リビア首都で民兵同士が戦闘、4人死亡
2012年01月04日 19:20 発信地:トリポリ/リビア
【1月4日 AFP】リビアの首都トリポリ(Tripoli)市内で3日、反カダフィ派だった民兵同士の戦闘が起き、白昼の銃撃戦で4人が死亡した。
衝突したのはトリポリ中心部を拠点とする民兵組織と、反カダフィ派の西部の拠点だったミスラタ(Misrata)出身の民兵組織。
目撃者証言や現場のAFP記者によると、カダフィ前政権の情報機関本部に近いザウィヤ(Zawiyah)通りとサイディ(Saidi)通りの間で、数百人の民兵が地対空砲や機関銃を撃ち合った。ミスラタの民兵らが、トリポリの民兵に拘束された仲間の解放を要求したことがきっかけという。
トリポリ市内では現在も、反カダフィ派として戦った民兵が部隊として集団で残っている姿が目に付く。トリポリ以外から集まり、故郷への帰還を拒んで居着いている民兵も多く、中には前政権の庁舎を拠点として制圧しているグループもある。
正式な治安部隊の存在が空白の中、これら民兵によって一見、治安が保たれている面もあるが、民兵同士の衝突も少なくない。カダフィ政権崩壊から時間が経つにつれ、トリポリに残る民兵たちは新たな懸念を引き起こしつつある。
こうした中、暫定統治する国民評議会(NTC)は3日、新生国軍トップの参謀長にミスラタ出身の元将官ユセフ・マングーシュ(Yussef al-Mangush)氏を任命した。民兵らを統制下に置き、治安部隊に統合させることが責務のひとつになるとみられる。(c)AFP/Jay Deshmukh
リビアに官民訪問団 政府が今月下旬、資源・復興需要にらむ
nikkei.com
2012/1/11 13:16
【カイロ=花房良祐】日本政府が今月下旬、官民の合同経済ミッションをリビアの首都トリポリに派遣することが明らかになった。最高指導者だったカダフィ大佐が昨年10月に殺害されて内戦が終結して以降、日本からの官民ミッション派遣は初めて。リビアを巡っては原油など豊富な天然資源の権益獲得やインフラ復旧などの復興需要をにらみ、欧米が暫定政権との接触を増やしている。日本もミッション派遣でパイプ作りを進める。
ミッションには経済産業省、資源エネルギー庁、外務省など政府関係者、総合商社やプラントメーカーなど資源関係を中心とする企業・機構など合計30人前後が参加する。外交筋によると暫定政権のエネルギーや産業政策の担当閣僚らと会談する方向で調整している。
リビアでは治安状況が大きく改善。エネルギー大手のイタリア炭化水素公社(ENI)首脳は今年半ばまでに同社のリビアでの原油生産設備の稼働水準が内戦発生前のレベルに戻るとみる。全土でも昨年暮れに日量80万バレル程度まで生産が回復。今年末までに内戦前の約160万バレルを達成するとの見方もある。
国連や各国はカダフィ政権時代に科した経済制裁を相次ぎ解除しており、中央銀行などが保有する多額の金融資産が国内産業の育成に向かうとの思惑もある。欧州エアバスは昨年末、航空機の取引についてリビアと交渉を再開した。
サッカーのアフリカ選手権開幕、新生リビアが初戦で敗北
2012.01.22 Sun posted at: 15:41 JST
(CNN) サッカーの2012年アフリカ選手権大会は21日、アフリカ西部の赤道ギニア・バータで同国とリビアの開幕戦が行われ、赤道ギニアが1−0で勝ち、好発進した。今大会は赤道ギニアと隣国ガボンの共催となっている。
赤道ギニアは試合終了直前、スペインのレアル・マドリードに以前所属していたFWバルボアが決勝点を挙げ、リビアの反攻をしのいで逃げ切った。赤道ギニアの代表チームは、ヌゲマ同国大統領の息子が大会開幕前に約束した100万米ドル(約7700万円)の勝利ボーナスを獲得した。
今大会の公式サイトにはリビアの国旗として旧カダフィ政権時代の緑色の旗が紹介され、リビア側が抗議し、交換を要求する一幕もあった。リビアでは現在、カダフィ政権を崩壊させた国民評議会が実権を握り、国旗も黒、赤と緑の3色をあしらった旗を採用している。
大会には計16チームが参加、A〜Dの各組に4チームずつが分かれてリーグ戦を争い、上位進出に挑む。A組のザンビア対セネガルの試合も21日に行われ、ザンビアが2−1で勝った。
アフリカ選手権はこれまで2年ごとに開催されてきた。
リビア国民評議会、副議長が辞任表明 市民の抗議活動続き
nikkei.com
2012/1/23 10:33
【トリポリ=花房良祐】カダフィ政権の崩壊以降、リビアを暫定統治している国民評議会のゴーガ副議長は22日、辞任を表明した。副議長はカダフィ政権に関与していたとされ、市民の抗議活動が続いていた。市民は国民評議会に旧政権関係者が多数参加していることや資金の用途が不透明なことをやり玉に挙げ、抗議デモなどが頻発している。
2011年2月に始まった反政府運動の拠点となった東部の都市ベンガジでは21日、市民数百人が国民評議会の事務所に乱入。投石などで窓ガラスが割れる騒ぎとなった。
ゴーガ副議長は中東の衛星テレビ局アルジャズィーラに「辞任は国のためだ」と言及。アブドルジャリル議長は22日、抗議活動が続けばリビアの混乱が長引くと話し、市民に過渡期の統治体制への理解を求めた。
カダフィ大佐次男、ICCではなく国内で裁判=リビア司法相
2012年 01月 24日 12:14 JST
[トリポリ/ハーグ 23日 ロイター] リビアのAli Humaida Ashour司法相は23日、同国の元最高指導者カダフィ大佐の次男セイフイスラム氏の裁判が、国内で行われることになったと述べた。国内で裁判を行うための申請が20日、国際刑事裁判所(ICC)に認められたとしている。
ICCは昨年6月、セイフイスラム氏に対し「人道に対する罪」の容疑で逮捕状を発行しており、同氏は同11月にリビア南部の都市ゼンタンで拘束された。ICCでの裁判では死刑になる恐れはないが、リビア国内での裁判なら死刑判決が下る可能性もある。
ICCのモレノオカンポ主任検察官は昨年11月、リビアでの裁判は公平性に欠ける恐れもあるが、自国で正義を下そうという姿勢を喜ばしく思うとコメントしていた。
リビア司法相によると、セイフイスラム氏の裁判日程は未定だが、一般公開される予定。
カダフィ派残党がバニワリドを奪還か、リビア
2012年01月24日 11:38 発信地:バニワリド/リビア
【1月24日 AFP】リビア西部バニワリド(Bani Walid)で23日、最高指導者だった故ムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)大佐派の残党勢力が同国を暫定統治する国民評議会(NTC)派民兵の拠点を攻撃し、バニワリドを掌握した。NTC関係者がAFPに明らかにした。だが、内務省はこの事実を否定している。
首都トリポリ(Tripoli)南方170キロにあるバニワリドは、カダフィ大佐が拠点としていた都市。前年10月23日にリビア全土の解放が宣言されて以来、カダフィ派側による大規模な武力攻撃は初めて。
NTCのメンバーだったM'barek al-Fotmani氏によると、カダフィ派残党勢力は23日白昼、バニワリドのNTC基地を攻撃。NTC軍司令官を含む5人が死亡したほか、30人あまりが負傷し、バニワリドのほぼ全域がカダフィ派残党に掌握されたという。
だが、リビアのテレビに出演した暫定政府のファウジ・アブデラリ(Fawzi Abdelali)内相は、バニワリドで起きた戦闘は前年のカダフィ派と戦った市民らの報酬をめぐる内輪もめによるもので、カダフィ派は関与していないと語った。その一方で、5人の死者が出たことは認めた。
リビアでは前週にも、ベンガジ(Benghazi)で暫定政府に不満をもつ群衆による抗議デモが起きている。(c)AFP/Imed Lamloum
カダフィ大佐旧拠点で武力衝突、死者も リビア
2012.01.24 Tue posted at: 09:51 JST
(CNN) カダフィ政権の崩後国家再建に向けて取り組みを進めるリビアで、故カダフィ大佐の拠点の一つだった西部バニワリードで親カダフィ派と反カダフィ派が武力衝突した。当局者が23日明らかにした。
リビア国民評議会のメンバーによれば死者も出ているという。リビア内務省によれば、死者の中には国民評議会側の兵士も含まれる。同省によれば、バニワリードのへのアクセスの一部を親カダフィ派が支配下に置いているという。
バニワリードは、カダフィ政権崩壊の際にも最後までカダフィ大佐側について抵抗した都市の一つ。
2012年1月24日17時47分
カダフィ派、バニワリード掌握の情報 リビア内務相否定
リビアからの報道によると、同国北西部バニワリードで22日、カダフィ支持派とみられる武装集団が、暫定政府支持派の民兵組織を武力攻撃し、市街地を掌握した模様だ。複数の住民や地元有力者が語った。
一方、AFP通信によると暫定政府のアブドルアリ内相は、戦闘で5人の死者が出たと認めたうえ、「地元の内輪もめであり、カダフィ派による攻撃ではない」としており、詳細は明らかになっていない。
バニワリードは、カダフィ大佐を支持していた有力部族の本拠地で、カダフィ政権が昨年8月に首都トリポリを失った後も、政権軍が2カ月近く立てこもり、抵抗を続けた。この部族が暫定政府派の民兵と衝突した可能性もある。
カダフィ大佐旧拠点で武力衝突、死傷者25人 政府は制圧の構え
2012.01.24 Tue posted at: 11:57 JST
(CNN) カダフィ政権の崩後暫定政府が発足し、国家再建に向けて取り組みを進めるリビアで、故カダフィ大佐の拠点の一つだった西部バニワリードで親カダフィ派と反カダフィ派が武力衝突した。政府当局者が23日明らかにしたところによれば、5人が死亡したほか、20人が負傷した。
リビア内相は国営テレビを通じて演説し、国民評議会が親カダフィ派に対して寛容な態度を取らないことを言明。「リビアの治安が最優先事項だ」と述べた。
リビア内務省によれば、死者の中には国民評議会側の兵士も含まれており、バニワリードのへのアクセスの一部を親カダフィ派が支配下に置いているという。バニワリードは、カダフィ政権崩壊の際にも最後までカダフィ大佐側について抵抗した都市の一つ。
首都トリポリの住民によれば、各地に検問所が設置され、街は警戒態勢に入っているという。
リビアにイスラム政党 ムスリム同胞団、選挙視野に結成へ
nikkei.com
2012/1/26 12:12
【トリポリ=花房良祐】リビアのイスラム原理主義組織ムスリム同胞団が2月下旬にも政党を結成することが分かった。民主化運動で政権が崩壊したエジプトとチュニジアのほか、憲法改正で国王の権限を縮小したモロッコでも議会選挙でイスラム政党が躍進。リビアでも台頭すれば民主化運動でイスラム勢力が伸長する構図が一段と鮮明になり、リベラル派の警戒感が強まりそうだ。
リビアのムスリム同胞団のカルムース副議長が日本経済新聞に明らかにした。同胞団の構成員は現在数千人で、これに加えてカダフィ政権崩壊後に数千人が参加の意志を示しているという。
カダフィ政権はムスリム同胞団を弾圧し、1998年には幹部約150人を逮捕したという。水面下で活動を続け、政権崩壊後に本格的な政治活動を開始。各地に事務所をすでに設立し、内部の評議会も設置、組織的な基盤を整えつつある。
カルムース副議長は「議会選を実施すれば最大勢力となる」と言及、リビア政界で一大勢力になる可能性もある。リビアではすでに複数のリベラル勢力が政党を立ち上げたが、知名度はいまひとつ。各党は準備を急いでいる。
リビアを暫定統治する国民評議会は6月ごろに新憲法を議論する国民議会選挙を実施する方針。政治制度を定めてから大統領選か総選挙を実施、2013年半ばに新政権を樹立する計画だ。
ムスリム同胞団は慈善活動などを通じた草の根の組織づくりが特徴。源流であるエジプトのムスリム同胞団も長年弾圧されたが、ムバラク政権崩壊後の議会選で同胞団系の自由公正党が第1党に躍進した。
ムスリム同胞団はエジプト発祥のイスラム復興運動で穏健派とされ、武力闘争を続けるイスラム過激派とは一線を画す。リビアの同胞団も同じ思想の流れをくみ49年に設立。リビアの同胞団はエジプトと連携していないと主張している。
リビア原油生産急回復、13年輸出倍増へ 石油省副大臣表明
nikkei.com
2012/1/28 1:10
【トリポリ=花房良祐】リビアの原油生産が急ピッチで回復、輸出も来年には現在の2倍近い日量100万バレルに達する見通しだ。同国のシャクマク石油省副大臣が首都トリポリで日本経済新聞記者に明らかにした。内戦で原油生産施設に大きな損傷はなく、大半の油田で生産を再開。生産量は7〜8月には内戦前の日量160万バレルの水準に戻る。イラン産原油の禁輸措置で原油価格が高止まりする中、市場にも影響を与えそうだ。
リビアの原油生産は昨年2月の反カダフィ派蜂起前の時点で日量160万バレル、輸出も同130万バレル近かったが、内戦が激化してから生産・輸出ともほぼ停止した。しかし政権崩壊後に徐々に回復、1月中旬時点で生産は日量110万バレル、輸出は主に欧州向けに同50万〜60万バレルまで持ち直した。シャクマク副大臣は来年半ばには生産が日量170万〜180万バレルになるとの見通しも示した。
設備被害少なく
業界関係者の予想を上回る早さで回復しているのは生産設備のダメージが小さかったため。リビア東部の油田「ミスラ」と「サリール」は戦闘で設備が損傷したものの、それ以外の油田設備に深刻な被害はないという。
石油精製施設の復旧も進み、西部ザウィヤにあるリビア第2の精製施設はフル稼働中。中部ラスラヌフの同国最大の精製施設は4〜6月に再稼働できるという。東部トブルクの精製施設では日量1万バレルの現在の精製能力を12万バレル以上に増強する検討に入った。ただ、シャクマク副大臣は「選挙で選ばれた政府が決断する」と述べ、暫定統治の間は入札などの手続きを進めない可能性を示唆した。
過去の合意尊重
カダフィ政権時代の外国企業との資源開発の契約については「国際的な合意は尊重する」と指摘、維持する方針を表明。今後の資源開発の入札は「(応札者の)国籍を考慮すると透明性を欠く」と話し、カダフィ政権と親密だった中国やロシアの企業も排除しない考えを示した。
リビアはカダフィ政権崩壊後、石油行政の体制を変更した。従来は国営石油会社が行政的な役割も担っていたが、新たに石油省を設立、原油政策を担当する。国営石油会社は今後、現場の技術対応などに専念する。
リビアの確認埋蔵量は世界8位で、内戦前の生産量は世界18位だった。
リビア:親カダフィ派、抵抗続く 評議会統治に疑問
【カイロ和田浩明】北アフリカのリビアでカダフィ独裁体制の崩壊から約5カ月が経過したが、政府系部隊を実力排除した親カダフィ派の都市が25日には事実上の「自治宣言」をするなど、混乱が続いている。暫定統治機構「国民評議会」が予定していた選挙法案発表も、21日に起きた抗議活動で延期され、民主体制への移行は停滞。国際人権団体からは捕虜の拷問で批判されており、前途は多難だ。
ロイター通信などによると、首都トリポリ南東約150キロのバニワリードで、23日に武装住民が評議会系部隊を排除、双方に12人の死者が出た。25日には有力部族幹部による「自治委員会」が結成され、ジュワリ国防相もこれを受け入れたという。
バニワリードは親カダフィ派の拠点で、昨年8月のトリポリ陥落後、最高指導者だったカダフィ大佐が昨年10月、反体制派に殺害される直前まで抵抗を続けた。国民評議会は、昨年2月に始まった騒乱後に各地で組織された民兵組織の国軍への統合を目指すが進展していない。
政治民主化も遅れている。21日にはベンガジの評議会本部に抗議デモ隊が乱入し、カダフィ政権関係者の排除や意思決定過程の透明化を求めた。アブドルジャリル議長は半年後に予定される暫定議会の選挙法案を発表予定だったが、延期に追い込まれた。
国民評議会には、カダフィ派捕虜の取り扱いに対しても批判が集まっている。26日には国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」が「拷問や虐待が行われ、死者も出ている」と批判。「国境なき医師団」も北西部ミスラタで収監者の拷問を継続するため治療を行わされたとして、刑務所での活動中止を発表した。
さらに、騒乱中の混乱で軍施設から持ち出された武器弾薬類が、ナイジェリアのイスラム過激派「ボコハラム」や国際テロ組織「アルカイダ」に渡った可能性を指摘する国連報告もある。
いずれも国民評議会の統治能力に対する疑問を深める事例で、民主化への行程は不透明さを増している。
毎日新聞 2012年1月28日 東京夕刊
リビアの外貨資産7兆5000億円 戦後復興に活用
nikkei.com
2012/2/1 0:10
カダフィ政権崩壊後、立て直しを進めるリビアの外貨資産が1月末現在、980億ドル(約7兆5000億円)に達することが明らかになった。内戦による混乱で資金の流用や横領が懸念されたが、戦費などの支出は80億ドル程度(約6100億円)にとどまった。現在の暫定政府は石油輸出で積み立てた潤沢な資金をインフラ投資など経済復興に役立てる方針だ。
中銀のエルカビル総裁がトリポリで日本経済新聞記者の取材に応じ、「外貨資産はリビアの強み」と強調した。
隣国エジプトはムバラク政権崩壊後、外貨流出に悩み、中銀の外貨準備高が急減。財政難も重なり、経済危機の懸念が強まっている。エルカビル総裁は「エジプトと状況は全く違う」と指摘。物価が安定し、外貨資産の存在で自国通貨の信用が保たれていると話した。
旧政権の海外資産は内戦中、国連などの経済制裁で凍結されたが、昨年末以降、中銀の資産凍結はほぼ解除された。総裁によると、カダフィ政権は内戦で外貨資産を流用。外国人雇い兵などの戦費に使用したもようだ。
一方、反カダフィ派もリビアを解放して以降、輸入決済や内戦で負傷した兵士の治療などに資産を使用した。双方のこうした支出で外貨資産は内戦前より約80億ドル減少。金塊は1月末現在で115トンあり、内戦前に比べて約2割減少した。
2012年の国家予算は、公務員給与の増加や破壊された都市の再開発などで歳出が500億〜600億リビアディナール(3兆〜3兆6000億円)程度に膨張する一方、歳入は原油生産の落ち込みで減少する。約70億リビアディナールの財政赤字となる見通しで、中銀の外貨資産活用で穴埋めする方針。
リビア中銀の外貨資産は約6割が現預金で約4割が日米欧など長短期の債券。株式も保有し、中銀は伊大手銀ウニクレディトに約2.9%、バーレーンの銀行アラブ・バンキング・コーポレーションに約6%を出資している。「株式を売却する予定はない」という。
経済再建への短期の課題では「市街の再建、雇用創出、インフラ開発の推進」の3点を挙げた。「リビア経済は公的部門に依存している」と述べ、民間部門の育成が重要との見方も示した。
(カイロ=花房良祐)
仏軍艦艇がリビア首都に入港 掃海訓練、再軍備も支援
nikkei.com
2012/2/1 20:40
リビア暫定政府の国防省報道官は1月31日、リビアの石油積み出し港の機雷撤去や武器密輸の取り締まりなどリビア海軍の訓練のため、フランス海軍の艦艇2隻が同日、リビアの首都トリポリの軍港に入港したことを明らかにした。ロイター通信が伝えた。
報道官は、昨年8月にカダフィ政権を崩壊させ統治主体となった国民評議会と政権側の内戦中、政権側が石油積み出し港に大量の機雷を敷設したと説明。フランス海軍は掃海を指導し、装備拡充などリビア海軍の再軍備も支援するという。(カイロ=共同)
カダフィ大佐の次男、近く裁判開廷へ リビア内相
cnn.co.jp
2012.02.06 Mon posted at: 13:04 JST
ロンドン(CNN) リビアで拘束されている故カダフィ大佐の次男、セイフルイスラム容疑者の裁判が、数週間から数カ月のうちに始まる見通しとなった。英国を訪問している同国暫定政府のアブドルアリ内相が5日、CNNとの独占インタビューで語った。
セイフルイスラム容疑者はかつて最高指導者だったカダフィ大佐の後継者とみなされていた人物で、昨年11月から西部ジンタンで拘束されている。内相は、同容疑者の件は検察の捜査完了後、ただちに裁判所へ移管されると述べた。
昨年セイフルイスラム容疑者と面会した人権団体のヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は、同容疑者に弁護士を付けるべきだと訴えていたが、内相は容疑者自身から要望が出ていないとの認識を示した。
また、暫定当局が拘束者を虐待しているとされる問題に対しては、「カダフィ政権下のような組織的侵害はない」と主張。「個人が勝手に制裁を加えている場合はあるかもしれない」と付け加えた。
内相によると、カダフィ大佐が拘束時に負ったとされる致命傷についても、近く捜査が完了する。拘束現場は混乱していたうえ、「撃ったのは自分だ」と主張する者が多く、真相究明は難航しているという。
一方、リビア国民暫定評議会(NTC)のメンバーによると、東部ベンガジで5日、カダフィ政権下の犯罪行為をめぐる軍事裁判が始まった。対象は民間人にも及ぶ。同様の軍事裁判は今後、他都市でも順次開かれる予定だという。
カダフィ政権崩壊後の司法手続きが進む一方で、各地で民兵の衝突が続くなど、同国の混乱状態は収まっていない。内相は、民兵組織の統一について助言を得ることが訪英の目的のひとつだと語った。
クローズアップ2012:対シリア決議案否決 中露、欧米に不信 リビア「後遺症」重く
シリアのアサド政権に住民弾圧を停止させるための国連安保理決議案は10月に続き再び中露の拒否権で廃案となった。中露には、リビアで市民保護目的の武力行使容認決議が、結果的に政権交代のために使われたとの不信感があり、リビア「後遺症」がシリアでの拒否につながった。一方、アサド大統領は辞任を求める外圧から一息ついた形だが、国内の混乱収拾のめどは立たず、硬軟織り交ぜた難しい対応を迫られる。【ニューヨーク山科武司、カイロ和田浩明】
「決議案には武器禁輸も制裁もない。我々の提案はすべて、妥協の精神の下、取り下げたのに拒否権を行使された」。決議案採決後、ドイツのウィティヒ大使は記者団に残念そうに語った。
中露の支持を取り付けるため妥協に妥協を重ねた欧米諸国にとって譲れない一線が、アサド大統領の退陣などを求めたアラブ連盟の行程表への「全面的な支持」だった。国際社会として今後の連盟の対シリア行動を保障する意味で重要だったが、ロシアは最後、この文言まで弱めるよう求めた。「決議の根幹」(グラント英大使)であり、欧米側もさすがに譲歩できなかった。
シリア中部ホムスでは3〜4日、200人前後の住民が殺害されており、国際社会のメッセージを示すために「今日(4日)、採決するほかなかった」(ウィティヒ大使)事情もある。
一方で欧米側は、ロシアが最後は譲歩して棄権に回る可能性がある、と読んでいたようだ。リビアへの対応に絡み中露が懸念を深めた「保護の責任」を、決議案の前面に出さなかったためだ。「保護の責任」とは05年の世界サミットで各国が合意した概念で、「国家は人々を大量虐殺などから守る義務があり、保護責任を果たせない場合、国際社会が武力行使を含めて対応」というものだ。
安保理の対リビア決議はこの「保護の責任」に基づいてNATO(北大西洋条約機構)軍の空爆を容認。市民保護が目的だったが、結果的にNATOは継続的にリビア政府軍を空爆しカダフィ政権崩壊に結実した。
中露は国内にチェチェンやチベットなどの少数民族問題を抱え内政干渉には敏感だ。リビア決議案では、欧米が主張する「保護の責任」に一定の理解を示し、決議案採決では拒否権を行使しなかった(棄権)。その後、NATO軍が激しい攻撃を続けたことに中露は「国内問題への介入だ」と反発。NATO軍の誤爆での市民犠牲者数の調査を求めるまでに硬化した。
政府が反体制派を弾圧する構図はシリアもリビアと同じだが、欧米は対シリア決議案では、「保護の責任」を明記しなかった。先月31日の協議ではクリントン米国務長官が「『第二のリビアを生む』との懸念は誤りだ」と強調したのも中露の懸念を意識したためだ。だが中露の警戒感は強かった。
採決後、ライス米大使は「あきらめてはいない」と強調した。しかしシリア情勢が大きく変わらない限り中露の「後遺症」をぬぐい去るのは困難で安保理としての対応は難しい。当面各国・地域で制裁などの方策を探ることになりそうだ。
◇対立の裏にイラン
シリア中部ホムスで大量の犠牲者が出たことは安保理決議採決直前ということから、シリア政府にとって最悪のタイミングだった。国営メディアは「反シリアの外国勢力とメディアによるでっちあげ」などと主張した。
その意味でも安保理決議案否決にアサド政権が一息ついたのは確かだ。シリアの国営通信もニュースを速報。中露の国連大使の「バランスの悪い決議案」「各国の主権尊重が必要」といった発言のみを引用し、米欧のアサド政権非難発言は無視した。
シリアのジャファリ国連大使はこの日、アサド大統領が主張している自主的な政治改革路線の維持を訴えた。国際社会が内政に干渉することをけん制した発言だが、このままシリア軍が弾圧を継続するのも容易ではない。これ以上の弾圧を続ければ、国際社会の批判は、拒否権を行使した中露にも向かうことになるためだ。両国はそれぞれのルートを使ってシリアに圧力をかける可能性がある。
さっそくロシアのラブロフ外相は7日にダマスカスを訪問、アサド大統領と会談する予定だ。この際、シリア政府は反体制派との対話路線を示す必要に迫られるが、アサド大統領は1月の演説で離反兵士団体や武装住民を「武装テロ集団」と見なし、「鉄拳で打つ」とも明言している。平和的反体制派には対話姿勢を見せながら、武装反体制派への弾圧は維持すると見られる。
一方、欧米諸国とペルシャ湾岸諸国による一連のシリアへの圧力強化の裏に、シリアが歴史的に友好関係を維持するイランの問題が横たわっている。今回の安保理決議案を主導したのが、イランの核兵器開発疑惑に強い懸念を抱く米英仏独とサウジアラビア、カタールだったのもそのためで、シリアを封じ込めることでイラン・シリアの共闘態勢を弱体化させる狙いが見え隠れすることが対立の構図を複雑にしている。
欧米諸国はシリアに強い圧力をかける一方、ペルシャ湾岸バーレーンで政府軍がサウジやカタールなどの軍支援を受け民主化運動を弾圧した際、ほとんど何の対応もしなかった。欧米諸国は、イランと友好関係にあるシリアの住民弾圧は許さないが、イランの脅威にさらされるバーレーンの弾圧には目をつぶっている。
安保理で対シリアの決議案を主導したサウジ、カタールにとって否決は痛手だ。しかし、両国ともイランの核開発計画を国家安全保障上の重大な脅威と捉えており今後も、アサド政権の退陣を実現させてイランのアラブ圏への影響力を弱める方策を進めると見られる。
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◆シリア情勢を巡る最近の動き◆
2011年
3月25日 反政府デモ全土に拡大
4月19日 アサド政権が非常事態法の48年ぶりの解除決定
29日 米国が対シリア経済制裁発動
8月 3日 国連安保理が武力弾圧非難の議長声明
10月 4日 国連安保理で武力弾圧を非難する決議案否決
11月12日 アラブ連盟がシリアの一時資格停止処分決定
12月12日 アサド政権による弾圧の死者が5000人超と国連が報告
19日 シリアがアラブ連盟による反体制派との調停案署名を発表
26日 アラブ連盟の和平監視団がシリア入り
2012年
1月22日 アラブ連盟がアサド大統領の退陣を含む行程表に合意
2月 4日 国連安保理で武力弾圧停止要求決議案否決
毎日新聞 2012年2月6日 東京朝刊
リビア:騒乱1年 新体制移行、進まず 治安に懸念、南部で衝突も
【カイロ和田浩明】リビアの最高指導者カダフィ大佐を42年にわたる独裁政権から排除した民主化騒乱の開始から17日で1年になる。暫定統治機構「国民評議会」の下、新たな民主体制づくりの準備が進められているが、速度は遅い。治安は首都トリポリでは比較的安定しているが、南部で武力衝突も報じられ、逃亡中のカダフィ大佐の親族が「全国的な反乱」を警告するなど、懸念は尽きない。
中東の民主化運動「アラブの春」を受け、リビアでは昨年2月17日に東部ベンガジなどを中心にカダフィ政権に対する蜂起が発生。一時は東西に分かれ内戦状態に陥ったが、昨年8月下旬にトリポリが陥落。同10月20日にカダフィ大佐も反カダフィ派に殺害された。
国民評議会は8日、新選挙法案を発表。当面の目標は移行国民議会選挙と、その後1年をかけた憲法制定作業だが、具体的日程は明らかにされていない。中東の衛星放送アルジャジーラによると、アブドルジャリル評議会議長は騒乱中の犯罪行為に問われている者の恩赦案を示し、民兵組織や部族間の融和を図る。
トリポリの地元紙幹部、モフタハ・アブライード氏(40)によると、首都は出入り口に検問所は残るものの、市内の検問所は姿を消し「治安は日々改善している」という。
しかし、南東部のクフラでは地元有力部族と民兵組織の間で衝突が発生。ロイター通信によると、チャドや南スーダンからの雇い兵も戦闘に参加し、少なくとも5人が死亡、数百人が負傷した。首都の南東約150キロのバニワリードでも、最大部族ワルファラが政府側民兵を追い出して事実上の「自治」を宣言。国民評議会の統治は全土に及んでいない。
カダフィ大佐の三男で国際手配中のサーディ容疑者(38)は10日、中東の衛星放送アルアラビーヤで「評議会への国民の不満は高まっており、反乱が起きる」と警告した。
一方、主要収入源の原油生産は、評議会によると日産約130万バレルと騒乱前の約8割まで回復した。
国民評議会政治委員会委員長のファティ・バジャス氏は毎日新聞の取材に「民主的体制への移行が遅れれば国が不安定化する。国民の要求に耳を傾けながら前進していきたい」と話した。
毎日新聞 2012年2月16日 東京朝刊
リビアで初の自由選挙 西部で市議会選
nikkei.com
2012/2/21 11:29
リビアからの報道によると、同国西部ミスラタで20日、昨年のカダフィ政権崩壊後、全国初の自由選挙となる市議会選が行われた。6月に予定される制憲議会選に向けたリハーサルの意味もあり、他の地方自治体のモデルとなることが期待されている。
リビア各地では昨年以来、反カダフィ派の制圧に伴い地域の名士らが自治体を運営しているが、経験不足や汚職疑惑などから批判が少なくない。ミスラタでは住民による指導部批判の座り込みなどを経て選挙実施が決まり、定数28に対して200人以上が立候補した。
ミスラタはリビア第3の都市で人口は約30万人。カダフィ政権下で議会や首長の選挙はなかったため、市議会選の実施には選挙管理委員会の設置を含む準備が必要だったという。
一方、リビアを統治する国民評議会は制憲議会選の投票日を発表しておらず、準備の遅れが懸念されている。(カイロ=共同)
トリポリ(CNN) カダフィ政権崩壊後の新体制づくりが進むリビアで、石油資源の豊富な東部の旧キレナイカ州が6日、自治を宣言した。
リビアを暫定統治する国民評議会(NTC)のメンバー、アハメド・ズバイル・セヌッシ氏(79)が新たな指導者に選出された。同氏は東部ベンガジから電話でCNNのインタビューに応じ、「軍事や財務は国に任せ、保健、教育や社会的な分野は地元が担うと説明。「リビアを分断するつもりはない」と述べた。
同氏はカダフィ政権時代、クーデター未遂を首謀したとして31年間収監された経験を持つという。ベンガジで6日、部族指導者や政治家、活動家、学者ら4000〜5000人が開いた会合で、全員の同意により当面の指導者に選ばれたと語った。
ただ、動画共有サイト「ユーチューブ」には5日、「連邦制は国家分裂につながる」「首都はトリポリだ」と反対を唱えるデモ隊数十人の映像が掲載された。
同氏は、東部が石油を独占することはないと強調。地域を安定させ、治安を改善することが最優先だと話す。
これに対し、NTCのアブドルジャリル議長は6日の記者会見で、自治宣言は「国家の団結を脅かす動きだ」と非難した。
リビアからの報道によると、東部ベンガジで6日、部族の幹部や地域の有力者ら約3千人が集まり、中部シルト以東エジプト国境までの地域について「自治の確立」を宣言した。暫定大統領にあたる国民評議会のアブドルジャリル議長は猛反発し、自治権を認める可能性は低い。地域対立が激化する可能性がある。
リビア東部は、石油資源が集中する一方でカダフィ政権時代に社会基盤の整備が遅れてきた。多くの住民が「差別されている」と感じ、ベンガジは反カダフィ派の拠点となった。6日の会合では、東部の古名から名付けた「キレナイカ暫定評議会」の発足を宣言し、「連邦制度の導入を求める」としている。
アブドルジャリル議長はこの動きを「リビアの革命をほかの国に広げたくないアラブ圏の陰謀」と批判した。同議長も東部ベイダの出身だ。
リビアの旧カダフィ政権の情報機関トップで、国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状が出ていたアブドラ・サヌーシ氏が、西アフリカ・モーリタニアの空港で逮捕された。AFP通信などが報じた。
サヌーシ氏は16日夜、マリの偽造パスポートを持ってモロッコから入国しようとしたところを拘束されたという。リビア政府は、モーリタニア政府に身柄の引き渡しを求めている。
昨年6月、元最高指導者カダフィ氏と次男セイフルイスラム氏とともにICCから人道に対する罪で逮捕状が出ていた。カダフィ政権崩壊後、一時拘束されたとの情報が流れたが、誤りだったことが判明。行方が分からなくなっていた。(ナイロビ=杉山正)
【カイロ=田尾茂樹】北アフリカ、モーリタニアからの報道によると、リビアのカダフィ政権下で情報機関トップだったアブドラ・サヌシ氏が17日、モーリタニアの首都ヌアクショットの国際空港で拘束された。
隣国マリの偽造旅券で、モロッコから入国しようとしていたという。
サヌシ氏に対しては、国際刑事裁判所(ICC)が、「人道に対する罪」の容疑で逮捕状を出していた。
(CNN) リビアの旧カダフィ政権下で情報機関のトップだったアブドラ・サヌーシ容疑者が西アフリカのモーリタニアで逮捕され、国際刑事警察機構(インターポール)が18日、リビアの要請を受けて同容疑者を国際手配した。
同容疑者は昨年9月、人道に対する罪などの容疑で国際刑事裁判所(ICC)にも国際手配されていた。モーリタニアはICCには非加盟だが、インターポールには加盟している。
リビア政府は18日、セヌーシ容疑者の身柄引き渡しについてモーリタニア政府との間で交渉を行っていることを明らかにした。インターポールによると、リビアは公金横領や職権乱用などの容疑でサヌーシ容疑者の行方を追っていたという。
サヌーシ容疑者はリビアの最高指導者だった故カダフィ大佐の義理の兄弟にあたる。モーリタニアの首都ヌアクショットの国際空港で16日夜、偽造パスポートを持っていたとして逮捕された。リビア政府によれば、息子とみられる若い男性と一緒だったという。
フランスの大統領府は、同国もサヌーシ容疑者の引き渡しを求める手続きを進めていることを明らかにした。同容疑者は、フランスの旅客機が1989年にニジェール上空で爆破されて170人が死亡した事件でも罪に問われ、本人不在のまま行われた裁判で終身刑を言い渡されている。
[ミラノ 28日 ロイター] イタリア当局は、昨年死亡したリビアの元最高指導者、カダフィ大佐の一族が保有していた株式など、総額11億ユーロ(約1200億円)の資産を差し押さえた。
イタリアの警察当局が28日に発表した声明によると、差し押さえの対象となったのは、同国最大の銀行ウニクレディト(CRDI.MI: 株価, 企業情報, レポート)、石油会社ENI(ENI.MI: 株価, 企業情報, レポート)、防衛大手フィンメカニカ(SIFI.MI: 株価, 企業情報, レポート)、自動車大手フィアット(FIA.MI: 株価, 企業情報, レポート)、名門サッカークラブのユベントス(JUVE.MI: 株価, 企業情報, レポート)などの株式のほか、銀行預金、地中海の島にある森林、バイクのハーレーダビッドソンなど。
資産の差し押さえは国際刑事裁判所(ICC)の要請を受けて行われ、ローマの裁判所が資産の管理を行う予定だという。
韓国:内戦死者身元確認でリビア支援
毎日新聞 2012年04月18日 21時53分(最終更新 04月19日 00時04分)
【ソウル西脇真一】韓国国防省はリビアにDNA鑑定の専門家や装備を送り、カダフィ政権下や内戦で発生した多くの死者の身元確認を支援する。朝鮮戦争(1950〜53)での戦死者の遺体発掘や身元確認のノウハウを伝授する。3月には担当幹部らがリビアを訪問し、現地事情を視察。同省遺体発掘鑑識団の専門家らを8月にも派遣する計画だ。韓国にとっては、リビアの復興利権を確保する足がかりの一つとしたい考えもあるようだ。
国防省報道官らが17日の記者会見で明らかにした。韓国は00年から朝鮮戦争戦死者の遺体発掘や身元確認事業を実施。聯合ニュースなどによると、これまで韓国軍兵士約6000人を含む約7000人の遺体を発掘した。
今年は3〜11月に兵士延べ10万人を動員し、激戦地を中心に65地域で発掘作業を行う予定。また、遺族ら約1万8500人からDNA試料を採取。身元が確認されたのは3月時点で77件だが、今後も照合を継続する。
リビアでは、カダフィ政権下や内戦で約5万人が行方不明とされ、虐殺されたとみられる大量の遺体が各地で見つかっている。韓国政府は蓄積した身元確認などの技術を提供することでリビア復興支援を進める考えだ。
サルコジ仏大統領、前回選挙でカダフィ政権から資金援助か
2012.04.29 Sun posted at: 09:50 JST
(CNN) フランス大統領選の決選投票を5月6日に控え、現職のサルコジ氏が前回2007年の大統領選でリビアのカダフィ旧政権から5000万ユーロ(約53億円)の資金援助を受けていたことを示す文書の存在が報じられ、対立候補のオランド氏が刑事捜査を求めている。一方、サルコジ氏は「ばかげた話」と否定している。
文書を入手したと伝えたのは、仏オンライン誌メディアパート。文書は06年12月10日付けで、当時リビア情報当局のトップだったムーサ・クーサ氏が、サルコジ陣営への秘密資金の提供を承認したことが記録されているという。
サルコジ陣営がカダフィ旧政権から資金を受け取っていたとの疑惑は、約1年前から指摘されてきた。カダフィ大佐の後継者とされていた次男セイフルイスラム氏は昨年3月、フランスがリビア反体制派の「国民暫定評議会」を承認した後のテレビインタビューで、サルコジ陣営を援助していたことに言及し、「銀行取引の全記録がある」「リビア国民に金を返してほしい」などと話していた。ただ、援助の証拠はこれまで提示されていなかった。
サルコジ氏は「ばかげた話だ」と一蹴(いっしゅう)している。同氏は先月放送されたテレビインタビューで、「すでに死亡したカダフィ大佐や裁判中のセイフルイスラム氏の言葉を引用しても、信頼性はゼロだ」と主張した。
フランス政府の選挙資金監視当局によると、サルコジ陣営は07年大統領選で、総額2130万ユーロの献金を受けたと申請していた。
リビア元首相:ドナウ川で遺体発見 暴行の形跡なし
毎日新聞 2012年04月30日 19時06分(最終更新 04月30日 19時06分)
ウィーンを流れるドナウ川で29日、カダフィ政権下のリビアで首相や石油相を務め、昨年に政権を離反したシュクリ・ガネム氏(69)の遺体が見つかった。地元メディアが伝えた。
死因は不明。地元警察は「遺体に暴行を受けた形跡はない」と述べ、川に誤って落ちた可能性などを指摘している。
ガネム氏はウィーンの会社でコンサルタントとして働き、警察によると、29日早朝に自宅を出たとみられるという。遺体は服を着た状態で、川に浮かんでいた。
ガネム氏は2003〜06年に首相で、その後、昨年まで石油相を務めた。(ウィーン共同)
サルコジ大統領:故カダフィ大佐が資金援助か 06年文書
毎日新聞 2012年05月01日 11時25分(最終更新 05月01日 19時13分)
【パリ宮川裕章】フランスのサルコジ大統領が07年大統領選前、リビアの故カダフィ大佐から5000万ユーロ(約53億円)の選挙資金の援助を受けていた疑惑を仏インターネット紙「メディアパー」が4月29日に報じた。大統領側は否定し、同社を司法当局に告訴したが、6日の大統領選決選投票を前に、サルコジ陣営に痛手となりそうだ。
報道では、当時のリビア情報省長官の署名入りの内部文書を掲載。ルモンドなど主要紙を含む各紙も報じた。
文書は06年12月10日付で、当時リビア情報省長官のムッサ・クッサ氏の署名入り。「06年10月6日のリビア、仏側の合意に基づき、サルコジ氏の選挙キャンペーンに協力し、5000万ユーロを寄付する」と記され、リビアの「アフリカ投資リビア財団」に仏側への支払いを求める内容。実際に資金が支払われたかどうかの記載はない。
リビア:国際人権団体「誤爆で市民72人犠牲」
毎日新聞 2012年05月14日 19時49分
【ブリュッセル斎藤義彦】国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチは14日、昨年行われた北大西洋条約機構(NATO)主導の多国籍軍によるリビア空爆について現地調査の結果を発表、女性20人、子供24人を含む72人の市民が犠牲になったと述べた。NATOによる市民への誤爆については今年3月、国連人権理事会の調査委員会が60人が死亡したと発表しており「市民の犠牲はなかった」と主張したNATOは苦しい立場に追い込まれた。
ヒューマン・ライツ・ウォッチは市民への誤爆が疑われた8カ所を現地調査、地元住民にも聞き取りを実施。その結果、7カ所では軍事施設が置かれていた疑いはないと結論付けた。最も犠牲の多かった誤爆は8月8日、トリポリの東約160キロにあるマーヘルの例。民家2軒が爆撃され、34人が死亡、30人以上が負傷した。この爆撃については国連の調査でも34人の死亡が確認されている。
ヒューマン・ライツ・ウォッチは「市民への誤爆は国際法違反の疑いがある。犠牲が指摘されているのに調査もしないのは透明性に欠ける」と批判した。
パンナム機爆破事件の元受刑者が死亡 270人が犠牲
2012.05.21 Mon posted at: 16:38 JST
(CNN) 英北部スコットランド地方上空で1988年に米パンアメリカン航空機が爆破された事件で有罪判決を受けスコットランドの刑務所に服役し、その後病気を理由に釈放されていたリビア人のアルメグラヒ元受刑者が20日、リビア国内で死亡した。リビア政府と元受刑者の遺族が明らかにした。60歳だった。
事件から20年以上経過したが、爆破事件の被害者遺族にとって事件の記憶は風化していない。遺族の1人は、「彼は多くの人を殺した殺人者だ。何の哀れみも感じない」と語った。
同事件では米国人189人を含む270人が死亡。英米両国の捜査の結果、アルメグラヒ元受刑者らが同機に爆発物を仕掛け爆発させたものと断定した。元受刑者らは91年に殺人などの罪で起訴されたが、当初リビアは元受刑者らの引き渡しを拒否。99年に国際社会の圧力により身柄が引き渡された後、2001年に英スコットランドの裁判所で無期懲役の判決が言い渡された。
元受刑者は09年、前立腺がんと診断され死期が近いとして「温情的な理由」により釈放された。この釈放には多くの反対の声が寄せられていた。
武装集団が空港閉鎖 リビア、全便欠航
nikkei.com
2012/6/5 2:56
中東の衛星テレビ、アルジャズィーラなどによると、リビアの首都トリポリの国際空港を4日、武装集団が戦車で取り囲み閉鎖した。同日の全ての便が運航取りやめとなった。
武装集団は、トリポリの南東約60キロにあるタルフーナを拠点とする民兵とみられる。閉鎖の目的は不明。
リビアでは昨年のカダフィ政権崩壊後、民兵の国軍への再編成が遅れ、地域や部族間の戦闘が相次いでいる。暫定政府の建物への襲撃も起きるなど、政情が安定していない。(カイロ=共同)
リビア民兵集団が空港を一時占拠、30人逮捕
2012.06.05 Tue posted at: 14:41 JST
トリポリ(CNN) リビアの首都トリポリで4日、民兵集団がリーダーの解放を要求して空港を襲撃した。その後、リビア政府の治安部隊によって民兵のメンバー30人が逮捕された。同国の労働相が明らかにした。
労働相によると、政府は5000人の治安部隊を空港の一帯に送り込み、民兵集団を制圧した。
地元の記者によると、民兵は空港の一部を占拠し、乗客をターミナルから避難させるとして車に誘導。滑走路付近からは火の手が上がって黒煙がたちこめ、散発的な銃声が鳴り響いた。市内各所には検問所が設置された。
民兵集団が解放を求めたリーダーの所在は分かっていない。閣議では政府がこの人物を拘束していないことを確認。民兵集団が空港襲撃の口実とするために行方不明情報を流した可能性があるとの見方も出ている。
一方、民兵集団は同日、こうした見方を否定し、空港からの撤収の条件としてあくまでもリーダーの解放を求めていた。
2012年6月5日11時06分
リビアで民兵集団が空港一時占拠 約10人負傷
リビアの首都トリポリで4日、武装した民兵集団がトリポリ空港を数時間にわたり占拠した。民兵たちは滑走路の飛行機を取り囲み、機内に押し入って離陸を止めたという。空港で着陸を予定していた便は市内の空軍基地に着陸した。
ロイター通信などによると、トリポリ南東約80キロのタルフーナを本拠とする民兵集団で、暫定政府がこの集団の指導者を拘束したとみて釈放を要求した。トリポリと西部ジンタンから別の民兵集団が出向き、タルフーナ集団と一時交戦した上で、去るよう説得したという。戦闘などで10人ほどの負傷者が出た模様だ。
リビアでは昨年の内戦後、各地の民兵集団が武装を維持し、地域や部族間、あるいは暫定政府との対立を繰り返している。トリポリ空港は4月までジンタンの民兵が占拠していた。また、先月には西部ヤフランの民兵集団が給料の支払いなどを求めトリポリの首相府を襲撃した。
リビアでは今月19日までにカダフィ政権崩壊後初の議会選が行われることになっているが、混乱が続いているうえ準備が大幅に遅れており、予定通り行われるかどうか不透明な状況だ。(カイロ=貫洞欣寛)
リビア:外相「原油生産量 内戦前の水準に戻す」
毎日新聞 2012年06月07日 19時09分
来日中のリビア暫定政府のビンハヤル外相は7日、東京都内で記者会見し、カダフィ政権が崩壊した昨年のリビア内戦で激減した原油生産量について、「現在日量約150万バレルまで回復した。近く内戦前の水準である170万バレルまで戻したい」と述べ、生産体制の回復を急ぐ考えを示した。
リビアの原油埋蔵量は世界第8位とされるが、内戦で生産が一時停止状態に陥った。ビンハヤル氏は、原油増産に加え、内戦で破壊されたインフラの再建や、現在失業率35%に高止まりしている雇用情勢の改善を急ぐ考えを示し、日本の協力に期待を示した。
一方、元最高指導者カダフィ大佐がアフリカ諸国に約束した援助や労働者受け入れの協定が「リビアのためでなく『アフリカの王』として自己満足するためのものばかりで重荷になっている」と批判し、見直しを進める考えを示した。【坂井隆之】
リビア:制憲議会選、1カ月間延期も 暫定政府外相が会見
毎日新聞 2012年06月09日 18時59分(最終更新 06月09日 19時15分)
来日したリビア暫定政府のビンハヤル外相が9日、東京都内で毎日新聞などと会見し、19日予定の制憲議会選挙について「立候補資格の審査などに時間がかかる可能性がある。(7月20日ごろに始まる)ラマダン(イスラム教の断食月)までには実施する」と述べ、選挙が最大1カ月間延期される可能性を示唆した。ビンハヤル氏は「最終的には選挙管理委員会が国連の専門家らと協議して決める」と説明した。
一方、産油地を抱えるベンガジなどの東部地域が自治を求めていることについては「国の将来像に関する提案として検討すべきだが、現時点での自治には反対だ」と述べた。【秋山信一】
リビア武装勢力の武器がアルカイダ系に流出か、米国防総省
2012.06.21 Thu posted at: 18:51 JST
(CNN) 米国防総省のアマンダ・ドーリー次官補代理(アフリカ問題担当)は21日までに、リビアの旧カダフィ政権崩壊の中心勢力となった部族などの武装勢力が使用していた武器が北アフリカ諸国やテロ組織に流出し、地域情勢に脅威をもたらしているとの懸念を示した。
リビアからこれまで流出した武器の量については伝えられていない。
次官補は、リビアでの治安悪化は武器のほか、多数の戦闘要員の流出も招き、通常の国境貿易を停滞させる原因になったと指摘。武器の多くはアルジェリアなどに拠点を築く国際テロ組織アルカイダ系の「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ組織」(AQIM)に流れたとみている。
また、軍によるクーデターが今春発生し、北部では反政府派の部族が独立を宣言するなどの内乱が起きている西アフリカのマリにも持ち込まれたとみられている。
次官補は、AQIMの活動は活発化しているとも指摘し、身代金目的の拉致などにより多額の金を得ていると述べた。国防総省は、AQIMの活動が地域情勢の安定や、米国やパートナー国の権益への攻撃能力に影響するのかなどを注視しているとも語った。
2012年7月2日10時14分
リビア東部、自治拡大求め数百人が選挙事務所襲撃
リビアからの報道によると、東部の主要都市ベンガジで1日、東部の自治権確立や議会での議席配分の拡大を求める群衆数百人が、選挙管理委員会の地域事務所を襲撃。7日に行われる議会選用の投票箱を投げ捨て、書類を焼いた。
議会制民主主義を否定していたカダフィ政権が崩壊したリビアでは、史上初の自由選挙となる7日の選挙で選ばれた議会が憲法起草を行う予定。一方で、社会には武器があふれ、暫定政府に不満を持つ集団や民兵などによる政府庁舎の襲撃や部族間の戦闘などが相次ぐ不安定な情勢が続いている。(カイロ=貫洞欣寛)
リビア:選管事務所襲撃…議席配分に反発 50年ぶり選挙
毎日新聞 2012年07月02日 20時26分
【カイロ前田英司】リビア東部の主要都市ベンガジで1日、選挙管理委員会の事務所が暴徒に襲われる騒ぎがあった。リビアでは7日、昨年の民主化闘争でカダフィ独裁体制が崩壊したのを受け、約50年ぶりの選挙が実施され、新憲法の制定に当たる議員を選出する。民主化闘争の発火点となったベンガジは、この制憲議会の議席配分を巡って暫定政府と対立しており、一部が選挙のボイコットも呼びかけている。
AP通信などによると、約300人が選挙事務所を襲撃して投票用紙を燃やしたり、投票箱を投げ捨てたりした。襲撃者らは「東部地域の要求を無視する当局に対する反応だ」と話した。
制憲議会(定数200)は首都トリポリを含む西部地域に102議席、東部地域に60議席、南部地域に38議席を配分。だが東部はリビア経済を支える産油地帯であることを背景に議席の拡大を要求し、「自治」を求める声も上がっている。
リビアで最後に選挙があったのは王制下の64年。その後、69年のクーデターで権力を掌握して42年間の独裁を敷いた元最高指導者のカダフィ大佐は、全国民による「直接民主制」を国是とし、政党を認めず、選挙による代議制を拒否していた。
リビア民主化へ一票、国民議会選挙の投票
7日、首都トリポリの投票所前で順番を待つ有権者=田尾茂樹撮影
【トリポリ=田尾茂樹】42年間に及んだ最高指導者カダフィ氏の独裁政権が昨年崩壊したリビアで、民主化への一歩となる国民議会(定数200)選挙の投票が7日、行われた。
国政選挙実施は、王制下の1960年代以来半世紀ぶり。首都トリポリの各投票所では、早朝から長蛇の列が見られた。結果判明には数日かかる見込み。
一方、東部アジュダービヤなどでは、自治権の拡大を求める集団による妨害活動があり、一部の投票所が閉鎖されるなどした。
(2012年7月7日21時14分 読売新聞)
リビア、国家再建に向け本格始動 制憲議会選で投票行う
nikkei.com
2012/7/7 19:52 (2012/7/8 0:42更新)
【トリポリ=共同】中東民主化運動「アラブの春」で昨年8月にカダフィ政権が倒れたリビアで7日、政権崩壊後初の自由国政選挙となる制憲議会選(定数200)の投票が行われた。約42年続いたカダフィ大佐の独裁下で、憲法も議会もない特異な「直接民主制」を強いられた国民が、新憲法制定に当たる議員を選出、国家再建に向けたプロセスが本格始動する。
イスラム穏健派ムスリム同胞団が3月に結成した正義開発党は今回、73人の公認候補を擁立した。かつてのイスラム過激派組織幹部で、内戦時は反カダフィ派「国民評議会」の軍事部門司令官を務めたベルハジ氏率いる祖国党からも59人が出馬した。
イスラム勢力に対するリベラル派では、国民評議会の元ナンバー2で、エコノミストのジブリル氏の国民勢力連合(公認候補70人)が有力とみられる。
国政選挙は、カダフィ大佐が1969年に権力を握る前の王制時代以来で、多くの国民にとって投票は初めて。連邦制を主張する北東部などではボイコットの動きが広がったため、投票率がどこまで伸びるかも注目される。
地元の報道によると7日、一部で選挙への妨害行為があったほか、北東部アジュダビヤの投票所で投票が一時中断された。アジュダビヤでは5日、選管が襲撃され投票用紙が燃やされており、用紙などが不足したとみられる。
リビア:初の国民議会選挙で投票 結果は7月下旬ごろに
毎日新聞 2012年07月07日 21時05分(最終更新 07月07日 23時17分)
【トリポリ前田英司】リビアで7日、昨年の民主化闘争でカダフィ政権崩壊後、初めての国民議会(定数200)選挙が投票された。本格的な国政選挙はカダフィ体制前の旧王制下にあった52年以来。国を暫定統治してきた国民評議会はこれで解散し、民選された国民議会の承認する新内閣が権限を引き継ぐ。即日開票されるが、最終結果の発表は7月下旬ころになる見通し。
「こんな日が来るなんて信じられない」。首都トリポリ・ファシルーム地区の投票所で公務員のマブルーク・フセインさん(54)が人生初の選挙に喜びをかみしめた。この地区はリビア東部で民主化闘争の火が付いた当初から、住民総出で蜂起したことで知られる。つえをついたり、歩行器に体を預けたりして投票する年配者も。フセインさんは「まさに神が与えてくれた奇跡だ」とつぶやいた。
別の投票所では、赤黒緑3色の新国旗を握りしめて投票する人や、投票済みの印に付ける指のインクを記念撮影する人の姿も。パイロットのエジディン・サイードさん(37)は「我々は新たな歴史を刻んでいる」と興奮していた。
リビア国民議会選、予定通り実施 一部で混乱も
2012.07.08 Sun posted at: 09:51 JST
トリポリ(CNN) リビアのカダフィ政権が崩壊してから初の国政選挙となる国民議会選が7日、予定通り実施され、各地の投票所に多くの有権者が詰め掛けた。国民議会は、暫定政権の任命や新憲法の制定を担う。
この選挙は自由で民主的なリビア国家の建設へ向けた第一歩と位置付けられ、全体の投票率は予想を上回る伸びを示した。投票は午後8時に締め切られたが、選管責任者によると、同4時の時点で約280万人の登録有権者のうち約120万人が投票を済ませていた。同責任者は、98%の投票所で予定通り投票が実施されたと述べた。
国民議会の定数200に対し、3500人以上が立候補した。投票日に先立ち、有権者全体の約8割が登録手続きを取っていた。当日は猛暑にもかかわらず、各地の投票所で老若男女が長い列を作った。
投票済みの印となる人差し指の紫のインクを誇らしげに示す人の姿もみられた。首都トリポリ中心部の広場周辺では、市民らが車のクラクションを鳴らすなどして選挙の実現を祝った。
この日出動した警官は1万3000人余りに上ったが、一部ではトラブルも報告された。欧州連合(EU)選挙監視団の責任者によると、東部ベンガジでは2カ所の投票所が放火された。また同市内外の投票所7カ所が、脅迫により閉鎖された。東部アジダビヤでは投票用紙の配達が間に合わず、郊外の投票所4カ所が閉鎖となった。
内務省によると、6日にはベンガジから近郊の地域へ投票箱を運んでいた空軍ヘリコプターが攻撃を受け、1人が死亡した。数日前には投票用紙などの選挙用品が保管されていた倉庫が抗議集団に攻撃される事件もあった。東部には、議席配分などに対する不満がくすぶっている。
新しい歴史の始まりの日…リビアで国民議会選
【トリポリ=田尾茂樹】カダフィ政権崩壊後のリビアで7日行われた国民議会選(定数200)は、大半の有権者にとって初めての選挙となり、早朝から投票所に詰め掛けた人々は真の民主化への期待を込めて1票を投じた。
首都トリポリで投票した建築業ムハンマド・ダヒールさん(57)は「リビアの新しい歴史の始まりの日だ。自由で民主的な国に生まれ変わった」と目を細めた。
リビアの人口は約640万人で、登録有権者数は286万人。国民議会の任期は1年。選挙後30日以内に暫定首相を指名し、暫定内閣を承認する役割を担う。選挙から1年以内に国民投票を経て新憲法を制定した上で、再び議会選を行い本格政府を樹立する計画だ。
直接民主制と称する独裁体制を敷いたカダフィ政権下では、国民は監視下に置かれ、政治を話題にすることもできなかった。
昨年の内戦で親友がカダフィ派に殺害されたという警察職員イサム・スイスィさん(30)は「多くの犠牲のおかげでこの権利を得られた。うれしさで体の震えが止まらない」と話した。
だが、首都に比べて経済発展の遅れが指摘されてきた東部では、選挙での東部への議席配分拡大などを訴える集団が各地で妨害活動を展開した。選挙管理委員会によると、ベンガジでは投票所にデモ隊が乱入し投票用紙を燃やしたほか、アジュダービヤでは放火された投票所もあった。
国民議会は当初、新憲法起草委員会の委員も選任するとされていた。だが、東部での抗議運動を受け、暫定統治組織「国民評議会」は5日になって急きょ、憲法委の委員選挙は別に実施すると発表した。
(2012年7月8日20時37分 読売新聞)
リビア制憲議会選、リベラル派連合が優勢
nikkei.com
2012/7/13 11:22
【カイロ=押野真也】リビアの選挙管理委員会は12日、7日に実施した制憲議会選挙の終盤情勢を発表し、リベラル派政党連合の「国民勢力連合」が優勢だと発表した。9割近くの開票を終えたもようだが、詳細な議席数などは依然不明だ。
制憲議会の全200議席のうち選挙区が120議席で、残り80議席は政党を選ぶ比例代表制。選管の発表によると首都トリポリなど複数の都市部で、65の政党で組織する国民勢力連合がイスラム原理主義系政党の「正義開発党」を抑えて優勢な状況となっている。
制憲議会は初会合から30日以内に首相を任命する。今後は議会と別に、新憲法の起草委員会委員を選挙する。起草委員は初会合から60日以内に憲法案を作成し、制憲議会の承認を受けて、新憲法の是非を問う国民投票をする。
新憲法の制定後には再び総選挙をする必要があり、制憲議会は解散する予定。このため正式な政府の発足は、早くても2013年8月以降になる見通しだ。憲法の起草作業が遅れれば、さらにずれ込む可能性もある。
2012年7月13日03時00分
リビア激戦地に渦巻く憎悪 旧政権軍に協力、戻れぬ住民
昨年のリビア内戦の激戦地となった地中海沿いの街ミスラタで、近郊の町タワルガ住民への憎悪が渦巻いている。旧カダフィ政権軍に協力して残虐行為を働いたためで、タワルガ住民は報復を恐れていまも町に戻れないでいる。
ミスラタ中心部の目抜き通り。内戦で焼けた建物は放置されたままだ。通り沿いに被害の記憶を伝える博物館があり、2千人近い死者・行方不明者の顔写真が壁一面に掲げてあった。
昨年2月にミスラタで反体制デモが起きると、政権軍は街を包囲した。その最前線に約50キロ南のタワルガの男たちが動員された。住民によると、戦闘だけではなく、若者を拷問したり女性をレイプしたりした。
「タワルガと和解するには条件がある。犯罪者を我々に引き渡すことだ。イスラム法により、加害と同等の罰を与えなければ気が済まない」。ミスラタの元民兵ムハンマド・エフセルさん(35)は声を震わせた。カダフィ時代、ミスラタとタワルガの関係はよかった。「だから余計にショックだ。戦争はあんなにも人間を変えるものなのか」
結局、政権軍はミスラタを攻略できずに撤退。反転攻勢に出たミスラタの民兵はタワルガを襲撃。住民約3万人は相次いでタワルガを去った。国際人権団体によると、襲撃の過程で報復殺人や拷問も起きた。
首都トリポリ西郊にある海軍学校で、タワルガから逃れた約1万人が暮らしている。報復から守るため、政府が避難させたようだ。記者が正門に近づくと守衛が制止。「微妙な問題だから」と取材は許されなかった。(ミスラタ=北川学)
リビア五輪委会長、路上で武装集団に拉致される
【カイロ=貞広貴志】ロイター通信によると、リビア・オリンピック委員会のナビル・エラレム会長が15日、トリポリの路上で武装集団に拉致された。
同僚と車に乗っていたエラレム会長は、軍人を名乗る8〜9人の武装集団の車に行く手を阻まれ、連れ去られたという。16日現在、犯行声明は出ておらず、犯行の動機などは不明。リビアはロンドン五輪に選手団の派遣を決めている。
(2012年7月16日21時05分 読売新聞)
リビア首都で五輪委員長、拉致か
2012/7/16 22:16
AP通信によると、リビアのオリンピック委員会のアフメド・アラム委員長が15日、首都トリポリ中心部の委員会事務所近くで何者かに連れ去られた。連絡が取れなくなっているという。治安当局は捜査を開始。アラム氏が事務所近くの路上で、武装した男らに車に押し込まれていたのを、アラム氏の友人が目撃した。(カイロ=共同)
リビア:五輪委長、拉致される 所在、動機も不明
毎日新聞 2012年07月16日 22時27分(最終更新 07月16日 23時26分)
リビア五輪委員会のナビル・エルアレム委員長が15日、トリポリ市内を車で移動中、軍服らしきものを着た武装勢力に拉致された。AP通信などが16日伝えた。委員長の所在や拉致の動機などは不明。昨年の「アラブの春」でカダフィ独裁体制を倒したリビアでは、民主化闘争時に流出した武器の回収が進まず、社会不安の大きな要因になっている。
リビア五輪委員会は独裁当時、最高指導者だったカダフィ大佐の長男ムハンマド氏が委員長を務めていた。【カイロ】
リビア五輪委員会の委員長、何者かが拉致 動機は不明
2012.07.17 Tue posted at: 09:29 JST
(CNN) リビアオリンピック委員会は16日、ロンドン五輪で同国の代表団を率いる予定だったアフマド・ナビル・アラム委員長が何者かに拉致されたと明らかにした。
同委員会によれば、アラム委員長は15日に首都トリポリ中心部で2台の車に後をつけられ、現地時間の午後4時ごろ、銃を持った複数の男たちに拉致されたという。
現時点で容疑者の身元や犯行の動機は分かっていない。
オリンピック委員会によると、アラム氏はカダフィ大佐を失脚させた昨年の革命に「多大な貢献をした人物」であり、「リビアが専制政治から解放されるまで武器を振るった」としている。
同委員会は暫定政府とリビア国民評議会に対し、アラム委員長の発見と解放に全力を尽くすよう要請。「自由に対する攻撃や違法な拘束といった、混乱を招くだけの無責任な行動をやめさせるべき」だと訴えている。
2012年7月17日10時51分
リビア五輪委員長拉致される 兵士装った9人に
リビア五輪委員会のナビル・アラム委員長が16日、首都トリポリ市内で拉致された。AFP通信などが伝えた。国軍兵士を装った9人がアラム氏を車から連れ去ったという。犯行目的などは不明。
リビアは27日に開幕するロンドン五輪で、柔道やマラソンなどの競技に参加する予定。
リビア議会選挙、リベラル派の国民勢力連合が勝利
2012年07月18日 15:20 発信地:トリポリ/リビア
【7月18日 AFP】リビアで、ムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)大佐の独裁政権崩壊後、初の自由選挙となった議会選の選挙結果が17日、発表され、マハムード・ジブリル(Mahmud Jibril)前暫定政権首相が率いるリベラル派の国民勢力連合(National Forces Alliance)が勝利した。国民勢力連合の獲得議席は、比例代表枠80議席中、39議席。
選挙委員会の速報によると、ムスリム同胞団(Muslim Brotherhood)が立ち上げた正義開発党(Justice and Construction Party)は17議席を獲得。残る議席は少数政党同士が分け合う形となった。
しかし、全200議席中の120議席を無所属議員が占める新議会で、主導権を握るのが誰なのかは不透明なままだ。
主要2政党は、議会での自党側勢力を増やそうと、無所属議員や少数政党議員らの囲い込みに奔走している。リビア議会では、政策決定や法案の可決には3分の2以上の賛成が必要。
リベラル派が議会での多数派工作に成功すれば、同様に「アラブの春」で独裁政権が崩壊したチュニジアやエジプトで、選挙の結果イスラム勢力が主導権を掌握した流れと、リビアは異なる道を歩むことになる。(c)AFP/Dominique Soguel
リビア、リベラル派が勝利 イスラム勢力伸びず
nikkei.com
2012/7/18 10:50
【カイロ=共同】約42年続いたカダフィ政権崩壊後初のリビア制憲議会選(定数200)で、暫定統治を担ってきた国民評議会元ナンバー2、ジブリル氏率いるリベラル派の国民勢力連合が、政党間で争う比例代表枠80議席のうち39議席を獲得し勝利した。選挙管理委員会が17日発表した。
エジプトでイスラム穏健派ムスリム同胞団出身のモルシ氏が大統領選に勝利するなど、中東民主化運動「アラブの春」を受けたイスラム勢力躍進の流れがリビアでも続くかが注目されたが、同胞団系の正義開発党は17議席にとどまった。
基本的に無所属の個人で争った選挙区枠120議席の当選者も確定。ただ、実際には政党に所属したり、支援を受けたりした候補も多いとみられ、一概には制憲議会で国民勢力連合が多数を占めたとはいえない。今後の民主化プロセスでどの勢力が主導権を握るかは依然不透明だ。
国民評議会が昨年8月に発布した「憲法宣言」によると、制憲議会は初会合から30日以内に移行政府の首相を任命し、憲法起草委員会を設置する。今後、政党間や無所属議員の間で協議が本格化するとみられる。
有権者約350万人のうち投票に必要な登録を行った約290万人を母数とする投票率は62%だった。
リビア選挙:比例代表はジブリル派が半数近く
毎日新聞 2012年07月18日 19時47分(最終更新 07月18日 22時44分)
【カイロ前田英司】リビアの選挙管理委員会は17日、昨年の民主化闘争でカダフィ政権崩壊後、初めての国民議会選挙(7日実施・定数200)の開票結果を発表した。政党が争う比例代表枠の80議席中、ジブリル前暫定首相率いるリベラル派「国民勢力連合」が半数近い39議席を獲得し、同様の政変「アラブの春」でイスラム勢力が躍進したチュニジアやエジプトの選挙とは異なる結果となった。
比例代表以外の120議席は小選挙区制で、無所属候補に割り当てられており、どのような新政権が誕生するかは今後の連携工作の行方次第だ。
比例代表ではほかに、穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団の「公正建設党」が17議席にとどまり、残りの議席は中小政党に散らばった。保守的なイスラム系で反カダフィ派司令官だったベルハジ氏の「祖国党」は議席を獲得できなかった。一方、500人超が出馬した女性は無所属枠で1人だけ当選した。
リビアではエジプトほどムスリム同胞団が浸透していない。多くのリビア国民には今回が初めての選挙で、知名度の高いジブリル氏の政党に票が集まったとみられている。
2012年7月22日22時36分
誘拐されたリビア五輪委員長、解放
リビア国軍兵士を装った武装勢力に今月16日に誘拐されていた同国五輪委員会のナビル・アラム委員長が22日、解放された。ロイター通信が伝えた。どこに拘束されていたかは不明だが、代理人は同氏が無事で、自宅に戻ったと話しているという。(カイロ)
拉致されたリビア五輪委員会長、解放され静養
【カイロ=工藤武人】リビア・オリンピック委員会幹部は22日、武装集団によって拉致され、行方不明になっていた同委員会のナビル・エラレム会長が解放されたことを明らかにした。ロイター通信に語った。
エラレム会長は22日朝に解放され、自宅で静養しているという。エラレム会長は、15日にトリポリの路上で武装集団に連れ去られていた。
(2012年7月22日21時14分 読売新聞)
拉致されたリビア五輪委員長が解放、動機など依然不明
2012.07.23 Mon posted at: 13:15 JST
(CNN) リビアの国営ニュースは22日、1週間前に拉致された同国オリンピック委員会のアフマド・ナビル・アラム氏が解放されたと伝えた。誘拐の目的や実行犯については依然として不明なままだ。
治安当局者によれば、拉致をした人物の特定や動機につながる情報を集めるためアラム氏に事情を聞いているという。
オリンピック委員会によると、アラム氏は15日、トリポリ中心部で2台の車に後をつけられ、現地時間の午後4時ごろ、銃を持った複数の男たちに拉致されていた。
リビア国民評議会、国民議会に権限を移譲
2012.08.09 Thu posted at 10:35 JST
トリポリ(CNN) リビア国民評議会は8日、首都トリポリの会議場で式典を開き、7月の選挙で選ばれた国民議会に権限を移譲した。故カダフィ大佐が1969年に実権を握って以来初めて、自由選挙で誕生した議会が発足する。
式典では国民評議会のムスタファ・アブドルジャリル議長が文書に署名し、マイクに向かって「憲法に基づく国家運営の権限」を引き渡したと発表。この瞬間から国民議会が「リビア国民を代表する唯一正当の機関となる」と宣言すると、会場は総立ちになり、大きな歓声が上がった。内戦のスローガンだった「殉教者の血を無駄にはしない」と叫ぶ人や、涙を流す人もいた。
アブドルラヒム・キーブ暫定首相は感極まった様子でジャリル議長と抱き合い、国民議会の議員200人が宣誓就任した。国連のイアン・マーティン事務総長特別代表は笑顔で式典を見守った。
議会ではまず議長と副議長を選出し、招集から30日以内に首相を選出する。招集の日時はまだ明らかになっていない。
ジャリル議長は議会に対し、同国の治安回復や武装解除には大きな困難が伴うと指摘した。カダフィ政権打倒に加わった武装集団は政府から離れて活動を続け、5日には北部ミスラタにある赤十字国際委員会(ICRC)の建物が襲撃される事件も起きた。トリポリやベンガジでは爆弾が爆発する事件も相次いでいる。
2012年8月9日11時46分
リビア国民評議会が解散 国民議会に権限移譲
リビアでカダフィ政権を倒す中心組織として発足し、その後、暫定政府の土台となってきたリビア国民評議会が8日、7月の議会選挙で選ばれた国民議会(定数200)に権限を移譲し、解散した。1年以内の正式政府の発足へ向け、政治プロセスが一歩進んだ。
首都トリポリで開かれた記念式典で、評議会のアブドルジャリル議長は「憲法上の義務と特権を国民議会に移譲する」と宣言。暫定憲法の規定に従い、国民議会で最年長のサリム議員が暫定議長となり、形式的に権限を譲り受けた。
国民議会は今後、議長を選んだうえで30日以内に首相を選出。首相が組閣し、移行政府を発足させる。併せて議会は新憲法起草委員会を設立。同委がつくる新憲法案を国民投票にかける。新憲法に沿った選挙法に基づき、改めて選挙を行った上で、正式政府を発足させる。
国民議会では、暫定政府の首相だったジブリル氏が率いる「国民勢力連合」が第1党で39議席を占める。しかし、120議席が無所属議員に割り当てられていることもあり、第1党がどこまで主導権を握れるかは不透明だ。首相指名と組閣をめぐり、各勢力との交渉が難航する可能性がある。(カイロ=貫洞欣寛)
リビア、制憲議会に権限を移譲 暫定政府を組織へ
nikkei.com
2012/8/9 20:21
【カイロ=押野真也】独裁政権崩壊後のリビアを暫定統治してきた「国民評議会」は8日、7月の選挙で発足した制憲議会に立法権と行政権を移譲した。今後、議会は首相を選んで暫定政府を組織し、新憲法の起草委員会も組織する。ただ憲法制定を巡っては国内のリベラル派、イスラム原理主義、地方の3勢力が主導権を争っており、治安改善など他の課題も山積する中で民主化プロセスが予定通りに進むかどうか不透明な部分もある。
国民評議会は2011年に独裁体制だったカダフィ政権を崩壊に導いた中心勢力。カダフィ政権崩壊後は暫定統治を担ってきた。評議会のアブドルジャリル議長は8日、「今後は(制憲)議会がリビアの代表だ」と述べ、評議会を解散する意向を示した。
評議会が昨年8月に発布した暫定憲法に基づき、今年7月に選挙を実施し、制憲議会(議席数200)が発足した。今後、制憲議会は初会合から30日以内に暫定首相を選出し、暫定政府を組織する。暫定首相に議員資格は必要ないが、議会で3分の2以上の賛成による承認が必要になる。
制憲議会は新憲法の起草委員会を組織する権限も持つ。憲法案は議会の承認と国民投票を経て公布される。新憲法公布後に総選挙を実施。首相を選出して正式な新政権が発足した後、制憲議会は解散する予定だ。
制憲議会では主導権の確保を目指した多数派工作が活発になっている。定数200議席のうち、比例代表区(80)では評議会元幹部のジブリル氏が率いるリベラル派の国民勢力連合が39議席を確保する一方、イスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」系政党は17議席にとどまった。
一方、地方では北東部の自治を目指す勢力が選挙区で選ばれた120人の無所属議員との連携を模索中。現時点ではどの勢力が多数派を構成できるか読み切れない情勢だ。
リビア:国民評議会が議会に権限移譲 首相を選出へ
毎日新聞 2012年08月09日 21時06分
【エルサレム花岡洋二】リビアを暫定統治してきた国民評議会は8日、7月の選挙で誕生した国民議会(定数200)に権限を移譲した。国民議会選は昨年の民主化闘争でカダフィ政権が崩壊した後、初めて実施された。リビア近代史上初めて、民主的な権力移譲が実現した。
ロイター通信によると、首都トリポリで8日夜、式典が行われ、事実上の元首の役割を務めてきた国民評議会のアブドルジャリル議長が「国民議会が唯一、正統なリビア国民の代表者だ」と宣言した。国民議会は直後に初会議を開いた。トリポリ中心部の別会場では、市民が花火を打ち上げ、権力移譲を祝った。
国民議会は今後、移行政府を率いる首相や議長を選出し、民主国家の骨格となる法体系の構築に取り組む。国民議会とは別の憲法起草委員会が来年までに憲法を起草し、その後、改めて総選挙を実施し、新議会が正式な政府を樹立する。
カダフィ支持者32人逮捕 リビア首都の爆発に関与
nikkei.com
2012/8/20 10:44
【カイロ=共同】リビアの治安当局は19日に首都トリポリで相次いで起きた爆発に関与したとして、故カダフィ大佐を支持するグループのメンバー32人を逮捕した。ロイター通信が報じた。
爆発は3台の車に仕掛けられた爆弾によるもので内務省の近くなどで発生し、2人が死亡、数人が負傷した。
治安当局はトリポリ市内や近郊の数カ所を家宅捜索。メンバーと爆発のつながりが「証明できた」としている。
リビア首都爆弾テロ、カダフィ氏派32人を逮捕
【カイロ=田尾茂樹】リビアの首都トリポリ中心部で19日に2人が死亡した爆弾テロで、治安当局は同日、事件に関与したとして、元最高指導者カダフィ氏を支持する武装集団のメンバー32人を逮捕した。
ロイター通信が伝えた。首都や周辺地区の隠れ家などを突き止め、踏み込んだという。
(2012年8月20日18時22分 読売新聞)
リビア・カダフィ氏次男、9月に裁判開始
nikkei.com
2012/8/22 1:42
AP通信によると、リビアの司法当局者は20日、元最高指導者カダフィ大佐の次男セイフイスラム氏に対する裁判を9月に始めることを明らかにした。
国際刑事裁判所(ICC)は「人道に対する罪」でセイフイスラム氏に逮捕状を出し、身柄の引き渡しを求めてきたが、リビア側は結局応じないことになる。
民兵が同氏を拘束している西部ゼンタンで裁判も行う可能性があり、今後、政府側が適当か否かを判断する。(カイロ=共同)
リビア、原油生産が急回復 内戦前の9割超に
nikkei.com
2012/8/23 1:07
【カイロ=押野真也】カダフィ政権の崩壊から23日で1年を迎えるリビアで原油生産が急速に復旧している。損傷した施設の修復が進み、内戦前の生産水準をほぼ回復した。外資企業も相次ぎ投資を活発化しており、8月末には国内最大の石油精製施設が再開する見通しだ。不安定な政治情勢や治安問題を抱えながらも、経済は安定成長するとの見方が増えている。
リビアの足元の原油生産量は日量156万バレル前後になったもよう。内戦前の2010年は日量約166万バレルで、9割以上の生産を回復したことになる。リビア政府は15年末には生産量が200万バレルまで拡大するとしている。世界9位の原油埋蔵量を誇る同国の生産が拡大すれば、騰勢が強まる世界の原油価格の安定要因として働きそうだ。
生産拡大に向け、28日にリビア北東部ラスラヌフにある国内最大の石油精製施設が運営を再開する。同施設はリビアの国営企業とアラブ首長国連邦(UAE)の石油関連大手、トラスタ・エナジーとの合弁企業が運営する。同施設の精製能力は日量22万バレル。11年の戦闘で損傷した設備の修理も終わり、今後数カ月かけてフル生産する体制を整える。
トラスタ社のほか、内戦で生産を中止した外資企業が相次ぎ投資を再開している。スペインの石油大手、レプソルは生産設備を増強する計画を打ち出した。現時点では日量30万バレル前後にとどまる生産量を38万バレル程度まで拡大する方針だ。
英BPは5月、11年に凍結した新規油田の開発事業に乗り出した。今後10年間で200億ドルを投じ、内陸部の砂漠地帯や地中海沖などで油田の探査などに取り組む。石油大手のイタリア炭化水素公社(ENI)も昨年末にリビアでの原油生産を再開し、日量25万バレル程度生産しているようだ。
外資によるリビアへの投資再開を受け、湾岸諸国などからの出稼ぎ労働者の流入も増えている。UAEのエミレーツ航空は10月にドバイとリビアの首都トリポリを結ぶ直行便を再開する。
国際通貨基金(IMF)は、海外からの投資をテコにリビアは経済成長を続けると予測している。11年に60%のマイナスとなった国内総生産(GDP)の伸び率は今年、100%超となる見込み。13年も16%前後の成長が期待されている。
リビア内相が辞任 治安対策で批判浴びる
2012.08.27 Mon posted at 11:28 JST
トリポリ(CNN) アブデルアル内相は26日に辞任した。リビアの国営通信が伝えた。内務省には最近、国内で相次いでいる暴力を巡り、厳しい批判が集中していた。
内相はこの日、キブ首相に辞表を提出した。
首都トリポリでは25日、少数派のイスラム神秘主義スーフィズムの礼拝所がイスラム過激派とみられるグループに襲われた。グループはブルドーザーで礼拝所を破壊したが、目撃者らによると、内務省の治安部隊はその場にいながら傍観していたという。
西部ズリタン、北部ミスラタでも最近、それぞれスーフィズムの礼拝所が破壊された。政権幹部らは同内相とジュワリ国防相の責任を追及。両氏が解任されるとのうわさも流れていた。国会では26日、首相や治安当局者らが召喚された。
トリポリでは19日にも車爆弾などの爆発が相次ぎ、2人が死亡。1年前のカダフィ政権崩壊以来、同市内の爆弾テロで死者が出たのは初めてだった。
リビア内相が辞表提出、イスラム廟破壊で批判 現地報道
nikkei.com
2012/8/27 5:46
【カイロ=共同】リビアからの報道によると、同国のアブデルアル内相が26日、辞表を提出した。首都トリポリにあるイスラム教神秘主義者の廟が25日に破壊され、治安維持を担当する内務省への批判が高まっていた。
破壊は、厳格なイスラム原理主義「サラフ主義」を信奉する集団の犯行との見方が出ており、治安部隊も破壊に関わったとの情報がある。
リビアでは19日に内務省近くなどで爆発が相次ぎ2人が死亡。昨年8月にカダフィ政権が崩壊して以降も民兵や部族勢力同士の衝突が絶えず、治安が安定していない。
リビア内相が辞表提出 イスラム廟破壊の批判高まりで
nikkei.com
2012/8/27 10:04
【カイロ=共同】リビアからの報道によると、同国のアブデルアル内相が26日、辞表を提出した。首都トリポリにあるイスラム教神秘主義者の廟(びょう)が25日に破壊され、治安維持を担当する内務省への批判が高まっていた。
破壊は、厳格なイスラム原理主義「サラフ主義」を信奉する集団の犯行との見方が出ており、治安部隊も破壊に関わったとの情報がある。
リビアでは19日に内務省近くなどで爆発が相次ぎ2人が死亡。昨年8月にカダフィ政権が崩壊して以降も民兵や部族勢力同士の衝突が絶えず、治安が安定していない。
リビアの米領事館襲撃、1人死亡
nikkei.com
2012/9/12 10:51
【カイロ=共同】CNNテレビなどによると、リビア北東部ベンガジの米領事館に11日、群衆が押し寄せ、米国人職員1人が死亡した。群衆は武装しており、治安部隊と衝突した。エジプトの首都カイロでも同日、群衆数千人が米大使館前で抗議。約20人が大使館の壁によじ登り、米国旗を引き裂くなどした。
カイロの米大使館を襲撃した群衆は、米国で製作され、動画投稿サイトで一部公開された映画が、イスラム教の預言者ムハンマドを侮辱していると主張。リビアで起きた米領事館の襲撃も、この映画が引き金になった可能性がある。
中東の衛星テレビなどによると、映画はエジプトの少数派であるキリスト教の一派コプト教徒が製作に関わったとみられ、ムハンマドを暴力的で好色な人物のように描いているという。偶像崇拝を禁じるイスラム教では、ムハンマドを描写することは冒涜(ぼうとく)とされる。
カイロの米大使館前に集まった群衆は「ムハンマドは神の使徒なり」などと叫び、一部が大使館の中庭に入り込んでポールから米国旗を引きずり降ろした。代わりに黒い旗を立てようとした者もいたという。
リビアの米領事館襲撃される イスラム侮辱映像に抗議
nikkei.com
2012/9/12 12:58
【カイロ=共同】リビア北東部ベンガジの米領事館に11日、武装した群衆が乱入して火を放つなどし、AP通信などによると、銃撃された米政府職員1人が死亡、1人が負傷し、建物は炎上した。ロケット弾が撃ち込まれたとの情報もある。エジプトの首都カイロでも同日、数千人規模の群衆が米大使館前で抗議。約20人が大使館の壁によじ登り、星条旗を引き裂くなどした。
カイロの米大使館を襲撃した群衆は、米国で作られ、7月ごろに動画投稿サイトを通じて流れた映像が、イスラム教の預言者ムハンマドを冒涜していると主張。リビアの米領事館襲撃もこの作品が引き金になった。
クリントン米国務長官は11日、リビアの米領事館襲撃について「決して正当化できない」と強く非難する声明を発表。リビア制憲議会のマガリエフ議長と同日電話し、米国民の保護に万全を期すよう要求した。ヌランド国務省報道官も声明で「最も強い表現で非難する」と述べた。
問題の映像はユダヤ系米国人が自主制作した「無邪気なイスラム教徒(イノセンス・オブ・ムスリム)」。ムハンマドを若手俳優がコミカルに演じ、女性との奔放な関係を描いている。偶像崇拝を禁じるイスラム教ではムハンマドを描写することは冒涜とされる。
制作したユダヤ系米国人は米紙との電話インタビューで、イスラムが憎悪に満ちた宗教であることを示すための政治的映像だと説明した。
カイロの米大使館前に集まった群衆は「ムハンマドは神の使徒なり」と叫び、一部が中庭に入り込みポールから星条旗を引きずり降ろした。代わりに黒い旗を立てようとした者もいたという。
カイロの米大使館は声明で「宗教の尊重は米国の民主主義の根幹」として映像を非難した。
駐リビア米大使が死亡か 群衆の襲撃で
nikkei.com
2012/9/12 19:27
【カイロ=共同】ロイター通信は12日、リビア当局者の話として、同国北東部ベンガジの米領事館が11日、群衆に襲撃された事件で、駐リビア米大使が死亡したと伝えた。米政府は確認していない。
駐リビア米大使が死亡 米、領事館襲撃を強く非難
nikkei.com
2012/9/12 20:54
【イスタンブール=花房良祐】リビア東部ベンガジで11日に起きた群衆の米領事館襲撃に絡み、スティーブンズ駐リビア米大使が死亡していたことが分かった。リビアのシャリフ内務次官が12日に記者会見して明らかにした。同国当局筋の説明によると、大使は領事館から自動車で安全な場所に避難しようとしたところを攻撃された。中東では反体制運動「アラブの春」で独裁政権が崩壊した後、治安悪化の兆しがあり、混乱拡大の懸念もある。
オバマ米大統領はこれを受けて12日に声明を出し、大使の死亡を認めたうえで、襲撃を強く非難した。
襲撃事件の背景は明らかになっていないが、インターネットの動画投稿サイトに米国系ユダヤ人がイスラム教の預言者ムハンマドを冒涜(ぼうとく)する映像を投稿したのがきっかけとなったもよう。リビアの隣国エジプトの首都カイロでは11日、この映像に抗議する数百人が米国大使館前で集会を開いており、これが波及する形で怒った群衆が米領事館を狙ったとみられる。イスラム過激派が関与した可能性もある。
リビア当局筋によると、群衆は当初、領事館を警備するリビアの治安当局と衝突。激しい砲撃を展開したため、治安部隊は撤収せざるを得なかった。約35人の公館関係者は避難したが、大使のほか少なくとも3人が死亡した。大使の遺体はトリポリ経由で米国に搬送するという。中東の衛星テレビ局アルジャズィーラは、11日夜11時半ごろから群衆が米領事館をロケット弾や小銃などで攻撃したと伝えている。
アルジャズィーラは砲撃を受けた米国領事館の映像も放送。建物や自動車が黒焦げになり、内部は物が散乱し、荒らされた形跡があった。
スティーブンズ大使は米国務省出身。中東地域に詳しく、アラビア語も堪能だった。カダフィ政権時代にもリビア勤務経験があり、シリアやエジプト、サウジアラビアに駐在したこともある。
米国はリビアやエジプトの今回の一連の事件を強く非難している。だが中東では独裁政権の崩壊に伴い民衆の抗議行動が過激になる傾向があり、今後も反米感情が高まりやすい状況にある。特に、リビアでは内戦終結後も武器の回収が思うように進まず、当局の治安維持能力の低さも指摘される。混乱が広がれば、各国が進める民主化プロセスにも影響を及ぼしそうだ。
米大統領「非道な攻撃」 駐リビア米大使死亡で
nikkei.com
2012/9/12 22:50
【ワシントン=芦塚智子】オバマ米大統領は12日、リビアの米領事館襲撃について声明を発表した。スティーブンズ駐リビア大使ら4人の死亡を認め「非道な攻撃」を強く非難。リビアに滞在する外交官らの安全確保と、世界各国の米公館の警備強化を指示したことを明らかにした。「米国は他者の信仰を侮辱する行為を認めないが、無分別な暴力には断固対抗しなければならない」とも強調した。
クリントン米国務長官も声明で、襲撃の引き金になったとみられるイスラム教の預言者ムハンマドを冒涜(ぼうとく)する映像を「怒りをあおるもの」とした上で「今回のような暴力は決して正当化できない」と非難した。
リビア議長が謝罪表明 駐リビア米大使、襲撃で死亡
nikkei.com
2012/9/12 23:22
【イスタンブール=花房良祐】リビア東部ベンガジで11日夜から12日未明にかけて起きた米領事館襲撃事件に絡み、スティーブンズ駐リビア米大使が死亡していたことが12日、分かった。他に3人の公館関係者も死亡した。オバマ米大統領は声明で4人の死亡を認めて襲撃を非難。リビア制憲議会のマガリエフ議長は謝罪を表明した。民主化運動「アラブの春」で独裁政権が崩壊した中東は治安が悪化する国が多く混乱拡大の懸念もある。
現地からの報道によると、武装した集団が11日夜からロケット弾や小銃などで領事館への攻撃を開始。大使は自動車で避難しようとしたところを砲撃された。
領事館を警備するリビアの治安部隊は激しい攻撃で撤収せざるを得なかったという。約35人の公館関係者は避難した。中東の衛星テレビ局アルジャズィーラは黒焦げになった領事館の建物や自動車を放映。それによると建物内部は群衆に荒らされていた。
死亡したスティーブンズ大使は米国務省の職業外交官。アラビア語に堪能な中東の専門家でエジプトやサウジアラビアでの勤務経験もある。昨年秋まで続いたリビアの内戦で反体制派を支援した米国政府の外交政策にかかわった。
襲撃事件の背景は明らかになっていないが、インターネットの動画投稿サイトにユダヤ系米国人がイスラム教の預言者を冒涜(ぼうとく)する映像を投稿したのがきっかけとなったもよう。この映像にはエジプトやチュニジア、レバノンなどイスラム世界で批判が噴き出し始めており、反米の動きは今後さらに広がりかねない情勢だ。
リビアの隣国エジプトの首都カイロでは11日、この映像に抗議する数千人が米国大使館前で集会を開き、一部が敷地内に侵入して米国旗を奪って破る事件が発生。12日には、エジプト最大のイスラム原理主義組織ムスリム同胞団が14日の金曜礼拝後に全土でのデモを呼びかけた。
リビアでも怒った群衆が米領事館を狙ったとみられる。イスラム過激派か旧カダフィ政権支持者が関与した可能性もある。
中東では独裁政権の崩壊に伴い民衆の抗議活動が過激化しやすくなっている。特に、リビアでは内戦終結後に武器の回収が思うように進まず、今回の事件で当局の治安維持能力の低さも露呈した形となった。混乱が続けば、各国が進める民主化プロセスにも影響を及ぼす可能性がある。
リビアでも米領事館襲撃、職員1人死亡 「預言者冒とく」の映画に抗議
2012.09.12 Wed posted at 16:29 JST
カイロ(CNN) イスラム教の預言者ムハンマドを冒とくしたとされる映画をめぐり、エジプト・カイロの米大使館に続いてリビア東部ベンガジの米領事館が襲撃された。クリントン米国務長官は11日深夜、この襲撃で国務省職員1人が死亡したことを明らかにした。
ベンガジの目撃者らによると、イスラム過激派アンサル・アルシャリアのメンバーらが領事館前で抗議行動を展開し、治安部隊と衝突した。
クリントン長官は声明で、米国の外交機関に対する攻撃を強く非難し、政府として世界各地の米外交官や国民を守るための措置を取ると述べた。
カイロとベンガジの襲撃はいずれも、米同時多発テロからちょうど11年を迎えた日に起きた。2件が互いに関連しているかどうかは明らかでない。
問題の映画は、一部の場面がインターネットの動画共有サイトユーチューブなどで流れた。断片的な映像から、ムハンマドを子どもに性的いたずらをする人物、女性関係が派手な人物、さらには残酷な殺人者として描いていることが分かる。製作者の身元や立場は不明だ。
クリントン長官は「他人を宗教を意図的に侮辱しようとする動きは遺憾だ」として宗教的寛容を呼び掛ける一方、「いかなる理由もこのような暴力行為を正当化することはできない」との立場を示した。
2012年9月12日21時06分
駐リビア米大使ら4人死亡 領事館襲撃
リビア東部ベンガジで11日、イスラム教の預言者ムハンマドを冒涜(ぼうとく)する映像作品が米国で製作されたと抗議するデモ隊が米国領事館を襲撃し、リビアのシェレフ内務次官は12日、スティーブンス大使と領事館員らの米国人計4人が死亡したと発表した。オバマ米大統領は大使らの殺害を非難する声明を出した。
エジプトの首都カイロの米国大使館前でも11日、抗議デモがあり、一部が敷地内に乱入。国旗掲揚ポールから星条旗を引きずり下ろし、燃やした。波紋は他のイスラム諸国にも広がる可能性がある。オバマ大統領は12日、各国の米外交官らの警護を強化するよう指示した。
問題とされた映像によると、ムハンマドについて、「うそつきだ」などと侮辱する表現がある。米在住のキリスト教徒の一派、コプト教徒が作ったとの情報もあり、イスラム教徒からの被害を説明する内容になっている。
オバマ大統領は12日に出した声明で、ベンガジで起きた米国務省職員の殺害を「言語道断の攻撃」とし、「我々は、公務員の命を奪うこのような無分別な暴力にはきっぱりと反対しなければならない」と非難した。一方で、あらゆる宗教への侮辱を容認しない考えも示した。
現地からの報道では、領事館周辺では当時、映像に抗議する人々がデモを行っていた。武装集団によって領事館にロケット弾が撃ち込まれた。リビアの治安部隊は威嚇発砲するなど鎮圧を試みたが、建物が放火されるなどした。シェレフ次官の説明などによると、大使は負傷して病院に運ばれたが、煙を吸い込んだため窒息死したという。(カイロ=北川学、ワシントン=望月洋嗣)
駐リビア米大使ら4人殺害される…領事館襲撃で
【カイロ=貞広貴志】リビア東部ベンガジで11日夕、武装集団が米領事館を襲撃し、クリストファー・スティーブンス駐リビア米大使(52)と職員3人が殺害された。
リビア内務省が12日発表し、米政府も確認した。オバマ米大統領は武装集団の襲撃を「常軌を逸している」と非難する声明を発表した。
武装集団は、米国で製作されたイスラム教の預言者ムハンマドを揶揄(やゆ)する内容の映画に抗議して領事館に押しかけた。この映画を巡っては、11日にはエジプトの首都カイロでも米大使館の国旗が燃やされる事件が起きた。
リビアからの報道によると、ベンガジでは、武装集団がロケット弾や自動小銃を乱射しながら領事館に乱入して放火や略奪を行った。首都トリポリの大使館から領事館を訪ねていたスティーブンス大使は、職員らといったん館外に逃れたが、そこで襲撃されたという。領事館は、地元治安当局が警備に当たっていたが、襲撃を阻止できなかった。リビア政府は、旧カダフィ政権残党の関与を指摘している。
(2012年9月12日20時42分 読売新聞)
NATO、米大使ら殺害でリビア武装集団を非難
【ブリュッセル=工藤武人】北大西洋条約機構(NATO)のラスムセン事務総長は12日、リビア東部ベンガジで起きた米領事館襲撃事件について、「このような暴力は決して正当化されることはない」と述べ、スティーブンス米大使らを殺害した武装集団を非難した。
NATOは昨年、リビアのカダフィ前政権崩壊につながった軍事作戦を指揮した。
(2012年9月12日21時51分 読売新聞)
リビア:短編映画がムハンマド侮辱…米領事館員襲われ死亡
毎日新聞 2012年09月12日 11時19分(最終更新 09月12日 15時23分)
【カイロ前田英司】リビア東部の主要都市ベンガジにある米領事館が11日、群衆の襲撃を受けて火が放たれ、米CNNテレビなどによると、米国人職員1人が死亡、1人が負傷した。エジプトの首都カイロでも、中心部にある米大使館にエジプト人の群衆が押し寄せ、一部が敷地内に侵入して星条旗を引きずり下ろし、火を付ける騒ぎに発展した。
カイロの群衆は、米国で製作された短編映画がイスラム教の預言者ムハンマドを侮辱したと主張している。リビアでの米領事館の襲撃も、この映画が原因とみられる。
映画は「ムハンマドはイスラムの使徒なり」という13分間のフィルム。米同時多発テロ発生から11年に合わせ、米国在住のエジプト人のキリスト教系コプト教徒や、以前にイスラム教の聖典コーランを燃やして物議を醸した米フロリダ州のテリー・ジョーンズ牧師らが製作し、動画投稿サイトで一部が公開された。イスラム教の預言者ムハンマドの性描写などが含まれている。
カイロの米大使館前には「サラフィスト」と呼ばれるイスラム厳格派を中心に約2000人が集まり、一部は大使館を囲むコンクリート壁によじ登り、敷地内に侵入した。参加者は「預言者の侮辱をやめろ」などと書いた横断幕を掲げ、「世界にはまだ数十万人の(国際テロ組織アルカイダの元最高指導者で米軍に殺害された)ウサマ・ビンラディンがいるぞ」などと反米スローガンを叫んだ。
エジプトではムバラク政権崩壊後、イスラム原理主義組織ムスリム同胞団出身のモルシ氏が大統領に選出されている。
05年にはデンマーク紙が預言者ムハンマドを「テロリスト」扱いする風刺画を掲載し、イスラム社会に激しい抗議が巻き起こった。
リビア米領事館襲撃:死亡は大使ら4人 大統領「裁きを」
毎日新聞 2012年09月12日 21時05分(最終更新 09月13日 01時51分)
【ワシントン白戸圭一】イスラム教の預言者ムハンマドを冒とくする映画が米国で製作されたとして11日夜、リビア東部の都市ベンガジの米領事館が襲撃された事件で、米ホワイトハウスは12日、クリストファー・スティーブンズ駐リビア大使(52)ら米国人4人が死亡したとの声明を発表した。AP通信などによると、米国防総省は約50人の海兵隊テロ対策チームをリビアに向かわせた。
オバマ米大統領は同日、緊急の演説を行い、「襲撃犯らに裁きを下す」と宣言。襲撃を「最大限の強い言葉で非難する」と述べ、各国の米大使館の警備を強化する方針を示した。
米メディアの情報を総合すると、大使は首都トリポリの米大使館からベンガジに出張に来て巻き込まれた。武装グループが銃やロケット弾で領事館を攻撃し、放火したという。リビア治安当局者は中東のメディアに対し、大使は煙を吸い込んで窒息死したと述べた。
オバマ大統領は演説で、リビア国民が大使らの救援に当たったことを挙げ、「この襲撃で米国とリビアの絆が壊れることはない」と両国関係の強さを強調。クリントン国務長官は、米同時多発テロから11年の9月11日に襲撃を受けたことに触れ、「過激主義と闘う我々の仕事は終わっていない」とテロとの戦いに向けた決意を示した。
リビア米領事館襲撃:イスラムの反発拡大の恐れも
毎日新聞 2012年09月12日 23時52分(最終更新 09月13日 01時47分)
【カイロ前田英司】リビア東部の主要都市ベンガジで11日夜起きた米領事館襲撃事件は、イスラム教の預言者ムハンマドを侮辱する米映画に反発したイスラム教徒らの攻撃で駐リビア米大使が死亡する事態に発展したが、イスラム社会の反発は今後、さらに拡大、激化する恐れがある。また、米メディアによると、問題の映画はイスラエル系米国人の製作と判明、怒りの矛先は米国だけでなく、イスラエルにも向く可能性がある。
米紙ウォールストリート・ジャーナルなどによると、映画はイスラエル系米国人のサム・バジーレ氏(52)が製作した。約100人のユダヤ人から500万ドル(約3億9000万円)の寄付を集め、昨年、米カリフォルニア州で3カ月かけて撮影したという。バジーレ氏は「これは宗教映画ではない」と主張、イスラムの「偽善」を訴えるために製作したとして、「イスラムはがんだ」などと訴えた。
偶像崇拝を否定するイスラム教は預言者ムハンマドを具象化すること自体、禁じている。映画はムハンマドの性描写を含んだり、暴力的に描いたりしており、イスラム教徒の感情を逆なでしている。
7月初めから短い「予告編」が動画投稿サイトに公開され、本編は約2時間に及ぶ。イスラム教の聖典コーランを燃やして物議を醸した米国のテリー・ジョーンズ牧師や、米国に住むエジプト人のキリスト教徒らが宣伝しているという。
ロイター通信などによると、チュニジアの首都チュニスでは12日、米大使館前に抗議の人々が集まり、警備が強化された。アフガニスタン当局は混乱を回避するため動画投稿サイトを遮断し、問題の映画を閲覧できないようにした。一方、エジプトのイスラム原理主義組織ムスリム同胞団は14日の金曜礼拝後、全土で大規模デモを開催するよう呼びかけた。
リビア国民議会のマガリエフ議長は12日、大使死亡について米国に謝罪した。また、シャリフ副内相は領事館を襲撃した暴徒について「(昨年の民主化闘争で崩壊した)カダフィ前政権の残党だ」との見方を示した。リビアではカダフィ体制打倒の過程で流出した大量の武器が回収できず、武装グループが民兵化して治安を不安定にしている。
玄葉外相「暴力行為を断固非難」 リビア米領事館襲撃で
nikkei.com
2012/9/13 1:22
玄葉光一郎外相は12日、リビアの米領事館襲撃を受けて「我が国は暴力行為を断固として非難する」との談話を発表した。スティーブンズ駐リビア米大使らの死亡について米政府に哀悼の意を表明。リビア政府には各国公館の保護と治安の改善を求めた。
同国の現時点の在留邦人は大使館関係者も含めて十数人で、大きな危険にはさらされていないもよう。「アラブの春」の内戦で退避した総合商社や資源開発会社の日本人駐在員はほとんど戻っておらず、カイロなどからの出張ベースでリビア事業を手掛けている。
米大統領、犯人処罰へリビアと協力 大使ら4人死亡で
nikkei.com
2012/9/13 1:34
【ワシントン=吉野直也】オバマ米大統領は12日、ホワイトハウスでリビアの米領事館襲撃について声明を発表した。スティーブンズ駐リビア大使ら4人が死亡したことを認めたうえで「非道で衝撃的な攻撃を最も強い言葉で非難する」と言明。リビア政府と協力して犯人を処罰する考えを示した。「いかなるテロ行為も我が国の決意を揺るがすことはできない」とも強調した。
事件を受け、リビアの米領事館の安全確保と世界各国の米公館の警備強化を指示したことも明らかにした。CNNによると、米政府は対テロ部隊約50人を欧州からリビアに増派した。
オバマ氏は襲撃の原因といわれる映像にも言及。「米国は他者の信仰を侮辱する行為を認めない」としつつも「無分別な暴力は決して正当化できない」などと力説した。
一方、共和党大統領候補のロムニー前マサチューセッツ州知事はオバマ政権の対応を批判。事件への対処は11月に大統領選を控えるオバマ政権の新たな難題になる可能性が高く、泥沼化するシリア情勢を含め中東外交に一段と焦点が当たる展開となってきた。
リビアの米領事館襲撃「強く非難」 安保理が声明
nikkei.com
2012/9/13 9:43
【ニューヨーク=共同】国連安全保障理事会は12日、リビア東部ベンガジの米領事館襲撃事件を「最も強い言葉で非難する」との報道声明を出した。
声明は「実行者を裁きにかける必要性」を強調し「動機が何かにかかわらず、このような行為は正当化できない」とした。また外交官の保護を定めたウィーン条約などを挙げ、公館が置かれた国の政府による警護義務についても指摘した。
リビア首相にアブシャグル氏 暫定政府で副首相
2012/9/13 11:21
【カイロ=共同】リビアからの報道によると、同国の制憲議会は12日、憲法制定や総選挙などの民主化プロセスを今後1年以上にわたりつかさどる移行政府の首相に、昨年11月発足の暫定政府で副首相を務めてきたムスタファ・アブシャグル氏を選出した。
第1回投票では7月の議会選で第1党となったリベラル派、国民勢力連合を率いるジブリル氏が1位だったが、アブシャグル氏は決選投票でイスラム組織ムスリム同胞団系の第2党、正義開発党の支持を取り付け、逆転勝利した。
アブシャグル氏は光学研究者として米国に住んでいたが、昨年帰国して反カダフィ政権の国民評議会に参加、暫定政府で副首相に起用された。
米、対テロ部隊を増派 リビアの領事館襲撃受け
nikkei.com
2012/9/13 11:38
【ワシントン=吉野直也】米政府は12日、リビアの米領事館襲撃事件を受け、欧州に配置していたテロ対策部隊50人をリビアに増派した。リビアの米領事館の安全確保にあたる。国際テロ組織アルカイダ系のグループが関与したとの見方も浮上。米政府は事件の背後関係を洗い出すとともに二次被害の食い止めに全力を挙げる。
「非道で衝撃的な攻撃を最も強い言葉で非難する」。オバマ大統領は12日、事件に関する声明を発表し、リビア政府と協力して犯人を処罰する考えを表明した。世界各国の米公館の警備強化も指示。ロイター通信などによると、リビア沖にミサイル駆逐艦2隻を急派する。
米政府内で事件へのアルカイダ系の関与が取り沙汰されているのは、米同時テロから11年にあたる11日夜から12日未明にかけて事件が起きているためだ。米メディアは政府当局者がロケット弾や迫撃砲を用いた手法からイスラム過激派による計画的犯行と分析していると報じている。
オバマ氏は声明で襲撃の原因といわれる映像にも言及。「米国は他者の信仰を侮辱する行為を認めない」としつつも「無分別な暴力は決して正当化できない」力説した。
デンプシー米統合参謀本部議長は12日、反イスラムのキリスト教聖職者として知られる牧師に電話し、事件の原因となったイスラム教預言者を侮辱した映画への支持撤回を要請した。牧師は対応を明言しなかった。
共和党大統領候補のロムニー前マサチューセッツ州知事はオバマ政権の対応を批判。事件への対処は11月に大統領選を控えるオバマ氏の新たな難題になる可能性もある。泥沼化するシリア情勢を含め中東外交に一段と焦点が当たる展開になってきた。
ベンガジの米領事館襲撃で大使ら4人死亡 リビア
2012.09.13 Thu posted at 09:59 JST
(CNN) リビア東部ベンガジの米領事館が11日夜に襲撃された事件で、当時同領事館にいたクリストファー・スティーブンズ駐リビア米大使ら米国人4人が死亡した。オバマ米大統領は12日、「このような非道な行為には必ず処罰を下す」と強く非難する声明を発表した。
米政府高官などによると、領事館はロケット式の手りゅう弾によって襲撃されて炎上。 建物は武装集団に取り囲まれ、スティーブンズ大使らは建物の屋上へ脱出しようとして、ほかの職員と離ればなれになった。死亡したのはスティーブンズ大使のほか、情報管理担当官のショーン・スミス氏と国務省の警護担当職員2人。死亡に至った詳しい経緯は明らかになっていない。
今回の事件は、イスラム教の預言者ムハンマドを冒とくしたとされる映画がインターネットに投稿されたことに対する抗議行動が発端となって発生した。エジプトの首都カイロの米大使館もこの映画をめぐって襲撃され、星条旗が破り取られている。
オバマ大統領は「我々は他者の信教を中傷する一切の行為を拒絶する」「しかし今回のような非道な暴力は、断固として正当化できない」と非難した。
リビア指導部も遺憾の意を表明し、同国首相は「卑劣な犯罪行為」を非難する声明を出した。
関係者によると、ムハンマド映画に対する抗議行動を武装集団が扇動したのか、単に利用しただけなのかは分かっていない。スティーブンズ大使が狙われていたとは思えないという。
米当局者はこの襲撃について、計画的な犯行だったとの見方を示している。リビア東部のイスラム武装勢力の動向に詳しい関係者は、過去にもベンガジの領事館を襲撃したことのある国際テロ組織アルカイダ系の集団が、今回の襲撃にも関与した疑いが最も濃厚だと語った。
米政府高官や国防総省高官によれば、襲撃に関与したとみられる特定の武装集団に対する捜索を強化する方針で、その一環として無人偵察機を動員する見通し。米連邦捜査局(FBI)も12日、捜査に乗り出したことを明らかにした。
スティーブンズ大使は、リビアの指導者だった故カダフィ大佐と反体制派の衝突が激化していた2011年、反体制派との関係構築を担うためにリビアに派遣された。クリントン米国務長官は12日、「(スティーブンズ大使は)圧制者を阻止するために生命を賭し、そしてより良いリビアを築くためにその生命をささげた」との追悼談話を発表した。
2012年9月13日14時03分
駐リビア米大使殺害、テロの可能性 抗議デモは各地へ
リビア東部ベンガジで駐リビア米国大使らが殺害された襲撃事件について、米国では周到に計画されたテロだったとの見方が強まっている。一方、イスラム教の預言者ムハンマドを冒涜(ぼうとく)する映像が米国で作られたとする抗議デモはチュニジアに飛び火。イランでも計画されるなど、中東各地に広がっている。
ロケット弾が使われたベンガジの領事館襲撃について、クリントン米国務長官は12日「重武装した民兵」による犯行と説明。米同時多発テロと同じ9月11日に起きたことに言及して「(大使ら)4人を追悼する日になってしまった」と述べた。職務中の大使が殺害されるのは、1979年の駐アフガニスタン大使の殺害以来だという。
米政府高官によると、襲撃は現地時間の午後10時ごろ発生。犯行グループはリビア人警備員らの防護をわずか約15分で破って館内に侵入。激しい銃撃が続き、制圧するのに4時間半かかった。報道によると、大使は米同時多発テロの追悼式典出席のため、領事館にいた可能性がある。
AP通信は米当局者の話として、米軍の駆逐艦1隻が12日にリビア沖に移動し、数日中にさらに1隻が加わると報じた。米政府は大使館の警備強化などのため、海兵隊のテロ対策チームをリビアに派遣した。
米議会からは12日、「明らかに事前に狙いをつけた事件」(米下院情報委員会のロジャース委員長)といった指摘が出た。米CNNは、親アルカイダのグループの関与が最も疑われていると報道した。米シンクタンク外交問題評議会(CFR)のコールマン上級研究員は「カイロの事件は映像作品への抗議だが、リビアの事件はまったく状況が異なる」と指摘した。
一方、11日に米大使館への抗議デモがあったエジプトのカイロでは、12日夜から13日未明にかけても、大使館前に数百人が集まり、路上のトラックに放火した。治安部隊は催涙弾を使い、デモ隊は投石で抵抗。数人が負傷した模様だ。
AFP通信によると、チュニジアの首都チュニスの米大使館前でも12日、イスラム教に厳格なサラフィー主義者ら約300人が集結し、建物内に突入しようとした。治安部隊は催涙弾で解散させた。
さらにイランのメディアによると、保守派の学生が13日昼から、米国の利益代表を務めている在イラン・スイス大使館前でデモを計画している。
エジプト治安当局は12日、11日に米大使館の敷地に不法侵入した容疑者4人を逮捕した。エジプト外務省は12日、「すべての外国公館の警備にエジプト当局が責任を負う」との声明を発表した。(ワシントン=望月洋嗣、カイロ=北川学)
国連安保理、駐リビア米大使殺害でプレス声明
【ニューヨーク=柳沢亨之】国連安全保障理事会は12日、リビア東部ベンガジで起きたスティーブンス駐リビア米大使らの殺害とカイロの米大使館襲撃を「最も強い表現で非難する」とのプレス声明を発表した。声明はまた、両事件の「犯人を処罰する必要を強調する」としている。
潘基文(パンギムン)国連事務総長も12日、米大使らの殺害を非難する声明を発表し、外交公館や外交官の保護義務履行をリビア当局に求めた。
(2012年9月13日10時32分 読売新聞)
反米抗議デモ、イスラム圏全域へ拡大の様相
【カイロ=貞広貴志、ワシントン=山口香子】リビアやエジプトで発生したイスラム教の預言者をからかう米映画に反発する民衆の反米デモは12日夜(日本時間13日未明)、チュニジアなど周辺国に飛び火し、イスラム圏全域へと拡大する様相を見せ始めた。
リビア東部ベンガジの米領事館襲撃事件について、米政府内では、米同時テロから11年の機会をとらえた計画的テロとの見方も浮上している。
チュニジアの首都チュニスでは12日、米大使館前に集まった約50人が米国旗を燃やした。エジプト・カイロの米大使館前のデモは、12日も夜通し行われた。モロッコやスーダン、パレスチナ自治区ガザ市でもデモがあった。
襲撃事件では、米領事館内にいたクリストファー・スティーブンス駐リビア大使(52)と職員3人が死亡。米政府高官は12日、襲撃は「計画された軍事攻撃なのは明白だ」と述べ、米映画への抗議行動が過激化した結果ではなく、武装勢力による計画的犯行との見方を示した。米当局のテロ対策担当者もAP通信に、「(襲撃が)自然発生したと見るには、連携がとれ、訓練され過ぎている」と述べた。
ロイター通信は、米領事館職員の誘導に当たったリビア政府系民兵組織幹部の話として、米国人37人が領事館などから退避した秘密の避難場所が11日夜、武装勢力によって正確に砲撃された事実を明らかにした。
(2012年9月13日13時42分 読売新聞)
米駆逐艦2隻がリビアへ出動、攻撃命令など想定 大使殺害で
2012.09.13 Thu posted at 19:00 JST
(CNN) リビア東部ベンガジの米国領事館がロケット弾などで襲撃され、スティーブンズ駐リビア米大使と館員3人の計4人が殺害された事件に関連し、米政府高官は12日、海軍の駆逐艦2隻をリビア沖の海域に派遣したことを明らかにした。
出動命令を受けたのは「ラブーン」「マクファール」の2隻で、標的の正確な破壊が可能な衛星誘導巡航ミサイル「トマホーク」を搭載している。
高官は、2隻の派遣の目的は米政府のリビアへの対応策に柔軟な選択肢を与えるためとし、リビア内の標的攻撃の命令を受けた場合などを想定しているとした。
ラブーンはリビアから数時間の航行の距離にあるギリシャ・クレタ島に寄港中に出動を命じられ、マクファールはリビアに数日間で到着出来るスペインとモロッコの間にあるジブラルタル海峡近くに展開していたという。
米海軍は通常、イスラエル防衛と欧州南部のミサイル防衛戦略の一環として地中海東部海域に最大4隻のイージス艦を出動させている。リビア沿岸海域に今回派遣された2隻もこの任務に当たっていた。
米政府高官はまた、大使らの殺害に関与している可能性があるイスラム過激派の野営地や関連施設の情報を収集するため無人監視機をベンガジなどリビア東部上空に飛ばすことも明らかにした。収集した情報はリビア政府に提供し、リビア軍による掃討作戦を促す計画。
「預言者冒とく」の映画関係者、プロデューサーにだまされたと弁明
2012.09.13 Thu posted at 15:04 JST
(CNN) リビアやエジプトの米国大使館が襲撃される原因となった米映画「Innocence of Muslims(無邪気なイスラム教徒たち)」について、関係者は12日、プロデューサーを非難する声明を出した。
インターネット上で公開されたこの映画の予告編では、イスラム教は詐欺的な宗教として描かれており、イスラム世界で強い反発を招いている。
声明によれば、出演者と撮影スタッフは「映画の意図や目的について大きく異なる説明を受けていた。大幅に脚本を書き換えられたことや、関係者全員が嘘をつかれていたことに衝撃を受けるとともに、悲劇が起きたことを深く悲しんでいる」という。
2011年7月に雑誌などで行われた出演者募集では、題名は「Desert Warrior(砂漠の戦士)」とされ、「アラブの砂漠を舞台にした歴史冒険映画」との説明がなされていた。
この映画に出演したある女優によれば、当初の脚本には預言者ムハンマドは出てこなかったという。
この女優が12日、プロデューサー(映画の広告によれば名前はサム・バシル氏)に連絡を取ったところ、「イスラム教徒に殺人をやめさせたくてこの(新しい)脚本を書いた」と言われたという。
この女優によれば、映画に出てくる預言者ムハンマドのキャラクターは、撮影中は「ジョージ」という役名だった。撮影後、アフレコで別の台詞が加えられた可能性がある。撮影スタッフの1人も、当初は台本にイスラム教やムハンマドへの言及はなかったと証言する。
ウォールストリート・ジャーナル紙によれば、プロデューサーのバシル氏はイスラエル系アメリカ人。だがイスラエル外務省は、今の時点では身元を確認できないとしている。
米領事館襲撃:国連安保理が非難声明
毎日新聞 2012年09月13日 11時32分(最終更新 09月13日 13時25分)
【ニューヨーク草野和彦】リビア東部ベンガジの米領事館が襲撃され、スティーブンズ駐リビア大使ら米国人4人が死亡した事件を受け、国連安全保障理事会は12日、「最も強い言葉で非難する」との声明を出した。潘基文(バン・キムン)国連事務総長は、襲撃の原因となったイスラム教徒批判の米映画に関して宗教への「中傷」をすべきではないと指摘。「ベンガジで起きた暴力を正当化できるものは何もない」と報道官声明で批判し、リビア当局者による容疑者追跡の意向を歓迎した。
リビア側は同事件で、制憲議会のマガリエフ議長が12日会見し「米国と米国民に謝罪する」と述べ、犯人確保と外国人の安全維持を約束している。
安保理はこの日、リビア情勢に関する会合を開催。席上、フェルトマン国連事務次長は、武器の氾濫や国境警備などが、リビアが直面する「最大の課題」と報告した。
会合は事件前から予定されていたもので、事務次長は、カダフィ独裁政権崩壊後のリビアの民主化移行の動きをたたえる一方、国家としての武器の管理ができておらず、治安体制も確立されていないことを指摘。治安状況のもろさが襲撃事件によって「裏付けられた」と語った。
米領事館襲撃:アルカイダ関与か リビアと合同捜査
毎日新聞 2012年09月13日 12時14分(最終更新 09月13日 12時36分)
【ワシントン白戸圭一、カイロ前田英司、ニューデリー杉尾直哉】リビア東部ベンガジの米領事館が襲撃され、クリストファー・スティーブンズ駐リビア米大使(52)ら4人が殺害された事件で、米下院情報特別委員会のロジャース委員長(共和党)は12日、「国際テロ組織アルカイダ系の顕著な特徴がある」と発言し、米同時多発テロ(01年)から11年の9月11日に合わせた攻撃との見方を示した。米政府高官も12日、記者団に「明らかに複合的な襲撃だ」と述べ、米連邦捜査局(FBI)がテロ組織の犯行も視野にリビア当局と合同捜査を始めたことを明らかにした。
ロイター通信によると、米政府は同日、トマホーク巡航ミサイルを搭載可能な駆逐艦2隻をリビア沖に派遣した。「リビア内の標的に対する将来の行動」を視野に入れた展開だという。海兵隊のテロ対策チーム約50人も現地に向かっている。
一方、襲撃のきっかけになったイスラム教の預言者ムハンマドを侮辱する米映画への抗議デモはリビア、エジプトの他、チュニジア、モロッコ、スーダンとパレスチナ自治区の5カ国・1地域に拡大。アフガニスタンでも旧支配勢力タリバンが14日のイスラム教恒例の金曜礼拝で、映画問題について説教するよう求めており、抗議デモや暴動が広がる可能性がある。
米高官によると、ベンガジの米領事館は敷地内に本館、別館など複数の建物がある。11日午後10時ごろ、リビア人イスラム過激派らしき武装集団が本館に放火。約15分後に本館に侵入、警備員らと銃撃戦になり、大使、警備担当者ら3人が取り残された。AP通信によると、襲撃犯は警備陣より重装備だった。
警備担当者は館外へ脱出し、他の警備員と大使らの救出のため本館に戻ったが、別の館員の遺体を発見。翌12日午前6時に館員全員が別館への避難を完了したが別館が銃撃され、2人が死亡した。
リビア治安当局の応援を得て武装集団を撃退したのは午前8時20分ごろで、発見された大使は病院に運ばれたが死亡した。負傷者は12〜17人との情報があり、米政府は負傷者らをドイツへ搬送する。
米・リビア両政府内では、領事館内で緊急時の秘密の避難場所に指定されていた別館も襲撃されたことなどから「デモが暴徒化したものではない」との見方が浮上。ロイター通信は12日、リビア政府高官の「計画的襲撃」との見方を伝えた。
リビアからの報道によると、襲撃を巡っては地元のイスラム教スンニ派勢力が取りざたされている。しかし、リビア政府高官によると、同組織は犯行を否定している。
米領事館襲撃:大統領選に影響…大きな争点に
毎日新聞 2012年09月13日 18時22分(最終更新 09月13日 18時31分)
【ワシントン古本陽荘】リビア東部ベンガジの米領事館襲撃事件は11月の米大統領選にも大きな影響を与えそうだ。両陣営は事実関係が解明できていないなか、早くも火花を散らせている。
共和党の大統領候補、ミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事は12日の記者会見で、在エジプト米大使館が、イスラム教の預言者ムハンマドを冒とくする映画を批判する声明を出したことを問題視した。「(抗議が起きたために)謝罪したに等しいもので、重大な間違いだ」などとして、オバマ大統領の責任を追及。ベンガジ襲撃事件やカイロでの米大使館に対する抗議活動に屈し声明を出した「弱腰外交」との印象付けを狙った発言だった。
だが、実際には大使館声明が出されたのは襲撃事件や抗議活動の始まる前だった。このため、オバマ大統領は同日収録のテレビ番組で、「ロムニー氏はまず攻撃し、後で理屈をひねり出す傾向がある。大統領にはそんなことはできない。事実に基づいた発言をすることが重要だ」などと反撃。大統領候補としてのロムニー氏の資質を逆にただした。
襲撃事件への対応や今後の展開次第では、大統領選の結果を左右することも想定されるため、両陣営とも神経をとがらせている。これまでの米大統領選では経済政策が最大の争点とされ、外交や安全保障は注目度が低かった。だが、10月に予定されている大統領候補同士の討論会では、襲撃事件での対応なども大きな争点となるのはほぼ確実な情勢だ。
反米デモ:8カ国に拡大 イエメン米領事館襲撃
毎日新聞 2012年09月13日 22時22分(最終更新 09月14日 01時34分)
【カイロ前田英司、ワシントン白戸圭一】イスラム教の預言者ムハンマドを冒とくしたとする米映画への抗議は13日、イエメンやイランにも広がり、少なくとも8カ国・1地域のイスラム社会に拡大した。イエメンではデモ隊が米大使館に乱入し、治安部隊との衝突で死者が出たほか、エジプトでも投石するデモ隊に警官隊が催涙弾を放ち、約30人が負傷した。14日には恒例の金曜礼拝があり、イスラム圏全域でデモが激化するおそれがある。
◇リビア襲撃、数人を逮捕
一方、AFP通信によると、リビア当局は13日、駐リビア米大使ら4人が死亡した米領事館襲撃事件に関し、数人を逮捕した。
イエメンの首都サヌアでは13日、デモ隊が「米国に死を」などと叫びながら、米大使館に接近。警備施設の窓ガラスを割り、車に放火するなど暴徒化して一部が大使館の敷地内に乱入、星条旗を燃やした。警官隊が催涙弾などを使用し、ロイター通信によると1人が死亡、15人が負傷した。
イランの首都テヘランでは、イランと国交を断絶している米国の利益代表部を兼ねるスイス大使館前に学生らが集まり、イスラム社会の団結を叫んだ。
問題の米映画に対する抗議は▽エジプト▽リビア▽チュニジア▽モロッコ▽スーダン▽イエメン▽イラン▽バングラデシュ▽パレスチナ自治区ガザ地区−−に拡大。バングラデシュの首都ダッカでは13日、約1000人が星条旗を燃やす騒ぎになった。またイラクでは反米指導者の支持者らがバグダッドの米大使館閉鎖を要求した。
オバマ米大統領は12日、エジプトのモルシ大統領、リビア国民議会のマガリエフ議長に相次いで電話し、事態収拾に向けた協力を要請。クリントン国務長官は13日、デモの引き金となった米映画について「嫌悪し、非難する。米政府は映像とは一切関係ない」と非難した。ホルダー司法長官は米連邦捜査局(FBI)が米大使殺害事件の捜査に着手したことを明らかにした。
中東や北アフリカで反米デモ拡大、死者も リビアでは逮捕者
2012.09.14 Fri posted at 10:00 JST
(CNN) イスラム教を冒とくしたとされる映画をきっかけにエジプトとリビアで始まった反米デモは、13日までに北アフリカと中東の各国・地域に広がり、イエメンでは死者も出ている。リビアの米領事館が襲撃され、駐リビア米大使ら4人が殺害された事件では、リビア首相が同日、容疑者1人を逮捕し、数人の行方を追っていることを明らかにした。
リビアのアブシャグル首相は東部ベンガジで11日に起きた米領事館襲撃について、「リビア国民にとって容認できない事態」との認識を示し、事件に関与した疑いで1人を逮捕、3〜4人の行方を追っていることを明らかにした。いずれもリビア人で、「過激派組織に所属している疑いがある」としている。
一方、各国の反米デモは、イスラエル、パレスチナ自治区ガザ、イエメン、スーダン、チュニジア、モロッコ、イラク、イランおよびカシミール地方に飛び火した。米国は各国の外交施設で警備態勢を強化している。
エジプトの首都カイロの米大使館前では13日も衝突が続き、催涙弾を発射して解散させようとする警察に対し、デモ隊が石や火炎瓶で応酬。同国政府によると、デモ隊の少なくとも13人と、警察官6人が負傷した。
オバマ大統領は米テレビ局テレムンドのインタビューで、エジプトの指導部が同国における米国の利益を守れないとすれば、「重大な問題」になると警告した。
イエメンの首都サヌアでは同日、米大使館前に数千人が集まり、デモ隊の一部が塀を越えるなどして敷地内に入った。当局によると、治安部隊との衝突でデモ隊の4人が死亡。治安部隊の24人とデモ隊の11人が負傷した。
チュニジアとモロッコ、イスラエルのテルアビブでも米大使館前で反米デモが行われ、ガザでは200人が集まって星条旗を燃やすなどした。
スーダンの首都ハルツームでも大使館前でデモが続き、米政府は米国民に対し、大使館に近寄らないよう呼びかけている。
イランの首都テヘランでは、米国の利益を代表するスイスの大使館前に500人が集まった。この日のデモは約2時間で終了したが、同国のイスラム組織は14日にイラン全土でデモを呼びかける声明を出している。
デモの発端となった映画は7月に動画投稿サイトのユーチューブに掲載され、エジプトのテレビが取り上げたことなどをきっかけとしてイスラム圏で反発が強まった。
米当局者はこの映画に対する批判を強めており、クリントン米国務長官は同日、「偉大な宗教を中傷し、挑発する意図があるように思える」と批判。米連邦捜査局(FBI)はこの映画を制作したとみられる人物に接触したという。
2012年9月14日01時14分
リビア報道官「数人を拘束」 米領事館襲撃事件で
イスラム教の預言者ムハンマドを冒涜(ぼうとく)する映像が米国で作られたとして、11日に始まった抗議デモはイランやイエメン、イラクなどにも飛び火し、13日までに九つの国と地域に拡大した。イエメンでは警官隊がデモ隊に発砲して1人が死亡。エジプトやイランでは14日にも大規模デモが計画されており、緊張が高まっている。
リビア内務省の報道官は13日、11日に起きた東部ベンガジの米国領事館襲撃事件について「捜査を始め、数人を拘束した」とAFP通信に語った。詳細は明かさなかった。アブシャグール首相は「(捜査に)大きな進展があった」と述べた。この事件では、首都トリポリから出張中だったスティーブンス大使ら4人が死亡している。
イランの首都テヘランでは13日、イスラム体制を支持する保守派の学生約500人が、国交断絶している米国のビザ発給業務などを代行している在イラン・スイス大使館近くで「映像制作者に死を」「米国に死を」と叫んで気勢を上げた。治安当局も数百人の警官を投入し、大使館の周辺道路を封鎖してデモ隊の動きを抑え込んだ。だがテヘランでは14日も政府系団体のデモが予定されている。
AP通信などによると、イエメンの首都サヌアにある米大使館前でも13日、数百人のデモ隊が集まって投石したり、タイヤを燃やしたりした。フェンスを壊して一部が敷地内に侵入し、米国旗を引き降ろして燃やすなどしたが、イエメンの警官隊が威嚇射撃や催涙ガスで敷地内から追い出した。治安当局者の話では、デモ参加者の1人が警官隊の発砲で死亡したという。米大使館員にけがはなかった。
ハディ暫定大統領は大使館襲撃についてオバマ米大統領に謝罪を表明し、当局に捜査を始めることを命じた。
イラク中部ナジャフでも13日、反米強硬派サドル師の支持者らによる抗議行動があったという。
一方、11日に米大使館への抗議デモがあったエジプトのカイロでは13日昼も数百人が大使館近くに集まり投石するなどした。エジプト保健省によると、同日夕までに100人以上が負傷した。
エジプトでは、穏健イスラム組織ムスリム同胞団が14日に全国各地での大規模デモを呼びかけている。同胞団出身のムルシ大統領は13日、訪問先のブリュッセルで「外国公館の襲撃は正当化されない。エジプト人が不法行為を働くことはない」と強調し、過激な行動に走らないよう釘を刺した。映像についても「人々の憎悪をあおるようなことを強く非難する。オバマ米大統領にもこうした行為を終わらせるよう要請した」とも述べた。
12日にはチュニジア、モロッコ、スーダン、パレスチナ自治区ガザなどでデモが起きた。(ドバイ=村山祐介、カイロ=北川学)
2012年9月14日12時38分
米領事館襲撃、4人拘束 リビア当局、容疑明らかにせず
リビア東部ベンガジの米国領事館が襲撃されて米大使ら4人が死亡した事件で、リビア捜査当局は13日、容疑者4人の身柄を拘束した。リビアのシェレフ内務次官がロイター通信に語った。一方、イスラム教の預言者ムハンマドを冒涜(ぼうとく)する映像をきっかけに中東で拡大する抗議デモは、治安部隊とデモ隊が衝突したイエメンでの死者は計4人になった。
シェレフ次官は「4人の男を拘束して取り調べている」としたが、名前や容疑は明らかにしていない。領事館前では11日、デモ隊に紛れ込んだとみられる武装集団が建物にロケット弾を撃ち込むなどした。
AFP通信は、イエメンの治安当局者の話として、デモの死者が13日夜までに4人に達したと伝えた。デモ隊は大使館の敷地に侵入し、排除されたが、再び突入を試みて治安部隊と衝突したという。クウェートでも13日、500人規模のデモが起きた。
エジプトでは14日に全土で大規模デモが計画されている。13日夜、治安部隊がカイロの米大使館に通じる道路を有刺鉄線で封鎖していた。14日は金曜日で、イスラム教徒の集団礼拝がある。昼の礼拝で各地のモスクに集まった人々がそのままデモに加わるとみられ、中東各国で抗議活動がさらに激しくなる恐れがある。エジプトでは11日以降、米大使館周辺で治安部隊とデモ隊の小競り合いが続いている。保健省は、13日夜までに負傷者が224人になったと発表した。(カイロ=北川学)
反米デモ、イスラム圏全域で…イエメンでも暴徒化
【カイロ=田尾茂樹、ワシントン=山口香子】イエメンの首都サヌアで13日、イスラム教の預言者を侮辱する内容の米映画への抗議デモがあり、一部が暴徒化して米大使館を襲撃した。
AFP通信によると、警官隊の発砲でデモ参加者1人が死亡した。リビアやエジプトで始まった反米デモはこれまでに、米軍が昨年12月に撤収したイラクや、イラン、チュニジアなど少なくとも9か国・地域で発生し、中東全域に広がりつつある。
イエメンからの報道によると、サヌア中心部の米大使館前では、若者ら数百人が「(イスラム教の)預言者を救え」と叫びながら、投石。警備室の窓ガラスなどを破り、一部が敷地内に侵入、火を放った。デモ隊は館外でも車やタイヤを燃やすなどし、治安部隊が威嚇射撃した。
一方、イラクからの報道によると、13日にイスラム教シーア派の反米強硬指導者サドル師の支持者の拠点であるバグダッド東部サドルシティーで反米デモが発生、数百人が「米国に死を」などと叫び声を上げた。
イランの首都テヘランでも13日、学生ら500人がスイス大使館前に集まり、「米国に死を」と叫び、星条旗を燃やした。米国はイランと国交がなく、スイス大使館が米国の利益代表を務めている。
14日は、イスラム教の休日で金曜礼拝があり、宗教指導者らが今回の事件に言及するのは確実。反米デモがさらに拡大する可能性がある。13日も首都カイロで抗議デモが起きたエジプトでは、最大のイスラム主義組織ムスリム同胞団が14日に「100万人デモ」を呼びかけている。
(2012年9月14日01時35分 読売新聞)
アルカイダ系も活動活発化 イスラム中傷映像問題
nikkei.com
2012/9/15 18:52
【カイロ=押野真也】イスラム教預言者の中傷映像への抗議デモが世界で相次ぐ中、反米デモに乗じて反米武装勢力も活動を活発化させている。国際テロ組織アルカイダ系組織は、反米テロの呼びかけを始めた。イスラム諸国で一般国民に高まる反米感情を扇動し、米国人などを狙ったテロの可能性が高まりそうだ。
中傷映像への抗議デモは沈静化の兆しが見えない。警官隊との衝突でカイロで1人が死亡、ナイジェリアでもデモが発生した。
イエメンに本拠を置くアルカイダ系組織は15日までに発表した声明で「ムハンマドの名誉を守るのはイスラム教徒の義務だ」と強調。「米国の大使を見かけた者は(大使を殺害した)リビアの例に倣うべきだ」と米外交官の殺害を呼びかけた。
アフガニスタン南部の英空軍基地では14日夜、ロケット弾が撃ち込まれて米海兵隊員2人が死亡した。同基地には英国のヘンリー王子が所属、反体制武装勢力のタリバンは王子殺害を予告していた。タリバンは15日、今回の攻撃について「反イスラムの映像に対する報復だ」と犯行を認めた。
米欧大使館襲撃、「不当な行為」と安保理が声明
【ニューヨーク=柳沢亨之】国連安全保障理事会は14日、中東などで相次ぐ米欧大使館への襲撃を「最も強い表現で非難する」とのプレス声明を発表した。
声明は襲撃を「動機にかかわらず不当な行為」と断じ、外交公館と外交官の保護を各国当局に要請している。
(2012年9月15日12時24分 読売新聞)
駐リビア米大使らの遺体、オバマ大統領出迎え
【ワシントン=山口香子】リビア東部ベンガジの米領事館襲撃事件で死亡したクリストファー・スティーブンス大使(52)と職員3人の遺体が14日、軍用機でワシントン郊外のアンドリュース空軍基地に到着した。
基地で出迎えたオバマ大統領は「彼らは自分たちの使命を信じ、危険を承知で国のために働いた。米国の理想を体現してくれた」と称賛した。クリントン国務長官も、リビアや反米デモが続くエジプト、イエメン、チュニジアで「理性的な指導者が治安を回復し、暴力を働いたものに責任を取らせる必要がある」と述べた。
(2012年9月15日12時24分 読売新聞)
米映画への抗議デモ、豪州でも…24か国に拡大
【カイロ=貞広貴志】イスラム教の預言者を侮辱する米映画への抗議デモは15日、オーストラリアやモルディブにも広がり、騒ぎが始まった11日以降、反米抗議活動が確認された国は少なくとも計24か国となった。
オーストラリアからの報道によると、約500人のデモ参加者は15日、シドニーの米領事館前で「預言者を侮辱する者に死を」などと叫び、警備に当たっていた警官隊と小競り合いになった。若者らと警官隊の衝突が続いていたエジプトの首都カイロでは、15日未明までにデモ参加者を米大使館近辺から排除するなど、各国当局による事態沈静化に向けた動きも出ている。
スティーブンス駐リビア米大使ら4人が殺害されたリビア東部ベンガジの領事館襲撃事件について、リビア国民議会のメガリーフ議長は、15日放送の中東の衛星テレビ、アル・ジャジーラのインタビューで「事前に計画されたもので、(国際テロ組織)アル・カーイダの犯行と思われる」と述べた。
(2012年9月15日22時06分 読売新聞)
反欧米デモ:国連安保理が声明 外交官保護求め
毎日新聞 2012年09月15日 11時43分(最終更新 09月15日 12時08分)
【ニューヨーク草野和彦】反欧米デモの激化を受け、国連安全保障理事会議長のウィッティヒ独国連大使は14日、イスラム諸国の政府などに対し「外交施設と外交官らの保護」を求める安保理声明を出した。
声明は各国で続いた欧米の大使館などへの襲撃を「最も強い言葉」で改めて非難。異なる文化や、国家間の相互理解の役割を担う外交施設と外交官への暴力は「いかなる動機であっても正当化されない」とし、各国政府に国際的な義務として「あらゆる適切な措置」を求めた。
安保理は12日にもリビアの米領事館襲撃事件を非難する声明を出しており、危機感を強めている。
リビア米領事館襲撃、50人逮捕…外国人参加か
【ベンガジ(リビア東部)=末続哲也】リビア東部ベンガジの米領事館襲撃事件で、リビア国民議会のメガリーフ議長は16日、犯行に加わった容疑者約50人を逮捕したことを明らかにした。
米CBSテレビのインタビューに答えた。
議長はアルジェリアやマリなどから外国人がリビアに入国し、テロを計画、実行したとの見方を示した。一方で、地元のイスラム武装組織「アンサール・シャリーア」の関与を指摘する声もある。
米政府は15日、14日に大規模な米大使館襲撃があったスーダンとチュニジアから必要不可欠の要員を除き外交官と家族を退去させると発表した。イエメンを拠点とするテロ組織「アラビア半島のアル・カーイダ」が15日、中東・アフリカの米関連施設への攻撃を呼びかける声明を出したのを受けての措置だ。
(2012年9月16日21時59分 読売新聞)
リビア:米領事館襲撃 関与の50人特定…治安当局
毎日新聞 2012年09月16日 00時46分
【カイロ前田英司】リビア東部ベンガジで米大使ら4人が死亡した米領事館襲撃事件で、リビア治安当局は15日、襲撃に関与した疑いのある50人を特定したと明らかにした。ロイター通信などが伝えた。これまでに4人を逮捕して事件の背景などを調べており、容疑者はさらに増える可能性があるという。
一方、イエメンを拠点とする国際テロ組織アルカイダ系の武装勢力「アラビア半島のアルカイダ」(AQAP)は15日、米領事館襲撃事件について、アルカイダのナンバー2でリビア出身のアブヤヒヤ・リビ幹部が6月に米軍の攻撃で殺害されたことへの「報復」との見方を示した。ただ、襲撃を実行したとは認めていない。
リビア:米領事館襲撃に関与、50人逮捕
毎日新聞 2012年09月16日 22時08分
AFP通信によると、リビア東部ベンガジで米大使ら4人が死亡した米領事館襲撃事件で、リビア当局は16日、襲撃に関与した疑いがあるとして、外国人数人を含む約50人を逮捕した。リビア国民議会のマガリエフ議長が米テレビ局のインタビューで明かした。
マガリエフ議長は、襲撃に加わった外国人の一部は「マリとアルジェリアから来たことが確実」と言明。襲撃は数カ月前に入国した外国人が計画したもので、イスラム教の預言者ムハンマドを冒とくした米映像によるものではないという見方を示した。【長野宏美】
米領事館襲撃で50人逮捕、「計画的犯行」とリビア暫定大統領
2012.09.17 Mon posted at 09:32 JST
トリポリ(CNN) リビア東部ベンガジで11日に起きた米領事館襲撃で、同国のマガリーフ暫定大統領(国民議会議長)は16日、逮捕者が50人前後に上っていると述べた。
マガリーフ氏が米CBSテレビの番組で語ったところによると、逮捕されたのは国際テロ組織アルカイダ系グループのメンバーや同調者で、マリやアルジェリア出身の外国人も含まれている。同氏はまた、同じ日に発生した米映画への抗議デモとは関係なく、「数カ月前に入国した外国人らが事前に襲撃を計画していた」との見方を示した。
これに対して別の政府高官は、領事館前でのデモに参加した50人が事情聴取を受けたものの暴力に加担したとの証拠はなく、全員が逮捕されたわけではないと話した。
米国のライス国連大使も、領事館襲撃はデモ発生後に起きたとして、事前に計画されていたことを示す情報は今のところないと語った。
領事館襲撃ではスティーブンス米大使ら4人が死亡した。米連邦捜査局(FBI)が捜査に乗り出したものの、治安上の理由からまだリビアには入国していない。米軍からは軍艦や無人偵察機が送り込まれ、現地米国人の保護を目的に海兵隊員50人がリビア入りしている。
2012年9月17日01時20分
米領事館襲撃で「50人逮捕」 リビア暫定大統領
リビア東部ベンガジの米国領事館が襲撃された事件で、リビアのマガリーフ暫定大統領(国民議会議長)は16日、米CBSテレビのインタビューで、少なくとも容疑者50人を逮捕したと述べた。そのうち数人はマリ人やアルジェリア人などといい、「数カ月前に入国した外国人が犯行を計画した」との見方を示した。
また、スーダン政府は15日、首都ハルツームの米国大使館を警護するため米政府が派遣した海兵隊の受け入れを拒否した。ハルツームでは14日、イスラム教の預言者ムハンマドの冒涜(ぼうとく)映像に抗議するデモ隊が米大使館などを襲撃し、デモ参加者3人が死亡した。
国営スーダン通信によると、米国からの部隊受け入れ要請に対してケルティ外相は「自国で大使館警護を担える」と断った。部隊はすでにハルツームに向かっていたが、途中で呼び戻されたという。
一方、米国務省は15日、スーダンとチュニジアの米大使館員とその家族に国外退避を命じた。当面は一部の職員だけが残って職務を続ける。(カイロ=北川学、エルサレム=山尾有紀恵)
[FT]中東の反米デモはオバマ外交の失敗ではない
nikkei.com
2012/9/18 14:00
(2012年9月18日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
中東の混乱は米共和党大統領候補のロムニー氏にとって「贈り物」だった。同氏はなりふり構わずこの機に乗じ、イスラム勢力の反米感情を促したとしてオバマ政権を非難している。保守派の評論家もテレビで「画面で目の当たりにしているのは大惨事で、オバマ政権の対イスラム政策の崩壊だ」と断じた。
■反米暴力、対処しやすく
スティーブンズ米駐リビア大使が殺害され、各国の米大使館が攻撃にさらされている現状では、こうした批判は安易だ。だがそれは間違っている。オバマ大統領の中東政策によって、米国はむしろ何十年間も中東政治の根幹をなしてきた反米暴力にずっと対処しやすくなった。
オバマ氏に批判的な保守派は都合の悪いことは忘れるようだ。オバマ氏が大統領に選出されるまでは、米国は強力で中東で尊敬されていた、とでも言いたいのだろうか。弱い大統領の登場で、在イラン米大使館人質事件が起きたカーター大統領の時代の状態に米国が戻ってしまったとも。あの時の屈辱が1980年の大統領選でのカーター氏の敗北につながったことを共和党はよく覚えている。
だが「オバマ=カーター」という批判は、共和・民主党に関わりなくカーター氏以降の歴代大統領がイスラム教徒やアラブの反米感情に悩まされてきたという事実を無視している。
オバマ氏がこの悪いパターンを断ち切るという期待を胸に大統領に就任したのは確かだ。オバマ氏はカイロでの演説で、米国とイスラム世界との再出発を訴えた。共和党員らはオバマ氏がカイロで米国に代わって謝罪したことで米国の「弱さ」が露呈し、それがカイロの反米運動につながった、と主張するが、そういう主張はナンセンスだ。
各国の米大使館が襲撃されたという事実は、不満をため込んだ教育水準の低い原理主義者の怒りがいかに爆発しやすいかを示しているにすぎない。同様の状況は以前にもあったが、反米デモの発生に米国の「弱さ」は不要だった。米外交政策への反発があったとしたら、アルカイダの指導者ビンラディン容疑者殺害やパレスチナ問題が、デモのきっかけとしてふさわしいように思える。
オバマ大統領の政策でイスラム教徒の反米感情を断つことはできなかったが、抑えやすくなった。スティーブンズ大使の殺害事件は、2003年にイラクの首都バグダッドで起きた国連事務所での爆弾テロと比較するとよい。両方とも警備が手薄で、アルカイダの関与はほぼ確実だ。だがイラクでは爆弾テロ後の混乱の格好の標的となる数千人の米国軍が駐留しており、秩序回復の責務を担う正統性のある政府もなかった。
一方、オバマ大統領がリビアのカダフィ政権攻撃での米軍の直接関与を拒んだため、米軍は現在リビアで攻撃の標的にはされていない。さらに重要なのは、治安の回復が米軍ではなくリビア政府の責任だということだ。
オバマ政権は戦闘では、英仏軍の空軍に支援されたリビア国内の反体制派に主導権を握らせ、米軍は物流面での支援に徹した。
■「アラブの春」巡り分裂する共和党
この「背後から主導する」政策は大成功を収めたため、共和党が直接批判することはめったにない。エジプトの民主化運動への対応の方が批判が多い。オバマ政権はかつての盟友ムバラク大統領を裏切り、反欧米色の強いイスラム政権の誕生を招いたと不満を訴える共和党議員もいる。だが、ムバラク大統領はデモを武力で制圧することでしか権力を維持できなかっただろう。米国がこれを支持していたら、中東でもっと人気が高くなり尊敬されていた、と真面目に信じる人はいないだろう。
実際、共和党は中東の民主化運動「アラブの春」を巡っては完全に分裂している。孤立主義派は米軍の中東地域からの撤退と援助停止を求め、ムバラク政権崩壊を支援した新保守主義派(ネオコン)はイランの核施設への攻撃やシリアの反体制派への軍事支援を主張。現実主義派はムバラク政権崩壊を嘆く一方、オバマ氏の軍事行動への慎重姿勢に共感を示している。
ロムニー氏は時と場合に応じてこの3派の主張を使い分けてきた。足元の危機では、責任を全てオバマ大統領になすりつける作戦に終始している。選挙戦術だとしてもこれはおかしい。中東での有事の分析としてはむしろ笑止だ。
リビア米領事館襲撃の現場映像か 大使救出に歓声も
2012.09.18 Tue posted at 19:05 JST
ベンガジ(CNN) リビア東部ベンガジで11日に起きた米領事館襲撃事件の現場を撮影したとされるビデオに、犠牲となったスティーブンス米大使の救出シーンとみられる映像が入っていることが分かった。領事館を取り囲んだ群衆は、大使の無事を願っているように見える。ただし、米国務省はこのビデオが本物かどうか確認できていないとしている。
ビデオは現場に居合わせた男性が撮影したという。男性によると、現場には煙が立ち込めていて、領事館の本館がほとんど見えないほどだった。
しかしビデオには、懐中電灯を持った人々が開いた窓から出入りする姿が記録されている。やがて中から負傷者が運び出された。撮影者によれば、これがスティーブンス大使だった。煙で口が黒くなっていたが、脈があり、目も動いていたという。
外国人のようだ、とだれかが叫ぶ。生きていることが分かると、歓声とともに「神は偉大なり」とアラビア語で唱える声が響いた。「病院へ運べ」という声も聞こえる。その後、1人の男性が大使とみられる負傷者を背負って運ぶ姿をとらえた写真も公開されている。
しかし搬送先の医師によると、病院で蘇生措置を試みたものの、大使は助からなかった。事件では大使ら4人が死亡した。
同事件については、預言者ムハンマドを侮辱したとされる映画への抗議デモとの見方のほか、事前に計画されたテロとする説もあり、リビアと米国の両当局が調べを進めている。
米国務省のヌーランド報道官は16日、ビデオの存在を認めたうえで、「本物かどうかは確認できない」と慎重な姿勢を示した。
2012年9月20日10時32分
駐リビア米大使ら殺害は「テロ攻撃」 米政府当局者
リビア東部ベンガジの米領事館が襲われ、駐リビア米大使ら米国人4人が殺害された事件について、米政府当局者が19日、「テロ攻撃」との見解を示した。襲撃グループに国際テロ組織アルカイダ関係者がいた可能性が高いという。
対テロセンターのオルセン所長が、米上院国土安全保障委員会で証言した。オルセン氏は、襲撃はベンガジ周辺を拠点とする複数の武装組織の民兵による疑いが強いと指摘。西アフリカのマリなどで活動するアルカイダ系の「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ組織」が関与している可能性が高いという。
襲撃は現地時間の11日夜に発生。武装した多数の民兵が、領事館前での反米デモによる混乱に乗じて、銃撃や放火をした。オルセン氏は襲撃が事前に計画されたかどうかは「現時点では分からない」と述べた。(ワシントン=望月洋嗣)
リビア領事館襲撃、テロと断定 米大統領報道官
nikkei.com
2012/9/21 10:10
【ワシントン=中山真】カーニー米大統領報道官は20日、駐リビア米大使ら4人が殺害されたリビア東部ベンガジの米領事館襲撃事件について「テロリストの攻撃だったことは明白だ。オバマ大統領もそう考えている」と言明した。北アフリカのアルカイダ系組織「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ(AQIM)」が関与していた可能性があることも明らかにした。
ホワイトハウスが襲撃事件をテロ攻撃との認識を示すのは初めて。ただ、カーニー氏は襲撃が米同時テロが発生した9月11日に合わせて計画されたことを示す情報はないとし「(反米デモの暴動という)機会に乗じた攻撃だったと判断している」と述べた。
一方、米フォックス・ニュースは複数の情報機関からの情報として、キューバのグアンタナモ米軍基地に収容されたことがあるリビア人が今回の襲撃を主導した可能性があると報道。この男は2007年にリビアでの収容を条件に同国に移送されたが、08年に当時のカダフィ政権が釈放したという。アルカイダ系組織であるリビア・イスラム闘争グループと関係しているとの情報もある。
一方、クリントン国務長官は20日、リビアの領事館襲撃事件に関する調査委員会を設立し、大使殺害の経緯や当時の警備体制などを検証する方針を明らかにした。米議会内では野党・共和党を中心に、オバマ政権が十分な安全確保策を採っていなかったことが大使殺害につながったとの批判が強まっている。
リビア米公館襲撃:「アルカイダの可能性」米当局、初言及
毎日新聞 2012年09月21日 10時59分
【ワシントン白戸圭一】カーニー米大統領報道官は20日の記者会見で、リビア東部ベンガジの米領事館が襲撃され米大使ら4人が殺害された事件について、北・西アフリカ一帯で活動するアルカイダ系テロ組織「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ(AQIM)」が関与したテロ攻撃の可能性があるとの見方を示した。米当局者が事件後、アルカイダ系組織の犯行に公式に言及したのは初めて。
現地時間9月11日夜から12日早朝にかけて続いた襲撃は、イスラム教の預言者ムハンマドを冒とくしたとされる米映画に対する抗議デモが領事館に押し寄せる中で発生した。
カーニー報道官は、米国家テロ対策センター(NCTC)が集めた情報として、リビア東部を拠点とする武装勢力に加えて「アルカイダに関係するAQIMの分子が襲撃に参加した可能性」を指摘した。その上で「周到に計画された攻撃だったことを示す情報はないが、(犯行グループは)映像への反発を利用し、食い物にした」と述べ、襲撃はデモ隊が暴徒化した結果ではなく、テロ組織がデモの混乱に乗じた犯行との見方を示した。
AQIMは90年代にアルジェリアで結成されたイスラム過激派組織が源流で、03年10月にアルカイダへの忠誠を宣言し、07年に現在の名に改名した。近年はマリ、ニジェールなどで欧米人の誘拐・殺害を続け、米国務省が外国テロ組織に指定している。
一方、米FOXテレビは19日、米情報機関関係者の話として、米同時多発テロ(01年)の実行犯に資金提供したとしてキューバ・グアンタナモ米収容所に収容され、07年にリビアに移送後に釈放された男が領事館襲撃に加わったと伝えた。
米領事館襲撃のイスラム組織本部を市民が占拠 リビア
2012.09.22 Sat posted at 12:18 JST
ベンガジ(CNN) 11日に米領事館が武装集団に襲われ、クリストファー・スティーブンス駐リビア米大使ら4人が殺害されたリビア東部ベンガジで21日、数百人の市民がデモ行進を行い、領事館襲撃に関与したイスラム教過激派組織の本部を占拠した。
ベンガジでは21日朝、数千人が街頭でデモ行進を行い、襲撃に関与した組織ではなく、自分たちこそが、リビア国民の真の感情の代弁者だと声高に訴えた。デモに参加したある男性は「米国民に申し訳ない、これが本当のリビアだ」と語った。
また夕方には、デモ隊から分かれた数百人が、イスラム武装組織アンサル・アル・シャリアの本部に向かった。武装組織のメンバーが逃走したため、デモ隊は車に火を付け、1発も銃弾を撃つことなく、組織の本部を占拠した。参加した一部の市民は、本部に拘束されていた少なくとも20人の人質を解放し、さらに同組織の他の建物も占拠する意向を表明したという。その後、デモ隊は占拠した本部をリビア軍に引き渡した。
リビアのムスタファ・アブシャグール首相は20日、11日の襲撃に関与した疑いで拘束した8人の中にアンサル・アル・シャリアのメンバーが含まれていることを明らかにしたが、襲撃した武装集団の全員が1つの組織に属しているわけではないと付け加えた。
21日にベンガジからの報告を受けた米国のマケイン上院議員は、これこそ自由を愛するリビアの真の姿だとし、市民の健闘を称えた。
2012年9月22日20時20分
市民デモ隊、過激派の拠点襲撃 リビア・ベンガジ
リビア東部ベンガジで21日深夜、一般市民を中心とするデモ隊が、イスラム過激派組織の拠点を襲撃した。この組織は、駐リビア米国大使らが死亡した米領事館襲撃への関与が疑われている。カダフィ政権の崩壊後、過激派の伸長に危機感を抱いた市民が直接行動に出た。
現地からの情報によると、過激派組織「アンサール・シャリア」が拠点とする建物に数百人が押し入った。敷地内の車に放火し、刃物を振りかざして「ベンガジを救え」「リビア、リビア」と叫びながら、掲げてあった組織の旗を引きずり降ろした。デモ隊は別のイスラム系民兵組織の基地にもなだれ込み、一連の襲撃で少なくとも11人が死亡した模様だ。
ベンガジではこの日、イスラム教の預言者ムハンマドの冒涜(ぼうとく)映像が米国で作られたことや、フランスの週刊紙に風刺画が掲載されたことに抗議するため、数百人規模のデモがあり、「アラーの他に神はなし」「オバマ(米大統領)は神の敵」などと叫んだ。
一方、過激派の解体を呼びかけるデモも行われ、3万人ほどが参加した。その一部がアンサール・シャリアの拠点に向かったとみられる。衝突後、拠点はリビア軍に引き渡された。アンサール・シャリアの報道担当者は22日、ロイター通信に「拠点から撤退した」と語った。
11日に発生したベンガジの米領事館襲撃事件は、映像に抗議する反米デモに紛れていたアンサール・シャリアのメンバーが、ロケット弾などを撃ち込んだテロとの見方が出ている。
ベンガジは昨年2月、「アラブの春」に触発された市民たちが反カダフィ政権のデモを最初に行った「革命発祥の地」。カダフィ派との内戦に勝利した反体制派が拠点を置いた。米国は内戦で反体制派を支援していたことから、ベンガジ市民の間からは「友人を失った」と米大使らの死亡を嘆き、襲撃を非難する声が上がっていた。
昨年10月のカダフィ氏死亡で独裁体制は崩壊したが、強権下で抑え込まれていた過激派などが内戦後の混乱に乗じて拠点を築き、民兵を組織化し、治安の不安定要素となっている。(カイロ=北川学)
米、駐リビア大使死亡「襲撃はテロ」と断定
【ワシントン=山口香子】カーニー米大統領報道官は20日、リビア東部ベンガジの米領事館が襲撃されてクリストファー・スティーブンス米大使が死亡した事件について「テロ攻撃だった」と断定し、アル・カーイダ系組織が関与した可能性を捜査していることを明らかにした。
報道官は、判断の根拠は示さなかった。
報道官は記者団に、「イスラム・マグレブ諸国のアル・カーイダ組織(AQIM)」による関与を特に入念に調べていると説明した。複数の米メディアは、米当局が、キューバのグアンタナモ米海軍基地のテロ犯収容施設から釈放されたリビア人の男と事件の関連を調べていると報じている。
襲撃事件は、米同時テロから11年後の9月11日に起きたこともあり、当初からテロとの見方が出ていた。
(2012年9月22日09時28分 読売新聞)
リビアでイスラム過激派を襲撃 4人死亡
nikkei.com
2012/9/22 18:50 (2012/9/22 23:08更新)
【カイロ=共同】リビアからの報道によると、同国北東部ベンガジで21日、政府支持派の群衆数百人が、イスラム過激派「アンサール・シャリア」の本部を襲撃、敷地内で放火するなどし、少なくとも4人が死亡、約30人が負傷した。
ベンガジ周辺で活動するアンサール・シャリアは、米大使ら4人が死亡した11日の米領事館襲撃事件への関与が疑われているが、否定する声明を出している。リビア当局が事件の捜査を進めており、群衆はアンサール・シャリアの解散を求めた。
アンサール・シャリアは、政府が進める民主化プロセスを批判し、治安部隊などに編入されることを拒絶している。襲撃の前には、同本部近くで数万人がアンサール・シャリアに対する抗議デモをした。
リビアでは昨年8月にカダフィ政権が崩壊した後、武装組織や民兵を国軍などに編入することが課題となっている。内戦で出回った武器の回収も進まず、首都トリポリとベンガジなどの地域間抗争や部族間の衝突が絶えず、治安が安定していない。
リビア:デモ群衆と過激派の衝突拡大、11人死亡
毎日新聞 2012年09月22日 20時21分(最終更新 09月23日 01時40分)
【カイロ服部正法】米領事館襲撃で米大使ら4人が死亡したリビア東部ベンガジで21日夜、襲撃事件に怒った市民らが、事件への関与を疑われるイスラム過激派の本部を抗議のデモ行進で包囲、火を放つなどして本部から過激派を追い出した。群衆は22日未明にかけ、別のイスラム過激派本部も急襲するなどし衝突が拡大。治安当局のメンバー6人を含む11人が死亡、70人程度が負傷した。
AP通信などによると、ベンガジでは約3万人が集結し、イスラム過激派「アンサール・シャリア」の本部に「(国際テロ組織)アルカイダは要らない」などとシュプレヒコールを上げながら行進し建物に放火。過激派側は応戦する構えを見せたが逃亡した。その後、別の過激派本部でも衝突があった。
死亡した治安当局の6人は頭や胸を銃で撃たれており、検視官はAFP通信に「傷の特徴から6人は意図的に処刑された」と話している。
アンサール・シャリアは、アルカイダの思想に共鳴する過激派組織で、ベンガジが拠点。地元では11日に起きた米領事館襲撃への関与が指摘されているが、組織は声明で襲撃への関与を否定した。
2012年9月24日10時49分
リビア軍、民兵組織に武装解除を命令
リビア軍当局は23日、国内の非合法な民兵組織に対し、拠点と武器を暫定政府側に明け渡すよう命じた。東部ベンガジで21日、市民を中心とするデモ隊がイスラム過激派組織の拠点を襲撃。暫定政府はこれを機に民兵組織の一掃に乗り出した形だが、民兵側の抵抗も予想される。
ロイター通信などによると、リビア軍報道官は「軍参謀長とマガリーフ暫定大統領(国民議会議長)の命令だ」と述べた。国軍や内務省への編入を拒んでいる民兵組織が対象で、従わない場合は「武力行使も辞さない」としている。また、民兵組織を軍などに統合するための部署も設けるとしている。
昨年のリビア内戦では、各地にできた民兵組織がカダフィ政権打倒のために戦ったが、暫定政府が樹立された後も、数百ともいわれる民兵組織が公共施設などに拠点を構築。武装解除の要求を拒み、治安の不安定要因となっている。
ベンガジでは11日、駐リビア米国大使らが死亡した米領事館襲撃事件が発生。国民の間では、民兵組織や事件に関与したとされるイスラム過激派組織に対する不満が強まっていた。(カイロ=北川学)
米国務長官:リビア議長と会談 過激派対策重視で一致
毎日新聞 2012年09月25日 10時44分(最終更新 09月25日 11時01分)
【ワシントン白戸圭一】クリントン米国務長官は24日、国連総会出席のため訪米中のリビア国民議会のマガリエフ議長とニューヨーク市内で会談した。クリントン長官は駐リビア大使が殺害されたリビア東部ベンガジの米領事館襲撃事件について「襲撃に責任を負う者たちに正義(の裁き)をもたらす(リビア側の)重要な取り組み」を支持。内戦後の民主化を推進するため過激派対策を重視することで一致した。マガリエフ議長は、襲撃事件に憤ったベンガジ住民が過激派の追放に立ち上がったことに言及し、「リビア国民の良心の表れだ」と応じた。
米情報機関、領事館襲撃は意図的なテロ攻撃と指摘
cnn.co.jp
2012.09.29 Sat posted at 12:17 JST
ワシントン(CNN) リビア東部ベンガジで米領事館が武装グループに襲撃され、スティーブンス米大使と3人が殺害された事件で、米国家情報長官室は28日、事件の当初の評価を修正し、襲撃は意図的なテロ攻撃であるとの見解を示した。
国家情報長官室は当初、襲撃は反イスラム映画をめぐる抗議活動に続いて自然発生的に起きたとの見方を示していたが、国際テロ組織アルカイダと連携あるいは同組織に共感している「過激派による意図的かつ組織的なテロ攻撃」との認識に改めた。
先週、国家テロ対策センター(NCTC)のオルセン所長も襲撃事件をテロ攻撃と表現したが、「綿密に計画された」ものではないと指摘していた。
またパネッタ米国防長官も27日、襲撃は「明らかに」それを計画したテロリストらによる犯行と考えているとし、その結論を導くのに必要な情報収集に「時間がかかった」と述べた。
しかし、同日、ある政府高官はCNNのインタビューに対し、襲撃から1日もたたないうちに米国の情報コミュニティは、アルカイダと連携しているか、あるいはアルカイダに影響された過激派の犯行であることを示す情報集めに着手したと述べている。
襲撃は抗議活動の延長との当初の見方が、意図的なテロ攻撃であるとの見方に取って代わった時期は明らかになっていない。
情報コミュニティは今後も襲撃事件に関する情報収集を続けるとしている。
リビア事件:大使殺害は計画的テロ…米情報官室が断定
毎日新聞 2012年09月29日 12時41分(最終更新 09月29日 13時12分)
【ワシントン白戸圭一】米政府内で安全保障関連の情報などを集約している国家情報官室は28日、米大使ら4人が死亡したリビア東部ベンガジの米領事館襲撃事件について声明を発表し、襲撃は「アルカイダに共感、もしくは関係を持つ組織」による計画的なテロ攻撃だったと断定した。
領事館襲撃事件の「計画性」を巡っては、オバマ政権の高官によって見解が食い違い、野党共和党や米メディアから批判が相次いでいた。国家情報官室が声明を出すのは極めて異例で、政権として公式見解を示し、混乱を収束させる狙いがあるとみられる。
襲撃は今月11日夜から12日未明にかけて発生し、領事館の周囲では襲撃前、イスラム教の預言者ムハンマドを侮辱した米映像への抗議デモが起きていた。声明は「事件直後の情報では、デモから自然発生的に始まった襲撃と評価した」と述べ、米政府が当初、計画的テロではないと判断していたことを認めた。
その上で声明は、その後の情報収集で「過激主義者による入念に計画されたテロ攻撃であることを示す新たな情報を反映し、当初の判断を見直した」と説明し、襲撃が計画的テロ攻撃であったと断定した。ただ、実行グループの指揮系統が今も解明できていないことを認め、米連邦捜査局(FBI)とリビア当局の捜査が継続中であることを強調した。
襲撃を巡っては、ライス米国連大使が「計画性」を否定する一方、米国家テロ対策センター幹部が議会公聴会でアルカイダ系組織による「テロ攻撃」との見解を表明。カーニー米大統領報道官は「アルカイダ系組織の犯行」を示唆しながら「計画性」を否定するなど混乱が続いていた。
米、対リビア攻撃に備え情報収集か 当局高官が確認
cnn.co.jp
2012.10.03 Wed posted at 10:32 JST
(CNN) 米情報当局と国防総省が対リビア軍事攻撃の可能性に備え、標的となり得る場所や人物について予備的な情報収集を始めていることが分かった。米当局高官が匿名でCNNに確認した。攻撃を実行する場合は、リビア側にも事前に協力を求めるとみられる。
これについては先に米紙ニューヨーク・タイムズが部分的な詳細を伝えていた。
同国東部ベンガジの米領事館が先月11日に襲撃され、米大使ら4人が殺害された事件を受けての動きだという。米情報当局は、襲撃について、国際テロ組織アルカイダに「共感または関連」する過激派組織による計画的テロだったと断定している。
CNNはかねて、米軍無人機が数週間前からリビア東部で情報収集活動を展開し、情報当局が武装勢力の通信を傍受していると伝えてきた。
ただ、同高官は一方で、標的のリストはあくまで暫定的な候補にすぎないと強調。攻撃を実施するかどうかを決断するのは大統領で、これに備えるのが情報当局や軍の仕事だが、現時点でオバマ大統領からの指示はないと繰り返した。
リビア新内閣、議会に名簿提出
nikkei.com
2012/10/4 9:58
【カイロ=共同】リビアからの報道によると、同国移行政府のアブシャグル首相は3日、新内閣の閣僚名簿を制憲議会に提出し承認を求めた。議会は4日に採決を行い、各閣僚候補を承認するかどうか決める。
閣僚数は約30人になる見通し。否決されたポストについてはアブシャグル氏が7日までに候補を再提出する。外相候補は未定で、同氏が当面兼務するとみられる。
カダフィ大佐殺害:仏国防省の関与説浮上
毎日新聞 2012年10月05日 20時37分(最終更新 10月05日 23時29分)
【パリ宮川裕章】リビアの最高指導者だったカダフィ大佐の昨年10月の殺害を巡り、フランス国防省工作員の関与説が浮上している。仏インターネット紙「メディアパー」は「仏工作員が大佐を直接殺害した」とする当時の反カダフィ派「国民評議会」幹部の証言を掲載し、当時のサルコジ仏大統領が、07年大統領選前にカダフィ氏から資金援助を受けていた疑惑との関連性を指摘した。仏国防省はコメントを拒否している。
証言したのは、当時、国民評議会で対外情報担当だったラミ・エルオベイディ氏。2011年10月20日、反カダフィ派がリビア北中部シルトでカダフィ大佐を拘束した際、「仏軍特殊部隊と国防省対外治安総局の工作員が現場で展開し、工作員がカダフィ大佐を殺害した」と語った。
サルコジ氏を巡っては、07年大統領選前にカダフィ氏側から5000万ユーロの選挙資金援助を受けていた疑惑が仏主要メディアで既に報じられている。エルオベイディ氏はカダフィ氏の拘束により「(カダフィ氏側からサルコジ氏側への)選挙資金協力に関する秘密が暴露される恐れがあったはずだ」と語った。
また、英「テレグラフ」紙などによると、リビアのジブリル前暫定首相は、カダフィ氏殺害への外国の工作員の関与を認めており、イタリア有力紙「コリエレ・デラ・セラ」は9月29日、トリポリの欧州外交筋の証言として仏のカダフィ氏殺害関与の可能性を報道している。
一方、エルオベイディ氏は英テレグラフ紙に、シリアのアサド大統領がカダフィ氏の所在に関する情報を仏政府に伝えていたと証言した。カダフィ氏は拘束前、シリア国内のリビア人と連絡を取っており、「アサド大統領は仏政府がシリアへの政治的圧力を弱めることと引き換えに、カダフィ氏の通話に関する情報を提供した」と語った。
リビア議会、新内閣の閣僚名簿を否決 首相解任
cnn.co.jp
2012.10.08 Mon posted at 11:19 JST
トリポリ(CNN) リビアの国民議会は7日、アブシャグール首相が提出した新内閣の閣僚名簿を否決し、首相を解任した。
アブシャグール首相は先月12日に任命されたばかり。先週、29人の閣僚名簿を提出しようとしたが、議会から厳しい批判を受けていったん撤回した。新たな期限とされた7日、閣僚を10人にしぼった「危機管理内閣」を提案。しかし新たな名簿も賛成44、反対125、棄権17で否決された。
議会はその後、アブドゥルラヒム・キーブ氏率いる暫定政府への支持を表明。次期政府発足まで暫定政府が存続し、アブシャグール氏は副首相に戻ることとなった。政府発足や新首相任命の期限については結論が先送りとなった。
国民議会は首相任命や憲法起草を目的に、今年7月の選挙で選出された。だがアブシャグール首相は7日のテレビ演説で、「政治家たちは地元の利権や党派争いを優先させ、勝手な要求を押し付けてきた」と強く非難。「これらは就任時に述べた私の信念に反する。信念を捨てるわけにはいかない」と語った。
同国ではカダフィ政権の崩壊後、政治的空白が続き、武装勢力の活動や民族間対立の激化が懸念されている。
リビア議会、元外交官のゼイダン氏を新首相に選出
cnn.co.jp
2012.10.15 Mon posted at 10:58 JST
(CNN) リビアの国民議会は14日夜、先週解任されたアブシャグール首相の後任に、元外交官のアリ・ゼイダン氏を選出した。
議長が声明を発表した。ゼイダン氏は28日を期限として組閣に着手する。
9月に首相に任命されたアブシャグール氏は、今月7日に「危機管理内閣」の閣僚名簿を提出したが、議会がこれを否決し、同氏は自動的に解任となっていた。
同国ではカダフィ政権崩壊後の政治的空白が長引き、国民は治安回復や軍、警察再建の遅れに不満を募らせている。
リビア:新首相にジダン氏選出 2週間以内に組閣
毎日新聞 2012年10月15日 19時58分
【カイロ前田英司】リビア国民議会(定数200)は14日、元外交官のアリ・ジダン氏を新首相に選出した。リビアでは7月にあったカダフィ政権崩壊後初の自由選挙を受け、アブシャグル首相が移行政府作りに着手したが、組閣に失敗して今月7日、議会が不信任案を可決して解任していた。ジダン氏は今後2週間以内に議会の承認を得て組閣しなければならない。
地元メディアなどによると、ジダン氏は外交官だった80年代にカダフィ政権を離反し、在外の反体制活動に参加した。今年7月の選挙に無所属で出馬して当選し、議長選にも挑んだが敗れた。今回は議会第1党のリベラル派「国民勢力連合」などの支持を受け、イスラム系が後押ししたとされる対立候補を8票差でかわした。
米国務長官「私に責任」 リビアの米領事館襲撃
nikkei.com
2012/10/16 13:34
【ワシントン=共同】クリントン米国務長官は15日、CNNテレビとのインタビューで、リビア東部ベンガジの米領事館が襲撃され大使ら4人が死亡した事件について「私が責任を負う」と述べ、オバマ大統領は安全対策の細部には関与していないと強調した。
事件をめぐり在リビア米大使館の元担当者は、保安要員の維持強化を要求したのに国務省側が拒否したと証言。11月6日の大統領選を控え、野党共和党がオバマ政権の「判断ミス」を追及している。
またオバマ政権が当初、イスラム教預言者ムハンマドを侮辱する映像への抗議デモが拡大して襲撃に至ったと説明したことについて、長官は事件後に情報の混乱があったと説明した。
リビアの米領事館襲撃は「私の責任」 クリントン国務長官
cnn.co.jp
2012.10.16 Tue posted at 19:28 JST
リマ(CNN) クリントン米国務長官は15日、訪問先のペルーで、先月リビア東部ベンガジで起きた米領事館襲撃事件について「責任は私にある」と述べた。
ベンガジの領事館は9月11日に武装グループに襲われ、スティーブンズ大使ら4人が死亡した。クリントン長官は、「国務省が世界275カ所に配置している6万人余りの要員の責任者は私だ」と強調。責任者として徹底調査と再発防止に全力を尽くす姿勢を改めて示した。
同事件を巡っては、国務省職員が事前に領事館の警備増強を要請したが却下されていたと証言したのに対し、バイデン副大統領が11日の討論会で「要請は知らなかった」と述べて非難を浴びた。クリントン長官は大統領選をにらみ、ホワイトハウスに責任はないとの主張を展開したとみられる。
長官の発言に対し、共和党陣営からは「ホワイトハウスの責任逃れに協力しているのだろうが、世界各地で米国に仕える人員に対して最終責任を負うのは最高司令官である大統領だ」(マケイン上院議員)などと批判する声が上がっている。
リビア:報復の連鎖続く…カダフィ氏死去1年
毎日新聞 2012年10月19日 20時04分(最終更新 10月19日 20時50分)
【カイロ前田英司】リビアで42年にわたり最高指導者として君臨したカダフィ大佐が昨年の民主化闘争で死亡して、20日で1年になる。内戦状態の末に達成された独裁打倒の遺恨は深く、いわゆる革命勢力と親カダフィ派の間の報復の連鎖は続く。7月に事実上初の自由選挙で制憲議会を選出したが、民主化の歩みは鈍く、国家再生は難航している。
地元紙によると、17日以降親カダフィ派が集結する北西部バニワリードに革命勢力の民兵が戦闘を仕掛け10人が死亡した。
バニワリードでは9月、カダフィ大佐を最後に捕らえた革命勢力メンバーが親カダフィ派の拷問の末、死亡したとみられる事件があった。民兵は現在、治安当局の統制下だが、今回の攻撃命令は出ていないとの情報もあり、民兵が暴走したとの見方も出ている。
カダフィ大佐は昨年10月20日、出身地の北中部シルトの排水溝に隠れているところを拘束された。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチの調査報告によると、カダフィ大佐は拘束時生きていたが、激しく殴られ臀部(でんぶ)を刺されて瀕死(ひんし)だった。一方、大佐と共にいた66人が処刑されたという。
リビア当局はカダフィ大佐が戦闘中に死亡したと主張しているが、ヒューマン・ライツ・ウォッチは戦争犯罪(捕虜殺害)の疑いを指摘した。
リビアでは現在、14日に選出されたジダン首相が2週間以内の組閣作業中だが勢力争いを調整するのは容易ではない。
カダフィ支持者の拠点を攻撃 リビア暫定政府
nikkei.com
2012/10/21 19:30
【トリポリ=共同】リビア暫定政府側の部隊は20日、旧カダフィ政権の支持者の拠点となっている西部バニワリードを攻撃、戦闘となり、フランス公共ラジオによると、計26人が死亡、約200人が負傷した。今年に入り、新政権と旧政権支持派による衝突としては最大規模とみられる。
リビア制憲議会のマガリエフ議長は「(旧政権支持派からの)国土解放作戦は完了しておらず、バニワリードは無法者と反革命勢力の聖域になっている」と指摘。治安体制をはじめとする国家再建の遅れが旧政権支持派の活動を許していると警告した。
バニワリードの旧政権支持派は今年7月、カダフィ大佐を昨年拘束した当時の反カダフィ派民兵を拉致し、民兵は逃走を図った際に撃たれて9月に死亡。これをきっかけに、元民兵らでつくる暫定政府側の部隊「リビアの盾」がバニワリードで拉致犯追跡の作戦を実施してきた。
しかし、旧政権に同情的なバニワリードの地元当局は協力を拒否している。
イスラム過激派、北アフリカで活動活発に
nikkei.com
2012/10/23 1:33
【カイロ=押野真也】リビアやチュニジアなど、北アフリカ諸国でイスラム過激派組織の活動が活発になっている。中東の民主化運動「アラブの春」で、独裁体制が相次いで崩壊した後も、政情が安定していないことが背景。過激派の活動がさらに活発になれば、欧米企業からの投資や観光産業などに悪影響が及び、経済再生が遠のく懸念も出ている。
リビアではここ数日、西部のバニワリードで暫定政府軍と旧政権支持派が激しい戦闘を繰り広げ、21日までに30人近くが死亡、200人以上の負傷者が発生した。バニワリードは旧体制支持者が多く、暫定政府の統治が及びにくい。このため過激派の活動も活発化。今回の戦闘でも過激派メンバーが参加していたとの情報もある。
リビアでは2011年の内戦時に大量の武器が流入。回収が進まず過激派の武装化を招いている。9月に起きた米大使殺害事件では国際テロ組織、アルカイダ系の「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ(AQIM)」の関与が指摘された。
大幅に落ち込んだ石油生産が内戦前の水準に回復するなど、リビアでは経済再生の兆しが見える。ただ、過激派組織は欧米企業などをテロ対象とする恐れもあり、実行されれば欧米からの投資が落ち込み、経済再生の足かせになりかねない。
11年1月に独裁政権が崩壊したチュニジアのマルズーキ暫定大統領は今月上旬、「テロリストの活動の中心がアフガニスタンやパキスタンから(チュニジアなど)マグレブ地域に移っている」と懸念を表明した。
同大統領はアルジェリアに本拠を置くAQIMの影響力の拡大を警戒。チュニジア国内には「サラフィスト」と呼ばれる厳格なイスラム教徒が約3千人いるとされ、AQIMと連携して反欧米活動を広げる可能性があると指摘した。
米メディアによれば、リビアの米大使殺害事件で、AQIMがリビアの過激派組織と連絡を取っていたという。過激派同士が国境を越えて連携していることが改めて浮き彫りとなった形だ。
自動車関連を中心に海外からの直接投資が増えているモロッコやエジプトのシナイ半島でも過激派組織の活動が確認されている。チュニジアのマルズーキ暫定大統領は「すべての国が一体となって対処すべきだ」と地域内でのテロ対策強化を訴える。しかし、リビアやチュニジアでは本格的な政府の発足が遅れており、対応が後手に回っているのが実情だ。
アルカイダ系の2組織が同時関与か リビアの米領事館襲撃
cnn.co.jp
2012.10.25 Thu posted at 18:23 JST
(CNN) リビア東部ベンガジの米国領事館が今年9月11日に襲撃され、クリストファー・スティーブンス米大使ら米国人4人が殺害された事件で、米情報機関がアルカイダ系のテロ組織「イラク・イスラム国」が襲撃の中核的な役割を果たしたと分析していることが25日までにわかった。
米政府高官がCNNに明らかにした。米情報機関当局は先に、襲撃には同じアルカイダ系の「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ組織」が関与した形跡があると指摘しており、アルカイダ系の2組織が大使らの殺害に加担していた可能性が浮上した。
イラク・イスラム国の戦闘員はシリア内戦への介入を強めているとの見方も出ている。同組織は駐留米軍が昨年末までにイラクから撤退した後、活動を再び活発化させていた。リビアで戦闘員を勧誘しているともされ、スティーブンス大使は2008年の公電でリビアのデルナ町をこれら勧誘の中心地ともしていた。
米領事館襲撃に関連する最新諜報(ちょうほう)によると、攻撃は2段階で実施された。最初の攻撃の中心となったのは35〜40人とされ、大使らの殺害現場となった領事館の主要施設を標的にしていた。このうち10人以上が「イラク・イスラム国」もしくは「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ組織」とつながっているとみられる。
2回目の攻撃では数時間後に領事館から約1.6キロ離れた付属施設が襲われていた。
米政府高官によると、リビアの過激派「アンサール・シャリア」や聖戦を唱えるエジプトの過激派の戦闘員も襲撃の中核となったと疑われている。ただ、アンサール・シャリアは事件への関与を否定していた。
米上院の情報委員会に属する共和党のサクスビー・シャンブリス議員によると、領事館襲撃に関連し容疑者1人がチュニジアで拘束された。最初にトルコで拘束され、チュニジアに移送された容疑者はチュニジア人で、北アフリカに拠点がある過激派に所属しているといわれる。同議員によると、米国はこの容疑者を聴取する機会などは拒否されている。
ベンガジの領事館襲撃や大使らの殺害は同市の治安状況の分析やオバマ政権の事件への対応の是非と絡めて来月の米大統領選での争点にも浮上した。野党の共和党は事件発生でオバマ政権の外交の弱点が暴露されたと攻撃している。
米政府、リビア領事館襲撃直後にイスラム過激派による犯行声明を認知か
cnn.co.jp
2012.10.25 Thu posted at 18:51 JST
ワシントン(CNN) リビアのベンガジで9月11日に米領事館が襲撃され大使ら4人が死亡した事件で、事件直後にイスラム過激派組織が犯行声明を出したとの情報が、米国務省職員からホワイトハウスなどに電子メールで送られていたことが、CNNが入手した資料から分かった。同事件に対する政府の見解は事件後に修正を繰り返し、対応が批判にさらされている。
CNNが入手したのは、国務省職員のアカウントから送られた電子メールのコピー。これによると、領事館襲撃を知らせる第1報が届いた約2時間後に、「(イスラム過激派組織の)アンサール・シャリアがベンガジ襲撃の犯行声明を発表」と題したメールが送信された。メール本文には「トリポリの米大使館は、このグループがフェイスブックとツイッター上で犯行声明を出し、またトリポリの大使館への攻撃を呼びかけていると報告している」との記載があった。
アンサール・シャリアは翌日記者会見を開き、犯行を否定した。
ホワイトハウスの関係者2人は匿名を条件に、この電子メールについて、諜報活動による情報ではないと指摘。「これは、事件当日に受け取った数多くの様々な報告の一部だ。どの事件も最初の数時間は、大量の矛盾した報告があがってくる」として、事件当時アンサール・シャリアの関与について矛盾する情報があったと説明した。
クリントン国務長官は24日、独立した委員会による調査が進んでいると言明。「ある特定の文書を取り上げるのでなく、全体を見渡して調査を進めている。このような方法が、今回のような複雑な事件では適切だ」として、調査が完了するまで待つように報道陣に語った。
事件後、米政府の事件に対する見解は迷走した。事件翌日、オバマ大統領は襲撃を「テロ事件」と表現したが、クリントン国務長官や国務省のヌーランド報道官、ライス国連大使は、イスラム教の預言者ムハンマドを冒とくしたとされる米映画への反感がきっかけとなったとの見方を示していた。
国家テロ対策センター(NCTC)のオルセン所長が米上院で、事件はテロ攻撃だとの見解を提示したのは19日。カーニー大統領報道官はその翌日、「ベンガジの事件がテロ攻撃だったのは明らかだ」と認めた。
CNNの入手したメールのコピーによると、事件を知らせる最初のメールが送信されたのは、襲撃が行われている最中の米東部時間午後4時5分(リビア時間午後10時5分)だった。電子メールには「約20人の武装した人々が銃撃を行っている。爆発音も聞こえる」との様子が記載され、敷地内にいるスティーブンズ大使らは安全だと記してあった。
その後午後4時54分に送信されたメールでは、ベンガジ領事館における銃撃は終わり、敷地内への侵入者は排除されたと言及。領事館職員の捜索が行われているとも書かれていた。
米領事館襲撃:偽造旅券使用のチュニジア人が関与の疑い
毎日新聞 2012年10月25日 11時08分
【ワシントン白戸圭一】米大使ら4人が殺害されたリビア東部ベンガジの米領事館襲撃事件で、偽造旅券を使用した疑いでトルコ当局に逮捕されたチュニジア人の男(28)が襲撃に関与した疑いがあるとして、米捜査当局の捜査対象になっていることが24日明らかになった。複数の米メディアがチュニジア、米国両政府関係者の話として伝えた。
AP通信などによると、男は今月3日、偽造旅券を使ってトルコに入国しようとしたとして、同国の主要都市イスタンブールの空港で逮捕され、11日にチュニジアに送還された。チュニジア内務省の報道官は同通信に対し、男がテロに関与した疑いで取り調べを受けていることを認めたが、詳細は明らかにしていない。
2012年10月31日03時00分
「軍の情報提供を強要された」 リビアで拉致された記者
【ミスラタ=北川学】リビアの旧カダフィ政権の残党とみられる男たちに拉致され、2カ月後に解放されたジャーナリストの地元の男性が朝日新聞の取材に応じた。残党の潜伏先とされる西部バニワリードで拷問を受け、暫定政府軍と民兵部隊の陣地や武器庫の場所を明かすよう強要されたという。
西部ミスラタの写真記者アブドルアジズ・ハルースさん(21)。バニワリードへ行く途中の今年7月、砂漠地帯の一本道で車の前後から銃撃された。「緑のバンダナを巻いた男たちに捕まり、背中を銃床で殴られた」。目隠しと手錠をされ、アパートの部屋らしき場所に連行された。
ハルースさんは民兵部隊に従軍取材していた。情報を持っているとにらまれ、狙われたらしい。
背中をむちで打たれ、全身に電気ショック棒を当てられた。天井から宙づりにされたこともあった。「拷問は毎日1〜2時間は必ずあった」と振り返る。目隠しの隙間から室内を見ると軍服姿の男がいたという。
8月になったころ、外で気配がした。壁の割れ目から様子をうかがった。警護員が白い四輪駆動車に敬礼している。男が車を降り、部屋に入ってきた。「殺される」と観念したが、男は体調を気遣う言葉をかけた。目隠しで相手の顔は見えなかったが、「カダフィ政権軍の元高官に間違いない」と確信。その後病院に移され、9月に解放された。
カダフィ派が抵抗を続けたバニワリードは昨年10月に陥落したが、直後から残党が再集結したとされる。カダフィ氏を捕まえて「革命の英雄」と称賛された元民兵(当時22)が今年7月に町の近郊で拉致され、解放直後に死亡したことを受けて、暫定政府側の民兵部隊は10月から報復攻撃を始めた。リビア政府によると、民兵部隊は24日、バニワリードをほぼ制圧した。
2012年11月1日22時04分
リビア移行政府が発足 閣僚の人選めぐり武装市民デモも
【カイロ=石合力】リビアからの報道によると、同国国民議会は10月31日、ジダン新首相が提出した閣僚名簿を賛成多数で承認した。新政権は、「カダフィ後」をになった暫定政府に代わる移行政府として発足し、憲法の制定作業などを進める。
議会周辺では、旧カダフィ政権関係者が閣僚に含まれているとして人選に抗議する武装市民らのデモが起き、混乱が続いている。議会の広報担当官は、27閣僚のうち5閣僚について、旧政権との関わりなどを再調査すると約束した。
外交官出身で人権弁護士のジダン氏は、閣僚の人選をめぐり、議会最大会派で、ジブリル前暫定首相が率いるリベラル派「国民勢力連合」とムスリム同胞団系の公正建設党と協議。カダフィ政権からの「革命」の拠点の一つとなった東部ベンガジなどの地域・部族バランスも考慮した。女性は2人が入閣した。
カダフィ政権崩壊後のリビアでは7月に自由選挙で国民議会選挙を実施。50日以内に移行政府を発足させることになっていたが、最初に首相に指名されたアブシャグール氏が組閣に失敗。議会は10月14日、ジダン氏を新たな首相に指名していた。
リビア移行政府が発足 主要閣僚で留保の可能性
nikkei.com
2012/11/1 10:09
【カイロ=共同】リビアからの報道によると、同国制憲議会は31日、ゼイダン首相が進めていた移行政府の閣僚人事を賛成多数で承認、新憲法制定を経て正式政府が樹立されるまでを担う移行政府が発足した。ただ今後、外相や石油相など主要閣僚を含む一部については就任が拒否される可能性がある。
昨年8月のカダフィ政権崩壊から約1年2カ月が経過したが、内戦時に大量に出回った武器の回収は進まず治安は不安定なまま。ゼイダン内閣は国家再建の重責を担うが、東部や西部など地域勢力の対立も深刻で、難航が懸念される。
制憲議会は組閣承認とは別に、個別閣僚の就任を拒否することも可能。外相に充てられたアウジャリ駐米大使、石油相のアルーシ氏のほか宗教相、内相らについて旧政権との関係などに議会が疑義を示しているという。
首相は特定地域の出身者に偏らないよう配慮したと説明。親欧米のリベラル派や、政権崩壊後に勢力を強めているイスラム系勢力の双方から閣僚を登用するなど、バランス重視の組閣となった。
ゼイダン首相は10月14日、期限内に組閣ができなかったとして制憲議会が解任したアブジャグル氏の後任として組閣を進めていた。
リビアで治安機関への襲撃相次ぐ
nikkei.com
2012/11/5 0:15
【カイロ=押野真也】リビアで4日、警察署など治安機関への襲撃が相次いだ。首都トリポリでは民兵組織同士が銃撃戦を繰り広げ、情報機関本部に放火。民兵組織の兵士など5人が負傷した。リビア第2の都市、ベンガジでも警察署付近で自動車爆弾が爆発し、警察官3人が負傷した。リビアでは2011年の内戦で流入した大量の武器の回収が進まず、治安改善の足かせになっている。
地中海でまた船が沈没、10人死亡 欧州目指すアフリカ難民か
cnn.co.jp
2012.11.05 Mon posted at 09:26 JST
(CNN) 北アフリカのリビアとイタリア南部ランペドゥーサ島を隔てる地中海の海域で4日、難民を乗せた船が沈没し、少なくとも10人が死亡した。イタリアのANSA通信が伝えた。
ANSA通信によれば、沈没船に乗っていたのは北アフリカからの難民とみられ、男性62人と女性8人は救助された。女性の中には妊婦も1人いたという。イタリアの海軍と沿岸警備隊が周辺海域の捜索を続けているが、行方不明者の数は分かっていない。
この海域では2カ月ほど前にもチュニジアからの難民100人あまりを乗せた船が難破し、イタリアと北大西洋条約機構(NATO)が救助活動を行っていた。
イタリアのランペドゥーサ島はアフリカ大陸に近いことから、欧州連合(EU)諸国への入国を目指す難民が大量に押し寄せている。
しかし難民を乗せた船が沈没などの事故に見舞われるケースも多く、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルによれば、地中海を横断しようとして死亡した人は昨年だけで少なくとも1500人に上る。同団体は「不法移民を阻止したいと願う欧州の一部の国のために、安全かつ迅速な海上救助活動がないがしろにされてきた」と指摘している。
「国務省の体制に欠陥」 リビア米領事館襲撃事件で報告書
2012.12.19 Wed posted at 17:35 JST
ワシントン(CNN) 今年9月11日にリビア東部ベンガジの米領事館が襲撃を受け、駐リビア米大使ら4人が死亡した事件を調べていた独立調査委員会が18日、国務省のシステムや指導、管理体制に欠陥があったとする報告書を発表した。
委員会のメンバーはピカリング元国務次官、マレン前統合参謀本部議長ら。今週調査を完了して報告書をまとめ、17日に1部をクリントン国務長官に送付していた。ピカリング、マレン両氏は19日、上下両院の外交委員会で内容を直接説明する。
報告書は悲劇を招いた原因として予算不足による警備態勢の不備を挙げ、現地から再三にわたって人員増強の要請があったにもかかわらず本国側が応じなかったと批判した。また、現地と本国をつなぐはずだった首都トリポリの大使館も十分な役割を果たしていなかったと指摘した。
さらに、本国から経験の浅い職員が送り込まれては短期間で入れ替わる体制や、現地採用要員の能力不足も問題だったとしている。事件当日、リビア人警備員は欠勤し、地元民兵も持ち場から逃げ出していたという。
ただし、米政府職員に不正行為や職務怠慢はなかったとの判断から、個人に対する処分は求めていない。
報告書は再発防止に向け、警備や防火態勢の改善、危険地域での情報収集活動の強化など24項目を提案。クリントン氏はこれらをすべて受け入れると表明している。
リビアの公館襲撃、米国務省に「組織的失態」 調査委
nikkei.com
2012/12/19 13:28
リビア東部ベンガジの米領事館襲撃事件に関する独立調査委員会は18日までに、襲撃をテロリストの犯行と断定、公館の安全対策が不十分だったとして、国務省に組織的な失態があったと指摘する調査結果をまとめた。AP通信が伝えた。
9月に起きた事件では駐リビア米大使ら4人が死亡。オバマ政権高官は当初、テロではなく反米デモが暴徒化したとの見方を示していたことから、共和党がオバマ政権を批判し政治問題化していた。
調査委は米公館の安全対策について29の改善すべき点を挙げ、クリントン国務長官は全てを受け入れる考えを表明した。(ワシントン=共同)
警備体制不十分…リビアの米領事館襲撃で独立委
【ワシントン=山口香子】米国務省は18日、9月にリビア東部ベンガジの米領事館が襲撃され、スティーブンス米大使ら4人が死亡した事件に関する独立調査委員会の報告書の一部を公表した。
報告書は、リビアで4月以降、外国政府や国際機関を標的とする攻撃が増加していたにもかかわらず、領事館の警備体制が不十分だったとして、国務省の対応を批判している。
報告書は、「国務省の担当部局間の連携不足という組織上の問題により、ベンガジには不十分な警備体制しかなく、攻撃に耐えられる状態ではなかった」と指摘した。事件当日の体制は、米側の治安要員5人とリビア側警備員4人だけだったという。ただ報告書は、警備体制などを決定した国務省担当者に、職責不履行などの具体的な落ち度はなかったとしている。
(2012年12月19日17時34分 読売新聞)