支持を訴えるデモが行われているカイロ郊外のナスルシティーでは軍の発表の後、「シーシ(議長)は無効だ、無効だ」と繰り返す声が響いた。

国内外の各放送局は、タハリール広場の反政権派と、ナスルシティーでのムルシ氏支持派のデモ映像を並べて実況していたが、シーシ議長の発表後、ムルシ氏支持派の映像がなくなった。アルジャジーラテレビが半分真っ黒の画面を出し、ナスルシティーの映像は「治安上の理由で放送できない」と警察に禁止されたことを明らかにした。

    ◇

シーシ軍最高評議会議長が発表したロードマップ(行程表)の要旨は次の通り。



 
 
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asahi.com 2013年7月4日18時30分

マンスール氏が暫定大統領就任を宣誓 エジプト

軍がクーデターでムルシ大統領を拘束したエジプトで、最高憲法裁判所長官のマンスール氏が4日、暫定大統領として就任を宣誓した。軍最高評議会が3日の声明で、新たな大統領が決まるまでの暫定大統領として指名していた。



 
 
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在エジプト米大使館に避難命令、在住者は出国を

cnn.co.jp

2013.07.04 Thu posted at 11:36 JST

ワシントン(CNN) 米政府高官によると、在エジプト米国大使館は不要不急の職員に対し、避難命令を発令した。

これとは別に、米国務省は米国民に対してエジプトへの渡航延期を勧告し、エジプト在住の米国人に対しては出国を促している。

オバマ米大統領は3日、エジプト軍がムルシ大統領の排除と憲法停止を発表したことを受けて、「深い憂慮」を表明し、エジプト軍事支援に関する再検討を関係省庁に指示したことを明らかにした。国連の潘基文(パンギムン)事務総長も、早期に文民統制に戻すよう促している。

オバマ大統領は声明の中で、「エジプトの恒久的な安定のための基盤は、全方面の全政党が参加する民主的な政治秩序にあると確信している」と述べ、軍が国民の権利を保障することを期待すると表明した。



 
 
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エジプト大統領、「挙国一致政府」を提案

【カイロ=佐藤昌宏】大規模デモが続くエジプトのモルシ大統領は、軍が通告していた事態収拾期限の3日午後5時(日本時間4日午前0時)直前、交流サイト「フェイスブック」で、辞任を改めて拒否し、挙国一致政府の樹立を提案した。

反大統領派には、大統領主導の新政府提案を受け入れる考えはなく、軍が政治介入に踏み切る公算が大きくなった。AFP通信は、治安当局がモルシ大統領とイスラム主義組織「ムスリム同胞団」の複数の最高幹部に対し出国禁止措置をとったと報じた。

軍の実質トップのシシ国防相は同日午後、世俗・リベラル派統一勢力「救国戦線」幹部のエルバラダイ前国際原子力機関(IAEA)事務局長や宗教指導者を国防省に呼んだ。「モルシ後」をにらみ、各界代表との協議を本格化させた模様だ。

AFP通信によると、軍情報部の関係者が3日午後、カイロ中心部の国営放送テレビ局内に入った。政治介入について国民向けに発表するため、準備に入った可能性がある。

(2013年7月4日01時41分 読売新聞)



 
 
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エジプト、速やかな民政復帰を…米大統領声明

【ワシントン=中島健太郎】オバマ米大統領は3日に発表したエジプト情勢に関する声明で、「軍がモルシ大統領を解任し、憲法を停止したことを深く懸念している」と述べ、エジプト軍による事実上のクーデターを批判し、速やかな民政復帰を急ぐよう求めた。

大統領は声明で「包括的で透明な方法で、速やかに民主的に選ばれた政府に戻すようエジプト軍に要求する」と強調した。「不確実な時において、すべてのエジプト国民の権利が守られる必要がある」として、モルシ氏や支持者の逮捕を避けるよう訴えた。

米国は法律で、軍事クーデターが起きた国への援助を禁止している。声明は、今回の事態がクーデターにあたるかどうかには触れなかったが、大統領は年約15億ドル(約1500億円)に上るエジプトへの軍事・経済援助の見直しを指示した。

(2013年7月4日11時35分 読売新聞)



 
 
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「勝利だ」「モルシ出て行け」反大統領派は熱気

【カイロ=溝田拓士】カイロ中心部タハリール広場に集結した反大統領派の熱気は、シシ国防相が3日行った演説で最高潮に達した。

「我々の勝利だ」「モルシは出て行け」

花火とラッパ、クラクションの音が鳴り響く中、人々は国旗を振りながら踊ったり叫んだりして、喜びを表した。

会社員アラン・イーサさん(23)は「国民が作ったモルシ退陣への流れを、軍が後押ししてくれた」と興奮気味に話した。主婦ソラヤ・イスマイルさん(60)は「今度は、宗教を政治に持ち込まない人に大統領になってほしい」と期待を込めた。

2011年2月に独裁政権が倒れた後、モルシ氏は、初めて民主的な手続きで選ばれた大統領だった。それからわずか1年。今度は軍が、超法規的な方法で政権を退陣に追い込んだ。だが、国民の多くはモルシ政権の統治能力に失望し、軍への支持が広がっている。

一方、大統領派が集会を続けるカイロ北東部やギザでは、反大統領派との衝突を懸念する軍が装甲車などで付近の道路を封鎖した。大統領派の会社員ファトヒ・ムハンマドさん(29)は、「国民に選ばれた大統領を辞職させるなんて、まさに軍事クーデターだ。我々は戦い続ける」と憤り、無職オマル・フーダさん(23)も「大統領に従わず反大統領派を守るなんて、軍は国の恥だ。軍はイスラム主義者を潰したいだけだ」と声を荒らげた。

(2013年7月4日11時59分 読売新聞)



 
 
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エジプト軍、モルシ大統領を解任・憲法を停止

【カイロ=佐藤昌宏】エジプト軍の実質トップ、シシ国防相(陸軍大将)は3日夜(日本時間4日未明)、国営テレビで演説し、憲法を停止してモルシ大統領を解任すると発表した。

アドリ・マンスール最高憲法裁判所長官が暫定的に大統領権限を継承し、暫定政府が大統領選を実施する。軍による事実上のクーデターで、民主化運動「アラブの春」後に、エジプト史上初の民選大統領となったモルシ氏は、就任1年で地位を追われた。

AFP通信によると、モルシ氏は3日夜、カイロ市内の軍関連施設内で拘束され、国防省に身柄を移送された。政府系紙アル・アハラム(電子版)は、警察が、モルシ氏の出身母体であるイスラム主義組織「ムスリム同胞団」の幹部ら300人の逮捕を開始したと伝えた。軍は3日夜、同胞団系テレビ局の放送を止めた。

シシ氏は大統領解任に踏み切った理由として、「モルシ氏は国民の要望に応えられなかった」と指摘、軍自らが実権を掌握する意図は否定した。暫定政府は実務者で構成し、大統領、議会選挙の早期実施や、憲法改正に取り組むとしている。マンスール氏は、4日に暫定大統領就任の見通しで、軍報道官は「暫定政府が両選挙の実施時期を決定する」と記者団に語った。

これに対しモルシ氏は3日夜、動画サイト「ユーチューブ」で、「これは完全に軍事クーデターだ」と軍を非難し、「私は選挙で選ばれた大統領だ。この正統性を守ろう」と支持者に抵抗を呼びかけた。動画は拘束前に収録されたとみられる。ロイター通信によると、北部マルサマトルーフなどで3日夜、モルシ氏支持派が軍や警察と衝突し、少なくとも計14人が死亡した。

(2013年7月4日12時31分 読売新聞)



 
 
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エジプト国民に冷静さ呼びかけ…国連事務総長

【ニューヨーク=加藤賢治】国連の潘基文パンギムン事務総長は3日、声明を出し、エジプト情勢は「緊張と不安定な状況にある」と懸念を表明、エジプト国民に対し、対話を通じて冷静に行動するよう求めた。

軍の介入については、「民主主義の原則に従い、速やかに民政を回復させることが重要だ」と強調した。

(2013年7月4日12時44分 読売新聞)



 
 
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エジプト:大統領「暫定内閣」提案 「軍が軟禁」報道も

毎日新聞 2013年07月04日 01時13分(最終更新 07月04日 01時28分)

【カイロ秋山信一】モルシ大統領の退陣を求める抗議活動に揺れるエジプトは3日、国軍による政治介入の期限である午後5時(日本時間4日午前0時)を迎え、大統領府は各政治勢力が参加する暫定内閣を設置し次期総選挙を実施する妥協案を提示した。反政権派が受け入れる可能性は低いうえ、軍が辞任を迫れば反発した支持派との衝突を生じかねず、緊張は高まったままだ。

大統領府は声明で、対話を拒んでいると反政権派を批判。モルシ氏は「すべてのエジプト人の大統領だ」と述べ、退陣を拒否する姿勢を固持した。

シシ国防相は3日、軍幹部らと緊急協議を実施。軍は「諸勢力と会談中で、終了後に声明を出す」と発表した。地元メディアによると、軍は最高憲法裁判所長官がトップの暫定統治評議会による政権運営を構想。実行されれば実質的に「クーデター」と言えるが、情勢は流動的だ。

中東の衛星放送や一部エジプトテレビは3日、軍がモルシ氏を軟禁下に置いたと報じた。渡航禁止措置が取られたとの報道もある。ロイター通信によると、大統領顧問はクーデターが進行中だと発言。一方、側近は、執務中と語った。

モルシ氏の姿勢に対し、3日には支持派のイスラム政党連合からも、早期の大統領選実施を求める声が出た。反政権派は軍主導の暫定統治に協力する意向で、主要野党勢力「国民救済戦線」は2日、エルバラダイ国際原子力機関前事務局長を軍との折衝役に決めた。デモを呼びかけた市民団体「反乱」も新統治機構への参加を表明した。

一連の騒乱での死者は39人に達している。3日はカイロや他の主要都市で各政治勢力が数万人規模のデモを継続。ロイター通信によると、首都の国営放送ビル周辺には国軍の装甲車が警備についた。



 
 
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エジプト:反モルシ派、熱狂 支持派と衝突も散発

毎日新聞 2013年07月04日 11時32分(最終更新 07月04日 11時48分)

ありがとう、シシ(国防相)−−。3日夜、エジプトのモルシ政権を崩壊させた軍事クーデターを反政権派の市民らは歓迎した。首都カイロのタハリール広場や大統領宮殿前には数十万人が繰り出し、歌い、踊り、祝った。一方、大統領を支持するイスラム勢力の集会場は重苦しい空気に包まれていた。北部アレクサンドリアなどでは反政権派との衝突も起きており、市民も治安の悪化を懸念している。【カイロ秋山信一、宮川裕章】

「モルシはもう十分。軍が国民の要求をかなえてくれた」。3日深夜、大統領宮殿前に母子3人で来ていたオラ・カーメルさん(50)は興奮気味に語った。シシ国防相のポスターを誇らしげに掲げ、「軍は国民と共にある」と叫ぶ若者もいた。国営ラジオは、国防相の演説を伝えた後、1952年に王政を崩壊させた軍事クーデターをたたえる曲を流した。

3日午後、軍が設定した政治介入の期限が数時間後に迫る中、首都カイロ中心部は奇妙な静寂に包まれていた。だが午後9時に始まった国防相の演説後、街の空気は一変した。行き交う車は、クラクションで祝意を表し、至る所で花火が打ち上げられた。「軍は民政を続けることも約束した。国民の要求を理解しているのは軍だけだ」と医師のムハンマド・セヒアさん(56)は喜んだ。

一方、大統領宮殿から約2キロ離れたラバ・アダウィーヤ・モスクでは、大統領の出身母体である穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団などが集会を続けていた。

6月28日に始まった集会は1週間を迎えていた。モスクに至る路上にはコンクリートブロックの破片が山積みされ、こん棒やヘルメットを装備した男性が臨戦態勢をとっていた。青果店経営のハニ・ムハンマドさん(40)は「軍がやったのは、正統な政権の乗っ取りだ。今もモルシが大統領だ」と訴えた。

双方の集会場を結ぶ道路は、3日から軍の装甲車が封鎖を始めた。兵士が構える銃口は、反政権派が沸く宮殿ではなく、大統領支持派が拠点を置くモスクの方角を向いていた。



 
 
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エジプト:アラブの春に冷水 民主化は振り出しに

毎日新聞 2013年07月04日 11時34分(最終更新 07月04日 14時47分)

【カイロ秋山信一】エジプトの軍事クーデターは、2011年から続く中東の民主化要求運動「アラブの春」に冷や水を浴びせた。2年間で初めての民主的な大統領選挙を実施し、新憲法を制定したエジプトだが、今回のクーデターで民主化の道は振り出しに戻った格好だ。チュニジアやリビアなどアラブの春で独裁政権を倒した国も、民主化の過程で苦慮しているだけに、エジプトの混乱が悪影響を与える可能性もある。

「現行憲法は凍結し、最高憲法裁判所長官が大統領職務を代行する」。3日夜、シシ国防相が明らかにしたロードマップ(行程表)の内容は、革命後2年でエジプトが進めた民主化の歩みを後退させるものだった。民主選挙で初めて選ばれた大統領はクーデターで退任させられ、国民投票で承認された新憲法も超法規的措置で効力を失った。

経済の低迷や強権的な政権運営から、モルシ政権への失望感を深めていた国民の多くは、今回のクーデターを歓迎している。だが大統領支持派が強く訴えてきた「民意で選ばれた大統領の正統性」は、軍事力であっけなく損なわれた。軍介入の背景には、モルシ政権下で失われた影響力を回復する意図があるとも指摘される。

軍はモルシ政権下でさえ、予算の議会審議を免除されるなど、特別扱いを受けていた。今回はクーデター直後に民政に移管する動きを見せたが、今後誕生する新政権も軍に配慮した国家運営を迫られるのは必至だ。

一連のエジプトの混乱は、周辺国にも影響を及ぼしつつある。「チュニジアでも『反乱』が始まった」。エジプトの政府系紙アルアハラム(電子版)は3日、今回のクーデターに至る端緒となった反政権署名運動が、チュニジアでも始まり、既に17万人分の署名が集まったと伝えた。

11年1月にベンアリ独裁政権を崩壊させ、「アラブの春」の先駆けとなったチュニジアだが、革命後2年を過ぎても憲法制定に至らず、エジプト同様にイスラム政党が主導権を握る現政権への不満も根強い。今年2月には与党のイスラム系政党アンナハダに対する抗議デモが激化し、首相の交代に追い込まれた。増税など財政改革に取り組み、アラブの春の中でも「優等生」とみられるチュニジアだけに、エジプト混乱の影響が懸念される。



 
 
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エジプト:米大統領「深い懸念」…クーデター

毎日新聞 2013年07月04日 22時42分(最終更新 07月05日 02時29分)

【ワシントン白戸圭一、ブリュッセル斎藤義彦】民主的選挙で選ばれたモルシ政権がわずか1年で崩壊したことは、地域大国エジプトの安定を軸に中東・北アフリカの安定と民主化を目指してきたオバマ米政権の戦略の誤算を意味する。オバマ大統領が3日、「深い懸念」を発表した声明で、クーデターを決行したエジプト軍に早急な民政移管を求めたのも、危機感の強さの反映にほかならない。

オバマ大統領は声明で「特定の個人や政党を支援しない」と内政に干渉しない方針を明示し、「民主的な過程と法の支配」を尊重する考えを強調した。

オバマ大統領はムバラク政権の退陣後、「アラブの春」を後押しする考えを明示し、債務減免や新規融資など最大20億ドル(約2000億円)の経済支援を約束した。米国は日本や欧州などにも積極的な支援を呼びかけ、エジプト支援の国際的な態勢作りに躍起になった。

米国がエジプト支援を重視したのは、同国の早期安定が中東・北アフリカ全体の民主化と安定のカギと判断したからだ。イスラエルとパレスチナの和平交渉の再開に向けても、イスラエルと平和条約を結んでいるエジプトの安定は不可欠だった。

だが、エジプトの混乱でイスラエルが和平交渉再開に応じる可能性は従来にも増して低くなった。オバマ政権は3月以降、ケリー米国務長官のシャトル外交で交渉再開を仲介してきたが、モルシ政権の崩壊で当面は身動きが取れそうもない。

一方、欧州諸国はクーデターを「民主主義の後退」と批判しながらも、制裁などには言及せず、移行政権を承認し、早期の民政回復を求めている。市民によるデモを支援する必要性と、軍の政治介入を認めない基本姿勢の間でジレンマに陥っているからだ。

ドイツのウェスターウェレ外相は4日、「民主主義体制を無効化することは、エジプトの抱える問題の解決にならない」とクーデターを批判したが、新たな民主体制構築には「協力の用意がある」と述べた。英ヘイグ外相も批判の一方で、「だれが権力を取っても協力する」と歯切れの悪さを見せた。

欧州連合(EU)は中東の独裁政権と協力を進めた反省に基づき2011年の中東民主化運動「アラブの春」以降、民主化を進めれば支援を増やすよう近隣諸国政策を見直した。今年3月のEUの報告書では、エジプトで軍の文民統制が「顕著に進んだ」と評価していただけに、クーデターでEUは冷水を浴びせられた格好だ。EUは4日、対話の必要性を説くだけで、援助見直しには言及しなかった。

シンクタンク欧州政策研究センターのブロックマン上席研究員は「EUの外交政策は民主化を進めるには十分ではなかった。軍の介入を非難すれば制裁の議論につながり、デモをする市民への支援と矛盾する。EUは難問を抱えた」と話す。



 
 
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ムバラク・エジプト前大統領:「11年よりデモ隊多い」

毎日新聞 2013年07月04日 東京朝刊

【カイロ秋山信一】エジプトのモルシ大統領の辞任を求めるデモについて、2011年の革命で政権を追われたムバラク前大統領(85)はテレビでその様子を見て、「11年よりもデモ隊の人数が多い」と述べた。エジプト紙アルマスリ・アルヨウムが関係者の話として伝えた。ムバラク氏は「私はエジプト国民を守るために辞任した」と話した。関係者は同紙に「ムバラク氏はうれしそうな様子だった」と話したという。

ムバラク氏は11年の革命時にデモ隊殺害に関与した疑いで訴追された。1審で終身刑判決を受け、現在はカイロ郊外に収監されている。



 
 
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エジプト:軍介入に支持多く 国民、現政権に失望

毎日新聞 2013年07月04日 東京朝刊

【カイロ秋山信一】エジプトのモルシ大統領の辞任を求める大規模デモは、軍が反政権派寄りの姿勢を見せたことで情勢が一変した。2011年の革命で独裁政権を倒し、初めて民主的な選挙で選ばれた大統領を、就任からわずか1年で非民主的な手法で軍が追い込む構図だが、国民の多くは景気浮揚などに失敗した現政権に失望しており、軍を支持している。

軍が大統領に事実上の退陣勧告を突き付けたことで、反政権派のデモ隊は勢いづいている。

数万人にふくれ上がった反政権派が集まるタハリール広場では、友人2人とデモに参加したデザイナーのアレ・サバハさん(31)は「軍が革命の味方をしてくれてうれしい」と興奮気味に語った。

軍はエジプト最大の権力機構だ。1952年の王制打倒以降、4代続けて軍出身者が大統領職を独占してきた。日用品の製造・販売から観光に至るまで幅広く独自のビジネスも展開し、軍の経済活動は国全体の4割に上るとの指摘もある。一方で、73年の第4次中東戦争をきっかけに、イスラエルからシナイ半島を取り戻したことは今も国民の誇りで、軍への信頼は厚い。

ただ2011年の革命後は、その信頼に揺らぎが生じた。昨年6月の民政移管までの暫定統治中、民主化勢力から「権力を温存し、民政移管を遅らせている」と非難され、反軍政デモも続発。モルシ政権発足後には、軍トップのタンタウィ氏が大統領に解任された。その後は政治介入は控え、昨年11月以降、新憲法を巡る与野党の対立や、革命2周年をきっかけに反政権デモが続いた際も、双方に対話を求めた。

だが大統領が対話を呼びかけても、野党側はさまざまな条件を突きつけて拒み、対立だけが深刻化。軍が、「全土で数百万人が参加した」ともいわれる大規模デモが起きた翌日に介入の意図を示した背景には、政治勢力に任せていては混乱を収拾できないとの危機感があったとみられる。

軍の介入は反政権派にとっても「渡りに船」だ。大統領の出身母体である穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団は、社会福祉活動を通じて全国に基盤がある。反政権派は組織力に劣り、今春以降、11年の革命を主導した若者グループなどが反政権デモを呼びかけても、参加者は数百人にとどまっていた。

カイロ・アメリカン大学のアブデル・ガワド教授(政治学)は「民主主義が根づいていない現状では、軍が同胞団に対抗できる唯一の存在だ。反民主的であっても国民は軍に頼らざるを得ない」と指摘している。



 
 
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エジプト、挫折した「アラブの春」

民主化の矛盾露呈

nikkei.com

2013/7/5 1:23

【カイロ=押野真也】混乱が続いていたエジプトで、軍が超法規的なクーデターに踏み切った。数の上では多数派のイスラム原理主義勢力と、失政を批判する世俗派らの激しい対立は、軍の暫定統治でひとまずおさまった。ムバラク独裁政権が崩壊してから2年あまり。手探りの民主化は挫折し、エジプトの「アラブの春」は振り出しに戻った。

関係図

エジプト軍が、政治の表舞台に登場してきたのは1日午後4時すぎだった。軍はモルシ大統領に事態収拾を要求する声明を発表。その数十分後にはヘリコプター5機をカイロ中心部にある広場の上空に向かわせた。反大統領派からは大きな歓声があがる。「軍が連帯の意思を示した」

■軍は「守護者」

実際に軍が動いたのは3日午後5時すぎ。まず主要な道路を戦車や兵士で封鎖し、矢継ぎ早に大統領の権限剥奪、憲法の停止などを発表する。軍が暫定統治するクーデターの始まりだった。

そもそもエジプトが共和国に移行したのは1952年のナセル中佐(後に大統領)による軍事クーデターがきっかけ。共和制を引き継いだサダト、ムバラク両氏も軍の出身だ。軍はエジプトの「守護者」とされ、国民の信頼は厚い。

軍が後ろ盾のムバラク政権は2011年2月の民主化運動で倒れる。代わって台頭したのがイスラム原理主義勢力。イスラム教にのっとった社会の実現を目指す組織で、ムバラク政権では非合法な組織とされ、政治活動さえ認められなかった。

「ムスリム同胞団」を中核とする原理主義勢力は、11年の自由選挙で上下両院の過半数を押さえる。貧困地域での医療・奉仕活動を通じて低所得者層を取り込み、多数派を占めた。12年にはさらに同胞団のモルシ氏を大統領に押し上げた。

12年夏、モルシ氏と大統領の座を争ったシャフィク氏がエジプトを去った。モルシ政権が旧体制で要職にあった人物らの排除に動いたためだ。

この間の経過

それから1年後の6月30日、カイロ中心部にあるタハリール広場が人で埋め尽くされた。集まったのは政教分離を訴える世俗派、ムバラク政権の支持者、若者ら。彼らの共通項はモルシ政権への不満だった。

政治的に未熟なイスラム原理主義勢力は経済失政を重ねてきた。若者の失業率は60%を超え、物価上昇率は10%に迫っている。「アラブの春」で確かに民主化は進んだが、数では優位のイスラム原理主義勢力は統治能力に欠け、実務者がそろう世俗派・旧政権側は議会での過半数を握れなかった。エジプトは民主化と安定のジレンマを抱えた。

両者の対立が深まった3日午前、エジプト軍は交流サイト(SNS)にメッセージを流す。「国民のために血を流すことを名誉に思う」。軍は反大統領派との連携を決め、民主主義からは程遠い超法規的なクーデターで再び実権を握った。

翌4日の昼、軍は最高憲法裁判所のマンスール長官を暫定大統領に据えた。軍事クーデターへの国際的な非難をかわすため、早期に大統領選挙と議会選を実施する方針も示す。だが自由選挙にすれば、イスラム原理主義勢力が再び議会で多数派を握りかねない。エジプトの民主化は、いつになっても政情不安から抜け出せない迷路に入り込んだかに見える。

■割れる国際世論

「エジプトの民主主義にとって大きな打撃」(ドイツのウェスターウェレ外相)

「(軍は)エジプトを暗いトンネルから救った」(サウジアラビアのアブドラ国王)

エジプトのクーデターに対する国際社会の反応は割れている。オバマ米大統領は軍の暫定統治には懸念を示しながらも、クーデターを意味する「coup」という言葉は使わなかった。それこそがエジプトでの民主化の難しさを示している。



 
 
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エジプト進出企業、対応に追われる

nikkei.com

2013/7/5 1:27

クーデターで混乱するエジプトに進出している日系などの外資企業は、現地販売など事業にかかわる情報の収集や、駐在する社員や出張者の安全の確保を急いでいる。

モルシ氏の解任後、ムスリム同胞団は軍のクーデターに抗議する平和的なデモを呼びかけているが、支持者と反モルシ派の散発的な衝突は各地で続き、治安情勢は改善していない。5日は金曜日でイスラム教の集団礼拝日であるため、大規模な集会が予想される。

日産自動車はエジプト国内の工場に勤務する日本人5人を含む計6人の外国人のうち、管理職の日本人2人を除く4人を出国させた。エジプトの工場は同国向けに「サニー」などを生産。工場は稼働中だが、一部の部品調達で支障が出ているという。

ソニーは現地で代理店を統括する販売担当の社員1人をアラブ首長国連邦(UAE)のドバイに退避させた。グループ会社の社員のエジプト渡航も自粛している。

100社弱が進出しているフランスは、現在のところエジプトから従業員を引き揚げる動きは目立っていない。ホテル大手のアコールや重電大手のアルストムなどは「安全策を強化した上で、現地の情勢を注意深く見守る」という。仏外務省は可能な限り、渡航は延期するよう呼びかけている。



 
 
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エジプト政変、周辺国に影 チュニジア・リビアでも不満

nikkei.com

2013/7/5 1:30

【カイロ=花房良祐】抗議デモをきっかけとしたエジプト軍のクーデターは同国の民主化プロセスに逆行する動きとなる。民主化運動「アラブの春」の結果、独裁政権が崩壊した周辺国にも影響する可能性がある。チュニジアとリビアでは議会選挙が実施されたが、依然として民主主義の素地は脆弱。共通するのは“革命後”の生活水準が改善するどころかむしろ悪化しており、新体制への不満も高まっていることだ。

アラブの春、その後

チュニジアのマルズーキ暫定大統領は4日の記者会見で、「軍の介入は許容できない。モルシ前大統領の安全を求める」とエジプトのクーデターを非難。自国への波及を警戒した。

チュニジアではイスラム政党「アンナハダ」が2011年10月の制憲議会選挙で勝利、中道左派の共和国評議会と組んで国造りを進めていた。だが13年2月にアンナハダに批判的な野党幹部が自宅前で何者かに暗殺されると、大規模な抗議デモとストライキが発生。首相が辞意を表明する事態に発展した。

チュニジアでは11年1月にベンアリ大統領が抗議デモをきっかけに亡命してから政情が不安定となり、抗議デモも収束しなかったことで外国企業は投資に慎重になった。同国は天然資源に乏しいこともあり、政変後は経済が低迷。独裁体制のタガが外れ、民衆も不満が噴出しやすくなっている。また独裁政権下で抑圧されてきたイスラム系の政治組織が台頭。世俗的でリベラルな都市部の市民はこうしたイスラム系の政治組織に警戒感を強めている。

リビアでは11年10月に最高指導者だったカダフィ大佐が殺害されたものの、内戦時に欧米などが反体制派に供給した武器の回収が進まず、治安が改善していない。12年9月には東部ベンガジで駐リビア米大使が武装集団の襲撃を受けて殺害された。民兵同士の衝突も頻発している。

12年7月に国民議会選挙を実施し、国民議会は実権を握っていた「リビア国民評議会」から権限を移譲されたものの、憲法制定などを経て今夏にも正式な政府を樹立するとしていた民主化の行程表は当初の構想よりも遅れている。旧カダフィ政権支持者による爆弾テロも発生しているほか、国の基幹産業となる油田施設では労働者がストライキを実施、原油生産にも影響を与えている。



 
 
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ドバイ原油価格が上昇 輸送への影響意識

nikkei.com

2013/7/5 1:31

エジプトの混乱が長期化するとの見方から、アジアの原油市場で指標となる中東産ドバイ原油のスポット価格も上昇した。取引の中心となる9月渡しは4日午後、前日比0.50ドル上昇し、1バレル101.90ドルまで上昇した。スエズ運河での原油輸送への影響が意識されている。

ただ、4日のニューヨーク市場の夜間取引では、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)価格が下げる場面もあった。石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の野神隆之氏は「市場の不安心理が後退すれば、利益確定売りが出やすくなる」と指摘する。

スエズ運河は世界の海上運輸の5%弱の石油が通過する要所。運営するスエズ運河庁は3日の声明で「通行量は通常通りで影響を受けていない」とした。4日のリポートでも通過した船の数は45と平時並みだ。



 
 
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米、文民政権への早期移行促す エジプト情勢

nikkei.com

2013/7/5 1:32

【ワシントン=吉野直也】米国のオバマ政権は、エジプト軍によるクーデターについて、文民政権への早期移行を促している。

「速やかに民主的に選ばれた政府に戻すべきだ」「エジプト国民の権利が守られる必要がある」。3日のオバマ米大統領の声明には、誰も反対できない当たり前の言葉が並んだ。反米色を強めたモルシ氏の交代を本音では望んでいたが、それをにじませれば、軍のクーデターへの関与を疑われ、イスラム原理主義系の反米感情をあおりかねないからだ。

もちろん米国は軍事政権を支持することはできないが、エジプトでの混乱拡大を収束させるには、一時的に軍が前面に出ることはやむを得ないとの空気があったのも確かだ。実際、米国務省のサキ報道官は3日の記者会見で、軍が大統領を解任する権限があるかとの質問に「一方の立場を擁護しない」と述べ、軍への批判を控えた。

米国は長年、エジプト軍への巨額の支援を通じて影響力を行使してきた。今回の騒動のさなかもヘーゲル米国防長官やデンプシー米統合参謀本部議長は軍トップのシン国防相らと連絡を取り合った。エジプト軍を掌握しながら文民政権に軟着陸させるシナリオを描いているとみられる。

一方で、その過程で反米機運が生まれることを警戒している。モルシ氏を支持するイスラム原理主義組織が一連の軍の行動に反発しているためだ。文民政権樹立との原則論を繰り返しながら状況を慎重に見極める展開になる。ただ、過去の軍事クーデターと今回は違う。

従来は文字通り軍が主導していたのに対し、今回はエジプト国民の反政府デモに軍が乗った形だからだ。軍が文民政権への移行に際して必要以上に前に出すぎた場合、国民が反発する恐れもある。「イスラム原理主義対米国」との構図を避けつつ、米国自身が「エジプト国民の声に耳を傾けることが重要」(ケリー国務長官)になる。



 
 
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エジプト、モルシ前大統領派がデモ呼びかけ

nikkei.com

2013/7/5 11:11

【カイロ=花房良祐】エジプトでクーデターが発生し、モルシ氏が大統領職から解かれたのを受け、前大統領の出身母体のイスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」は4日、イスラム教の集団礼拝日に当たる5日の金曜日に軍に対する抗議デモを呼びかけた。同胞団の組織力を生かせば大規模な集会が開催されるのは確実だ。軍と同胞団の対立が先鋭化する恐れも出てきた。

同胞団は5日を「拒絶の金曜日」と名付け、軍に対する抗議活動を展開する。平和的なデモを実施するとしているが、同胞団は巻き返しの機会と位置付けている。軍による「同胞団つぶし」の様相が強まるなか、軍や反モルシ派との衝突が発生する可能性もある。

反モルシ派は4日夜も、カイロ中心部のタハリール広場に数万人が集まり、モルシ氏失脚を祝った。軍と治安当局は全土で厳戒態勢を敷いており、5日未明はモルシ派と反モルシ派の大規模衝突はなかったもようだ。

同胞団のバディア最高指導者は北部マルサ・マトルーフで「デモ隊の殺害を扇動した」との容疑で拘束された。同胞団傘下の与党「自由公正党」のカタトニ党首らも同じ容疑で拘束されており、検察当局は8日に尋問を始めるという。モルシ氏のほか35人の幹部が渡航禁止の措置を受けた。イスラム系のテレビ局も放映が中止された。AFP通信などが伝えた。

軍は4日夜、モルシ氏失脚に反発する勢力のデモが「エジプトの安全や経済に悪影響を及ぼす」との声明を発表し、同胞団のデモ計画をけん制。民意の裏付けがあるとして独自の政治プロセスを強行する構えだ。ロイター通信によると、エジプトのアムル外相はケリー米国務長官との電話会談でモルシ氏解任が「軍事クーデターではない」と強調したうえで「米国はエジプトの戦略的なパートナーだ」と語った。

暫定首相候補として浮上しているエルバラダイ前国際原子力機関(IAEA)事務局長も4日、ケリー長官ら米高官と電話で協議した。モルシ氏解任と暫定政権の正統性を訴えたとみられる。



 
 
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官房長官、エジプト「民主的政府の早期樹立を」

nikkei.com

2013/7/5 12:17

菅義偉官房長官は5日午前の記者会見で、軍によるクーデターで緊迫した状況が続くエジプトについて「人権や法の支配の下に、民主的な手続きで選出された政府が早期に樹立されるよう期待する」と述べた。現地の情勢について「引き続き注視する。邦人保護の観点から政府として万全を尽くす」と語った。



 
 
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国際社会、エジプトに早期民政復帰求める

nikkei.com

2013/7/5 13:44

エジプトで軍がクーデターを起こして前大統領モルシ氏の権限を剥奪したことに対し、欧州各国の首脳からは非難の声が出ている。影響の波及を恐れる湾岸諸国では歓迎の声も聞かれる一方、エジプトに経済開発資金を供与する世界銀行は当面、支援を継続する姿勢を示している。

フランスのオランド大統領は4日、訪問先のチュニジアの首都チュニスで「民主的に選出された(モルシ)大統領が退陣させられるのは(民主主義の)失敗だ」と述べ、エジプト軍によるクーデターを非難した。英国のヘイグ外相も同日、「民主政治の問題解決に、軍が介入することは支持できない」と明言。既に政変が起きた現状を踏まえ「公正な選挙を(早期に)実施することが重要だ」と述べた。

湾岸諸国では歓迎の意を表明する首脳の声が多い。サウジアラビアのアブドラ国王は、エジプトの暫定大統領に4日就任した最高憲法裁判所のマンスール長官に祝辞を贈った。報道によると、シリアのアサド大統領は「いわゆる『政治的イスラム』の失敗だ」とし、軍による介入の是非よりも、ムスリム同胞団を支持母体としたモルシ政権が倒壊したことを歓迎しているようだ。

他方、国際機関は現状に困惑しつつも、暫定政権とも従来の関係を保つ意向がうかがえる。世界銀行のキム総裁は4日、訪問先のチリで「何が起きたのか理解に努めている」としたうえで「エジプトへの必要なサービスと支援を続けたい」と強調した。47億ドル(約4700億円)の融資プログラムを中心に経済支援を当面は続ける意向だ。

国連の潘基文事務総長は4日、エジプトのアムル外相との電話会談で、「軍による介入」に対して「深い懸念」の意を伝えた。「言論の自由などを含む基本的人権を保護する政権が必要だ」とし、早期の民主政権への移行を求めた。



 
 
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[FT]エジプト政変が問う「クーデター」の判断

nikkei.com

2013/7/5 14:00

(2013年7月5日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

あれは軍事クーデターのようにみえるし、クーデターと同様の成果もあった。ならばやはり軍事クーデターだったのだろう。オバマ米大統領がエジプト政変について「クーデター」という言葉を使えないのは、実態を把握できていないからではなく、エジプト政府がクーデターで転覆したとなれば、法律上、同国への援助を打ち切らねばならないからだ。

今回のエジプト政変をクーデターと呼ぶか否かという問題の背景には、欧米諸国の判断基準の混乱が深刻化していることがある。自由を求める反体制派と独裁者、民主主義者と独裁主義者、善人と悪人など、欧米政府は道徳基準に基づく明確な線引きを好む。そうすれば外交政策が理解しやすくなり、国民への説明も容易になるからだ。

■単純な善悪判断が当てはまらない

この単純明快な基準では、軍事クーデターは明らかに「悪」で、選挙で選ばれた大統領は「善」となる。だが多くの欧米人が支持したのは、イスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」ではなく、カイロ中心部のタハリール広場に集まった反大統領派だった。少数派の権利など欧米流の価値観を支持しているのは、広場を占拠するリベラルな世俗派だ。ムスリム同胞団は憲法にイスラム法「シャリーア」の内容を反映させるべきだと主張している。厄介なことに大統領選で勝利を収め、議会で第1党の地位にあるのはムスリム同胞団なのだ。しかも2番手はリベラル派ではなく、より厳格な原理主義を唱える「サラフィスト」だ。

欧米の判断基準の混乱はエジプトに関してだけでなく中東各地でも起きている。シリア情勢は当初、独裁者に反対する民衆の蜂起という単純な構図のように思われた。このため米欧は反体制派を支持し、アサド政権転覆を求めた。この方針は今も変わらないが、反体制派の素性を巡っては懸念が高まっている。民主的自由を求める反体制派は、敵の心臓を口にする映像を動画共有サイト「ユーチューブ」でさらすべきではなかった。極めて不可解な行為だ。

■価値判断の混乱は続く

欧米の一部評論家からは、民主主義はエジプトにそぐわないのではないかという声も出始めている。だが欧米政府がこうした考えを明言するわけにはいかない。アフガニスタンからエジプトまで、欧米各国は今後も選挙と民主的政府の実現を推進し続けるだろう。もっと良い選択肢を思いつかないからだ。

今回のエジプト政変で、欧米が冷戦時代の価値基準の混乱に後戻りしてしまうのではないかとの懸念が高まっている。当時は米国及び同盟国が軍事政権と手を結ぶのはごく当たり前だった。他の選択肢よりもマシなように思えたからだ。ソビエト連邦の崩壊でこうした、汚らわしい選択からは解放されると考えられていた。だが今回のエジプト政変は、複雑さや混乱、モラルの妥協は国際的な出来事では不幸にも避けられないことを我々に教えてくれている。

By Gideon Rachman



 
 
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エジプト軍、暫定内閣成立急ぐ 早急な治安回復カギ

nikkei.com

2013/7/5 20:56

【カイロ=花房良祐】クーデターに踏み切りモルシ前大統領を解任したエジプト軍は早期に暫定内閣を立ち上げたい方針だ。4日には最高憲法裁判所のマンスール長官を暫定大統領に就任させた。マンスール氏は5日、諮問評議会(上院)の解散を命じたが、経済の低迷で国民の生活水準は悪化しているうえ、民政移管でまごつけば反モルシ派の怒りの矛先は軍にも向かいかねない。

マンスール氏は5日、憲法と内政の顧問に判事を1人ずつ据えた。近く立ち上げる暫定内閣のトップには若者やリベラル層から一定の支持を受け、国際社会の知名度も高い国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ前事務局長の名前が取りざたされている。

エルバラダイ氏はクーデターに踏み切ったシシ国防相兼軍総司令官とすでに協議。このほかケリー米国務長官とも電話会談した。大半の閣僚は政治色の薄いテクノクラートで構成するとの報道もある。

その上で憲法の制定・改正や選挙法の審議など、大統領選挙と議会選挙を実施するために経なければならない手続きは多く、時間との戦いになる。

早急に新たな国造りを進めて経済再建に道筋をつけられなければ、抗議デモの沈静化は期待できないからだ。財政悪化は深刻で、税財政改革も急務。主要な外貨獲得源の観光産業はデモと犯罪の増加で落ち込んでおり、迅速な治安回復が求められている。

軍は2011年2月にもムバラク元大統領を見限る形で辞任に追い込み、実権を握ったが、その後の経済低迷や早期の民政移管を要求する反軍デモが頻発。カイロ中心部のタハリール広場に集まったデモ隊から最高権力者だったタンタウィ前国防相兼軍最高評議会議長の辞任を求める声が上がった。今回、円滑な民政移管に失敗すればこの再現も予想される。

モルシ前大統領の出身母体のイスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」の政治参加についても軍は難しい判断を迫られる。同胞団はクーデターを激しく非難。平和的なデモを呼びかけており、暫定内閣を立ち上げても反発するのは必至だ。また民主化プロセスで再び大統領・議会選挙を実施しても、組織力と資金力で勝る同胞団系が勝利する可能性が高い。

軍はすでに同胞団の幹部らを拘束したと伝えられており、弾圧に動き始めた。同胞団は武装闘争を放棄し、穏健派とされるが、弾圧が続けば活動が地下に潜り、先鋭化する恐れもある。



 
 
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エジプト、暫定大統領が就任 検察はムルシ氏ら捜査

cnn.co.jp

2013.07.05 Fri posted at 10:35 JST

カイロ(CNN) 軍による事実上のクーデターから一夜明けたエジプトで4日、検察が大統領を解任されたムルシ氏と支持母体「ムスリム同胞団」の幹部に対する捜査に着手した。ムルシ氏らが暴動をあおり、デモ参加者の殺害にかかわった疑いがあるとしている。

首都カイロで同日行われた式典では、最高憲法裁判所のマンスール長官が暫定大統領に宣誓就任。マンスール氏は、ムバラク政権を崩壊させた2011年の革命の「修正と是正」を行うと宣言した。

現地からの報道によると、検察トップのアブデル・マキド・マハムード大将は、捜査対象となっているムルシ氏ほか35人に対して出国禁止を命じた。

ムスリム同胞団の報道官によると、大統領警護隊の本部で拘束されていたムルシ氏は、国防省に移送されたという。幹部らの拘束は軍がムスリム同胞団を解体させることを狙ったものであり、「非常に問題がある」と報道官は話している。軍はムルシ氏の居所を明らかにしていない。

ただ、軍は出国を促したものの、ムルシ氏がそれを拒否したとの報道もあり、情報は錯綜(さくそう)している。政府系日刊紙アルアハラムは4日、ムルシ氏が自発的に大統領を辞任することはないと伝えた。

ムスリム同胞団はウェブサイトに掲載した声明で、「選挙で選ばれた大統領と国民の意思に反する軍事クーデーターは断固として認めない。権力を盗み、平和的なデモに対して暴力を行使した支配者にかかわる一切の行動への参加を拒否する」と宣言した。

さらに「ムルシ大統領は、軍の発表した内容は完全なクーデターであり、容認されないと強調している」とした。

一方、ムルシ氏の大統領辞任を求めてデモを組織してきたグループは、野党指導者のエルバラダイ国際原子力機関(IAEA)前事務局長を首相に推すと表明した。

エルバラダイ氏は4日、CNNの取材に対し、ムルシ大統領の解任はクーデターではなく、「2011年の国民蜂起の軌道修正」だとの認識を示した。

大統領選に出馬してムルシ氏に敗れた野党エジプト会議党党首のムーサ・アラブ連盟元事務局長も同様の見方を示し、「これはクーデターではなく、革命だ」と強調。ムルシ大統領の下では民主主義が「不在」だったと述べた。再度の出馬の意向については「これまで何度も、次の大統領選に出馬するつもりはないと断言している」とした。

エジプト軍は同日、国民に平静を呼びかけたが、ムルシ氏支持派と反対派および軍の間で衝突が続き、国営メディアによれば、エジプト全土でこの日だけで少なくとも2人が死亡、100人以上が負傷した。死亡した2人は子どもだったとみられる。

反ムルシ派が集まっていたカイロ中心部のタハリール広場では4日もお祭りムードが続き、人々が上空を飛ぶ軍のヘリコプターに声援を送ったり、音楽やダンスを楽しんだりしていた。ベビーカーを押す女性たちやフェイスペインティングをした子どもたちの姿もあった。

アルアハラムによると、エジプトの株式市場は4日の取引開始直後から7%上昇し、ほぼ2カ月ぶりの高値をつけた。



 
 
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asahi.com 2013年7月5日21時6分

アフリカ連合、エジプトの加盟資格を停止

アフリカ連合(AU)は5日、エジプトの政変を受けて、同国のAUへの加盟資格を停止することを決めた。憲法を無視した政権交代に反発した。AUの平和・安全保障理事会の幹部は「憲法の秩序が回復されるまで、AUの活動へのエジプトの参加を停止する」と語った。(カイロ)



 
 
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asahi.com 2013年07月05日01時12分

「エジプト軍介入支持せず」「国民の選択尊重」各国反応

英国のキャメロン首相は4日、BBCなどに「(エジプト)軍の介入は支持しない。すべての人が参加して真の民主体制に移行することを、英国も同盟国も求めている」と述べた。

また、ヘイグ外相は4日、BBCなどに「公正で民主的なプロセスによって政府をつくることを望む。エジプトが直面している困難な経済情勢を改善することに取り組まなければならない」と述べた。

クレッグ副首相は4日朝のラジオ番組で、「クーデターは支持しない。なるべく早く民主的な政府に戻ることを望む」と話した。(ロンドン=星野真三雄)

    ◇

【北京】中国外務省の華春瑩副報道局長は4日の定例会見で、「中国はエジプト情勢に強い関心を寄せている。我々はエジプト国民の選択を尊重する」と、事態の展開を注意深く見守る姿勢を強調した。「各勢力が暴力を排し、対話を通して対立を解くことを希望する」と自制を求めた。

軍による政権掌握の動きが強まって以来、中国国営中央テレビがカイロからの中継を交えて詳しく報じるなど、メディアも強い関心を示している。2011年の「アラブの春」では、中国でも共産党政権に抗議する運動が呼びかけられていた。

    ◇

ロシア外務省は4日、「自由と民主的な刷新に基づくエジプト国民の正当な要求を支持するというロシアの立場は、基本的に変わりない」とする声明を発表した。そのうえで、「エジプトのすべての政治勢力が自制し、民主的な枠組みで、政治的、社会・経済的な問題の解決を追求することが重要だと考えている」と指摘した。(モスクワ)

    ◇

【ドバイ=村山祐介】トルコのダウトオール外相は4日、イスタンブールで記者会見し、「選ばれた指導者が軍のクーデターで退任させられるのは受け入れられない」とエジプト軍の介入を強く批判した。地元紙ヒュリエットが伝えた。

外相はクーデターについて「深い悲しみ」を表明。「選ばれた指導者の恣意(しい)的な拘束は受け入れられない」とムルシ氏の処遇にも懸念を示した。

外相は今後予定される大統領選や国民議会選挙で「制限や差別なく、全ての政治勢力が参加すべきだ」と述べ、ムルシ氏の出身母体、ムスリム同胞団を排除しないようくぎを刺した。

エルドアン首相率いるトルコの公正発展党は同胞団と思想的に近く、関係を強めていた。トルコでも5月末以降、首相辞任を求める大規模デモが続いている。

    ◇

ムスリム同胞団の影響力が絶対君主政の自国に及ぶのを警戒してきたペルシャ湾岸諸国は、同胞団出身のムルシ大統領に対する軍のクーデターを歓迎する。

アラブ首長国連邦(UAE)の国営通信によると、アブドラ外相は3日、「エジプト国民は困難を乗り越えられると確信している」との声明を出した。UAEでは、同胞団系地下組織に関与したとして弁護士ら69人に国家転覆罪などで有罪判決が出たばかり。外相は「偉大なるエジプト軍は、制度や法が国民すべての層に向けられたものであることを保証する守護者だと再び証明した」とたたえた。

サウジアラビアのアブドラ国王も3日、マンスール暫定大統領に宛てた祝電で、軍最高評議会のシーシ議長が「暗いトンネルからエジプトを救い出した」と称賛し、「我々はシーシ議長に代表される全ての兵士と固く手を握る」と軍が果たした役割への強い支持を表明した。(ドバイ)



 
 
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asahi.com 2013年07月05日01時22分

水買いだめ、退去準備… エジプト政変そのとき日本人は

歓喜と非難が渦巻くエジプト軍のクーデター。局地的な衝突や死者も伝えられ、外務省は危険度を引き上げた。旅行会社はツアーを中止し、国外退去を指示する企業も出始めた。現地で暮らす日本人は、今後の展開を注意深く見守っている。

「水20リットルを買いだめした」。日本貿易振興機構(ジェトロ)カイロ事務所の高宮純一所長(46)は電話取材にこう答えた。事務所は、カイロ中心部の広場から北に約3キロ。商店は通常通り営業しているが、クーデター直前に街中で軍人の検問を受けた。

2年前の民主化運動「アラブの春」の時は、警察署やレストランが燃やされ、民間人も多数死亡した。高宮さんは「冷静に状況を見極め、いつでも国外退去できるよう準備している」と話した。

日本人向けの生活支援サービス会社を経営する水野ヨリ子さんのもとには、「弁当を届けてほしい」という注文が相次いでいる。企業が社員を自宅待機させたり、ホテルに避難させたりしているためだ。

小中学生33人が通うカイロ日本人学校は、不測の事態を避けるために6月30日から臨時休校。クーデター前後に2家族が帰国した。校長の山村良一さん(55)は「先行き不透明で再開の判断が難しい。早く落ち着いてほしい」と願う。

カイロ郊外に子会社を持つ日産自動車は、駐在員5人のうち3人に帰国を指示。総合商社の伊藤忠も、語学留学で現地入りしている社員2人を出国させ、エジプトへの出張は当面見合わせる。パナソニックも駐在員を国外に退避させた。

外務省によると、エジプトに進出している日本企業は58社で、在住日本人は1050人(2011年10月時点)。同省は3日、エジプトほぼ全土への渡航や滞在について出している危険情報を、「十分注意してください」から「渡航の是非を検討してください」に引き上げた。「大統領支持派と反対派の対立が高まる可能性が排除できない」と説明している。

これを受け、JTBは7月末までのエジプトツアーを中止した。約150人が参加予定だったという。

エジプトでは2月にルクソールで気球が墜落し、日本人が死亡する事故もあった。その影響からか、客足はもともと減少気味だった。担当者は「一日も早く混乱が収束し、安全に旅行できる状態に戻ってほしい」と話した。



 
 
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asahi.com 2013年07月05日05時07分

エジプト軍、絶大な存在感 ムスリム同胞団とは敵対関係

【貫洞欣寛】エジプトにおいて軍は、1952年のナセル中佐率いるクーデターで王政を覆して以来、国家機構の中心に座り続けてきた。初代ナギブ大統領以来、ナセル、サダト、ムバラクの歴代軍人大統領を輩出。各県知事(任命制)をはじめとする主要ポストには軍高官が天下りを繰り返してきた。

ムバラク政権の崩壊時には、元空軍司令官のムバラク氏を見限って軍が全権を掌握するかたちを取り、実権を維持。初の民選文民大統領となるムルシ政権が発足すると、新憲法の制定時に軍に対する大統領の権限を弱め、外部の干渉を防ごうとした。

イスラエルとの4度の戦争での兵役などを通じ、軍務経験を持つ市民は多い。軍関連産業の裾野は広く、1千万人が職を得ているとの試算もあり、エジプト社会での存在感は絶大だ。

世俗主義の立場をとる軍は、ムルシ大統領が所属したイスラム組織ムスリム同胞団と長く敵対関係にある。54年に「ナセル氏を暗殺しようとした」として同胞団を非合法化し、激しい弾圧を加えた。同胞団の組織力を警戒したのだ。

ナセル氏を継いだサダト氏はイスラエルと和平を結んだことで、反発するイスラム過激派に暗殺された。穏健路線の同胞団に飽きたらず分派した組織の犯行だった。ムバラク政権は同胞団を危険視し、政権崩壊まで非合法状態のままだった。



 
 
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asahi.com 2013年07月05日11時42分

金曜礼拝迎えるエジプト緊張 ムルシ派も大規模デモ計画

【カイロ=山尾有紀恵、神田大介】軍のクーデターで政権が倒れたエジプトで5日、ムルシ前大統領の出身母体のイスラム政治組織ムスリム同胞団などムルシ支持派と、暫定政府支持派がそれぞれ大規模集会を計画している。軍施設がイスラム武装勢力に襲撃される事件も起き、緊張が高まりつつある。

5日は金曜日で、昼にイスラム教の集団礼拝がある。ムルシ派はカイロ郊外のほかエジプト全土で100万人以上が参加するデモを行い、選挙で選ばれたムルシ氏を強制解任した軍の不当性を訴える。同じ頃、暫定政府派はカイロ中心部のタハリール広場などで集会を開く予定だ。

同胞団は4日、抗議声明を発表。「権力の強奪者とのいかなる活動にも参加しない」として軍主導の暫定政府との協力を拒否した。一方で抗議デモの参加者に「自制し平和的な行動を」と呼びかけ、武力衝突を避ける姿勢を示している。

ムルシ派が泊まり込みのデモを続けるカイロ郊外では4日も数万人が集まり、「神はお怒りだ」などとこぶしを突き上げた。だが、軍については「エジプト人みんなのものだ」。参加者からは「私の弟やおいも軍人。軍を愛している」「もし軍が強制排除に乗り出してもじっと耐える。命を捨てる覚悟はあるが攻撃はしない」といった声も聞かれた。

軍はムルシ派のデモの監視を続けているが、カイロ郊外ではデモ会場から交差点を曲がって数百メートル先に装甲車を置き、デモ隊を刺激しないよう配慮している。

だが、シナイ半島で5日未明、軍施設と警察署がイスラム武装勢力に連続襲撃される事件が起き、ロイター通信によると兵士1人が死亡した。ムルシ氏解任との関連は不明だが、同胞団系ウェブサイトは4日、シナイ半島の部族らが軍に対し、48時間以内にムルシ氏に政権を返すよう警告したと伝えている。

一方、AFP通信によると、エジプト司法当局は4日、軍に拘束されているムルシ氏と同胞団幹部の取り調べを始めたと発表。ムルシ氏らに海外への渡航禁止を命じた。



 
 
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軍が同胞団徹底弾圧、暫定大統領就任…エジプト

【カイロ=井上亜希子】エジプトのモルシ大統領解任から一夜明けた4日、軍は、モルシ氏を引き続き拘束下に置いた上で、出身母体であるイスラム主義組織「ムスリム同胞団」幹部の一斉逮捕など徹底した弾圧に乗り出した。

「モルシ後」の暫定大統領には、軍が指名したアドリ・マンスール最高憲法裁判所長官が正式に就任し、大統領選実施などに当たる暫定政府の準備作業が始まった。

マンスール暫定大統領は4日、最高憲法裁で行われた就任式で、「エジプトの国家制度を維持し、国民の利益を守る」と語った。ロイター通信によると、エルバラダイ前国際原子力機関(IAEA)事務局長が暫定首相に有力視されている。マンスール氏は、ムスリム同胞団に対しても「国づくりをともに行いたいなら歓迎する」と呼びかけ、国民融和路線を前面に打ち出した。

(2013年7月5日01時56分 読売新聞)



 
 
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「貴様も解任だ」モルシ氏亡命拒否、引導渡す

【カイロ=佐藤昌宏】モルシ氏とエジプト軍実質トップのシシ陸軍大将との間では、3日夜の大統領職解任発表直前まで、去就を巡るぎりぎりの綱引きが続いた模様だ。

「あなたはもはや大統領ではない」(シシ氏)

「演説するのは許さん。タンタウィ(元国防相)を解任した時と同様に、貴様も解任してやる」(モルシ氏)

民放テレビ「タハリール・チャンネル」と、政府系紙アル・アハラムは4日、軍消息筋などの話として、シシ氏が3日、大統領解任演説に先立つ約2時間前にモルシ氏と会談し、直接引導を渡したと報じた。

会談場所は、モルシ氏が滞在していたカイロ北東部ヘリオポリスにある「共和国防衛隊」(大統領警護隊)の本部施設内。シシ氏はまず、トルコやカタールといった具体的な国名を挙げ、「亡命」するよう勧告した。だが、モルシ氏がはねつけたため、身柄拘束につながったという。

(2013年7月5日09時58分 読売新聞)



 
 
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エジプト軍、クーデター否定…米の援助は命綱

【カイロ=佐藤昌宏】「エジプトで起きていることは、いかなる基準においてもクーデターではない」

モルシ政権と対立してきた世俗・リベラル派統一勢力「救国戦線」は4日、声明を出し、軍の行動がクーデターではないと主張した。

大統領を解任されたモルシ氏は3日、簡易投稿サイト「ツイッター」などで「これは完全にクーデターだ」と訴えたが、軍は否定している。

クーデターか否かを巡る議論の裏には、軍が毎年、米政府から13億ドル(約1300億円)の援助を得ている事情がある。

この額は予算の20%を占め、軍にとっては命綱だが、米連邦法は「正当な選挙で選ばれた政府が軍事クーデターで廃止された国には、直接的な財政援助を行わない」と定める。

(2013年7月5日10時11分 読売新聞)



 
 
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モルシ氏支持派「拒絶の日」、デモ呼びかけ

【カイロ=井上亜希子】エジプト軍が事実上のクーデターでモルシ大統領を解任したことに対し、モルシ氏の出身母体のイスラム主義組織「ムスリム同胞団」報道官は4日夕(日本時間5日未明)、記者会見し、イスラム教の金曜礼拝が行われる5日を「拒絶の日」と位置づけ、礼拝後のデモを呼びかけた。

デモは、ムスリム同胞団のほか、モルシ氏を支持するイスラム勢力などが連携して計画。軍によるモルシ氏解任や、マンスール暫定大統領就任に反対の意思を示すのが目的で、同胞団は支持者に「自制と平和的な行動」を訴えている。

軍は交流サイト「フェイスブック」を通じ、「秩序を脅かさない限りデモの権利を保障する」との声明を発表し、平和的なデモを容認する姿勢を示す一方、「道路をふさぐなど秩序を脅かすような(デモの)権利の乱用は受け入れられない」と警告した。金曜のデモを念頭に、モルシ氏支持派の動きをけん制しているとみられる。

(2013年7月5日12時02分 読売新聞)



 
 
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アフリカ連合、エジプトの加盟資格を一時停止

【ヨハネスブルク=黒岩竹志】アフリカ連合(AU)は5日、エチオピアで平和安全保障委員会を開き、エジプト情勢について協議し、エジプトのAU加盟資格の一時停止措置を決定した。

AUは、エジプトのモルシ大統領解任を「憲法に反した政権交代」と批判していた。

AUは、昨年3月に軍部がクーデターを起こしたマリに対して加盟資格の一時停止措置をとり、今年3月に反政府勢力が政権を奪取した中央アフリカにも同様の措置をとった。

(2013年7月5日20時42分 読売新聞)



 
 
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国連事務総長、エジプト軍介入に「深刻な懸念」

【ニューヨーク=加藤賢治】国連の潘基文パンギムン事務総長は4日、エジプトのアムル外相と電話会談し、モルシ大統領を解任した軍の介入に「深刻な懸念」を表明、「早期に民政復帰する必要性」を強調した。

また、混乱収拾に向け、すべての政治勢力と対話を行うことを要求した。

(2013年7月5日21時37分 読売新聞)



 
 
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エジプト:軍事クーデター 「同胞団」相次ぎ逮捕

毎日新聞 2013年07月05日 大阪夕刊

【カイロ宮川裕章、秋山信一】エジプト軍は軍事クーデターが起きた3日以降、モルシ前大統領の出身母体である穏健派イスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」の幹部らを、反モルシデモの参加者の殺害をあおったとして逮捕状を取り、最高指導者バディア氏ら同胞団の幹部を相次いで逮捕した。地元メディアなどが伝えた。軍側が同胞団の抵抗を力で抑え込もうとする動きと見られ、今後、同胞団支持者の反発が強まる可能性がある。

AP通信などによると、バディア氏は3日遅くに地中海沿岸のマトルーフ県の別荘で拘束され、ヘリコプターで身柄をカイロに移された。このほか同胞団で大きな影響力を持つとされるナンバー2のシャーテル氏や、前最高指導者のアーキフ氏ら幹部も続々と逮捕された。当局はさらに200人以上の同胞団のメンバーについて逮捕状を取っているという。3日に軍当局に拘束されたモルシ前大統領は、現在も所在は明らかにされていない。

一方、ムスリム同胞団は4日夕、カイロ市内で記者会見を開き、「モルシ大統領こそ、正統性のある選挙で選出された大統領だ」と改めて述べ、反モルシ派と軍によるクーデターを「暴力」と非難した。また暫定政権と協力する意思がないことを強調した。

同胞団スポークスマンのアハマド・アエレフ氏は会見で、「同胞団は国民の一部だ」と繰り返し、国民からの孤立を警戒した。モルシ氏の所在については「無事を確認しているが、どこにいるのかはつかめていない」と語った。

アエレフ氏は会見前の毎日新聞などの取材に「正統性のある我々のデモがなぜ襲われなければならないのか」と軍側を非難。メディアの報道についても「偏っている」と不快感を表した。



 
 
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エジプト:イスラエル「悪い時代終わり」外交再構築に期待

毎日新聞 2013年07月05日 12時13分

【エルサレム大治朋子】隣国イスラエルは事態を注視しているが、公式なコメントは出していない。ただ、ネタニヤフ首相に近い元安全保障外交委員長のハネグビ議員は4日、「誰がエジプトを統治するにせよ(エジプトとの)悪い時代は終わり、外交関係を築くチャンスとなるだろう」と述べ、期待感を示した。

エジプトは1979年、アラブ国家として初めてイスラエルと平和条約を締結し、良好な関係を構築した。だが「反イスラエル」で知られるムスリム同胞団出身のモルシ氏は、昨年11月のイスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザ地区への空爆に抗議して駐イスラエル大使を召還するなど、外交関係は悪化していた。



 
 
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エジプト:モルシ前大統領母体「同胞団」幹部を軍が逮捕

毎日新聞 2013年07月05日 11時52分(最終更新 07月05日 13時16分)

【カイロ宮川裕章、秋山信一】エジプト軍は軍事クーデターが起きた3日以降、モルシ前大統領の出身母体である穏健派イスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」の幹部らを、反モルシデモの参加者の殺害をあおったとして逮捕状を取り、最高指導者バディア氏ら同胞団の幹部を相次いで逮捕した。地元メディアなどが伝えた。軍側が同胞団の抵抗を力で抑え込もうとする動きと見られ、今後、同胞団支持者の反発が強まる可能性がある。

AP通信などによると、バディア氏は3日遅くに地中海沿岸のマトルーフ県の別荘で拘束され、ヘリコプターで身柄をカイロに移された。このほか同胞団で大きな影響力を持つとされるナンバー2のシャーテル氏や、前最高指導者のアーキフ氏ら幹部も続々と逮捕された。当局はさらに200人以上の同胞団のメンバーについて逮捕状を取っているという。3日に軍当局に拘束されたモルシ前大統領は、現在も所在は明らかにされていない。

一方、ムスリム同胞団は4日夕、カイロ市内で記者会見を開き、「モルシ大統領こそ、正統性のある選挙で選出された大統領だ」と改めて述べ、反モルシ派と軍によるクーデターを「暴力」と非難した。また暫定政権と協力する意思がないことを強調し、「平和的な形でデモを続ける」と決意を表明した。

同胞団スポークスマンのアハマド・アエレフ氏は会見で、「同胞団は国民の一部だ」と繰り返し、国民からの孤立を警戒した。結束の中心となるはずのモルシ氏の所在については「無事を確認しているが、どこにいるのかはつかめていない」と語った。

反モルシ派デモが本格化した6月30日以降、同胞団本部など関連施設数カ所が襲撃され、同胞団が運営するテレビ局などのメディアも一時、軍が制圧した。アエレフ氏は会見前の毎日新聞などの取材に「正統性のある我々のデモがなぜ襲われなければならないのか」と軍側を非難。国内外のメディアの報道についても「偏っている」と不快感を表した。



 
 
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エジプト:モルシ氏亡命拒否 政府系紙がクーデター内幕

毎日新聞 2013年07月05日 11時22分(最終更新 07月05日 13時47分)

【カイロ秋山信一】エジプトの政府系紙アルアハラムなど地元メディアは4日、軍がモルシ大統領に退陣を突き付けた1日から2日間の軍事クーデターの内幕を詳報した。軍はモルシ氏にトルコなど海外への亡命を勧めたが、モルシ氏は拒否したという。報道を基にクーデターの軌跡を再現した。

「自ら辞任するなら訴追を免じる。トルコかリビアなど他国へ出国しろ」

シシ国防相は3日、大統領解任の演説をする数時間前、大統領の親衛隊「共和国防衛隊」本部で、自らモルシ氏に権力放棄を迫った。

「ノー」。モルシ氏はかたくなに拒絶した。軍はモルシ氏の身柄を拘束、1年あまりで大統領を追われ、とらわれの身となった。共和国防衛隊員も、軍に連行されるモルシ氏を黙って見守るしかなかった。

反モルシデモの参加者が数十万人に膨れ上がる中、国防相は1日、モルシ氏に最後通告を突き付けた。

「3日夕までの48時間以内にモルシ政権と反モルシ派の対立が解消しなければ、軍が改革のためのロードマップ(行程表)を提示する」

この時点では、軍による政治介入の詳細は明らかではなかった。

2日午後9時半、軍が構想するロードマップの詳細を報道で知ったモルシ氏は激怒した。内容がクーデターの決行だったからだ。

モルシ氏は2日午後11時40分、急きょ国営テレビを通じ国民向けに演説した。「暫定内閣」の設置を野党に呼びかける一方、「政権の正統性を守るためなら戦う覚悟がある」と述べ、軍に強硬姿勢を示した。勇ましい言葉とは裏腹に、疲れた表情で、右目は頻繁にまばたきを繰り返していた。

軍はモルシ氏の演説を「軍に対する挑戦」と判断。モルシ氏が何らかの実力行使に踏み切る可能性があるとみて、翌3日午前2時ごろ、交流サイト「フェイスブック」で「テロリストや過激派勢力から国民を守るため血を流す覚悟がある」と対抗する書き込みをした。

独立系紙アルシュルークによると、モルシ氏は、水面下で軍の懐柔に乗り出していた。モルシ氏は反発を強める軍に対し、国防相の権限強化を申し出たが、軍は拒否。シシ国防相は期限を迎えた3日夜、大統領の解任を発表した。



 
 
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エジプト:クーデター 中東では賛否両論

毎日新聞 2013年07月05日 11時56分(最終更新 07月05日 13時14分)

◇湾岸諸国は理解、トルコやチュニジアは批判

【カイロ秋山信一、ローマ福島良典】エジプトの軍事クーデターについて、欧米諸国が軍の政治介入を「民主化の後退だ」と批判する一方、中東諸国では賛否両論に分かれている。湾岸諸国などは軍の判断に理解を示しているが、イスラム政党が政権を握るチュニジアやトルコは軍を猛烈に批判した。

「軍の介入は受け入れがたい。(モルシ派の)ジャーナリストや政治家が次々に逮捕される現状を懸念している」。チュニジアのマルズーキ大統領は4日、フランスのオランド大統領との共同記者会見で、エジプト軍を非難した。

チュニジアとエジプトは、2011年に民主化要求運動「アラブの春」で独裁政権を崩壊させ、その後、選挙で同胞団系のイスラム政党が勝利した点で共通する。チュニジアの政権与党で穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団系の「アンナハダ」は世俗政党との連立政権を作るなど融和的な政権運営をしているが、今年2月にはアンナハダ批判の急先鋒(せんぽう)だった野党指導者の暗殺事件を契機に大規模な抗議デモを受け、首相の交代を強いられた。

エジプトで軍事クーデターの引き金となった反政権署名活動がチュニジアでも始まるなど、すでに影響は出ており、与党は懸念を深めている。

同様にイスラム政党が政権を握るトルコも4日、懸念を表明した。ロイター通信によると、ダウトオール外相は「民主的に選ばれた政府がクーデターで転覆されるなど受け入れられない」とエジプト軍を批判した。

一方、カタールのタミム首長は4日、サウジアラビアなど他の湾岸諸国と同様に、エジプトのマンスール暫定大統領に祝電を送った。外務省も治安を守ったとしてエジプト軍を称賛した。カタールは同胞団など周辺国のイスラム勢力を支援してきただけに、軍事クーデターへの好意的な反応は意外だと受け止められている。6月下旬に就任したタミム首長が外交政策を軌道修正しようとしている可能性もある。

またエジプトやチュニジアと同様に「アラブの春」で独裁政権が崩壊したリビアのゼイダン首相は4日、訪問先のローマで「エジプト国民の選択を受け入れる」と述べた。



 
 
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ガザ地区:ガソリン供給途絶える エジプト情勢急変で

毎日新聞 2013年07月05日 11時03分(最終更新 07月05日 13時20分)

エジプト情勢の急変を受けて、パレスチナ自治区ガザ地区に不安が広がっている。イスラエルによる封鎖政策が続くガザ地区では、エジプト側からの密輸トンネルを介した物資搬入が「生命線」だが、ガソリン供給が早くも途絶え、市民生活への影響が広がり始めている。【ガザ市(パレスチナ自治区)で大治朋子】

「3週間ほど前から、エジプトのガソリンが入らなくなった。代わりにイスラエルから買っているが、値段は2倍以上で、お客はほとんど来なくなった」。エジプトでマンスール暫定大統領が就任した4日、ガザ市内のガソリンスタンドで働くユーソフ・ジョゼフさん(25)は、浮かない表情で語った。

ガザ地区では6月初旬から、ガソリンを買いだめする市民が急増した。地元のジャーナリストによると、エジプトで同月30日、モルシ大統領が就任1年を迎えるのに合わせ大規模デモが計画されているとの情報がソーシャルメディアなどで流れ、エジプト側からのガソリン供給が途絶える可能性を懸念した市民が殺到。密輸トンネルによる供給量をはるかに上回る需要が続いたという。

さらにその後、エジプト治安当局が取り締まりを強化し、6月中旬ごろから、ガソリン供給は途絶えた。現在はイスラエルから搬入する以外に方法はないが、値段は1リットルあたり約176円で、密輸価格の2倍以上と高額だという。

ガザでは、ハマスが武力制圧した2007年以降、イスラエルが封鎖政策で人や物の出入りを規制し、物資不足のほか停電も慢性化している。このため民家や商店のほか学校や病院など公的施設も、ガソリンを使った発電機で電気を補うのが日常で、ガソリン不足は生活に大きなダメージを与える。買いだめした物資が底を突くのは時間の問題で、小学校教諭のムスタシさん(35)は「学習環境にも影響を及ぼしそうだ」と語った。

ガザ地区を実効支配するイスラム原理主義ハマスの源流はモルシ前大統領の出身母体と同じムスリム同胞団で、大半の「密輸」は、事実上黙認されてきたともいわれる。一方、エジプトでは1月以降、軽油の供給不足が続き、「モルシ政権がガザに無料でガソリンを譲渡している」とのうわさが一部で広まっていた。エジプト側が今後、どのような対応を取るかは不明で、ジョゼフさんは「市民はとても不安になっている」と話した。



 
 
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エジプト:同胞団数万人デモ 暫定政権、憲法宣言へ

毎日新聞 2013年07月05日 20時55分(最終更新 07月05日 21時55分)

【カイロ秋山信一、宮川裕章】軍事クーデターでモルシ前大統領が解任されたエジプトで5日、モルシ氏の出身母体・穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団がクーデターに抗議する数万人規模のデモを行った。軍は平和的デモは容認しているが、反モルシ派との衝突を警戒し装甲車部隊の展開を継続。マンスール暫定大統領が率いる暫定政権は、5日にも停止した憲法に代わる憲法宣言(暫定憲法)を発表するとみられる。

一方、エジプト東部シナイ半島で5日未明に軍検問所が襲撃され兵士1人が死亡、軍はスエズ、南シナイ両県で警戒態勢を強化した。クーデターに抗議するイスラム組織の攻撃との見方もある。

暫定政権は内閣の人選を加速。首相候補にはエルバラダイ国際原子力機関前事務局長やラメズ中央銀行総裁、オクダ前総裁らが挙がっている。

同胞団は4日の声明で「大統領は民主的に選ばれたモルシ氏」と主張。軍主導の暫定政権に協力せずデモを継続する方針を示した。

同胞団が集会の拠点としているカイロ郊外のラバ・アダウィーヤ・モスク周辺には1万人以上が集まり「正統性はモルシにある」と気勢を上げた。同胞団は第2の都市アレクサンドリアなどでも抗議デモを開催した。金曜日はイスラム教の集団礼拝日で群衆が集まるため、治安部隊などとの衝突への発展も懸念される。

地元メディアは軍関係者の情報として、同胞団の最高指導者バディア氏が拘束されたと伝えた。だが同胞団はツイッターで「拘束は未確認」と主張するなど情報戦が起きている。



 
 
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エジプト:同胞団デモに軍発砲か…3人死亡、報道官否定

毎日新聞 2013年07月05日 23時44分(最終更新 07月06日 01時20分)

【カイロ秋山信一、宮川裕章】軍事クーデターによってモルシ前大統領が解任されたエジプトで5日、モルシ氏が拘束中とみられるカイロ近郊の軍施設前で、身柄の解放を求めていたモルシ氏の出身母体・穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団のデモ隊に向かって発砲があり、少なくとも3人が死亡した。AP通信は「共和国防衛隊がデモ隊に発砲した」と報道、AFP通信は「軍とデモ隊の間で銃撃戦になった」としており、情報が錯綜(さくそう)している。軍の発砲であれば「国民の守護者」としての正統性に重大な疑義が生じる事態で、モルシ氏支持者の激しい反発は必至だ。

一方、マンスール暫定大統領が率いる暫定政権は同日、停止した憲法に代わる憲法宣言(暫定憲法)を発表、議会の上院にあたる諮問評議会を解散した。AP通信などによると、発砲事件があったのはカイロ近郊の共和国防衛隊の施設。デモ隊が接近して、周囲に設置された鉄条網にモルシ氏の写真を掲げようとしたところ、発砲を受けたという。軍の報道官は発砲を否定している。

また、地方都市でもモルシ派のデモ隊と治安部隊が衝突したとの情報がある。エジプト東部シナイ半島では同日未明に軍検問所が襲撃され兵士1人が死亡した事件を受け、スエズ、南シナイ両県で警戒態勢を強化。襲撃はクーデターに抗議するイスラム組織の攻撃との見方もある。軍はモルシ派と反モルシ派との衝突を警戒し、装甲車部隊の展開を継続している。

同胞団を中核とするモルシ派は同日、クーデターに抗議し、全国で数万人規模のデモを実施。4日の声明で「大統領は民主的に選ばれたモルシ氏」と主張。軍主導の暫定政権に協力せずデモを継続する方針を示していた。

同胞団が集会の拠点としているカイロ郊外のラバ・アダウィーヤ・モスク周辺には1万人以上が集まり「正統性はモルシにある」と気勢を上げた。同胞団はアレクサンドリアなどでも抗議デモを開催した。



 
 
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エジプト:軍事クーデター 経済失政が命取り 観光低迷、投資は減少 IMF融資も受けられず

毎日新聞 2013年07月05日

【カイロ秋山信一】エジプトで3日発生した軍事クーデターは、経済の低迷などに対する国民の強い不満に後押しされていた。2011年の民主化要求運動「アラブの春」で軍の離反を招きムバラク独裁政権を崩壊させた大規模デモが、初の民主選挙で選出されたモルシ大統領も追い落とした。超法規的な国家元首排除が繰り返され、エジプトは民政復活に向け再び険しい道を歩むことになった。

モルシ氏の「終わりの始まり」は6月30日、就任1年の記念日だった。全土で反政権デモが起き数十万人が辞任を要求。モルシ氏の出身母体・穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団の本部が襲撃された。

こうした事態を受け、軍は1日、モルシ氏らに48時間以内に妥協しなければ介入すると通告した。だが、大統領は2日夜の演説で、自らが留任する挙国一致内閣を提案。軍は「国民の要求に応えていない」と判断し権限を剥奪、同胞団幹部も拘束した。

歴代政権に弾圧された同胞団だったが、昨年1月に終わった人民議会(国会)選挙では第1党に。昨年6月の大統領選決選投票でもモルシ氏が勝利。国民も経済立て直しや民主化推進を期待し昨年8月の支持率は72%に達した。

だが、経済政策の失敗が同胞団政権をつまずかせた。革命の影響で主要産業の観光が低迷し、海外からの投資も減少。国際通貨基金(IMF)からの融資導入を図ったが、条件であるパンや燃料の補助金削減などを決断できなかった。補助金カットは同胞団が支持基盤とする貧困層を直撃する恐れがあった。

新憲法を巡っても野党との対立が先鋭化。国政経験や人材が不足する同胞団政権は状況を打開できなかった。

この結果、治安は悪化し物価は上昇した。12年の殺人は前年比約2・5倍の1885件。食料品価格は2年で約3割上がった。失業者は革命前から100万人増え失業率も12%を超えた。

◇強権対応で国民離反

強まる批判に政権側は強権的に対応し、批判的な活動家やジャーナリストを相次いで「扇動」容疑で拘束。「危機など存在しない」との政権首脳の発言は、生活苦を痛感する国民の支持離れを招き、6月には支持率が25%にまで低下していた。

今後は、大統領選挙に向けた世俗・リベラル派の動向が焦点だ。「反同胞団」では一致したが、昨年の大統領選では候補者乱立で共倒れした。エルバラダイ前国際原子力機関事務局長や前回大統領選に出馬したサバヒ氏ら有力候補の連携が鍵を握りそうだ。

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◇エジプト情勢を巡る経過

1981年  サダト大統領暗殺、ムバラク副大統領が国民投票で大統領就任

2011年−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

1月14日 チュニジアで23年続いたベンアリ政権が崩壊しアラブの春始まる

  25日 エジプト各地でムバラク大統領退陣を求めるデモ

2月11日 ムバラク大統領辞任、軍最高評議会が暫定統治開始

2012年−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

6月30日 民主的選挙で選ばれたモルシ氏が大統領就任

11月22日 モルシ氏が自らに強権を与える暫定憲法発布

12月 8日 モルシ氏が暫定憲法撤回

2013年−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

6月30日 就任1年を迎えたモルシ氏の退陣を求める反政府デモに全土で数十万人参加

7月 1日 軍が緊急声明で48時間以内の政治危機解決を求める最後通告

   2日 大統領府や内閣の報道官らが辞表提出。モルシ氏は演説で辞任拒否

   3日 エジプト軍がクーデター。憲法停止、大統領の権限剥奪



 
 
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エジプトクーデターに国際世論厳しく

nikkei.com

2013/7/6 1:31

【ドバイ=久門武史】モルシ前大統領を解任したエジプトのクーデターに、5日も国際社会からの厳しい反応が目立った。アフリカ連合(AU)はエジプトの加盟資格の停止を決定。ピレイ国連人権高等弁務官はムスリム同胞団幹部の逮捕に懸念を示した。ただ、政権崩壊を歓迎する声もあり、国際社会の評価は割れている。

AU高官は5日、「エジプトが憲法秩序を回復するまで、AUの活動への参加を停止する」と語った。ロイター通信が伝えた。AUは憲法に基づかない政権交代が起きた加盟国の資格を原則として停止している。3月には、反政府勢力が政権を奪取した中央アフリカの資格を停止した。

トルコのダウトオール外相は「選挙で選ばれた政権が軍事クーデターで打倒されることは容認できない」と断じた。

その一方で、内戦が続くシリアのアサド大統領は地元紙のインタビューで「人々は1年でうそに気づいた」とモルシ前政権の崩壊を歓迎。国営シリア・アラブ通信が伝えた。サウジアラビアのアブドラ国王らペルシャ湾岸では祝意の声明が相次いでいる。



 
 
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国防相、前大統領の動き封じる エジプトクーデター

nikkei.com

2013/7/6 1:32

エジプトのモルシ前大統領の政権内にいながら、今回のクーデターで中心的な役割を担ったのがシシ国防相兼軍総司令官(58)だ。シシ氏は先月末のデモ発生後、モルシ氏とカンディール首相と対応を協議。モルシ氏は1年前の大統領選挙で勝利した自らに正統性があると何度も繰り返したという。

危機感を覚えたモルシ氏は自身に近いと思われる複数の軍将校と連絡を模索。軍の分断を図ったが、シシ氏はこれを見抜き、すべての将校に大統領側との接触を禁じた。すでに連絡をとった将校のもとには精鋭部隊を派遣し、警告した。

クーデター決行日の3日正午、大統領の警護を担当する「共和国防衛隊」は任務を放棄し、直後に特殊部隊が現れてモルシ氏を国防省施設に連行した。その際にシシ氏は軍最高司令官でもあるモルシ氏に「トルコかリビアに亡命を」との最後通告を突きつけたが、モルシ氏は拒否。シシ氏は国営テレビの演説で大統領の解任を発表した。

モルシ氏は2012年8月、権力者だったタンタウィ前国防相を更迭し、後任にシシ氏を抜てきした。当時はモルシ氏が軍の人事を断行することで自らの権力基盤を固めようとしているとされた。

シシ氏は信心深いイスラム教徒で妻も全身を覆う黒い衣装「ニカブ」と着用。このためシシ氏はイスラム主義者のモルシ氏と近いとの観測も流れ、軍寄りの地元メディアから批判されたこともある。

1977年にエジプトの軍事アカデミーを卒業した生粋の軍人で、機械化歩兵や軍事情報・偵察の将校などを務めた。イスラエルと戦火を交えた第4次中東戦争を指揮してカリスマとなったムバラク元大統領やタンタウィ前国防相に比べ、実戦経験は少ない。

ただ軍人として英国と米国で学んだ経験があり、米国とのパイプは太いとされる。

(カイロ=花房良祐)



 
 
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エジプト暫定大統領が上院解散 権限掌握強める

nikkei.com

2013/7/6 1:47

【カイロ=押野真也、花房良祐】クーデターが発生したエジプトで5日、マンスール暫定大統領が諮問評議会(上院)の解散を命じた。国営テレビが伝えた。イスラム勢力が多数派を占める上院の解散で、権限掌握をさらに強める。軍に反発するイスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」は同日、エジプト各地で大規模なデモを展開。首都カイロでは治安部隊との衝突で少なくとも3人の死者が出たもようだ。

エジプト上院はムスリム同胞団の傘下にある「自由公正党」が第1党だった。このほか厳格なイスラム主義を唱える「光の党」も加えると、イスラム系政党は議席の6割超を占めていた。

暫定政府はモルシ前大統領が指名した情報庁長官にも交代を命令。権限強化と人事刷新で求心力を高めようとしている。次期議会選挙までの立法機能は、大統領令などで代替するとみられる。

エジプト人民議会(下院)はすでに解散状態にある。暫定大統領が長官を務めていた最高憲法裁判所が昨年6月、選挙法の一部に不備があったとして下院選の無効を宣言。軍が下院解散を命じた。下院解散は、軍がモルシ前大統領との対立を深める一因ともなっていた。

ムスリム同胞団は大規模な抗議デモを通じて、自由選挙で選ばれたモルシ前大統領の正統性を訴えた。5日はイスラム教の金曜礼拝日にあたり、反大統領派もカイロ中心部などで集会を開催。参加者はそれぞれ数千人規模に膨らんでいる。イスラム勢力と反大統領派・軍との衝突が拡大する恐れがある。イスラム勢力のデモ隊に軍が発砲したという情報もある。

エジプトでは5日早朝、イスラム過激派とみられる勢力がシナイ半島の国内空港を襲撃した。シナイ半島ではイスラム過激派の活動が活発になっており、軍は5日、シナイ半島南部と紅海に面するスエズでの警戒情報を発令した。スエズ運河の通航には支障は出ていないという。

クーデター後、軍はモルシ前大統領に加え、ムスリム同胞団の最高指導者であるバディア氏や傘下政党「自由公正党」のカタトニ党首らを相次いで拘束した。軍・治安当局はメンバーら約300人を拘束する方針。クーデターで政権の座から追われ、苦境に陥ったムスリム同胞団は軍への反発を強めている。

1952年の王制打倒後、エジプトでは軍が政権の後ろ盾となる体制が続いてきたが、2011年のムバラク独裁政権の崩壊後は組織力があるイスラム勢力が政権を握った。軍は暫定統治後に大統領選挙・議会選を実施する構えだが、自由選挙ではイスラム勢力が再び多数派を握りかねない。このため、指導者らを徹底的に拘束し、組織的な解体につなげる「頂上作戦」に動き始めた。

軍は同胞団への圧力で政治の安定をはかる構え。ただムスリム同胞団はかつて武力闘争を掲げていた時期があり、今も組織内に軍事部門があるとされる。対立がさらに深まれば、大がかりな衝突に発展しかねない。

アルジェリアでは1991〜92年に軍事クーデターから内戦状態になった事例がある。イスラム勢力が議会で多数派を占めたため、軍がクーデターを決行したが、両者の衝突で10万人以上の死者を出した。



 
 
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フィッチ、エジプトの格付けを1段階引き下げ 見通しも弱含み

nikkei.com

2013/7/6 4:41

【NQNニューヨーク=岩切清司】大手格付け会社のフィッチ・レーティングスは5日、エジプトの長期債務格付けを「シングルB」から「シングルBマイナス」に1段階引き下げた発表した。格付け見通しは「弱含み(ネガティブ)」。同国ではモルシ大統領に辞任を求める大規模なデモが発生。エジプト軍が混乱収拾に乗り出し事実上のクーデターが発生した。フィッチは政治の不安定化が実体経済に与えるリスクを指摘。国際通貨基金(IMF)との間で進めている融資交渉についても「融資を受けるための財政構造改革を進めることが難しくなる」とした。



 
 
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緊迫の首都、響く怒号 エジプトで大規模な衝突

nikkei.com

2013/7/6 10:33

【カイロ=共同】「(軍司令官の)シシ国防相は去れ」。軍によるクーデターで大統領の座を追われたモルシ氏の支持者が叫んだ。火炎瓶が飛び交い、路上の車が燃え上がる。5日夜、モルシ氏支持派と反対派の大規模な衝突が起きたエジプト・カイロ中心部。緊迫した空気が首都を包んだ。

衝突が起きたのは「革命の聖地」と呼ばれるタハリール広場に近い橋の上。モルシ派が橋のたもとにある国営放送ビルに向けて行進した際、反モルシ派との間で衝突が発生、約3時間にわたり投石などが続いた。地元テレビは、オレンジ色の街灯に照らされた現場の様子を中継した。

この日は、モルシ氏の出身母体であるイスラム組織ムスリム同胞団が軍のクーデターに抗議する大規模デモを呼び掛けていた。衝突に先立ち、カイロ近郊ナセルシティーの広場には数万人が集結。エジプト最大の組織を持つ同胞団の存在感を見せつけた。

クーデターに抗議するデモ参加者は「モルシこそわれわれの大統領だ」と声を張り上げた。逮捕が伝えられていた同胞団の最高指導者バディア氏が姿を見せると、広場は大歓声に包まれた。

教師マーヘル・クトゥブさん(25)は「シシは私たちの希望を台無しにした。軍は大統領を守るべき立場にあり、クーデターは断じて認められない」と主張。夜遅くまで続いたデモは、混乱の長期化を感じさせた。



 
 
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米国務長官、エジプトのクーデター時にヨット

nikkei.com

2013/7/6 11:11

【ワシントン=共同】エジプトでクーデターが起きた3日、ケリー米国務長官が地元の東部マサチューセッツ州沖で趣味のヨットを楽しんでいたことが分かった。米メディアが5日伝えた。国務省は当初事実関係を否定していたが、一転して認めた。

長官がヨットに乗っていたのは米東部時間の3日午後。国務省のサキ報道官は同日「全く不正確」な情報と否定し、長官が終日エジプト情勢の対応に取り組んでいたと説明していた。

しかし長官が自分のヨットに乗っている写真も報道され、サキ氏は5日になって長官が「短時間」ヨットに乗っていたことを認めた。

サキ氏は長官がホワイトハウスの会議に電話で参加し、関係国の外相や駐エジプト大使と電話協議するなど対応を怠ることはなかったと強調。しかし米政府当局者によると、長官はヨット上では一切電話をしなかったという。



 
 
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エジプト衝突、死者20人超 同胞団は徹底抗戦へ

nikkei.com

2013/7/6 10:30 (2013/7/6 13:14更新)

【カイロ=押野真也】軍によるクーデターが起きたエジプトで、モルシ前大統領の解任を支持する勢力と反対するグループが5日夜に衝突した。モルシ派と軍との銃撃戦も発生。欧米メディアによると衝突や銃撃戦による死者は全土で20人を超えた。米国は暴力停止を求めたが、モルシ氏の出身母体であるイスラム原理主義組織は徹底抗戦の構えだ。

首都カイロ郊外のナセルシティーではモルシ氏を支持する数万人が軍施設前に集結した。拘束されたモルシ氏がこの施設にいるとの情報を受けて数人が突入を図り、軍との銃撃戦で3人が死亡したという。AP通信によると、北部アレクサンドリアで少なくとも12人が死亡。モルシ氏を批判した人が刺されたり、建物の屋根から突き落とされたりした。両勢力合わせて数万人の市民が集まったカイロで死者が出たとの情報もある。

ナセルシティーのデモでは、当局に一時拘束されたムスリム同胞団最高指導者バディア氏が姿を現し「軍による統治は許さない」と演説。モルシ氏を「大統領宮殿に戻す」と決意を示した。

米国務省のサキ報道官は衝突拡大を非難し、軍とすべての勢力の指導者に暴力阻止に動くよう求めるとの声明を発表した。エジプト軍には「国民の集会の権利を守るよう期待する」と指摘。反政府デモには「平和的な抗議活動」を要請した。



 
 
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エジプト各地で衝突 死者26人、負傷者850人超

cnn.co.jp

2013.07.06 Sat posted at 11:11 JST

カイロ(CNN) 混乱が続くエジプトで5日、解任されたムルシ元大統領の支持派と反対派が各地で激しく衝突し、少なくとも26人が死亡、850人超が負傷した。エジプト国営テレビが伝えた。

今回の衝突は、ムルシ反対派がムルシ氏の解任を祝う大規模な集会を開く中、ムルシ支持派がムルシ氏の復権を求めて各地で大規模なデモを行ったことから発生した。

ムルシ氏の出身母体、ムスリム同胞団系の自由公正党によると、大統領警護隊本部前ではムルシ氏の支持者5人が軍に撃たれ死亡した。同建物にはムルシ氏が拘束されていると見られていた。エジプト保健省は、警護隊本部前の衝突で少なくとも2人が死亡、65人が負傷したと伝えた。

またタハリール広場近くの橋でもムルシ支持派と反対派が、互いに石を投げたり、花火を発射するなど、激しく衝突した。

エジプトでは、3日にムルシ大統領がエジプト軍のクーデターにより解任され、翌4日に最高憲法裁判所のマンスール長官が暫定大統領に就任。エジプト国営テレビは5日、マンスール暫定大統領は諮問評議会(上院)を解散し、さらに新たな情報部門トップを指名したと報じた。

この一連の動きに対し、ムルシ支持派が反発した。

ムスリム同胞団の精神的指導者ムハンマド・バディーウ氏は、カイロのラバ・エル・アダウィーヤ・モスク周辺に集まった数千人の人々に対し、「クーデターは違法であり、われわれはその結果を決して受け入れない」とし、さらに「われわれはここに至るまでに多大な犠牲を払ってきた。過去には絶対に戻らない」と述べ、徹底抗戦を呼びかけた。



 
 
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asahi.com 2013年7月6日1時40分

エジプト全土で大規模デモ 100万人規模、死者も

【カイロ=北川学、神田大介】エジプト軍がクーデターでムルシ大統領を解任したことに対し、ムルシ氏の出身母体のイスラム組織「ムスリム同胞団」などは5日午後、各地で大規模な抗議デモを行った。首都カイロ郊外では軍との衝突で少なくとも3人が死亡したとされ、エジプト全土は緊張に包まれた。

金曜日はイスラム教の集団礼拝日に当たり、民主化運動「アラブの春」が起きた2011年には、金曜日ごとに大規模デモが起きた。同胞団などは「拒絶の金曜日」として、ムルシ氏を解任した軍の不当性を訴えるため、デモ参加を呼びかけた。

礼拝が終わった午後1時すぎ、首都カイロ郊外ナスルシティーでは数万人規模のデモが始まった。参加者は「ムルシは我々の大統領」「イスラムのために身を捧げる」などと叫んだ。参加者の一部は、ムルシ氏が軟禁されているとの情報がある大統領警護隊の本部に向かって行進。英BBCなどによると、デモ隊に対し発砲があり、少なくとも3人が死亡した。ただ、内務省はこの情報を否定した。

デモには全土で100万人以上が加わる見通し。軍や警察はデモ会場の周辺に多数の装甲車を配置するなど警戒態勢を敷いた。

暫定政権を支持する勢力も5日、カイロ中心部のタハリール広場などで、ムルシ政権の崩壊を祝う集会を開いた。

一方、地元メディアによると、暫定政権の首相は近日中にも決まる見通し。エルバラダイ前国際原子力機関事務局長らが候補に挙がっている。また、マンスール暫定大統領は5日、初の大統領令を出し、イスラム派が多数を占める諮問評議会(上院)の解散を命じた。



 
 
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asahi.com 2013年7月6日13時32分

エジプトの衝突拡大、死者30人 ムルシ派など銃撃戦も

【カイロ=北川学】エジプト軍がクーデターでムルシ大統領を解任したことに抗議するムルシ氏支持者の5日の大規模デモは、夜になって暫定政権支持派との衝突が拡大した。AP通信は保健省の話として、全国で少なくとも30人が死亡、210人が負傷したと伝えた。カイロ郊外ナスルシティーでは、6日未明になってもムルシ派の抗議活動が続いた。

北部アレクサンドリアでは5日夜、ムルシ派と暫定政権派の間で銃撃戦が発生し、国営中東通信は消防当局の話として12人が死亡したと報じた。

首都カイロでも5日夕から夜にかけて、数千人のムルシ派が国営放送局に向けて行進。ナイル川にかかる橋を渡り終えたところで、このうち数百人が700メートル離れたタハリール広場に向かった。同広場でムルシ氏の解任を祝っていた暫定政権派が駆けつけ、橋の周辺で衝突。花火を打ち込んだり投石したりして、消防当局によると3人が死亡した。

さらにAFP通信によると、シナイ半島北部のアリーシュで、武装したムルシ派が県庁舎を占拠した。

ムルシ氏の出身母体であるイスラム政治組織ムスリム同胞団のバディウ団長は5日夕、ナスルシティーでの演説で「クーデターは無効だ。すべてのエジプト国民は通りに出てムルシ氏の復職を求めてほしい」とデモ継続を訴えた。バディウ氏は4日に治安当局に逮捕されたとの情報もあったが、同氏は「逮捕されていない」と否定した。

一方、マンスール暫定大統領は5日、初の大統領令を出し、イスラム派が多数を占める諮問評議会(上院)の解散を命じた。



 
 
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asahi.com 2013年07月06日14時51分

キリスト教徒、政権崩壊を歓迎 ムルシ支持派の報復警戒

【カイロ=山尾有紀恵】エジプト人口の約1割を占めるキリスト教の一派コプト教徒は、イスラム系のムルシ氏の大統領職解任を歓迎し、暫定政権支持を鮮明にした。コプト教会はムルシ支持派の報復を恐れ、厳戒態勢を敷いている。

5日朝、由緒正しい教会が集まるオールド・カイロ地区のムアッラカ教会では、コプト教徒らがミサを行った。教会地区周辺にはバリケードが築かれ、銃を持った警官が警戒する。

教会地区の隣は、アムル・イブン・アルアース・モスク。集団礼拝のためにイスラム教徒が集まり始める午前11時前には、コプト教徒らは足早に帰路についた。ナビール・ファラクさん(45)は「イスラム主義者は、クーデターの背後にキリスト教徒がいるとうわさしている。襲撃してくるかもしれない」と話す。

3日夜、声明を発表した軍最高評議会のシーシ議長(国防相)のそばに、コプト教会の法王タワドロス2世がいた。

少数派のコプト教徒は、イスラム主義のムルシ政権下で窮屈な立場を強いられてきた。エジプトでは、教会の建設に大統領の許可が必要だが、ムルシ氏が承認したのは1件のみ。エジプト北部ではイスラム主義者による教会の襲撃も散発した。マルヤムさん(25)は「これまでは怖くて外出を控えていた。経験豊富な政権に戻れば、状況は良くなると思う」と話した。

    ◇

〈コプト教〉 紀元1世紀ごろからエジプトで独自の教義を発展させた東方教会系のキリスト教の一派。エジプトの古代暦であるコプト暦は西暦の9月11日に始まり、クリスマスは1月7日に当たる。信者はエジプト人口(約8千万人)の約1割を占めると言われる。豚肉食や飲酒が許されており、菜食だけが認められる断食などイスラム教徒とは異なる生活習慣を持つ。差別や宗教迫害を訴えるコプト教徒もいる。



 
 
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エジプト前大統領派デモに軍発砲、3人死亡

【カイロ=佐藤昌宏】軍による事実上のクーデターが起きたエジプトで5日、大統領解任などに抗議するモルシ前大統領支持派のデモが全国各地で行われた。

首都カイロでは軍がデモ隊に発砲し、複数の目撃者によると、少なくとも3人が死亡した。

「拒絶の日」と題した抗議行動は、モルシ氏の出身母体であるイスラム主義組織「ムスリム同胞団」などが呼びかけた。軍が発砲したのは、モルシ氏が大統領を解任される直前まで滞在していた、カイロ北東部ヘリオポリスの軍施設「共和国防衛隊」本部前。デモ行進してきた数千人が、モルシ氏は依然として同本部内に拘束されているとみて、「モルシ氏を解放しろ」などと要求したのに対し、軍側は催涙弾や実弾を発射した。デモ隊側が、銃で応戦したとの情報もある。

(2013年7月6日00時45分 読売新聞)



 
 
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エジプト死者17人に…モルシ支持派デモで衝突

【カイロ=井上亜希子】エジプト国営テレビは5日、エジプト保健省の情報として、同日エジプト各地で起きたモルシ支持派によるデモで、軍や反モルシ派との衝突などによる死者が17人に上ったと報じた。

(2013年7月6日06時33分 読売新聞)



 
 
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エジプト各地で衝突、死者30人超…AP

【カイロ=井上亜希子】軍による事実上のクーデターが起きたエジプトで5日夜、解任されたモルシ前大統領の支持派と反モルシ派との衝突がカイロなどで起きた。

AP通信は、同国保健省当局者の話として、同日の支持派と軍や反モルシ派との衝突などによる死者が少なくとも30人に上ったと伝えた。

支持派のデモは、モルシ氏の出身母体であるイスラム主義組織「ムスリム同胞団」などが呼びかけた。カイロではモルシ支持派が中心部タハリール広場に向かい、広場付近の橋などで、反モルシ派と衝突。国営テレビによると、少なくとも2人が死亡した。地元テレビは、デモ参加者が投石したり、車両が炎上したりする場面を伝えた。軍は「デモ参加者の生命を守る」と声明を出し、双方を引き離すため介入する意向を強調、衝突の沈静化を促した。

AFP通信によると、同国第2の都市アレクサンドリアでは両派の衝突で12人が死亡した。衝突は中部アシュートでも起きた。

一方、同胞団の最高指導者ムハンマド・バディア氏は5日夜、カイロで「モルシ氏の大統領復帰が実現するまで、この場に居続ける」と演説した。バディア氏は先に拘束されたと伝えられたが、その後、釈放されたという。

AP通信によると5日夜には、警察が同胞団の最高幹部とされるハイラト・シャーテル副団長を拘束した。ただ、検察当局はすでに拘束されていた同胞団を母体とする自由公正党のカタトニ党首の釈放を指示したという。

一方、エジプト東部シナイ半島北部では警察官5人が武装勢力に射殺された。

(2013年7月6日10時46分 読売新聞)



 
 
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親モルシ派がデモ継続呼びかけ エジプト政変

nikkei.com

2013/7/6 21:08

【カイロ=花房良祐】軍のクーデターが発生したエジプトで、モルシ前大統領の出身母体、イスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」は6日以降もデモを継続するよう呼びかけた。一方、マンスール暫定大統領は5日、同胞団系議員が過半数を占める諮問評議会(上院)に解散を命令。反モルシ派の野党連合「救国戦線」も軍と暫定大統領を支持する集会を続ける構えで、親モルシ派と反モルシ派の対立を解く糸口は見えない。

マンスール暫定大統領は6日、シシ国防相、イブラヒム内務相と大統領府で会談、今後の治安対策などを協議した。一部メディアは同日中にも暫定首相を指名すると報じているが、混乱の収拾につながるかは不透明だ。

政府系紙アルアハラムによると、同胞団傘下の自由公正党は6日、クーデターが覆り、モルシ前大統領が職に復帰するまで抗議を続けるとの声明を公表した。

ロイター通信によると、「アンサール・シャリーア」(イスラム法の支持者)と名乗る新たなエジプトのイスラム過激派が武器を集めて戦闘員を訓練すると宣言。軍の対応は「エジプトのイスラム教に対する宣戦布告」だとした。1990年代のアルジェリアのように軍とイスラム過激派の内戦に陥る危険性も一部で指摘されている。

シナイ半島北部アリーシュではコプト教神父が6日、銃撃されて死亡した。このほか軍の検問所4カ所も襲撃を受けた。アリーシュ周辺はイスラム過激派の活動が活発で、犯行への関与が疑われている。



 
 
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モルシ氏「これはクーデターだ」 解任の瞬間 地元紙報道

東京新聞 2013年7月6日 夕刊

【カイロ=石川保典】「これはクーデターだ」。エジプト軍によりモルシ大統領が解任された時の様子を、地元有力紙が五日付で報じた。

同紙によると、三日午後九時ごろ、軍最高評議会のシシ議長が国営テレビを通じて、憲法停止と暫定政府樹立を声明で発表したのと同時に、三人の軍幹部がモルシ氏のいる部屋に入ってきた。

モルシ氏はいすから立ち上がり、状況を悟ったかのようにかすかに笑って「これはクーデターだ。こんなことは許されない」と二回、繰り返した。解任を告げられると、一緒にいた女性スタッフが泣き始めたという。

地元紙は、軍関係者の情報として、モルシ氏は当時、既に軍の施設に拘束されていたと伝えた。



 
 
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エジプト衝突拡大 イスラム過激派 政府機関を襲撃

東京新聞 2013年7月6日 夕刊

【カイロ=今村実】エジプト軍による事実上のクーデターで、崩壊したモルシ政権の支持派と反対派の衝突が五日、各地に拡大し、ロイター通信などによると首都カイロ、北部アレクサンドリアなどで計三十人が死亡。数百人が負傷した。

シナイ半島では、イスラム過激派とみられる武装勢力による政府機関などへの攻撃が相次ぎ、情勢が緊迫。モルシ前政権を支えた穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団のシャーテル副団長が拘束された。

五日はイスラム教の金曜礼拝日にあたり、同胞団などイスラム勢力が、軍に抗議するデモを全土で実施。反対派も対抗して緊急デモを呼び掛け、緊張が一気に高まった。

地元メディアなどによると、逮捕されたと報じられていた同胞団のバディア最高指導者は、カイロで数万人が参加したイスラム勢力の集会に姿を現した。「われわれの大統領はモルシ氏だ。選挙で選ばれた大統領が復権するまで抗議を続ける」と支持派を鼓舞した。

その後、支持派は数千人が、カイロ中心部のメディアビル前に集結。反対派の数千人が集まった近くのタハリール広場に向けて行進を始め、双方が投石などで衝突した。銃声が聞こえたとの情報もある。軍が装甲車で介入し引き離しを図ったが、二人が死亡した。

北部アレクサンドリアでは十二人が発砲などで死亡。同ベヘイラなどでも衝突が発生し、北東部イスマイリアでは支持派が政府庁舎襲撃を図った。

シナイ半島では、イスラム過激派とみられる武装勢力が政府庁舎を襲撃し、警察官ら三人が死亡した。同半島では五日朝も武装勢力が軍検問所などを攻撃し、情勢が一段と不安定になっている。

マンスール暫定大統領は五日、暫定的に立法権を持ち、イスラム勢力が多数派を占めていた諮問評議会の解散を宣言。地元メディアによると、六日にも暫定首相が発表されるとの見方が出ている。



 
 
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米国務長官 クーデター中 ヨット楽しむ

東京新聞 2013年7月7日 朝刊

【ワシントン=共同】エジプトでクーデターが起きた三日、ケリー米国務長官=写真、ロイター・共同=が地元の東部マサチューセッツ州沖で趣味のヨットを楽しんでいたことが分かった。米メディアが五日伝えた。国務省は当初事実関係を否定していたが、一転して認めた。

長官がヨットに乗っていたのは米東部時間の三日午後。国務省のサキ報道官は同日「全く不正確」な情報と否定し、長官が終日エジプト情勢の対応に取り組んでいたと説明していた。しかし長官が自分のヨットに乗っている写真も報道され、サキ氏は五日になって長官が「短時間」ヨットに乗っていたことを認めた。

サキ氏は長官がホワイトハウスの会議に電話で参加し、関係国の外相や駐エジプト大使と電話協議するなど対応を怠ることはなかったと強調。しかし米政府当局者によると、長官はヨット上では一切電話をしなかったという。



 
 
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エジプト全土への渡航延期を勧告 外務省

nikkei.com

2013/7/6 19:07

外務省は6日、軍によるクーデターが起きたエジプトについて「社会的混乱の拡大が懸念される」として、同国全土への渡航の延期を勧告する「危険情報」を出した。武装勢力の活発な活動が指摘されるシナイ半島に関しては既に渡航延期を勧告していた。



 
 
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なるほドリ・the・World:エジプト、なぜ動乱続き?=回答・坂口裕彦

毎日新聞 2013年07月06日 東京朝刊

◇軍、常に政権に影響力 王制打倒後60年、大統領輩出

なるほドリ エジプトで大統領が辞めさせられたね。

記者 経済が低迷するエジプトでは先月下旬から、モルシ大統領の退陣を求める人たちの大規模デモが拡大していました。前大統領の支持者もデモを開き、国が二つに割れていました。そこへ国軍が、混乱を解決しようと介入しました。モルシ氏は反発したのですが、軍に権限を奪われて軟禁され、大統領を交代させられました。政治経験のない最高憲法裁判所のマンスール長官が暫定大統領になって、国内の各勢力が参加する暫定内閣の組閣作業を進めています。

Q 以前にも大統領が追放された気がするけど。

A 2011年には中東全域に広がった民主化要求運動「アラブの春」で、約30年間も独裁体制を続けたムバラク大統領が退陣に追い込まれました。その際も、出身母体だった国軍の支持を失ったことが決定打となりました。昨年6月の民主的な選挙で、モルシ氏が初めての文民大統領に選ばれるまでの1年以上、国を暫定的に治めたのは国軍でした。

Q 軍の影響力が大きいんだね。

A 国家の中心にいると言っても過言ではありません。軍事クーデターで1952年に王制が倒れてからムバラク氏が政権を追われるまでの約60年間、4人連続で軍人出身者が大統領になっています。イスラエルとの4度にわたる中東戦争を戦った国軍を、多くの国民は信頼しています。

Q 「動乱の歴史」だね。

A 81年には、記念パレードを見ていたサダト大統領が、イスラム過激派の中尉に暗殺されています。モルシ氏も含め過去5人の大統領経験者のうち、クーデターで政権を追われたり、暗殺されたりしなかったのは70年に心臓発作で亡くなったナセル大統領だけです。

Q 混乱は収まりそうなの。

A 平和的、かつ早期の民政移行の実現は予断を許しません。モルシ氏の支持者は、軍の介入に反対する大規模デモを実施しており、緊張した状態が続いています。(外信部)

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掲載ご希望テーマを募集。〒100−8051(住所不要)毎日新聞「なるほドリ the world」係



 
 
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エジプト:「最悪のクーデター」負傷の市民怒り…3人死亡

毎日新聞 2013年07月06日 01時19分(最終更新 07月06日 01時28分)

【カイロ宮川裕章】「最悪のクーデターだ」。軍に解任されたモルシ前大統領の出身母体・穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団のデモ隊が5日発砲を受け、少なくとも3人が死亡したカイロ近郊の現場には、治安当局が発射した催涙ガス弾のにおいが漂い、発砲で負傷したという人々が軍への怒りに震えていた。一部の同胞団関係者が反モルシ派デモの現場に向かっているとの情報もあり、衝突が拡大する懸念が強まった。

午後3時50分(日本時間午後10時50分)ごろ、記者がカイロ市北部の渋滞の中、車で発砲現場に向かっていると、モルシ氏の写真を掲げた約100人のモルシ氏支持派のデモ隊が「私たちは宗教のために身を犠牲にする」と叫びながら追い越して行った。前方にもデモ隊がいる様子だ。

上空を攻撃型の黒っぽいヘリコプターが旋回し、救急車3台が後ろで立ち往生している。

発砲現場に近づく。「ドーン」。突然、複数回の大きな発砲音が聞こえた。左側道を前方から大勢の人が走って逃げて来る。とっさに車を降りて側道に近づくと、約10メートル先の路上に催涙弾が着弾し、白煙を上げた。

望遠レンズをのぞくと、約100メートル先に4〜5台の装甲車が通りをふさぐように横付けされ、車上から銃のようなものを構え発砲する姿が見えた。

側道には、汗まみれになった会計士、アフマド・ネーデルさん(37)が立ち尽くしていた。「ゴム弾と催涙弾の発砲が断続的に続いている。脚を撃たれた」。血で染まった左脚を見せた。

アフマドさんは、「今回のクーデターに正当性がない」と感じ、人生で初めてデモに参加した。

モルシ氏支持派の隊列の先頭を歩いていると、約50メートル前に止まった1台の特殊車両の中から覆面姿の男が銃を向け、いきなり発砲を始めたという。行列のすぐ右側にいた男性が顔中を血だらけにして倒れ、動かなくなった。周囲の20人ぐらいが負傷した。

ネーデルさんは「銃撃したのは軍ではなく内務省の制服だった。今起きているのは最悪のクーデターだ」と吐き捨てるように言った。



 
 
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エジプト:デモ発砲…死者30人に 同胞団と治安部隊衝突

毎日新聞 2013年07月06日 11時52分(最終更新 07月06日 12時10分)

【カイロ秋山信一、宮川裕章】軍事クーデターによってモルシ前大統領が解任されたエジプトで5日、モルシ氏の出身母体・穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団の最高指導者バディア氏が演説、「モルシ氏こそ、我々の大統領だ。軍は国を守る任務に戻れ」と述べ、軍との対決姿勢を鮮明にした。5日には治安部隊と同胞団のデモ隊が衝突するなどして、保健省によると30人が死亡。同胞団と、軍や反モルシ派との亀裂は深まっており、衝突は拡大している。

軍に拘束されていたとの情報もあったバディア氏は、同胞団が6月28日以降、集会を続けているカイロ近郊のモスクで演説。「我々には選挙で選ばれた唯一の大統領がいる。平和的なデモは軍事力に勝る」と述べ、今後もクーデターに抗議するデモを続ける考えを示した。

一方、国営中東通信などによると、同胞団の重鎮シャーテル副団長が扇動容疑で5日拘束された。同様の容疑で拘束中だった同胞団系の自由公正党のカタトニ党首ら幹部2人は釈放された。検察当局は捜査を続けるとしている。

5日夜にはカイロ中心部のタハリール広場近くで、モルシ支持派と反対派のデモ隊が石や火炎瓶を投げて衝突し、3人が死亡した。カイロ大学前にいたモルシ派の約2000人のデモ隊が東進してナイル川の橋を渡り、川沿いにある国営テレビのビル前に座り込んでいたところ、近くにいた反モルシ派と衝突した。

反モルシ派は5日夜もタハリール広場に数千人が集まっていた。軍のヘリコプターが上空を巡回しており、約3時間後に治安部隊の装甲車が両者をへだて収まった。

5日は第2の都市アレクサンドリアや、東部シナイ半島のアリーシュ、ラファなどでも、衝突や武装勢力による襲撃があり、保健省によると全国での死者は少なくとも30人、負傷者は416人に上った。シナイ半島では、治安の混乱に伴いイスラム過激派が伸長。エジプト当局は、同胞団と関係が深いイスラム原理主義組織ハマスが支配するパレスチナ自治区ガザとの境界を封鎖し、厳戒態勢を敷いている。



 
 
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エジプト:各地で衝突、36人死亡 クーデター後最悪

毎日新聞 2013年07月06日 19時27分(最終更新 07月06日 20時49分)

【カイロ秋山信一、宮川裕章】軍事クーデターによってモルシ前大統領が解任されたエジプトで5日、モルシ氏支持派と軍や反モルシ派が各地で衝突し、保健省によると36人が死亡した。3日のクーデター後、1日としては最悪の犠牲者数となった。モルシ氏が拘束中とされるカイロ近郊の軍施設前では、軍が支持派のデモ隊に発砲したとの情報もあり、支持派が反発。軍は発砲を否定しているが、両派の衝突はさらに拡大する可能性がある。

発砲は、デモ隊が施設前の鉄条網に接近し、モルシ氏の写真を掲げようとした際にあり、6人が死亡した。

事件後、モルシ氏の出身母体・穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団の最高指導者バディア氏がカイロ近郊のモスクで演説。「モルシ氏こそ、我々の大統領だ。軍は国を守る任務に戻れ」と訴え、軍との対決姿勢を鮮明にした。



 
 
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エジプト:「モルシこそ大統領」 同胞団トップに大歓声

毎日新聞 2013年07月06日 東京夕刊

【カイロ宮川裕章】「自由を取り戻そう」。穏健派イスラム原理主義組織・ムスリム同胞団の最高指導者バディア氏の呼びかけに、数万の支持者が熱狂した。5日夕(日本時間6日未明)、エジプトの首都カイロ中心部のラバ・アダウィーヤ・モスク前広場。同胞団出身のモルシ前大統領は3日のクーデターで排除されたが、強まる軍の圧力に対抗する姿勢を打ち出した最高指導者に、群衆は大歓声をあげた。

一時、軍が拘束した情報もあった最高指導者バディア氏が演壇上に姿を見せ、言葉を発するごとに、広場を埋め尽くした人々はエジプト国旗とモルシ氏の顔写真を揺らした。バディア氏は「ここに集まったこと自体が勝利だ。モルシは国民全体の大統領だ。大統領復帰までデモを続けよう」と訴えた。

集会は、クーデターに抗議する同胞団のデモ隊に向けた発砲で、6人が死亡した直後に開かれた。バディア氏は「軍は国民に銃を向けてはいけない」と発砲を軍の責任として批判したうえで、「平和的なデモは軍の銃弾より強い」と、武力で対抗しないよう支持者に訴えた。

集会に参加した女性医師、ナリメン・アブドアルサラムさん(29)は「演説でみんなが勇気づけられた。モルシ氏反対派は、軍によるクーデターのような形ではなく、正々堂々と選挙で政権を目指すべきだ。そうしないと民主選挙を実現した2年前の革命の意味がない」と語った。

技師のアブドアルヘーレコさん(39)は「この混乱を解決するには、軍がクーデターを停止して対話するしかない」と訴えた。

バディア氏は、3日以降、軍に拘束されていたとの情報もあった。だが同胞団のスポークスマンは5日、この情報を否定した。



 
 
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シナイ半島:武装勢力拡大 イスラエル、ハマスの攻撃懸念

毎日新聞 2013年07月06日 22時18分(最終更新 07月06日 22時47分)

【エルサレム大治朋子】エジプト情勢の急変を受けて、東部シナイ半島での武装勢力の動きが活発化し、イスラエルとエジプトが神経をとがらせている。エジプト治安当局は5日夜、パレスチナ自治区ガザ地区と接するラファ検問所付近などに厳戒態勢を敷いた。イスラエルとエジプトは、ガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマスや厳格なイスラム原理主義者「サラフィスト」などが、エジプトの混乱に乗じて両国への攻撃を強める事態を強く警戒している。

シナイ半島で活動するサラフィスト武装組織は5日、イスラエル南部エイラートに4日夜、ロケット弾を撃ち込んだとの犯行声明を出した。けが人はないが、住民が爆発音を聞いており、イスラエル軍が確認中だ。声明はエジプト情勢が変化しようとも「聖戦(ジハード)は止められない」などとしている。また、自らを「アンサール・シャリア(イスラム法支持者)」と名乗る新たな武装組織もシナイ半島を拠点に結成され、モルシ政権の強制排除は「イスラム法への宣戦布告だ」と批判、武装闘争を呼びかけている。付近ではエジプト側でも4日から、武装組織が空港のエジプト軍詰め所などを攻撃し、警官計5人が死亡。軍が武装勢力の車両を空爆している。

シナイ半島では武装勢力に強硬姿勢で臨んだムバラク大統領が退陣した2011年ごろから、隣国リビアのカダフィ政権崩壊で流出した武器などで武装した組織による襲撃や誘拐事件が急増。昨年8月には、イスラエル領内への侵入を試みた武装集団がエジプト軍兵士16人を殺害。それに対して、エジプト軍が空爆で武装勢力20人以上を殺害するなど戦闘が激化している。

イスラエルメディアによると、イスラエルはエジプト軍がモルシ大統領の権限を剥奪した翌日の4日朝、高官を派遣し、エジプト軍幹部と協議。モルシ大統領の出身母体ムスリム同胞団の源流をくむハマスの武装勢力が「大統領派支援」のため密輸トンネルなどでエジプト側に侵入するのを阻止するよう警備強化を改めて要請した。エジプト軍は5日、ガザとエジプトの間のラファ検問所を封鎖したほか、双方を結ぶ密輸トンネルも次々と閉鎖している。これに対しハマスは、封鎖に一定程度の協力姿勢を示しているとの情報がある。ハマスはモルシ政権という「後ろ盾」を失い、慎重な対応を求められている。ただ、クーデター直前にハマスの武装組織数十人がエジプト側に侵入したとの報道もある。



 
 
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衝突続くエジプト 首相にエルバラダイ氏有力か

cnn.co.jp

2013.07.07 Sun posted at 13:25 JST

カイロ(CNN) 解任されたムルシ前大統領の支持派と反対派が対立を続けるエジプトで、野党指導者のエルバラダイ国際原子力機関(IAEA)前事務局長の首相就任が有力視されている。

エルバラダイ氏が率いる世俗派の野党勢力「救国共同戦線」は6日、同氏が暫定首相に任命されたとの声明を出した。マンスール暫定大統領の側近はこれを否定したものの、「(同氏の任命は)理にかなった人選」との見方を示した。

暫定大統領側近は、エルバラダイ氏とマンスール氏が同日午後、2時間にわたって会談したことを明らかにし、7日には新たな首相と閣僚が任命されるだろうと述べた。

エルバラダイ氏は昨年の大統領選でいったん出馬を表明したものの、当時の暫定統治体制を批判して撤回した経緯がある。

ムルシ氏の支持派と解任を歓迎する勢力は互いに「民主主義の妨害」を非難し合い、衝突を続けている。同氏が拘束されているとみられる大統領警護隊本部前には前日に続いて多数の支持派が集まり、気勢を上げた。

国営テレビが保健当局情報筋の話として伝えたところによると、5日からの死者は全国で少なくとも計35人、負傷者は1404人に上っている。



 
 
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経済支える観光業に再度の打撃 エジプトの政情悪化

cnn.co.jp

2013.07.07 Sun posted at 15:46 JST

(CNN) ムルシ前大統領を解任するエジプト軍のクーデター発生で、同国経済の主軸の1つである観光業が新たな打撃を受けるのは必至の情勢となっている。

ギザのピラミッド群の貴重な遺跡やナイル川、紅海沿いのリゾート地シャルムエルシェイクなどを抱えるエジプトは世界でも人気が高い観光大国。国連の世界観光機関(UNWTO)によると、同国観光業は労働人口の約10%を集め、昨年は100億米ドルの収益を上げた。現在の為替相場では約1兆100億円相当。

ただ、11年にムバラク元大統領を退任に追い込んだ大規模国民デモの多発などで、観光業界は大きな後退を強いられていた。外国人訪問客数などは10年の1400万人から昨年は1050万人に激減した。

今月1日にはザアゾウ観光相やアムル外相らの閣僚計6人が全国内で拡大するムルシ前大統領支持派と反対派の衝突を受け、辞表を提出した。観光行政を仕切る最高責任者が不在の状態となっている。

エジプト政情の悪化を受け、各国も渡航自粛勧告などを相次いで打ち出した。英国外務省は3日、必要不可欠な場合を除きエジプト旅行を控えるよう新たに勧告。ただ、騒乱発生の報告が少ない沿岸部の一部リゾート地は除外している。

米国務省も不要不急なエジプト訪問や同国内の旅行中止を求める勧告を維持している。

権力を30年間握っていたムバラク旧政権崩壊でさらに混乱したエジプト経済の回復の足取りも遅い。昨年の経済成長率は2%で今年も同一水準が予想されている。しかし、ムバラク元大統領時代と比べれば半分以下の成長率となっている。

燃料不足や停電の頻発、食費高騰などに対する国民の不満は強い。ムバラク政権を打倒した民衆デモは経済成長の果実から締め出されているとの反発が起爆剤ともなっていた。国際労働機関(ILO)によると、エジプト総人口の4分の1の生活費は月50ドル以下で、若年層の約4分の1が失業している。

同国は財政危機にもある。中央銀行によると、今年5月末時点での外貨準備高は推定約160億米ドル。このうちの120億ドルはサウジアラビアやカタール、リビアなど中東の原油生産国からの資金援助分。これらの援助がなくなれば状況はさらに悪化する。

エジプトは過去2年間、50億ドルに近い資金供与をめぐって国際通貨基金(IMF)と交渉していたが、まだまとまっていない。国内企業首脳らはより包括的な国家指導部が誕生すればこの交渉を迅速に成立させることも可能と期待している。



 
 
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asahi.com 2013年7月7日8時38分

エジプト暫定首相にエルバラダイ氏有力 

【カイロ=山尾有紀恵】エジプトの国営中東通信は6日、マンスール暫定大統領がノーベル平和賞受賞者で国際原子力機関(IAEA)前事務局長のエルバラダイ氏を暫定首相に任命し、組閣を要請したと伝えた。ただ、AFP通信は大統領周辺の話として、有力候補ではあるが、まだ正式には任命されていないとしている。

エルバラダイ氏は、世俗、リベラルの主要勢力でつくる「救国共同戦線」を率いている。国際的な知名度が高く、前回の大統領選で有力候補と目されていたが、最終的には出馬を断念した。



 
 
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デモ続くエジプト、モルシ派は徹底抗戦の構え

【カイロ=佐藤昌宏】解任されたモルシ前大統領支持派と反モルシ派の衝突などで30人が死亡したエジプトでは6日、両派によるデモが続いた。

政府系紙アル・アハラム(電子版)によると、事態を重大視したマンスール暫定大統領は6日、混乱収拾に向け、広範な政治勢力との対話に乗り出した。

だが、モルシ氏の出身母体であるイスラム主義組織「ムスリム同胞団」系の自由公正党フセイン・イブラヒム幹事長は、交流サイト「フェイスブック」で、「我が党は、対話に参加しない。軍事クーデターは認めない」と対話拒否の方針を明確にした。モルシ派は6日午後(日本時間7日未明)、拠点としているカイロ北東部ナスルシティーのモスク(イスラム教礼拝所)前に約1万人が集まり、モルシ氏の写真や国旗を振りながら、「モルシ氏が大統領に復帰するまで戦うぞ」などと気勢を上げた。

(2013年7月7日01時19分 読売新聞)



 
 
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「クーデター」避ける米、エジプトで影響力低下

【ワシントン=白川義和】オバマ米政権はエジプト軍による事実上のクーデターに対し、軍からも、モルシ前大統領の出身母体のイスラム主義組織「ムスリム同胞団」からも距離を置き、事態収拾策や明確な姿勢を打ち出さないなど受け身の姿勢を取っている。

米国が求める民主的で統治能力の高い政治勢力はなく、当面は軍が流血の事態を抑え、民政復帰を進めることを促すしかない。米国のエジプトでの影響力低下が改めて浮き彫りになっている。

オバマ大統領は3日の声明で、軍によるモルシ大統領の解任や憲法停止に「深い懸念」を示し、軍が民政復帰を迅速に進めることを求めた。軍事クーデターで樹立された政権への援助を禁止している米連邦法との関連から、エジプト軍への毎年13億ドル(約1300億円)の供与を含む対エジプト援助の見直しも指示した。

一方で、声明は「クーデター」の表現は使わず、軍への厳しい非難を避けた。オバマ政権が恐れるのは、モルシ前大統領派と反対派の対立激化や、イスラム過激派の台頭により、情勢がさらに不安定化する事態だ。軍に対し、直接統治に乗り出す場合は援助を停止すると警告しながら、軍が影響力を維持し、事態を沈静化させることを期待するという複雑な立場にある。

(2013年7月7日10時58分 読売新聞)



 
 
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親モルシ派、デモ継続を呼びかけ エジプト政変

nikkei.com

2013/7/7 1:01

【カイロ=花房良祐】軍のクーデターが発生したエジプトで、モルシ前大統領の出身母体、イスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」は6日以降もデモを継続するよう呼びかけた。反モルシ派は同日、カイロ中心部タハリール広場に軍を支持する数千人規模が集まった。親モルシ派と反モルシ派の対立を解く糸口は見えない。

マンスール暫定大統領は6日、シシ国防相、イブラヒム内相と大統領府で会談、今後の治安対策などを協議した。一部メディアは同日中にも暫定首相を指名すると報じた。

政府系紙アルアハラムによると、同胞団傘下の自由公正党は、クーデターが覆り、モルシ前大統領が職に復帰するまで抗議デモを続けるとの声明を公表した。暫定大統領が呼びかけた政治対話は拒否した格好で、カイロ近郊ナセルシティでは、親モルシ派が抗議集会を続けた。

ロイター通信によると、「アンサール・シャルイーヤ」と名乗るエジプトのイスラム過激派が武器を集めて戦闘員を訓練すると宣言。軍の対応は「エジプトのイスラム教に対する宣戦布告」だとした。1990年代のアルジェリアのように軍とイスラム過激派による内戦に陥る危険性も指摘されている。

シナイ半島北部アリーシュではコプト教神父が6日、銃撃されて死亡した。このほか周辺の軍検問所4カ所も襲撃を受けた。同半島ではイスラム過激派の活動が活発で、犯行への関与が疑われている。



 
 
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中東の民主化に試練 生活苦なお エジプト、公約ほごに怒り

nikkei.com

2013/7/7 2:00

エジプトのクーデターは、中東各国で2010年末から起きた民衆運動「アラブの春」が試練にさらされている現実を浮き彫りにした。革命の熱狂は冷めて、「民主化の果実」を実感できないまま経済の低迷に不満だけが募る。相次ぐ革命で中東地域の政治バランスにも揺らぎが生じ、比較的安定していた独裁体制への回帰を望む声すら上がる。革命から2年半。「パンと自由と正義を」の要求を掲げた民衆運動は、このまましぼむのか。

シシ国防相「もはや、あなたは大統領でない」

モルシ氏「おまえを解任してやる」

3日夜、クーデターの中心的役割を担ったエジプト軍のシシ国防相がモルシ氏の大統領解任を発表する直前まで、2人の緊迫したやり取りが続いていた。エジプト各紙によるとモルシ氏はその直後に拘束され、軍関係者に両脇を捕まれながら大統領府を後にした。

その翌日。エジプトの株価指数「EGX30」の4日終値は前日比7.3%上昇した。株式相場は混乱を嫌気して低迷していたが、「軍主導の統治」に安定への期待がふくらんだ。

停電や食料急騰

国民が選んだ初の大統領だったモルシ氏は、公約を軒並み破った。

「任期中に2千億ドル」の直接投資受け入れを公約したが、12年7月〜13年3月の9カ月間でわずか14億ドル。燃料の安定供給という目標も外貨不足で掛け声倒れに終わり、通貨の急落で輸入に頼る食料価格は軒並み急騰。経済指標はことごとく革命前よりも悪化した。

モルシ大統領と出身母体のイスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」は、革命によって政治の表舞台に突然躍り出た。

まったく行政経験の無いまま政権を担ったが、閣僚に行政の専門家を登用せず同胞団など身内で固めて、国民の意見はモルシ氏に届かなくなった。モルシ氏の強権的な政治手法も国民の目には「独裁政権」と映った。

国民が性急に「アラブの春」の成果を求めた側面もある。経済再建も、民主主義の定着も、相当な時間がかかるものだ。だが国民は、わずか1年でモルシ政権にノーを突きつけた。

軍の指導力期待

国民はモルシ氏に失望し、強い指導力を持つ軍に当面の再建を託した。暫定大統領のマンスール氏や次期大統領ではなく、「彼らの後ろ盾となる軍に期待しているにすぎない」(カイロ大学のサイード教授)。

国民が軍を尊敬するのは、歴史的な背景がある。軍は1952年に「腐敗した宮廷政治」を続けた国王を追放。4度の中東戦争でも「アラブ人の敵」のイスラエルと戦い抜いた。11年に崩壊したムバラク政権まで4代の大統領はすべて軍出身。「軍がバックに付いていたから、大統領の権威は高かった」(同)

アラブの春で、軍はムバラク氏に大統領退陣を迫った。もし軍が政権側に付いて国民に銃を向けたら、内戦に陥る可能性すらあった。軍は「革命の守護者」という新たな信頼も得た。

暫定政府を支える軍は、憲法制定や大統領選の実施に加え、深刻な経済状況の改善に道筋を付ける責任も負う。喫緊の課題は、国際通貨基金(IMF)との48億ドル(約4800億円)の融資交渉をまとめることだ。

マンスール暫定大統領が次期大統領選に出馬するとの見方は少ないが、モルシ政権を倒した勢力にも、イスラム原理主義勢力にも有力な指導者候補は見当たらない。次の指導者が経済を立て直せなければ、再び国民の不満は膨らむだろう。

軍は「軍政復活」の批判をかわすため、背後で暫定政権を支える姿勢を貫く。ただ「軍は国民を最優先に考える善意の組織ではない」(英紙)との見方も根強い。

軍事予算の詳細は公開せず、国営企業やリゾートホテルの経営など軍の特権は莫大だ。軍の影響下で選ぶ次期大統領が軍部の既得権を温存し続ければ、いずれ国民の不満が向く可能性もある。

経済低迷にあえぐ国民の多くは、クーデターによる民主化の後退に目をつぶった。自ら選んだ大統領をわずか1年で超法規的な措置により追い落とした事実は「民主化の汚点」だ。エジプトと似た統治体制の中東・アフリカ諸国にとっても、アラブの春に逆行する「クーデターの連鎖」を招きかねない懸念は大きい。



 
 
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米大統領、エジプトの「特定政党、団体支持せず」

nikkei.com

2013/7/7 19:31

【ワシントン=吉野直也】オバマ米大統領は6日、混乱が拡大するエジプト情勢を巡って米国家安全保障会議(NSC)の電話会合を開き「米国は特定の政党や団体を支持しない」と強調した。モルシ前大統領の解任を支持する勢力と反対するグループの衝突が激化するなか、軍やすべての勢力に自制を促す狙いがある。

オバマ氏は会合で、エジプトの一部で米国が特定の政党と連携しているとの噂があると指摘したうえで、それは「誤った風説だ」と否定した。情勢流動化の原因となっている軍やモルシ派の暴力行為を非難するとともに政治的な混乱が長引くことに懸念を示した。「エジプトの未来を決めることができるのはエジプト人々だけだ」とも語り、早期の文民政権樹立を重ねて求めた。

エジプトで軍によるクーデターが起きてからNSCの開催は3日に続いて2回目。オバマ氏はエジプト情勢の混乱にもかかわらず、5日はワシントン郊外のキャンプ・デービットで友人とゴルフをし、同地をヘリコプターで周遊していた。

米メディアは、こうしたオバマ氏の動静をエジプト情勢と距離を置いていると批判。土曜日の6日にオバマ氏がNSCを開いた背景には、こんな世論の冷ややかな空気が影響している。オバマ氏に加え、ケリー国務長官や国務省の対応にも懐疑的な見方が出ている。

クーデターがあった3日、ケリー氏は地元のマサチューセッツ州でヨットを楽しんでいたが、国務省のサキ報道官はその事実を否定。「終日、エジプト情勢に取り組んでいた」と説明した。後日、米メディアにケリー氏がヨットに乗っていた写真が掲載されると、一転、サキ氏は「短時間ヨットに乗っていた」と事実を認めた。



 
 
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エジプトの混乱、長期化のおそれ 暫定首相の選出作業続く

nikkei.com

2013/7/7 20:04

【カイロ=花房良祐】軍のクーデターが発生したエジプトで、失脚したモルシ前大統領の支持者が7日、前大統領の復権を求める大規模な集会を呼び掛けた。軍は早期の暫定内閣樹立と混乱の収拾を目指しているが、暫定首相の選出作業が依然として続いている。シナイ半島ではパイプラインが爆破されるなど治安悪化への懸念も高まる。エジプト情勢の混乱は長期化する恐れが出てきた。

ロイター通信によると、5日の親モルシ派と反モルシ派などの衝突で死者は36人、負傷者は1000人以上に達した。6日に衝突はいったん小康状態となったが、モルシ前大統領の出身母体、イスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」が再び大規模な抗議集会を7日に呼び掛けたことで、緊迫感が高まっている。

政府系メディアは6日深夜、暫定首相にエルバラダイ国際原子力機関(IAEA)前事務局長が内定したと報じたが、直後に撤回された。エルバラダイ氏はリベラル層と若者から一定の支持を集めるが、議会で第2党だったイスラム政党「光の党」が同氏の登板に反発したため、首相人事は白紙に戻った。

ヘーゲル米国防長官は6〜7日に3回、エジプトのシシ国防相と電話会談。平和的な政権移行を促した。

モルシ前大統領の後任のマンスール暫定大統領はムスリム同胞団に対し、今後の大統領選挙と議会選挙への参加を呼び掛けているが、議会第1党だったムスリム同胞団傘下の「自由公正党」は前大統領の復職を要求。軍主導の民主化プロセスへの参加を拒否している。

リベラル層とイスラム主義者の双方が納得できる候補者の選定は難しく、幅広い支持を集める暫定首相の選出が難航する可能性もある。

国営テレビによると、シナイ半島で6日、ヨルダンに向かう天然ガスのパイプラインが何者かに爆破された。半島ではイスラム過激派の活動が活発で、政情の混乱に乗じてテロを仕掛けたもようだ。シナイ半島ではクーデター後、コプト教神父1人が殺害されたほか、検問所も襲撃されて治安当局関係者が少なくとも5人死亡した。



 
 
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エジプト 両派がデモ呼び掛け

東京新聞 2013年7月7日 朝刊

【カイロ=今村実】エジプト軍による事実上のクーデターで、崩壊したモルシ前政権の支持派と反対派は六日、再びデモを呼び掛けた。地元メディアによると、五日に全土に拡大した両勢力の衝突では少なくとも三十六人が死亡し、負傷者は千人超。六日も北部アレクサンドリアや、隣接するベヘイラで衝突が起きたと伝えられ、事態収束の見通しは立っていない。

モルシ前政権を支えた穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団などイスラム勢力の連合体は、カイロのナスル地区で無期限デモを開始。数千人が集結して軍に抗議し、モルシ氏の大統領への復権を求めている。

反モルシ派は、野党勢力「救国戦線」や市民団体「反乱」が軍の介入を支持するため、七日に全土で大規模デモを呼び掛け、六日から参加を始めるよう支持者に求めた。

ロイター通信によると、五日の衝突は北部アレクサンドリアが最も激しく、十四人が死亡し、二百人が負傷した。カイロのタハリール広場付近でも投石などの衝突で死傷者が出たが、六日午前にはいったん沈静化した。

一方、マンスール暫定大統領は六日、軍最高評議会のシシ議長や各政治勢力の代表者と会談し、移行政府の発足を急いでいる。同日中にも新首相を発表するとの見方がある。

首相には救国戦線の指導者で国際原子力機関(IAEA)の元事務局長エルバラダイ氏や、元中央銀行総裁、旧ムバラク政権時代の首相経験者らの名が取り沙汰されている。



 
 
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エジプト暫定政府の首相指名、一転中止に

【カイロ=佐藤昌宏、井上亜希子】エジプトのマンスール暫定大統領が6日、エルバラダイ前国際原子力機関(IAEA)事務局長(71)を暫定首相に指名しようとしたものの、反モルシ派の一部が反対したため、中止に追い込まれた。

暫定政府樹立をめぐり、同派の「寄り合い所帯」ぶりが早くも露呈した。

マンスール暫定大統領は6日、エルバラダイ氏と会談。政府系の中東通信は同日夜、暫定大統領が同氏を首相に指名し、近く正式発表すると伝えた。

反モルシ派の中核を占める、世俗・リベラル派統一勢力「救国戦線」はエルバラダイ氏を首相か副大統領に起用するよう求めていた。暫定大統領としては同戦線に歩み寄ると同時に、同氏の国際的知名度をいかせると判断した模様だ。

ところが、この数時間後、暫定大統領の報道担当顧問が記者会見し、「エルバラダイ氏は適任者」としながらも「首相職は空席だ」と述べ、報道を打ち消した。

地元ニュースサイト「マスラウィ」によると、反モルシ派内のイスラム教保守派政党「ヌール党」は、同氏が中立的でなく、同党の保守思想を否定していることを理由に反対。暫定大統領は同党の説得にあたらざるを得なくなった。

反モルシ派は、モルシ前大統領の排除では結束したが、世俗的なグループから共産主義者、イスラム教保守思想の信奉者まで多様で、暫定政権のあり方や政策の優先順位は必ずしも一致していない。

(2013年7月7日22時43分 読売新聞)



 
 
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エジプト:暫定首相で亀裂 エルバラダイ氏にヌール党反発

毎日新聞 2013年07月07日 21時57分(最終更新 07月07日 22時14分)

【カイロ秋山信一】軍事クーデターでモルシ前大統領が解任されたエジプトの暫定政権内で、暫定首相人事を巡って内部対立が表面化してきた。国際原子力機関(IAEA)前事務局長のエルバラダイ氏(71)を暫定首相に起用する方向で最終調整が進んでいたが、この案にエジプト第2のイスラム勢力で、暫定政権に協力しているヌール党が強く反発。軍主導の暫定政権は、協力を強く拒むモルシ氏の出身母体・穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団だけでなく、政権内のイスラム勢力への対応にも苦慮している。

一方、7日には同胞団と、反モルシ派の双方が、カイロで大規模なデモを予定しており、両勢力間の緊張も続いている。

国営中東通信は6日、エルバラダイ氏の暫定首相就任を報じた。だが直後に大統領府が「首相人事は決まっていない」と発表。中東の衛星テレビ局アルジャジーラによると、ヌール党は「世俗派のエルバラダイ氏は受け入れられない」と反発し、政権からの離脱を示唆しているという。

軍事クーデターは、世俗・リベラル派を中心とする6月30日の反モルシ政権デモが契機となり、暫定政権も世俗・リベラル派の影響力が強い。だが政権を安定させるには、強固な組織力を誇る同胞団などイスラム勢力との融和が必要だ。ムスリム同胞団に次ぐエジプト第2のイスラム勢力であるヌール党の離脱は、できる限り避けたいのが本音。そのため暫定政権は慎重に協議を続けている。

エルバラダイ氏以外にも、経済の混乱収拾のためにオクダ中央銀行前総裁ら経済の専門家の起用を求める声もある。

一方、同胞団は「モルシ前政権が正統だ」と主張し、クーデターに抗議するデモを続けている。同胞団出身で中東全体に影響力があるカタール在住のイスラム法学者カラダウィ師は6日、「エジプト国民はモルシ氏を支持し、軍は正統性と民主主義を守るために徹底すべきだ」とする宗教令(ファトワ)を出した。

国営中東通信によると、検察当局は6日夜、同胞団ナンバー2のシャーテル氏や、同胞団系自由公正党のカタトニ党首ら同胞団幹部4人について、暴力を扇動した容疑で15日間の拘束を命じた。中東通信は6日にカタトニ党首が釈放されたと報じていたが、拘束は続いていたとみられる。



 
 
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エジプト:復権か殉教か 徹底抗戦誓う同胞団

毎日新聞 2013年07月07日 21時35分(最終更新 07月07日 22時01分)

「復権か殉教か」−−。エジプト軍のクーデターで政権の座を追われたモルシ前大統領の支持母体、穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団のスローガンが、灼熱(しゃくねつ)の夏空に響き渡る。7日、カイロ東部ラバ・アダウィーヤ広場。出入り口にはバリケードが築かれ、ヘルメットやこん棒で身を固めた若者たちが守りについていた。「神に誓ってここから退かない」。数万人に膨れあがるデモ参加者は、クーデターによる政権移行への徹底抗戦を誓っていた。【カイロ樋口直樹】

同胞団はラバ・アダウィーヤ・モスク前の片側5車線道路を1キロ以上占拠。数千人が抗議の座り込みを続ける。午後になるとデモ参加者は数万人に膨れあがり、「(クーデターを主導した)シシ(国防相)は出て行け。正統な大統領はモルシだけだ」と気勢を上げる。「帰る者は敗者。残る者は勝者」との掛け声も。モルシ氏ら最高幹部が次々と軍部に拘束される中、仲間の離反を警戒する心境も垣間見えた。

「自分たちの投票で誕生した大統領(モルシ氏)を守るためにやってきた」。エジプト北部アレキサンドリアから家族5人で駆けつけたエンジニア、アブドル・ハミードさん(51)は「モルシが復権するまで死んでもここを動かない。戦車の前に身を投げる決意だ」と語る。軍部は暫定政権下での政治プロセスに同胞団も参加させる意向だが、「そんなごまかしに乗れるわけがない」と不信感をあらわにした。

治安部隊などとの衝突で死傷者が増える中、広場を守る若者たちにも緊張が走る。「自衛用」の武器としてこん棒や鉄パイプ、ヌンチャクなどを用意。ヘルメットや格闘技用の胴巻きで有事に備えている。路上の所々には投石用の小石も積み上げられていた。「5日の衝突で友人が射殺された」と語る電気工、ムハンマド・ハブーフさん(31)は「あくまで自衛のため。こちらから仕掛けるつもりはない」と強調、「衝突が起きないよう祈っている」と表情を引き締めた。



 
 
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エジプト:暫定内閣、人選進む 抗議続き死者36人に

毎日新聞 2013年07月07日 大阪朝刊

【カイロ樋口直樹、秋山信一】軍事クーデター後に就任したエジプトのマンスール暫定大統領は6日、カイロの大統領宮殿でシシ国防相やイブラヒム内相、野党指導者らと会談し、暫定内閣や憲法修正委員会の人選を進めた。解任されたモルシ前大統領の出身母体・穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団系の自由公正党にも協議への参加を呼びかけたが、自由公正党は拒否した。

暫定首相にはエルバラダイ国際原子力機関(IAEA)前事務局長が有力視されているが、経済立て直しのためオクダ中央銀行前総裁らを推す声も出ている。

一方、同胞団は5日に当局側の銃撃で死亡したデモ参加者の葬儀を営み、参列者はそのまま現場となった共和国防衛隊の施設前に移動し抗議した。エジプトでは5日から同胞団と反モルシ派の衝突が相次ぎ、保健省によると死者は36人、負傷者は1079人に上った。

◇軍は準備周到

【カイロ秋山信一】エジプトの軍事クーデターは早い段階から周到に準備されていたとの見方が強まっている。モルシ前大統領の権限剥奪と同時に軍は、モルシ氏の出身母体ムスリム同胞団が運営するテレビ局を封鎖。警察を管轄する内務省とも連携し、同胞団幹部を次々と逮捕した。しかし、同胞団とモルシ氏支持者の激しい抵抗に軍の計算は狂い、事態収拾のめどは立っていない。

「国防相の演説が終わったと思ったら、すぐに治安部隊が来た。プロデューサーも技術者も逮捕された」。同胞団が運営するテレビ局「エジプト25」の関係者は、クーデターが実行された3日夜の様子を振り返った。

軍や内務省は3日夜、同胞団などイスラム組織が運営する少なくとも六つのテレビ局を封鎖。カタールのテレビ局「アルジャジーラ」による同胞団の集会拠点、ラバ・アダウィーヤ・モスクからの中継も止まった。軍は同胞団の情報発信力を弱めようとしたようだ。同日中に同胞団の関係者300人の逮捕状が用意され、次々と執行された。

軍トップのシシ国防相は6月23日、反モルシ派が30日に大規模デモを計画していることを踏まえ、政権側と反モルシ派の双方に妥協を求めた。軍は遅くともこの時期にはクーデターを想定していたとみられ、30日朝から、装甲車部隊や戦車部隊を主要都市やパレスチナ自治区ガザとの境界付近に展開させた。

デモが拡大した30日夜、メディアは「軍関係者の話」としてデモ参加者数が数百万〜1400万人に上ったと報道。だが、実際には大規模だったカイロのタハリール広場でも100万人には遠く及ばなかった。デモの参加者数を意図的に水増しした可能性がある。



 
 
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エジプト:衝突続く 死者36人

毎日新聞 2013年07月07日 東京朝刊

◇暫定内閣、人選進む

【カイロ樋口直樹、秋山信一】軍事クーデター後に就任したエジプトのマンスール暫定大統領は6日、カイロの大統領宮殿でシシ国防相やイブラヒム内相、野党指導者らと会談し、暫定内閣や憲法修正委員会の人選を進めた。解任されたモルシ前大統領の出身母体・穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団系の自由公正党にも協議への参加を呼びかけたが、自由公正党は拒否した。

暫定首相にはエルバラダイ国際原子力機関(IAEA)前事務局長らが有力視されている。一方、同胞団は5日に当局側の銃撃で死亡したデモ参加者の葬儀を営み、参列者はそのまま現場となった共和国防衛隊の施設前に移動し抗議した。エジプトでは5日から同胞団と反モルシ派の衝突が相次ぎ、保健省によると死者は36人、負傷者は1079人に上った。

◇軍クーデター周到 同胞団排除、手際よく

エジプトの軍事クーデターは早い段階から周到に準備されていたとの見方が強まっている。モルシ前大統領の権限剥奪と同時に軍は、モルシ氏の出身母体・穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団が運営するテレビ局を封鎖。警察を管轄する内務省とも連携し、同胞団幹部を次々と逮捕した。しかし、同胞団とモルシ氏支持者の激しい抵抗に軍の計算は狂い、事態収拾のめどは立っていない。

「国防相の演説が終わったと思ったら、すぐに治安部隊が来た。放送は止められ、プロデューサーも技術者も逮捕された」。同胞団が運営するテレビ局「エジプト25」の関係者は、クーデターが実行された3日夜の様子をこう振り返った。

軍や内務省は3日夜、同胞団などイスラム組織が運営する少なくとも六つのテレビ局を封鎖。カタールのテレビ局「アルジャジーラ」による、同胞団の集会拠点、ラバ・アダウィーヤ・モスクからの中継も止まった。軍は同胞団の情報発信力を弱めようとしたようだ。さらに、同日中に同胞団の関係者300人の逮捕状が用意され、執行された。

軍トップのシシ国防相は6月23日、反モルシ派が30日に大規模デモを計画していることを踏まえ、政権側と反モルシ派の双方に妥協を求めた。軍は遅くともこの時期にはクーデターを想定していたとみられ、30日朝から、装甲車部隊や戦車部隊を主要都市やパレスチナ自治区ガザとの境界付近に展開させた。

デモが拡大した30日夜、メディアは「軍関係者の話」としてデモ参加者数が数百万〜1400万人に上ったと報道。だが、実際には大規模だったカイロのタハリール広場でも100万人には遠く及ばなかった。「民意に基づいた介入」を演出するため、デモの参加者数を意図的に水増しした可能性がある。

だが、同胞団はカイロ近郊のモスクやカイロ大学付近で集会を継続。反モルシ派との衝突も拡大しており、混乱は続いている。【カイロ秋山信一】



 
 
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ひげ そり落とす人続々 同胞団と誤解されるの恐れ

東京新聞 2013年7月8日 朝刊

【カイロ=石川保典】エジプトのモルシ政権が倒れた後、モルシ政権の実権を握っていた穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団のメンバーや支持者と誤解されないよう、イスラム教徒の証しとされるひげをそり落とす人が増えている。同胞団をめぐるエジプト社会の対立の根深さを象徴している。

古着屋が軒を連ねるカイロ市内のブラーク地区の理髪店。カーレンタル業ワリードさん(34)は六日夕、数センチあったひげをすっかりそった。同胞団のメンバーと勘違いされたのが理由だ。

長いひげをはやしていたワリードさんの友人も、バスの中で反モルシ派の乗客と口論になって「おまえのひげを切り落とす」と脅されたと聞き、そることに決めたという。この理髪店では三日間で十五人がひげを落とした。

近くの別の理髪店店主(40)によると、五日にひげをそった男性も、同胞団と誤解されて侮辱的な言葉を浴びせられたと話していたという。店主は「ひげは神への信仰のしるしであり、政治と結び付ける人々がいるのは不幸なことだ」と嘆く。

一方、濃いひげをはやすナーセルさん(47)は「嫌な思いをしても自分はそらない」。その理由については「ひげと政治を一緒くたにするのはおかしいと主張するためだ」と話していた。



 
 
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エジプト 暫定首相指名が難航

東京新聞 2013年7月8日 朝刊

【カイロ=石川保典】軍の介入でモルシ政権が倒れたエジプトは、暫定政権の首相指名が難航している。最有力候補とみられているエルバラダイ前国際原子力機関(IAEA)事務局長の起用をめぐり、軍の介入を支持したイスラム厳格派の政党「光の党」が反対。組閣作業にも入れない状態だ。  国営テレビは六日夜、エルバラダイ氏が首相に選出され、まもなく発表されると伝えた。しかし、ロイター通信によると、光の党の反対で土壇場で見送られた。

光の党は、モルシ政権を支えたイスラム穏健派のムスリム同胞団に次ぐ第二のイスラム勢力。イスラム法の厳格な順守を掲げる原理主義者らがムバラク政権崩壊後に結成し、同胞団とはライバル関係にある。事実上のクーデターとなる軍の介入にはいち早く支持を表明、暫定政権樹立に関与している。

地元紙によると、光の党は、リベラル派の野党勢力でつくる「救国戦線」指導者のエルバラダイ氏について、中立の立場にないなどと反対。同氏を首相にすれば「暫定政権には一切協力しない」と表明した。

マンスール暫定大統領は、移行政権にはイスラム勢力の参加が不可欠とし、七日も協議が続いている。

一方、同胞団は七日も全土での抗議行動を呼び掛けている。

五日に各地で起きた反モルシ派との衝突では、少なくとも三十五人が死亡し、千人以上が負傷。軍や警察は厳戒態勢を取っている。



 
 
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asahi.com 2013年07月08日01時25分

エルバラダイ氏軸に人選 エジプト暫定首相、反対勢力も

【カイロ=山尾有紀恵】ムルシ政権が崩壊したエジプトで、国営メディアは6日、マンスール暫定大統領がノーベル平和賞受賞者で国際原子力機関(IAEA)前事務局長のムハンマド・エルバラダイ氏(71)を暫定首相に任命したと報じた。しかし、直後に大統領府は否定した。7日も協議は続いた模様だが、同氏の起用を巡って、暫定政権を支持する勢力の中に賛否両論があるようだ。

世俗、リベラル勢力による「救国共同戦線」を率いるエルバラダイ氏は6日、大統領府でマンスール氏と会談し、首相就任を打診されたとみられる。エルバラダイ氏が承諾したかは不明。AFP通信によると、大統領府報道官は6日、エルバラダイ氏について「最有力候補で、候補者リストのトップにいる」と認めたが、まだ任命はされていないと述べた。

独立系テレビ局バラド電子版によると、暫定政権支持を表明したイスラム厳格派のヌール党が、エルバラダイ氏の世俗路線は国の二極化を招くとして反対しているという。同党は、政治色のない経済人が首相として望ましいとしている。

軍最高評議会のシーシ議長(国防相)は、3日夜に発表した次期大統領を選出するまでのロードマップ(行程表)で、実務者による暫定内閣を設置するとしている。軍は国際的な知名度が高いエルバラダイ氏を起用し、クーデターによるムルシ大統領解任に懸念を示す米国などの理解を得たい考えとみられる。

エルバラダイ氏は、ムバラク政権が崩壊した2011年のエジプト革命の際、ムバラク氏に退陣を促し、抗議活動に加わった。12年の前回大統領選で、出馬に意欲を示していたが、最終的に立候補を断念した。

暫定首相候補には、ムバラク政権下と革命後の軍政下で首相を務めたガンズーリ氏や中央銀行前総裁のファルク・オクダ氏、オバマ米大統領のグローバル開発評議会議長でエコノミストのムハンマド・エリアン氏の名前も挙がっている。



 
 
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asahi.com 2013年07月08日07時27分

エジプト軍、イスラム系テレビを規制 スタッフら逮捕

【カイロ=神田大介】ムルシ大統領を解任したエジプト軍がイスラム系メディアへの規制を強めている。ムバラク政権を崩壊に追い込んだ2011年の「アラブの春」以降、報道の自由が一気に広がったが、軍の意向に沿わないものは圧力にさらされている。

カイロにあるテレビ局「ミスル25」のスタジオに3日夜、兵士たちが突然侵入した。軍最高評議会のシーシ議長がムルシ氏の解任を発表した直後だった。ニュース番組の生放送中だったキャスターや解説者、スタッフら十数人が逮捕された。翌日釈放されたが、放送は今も禁じられている。

同局はムバラク政権が崩壊した11年に、ムルシ氏の出身母体・ムスリム同胞団によって設立された。ゼネラルマネジャーのハゼム・グラーブさんは、ムバラク政権が報道を厳しく制限していたことに触れながら、「革命前に逆戻りだ。ムルシ政権は反対派デモの報道を禁じなかった。軍は何の説明もしない」と話す。

同じくムルシ氏を支持するイスラム厳格派サラフィー系のテレビ局ハーフェズやナースでもスタッフが逮捕され、放送は休止。カタールの衛星テレビ・アルジャジーラの放送のうち、同胞団幹部の出演が多かったエジプト向け専用局も一時停波し、同胞団系の自由公正新聞も4日から3日間発行されなかった。

ムルシ氏支持派がデモを続けるカイロ郊外には、地上波17局を傘下に持つ国営テレビ局の中継車がアンテナや三脚ごと放置されている。6月28日に始まったデモを連日中継してきたが、3日夜に撤収した。

泊まり込みで参加する会社経営ムハンマド・アリさん(47)は「軍は我々の存在を隠そうとしている」と憤った。



 
 
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asahi.com 2013年07月08日10時32分

エジプト暫定首相に弁護士浮上 イスラム厳格派は反対

【カイロ=山尾有紀恵、神田大介】エジプトの国営中東通信は7日、マンスール暫定大統領は、暫定内閣の首相にエジプト社会民主党創設メンバーで弁護士のジアド・バハイッディン氏の起用を検討していると報じた。だが、イスラム厳格派のヌール党が反対しており、選定はさらに難航しそうだ。

首相有力候補とされていたエルバラダイ国際原子力機関(IAEA)前事務局長は、副大統領への起用が検討されているという。だが、衛星放送アルアラビアは7日夜、暫定政権への支持を表明したヌール党は、バハイッディン氏とエルバラダイ氏の両方の人事案に反対していると伝えた。ヌール党には、世俗派を代表するエルバラダイ氏らが政権内で力を持つことに対する警戒感があり、特定の党派に属さない人物の首相起用を求めている。

一方、暫定政権を支持する勢力は7日夜、カイロ中心部タハリール広場で数万人規模のデモをした。デモ隊は「これは革命だ、クーデターではない」と繰り返し、軍は民意を受け止めただけだと強調。軍最高評議会のシーシ議長(国防相)の写真を掲げ、「シーシありがとう」と叫んだ。上空では軍機7機が編隊飛行をし、スモークでエジプト国旗やハートマークを描いた。

また、エジプト軍の政権奪取に「深い懸念」を表明し、軍事援助の再検討を始めた米国に対し、デモ隊は「アメリカ、恥を知れ」と繰り返した。

また、ムルシ氏支持派も数万人がカイロ郊外ナスルシティーで大規模デモを行った。約1キロ離れた大統領警護隊の本部前でも数千人が「我々は倒れない、ムルシが勝つまで闘う」と声を上げた。同本部にはムルシ氏が軟禁されているとの情報がある。



 
 
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asahi.com 2013年7月8日15時2分

ムルシ派、銃撃され34人死亡か エジプトで抗議行動中

衛星テレビ・アルジャジーラなどによると、カイロの大統領警護隊本部前で8日午前、抗議行動を続けていたムルシ前大統領支持派に対し銃撃があった。前大統領の支持母体・ムスリム同胞団の報道官は「34人が死亡した」と語った。病院関係者は少なくとも15人が死亡したとしている。

一方、エジプト軍は「テロリストグループ」が同本部を襲撃し、兵士1人が殺され、40人が負傷したとしている。同本部にはムルシ氏が軟禁されているとの情報がある。



 
 
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エジプト政変でピラミッドに閑古鳥…観光業打撃

【カイロ=酒井圭吾】軍による事実上のクーデターが起きたエジプトで、主要産業の観光業が打撃を受けている。

カイロ市郊外ギザ市にある「クフ王のピラミッド」では6日、入場者数が84人にとどまった。2010年以前の入場者数は1日平均約600人だった。同国遺跡管理局のアブドルガクトさん(52)は、「こんなに人が来ないのは初めて」と苦笑した。

ピラミッドの観光客はこれまで、邦人客が約半数を占めた。だが、モルシ前大統領の解任を巡る混乱で、日本の外務省は6日、同国全土への渡航延期を勧告する「危険情報」を発令。日本の観光会社によるツアーの中止も相次いだ。

英国など各国も危険情報を引き上げ、同局は「観光客はさらに減るだろう」とみる。国連世界観光機関によると、エジプトの労働人口の約10%が観光業で働く。この業界の低迷が社会不安を加速する懸念は強い。

(2013年7月8日12時38分 読売新聞)



 
 
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エジプト、前大統領去就で緊迫 両派が再び集会

nikkei.com

2013/7/8 1:46

【カイロ=花房良祐】軍のクーデターが発生したエジプトで、失脚したモルシ前大統領の支持者が7日、カイロ近郊で前大統領の復権を求める大規模な集会を開いた。軍は早期の暫定内閣樹立と混乱の収拾を目指しているが、暫定首相の選出作業が依然として続いている。シナイ半島ではパイプラインが爆破されるなど、治安悪化への懸念も強まっている。

ロイター通信によると、5日の親モルシ派と反モルシ派などの衝突で死者は36人、負傷者は1000人以上に達した。6日に衝突はいったん小康状態となったが、モルシ氏の出身母体、イスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」が7日に再び大規模集会を開催。反モルシ派もカイロ中心部タハリール広場に集結しており、緊迫感が高まっている。ヘーゲル米国防長官は7日までに3回、エジプトのシシ国防相と電話会談。平和的な政権移行を促した。

エジプトの政府系メディアは6日深夜、暫定首相にエルバラダイ国際原子力機関(IAEA)前事務局長が内定したと報じたが、直後に撤回された。エルバラダイ氏はリベラル層と若者から一定の支持を集めるが、議会で第2党だったイスラム政党「光の党」が同氏の登板に反発したため、首相人事は白紙に戻ったようだ。

モルシ氏の後任のマンスール暫定大統領はムスリム同胞団に対し、大統領・議会選挙への参加を呼び掛けているが、議会第1党だったムスリム同胞団傘下の「自由公正党」はモルシ氏の大統領職への復帰を要求。軍主導の民主化プロセスへの参加を拒否している。

エルバラダイ氏は7日発行の独誌の取材に、軍の政治介入に理解を示す一方、今後のムスリム同胞団の政治参加は必要との認識を表明。大統領・議会選挙が遅くとも1年以内に実施されるべきだとの見方を示した。

国営メディアによると、シナイ半島で6日、ヨルダン向けの天然ガスパイプラインが何者かに爆破された。7日には半島北部で軍・治安部隊の検問所4カ所が相次いで襲撃された。半島ではイスラム過激派の活動が活発で、政情の混乱に乗じてテロを仕掛けたもようだ。



 
 
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駐米エジプト大使「クーデター起きてない」

nikkei.com

2013/7/8 10:45

【ワシントン=共同】タウフィク駐米エジプト大使は7日、米ABCテレビの番組で「エジプトで軍事クーデターは起きていないし、軍に国家運営されてもいない」と述べ、モルシ前大統領が権限を剥奪されたのは国民が早期選挙を求めて立ち上がった結果だと強調した。

モルシ氏については、民主的な選挙により選ばれ、自身も支持していたと語る一方、大規模デモが起きた後も「支持者の宗教的熱狂をあおって、暴力を拡大させた」と批判。「大多数のエジプト人の利益に沿った行動をせず、自分の派閥だけを見ていた」と突き放した。

モルシ氏の出身母体イスラム組織ムスリム同胞団に対しては「過ちを認め、(選挙による政権移行)プロセスに加わるべきだ」と述べた。



 
 
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エジプト、暫定首相の指名難航 有力候補に反発

nikkei.com

2013/7/8 11:15

【カイロ=押野真也】軍によるクーデターが起きたエジプトで、暫定首相の指名が難航している。国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ前事務局長が暫定首相の有力候補として浮上したが、イスラム系政党が反発しているもようだ。暫定首相が決まらなければ、文民政府に移行できない。政権移行に早くも暗雲が垂れ込めている。

軍は3日にモルシ前大統領を解任してクーデターを実施した後、6日には暫定首相を指名して早期に暫定政府を組織する計画だったが、7日も指名ができなかった。エルバラダイ氏を起用する案に対してイスラム原理主義政党で政権移行プロセスに加わるイスラム厳格派議会第2党の「光の党」が反対を表明。同氏が就任すれば政権移行プロセスから脱退する姿勢を示しているもよう。

エルバラダイ氏は、6月30日の100万人規模のデモを主催した若者主体の運動組織「タマルド(反抗)」が首相候補に推した。圧倒的な知名度があるものの、同氏のリベラルな思想を「イスラム軽視」とみる人も少なくない。

暫定首相が決まらなければ早期の民政移管が遅れる可能性がある。民政移管は憲法改正や大統領選、議会選が前提となる。これらの作業の遅れは欧米諸国から「民主化の後退」「軍政の復活」といった批判を招きかねない。

エジプトのクーデターを巡る世論は分裂が続いている。7日夜にはモルシ氏の支持組織と軍の支持勢力とがそれぞれ数万人規模のデモを実施。軍が警戒にあたったことで大規模衝突には至らなかったが、混乱収拾の兆しは見えていない。



 
 
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「前大統領派に銃撃、15人死亡」 アルジャジーラ報道

nikkei.com

2013/7/8 16:30

【カイロ=共同】中東の衛星テレビ、アルジャジーラによると、エジプトの首都カイロ郊外の軍施設前で8日、座り込みをしていたモルシ前大統領支持者らが銃撃を受け、医療当局者は、少なくとも15人が死亡したと述べた。モルシ氏の出身母体であるイスラム組織ムスリム同胞団の報道担当者は死者数を少なくとも30人としており、情報は錯綜している。

現場は共和国防衛隊施設で、支持者はモルシ前大統領が拘束されているとみて抗議行動を行っていた。一部が施設への侵入を図り、発砲があったとの情報がある。軍が発砲した可能性があるが、確認されていない。

同胞団が激しく反発するのは必至で、治安情勢の流動化も懸念される。ロイター通信によると、事件を受け、イスラム厳格派は暫定政権づくりの協議から撤退すると表明した。



 
 
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「前大統領派に銃撃、死者35人」 エジプト保健省

nikkei.com

2013/7/8 16:56

【カイロ=共同】ロイター通信によると、エジプト保健省報道官は8日、カイロでのモルシ大統領支持者への銃撃による死者は35人と確認した。



 
 
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イスラム台頭の潮目変化 エジプト政変、周辺国に溝

nikkei.com

2013/7/8付

「エジプトを暗いトンネルから救った」(サウジアラビアのアブドラ国王)

「エジプトの独立の足を引っ張る行為だ」(イラン外務省)

■サウジが歓迎

エジプト軍によるモルシ前大統領の排除に関する近隣諸国の反応は「アラブの春」を巡る周辺国の溝をあらわにした。クーデターを喜んだのはサウジやアラブ首長国連邦(UAE)。一方でイランやトルコからは厳しい批判の声が上がった。軍主導の暫定政権づくりが進むエジプトに各国はどう関わっていくのか。揺れ動く地域の政治秩序に大きな影響を与えそうだ。

エジプトでのイスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」の台頭を特に苦々しい思いで見つめていたサウジは、クーデターによる潮目の変化に期待を寄せる。

民主化運動で独裁政権が次々と倒れてから2年。サウジ王制は守勢を余儀なくされた。同国はイスラム教国家であると同時に王族が国を治める政治体制を敷く。イスラム原理主義の台頭に呼応した民主化要求は統治体制への批判にもつながる。2011年には公務員給与の引き上げや住宅ローン拡充などを打ち出し「大盤振る舞い」で波及を防いだ。

イスラム勢力の政治的な台頭を警戒するのはUAEも同じだ。自国内でムスリム同胞団が扇動しているとして弾圧を強化。エジプト軍を「守護者」(アブドラ外相)とたたえた。

対照的に、イスラム勢力の台頭に期待を寄せていたトルコとイランにとってはエジプトのクーデターは「誤算」だ。

米国がエジプトのムバラク政権という強力な同盟相手を失ったスキを突くかのように、イランはアラブ諸国への関与を強めてきた。中でもエジプトに対しては、1979年のイラン革命後の国交断絶以来初となる大統領訪問を今年2月に実現。経済の立て直しを進められず苦境に陥ったモルシ前大統領に資金供与も申し出た。

■トルコは動揺

「選挙で選ばれた政権が軍事クーデターで打倒されることは容認できない」。イスラム色を強めているトルコ・エルドアン政権にも動揺が走る。

穏健派イスラム主義政党を率いるエルドアン首相は「アラブの春」を経てエジプトやチュニジアなどで台頭したイスラム勢力とのパイプ作りに腐心。首脳の相互訪問や貿易強化の枠組み作りを進めてきた。

イスラムの価値と経済発展を両立させるエルドアン政権の国づくりは独裁政権崩壊後のアラブ諸国のモデルと見なされてきたが、最近は大規模な反政府デモが発生。クーデターを容認するわけにはいかない。

エジプトで起きた「アラブの春」の揺り戻しで、サウジやUAEはエジプト新政権への支援を強める可能性が高い。エジプトは国際通貨基金(IMF)の融資交渉に難航しており、新政権も他国の資金に頼らなければ経済の立て直しはおぼつかない。

当てが外れたイランやトルコは巻き返すのか、それとも関係を見直すのかも今後の焦点となる。エジプトの政変は、シリア内戦など様々な問題を抱える中東で新たな反目を生むかもしれない。



 
 
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エジプト軍が群衆に発砲 死者40人、負傷者300人

cnn.co.jp

2013.07.08 Mon posted at 17:30 JST

(CNN) 解任されたムルシ前大統領の支持派と反対派が対立を続けるエジプトの首都カイロで8日午前、軍が大統領警護隊本部前の群衆に発砲し、保健省によると、40人以上が死亡し、300人以上が負傷した。

群衆はムルシ氏の支持派で、同氏が拘束されていると見られる大統領警護隊本部前に集まっていた。

目撃者によると、軍は群集に向けて機関銃や催涙ガスを発射したという。

一方エジプト軍は、武装したテロ集団が警護隊本部を狙って攻撃してきたと発表。国営中東通信(MENA)によると、これまでに銃や火炎瓶などの武器を所持していた200人が逮捕されたという。



 
 
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エジプト政変は「国民の意思」、軍支持派数万人がタハリール広場でデモ

AFP BB News

2013年07月08日 08:22 発信地:カイロ/エジプト

【7月8日 AFP】エジプトの首都カイロ(Cairo)で7日、軍によるムハンマド・モルシ(Mohamed Morsi)前大統領の解任はクーデターではなく、「国民の意思の反映」だと世界に示すために集まった数万人の反モルシ派デモ隊が、タハリール広場(Tahrir Square)を埋め尽くした。

この2日前には、イスラム主義組織出身の前大統領の支持派によるデモが、同国各地で反モルシ派などと衝突し、少なくとも37人が死亡している。その対抗デモとして行われた今回の抗議は、国の暫定指導者たちが新政府樹立に向け奮闘する中、国内情勢をさらに悪化させる要因となった。

群衆の規模が膨らむにつれ、軍用機が次々とカイロ上空をかすめ飛んだ。そのうちの1編隊は、エジプト国旗の色である黒・白・赤の長い煙を空に残し、飛び去った。

マグダと名乗る教師は、「(モルシ前大統領を)打倒したのは、クーデターではなく、国民の革命だったことを世界に示すために、私たちは街頭に集まったのです」と、顔を輝かせて語った。

多くの旗や横断幕が、モルシ氏を支持しているとして米政府を批判したり、同氏の大統領職解任を「クーデター」と呼ぶ米国メディアに対する怒りを表明したりしていた。

バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領はこれに先立つ5日、米国はモルシ前大統領の追放後、エジプトのいかなる政党や組織とも「手を結んでいない」と述べている。(c)AFP/Haitham EL-TABE



 
 
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asahi.com 2013年07月08日01時25分

エルバラダイ氏軸に人選 エジプト暫定首相、反対勢力も

【カイロ=山尾有紀恵】ムルシ政権が崩壊したエジプトで、国営メディアは6日、マンスール暫定大統領がノーベル平和賞受賞者で国際原子力機関(IAEA)前事務局長のムハンマド・エルバラダイ氏(71)を暫定首相に任命したと報じた。しかし、直後に大統領府は否定した。7日も協議は続いた模様だが、同氏の起用を巡って、暫定政権を支持する勢力の中に賛否両論があるようだ。

世俗、リベラル勢力による「救国共同戦線」を率いるエルバラダイ氏は6日、大統領府でマンスール氏と会談し、首相就任を打診されたとみられる。エルバラダイ氏が承諾したかは不明。AFP通信によると、大統領府報道官は6日、エルバラダイ氏について「最有力候補で、候補者リストのトップにいる」と認めたが、まだ任命はされていないと述べた。

独立系テレビ局バラド電子版によると、暫定政権支持を表明したイスラム厳格派のヌール党が、エルバラダイ氏の世俗路線は国の二極化を招くとして反対しているという。同党は、政治色のない経済人が首相として望ましいとしている。

軍最高評議会のシーシ議長(国防相)は、3日夜に発表した次期大統領を選出するまでのロードマップ(行程表)で、実務者による暫定内閣を設置するとしている。軍は国際的な知名度が高いエルバラダイ氏を起用し、クーデターによるムルシ大統領解任に懸念を示す米国などの理解を得たい考えとみられる。

エルバラダイ氏は、ムバラク政権が崩壊した2011年のエジプト革命の際、ムバラク氏に退陣を促し、抗議活動に加わった。12年の前回大統領選で、出馬に意欲を示していたが、最終的に立候補を断念した。

暫定首相候補には、ムバラク政権下と革命後の軍政下で首相を務めたガンズーリ氏や中央銀行前総裁のファルク・オクダ氏、オバマ米大統領のグローバル開発評議会議長でエコノミストのムハンマド・エリアン氏の名前も挙がっている。



 
 
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asahi.com 2013年07月08日07時27分

エジプト軍、イスラム系テレビを規制 スタッフら逮捕

【カイロ=神田大介】ムルシ大統領を解任したエジプト軍がイスラム系メディアへの規制を強めている。ムバラク政権を崩壊に追い込んだ2011年の「アラブの春」以降、報道の自由が一気に広がったが、軍の意向に沿わないものは圧力にさらされている。

カイロにあるテレビ局「ミスル25」のスタジオに3日夜、兵士たちが突然侵入した。軍最高評議会のシーシ議長がムルシ氏の解任を発表した直後だった。ニュース番組の生放送中だったキャスターや解説者、スタッフら十数人が逮捕された。翌日釈放されたが、放送は今も禁じられている。

同局はムバラク政権が崩壊した11年に、ムルシ氏の出身母体・ムスリム同胞団によって設立された。ゼネラルマネジャーのハゼム・グラーブさんは、ムバラク政権が報道を厳しく制限していたことに触れながら、「革命前に逆戻りだ。ムルシ政権は反対派デモの報道を禁じなかった。軍は何の説明もしない」と話す。

同じくムルシ氏を支持するイスラム厳格派サラフィー系のテレビ局ハーフェズやナースでもスタッフが逮捕され、放送は休止。カタールの衛星テレビ・アルジャジーラの放送のうち、同胞団幹部の出演が多かったエジプト向け専用局も一時停波し、同胞団系の自由公正新聞も4日から3日間発行されなかった。

ムルシ氏支持派がデモを続けるカイロ郊外には、地上波17局を傘下に持つ国営テレビ局の中継車がアンテナや三脚ごと放置されている。6月28日に始まったデモを連日中継してきたが、3日夜に撤収した。

泊まり込みで参加する会社経営ムハンマド・アリさん(47)は「軍は我々の存在を隠そうとしている」と憤った。



 
 
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asahi.com 2013年07月08日10時32分

エジプト暫定首相に弁護士浮上 イスラム厳格派は反対

【カイロ=山尾有紀恵、神田大介】エジプトの国営中東通信は7日、マンスール暫定大統領は、暫定内閣の首相にエジプト社会民主党創設メンバーで弁護士のジアド・バハイッディン氏の起用を検討していると報じた。だが、イスラム厳格派のヌール党が反対しており、選定はさらに難航しそうだ。

首相有力候補とされていたエルバラダイ国際原子力機関(IAEA)前事務局長は、副大統領への起用が検討されているという。だが、衛星放送アルアラビアは7日夜、暫定政権への支持を表明したヌール党は、バハイッディン氏とエルバラダイ氏の両方の人事案に反対していると伝えた。ヌール党には、世俗派を代表するエルバラダイ氏らが政権内で力を持つことに対する警戒感があり、特定の党派に属さない人物の首相起用を求めている。

一方、暫定政権を支持する勢力は7日夜、カイロ中心部タハリール広場で数万人規模のデモをした。デモ隊は「これは革命だ、クーデターではない」と繰り返し、軍は民意を受け止めただけだと強調。軍最高評議会のシーシ議長(国防相)の写真を掲げ、「シーシありがとう」と叫んだ。上空では軍機7機が編隊飛行をし、スモークでエジプト国旗やハートマークを描いた。

また、エジプト軍の政権奪取に「深い懸念」を表明し、軍事援助の再検討を始めた米国に対し、デモ隊は「アメリカ、恥を知れ」と繰り返した。

また、ムルシ氏支持派も数万人がカイロ郊外ナスルシティーで大規模デモを行った。約1キロ離れた大統領警護隊の本部前でも数千人が「我々は倒れない、ムルシが勝つまで闘う」と声を上げた。同本部にはムルシ氏が軟禁されているとの情報がある。



 
 
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エジプト、前大統領派に銃撃 51人死亡

和解探る動きも

nikkei.com

2013/7/8 21:49 (2013/7/9 0:51更新)

【カイロ=押野真也】軍がクーデターを起こしたエジプトで、解任されたモルシ前大統領を支持するデモ隊が8日未明(日本時間同日午前)に激しい銃撃を受けた。医療機関関係者によると51人が死亡、1000人以上が負傷した。前大統領を支持するイスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」は国民に「蜂起」するよう呼び掛けるなど、軍と同胞団の対立が一段と先鋭化してきた。

軍報道官は8日夕方に記者会見し、デモ隊参加者の一部が軍施設に向けて投石や発砲を繰り返し、施設内に押し入ろうとしたため応戦したと説明。兵士1人が死亡したことも明らかにした。同胞団が主導するデモ隊は7日午後から、モルシ氏が拘束されているとみられるカイロ郊外の軍施設前で数万人規模の座り込みを続けていた。

同胞団は「平和的なデモ」に対し軍が銃撃を加えたと主張している。銃撃は8日午前4時前後で、イスラム教の礼拝時間と重なり、礼拝中の参加者もいたという。マンスール暫定大統領は真相を究明する委員会を設置する方針を示した。

8日午前には軍がカイロ中心部の主要道路を封鎖。一般車両が移動できず渋滞が続いた。企業の多くは社員を自宅待機にするなど日常生活にも影響が及んだ。

銃撃事件を受け、同胞団は「戦車で革命を奪おうとする勢力(軍)に対する蜂起」を呼び掛けた。同時に「さらなる虐殺」を防ぐため、国際社会に介入を求める声明を発表した。

同胞団は3日に軍がモルシ氏の大統領解任を発表して以降、連日大規模デモを呼び掛けてきた。軍は「平和的に抗議する権利は誰にでも保障される」として容認する姿勢を見せていた。

国内の混乱は民政への移行プロセスにも暗い影を落としそうだ。政権移行プロセスの作成に加わっていたイスラム原理主義政党「ヌール(光)党」は8日、銃撃事件に抗議して協議から離脱する方針を表明した。

プロセス作りには反モルシ派のほか、同胞団と連携してきた同党が参加することで「挙国一致」の暫定政府の発足を目指してきた。同党が離脱すれば、暫定政府は反モルシ陣営のみで組織される公算が大きくなる。

プロセス作りにはすでに遅れが生じている。協議に参加する各勢力の合意が得られず、暫定首相の指名ができない状況が続いている。合意を急ぐため、これまで有力視されていたエルバラダイ国際原子力機関(IAEA)前事務局長ではなく、弁護士のバハーディン氏を首相に起用する案が急浮上している。

死傷者が増えるなか、和解を探る動きも出ている。エルバラダイ氏は8日に交流サイト(SNS)で声明を発表し、暴力の即時停止と国民和解を進める必要があると強調。イスラム教スンニ派の最高権威機関であるアズハルも同日の声明で、国民を和解に導くための委員会設置と政治犯の釈放を要求した。



 
 
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エジプト:デモ隊に発砲、51人死亡

毎日新聞 2013年07月08日 21時06分(最終更新 07月09日 07時52分)

【カイロ秋山信一】軍事クーデターでモルシ前大統領が解任されたエジプトで8日早朝、首都カイロ北東部の軍施設前付近で発砲があった。保健省によると、モルシ派のデモ参加者ら少なくとも51人が死亡、435人が負傷し、3日のクーデター以降、最大の犠牲者を出した惨事となった。軍側は記者会見などで「武装集団が発砲し、デモ隊が投石してきたので応戦した」と説明。モルシ派は「軍側が催涙弾などを発射、衝突に発展し、治安部隊が実弾を使用した」と話しており、双方の主張は大きく食い違っている。

モルシ氏の出身母体・穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団は事件に抗議して、支持者に「インティファーダ(民衆蜂起)」を呼びかけた。治安部隊を管轄する内務省は「治安と安定を脅かしたテロリスト集団を訴追する努力を続ける」と発表。同胞団と軍・治安当局の全面対決に発展する懸念が強まった。

同胞団のバディア最高指導者は声明で、「(内戦が続く)シリアと同じ状況にエジプトを追い込もうとしている」と軍を非難した。国営中東通信によると、マンスール暫定大統領は事件の調査委員会設置を表明した。

発砲事件が起きたのは、首都の政府施設の警護を担当する軍部隊・共和国防衛隊の施設。軍や内務省当局者によると、8日早朝、武装集団の発砲後、デモ隊が投石を始め、軍や治安部隊と銃撃戦になって警官2人と兵士1人が死亡した。国営テレビはデモ隊側が銃器を用意しているとされる映像を放映。同胞団関係者約200人が武器所有容疑で拘束されたと報じた。兵士2人が一時、同胞団側に拘束されたとの情報もある。

一方、同胞団側は、イスラム教の礼拝中に軍側が催涙弾などを発射し、衝突に発展し治安部隊側が実弾を使用したと説明した。死者に子供3人が含まれるとも述べたが、保健省や軍は否定している。

AFP通信は「ならず者」の私服集団がデモ隊を銃撃したとの目撃証言を報じた。

施設にはモルシ氏が一時拘束されていたとの情報があり、5日にもモルシ派のデモ隊に対する発砲事件が起きて、6人が死亡した。

同胞団に次ぐイスラム勢力のヌール党は8日、発砲事件を非難。モルシ氏の解任後に始まった暫定政権樹立協議からの離脱を表明した。広範な国民の支持確保に不可欠なイスラム勢力の取り込みは、極めて困難になった。

イスラム教スンニ派の最高権威アズハルのタイエブ総長は8日、「発砲の独立した調査を行い、48時間以内に国民和解のための委員会を作るべきだ」との声明を発表した。



 
 
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騒乱のエジプト、国軍の歴史と役割

2013年07月08日

2013年7月3日、エジプトで軍部のクーデターが発生。ムハンマド・モルシ大統領が解任された。2年前に続く政変で、再び国軍が自国内で強大な影響力を維持していることを示す形となった。

軍部は2011年にもクーデターを主導、長らく政権の座に就いていたホスニ・ムバラク大統領を解任に追い込んでおり、当時この事件は、アラブ中で巻き起こっていた大規模な反政府運動「アラブの春」における最も劇的かつ重要な政変と言われていた。

7月3日、軍最高司令官アブドル・ファタ・アル・シシ国防相は軍の最高評議会で、2005年までムスリム同胞団の議員団長を務めていたモルシ大統領に対する最後通告を表明、同大統領を解任に追い込んだ。街頭を埋め尽くしているデモ参加者の要求に応え、野党の発言力を高めたより健全な政府を構築しないと、大統領は退陣を余儀なくされることになると告げていたという。

2年前にムバラク政権を打倒してから、軍部は自ら国家の安定を担う保証人に見立て、民衆が苦労して獲得した自由を中立の立場で守っていくという方針を明確にした。モルシ大統領の解任後、膨大な数のデモの参加者が革命の守護者として軍を称賛しているという。

しかし、これほどまでに影響力を拡大しているエジプト軍部の背景は単純ではない。市民社会との歴史的な関係性は、愛国心と自己利益、勝利と敗北が複雑に入り混じっている。

◆独立、革命、敗北

1922年に独立を果たしたエジプト王国だが、旧宗主国イギリスはその後25年間、自国の兵士を配置して間接的な支配体制を続けてきた。

「2つの世界大戦を挟んで、エジプト軍部の影響力は比較的弱かった」とアメリカ、スタンフォード大学で中東の歴史を研究しているジョエル・ベイニン(Joel Beinin)教授は話す。「実質的な支配権はイギリスが握っており、当時のエジプト軍に渡り合えるだけの実力は無かった」。

第ニ次世界大戦中は少数のエジプト軍兵士がイギリス側に立って戦ったが、民衆との結び付きはほとんどなく、政府への影響力もかなり限られていた。状況が変わったのが1948年である。

イスラエルが建国され、アラブ諸国とイスラエルとの最初の戦争である第一次中東戦争が勃発した。何度かの短い停戦を挟み、やがてアラブ諸国の連合軍がイスラエル軍に撃退されてしまう。

「エジプト軍の歴史は、アラブ諸国とイスラエルの紛争との関連で大部分が形作られている」とカリフォルニア大学バークレー校の中東研究学部の学部長を務めるナザール・アッサッヤード(Nezar Al-Sayyad)氏は話す。

イスラエルとの戦いに敗れ、参戦を決めた当時のエジプト君主、ファールーク国王の権威が失墜、エジプト軍は敗北の責任は国王にあるとして糾弾した。1952年にはガマール・アブドゥン・ナーセル率いる自由将校団がクーデターを強行。軍部による王制打倒(後のエジプト革命)によって、現代のエジプトの共和制の基礎が形作られることとなった。

クーデター後は、強いカリスマ性で国民の支持を集めたナーセルの指揮の下、強力な軍隊を目指して近代化を進める。しかし思うように運ばなかった。

北イエメン内戦(1962〜1970年)の際に軍部は、イエメン・アラブ共和国政府軍を支援するためにイエメンに遠征部隊を派遣。多大なコストを支払うことになった。その後の1967年、アラブ諸国とイスラエルとの間で第三次中東戦争(通称「六日戦争」)が勃発。連合軍を指揮したナーセルがイスラエル軍に大惨敗を喫し、エジプト支配下だったシナイ半島を奪われてしまう。

一連の失敗によって軍部の信用は地に墜ちる。「シナイ半島からの撤退の際には、装備を放り出して多数の兵士が逃げ帰ってきた。民衆の間では、軍は嘲笑の的でしかなかった」とアッサッヤード氏は言った。

◆復権と拡大

1970年のナーセル死去の後、クーデターの同志アンワル・アッ・サーダートが後を引き継ぐことになる。まず副大統領に就任したサーダートは、ナーセル派関係者を粛清、政治・経済政策を転換し、六日戦争で疲弊していたエジプト軍の再編に取り組む。

1973年10月には、第四次中東戦争で軍を率い、シナイ半島の奪還を狙った。

3週間後にイスラエル優勢のまま終結したが、エジプト軍は開戦時に多大な戦果を挙げた。1978年には、サーダートとイスラエル首相メナヘム・ベギン、そしてアメリカ大統領ジミー・カーターとの間で交わされたキャンプ・デービッド合意を経て、シナイ半島はエジプトに返還されることとなった。

この成果によってイスラエルの無敗神話は崩れ去り、エジプト軍は国益を守る力を備えた軍隊としての信頼回復を遂げた。

1981年のサーダート暗殺後は、元空軍大将のムバラクが大統領に就任。この頃から軍部はアメリカの支援を受けて近代化を推進し、軍事力を拡大させていった。1990年代にムバラクが経済自由化を推し進めると、アメリカの軍事支援を上回る“配当”を求めるようになる。資本主義への接近である。

「エジプト軍は経済の自由化以降、利益を追求する“企業”のような組織になった」とアッサッヤード氏は言う。

資産価値の高い多数の不動産を所有し、兵士を安価な労働力として徴用、ビジネスを通じて徐々に市民社会に対する影響力を拡大させていく。パン工場から化学プラント、ホテルにいたるまで、保有株式はさまざまな範囲に及んでいた。

アッサッヤード氏によると、エジプトでは軍が保有する官民合同企業がGDPの15〜20%を占めており、軍関係者には強大な資本力に基づいた厚遇が保証されているという。軍の経済力が社会全体に浸透していくにつれ、市民社会への影響力も強まっていったのである。

◆軍隊の目的

「エジプト人の多くは、国益を守るために行動する軍隊だと信じている」とベイニン氏は話す。「しかし近年では国民の期待を良いことに、自分たちの利益を第一に考える組織に変貌してしまった」。

7月4日、モルシ大統領を解任に追い込んだシシ国防相は、「軍隊の目的は国民の願いを叶えることだけだ」と述べた。しかし愛国心からの政治介入なのか、軍上層部の自己利益によって動いているのか、それとも両方を狙っているのか、いずれ歴史によって明らかになるだろう。

Anna Kordunsky and Michael Lokesson for National Geographic News



 
 
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動乱エジプト:アルジャジーラ支局長逮捕 検察「報道で治安に脅威」 即日保釈

毎日新聞 2013年07月08日 東京夕刊

【カイロ秋山信一】エジプトの検察当局は7日、報道によって治安を脅かした容疑で、カタールの衛星テレビ局アルジャジーラ・カイロ支局長のアブデルファタハ・ファイエド氏を逮捕した。ファイエド氏は1万エジプトポンド(約14万4000円)の保釈金を納付して即日保釈された。アルジャジーラはモルシ前政権寄りの報道をしていると批判されてきたが、メディア規制を強める当局に対し「報道の自由の侵害」と批判する声もある。

ファイエド氏は毎日新聞の電話取材に、容疑には無許可取材も含まれていたと明かし、「証拠は何もないし、当然容疑も否認した。取材許可も得ている」と話した。

中東で最も視聴率が高いテレビ局の一つであるアルジャジーラは、一連のエジプト騒乱で、モルシ前大統領の出身母体・穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団のデモを中心に放映し、「同胞団寄りの報道をしている」と批判された。同胞団を支援するカタール政府の意向を受けていたとも言われる。

モルシ前大統領が3日、軍に解任された後には、治安部隊がアルジャジーラのエジプト専門放送局を制圧し、放送が一時休止。反モルシ派の主要なデモ会場であるカイロのタハリール広場には「アルジャジーラはうそつき」と書かれた大きな垂れ幕が掲げられた。

アルジャジーラはクーデター後も、同胞団の集会の中継を続けている。だが時々、「タハリール広場などから中継する努力もしていますが、実現できずに申し訳ありません」という字幕を出すなど批判にも配慮している。

カイロ大学のバラカット・アブドルアジズ教授(メディア論)は「アルジャジーラが反モルシ派に対して攻撃的だったのは確かで、メディアは自主倫理を持たなければならない。しかし報道の自由は民主社会の原則だ」と指摘している。



 
 
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エジプト:反モルシ派が大規模集会 モルシ派も数万人で

毎日新聞 2013年07月08日 12時40分(最終更新 07月08日 13時28分)

【カイロ宮川裕章】エジプトの軍事クーデターで3日解任されたモルシ前大統領の復権に反対する勢力は7日、首都カイロ中心部のタハリール広場で大規模集会を開催、数十万人が参加した。モルシ氏に関しては、出身母体の穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団を中心に軍の介入に反発する声が根強く、支持派数万人も同日、カイロ近郊で集会を開いた。

軍主導で就任したマンスール暫定大統領は7日も暫定政権の組閣作業を続け、エジプトのメディアによると、暫定首相候補としてビジネス関係の弁護士ベハエルディン氏が浮上した。候補となりながらイスラム勢力が反対している国際原子力機関(IAEA)前事務局長のエルバラダイ氏は、副大統領就任案が取りざたされている。

モルシ氏退陣を求めていた若手活動家グループ「6月30日連合」のメンバーは7日、カイロ市内で記者会見した。反モルシ派デモへの参加拡大とムスリム同胞団への徹底対抗を呼びかけた。新政権誕生時に、失業や教育など若者の問題を専門的に扱う「若者委員会」を設立する案を述べた。



 
 
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エジプト:反モルシ派11人に無罪…カイロの裁判所

毎日新聞 2013年07月08日 12時38分

【カイロ樋口直樹】モルシ前エジプト大統領派に対する暴力事件で起訴されていた反モルシ派の活動家ら11人について、カイロの裁判所は7日、無罪判決を言い渡した。ロイター通信が伝えた。著名なブロガーを含む活動家らは、モルシ政権による言論封じだと反論していた。

11人は、今年3月にモルシ氏の支持母体、穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団の本部前で起きた同胞団支持者と反モルシ派の衝突を扇動したとして起訴されていた。この事件では約130人が負傷した。



 
 
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エジプト:アルジャジーラ支局長を逮捕、即日保釈

毎日新聞 2013年07月08日 10時48分(最終更新 07月08日 11時24分)

【カイロ秋山信一】エジプトの検察当局は7日、報道によって治安を脅かした容疑で、カタールの衛星テレビ局アルジャジーラ・カイロ支局長のアブデルファタハ・ファイエド氏を逮捕した。ファイエド氏は1万エジプトポンド(約14万4000円)の保釈金を納付して即日保釈された。アルジャジーラはモルシ前政権寄りの報道をしていると批判されてきたが、メディア規制を強める当局に対し「報道の自由の侵害」と批判する声もある。

◇検察「報道で治安に脅威」

ファイエド氏は毎日新聞の電話取材に、容疑には無許可取材も含まれていたと明かし、「証拠は何もないし、当然容疑も否認した。取材許可も得ている」と話した。

中東で最も視聴率が高いテレビ局の一つであるアルジャジーラは、一連のエジプト騒乱で、モルシ前大統領の出身母体・穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団のデモを中心に放映し、「同胞団寄りの報道をしている」と批判された。同胞団を支援するカタール政府の意向を受けていたとも言われる。

モルシ前大統領が3日、軍に解任された後には、治安部隊がアルジャジーラのエジプト専門放送局を制圧し、放送が一時休止。反モルシ派の主要なデモ会場であるカイロのタハリール広場には「アルジャジーラはうそつき」と書かれた大きな垂れ幕が掲げられた。

アルジャジーラはクーデター後も、同胞団の集会の中継を続けている。だが時々、「タハリール広場などから中継する努力もしていますが、実現できずに申し訳ありません」という字幕を出すなど批判にも配慮している。

カイロ大学のバラカット・アブドルアジズ教授(メディア論)は「アルジャジーラが反モルシ派に対して攻撃的だったのは確かで、メディアは自主倫理を持たなければならない。しかし報道の自由は民主社会の原則で、守られるべきだ」と指摘している。



 
 
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エジプト:「政権崩壊、軍が世論分析で介入準備」野党党首

毎日新聞 2013年07月08日 18時30分(最終更新 07月09日 08時00分)

【カイロ秋山信一】エジプトのモルシ前大統領の解任を支持する主要政治勢力「国民救済戦線(NSF)」の有力指導者である自由エジプト人党のアフメド・サイード党首が6日、毎日新聞のインタビューに応じた。モルシ氏の解任に関し、「独自に世論を分析して、国民が政権崩壊を望んでいると判断した軍が、事前に介入の準備を進めていた」との見方を示した。

サイード氏によると、NSFにはクーデター当日の3日に初めて軍から連絡があり、モルシ前大統領解任後の暫定統治に関する協議への参加を求められた。協議で軍は暫定統治案を提示。最高憲法裁判所長官だったマンスール氏が暫定大統領に就くことも提案に含まれていたという。

軍が介入した背景については「シシ国防相は軍情報機関の出身だ。独自の調査で、国民がモルシ政権を受け入れておらず、(モルシ氏の出身母体である穏健派イスラム原理主義組織)ムスリム同胞団が権力強化のため、軍機構の切り崩しを狙っている、と見ていたようだ」と述べた。

同胞団が「民主的選挙で選ばれたモルシ氏こそ正統な大統領だ」と主張していることに対しては、「これは政権の正統性という問題ではなく、民主的統治とは何かという問題だ。(ドイツの独裁者)ヒトラーでさえ、投票で選ばれたのだ。選挙で選ばれれば何をしてもいいというのは違う」と反論した。

一方、モルシ政権の崩壊によって、NSFの当初の目的は達成されたとの認識を示し、「今後は次期大統領選でイスラム勢力に対抗するため、NSFの元に(世俗・リベラル派を)結集する必要がある」と述べた。



 
 
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エジプト:デモ隊に発砲、51人死亡

毎日新聞 2013年07月08日 21時06分(最終更新 07月09日 07時52分)

【カイロ秋山信一】軍事クーデターでモルシ前大統領が解任されたエジプトで8日早朝、首都カイロ北東部の軍施設前付近で発砲があった。保健省によると、モルシ派のデモ参加者ら少なくとも51人が死亡、435人が負傷し、3日のクーデター以降、最大の犠牲者を出した惨事となった。軍側は記者会見などで「武装集団が発砲し、デモ隊が投石してきたので応戦した」と説明。モルシ派は「軍側が催涙弾などを発射、衝突に発展し、治安部隊が実弾を使用した」と話しており、双方の主張は大きく食い違っている。

モルシ氏の出身母体・穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団は事件に抗議して、支持者に「インティファーダ(民衆蜂起)」を呼びかけた。治安部隊を管轄する内務省は「治安と安定を脅かしたテロリスト集団を訴追する努力を続ける」と発表。同胞団と軍・治安当局の全面対決に発展する懸念が強まった。

同胞団のバディア最高指導者は声明で、「(内戦が続く)シリアと同じ状況にエジプトを追い込もうとしている」と軍を非難した。国営中東通信によると、マンスール暫定大統領は事件の調査委員会設置を表明した。

発砲事件が起きたのは、首都の政府施設の警護を担当する軍部隊・共和国防衛隊の施設。軍や内務省当局者によると、8日早朝、武装集団の発砲後、デモ隊が投石を始め、軍や治安部隊と銃撃戦になって警官2人と兵士1人が死亡した。国営テレビはデモ隊側が銃器を用意しているとされる映像を放映。同胞団関係者約200人が武器所有容疑で拘束されたと報じた。兵士2人が一時、同胞団側に拘束されたとの情報もある。

一方、同胞団側は、イスラム教の礼拝中に軍側が催涙弾などを発射し、衝突に発展し治安部隊側が実弾を使用したと説明した。死者に子供3人が含まれるとも述べたが、保健省や軍は否定している。

AFP通信は「ならず者」の私服集団がデモ隊を銃撃したとの目撃証言を報じた。

施設にはモルシ氏が一時拘束されていたとの情報があり、5日にもモルシ派のデモ隊に対する発砲事件が起きて、6人が死亡した。

同胞団に次ぐイスラム勢力のヌール党は8日、発砲事件を非難。モルシ氏の解任後に始まった暫定政権樹立協議からの離脱を表明した。広範な国民の支持確保に不可欠なイスラム勢力の取り込みは、極めて困難になった。

イスラム教スンニ派の最高権威アズハルのタイエブ総長は8日、「発砲の独立した調査を行い、48時間以内に国民和解のための委員会を作るべきだ」との声明を発表した。



 
 
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動乱エジプト:反モルシ派、大規模集会 数十万人、モルシ派も数万人で

毎日新聞 2013年07月08日 東京夕刊

【カイロ宮川裕章】エジプトの軍事クーデターで3日解任されたモルシ前大統領の復権に反対する勢力は7日、首都カイロ中心部のタハリール広場で大規模集会を開催、数十万人が参加した。モルシ氏に関しては、出身母体の穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団を中心に軍の介入に反発する声が根強く、支持派数万人も同日、カイロ近郊で集会を開いた。

軍主導で就任したマンスール暫定大統領は7日も暫定政権の組閣作業を続け、エジプトのメディアによると、暫定首相候補としてビジネス関係の弁護士ベハエルディン氏が浮上した。候補となりながらイスラム勢力が反対している国際原子力機関(IAEA)前事務局長のエルバラダイ氏は、副大統領就任案が取りざたされている。

モルシ氏退陣を求めていた若手活動家グループ「6月30日連合」のメンバーは7日、カイロ市内で記者会見した。反モルシ派デモへの参加拡大とムスリム同胞団への徹底対抗を呼びかけた。新政権誕生時に、失業や教育など若者の問題を専門的に扱う「若者委員会」を設立する案を述べた。



 
 
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エジプト:「礼拝中、突然の銃撃」同胞団、怒りあらわ

毎日新聞 2013年07月08日 21時39分(最終更新 07月09日 07時54分)

【カイロ樋口直樹、宮川裕章】一触即発の緊張状態が、再び暴力事件に発展した。エジプトの首都カイロ北東部の共和国防衛隊本部前で8日未明に発生した、軍・治安部隊と、軍事クーデターで解任されたモルシ前大統領の復権を求めるデモ隊が関与した発砲事件。現場近くの広場ではモルシ氏の出身母体・穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団の支持者らが座り込みを続け、ショックと怒りをあらわにした。

事件では少なくとも51人が死亡、300人以上が負傷し、3日のクーデター以降、最悪の惨事だ。同胞団による襲撃が原因と主張する軍側に対し、同胞団側の目撃者は未明の礼拝中に突然、銃撃を受けたと語る。狙撃兵の姿も目撃されており、広場に残る人々は「軍が過剰な武力を行使した」と批判した。

防衛隊本部前で座り込みを続けていた教師、マトーフ・サイードさん(40)は午前4時ごろ、異変を知らせる仲間の叫び声を聞いた。朝一番のイスラム教の礼拝が行われている時だった。

一緒にいた数百人のデモ参加者と一緒に騒ぎがしている方向へ向かうと、突然大量の催涙ガス弾が発射され、激しい銃撃音が耳をつんざいた。逃げ惑う人々を追いかけるように断続的に激しい銃声が鳴り響き、サイードさんの左胸を催涙弾が直撃した。

「私たちが攻撃を仕掛けたことはない。軍との衝突を避けるため、(本部前の)バリケードの前に緩衝地帯を設けて、近づかないようにしていたんだ」。サイードさんは内出血で赤紫色に変わった左胸を見せながら、こう断言する。

「背中を撃たれ、死にそうな仲間を背負って逃げたが、銃撃はやまなかった」。サイードさんはぼうぜんとした表情で振り返った。

共和国防衛隊本部には、権力の座を追われたモルシ前大統領が一時拘束されていたとの情報があった。同胞団は、防衛隊本部前から徒歩で15分ほど離れたラバ・アダウィーヤ広場に、一大デモ拠点を設け、連日のように数万人規模の反軍集会を開催。5日も本部前でデモを展開し、発砲を受けて死傷者が出たばかりだった。

8日に激しい銃声を聞きつけ、現場に向かった大学生、ムハンマド・サーベルさん(21)は、途中のビルの上に銃を構えた兵士4人の姿を見つけた。

「危ない」と思った時にはもう、近くにいた仲間たちが倒れていた。車の陰から見上げると、兵士らは路上の人々に向けて無差別に発砲していたという。隙(すき)をついて逃げ出したが、路上には20人以上が横たわっていた。周囲で兵士に向けて発砲している者はだれもいなかった。銃撃は午前7時ごろまで、散発的に続いたという。

「シシ(国防相)は出て行け、神様の加護を」。8日午前、ラバ・アダウィーヤ広場には抗議の掛け声が響き渡った。だが、デモ参加者は「非暴力による抗議の続行」で口をそろえる。「我々も武器を取れば、エジプトは(内戦が続く)シリアのようになる。それだけは避けなければ」。怒りで顔を朱に染めた教師、エッサム・アリさん(44)の目は涙でぬれていた。



 
 
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エジプト:憲法修正、国民投票へ 民主体制維持は合意

毎日新聞 2013年07月08日 02時30分

【カイロ秋山信一】軍事クーデターによってモルシ前大統領が解任されたエジプトで、暫定政権は7日までに、モルシ前政権時代に制定された憲法を修正したうえで、国民投票にかける方針を固めた。暫定政権関係者が明らかにした。憲法修正案は、マンスール暫定大統領が指名する司法専門家が作成。イスラム教徒、(キリスト教の一派)コプト教徒、女性など国民の代表者約50人で作る憲法委員会が修正案を審議し、専門家の承認を経て、国民投票を実施する。

軍は3日、モルシ氏の解任と共に暫定統治の行程表(ロードマップ)を発表。現行憲法の効力を停止し、憲法修正のための委員会を設置することを明らかにした。国民投票の有無には言及していなかった。

関係者によると、軍と宗教指導者、野党指導者、若者グループの代表者らによる協議で、委員会は2段階に分けることが決まった。まずマンスール暫定大統領が、憲法の修正案を作成する裁判官ら司法の専門家を選定し、たたき台を作成。その上で、軍が行程表で示した「多様性」を反映した国民代表の憲法委員会を組織し、各条項の見直しを進める。

見直し対象に例外はないが、民主主義体制などを定めた1条と、国教をイスラム教、公用語をアラビア語と規定し、「イスラム法は主要な法源である」とした2条は、変更しないことでおおむね合意したという。2条の維持については国民の約1割を占めるコプト教の代表者も同意したという。

修正案の作成期限や国民投票の日程、国民代表の選出方法については協議が続いている。

現行憲法は、モルシ前政権下で制定され、昨年12月に国民投票で承認された。しかし、「イスラム法は法学者の解釈を含む」(219条)という規定があり、法学者が厳格な解釈をした場合に自由や人権が阻害される恐れがあるなどとして、リベラル派は批判していた。

今回のクーデターは世俗派の軍が実行し、暫定政権もリベラル派が多数を占めるとみられる。そのため、219条などイスラム色が濃い条項は修正される可能性が高い。

大統領選挙や人民議会(国会)選挙は憲法修正後に行われるため、憲法修正の手続きが難航すれば、軍の影響下にある暫定政権の統治が長引くとみられる。



 
 
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エジプト:暫定首相人事、対立 エルバラダイ氏案、イスラム勢力反発

毎日新聞 2013年07月08日 大阪朝刊

【カイロ秋山信一】軍事クーデターでモルシ前大統領が解任されたエジプトの暫定政権内で、暫定首相人事を巡って内部対立が表面化してきた。国際原子力機関(IAEA)前事務局長のエルバラダイ氏(71)を暫定首相に起用する方向で最終調整が進んでいたが、この案にエジプト第2のイスラム勢力で、暫定政権に協力しているヌール党が強く反発。軍主導の暫定政権は、協力を強く拒むモルシ氏の出身母体・穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団だけでなく、政権内のイスラム勢力への対応にも苦慮している。

一方、7日には同胞団と、反モルシ派の双方が、カイロで大規模なデモを予定しており、両勢力間の緊張も続いている。

国営中東通信は6日、エルバラダイ氏の暫定首相就任を報じた。だが直後に大統領府が「首相人事は決まっていない」と発表。中東の衛星テレビ局アルジャジーラによると、ヌール党は「世俗派のエルバラダイ氏は受け入れられない」と反発し、政権からの離脱を示唆しているという。

軍事クーデターは、世俗・リベラル派を中心とする6月30日の反モルシ政権デモが契機となり、暫定政権も世俗・リベラル派の影響力が強い。だが政権を安定させるには、強固な組織力を誇る同胞団などイスラム勢力との融和が必要だ。ムスリム同胞団に次ぐエジプト第2のイスラム勢力であるヌール党の離脱は、できる限り避けたいのが本音。そのため暫定政権は慎重に協議を続けている。

エルバラダイ氏以外にも、経済の混乱収拾のためにオクダ中央銀行前総裁ら経済の専門家の起用を求める声もある。

一方、同胞団は「モルシ前政権が正統だ」と主張し、クーデターに抗議するデモを続けている。同胞団出身で中東全体に影響力があるカタール在住のイスラム法学者カラダウィ師は6日、「エジプト国民はモルシ氏を支持し、軍は正統性と民主主義を守るために徹底すべきだ」とする宗教令(ファトワ)を出した。

国営中東通信によると、検察当局は6日夜、同胞団ナンバー2のシャーテル氏や、同胞団系自由公正党のカタトニ党首ら同胞団幹部4人について、暴力を扇動した容疑で15日間の拘束を命じた。中東通信は6日にカタトニ党首が釈放されたと報じていたが、拘束は続いていたとみられる。



 
 
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動乱エジプト:憲法修正、国民投票へ 暫定政権、民主体制維持は合意

毎日新聞 2013年07月08日 東京朝刊

【カイロ秋山信一】軍事クーデターによってモルシ前大統領が解任されたエジプトで、暫定政権は7日までに、モルシ前政権時代に制定された憲法を修正したうえで、国民投票にかける方針を固めた。暫定政権関係者が明らかにした。憲法修正案は、マンスール暫定大統領が指名する司法専門家が作成。イスラム教徒、(キリスト教の一派)コプト教徒、女性など国民の代表者約50人で作る憲法委員会が修正案を審議し、専門家の承認を経て、国民投票を実施する。

軍は3日、モルシ氏の解任と共に暫定統治の行程表(ロードマップ)を発表。現行憲法の効力を停止し、憲法修正のための委員会を設置することを明らかにした。国民投票の有無には言及していなかった。

関係者によると、軍と宗教指導者、野党指導者、若者グループの代表者らによる協議で、委員会は2段階に分けることが決まった。まずマンスール暫定大統領が、憲法の修正案を作成する裁判官ら司法の専門家を選定し、たたき台を作成。その上で、軍が行程表で示した「多様性」を反映した国民代表の憲法委員会を組織し、各条項の見直しを進める。

見直し対象に例外はないが、民主主義体制などを定めた1条と、国教をイスラム教、公用語をアラビア語と規定し、「イスラム法は主要な法源である」とした2条は、変更しないことでおおむね合意したという。2条の維持については国民の約1割を占めるコプト教の代表者も同意したという。

修正案の作成期限や国民投票の日程、国民代表の選出方法については協議が続いている。

現行憲法は、モルシ前政権下で制定され、昨年12月に国民投票で承認された。しかし、「イスラム法は法学者の解釈を含む」(219条)という規定があり、法学者が厳格な解釈をした場合に自由や人権が阻害される恐れがあるなどとして、リベラル派は批判していた。

今回のクーデターは世俗派の軍が実行し、暫定政権もリベラル派が多数を占めるとみられる。そのため、219条などイスラム色が濃い条項は修正される可能性が高い。

大統領選挙や人民議会(国会)選挙は憲法修正後に行われるため、憲法修正の手続きが難航すれば、軍の影響下にある暫定政権の統治が長引くとみられる。



 
 
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カイロの衝突で死者50人超、435人負傷

cnn.co.jp

2013.07.09 Tue posted at 09:55 JST

カイロ(CNN) エジプト首都カイロの大統領警護隊本部前で8日に起きた衝突による死者は、50人以上に上ったことが分かった。同本部には解任されたムルシ前大統領が拘束されているとみられる。

本部前には前大統領の支持派が結集し、鎮圧を図る軍と衝突。保健省当局者の発表によると、この衝突で51人が死亡、435人が負傷した。

目撃者らは、前大統領支持派が夜明けの祈りをささげようとしたところへ軍と警察が発砲したと話している。

これに対して内務省と軍の報道官は、「武装グループ」が爆弾や銃弾、石などで軍部隊を攻撃したため、やむなく応戦したと主張。前大統領支持派がうそをついていると批判した。

現場近くに住むある女性は「どちらが先に攻撃を仕掛けたのかは分からないが、双方が互いに銃を向け合って発砲していたのは確かだ」と話す。

現地のCNN取材班は現場近くにある救急施設で、上半身に無数の銃弾を受けた遺体少なくとも8体を確認した。同施設では医師らが負傷者の治療に当たっている。多数の患者を搬送するには、救急車が足りなかったとの報告もある。

内務省は軍兵士2人が撃たれて死亡したとの声明を出したが、この人数が保健省発表の死者数に含まれているかどうかは明らかでない。

国営テレビによると、マンスール暫定大統領はこの衝突に関する調査委員会の設置を指示した。欧州連合(EU)のアシュトン外交安全保障上級代表と米国務省のプサキ報道官は8日、それぞれ各勢力に自制と和解を呼び掛けた。



 
 
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エルバラダイ氏、副大統領に指名か エジプト

cnn.co.jp

2013.07.09 Tue posted at 10:19 JST

カイロ(CNN) 首都カイロでムルシ前大統領の支持派に対して軍や治安部隊が発砲するなど政情不安が続くエジプトで、国営メディアは9日までに、新政権の首相候補にジアード・バハーエルディン氏、副大統領候補にエルバラダイ国際原子力機関(IAEA)前事務局長の名前が挙がったと伝えた。

ただし、指名する前に、政治的合意が得られることが必要だとみられている。大統領報道官は、新政権の樹立に関して明確な期限は設けられていないと強調した。

マンスール暫定大統領が野党指導者のエルバラダイ氏を暫定首相に任命するとの見通しも報じられていたが、暫定大統領は保守派ヌール党の反発を受け、エルバラダイ氏の首相任命を断念したとされる。



 
 
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米政府、エジプト政変を「クーデター」と呼ばず

cnn.co.jp

2013.07.09 Tue posted at 11:50 JST

ワシントン(CNN) 軍が大統領を解任して実権を握ったエジプト情勢について、米オバマ政権幹部は8日もホワイトハウスで会議を開いて対応を協議した。米政府はこれまでエジプトの政変を「クーデター」と呼ぶことを避けており、慎重な対応姿勢を見せている。

ヘーゲル米国防長官は、エジプトのシシ国防相と再度の電話会談を行った。同国防相との会談は、軍が大統領を解任する前も含めて過去1週間で4度目になる。

一方、米軍のデンプシー統合参謀本部議長もエジプト軍のトップと2度にわたり電話会談した。

米政府はエジプトの政変を「軍事クーデター」と呼ぶことを一貫して避けてきた。これはカーター政権時代から続いてきたエジプトとの関係が、米国にとってどれほど重要かを物語る。

もしムルシ大統領の解任をクーデターと断言すれば、米国は法律に従って、10億ドルを超すエジプトへの軍事援助を打ち切らなければならなくなる。

イスラエルは、もしそうなった場合、エジプトとの和平条約が危うくなりかねないと危惧する。

国務省のサキ報道官は8日、クーデターかどうかを判断するに当たっては、多くのエジプト国民が今回の動きを支持しており、クーデターとはみなしていないことも考慮すると述べた。

カーニー米大統領報道官は8日の会見で、「(エジプトへの)援助について直ちに変更を行うのは、米国の利益にとって最善の策ではない」との見方を示した。

エジプト軍の動きはクーデターではないのかと再三にわたって質問されると、「早急な結論を出す必要はないと考えている」とかわし、法に照らして議会とも相談した上で、エジプトに対し民政復帰を急ぐよう働きかけると説明するにとどめた。



 
 
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asahi.com 2013年07月09日00時02分

エジプト軍発砲、ムルシ派51人死亡 400人以上けが

【カイロ=北川学、神田大介】エジプトの首都カイロ郊外の軍施設近くで8日未明(日本時間同日午前)、ムルシ前大統領を支持する「ムスリム同胞団」のデモ隊に軍や治安部隊などが発砲した。救急当局は少なくとも51人が死亡、435人が負傷したと明らかにした。同胞団は「軍や治安部隊による虐殺だ」と非難する声明を出した。

2011年2月のエジプト革命以来、軍とデモ隊の衝突で最大規模の犠牲が出たことになり、エジプト情勢のさらなる混乱は必至だ。マンスール暫定大統領は「犠牲者に哀悼の意を表する」とし、調査委員会の設置を指示した。

同胞団の声明によると、カイロ郊外ナスルシティーにある大統領警護隊本部前で、イスラム教の早朝の礼拝中だったデモ参加者に対し、兵士が発砲したという。周辺では大統領解任に抗議するムルシ派が座り込みを続けていた。複数の目撃者は朝日新聞の取材に「軍側が先に発砲した」と証言した。

一方、内務省と軍の報道官は8日午後の記者会見で「武装した者たち」が、警護隊の敷地内に侵入しようと先に攻撃してきたと説明。兵士1人と警官2人が死亡したため、軍と警察が応戦したと語った。軍は200人を逮捕、火炎瓶などを押収したという。

事件を受け、イスラム厳格派「ヌール党」が暫定政権からの離脱を表明。暫定内閣の発足に大きな影響を与えるのは確実だ。暫定首相候補で、国際原子力機関の前事務局長エルバラダイ氏は「暴力は強く非難されるべきだ。各政治勢力による和解が直ちに必要だ」とコメントした。



 
 
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asahi.com 2013年07月09日14時34分

暫定大統領、憲法改正や選挙の日程を発表 エジプト

【カイロ=北川学】エジプトのマンスール暫定大統領は8日夜、今後の政権移行スケジュールを布告した。衛星放送アルアラビアによると、まず4カ月かけて、現在停止中の憲法を改正し、来年2月中頃までに議会選挙を行う。議会が招集された段階で大統領選挙の準備を始めるとしている。

憲法改正では専門家らでつくる委員会を設置。議論を経たうえで、改正案を国民投票にかける。イスラム系のムルシ前政権が主導した現憲法は昨年12月の国民投票で承認されたが、イスラム主義者が起草したことから、世俗・リベラル派が反発していた。

ただ、難航する暫定首相の選出について、マンスール氏は言及しなかった。

一方、首都カイロ郊外ナスルシティーの大統領警護隊本部前で、8日未明にあったムルシ氏支持者に対する軍や警察などによる発砲で51人が死亡した事件に反発する「ムスリム同胞団」は、同日夜も抗議デモを継続した。同胞団は9日も全国規模のデモを呼びかけている。



 
 
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エジプトで銃撃戦…51人死亡、1千人以上負傷

【カイロ=溝田拓士】カイロにあるエジプト軍の大統領警護部隊「共和国防衛隊」の司令部前で8日早朝、銃撃戦が起き、保健省によると、司令部前でモルシ前大統領の解任に抗議していたデモ参加者ら少なくとも51人が死亡、1000人以上が負傷した。

デモを主導するイスラム主義組織ムスリム同胞団は「軍がデモ隊に向けて発砲した」と反発している。今回の政変後最悪となる流血の衝突で、情勢が一層混迷を深めるのは確実だ。

軍報道官は同日夕に記者会見し、「武装したテロリスト」が司令部前に向けて発砲を始め、司令部を警備する兵士らが応戦したと説明した。軍側にも多数の死傷者が出たとしている。

複数の目撃者によると、司令部の付近で座り込んでいたモルシ派のデモ参加者が銃撃戦に巻き込まれる形となり、多数の死傷者が近くの病院に運び込まれた。地元医療関係者によると、デモに加わっていた子供5人も死亡したという。

(2013年7月9日01時29分 読売新聞)



 
 
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エジプト暫定大統領が「憲法宣言」実施は不透明

【カイロ=溝田拓士】エジプト政府系紙アル・アハラムなどによると、マンスール暫定大統領は8日、「憲法宣言」を発布し、憲法改正や次期大統領選などの行程を明らかにした。

憲法宣言では、約2週間以内に憲法改正に向けた委員会を設置して改正案を国民投票にかけることや、改正憲法に基づいて来年早々にも下院選、大統領選を実施することなどを定めている。モルシ前政権下の昨年12月に国民投票で成立した現憲法は、軍による事実上のクーデターで停止している。

ただ、マンスール氏主導で進められている暫定政府樹立に向けた協議は難航しており、憲法改正などが予定通り進むかどうかは不透明だ。

一方、軍に解任されたモルシ前大統領の出身母体のイスラム主義組織ムスリム同胞団は8日の記者会見で、支持者に対し、9日の大規模デモへの参加を呼びかけた。同胞団は8日の銃撃戦で「軍が非武装のデモ隊に発砲した」と反発しており、再び混乱が生じる恐れもある。

(2013年7月9日11時11分 読売新聞)



 
 
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エジプト、年内に改憲の国民投票 14年に大統領選

暫定大統領が憲法宣言発表

nikkei.com

2013/7/9 10:22

【カイロ=花房良祐】エジプトのマンスール暫定大統領は8日、停止された憲法に代わる憲法宣言を発表した。年内に憲法改正の国民投票を実施するとしており、来年初めまでに議会選を経て大統領選を実施する計画。具体的な民主化の「ロードマップ(行程表)」を示し、クーデター後の混乱の収拾を目指すが、計画通りに進められるかは不透明だ。

失脚したモルシ前大統領は昨年、イスラム色を強めた憲法を制定。世俗派などが反発した経緯がある。3日のクーデターで、エジプト軍はロードマップを作成して憲法の見直しを行う意向を表明していた。

政府系紙アハラムなどによると、15日以内に憲法改正委員会を設置し、その後4カ月以内に国民投票を実施する。議会選まで立法機能は暫定大統領が担い、近く発足させる暫定内閣と相談しながら法律を制定する。

AP通信は、来年2月までに新憲法に基づいて議会選が実施され、大統領選はその後になると報じた。

ただ、ロードマップに従って政権移行が順調に進むかは予断を許さない。暫定内閣については首相の選定が難航。これまで有力視されていたエルバラダイ国際原子力機関(IAEA)前事務局長でなく、弁護士のバハーディン氏などの起用が取り沙汰されている。

一方、モルシ前大統領の出身母体、イスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」は9日に再び大規模な抗議集会の開催を予定。8日未明の軍の銃撃でロイター通信によると同胞団支持者ら少なくとも51人が死亡し、同胞団系の報道官は記者会見で「軍のクーデターと虐殺に抗議するため、すべての市民にデモの実施を呼び掛ける」と語った。

大量の死者の発生でこれまで軍を支持してきた一部のイスラム主義者の反発も強まっている。イスラム教スンニ派の権威、アズハル大学の聖職者は8日の声明で「内戦を避けるため」に事件の真相究明を要請。イスラム主義政党「光の党」も同日、軍の対応を非難する声明を発表した。



 
 
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米、エジプト軍事支援継続へ 「凍結国益にならず」

nikkei.com

2013/7/9 12:09

【ワシントン=吉野直也】オバマ米大統領は8日、クーデター後の混乱が続くエジプトへの軍事支援を継続する方向で調整に入った。3日のエジプト軍によるモルシ前大統領の解任後、支援の見直しを指示したものの、凍結に踏み切れば、混乱が拡大しかねないと判断した。ただ、米議会には賛否が混在しており、オバマ氏のエジプト政策が内政と連動する展開になってきた。

カーニー大統領報道官は8日の記者会見で、エジプトへの軍事支援について「このような混乱した状況で、支援をただちに凍結するのは米国の国益にならない」と述べ、継続する考えを表明した。同時に「エジプトが文民政権に早期に移行できるよう手助けしていきたい」と語った。

米国務省のサキ報道官も記者会見で、軍事支援の必要性を指摘したうえで「エジプトで安全が確保できるようになることはエジプトの国益であり、米国の国益でもある」と強調した。

米国はエジプト軍に毎年約1300億円を支援している。対外援助法は軍事政権への支援を禁じており、オバマ氏はエジプト軍によるモルシ前大統領の解任を正式にクーデターとは認めていない。

ヘーゲル国防長官はエジプト軍によるクーデターが起きる前後からエジプトのシシ国防相に頻繁に電話をかけ、モルシ氏を支持する勢力と、軍による衝突拡大に懸念を示すとともに早期の文民政権移行を要請。シシ氏もそれを約束している。



 
 
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動乱エジプト:カイロ51人死亡 「礼拝中、突然の銃撃」 同胞団、怒りあらわ

毎日新聞 2013年07月09日 東京朝刊

【カイロ樋口直樹、宮川裕章】一触即発の緊張状態が、再び暴力事件に発展した。エジプトの首都カイロ北東部の共和国防衛隊本部前で8日未明に発生した、軍・治安部隊と、軍事クーデターで解任されたモルシ前大統領の復権を求めるデモ隊が関与した発砲事件。現場近くの広場ではモルシ氏の出身母体・穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団の支持者らが座り込みを続け、ショックと怒りをあらわにした。

事件では少なくとも51人が死亡、435人が負傷し、3日のクーデター以降、最悪の惨事だ。同胞団による襲撃が原因と主張する軍側に対し、同胞団側の目撃者は未明の礼拝中に突然、銃撃を受けたと語る。狙撃兵の姿も目撃されており、広場に残る人々は「軍が過剰な武力を行使した」と批判した。

防衛隊本部前で座り込みを続けていた教師、マトーフ・サイードさん(40)は午前4時ごろ、異変を知らせる仲間の叫び声を聞いた。朝一番のイスラム教の礼拝が行われている時だった。

一緒にいた数百人のデモ参加者と一緒に騒ぎがしている方向へ向かうと、突然大量の催涙ガス弾が発射され、激しい銃撃音が耳をつんざいた。逃げ惑う人々を追いかけるように断続的に激しい銃声が鳴り響き、サイードさんの左胸を催涙弾が直撃した。

「私たちが攻撃を仕掛けたことはない。軍との衝突を避けるため、(本部前の)バリケードの前に緩衝地帯を設けて、近づかないようにしていたんだ」。サイードさんは内出血で赤紫色に変わった左胸を見せながら、こう断言する。

「背中を撃たれ、死にそうな仲間を背負って逃げたが、銃撃はやまなかった」。サイードさんはぼうぜんとした表情で振り返った。

激しい銃声を聞きつけ、現場に向かった大学生、ムハンマド・サーベルさん(21)は、途中のビルの上に銃を構えた兵士4人の姿を見つけた。

「危ない」と思った時にはもう、近くにいた仲間たちが倒れていた。車の陰から見上げると、兵士らは路上の人々に向けて無差別に発砲していたという。隙(すき)をついて逃げ出したが、路上には20人以上が横たわっていた。周囲で兵士に向けて発砲している者はだれもいなかった。銃撃は午前7時ごろまで、散発的に続いたという。

「シシ(国防相)は出て行け、神様の加護を」。8日午前、ラバ・アダウィーヤ広場には抗議の掛け声が響き渡った。だが、デモ参加者は「非暴力による抗議の続行」で口をそろえる。「我々も武器を取れば、エジプトは(内戦が続く)シリアのようになる。それだけは避けなければ」。怒りで顔を朱に染めた教師、エッサム・アリさん(44)の目は涙でぬれていた。



 
 
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エジプト:一触即発、響く銃撃音 惨劇の舞台ルポ

毎日新聞 2013年07月09日 11時27分(最終更新 07月09日 11時35分)

エジプト軍・治安部隊とモルシ前大統領支持派による8日未明の衝突で、50人以上の死者を出したカイロ北東部ナセルシティの共和国防衛隊本部前。軍側の銃撃を受け一度は退いたモルシ支持派のデモ隊だが、午後には再び防衛隊本部近くのバリケードまで押し寄せ、臨戦態勢の軍・治安部隊とにらみ合いを続けていた。惨劇の舞台はいまだ一触即発の緊張感で満ちている。【カイロ樋口直樹】

モルシ派が拠点を置くラバ・アダウィーヤ広場から防衛隊本部まで直線道路で約2キロ。3日の軍事クーデターで失脚したモルシ氏が拘束されていたとされる防衛隊本部前では、衝突が起きる前日から本格的な座り込みが行われていた。発砲事件後、軍側は本部前のバリケードを1キロほど前進させ、完全武装の兵士と何台もの装甲車で道路を封鎖している。

モルシ氏の出身母体、穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団は事件後、広場での平和的な座り込みの続行を呼びかけた。しかし、防衛隊本部へ再び肉薄するデモ隊の流れは止まらない。「ここにいればまた衝突が起こる。広場へ戻って」。防衛隊本部に向かうデモ隊に若い女性が声をかけると、「お前は軍の味方なのか」と激しい怒声が起きた。

「シシ(国防相)は出て行け」「モルシ、もう少しの我慢だ」−−。有刺鉄線のバリケードに手をかけ、シュプレヒコールを繰り返すデモ隊と、軍側の距離はわずか約10メートル。時折、どこからか単発の銃撃音がはじけるが、1000人規模のデモ隊はひるまない。

「広場にいては軍に圧力をかけられない。ラバ・アダウィーヤ広場からこちらへ拠点を移すべきだ」。デモ隊の最前線に立っていた機械工、ムハンマド・アブド・アルバーセトさん(35)は言外に指導部への不満をにじませ、こう言い切った。「死ぬのは怖くない。殉教なのだから」



 
 
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エジプト:デモ隊撃たれ51人死亡 同胞団、「蜂起」呼び掛け

毎日新聞 2013年07月09日 東京朝刊

【カイロ秋山信一】軍事クーデターでモルシ前大統領が解任されたエジプトで8日早朝、首都カイロ北東部の軍施設前付近で発砲があった。保健省によると、モルシ派のデモ参加者ら少なくとも51人が死亡、435人が負傷し、3日のクーデター以降、最大の犠牲者を出した惨事となった。軍側は記者会見などで「武装集団が発砲し、デモ隊が投石してきたので応戦した」と説明。モルシ派は「軍側が催涙弾などを発射、衝突に発展し、治安部隊が実弾を使用した」と話しており、双方の主張は大きく食い違っている。

モルシ氏の出身母体・穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団は事件に抗議して、支持者に「インティファーダ(民衆蜂起)」を呼びかけた。治安部隊を管轄する内務省は「治安と安定を脅かしたテロリスト集団を訴追する努力を続ける」と発表。同胞団と軍・治安当局の全面対決に発展する懸念が強まった。

同胞団のバディア最高指導者は声明で「(内戦が続く)シリアと同じ状況にエジプトを追い込もうとしている」と軍を非難。国営中東通信によると、マンスール暫定大統領は事件の調査委員会設置を表明した。

発砲事件が起きたのは、首都の政府施設の警護を担当する軍部隊・共和国防衛隊の施設。軍や内務省当局者によると、8日早朝、武装集団の発砲後、デモ隊が投石を始め、軍や治安部隊と銃撃戦になって警官2人と兵士1人が死亡した。

国営テレビはデモ隊側が銃器を用意しているとされる映像を放映。同胞団関係者約200人が武器所有容疑で拘束されたと報じた。兵士2人が一時、同胞団側に拘束されたとの情報もある。

一方、同胞団側は、イスラム教の礼拝中に軍側が催涙弾などを発射し、衝突に発展し治安部隊側が実弾を使用したと説明した。死者に子供3人が含まれるとも述べたが、保健省や軍は否定している。

AFP通信は「ならず者」の私服集団がデモ隊を銃撃したとの目撃証言を報じた。

施設にはモルシ氏が一時拘束されていたとの情報があり、5日にもモルシ派のデモ隊に対する発砲事件が起きて、6人が死亡した。

同胞団に次ぐイスラム勢力のヌール党は8日、発砲事件を非難。モルシ氏の解任後に始まった暫定政権樹立協議からの離脱を表明した。広範な国民の支持確保に不可欠なイスラム勢力の取り込みは、極めて困難になった。

イスラム教スンニ派の最高権威アズハルのタイエブ総長は8日、「発砲の独立した調査を行い、48時間以内に国民和解のための委員会を作るべきだ」との声明を発表した。



 
 
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動乱エジプト:カイロ51人死亡「礼拝中、突然の銃撃」 同胞団、怒りあらわ

毎日新聞 2013年07月09日 大阪朝刊

【カイロ樋口直樹、宮川裕章】一触即発の緊張状態が、再び暴力事件に発展した。エジプトの首都カイロ北東部の共和国防衛隊本部前で8日未明に発生した、軍・治安部隊と、軍事クーデターで解任されたモルシ前大統領の復権を求めるデモ隊が関与した発砲事件。現場近くの広場ではモルシ氏の出身母体・穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団の支持者らが座り込みを続け、ショックと怒りをあらわにした。

事件では少なくとも51人が死亡、435人が負傷し、3日のクーデター以降、最悪の惨事だ。同胞団による襲撃が原因と主張する軍側に対し、同胞団側の目撃者は未明の礼拝中に突然、銃撃を受けたと語る。狙撃兵の姿も目撃されており、広場に残る人々は「軍が過剰な武力を行使した」と批判した。

防衛隊本部前で座り込みを続けていた教師、マトーフ・サイードさん(40)は午前4時ごろ、異変を知らせる仲間の叫び声を聞いた。朝一番のイスラム教の礼拝が行われている時だった。

一緒にいた数百人のデモ参加者と一緒に騒ぎがしている方向へ向かうと、突然大量の催涙ガス弾が発射され、激しい銃撃音が耳をつんざいた。逃げ惑う人々を追いかけるように断続的に激しい銃声が鳴り響き、サイードさんの左胸を催涙弾が直撃した。

「私たちが攻撃を仕掛けたことはない。軍との衝突を避けるため、(本部前の)バリケードの前に緩衝地帯を設けて、近づかないようにしていたんだ」。サイードさんは内出血で赤紫色に変わった左胸を見せながら、こう断言する。

「背中を撃たれ、死にそうな仲間を背負って逃げたが、銃撃はやまなかった」。サイードさんはぼうぜんとした表情で振り返った。

激しい銃声を聞きつけ、現場に向かった大学生、ムハンマド・サーベルさん(21)は、途中のビルの上に銃を構えた兵士4人の姿を見つけた。

「危ない」と思った時にはもう、近くにいた仲間たちが倒れていた。車の陰から見上げると、兵士らは路上の人々に向けて無差別に発砲していたという。隙(すき)をついて逃げ出したが、路上には20人以上が横たわっていた。周囲で兵士に向けて発砲している者はだれもいなかった。銃撃は午前7時ごろまで、散発的に続いたという。

「シシ(国防相)は出て行け、神様の加護を」。8日午前、ラバ・アダウィーヤ広場には抗議の掛け声が響き渡った。だが、デモ参加者は「非暴力による抗議の続行」で口をそろえる。「我々も武器を取れば、エジプトは(内戦が続く)シリアのようになる。それだけは避けなければ」。怒りで顔を朱に染めた教師、エッサム・アリさん(44)の目は涙でぬれていた。



 
 
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エジプト:発砲事件 主張食い違い

毎日新聞 2013年07月09日 東京夕刊

【カイロ宮川裕章】エジプトの首都カイロ北東部の共和国防衛隊本部前で8日、軍・内務省治安部隊と、モルシ前大統領支持派の対立により少なくとも51人が死亡した発砲事件で、軍・内務省とモルシ前大統領支持派の主張が真っ向から食い違っている。両者は同日、会見し、画像や映像、武器の展示などを駆使してアピールしたが、発砲のきっかけなど核心部分に関する証言には大きな差があり、真相は依然、不明のままだ。

最初に会見したのは午後0時半のモルシ氏支持派。実弾や薬きょう、手投げ弾などを展示し、「軍が使った物だ」と説明。スライドで体中血まみれになった人たちの画像を紹介。自ら医師と名乗るメンバーが壇上に上がり「背中の負傷が多く、祈りの最中に撃たれた証拠だ」と語った。その後、報道担当者が「今後も平和的なデモを続ける」と強調した。

一方、3時間後に始まった内務省・軍の会見。軍報道官は「再三、公共施設に近づかないよう警告したが、デモ隊が共和国防衛隊本部周辺で銃撃したので応戦した」と主張した。またモルシ氏支持派の会見を受け「薬きょうが落ちるのは撃った側だ」と非難した。会見中、デモ隊とみられる男らが銃で射撃する映像が流された。

会見前には、モルシ派寄りとみられているカタールの衛星テレビ局アルジャジーラ・カイロ支局長が退出させられる一幕もあった。国営中東通信の記者が立ち上がり、「アルジャジーラを追放しないと会見は始まらない。記者の総意だ」と叫ぶと、記者席から「追い出せ」の声が次々にあがり、支局長は退場した。



 
 
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エジプト:「軍、介入準備していた」−−反モルシ勢力「国民救済戦線」指導者、アフメド・サイード氏

毎日新聞 2013年07月09日 東京朝刊

【カイロ秋山信一】エジプトのモルシ前大統領の解任を支持する主要政治勢力「国民救済戦線(NSF)」の有力指導者で自由エジプト人党のアフメド・サイード党首が6日、毎日新聞のインタビューに応じた。モルシ氏の解任に関し、「独自に世論を分析して、国民が政権崩壊を望んでいると判断した軍が、事前に介入の準備を進めていた」との見方を示した。

サイード氏によると、NSFにはクーデター当日の3日に初めて軍から連絡があり、モルシ前大統領解任後の暫定統治に関する協議への参加を求められた。協議で軍は暫定統治案を提示。最高憲法裁判所長官だったマンスール氏が暫定大統領に就くことも提案に含まれていたという。

軍が介入した背景については「シシ国防相は軍情報機関の出身だ。独自の調査で、国民がモルシ政権を受け入れておらず、(モルシ氏の出身母体である穏健派イスラム原理主義組織)ムスリム同胞団が権力強化のため、軍機構の切り崩しを狙っている、と見ていたようだ」と述べた。

同胞団が「民主的選挙で選ばれたモルシ氏こそ正統な大統領だ」と主張していることに対しては、「これは政権の正統性という問題ではなく、民主的統治とは何かという問題だ。(ドイツの独裁者)ヒトラーでさえ、投票で選ばれたのだ。選挙で選ばれれば何をしてもいいというのは違う」と反論した。

一方、モルシ政権の崩壊によって、NSFの当初の目的は達成されたとの認識を示し、「今後は次期大統領選でイスラム勢力に対抗するため、NSFの元に(世俗・リベラル派を)結集する必要がある」と述べた。



 
 
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エジプト:来年1月にも大統領選 国民投票で憲法修正へ

毎日新聞 2013年07月09日 10時47分(最終更新 07月09日 12時11分)

【カイロ秋山信一】エジプトのマンスール暫定大統領は8日、今年11月までに憲法修正案を国民投票にかけることを明らかにした。司法専門家による憲法委員会が草案を作成し、国民代表50人による別の委員会が審理した後、国民投票を実施する。その後、人民議会(国会)選挙を経て、大統領選挙を実施する。大統領選は早ければ来年1月にも行われる。また人民議会が招集されるまでは、暫定大統領が今後選任される暫定内閣とともに立法権を担う。

ただ軍事クーデターで解任されたモルシ前大統領の出身母体・穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団は暫定政権に強く反発しており、日程は流動的だ。

8日早朝の発砲事件でモルシ派のデモ参加者ら少なくとも51人が死亡した首都カイロ北東部の軍施設前付近では、軍とモルシ派のデモ隊がにらみ合う緊張状態が続いている。

事件について軍側は記者会見で「いきなりデモ隊が銃撃してきた。国民を混乱させる目的だ」と説明。一方、モルシ派は会見で「お祈りの最中に撃たれた。こちらからは攻撃していない」と述べ、双方の主張は大きく食い違っている。



 
 
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エジプト:発砲事件 軍、モルシ氏支持派で証言に食い違い

毎日新聞 2013年07月09日 12時09分(最終更新 07月09日 14時48分)

【カイロ宮川裕章】エジプトの首都カイロ北東部の共和国防衛隊本部前で8日、軍・内務省治安部隊と、モルシ前大統領支持派の対立により少なくとも51人が死亡した発砲事件で、軍・内務省とモルシ前大統領支持派の主張が真っ向から食い違っている。両者は同日、相次いで会見し、画像や映像、武器の展示などを駆使してアピールしたが、発砲のきっかけなど核心部分に関する証言には大きな差があり、真相は依然、不明のままだ。

最初に会見したのは午後0時半のモルシ氏支持派。実弾や薬きょう、手投げ弾などを展示し、「軍が使った物だ」と説明。スライドで体中血まみれになった人たちの画像を紹介。自ら医師と名乗るメンバーが壇上に上がり「背中の負傷が多く、祈りの最中に撃たれた証拠だ」と語った。その後、報道担当者が「今後も平和的なデモを続ける」と強調した。

一方、3時間後に始まった内務省・軍の会見。軍報道官は「再三、公共施設に近づかないよう警告したが、デモ隊が共和国防衛隊本部周辺で銃撃したので応戦した」と主張した。またモルシ氏支持派の会見を受け「薬きょうが落ちるのは撃った側だ」と非難した。会見中、デモ隊とみられる男らが銃で射撃する映像が流された。

会見前には、モルシ派寄りと見られているカタールの衛星テレビ局アルジャジーラ・カイロ支局長が退出させられる一幕もあった。国営中東通信の記者が立ち上がり、「アルジャジーラを追放しないと会見は始まらない。記者の総意だ」と叫ぶと、記者席から「追い出せ」の声が次々にあがり、支局長は退場した。



 
 
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エジプト:来年1月にも大統領選 暫定政府が憲法修正へ

毎日新聞 2013年07月09日 東京夕刊

【カイロ秋山信一】エジプトのマンスール暫定大統領は8日、今年11月までに憲法修正案を国民投票にかけることを明らかにした。司法専門家による憲法委員会が草案を作成し、国民代表50人による別の委員会が審理した後、国民投票を実施する。その後、人民議会(国会)選挙を経て、大統領選挙を実施する。大統領選は早ければ来年1月にも行われる。また人民議会が招集されるまでは、暫定大統領が今後選任される暫定内閣とともに立法権を担う。

ただ軍事クーデターで解任されたモルシ前大統領の出身母体・穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団は暫定政権に強く反発しており、日程は流動的だ。

8日早朝の発砲事件でモルシ派のデモ参加者ら少なくとも51人が死亡した首都カイロ北東部の軍施設前付近では、軍とモルシ派のデモ隊がにらみ合う緊張状態が続いている。

事件について軍側は記者会見で「いきなりデモ隊が銃撃してきた。国民を混乱させる目的だ」と説明した。一方、モルシ派は会見で「お祈りの最中に撃たれた。こちらからは攻撃していない」と述べ、双方の主張は大きく食い違っている。



 
 
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動乱エジプト:軍と同胞団、にらみ合い 一触即発、距離10メートル

毎日新聞 2013年07月09日 東京夕刊

エジプト軍・治安部隊とモルシ前大統領支持派による8日未明の衝突で、50人以上の死者を出したカイロ北東部ナセルシティの共和国防衛隊本部前。軍側の銃撃を受け一度は退いたモルシ支持派のデモ隊だが、午後には再び防衛隊本部近くのバリケードまで押し寄せ、臨戦態勢の軍・治安部隊とにらみ合いを続けていた。惨劇の舞台はいまだ一触即発の緊張感で満ちている。【カイロ樋口直樹】

モルシ派が拠点を置くラバ・アダウィーヤ広場から防衛隊本部まで直線道路で約2キロ。3日の軍事クーデターで失脚したモルシ氏が拘束されていたとされる防衛隊本部前では、衝突が起きる前日から本格的な座り込みが行われていた。発砲事件後、軍側は本部前のバリケードを1キロほど前進させ、完全武装の兵士と何台もの装甲車で道路を封鎖している。

モルシ氏の出身母体、穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団は事件後、広場での平和的な座り込みの続行を呼びかけた。しかし、防衛隊本部へ再び肉薄するデモ隊の流れは止まらない。「ここにいればまた衝突が起こる。広場へ戻って」。防衛隊本部に向かうデモ隊に若い女性が声をかけると、「お前は軍の味方なのか」と激しい怒声が起きた。

「シシ(国防相)は出て行け」「モルシ、もう少しの我慢だ」−−。有刺鉄線のバリケードに手をかけ、シュプレヒコールを繰り返すデモ隊と、軍側の距離はわずか約10メートル。時折、単発の銃撃音がはじけるが、1000人規模のデモ隊はひるまない。

「広場にいては軍に圧力をかけられない。ラバ・アダウィーヤ広場から拠点を移すべきだ」。デモ隊の最前線に立っていた機械工、ムハンマド・アブド・アルバーセトさん(35)は指導部への不満をにじませ、言い切った。「死ぬのは怖くない。殉教なのだから」



 
 
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エジプト:同胞団、米への不満高まる

毎日新聞 2013年07月09日 20時00分(最終更新 07月09日 20時28分)

【カイロ樋口直樹】エジプト軍のクーデターで与党の座を追われモルシ前大統領ら幹部が拘束されている穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団支持者の間では、米国への不満が急速に膨らんでいる。民主主義を至上の価値観として掲げながら、民衆革命後初の民主的な選挙で選ばれたモルシ前大統領の排除を「クーデター」と断ぜず、あいまいな態度に終始しているからだ。

同胞団幹部のイスラム法学者、アブドルラフマン・エルバル師は毎日新聞の取材に対し「米国や多くの欧州諸国の対応ぶりは、いつも主張している民主主義の価値観とまったく違う」と指摘。「(イスラム系)テレビ局などが閉鎖され、平和的なデモが攻撃されても『民主主義の守護者』は態度を明らかにしようとしていない」と批判した。

同胞団はもともと、隣国イスラエルの安全保障を優先する米国の中東政策や文化的価値観などに、不満を抱いてきた。同胞団を支持母体とするモルシ政権の発足後は、最大の軍事支援国・米国との関係改善を重視。対米批判は控えていた。

だが、クーデター後の抗議デモでは「(クーデターを主導した)シシ国防相の背後には米国がいる」「米国はアラブの民主化を望んでいない」との批判の声が急速に強まっている。



 
 
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asahi.com 2013年07月10日01時46分

エジプト暫定首相にベブラウィ氏 リベラル派の元財務相

【カイロ=山尾有紀恵】エジプトのマンスール暫定大統領は9日、暫定政権の首相に元財務相でリベラル派のエコノミスト、ハゼム・ベブラウィ氏(76)を任命し、組閣を要請した。外交担当の副大統領には、ノーベル平和賞受賞者で国際原子力機関(IAEA)前事務局長のムハンマド・エルバラダイ氏(71)を起用する。

ベブラウィ氏は、カイロ大学法学部を卒業後、フランスに留学し、パリ大学で経済学の博士号を取得した。2011年7月からシャラフ改造内閣で財務相を務めた。ムルシ政権の政策に反対していたことでも知られる。

副大統領となるエルバラダイ氏は当初、首相候補と目されていたが、ムスリム同胞団に次ぐイスラム系政治勢力のヌール党が、世俗派で政治力がある同氏の起用に反対。ヌール党はベブラウィ氏の首相就任には賛成している。同党は、政治色のない経済人が望ましいとしていた。

一方、マンスール暫定大統領は8日、新大統領選出に向けた「憲法宣言(暫定憲法)」を発布した。およそ6カ月以内に憲法を改正して議会選を行い、その後、大統領選を行うとしている。

宣言によると、今後15日以内に専門家らでつくる憲法改正委員会を設置。約4カ月以内に憲法改正案を国民投票にかけ、それに基づいて、その後2カ月以内に国民議会(下院)選挙を行うとしている。

議会が招集された段階で、大統領を国民の直接選挙によって選ぶ準備を始めるという。

暫定大統領は新議会ができるまで立法権を握る。

一連の制度改正が社会に安定をもたらすかどうかのカギを握るのが、出だしの憲法の改正だ。

ムルシ政権下の憲法は、ムルシ氏に近いイスラム主義者が多数を占める委員会で起草された。世俗リベラル派は、旧憲法にあった男女平等の記述が削除されたなどとして反発し、今回の混乱が起こる一因となった。

議会の正常化も大きな課題だ。ムルシ政権下の国民議会(下院)はイスラム派が多数を占め、最高憲法裁判所は昨年6月、「議会選制度の一部が違憲で無効」との判決を出した。これを受けて、国民議会は解散させられ、その後約1年間、下院のない異常な事態が続いた。やはりイスラム派が多数を占める諮問議会(上院)についても違憲判決が出て、マンスール暫定大統領はこの5日、解散を命じた。

ムルシ氏の出身母体であるイスラム組織ムスリム同胞団系の政党が選挙に参加するかも注目される。同胞団系の自由公正党の法律顧問は9日、暫定政権自体が無効で憲法宣言は認められないとしており、選挙をボイコットする可能性もある。

一方、ムルシ氏の辞任を求めるデモを呼びかけた若者組織「タマルド(反乱)」も憲法宣言にあたり暫定政権側から何の相談もなかったとして「新たな独裁体制だ」と反発。抗議デモを呼びかけており、宣言のシナリオ通りに進むかどうかは不透明だ。



 
 
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エジプト暫定政府、エルバラダイ氏を副大統領に

【カイロ=溝田拓士】エジプトのマンスール暫定大統領は9日、暫定政府の新首相にハーゼム・ビブラーウィ元財務相を、副大統領(外交担当)にエルバラダイ前国際原子力機関(IAEA)事務局長をそれぞれ指名した。

ビブラーウィ氏は組閣作業に着手した。

ビブラーウィ氏は経済の専門家で、2年前の政変後の軍政時代には副首相(経済担当)、財務相を務めた。世俗・リベラル派の社会民主党に所属する。

暫定政府の首相人事を巡っては当初、マンスール氏が世俗・リベラル派指導者のエルバラダイ氏を指名しようとしたが、反モルシ派でイスラム保守派の有力政党「ヌール党」が反対するなどして、難航していた。

ヌール党は首相ポストに経済通の人材起用を主張しており、今回の人事には反対しないとみられる。

(2013年7月10日00時59分 読売新聞)



 
 
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エジプト暫定首相、イスラム主義勢力に入閣打診

【カイロ=溝田拓士】エジプト中東通信によると、マンスール暫定大統領から暫定政府の新首相に指名され、組閣作業を進めるビブラーウィ氏は9日、モルシ前大統領の出身母体でイスラム主義の最大組織ムスリム同胞団系「自由公正党」と、同胞団に次ぐ第2勢力の保守派「ヌール党」にそれぞれ、幹部の入閣を打診した。

大統領府の広報担当は同通信に、「両党のメンバーが(暫定政府に)加わることには反対しない」と述べ、対立するイスラム主義勢力に「挙国一致」の暫定政府樹立に向けた協力を呼びかけた。

軍のモルシ氏解任に反発する同胞団は、当初から暫定体制作りへの参加を拒否。ヌール党は8日早朝の銃撃戦以降、協議からの離脱を表明している。

(2013年7月10日13時10分 読売新聞)



 
 
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エジプト副大統領にエルバラダイIAEA前事務局長

nikkei.com

2013/7/10 1:08

【カイロ=押野真也】エジプト軍によるクーデターのあと迷走していた暫定政権づくりがようやく動き出した。マンスール暫定大統領は9日、暫定政権の首相に経済専門家のビブラウイ元財務相を指名し、組閣を命じた。副大統領にはエルバラダイ国際原子力機関(IAEA)前事務局長を指名した。いずれも政教分離を重視するリベラル派として知られる。中東通信が伝えた。

エルバラダイ氏は外交担当の副大統領に就任する。民政移管プロセスの作成に参加していたイスラム原理主義政党「光の党」への配慮からエルバラダイ氏の首相指名は見送ったが、国際機関のトップを務めて国際的な認知度が高く、モルシ前大統領に反発する勢力で指導的な役割を担ったことから、副大統領に起用したもようだ。

リベラル派を中心に暫定政権を組織することで「軍政復活」を懸念する欧米諸国からの批判をかわす狙いもありそうだ。

暫定首相の指名を巡っては「光の党」がエルバラダイ氏の起用案に反発し、協議からの離脱を表明していた。

今回の人事を受けて「光の党」が協議に復帰するかどうかが焦点となる。ビブラウイ氏の首相指名について同党は「(内部で)検討中」としている。仮に復帰しても、イスラム勢力を閣僚に登用するよう求める可能性もあり、リベラル派との調整が難航することも予想される。

今後組織する憲法改正委員会の人選などを巡ってリベラル派とイスラム勢力が対立すれば、憲法制定作業に遅れが生じかねない。実際、2012年に施行し、クーデター後に停止された憲法の制定作業ではメンバー選定を巡って議論が紛糾。一度発足した委員会が解散に追い込まれるなど作業が大幅に遅れた。



 
 
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[FT]エジプトだけではない 自由と民主主義の衝突

nikkei.com

2013/7/10 7:00

(2013年7月9日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

自由と民主主義という2つの言葉は、「ジンとトニック」やお笑いコンビ「ローレルとハーディ」のようにセットで使われているようだ。西側諸国の政治家も、この2つの言葉をほとんど置き換え可能なものとして使っていることが多い。米国のジョージ・ブッシュ前大統領は、「自由のアジェンダ」を推進していた2003年のスピーチで、「2500年に及ぶ民主主義の歴史において最も速いスピードで自由が進展」したと称賛していた。

しかし、エジプトの政変は、自由と民主主義が常に同じものであるとは限らないことを示している。両者は時に敵同士にもなり得るのだ。ムハンマド・モルシ大統領を引きずり下ろす軍事クーデターを支持したエジプトのリベラル派は、自分たちの行動は正当だと主張した。ムスリム同胞団の政権は確かに選挙で選ばれたが、基本的な自由を脅かしていたと彼らは考えた。

ガソリンスタンドの行列、食料品価格の上昇、崩壊しつつある治安への不安などが、数百万人もの人々を反モルシの街頭デモに駆り立てた大きな要因だったことは間違いない。

だが、このエジプトの自由化運動の主要メンバーたちが、選挙で選ばれた政権の追放を熱心に支持したことも間違いない事実だ。リベラル派によれば、モルシ氏とムスリム同胞団は司法をないがしろにし、メディアを威圧していた。また女性や少数派の権利を擁護せず、公の場にもイスラム主義的なものを次第に持ち込むようになっており、その傾向はさらに強まる兆しがあった。

自分たちは有権者の意向ではなく神の教えに従い、有権者ではなく神から権威を授かっている−−。究極的にはそう信じている政党が政権を握っている状況では、ムスリム同胞団にチャンスを与えた民主主義的な自由それ自体が保証されなくなるかもしれない、という恐怖感があったのだ。

■トルコでも高まったリベラル派の不満

これはエジプトに限った問題ではない。トルコでは世俗的なリベラル派が、レセップ・タイイップ・エルドアン政権とエルドアン氏の率いる公正発展党(AKP)に反対するデモを行っている。ムスリム同胞団とは違い、エルドアン氏は経済面で着実な成功を収めた実績をアピールできる。

だが、それでもイスタンブールのデモ参加者からは、カイロで聞くのと同じような不平や不満の声が上がっている。トルコ政府は市民の自由をむしばんでいる、司法の力を弱め、ジャーナリストを威圧し、世俗国家トルコの自由−−それがビールを飲む権利なのか、「不謹慎な」服装をする権利なのかはともかく−−を脅かすイスラム化を支援している、といった具合だ。

ムスリム同胞団と同様に、トルコのAKPも、リベラル派の不満に対し、自分たちは選挙で国民の負託を受けたのだと反論している。

■二分化する都市部エリートとその他の国民

民主主義と自由が衝突するのはイスラム主義の政党があるイスラム教国だけの話だと、部外者は考えたくなる。しかし、その見方は正しくない。例えばスリランカでは今、選挙で選ばれた政権が司法の独立性と報道の自由にせっせと揺さぶりをかけている。また近年では、選挙で選ばれた政権の非自由主義的な行動に抗議する大規模デモがモスクワやバンコクでも目撃されている。

ロシアやタイ、トルコ、エジプトでは、比較的裕福で教育も受けている都市部のエリート層と、数の上でははるかに多いその他の国民とのギャップが問題の一端であるようだ(ロシアのデモについては、選挙の不正も関係していたが)。

ウラジーミル・プーチン大統領やエルドアン氏のように専制政治の本能を持つポピュリストは、選挙で選ばれて権力を握ると、小さな町や田舎に住む「真の」国民の間では人気を得る一方で、都市部の中間層が慈しむ自由を踏みにじることがあるのだ。

■自由の基盤という前提にならない参政権

そうした行動は、参政権がその他すべての自由の基盤となるという西側共通の前提を覆す。実際、西側諸国自体の歴史が示す通り、参政権は最初ではなく最後に勝ち取る自由なのだ。

英国では、18世紀までに司法の独立と報道の自由に対する敬意がおおむね確立されていた。だが、21歳以上の男女全員に投票権が保証されたのは、1928年になってからだ。ビクトリア時代を通して、市民は投票権を与えられる前に、基本的なレベルの財産を持ち、教育を受けている必要があるというのが一般的な通念だった。

1867年に参政権が拡大された時、英国のある政治家は憂鬱そうに「我々は我々の主君を教育しなければならない」と述べ、学校改革が今や緊急優先事項だと主張した。

西側では今、そうした考え方は時代遅れで、弁護のしようがないと見なされている。だが、大半の新興国の中産階級の心には訴えるかもしれない。西側の評論家は長年、台頭する中国中産階級は民主主義を求めるようになると予想してきた。だが、実際どうかと言えば、多くの裕福な中国人は、国の運営に対する平等な発言権が農民に与えられたら、「大混乱」が生じると心配しているようだ。

有権者のおよそ4割が読み書きができない社会で、大衆民主主義がもたらす影響とともに暮らすエジプトのリベラル派も、これに共感するかもしれない。モスクと宗教テレビ番組の影響力を考えると、エジプトの貧困層は今後も、機会さえ与えられれば、イスラム主義政党に投票する可能性が高い。

自由は民主主義によって損なわれることがあると今回分かったといえるが、カイロの出来事は一方で、「リベラルなクーデター」なるものが存在しないことも物語る。選挙で選ばれた政府を倒せば、抑圧を行うことになる。そして抑圧は、検閲、政敵の検挙、また多くの場合、街頭での銃撃を意味する。

民主主義と自由は同じものではない。しかし、民主主義を転覆させることは往々にして、同じ悲しい結末に行き着くのだ。

By Gideon Rachman

(翻訳協力 JBpress)



 
 
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エジプト暫定政権組閣へ サウジなど8千億円支援

nikkei.com

2013/7/10 13:34

【カイロ=押野真也】エジプトのマンスール暫定大統領は9日、暫定政権の首相に経済専門家のベブラウィ元財務相を指名し、組閣を命じた。軍に解任されたモルシ前大統領を支持するイスラム勢力は強く反発する一方、軍の対応を支持するペルシャ湾岸諸国は相次いで支援を表明した。今後、エジプト国内のイスラム勢力の支持を得て、挙国一致の内閣にできるかが焦点になる。

首相に指名されたベブラウィ氏は経済分野の実務経験が豊富で、2011年2月の独裁政権崩壊後、暫定政府で財務相を務めた。エジプトの混乱は、モルシ前大統領の経済政策に対する国民の不満を映している。ベブラウィ氏の起用は、内政の最大の課題である経済の立て直しを優先する姿勢を示したとみられる。

エルバラダイ国際原子力機関(IAEA)前事務局長を副大統領に指名したのは苦肉の策といえる。大統領は当初、エルバラダイ氏を首相にする方向で調整を進めていたが、民政移管プロセスの作成に参加していたイスラム原理主義政党「光の党」の反対で断念した。

同氏は国際的な認知度と、若者などを中心とするエジプト国内の支持があるため、格上といえる副大統領で外交担当とすることで、内政から一定の距離を保たせる狙いがあるとみられる。

エジプトが暫定政府の発足に向けて動き出したことから、サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)がエジプトへの支援を表明。サウジは50億ドル(約5000億円)、UAEは30億ドル(約3000億円)を支援する。両国とも、王制批判につながりかねない原理主義勢力の活動が国内で勢いづくのを警戒し、リベラル派を中心に組織されるエジプトの暫定政府に期待を寄せている。

一方、モルシ前大統領を支持するイスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」は、10日未明(日本時間10日午前)も軍と暫定大統領に反対する数万人規模のデモを実施。今回の人事に反発するのは必至。これに対し、光の党は、政治色の薄いベブラウィ氏の首相指名に反対しないとの見方が大勢だ。

現地報道によると、ベブラウィ氏は同胞団系の「自由公正党」と、光の党に入閣を要請する方針という。

■お断り エジプト暫定政権の首相は「ビブラウイ」氏と表記しましたが、より現地発音に近い「ベブラウィ」氏とします。



 
 
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エジプト首相にベブラウィ元財務相 国際社会の支援継続目指す

nikkei.com

2013/7/10 22:33

【カイロ=花房良祐】エジプトのマンスール暫定大統領は9日、暫定首相に経済学者のベブラウィ元財務相を任命、外交担当の副大統領には国際原子力機関(IAEA)前事務局長のエルバラダイ氏を起用した。早期に暫定政権を軌道に乗せて米国などの懸念を払拭し、国際社会の支援の継続を目指す考えだ。

エジプトは10日、断食月「ラマダン」入りした。飲食ができる夜間は気分が高揚しやすいといわれており、デモが過激化する懸念もある。

ベブラウィ暫定首相は、ムバラク政権崩壊後の暫定政権で財務相を務めた。知名度の高いエルバラダイ暫定副大統領とともにリベラル派で、経済に通じたことをアピールし、軍の政治介入による国際社会の批判をかわし各国との関係修復を急ぐ。

1週間前のモルシ前大統領解任を受けて就任したマンスール暫定大統領は、停止した憲法に代わる「憲法宣言」を公表した。今後は解散した議会に代わり、暫定大統領と内閣が協議して立法機能を担う。

ただ、裁判官出身のマンスール氏は行政経験がほとんどない。14年初めともいわれる議会・大統領選挙に向けて、当面はベブラウィ氏ら暫定内閣が実務を担う。

ベブラウィ氏はロイター通信に「10日にも組閣作業に入り、まずはエルバラダイ氏と協議する」と言明。「民意を尊重するが時間は限られている」と強調し、閣僚の人選を急ぐ考えを示した。

失脚したモルシ前大統領の出身母体、ムスリム同胞団に入閣を呼び掛けたが、同胞団は拒否する構え。「挙国一致内閣」の実現は遠のいた。

エジプト経済は2011年2月のムバラク政権崩壊後、雇用悪化と外貨流出に苦しんだ。生活環境は一段と厳しさを増し、モルシ前大統領の辞任要求へとつながった。

燃料・食料の補助金で財政も悪化。国際通貨基金(IMF)との融資交渉が喫緊の課題だ。サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)がクーデター後に計80億ドルの資金支援を表明したが、持続的な財政改革を迫られている。

エルバラダイ氏は外交関係の立て直しを担う。国際社会は軍の政治介入を非難し、米国内ではエジプト軍への援助を問題視する声も上がる。同氏は「退陣を求めるデモの結果」と説明し、批判をかわす考えだ。

米国はエジプトに年15億ドルの軍事援助を実施している。ただ、米国内法は軍が政権を転覆した国への援助を禁じる。オバマ政権は一連のエジプト政変を「クーデター」と明言できず、苦しい対応を迫られている。エルバラダイ氏は米世論への働き掛けも求められる。



 
 
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エジプトのベブラウィ首相、組閣本格化 国際支援つなぎ留め

nikkei.com

2013/7/10 23:44

【カイロ=花房良祐】エジプトの暫定首相に任命されたベブラウィ元財務相は10日、組閣作業を本格化させた。外交を担当する暫定副大統領の国際原子力機関(IAEA)前事務局長、エルバラダイ氏と協議しながら人選を急ぐ。早期に暫定政権を軌道に乗せて米国などの懸念を払拭し、国際社会の支援の継続を目指す考えだ。

エジプトは10日、断食月「ラマダン」入りした。飲食ができる夜間は気分が高揚しやすいといわれており、クーデターへの抗議デモが過激化する懸念もある。

一方、AFP通信によると検察当局は10日、失脚したモルシ前大統領の出身母体、ムスリム同胞団のバディア最高指導者の逮捕状を取った。カイロ近郊の共和国防衛隊司令部付近で、50人以上が死亡したデモを扇動したという容疑だ。

リベラル派のベブラウィ氏とエルバラダイ氏は、暫定政権に実務家や野党幹部、イスラム政党など幅広い勢力を取り込み、モルシ前大統領の解任が「国民の総意」であるとアピールしたい考え。軍の政治介入による国際社会の批判をかわし各国との関係修復を急ぐ。ただ厳格なイスラム主義政党「光の党」がどこまで積極的にリベラル派が率いる暫定政権を支持するか不透明な面もある。

1週間前のモルシ前大統領解任を受けて就任したマンスール暫定大統領は、停止した憲法に代わる「憲法宣言」を公表した。今後は解散した議会に代わり、暫定大統領と内閣が協議して立法機能を担う。ただ、裁判官出身のマンスール氏は行政経験がほとんどない。14年初めとも言われる議会・大統領選挙に向けて、当面はベブラウィ氏ら暫定内閣が実務を担う。

ベブラウィ氏はロイター通信に「10日に組閣作業に入り、まずはエルバラダイ氏と協議する」と言明。「民意を尊重するが時間は限られている」と強調し、閣僚の人選を急ぐ考えを示した。ムスリム同胞団にも入閣を呼び掛けたが、同胞団は10日、拒否を表明。「挙国一致内閣」の実現は遠のいた。

エジプト経済は2011年2月のムバラク政権崩壊後、雇用が悪化し外貨も流出。生活環境は一段と厳しさを増し、モルシ前大統領の辞任要求へとつながった。燃料補助金で財政も悪化。国際通貨基金(IMF)との融資交渉が喫緊の課題で、持続可能な財政の実現を迫られている。

エルバラダイ氏は外交関係の立て直しを担う。国際社会は軍の政治介入を非難し、米国内ではエジプト軍への援助を問題視する声も上がる。同氏は「モルシ氏の退陣を求めたデモの結果」と説明、批判をかわす考えだ。

米国はエジプトに年15億ドルの軍事援助を実施している。ただ、米国内法は軍が政権を転覆した国への援助を禁じる。オバマ政権は一連のエジプト政変を「クーデター」と明言できず、苦しい対応を迫られている。エルバラダイ氏は米世論への働き掛けも求められる。



 
 
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エジプト:暫定政権の副大統領にエルバラダイ氏

毎日新聞 2013年07月10日 01時10分(最終更新 07月10日 07時47分)

【カイロ秋山信一】軍事クーデターでモルシ前大統領が解任されたエジプトで9日、マンスール暫定大統領はリベラル派指導者のムハンマド・エルバラダイ前国際原子力機関(IAEA)事務局長(71)を暫定政権の外交担当副大統領に任命した。暫定首相には、エコノミストのハゼム・ベブラウィ元副首相兼財務相(76)を選び、組閣を命じた。国営メディアが報じた。民政復帰を目指す暫定政権づくりに向けた一歩が踏み出された形だ。

暫定大統領は、国際的知名度の高いエルバラダイ氏を「対外的な顔」とすることで、クーデター後の混乱に対する国際社会の懸念払拭(ふっしょく)を図るとみられる。経済専門家のベブラウィ氏の選択は、内政上の大きな課題である経済問題への対処を重視したことの表れと言える。

人事の発表に先立ち、モルシ氏の出身母体・イスラム組織ムスリム同胞団系の政党「自由公正党」のエリアン副党首は、マンスール氏が発表した今後の政治日程を示した「憲法宣言」の受け入れ拒否を表明。同胞団支持者らはカイロ市内でモルシ氏の復権を求める集会を続けており、政治的安定実現のハードルは依然高いままだ。

クーデターを主導したシシ国防相は同日の声明で、憲法宣言の受け入れと、事態への平和的対応を呼び掛けた。

一方、8日にカイロで起きた軍・治安部隊とモルシ氏支持派デモ隊などの衝突の死者数について、同胞団系の「エジプト医師協会」は、重傷者が死亡するなどして84人になったと明らかにした。保健省は51人としている。AFP通信によると、司法当局は衝突に関与したとして650人の取り調べを始めた。

暫定政権人事をめぐる協議では、エルバラダイ氏が一時、暫定首相への登用が報じられたが、第2のイスラム政党・ヌール党の猛反発で流れた経緯がある。ヌール党はその後、協議から離脱したが、暫定大統領は広範な支持を得るためイスラム勢力の取り込みを図っており、ヌール党の意向は無視できない状況だ。

ヌール党の報道担当者は協議への復帰については「8日の衝突に関する独立した調査と結果の公表が必要だ」と説明した。



 
 
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エジプト:観光業に打撃 経済立て直しに影響 

毎日新聞 2013年07月10日 10時32分(最終更新 07月10日 11時22分)

【カイロ宮川裕章、秋山信一】軍事クーデターによる混乱が続くエジプトで、経済への悪影響が懸念されている。2011年の革命でも観光客や投資が減少し、経済状況が悪化した。今回も治安の悪化を懸念して外国人観光客が激減している。モルシ前政権で低迷した経済の立て直しに対する国民の期待は大きく、軍主導の暫定政権も頭を悩ませている。

9日、カイロ近郊ギザのピラミッド。大小三つのピラミッドを見晴らせる「パノラマの丘」には、乗せる客のいないラクダ約50頭が寝そべっていた。ラクダ引きのムハンマド・アリさん(44)は「人生で一番つらい時期だ。全部モルシのせいだよ」と前大統領を批判する。10年には1日約5000人の外国人観光客が訪れたが、今月8日は320人だった。

アリさんは11年の革命で客足が遠のいた時は、ラクダ2頭を売り、貯金を切り崩してしのいだ。だが「モルシは観光業を軽視し、経済はますます悪化した」。アリさんは反モルシ政権のデモに参加したが、軍事クーデターとその後の動乱で、客はさらに3分の1に減った。妻と5人の子、ラクダ1頭を養わなければならない。「貯金も底をついてぎりぎりの生活だ。モルシ派のデモ隊は早く解散してほしい」と語る。

政府統計によると、10年の外国人観光客は約1473万人だったが、11年は約985万人に減少。12年は約1153万人と回復傾向にあったが、今回の騒乱で欧米諸国や日本などが渡航自粛を呼びかけており、再び減少することが懸念される。

観光業の不振によって、輸入決済時の信用度の指標となる外貨準備高の減少に拍車がかかる恐れもある。人口約8400万人のエジプトは世界最大の小麦輸入国で、石油など燃料も輸入している。

中央銀行によると、6月末の外貨準備高は約149億ドル(約1兆5000億円)で、最低限必要とされる輸入3カ月分を下回っている。小麦や燃料の輸入が滞れば市民生活に影響が出る。ロイター通信によると、9日にサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)が計80億ドル規模の支援を表明。当面は友好国の支援以外に経済の改善策は見当たらない。

一方で、市場では暫定政権に対する期待も出ている。主要株価指数EGX30は、大規模な反モルシ政権デモが起きた6月30日以降の10日間で約11・3%上昇した。

注目されるのは、経済安定の鍵になるとされる国際通貨基金(IMF)との約48億ドルの融資交渉への対応だ。妥結すれば、欧米からも経済支援や投資が増える可能性が高いが、増税や補助金削減など国民の痛みを伴う改革も求められる。貧困層に支持基盤があるモルシ前政権はこうした改革に及び腰だった。国際社会は暫定政権が改革に踏み切れるか注視しているが、国内的には国民の不満を招く恐れもある。



 
 
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エジプト:暫定政権参加勢力に足並みの乱れ

毎日新聞 2013年07月10日 12時15分

【カイロ秋山信一】軍事クーデターでモルシ氏が大統領を解任されたエジプトで、クーデターにつながる大規模デモを主導した若者中心の市民団体「タマルド(反乱)」などは9日、マンスール暫定大統領に対し、憲法宣言(暫定憲法)の修正を求めた。暫定政権を巡っては人事などでも参加勢力の足並みの乱れが目立っており、不安定な運営ぶりが改めて浮き彫りになった。

タマルドは8日に詳細が発表された憲法宣言について、「暫定大統領に権限が集中しており、独裁につながりかねない」などと指摘。2011年の革命を主導した市民団体「4月6日運動」も憲法宣言への反対を表明した。

さらにロイター通信によると、モルシ氏の解任を支持する主要政治勢力「国民救済戦線」も9日、「相談を受けていない」として憲法宣言の修正を求めた。救済戦線からは指導者のエルバラダイ前国際原子力機関(IAEA)事務局長が暫定政権の外交担当副大統領に任命されたばかり。

憲法宣言は、モルシ前政権時代に制定された憲法の改正や次期大統領選などの重要な政治日程を定めている。マンスール暫定大統領は就任時に、大規模な反モルシ政権デモを主導した若者グループを重視する考えを表明したが、憲法宣言の修正に応じるかは不明だ。

一方、ロイター通信によると、第2のイスラム政党・ヌール党は、9日に任命されたベブラウィ暫定首相について支持を表明したが、エルバラダイ暫定副大統領については態度を保留した。

ヌール党は、8日にカイロで起きた軍・治安部隊とモルシ前大統領支持派の衝突に抗議し、暫定政権を巡る協議から離脱した。だが暫定政権は広範な支持を得るため、ヌール党の協力も得たい考えだ。ヌール党は、エルバラダイ氏の暫定首相起用に猛反発した経緯があり、暫定政権に協力するかは不透明だ。

ベブラウィ暫定首相は9日、タマルドのウェブサイトで声明を発表し、「暫定内閣のメンバーは専門知識と経験を重視して選ぶ」と述べた。暫定政権への協力を拒むモルシ氏の出身母体・穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団については「能力があれば同胞団からも閣僚を選ぶかもしれない」と述べ、融和を呼びかけた。



 
 
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エジプト:「反クーデター」広がらず 対立は局地戦の様相

毎日新聞 2013年07月10日 21時26分(最終更新 07月11日 02時37分)

エジプトのモルシ前大統領が軍事クーデターで失脚してから10日で1週間を迎えた。モルシ氏の支持母体、イスラム組織ムスリム同胞団と軍・治安部隊のにらみ合いは依然続いているが、同胞団支持者以外に「反クーデター」の共感は広がらず「局地戦」の様相を強めている。混乱の長期化が深刻な不況に輪をかける中、市民の多くは一刻も早い生活の正常化を願っている。【カイロ宮川裕章、樋口直樹】

エジプトでは10日からイスラム教の聖なる断食月「ラマダン」が始まった。カイロ東部の同胞団の一大拠点ラバ・アダウィーヤ広場もお祝いムードに包まれ、軍・治安部隊が配置された近くの共和国防衛隊本部前にデモ隊が近づかないよう、自主的に50メートルほどの緩衝地帯が設けられた。兵士も少なく、事実上の「ラマダン停戦」に入った格好だ。

3日のクーデター以降、同胞団は連日数万人規模の激しい抗議デモを繰り広げてきたが、行動範囲はラバ・アダウィーヤ広場と共和国防衛隊本部前に限られている。遠巻きに配置された軍側部隊に包囲され、身動きがとれない状態だった。

市民の間には、モルシ氏の独裁色の濃い政治手法や経済政策への批判が根強く、広場から一歩足を踏み出せば抗議デモの熱狂はどこにも見つけられない。

一方、6月30日に反モルシ派の大集会が行われたカイロ中心部のタハリール広場。ラマダン初日の10日は人影もまばらで、世俗リベラル派の活動家たちが声を張り上げたステージには数人が腰をかけて休んでいた。

電柱に張られたモルシ氏の顔に×印の付いたポスターはすでに色あせ、剥がれかけている。デモを主導した若者中心の市民団体「タマルド(反乱)」の主要メンバー、モハメド・アブドルアジズさん(28)は「我々は公職には就かず、外から運動の成果を見守りたい」と語り、「モルシ後」まで見据えた運動でなかったことを認める。

クーデター後の対立構図は「同胞団」対「軍・治安部隊」に単純化され、一般市民は混乱の早期収拾をひたすら願っている。

タクシー運転手のヒシャムさん(48)は「どこへ行っても(軍・治安部隊によって)道路が閉鎖され、遠回りしなければならない。次の大統領もまたデモで倒れることになったら、この国は前へ進まなくなる。早くデモのない生活に戻りたい」と苦り切った表情。

旅行会社に勤めるハッサンさん(50)も「先月末以降、観光客は半分に減った。政治が安定し、国民が普通に生活できる日が早く来てほしい」と話した。

◇同胞団トップに逮捕状 8日の衝突事件

【カイロ秋山信一】軍事クーデターでモルシ前大統領が解任されたエジプトで今月8日、軍・治安部隊とモルシ氏の出身母体・イスラム組織ムスリム同胞団のデモ隊が衝突し、50人以上が死亡した事件で、エジプトの検察当局は10日、衝突を扇動した容疑で、同胞団トップのバディア最高指導者ら幹部10人の逮捕状を出した。また、検察当局は同胞団関係者ら200人を拘束した。

検察当局は8日以降、遺体の検視や解剖を進めていた。さらに衝突で使用された銃器や弾薬を押収し、拘束した容疑者から聴取を続けている。バディア氏らに関しては「これまでの捜査で関与が濃厚になった」と説明した。逮捕状が出た10人の中には、1990年代に頻繁にテロ事件を起こしたイスラム組織「イスラム集団」の幹部も含まれている。

幹部らは同胞団が集会を続けるカイロ北東部のラバ・アダウィーヤ・モスクなどに潜伏しているとみられる。モスク周辺はバリケードが築かれ、治安当局側は入れない状態が続いている。

衝突は8日早朝、カイロ北東部にある軍部隊「共和国防衛隊」施設付近で発生し、銃撃戦に発展した。衝突の端緒を巡っては双方の主張が対立。軍や治安部隊は「武装集団に銃撃されたため応戦した」と説明しているが、同胞団は「礼拝中に軍が催涙ガスなどで攻撃を始めた」と訴えている。

保健省によると、衝突では51人が死亡。同胞団系のエジプト医師協会は死者は84人だとしている。軍・治安部隊の兵士3人も死亡した。



 
 
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エジプト:「アルジェリア化」懸念も 大量の武器も流入か

毎日新聞 2013年07月10日 22時27分

【カイロ秋山信一】軍主導の暫定政権とイスラム組織ムスリム同胞団の対立が深刻化するエジプトで、1992年のクーデター後に軍とイスラム原理主義組織との内戦が始まったアルジェリアの二の舞いになるのではないかとの懸念が上がっている。

アルジェリアは62年にフランスから独立。社会主義政党の独裁が続いたが91年12月、複数政党制による初の総選挙でイスラム原理主義のイスラム救国戦線(FIS)が圧勝した。しかし、同党が政権に就く前に世俗主義の軍がクーデターを起こし、非合法化されたFISは武装闘争を始めた。内戦は約10年間続き、10万人以上が死亡した。

初の民主的選挙でイスラム政党が圧勝した後に軍が介入するという経過は、エジプトと酷似する。エジプトは2011年に民主化要求運動「アラブの春」で、ムバラク独裁政権が崩壊。12年の人民議会(国会)選挙と大統領選挙ではムスリム同胞団が連勝し、同胞団政権が1年間続いた。

同胞団はテロなど過激路線を否定する穏健な組織だったが、8日には軍・治安部隊との衝突で少なくとも51人が死亡。同胞団内部で強硬派の主張が通りやすい状況にある。革命後の治安の混乱や、隣国リビアの内戦後に大量の武器が流入し、武装化も容易になっている可能性がある。



 
 
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エジプト:暫定政権の副大統領にエルバラダイ氏 首相に元財務相任命

毎日新聞 2013年07月10日 東京朝刊

【カイロ秋山信一】軍事クーデターでモルシ前大統領が解任されたエジプトで9日、マンスール暫定大統領はリベラル派指導者のムハンマド・エルバラダイ前国際原子力機関(IAEA)事務局長(71)を暫定政権の外交担当副大統領に任命した。暫定首相には、エコノミストのハゼム・ベブラウィ元副首相兼財務相(76)を選び、組閣を命じた。国営メディアが報じた。暫定政権づくりへ一歩が踏み出された。

◇死者84人に

暫定大統領は、国際的知名度の高いエルバラダイ氏を「対外的な顔」とすることで、クーデター後の混乱に対する国際社会の懸念払拭(ふっしょく)を図るとみられる。経済専門家のベブラウィ氏の選択は、内政上の大きな課題である経済問題への対処を重視したことの表れと言える。

これに先立ち、モルシ氏の出身母体・イスラム組織ムスリム同胞団系の政党「自由公正党」のエリアン副党首は、マンスール氏が発表した今後の政治日程を示した「憲法宣言」の受け入れ拒否を表明。同胞団支持者らはカイロ市内でモルシ氏の復権を求める集会を続けており、政治的安定実現のハードルは依然高いままだ。

クーデターを主導したシシ国防相は同日の声明で、憲法宣言の受け入れと、事態への平和的対応を呼び掛けた。

一方、8日にカイロで起きた軍・治安部隊とモルシ氏支持派デモ隊などの衝突の死者数について、同胞団系の「エジプト医師協会」は、重傷者が死亡するなどして84人になったと明らかにした。保健省は51人としている。AFP通信によると、司法当局は衝突に関与したとして650人の取り調べを始めた。

暫定政権人事をめぐる協議では、エルバラダイ氏が一時、暫定首相への登用が報じられたが、第2のイスラム政党・ヌール党の猛反発で流れた経緯がある。ヌール党はその後、協議から離脱したが、暫定大統領は広範な支持を得るためイスラム勢力の取り込みを図っており、ヌール党の意向は無視できない状況だ。

ヌール党の報道担当者は協議への復帰については「8日の衝突に関する独立した調査と結果の公表が必要だ」と説明した。



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