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【社説】アフリカ開発 現地産業育てる支援を
東京新聞
2013年6月1日
四十カ国を超すアフリカの首脳が来日した。貧富の格差は深刻だが、豊富な資源と若年人口の多さで「成長大陸」といわれる。日本は各国の産業を育て、住民の暮らしを改善する支援を考えたい。
政府が国連機関などと共催する第五回アフリカ開発会議(TICAD)が一日から三日間、横浜で開かれる。
アフリカでは原油や鉱物資源の輸出が好調で、最も貧しいサハラ砂漠以南でも過去十年間の年平均成長率が5・8%になる。全体では二十四歳以下の人口が60%を占め、労働力、さらに将来の市場としても有望だ。
会議参加国は日本に「ビジネス、投資をしてほしい」と訴える。貧困から抜け出すための政府援助から一歩進んで、日本企業が進出し経済成長に協力してほしいという願いだ。
日本が取り組むプロジェクトには、ケニアでの地熱発電と送電網、モザンビークでの「穀物生産基地」計画、同国の港湾から内陸のザンビアを結ぶ道路建設などがある。周辺国も含めた広域的な経済圏をつくる手助けになる。日本への信頼は厚く、エチオピアでは作業改善運動の「カイゼン」がそのまま日本語で定着している。
アフリカで圧倒的な存在感を示すのは中国だ。道路や橋、政府機関などの建設を請け負い、貿易額も日本の六倍近い。だが中国は建設工事に多くの中国人労働者を派遣し、相手国には家電製品や日用雑貨品を輸出する。各国からは産業が育たず雇用も増えないと不満が出始めた。
日本は現地の産業と人材を育てる支援に積極的に取り組みたい。農業を指導して食糧増産を実現する、省エネや環境保全技術を生かして、アフリカの大地を守りながら経済発展を支えていく−。
アフリカ全体では今も一日二ドル以下で暮らす貧困層が半数を占める。電気が通らず清潔な飲料水にも苦労する村が多い。国連機関や非政府組織(NGO)とともに、教育や保健、衛生分野の改善にも尽力したい。
地域紛争は減っているが、アルジェリアでは一月に日系企業のプラントで人質、殺害事件が起きた。日本企業進出を促すには、相手国と連携したテロ対策が急務だ。
安倍晋三首相は期間中、約四十カ国の首脳と十五分刻みで「マラソン会談」をする。各国の実情を踏まえて、インフラ輸出を働き掛けるとともにきめ細かな支援策を実行していく必要がある。
asahi.com 2013年6月1日21時19分
「学生だから言える理想を」慶大生、アフリカ会議で提言
【石原孝】開催中の第5回アフリカ開発会議(TICAD5)で若者の声を届けようと、日本とアフリカ各国の学生計約150人が政策提言をまとめた。中心的役割を担い、会議にも参加するのが慶応大学4年の前田実咲さん(21)だ。
前田さんは大学2年の約4カ月間、NGOのインターンとして、ケニアにある数十万人が暮らす難民キャンプなどで過ごした。そこで見たのは、着の身着のまま隣国から逃れて来た人がいる一方で、仕事も地位もある難民の別の姿だった。
「一言で難民と言っても生活状況が全く違った。多くの難民が援助の意思決定の場にいないことにも疑問がわいた」。帰国後、国際協力機構(JICA)が開発会議に向けて提言をまとめる学生を募っていることを知り、東日本の実行委員長に就いた。
今年3月に11日間にわたって開いた学生サミットには、18歳から35歳の日本人学生とウガンダやナイジェリアなどアフリカ15カ国の留学生らが参加。雇用や教育、交流など六つの課題について寝食を共にして議論し、失業率の高いアフリカの若者の人材育成や学生同士による交流の促進、平和教育の重要性などを英語で提言にした。
「アフリカの発展のためには、未来を担う若者の参画が不可欠。会社に属さない学生だからこそ言える理想をぶつけたかった」と前田さんは笑みをみせた。
asahi.com 2013年06月01日20時41分
「女性抜きに持続可能な発展ない」国連女性機関のプリ氏
【石原孝】第5回アフリカ開発会議(TICAD5)のために来日した国連女性機関(UN Women)のラクシュミ・プリ代表代行が5月31日、横浜市内で朝日新聞の取材に応じた。世界中の家庭や職場などでいまだに女性への差別が続いていると訴え、「人口の半分を占める女性抜きに、持続可能な発展は不可能だ」と述べた。
国連女性機関は、男女平等と女性の地位の向上を推進する目的で、四つの機関を統合して2010年に設立。現在は75カ国で活動している。
プリ代表代行は「最貧困層の6割以上が女性で、女性の土地所有率も数%でしかない」と説明。貧困の解消が女性の経済的地位向上につながるとして、企業の役員や政治家として女性を一定の比率で登用する制度が必要との考えを示した。
結婚や出産を機に仕事を辞める女性が少なくない日本の状況にも触れ、「日本の女性の労働力率はM字になっている」と指摘。「保育所などの子育て支援や女性の起業を支援することが大事だ」と話した。
今回の来日に合わせ、日本との協力関係を強めるために安倍晋三首相ら国会議員とも会談。「重要なパートナー国の一つである日本の支援に感謝しつつ、男女平等を進める世界の原動力になってほしいと要望した」という。
アフリカ「官民で支援」 首相、ODA1.4兆円表明
nikkei.com
2013/6/1 11:22
日本とアフリカ諸国の首脳が経済発展のあり方を話し合う第5回アフリカ開発会議(TICAD)が1日午前、横浜市で開幕した。安倍晋三首相は冒頭の演説で「いまアフリカに必要なものは民間の投資と、それを生かす官民の連携だ」と強調。今後5年間で政府開発援助(ODA)を1兆4000億円、民間資金も合わせると最大で3兆2000億円を投じてアフリカ支援に取り組む考えを表明した。
TICADは3日間の日程で、アフリカ54カ国のうち51カ国が参加した。大統領や首相など首脳級の出席は39カ国にのぼる。国連の潘基文事務総長や世界銀行のキム総裁も参加しており、安倍首相はすべての首脳と個別に会う予定だ。
安倍首相が打ち出した支援策は、貧困対策に軸足を置く「援助」にとどまらず、インフラ整備や産業人材の育成など投資促進策を柱とする。首相は演説で「日本とアフリカはいまや『よきパートナー』を超え『コ・マネジャー(共同経営者)』だ」と訴えた。
日本が5年間で拠出する3兆2000億円のうち、ODAは1兆4000億円。日本企業のアフリカ事業に出資したり、融資を保証したりする基金の拡充などのために官民が一緒に出すお金は約160億ドル(1兆6000億円)に達する。ほかに日本貿易保険(NEXI)が約20億ドルの貿易保険を引き受ける。
インフラ関連では、内陸部と沿岸をつなぐ幹線道路や鉄道の建設と送電網の整備を優先する。20カ国で国境の通関システムを刷新し、物流の妨げとなっていた通関を円滑にする。独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構は日本企業の資源開発に約20億ドルを出す。
安倍首相は日本企業のアフリカ事業を支える産業人材を5年間で3万人育成する考えも表明した。日本企業が進出する25カ国を対象に「TICAD産業人材育成センター」を計10カ所に設立。進出企業の事業分野などに応じた職業教育を実施する。「安倍イニシアチブ」と名付け、アフリカから1000人の若者を留学生として迎え、日本企業でインターンとして働く機会を提供、将来の進出企業の幹部に育てる。
安倍首相はアフリカの農業に関して「『食べるため』から『稼ぐため』の農業に変えていきたい」と述べた。サハラ以南のアフリカ諸国のコメ生産を2007年に比べて2倍の2800万トンに増やす目標を掲げ、技術指導者1000人を育てる方針だ。
低炭素エネルギーの開発には2000億円をあてる。環境技術の提供で温暖化ガスの排出を相殺する「2国間クレジット制度」も促進する。保健分野では500億円を投じ、医療環境の向上や栄養改善などをめざす。
安倍首相は「アフリカの発展にとって、すべての基礎をなすのが平和と安定だ」とも指摘。安全保障や治安対策の面で連携を強化する考えを強調した。「5年後のTICADをアフリカで開くべしとする声が上がっていると聞くが、私は5年後まで到底待てない」とも述べ、早期のアフリカ訪問に意欲を示した。
日系企業、水資源や電力売り込み アフリカ開発会議
nikkei.com
2013/6/1 17:27
横浜市内で開催中の第5回アフリカ開発会議(TICAD)の展示場では、約70社の日系企業が出展している。主に水資源や電力、医療・衛生に関係する企業の参加が目立つ。急拡大するアフリカ市場での販路を広げようと、自社商品のアピールを強めている。
水資源では日立製作所のグループ企業やヤマハ発動機など、大手が独自の浄水システムを紹介。ろ過砂大手の日本原料(川崎市)はろ過用の砂を自動的に洗浄する機器を展示し、来場者の注目を集めていた。
電力関連では、ジーエス・ユアサコーポレーション(GSユアサ)が太陽光パネルとバッテリー、発光ダイオード(LED)のライトを組み合わせた電源システムを紹介。アフリカでは中国や韓国企業の安価な電源装置が出回っているため「村長など地域の有力者に複数セットを販売し、村長が地元の人々にバッテリーを有料でレンタルする手法を導入する」(担当者)。
住友化学は防虫剤を織り込んだ蚊帳を展示。マラリアなど感染症を予防する狙いで、既にアフリカで年間数千万枚を販売しているが、中国やインド企業など競合が増加しており「さらに効き目の強い防虫剤を組み込んだ蚊帳を開発した。アフリカは人口が急増しており、衛生面からも蚊帳の需要は伸びる」(担当者)とみている。
各企業の展示は2日まで。入場は無料で、一般でも自由に参加できる。
アフリカの医療保険「円借款で支援」 財務副大臣
開発会議
nikkei.com
2013/6/1 20:34
小渕優子財務副大臣は1日、アフリカ開発会議(TICAD)の関連セミナーで「アフリカを含む保険分野で、円借款による支援を積極的に進めていきたい」と語った。パキスタンでポリオ撲滅に向けて同制度が役立っていることを引き合いに、貸し付け金利の引き下げなどで利用しやすい融資に改善したと説明した。
政府はこのほかにも世界銀行を通じ、アフリカの乳幼児の栄養失調を防ぐため、5年間で1億ドル(約100億円)を母子保健分野で支援する予定。小渕副大臣は「我が国も財政事情が厳しい中で拠出するため、確実に成果を出していただくことを強く期待する」と述べた。
このセミナーはアフリカの医療保険問題が主題で、国際協力機構(JICA)が主催。アフリカ開発銀行(AfDB)のフェン・ツァオ・マネジャーは「アフリカは年率5〜8%と急速な経済成長を続ける一方、ギニアやナイジェリアなど、人口に対する医療保険の普及が10%に満たない国が多い」と問題提起した。セネガルのセック厚生・社会行動相は「セネガルでは家計の34%が医療費という高い比率だ。2022年の国民皆保険の導入を目指す」と意気込みを示した。
日本側から討論に参加した政治家からは、1961年に日本が導入した国民皆保険の成果を強調する声が多かった。武見敬三参院議員は「皆保険の導入はタイミングが重要。経済が急激に成長してからでは貧富の差が拡大し、富裕層に痛みを伴う公的保険制度の導入は困難になる。年金制度と合わせ、アフリカは早期に準備する段階」と語った。
アフリカ10カ国でインフラ開発戦略 首相表明
日本勢の受注後押し アフリカ開発会議
nikkei.com
2013/6/1 19:27
安倍晋三首相は1日、横浜市で開幕した第5回アフリカ開発会議(TICAD)で、ケニアやモザンビークなど10カ国のインフラ整備を進める「戦略的マスタープラン」をつくると表明した。日本企業の投資拡大とアフリカの経済成長を後押しする。
首相は「アフリカは豊富な資源があり、巨大な市場がある。道路が四通八達し、電力が隅々まで行き渡った時、どれほど魅力的な投資先となるか」と強調した。そのうえで「アフリカをより魅力的な投資先とする取り組みをアフリカと手を取り合って進めていく」と述べ、マスタープランづくりを提案した。
「戦略的マスタープラン」は国際協力機構(JICA)が各国政府などから請け負い、策定する。主要都市の都市計画や交通、電力網などインフラ整備の基本計画を描く。人口が急増しているアフリカの主要都市では渋滞対策やごみ処理、水道整備などが喫緊の課題となっているため、日本が培ってきた技術やノウハウを活用する。
相手国が日本のプランを採用すれば、日本企業は内容をいち早く把握し、受注活動につなげられる。日本はフィリピンやインドネシアなどでインフラ整備の計画づくりを請け負った実績がある。
日本とアフリカ諸国の首脳が経済発展のあり方を話し合う同会議には、アフリカの51カ国が参加した。首脳級の出席は39カ国にのぼる。首相は1日の開会式の演説で、今後5年間に約1兆4000億円の政府開発援助(ODA)を含む最大約3兆2000億円の資金を官民共同で拠出する支援策を表明した。
首相「アフリカ支援へ人材育成に力」
nikkei.com
2013/6/1 11:44
安倍晋三首相は1日に横浜市で開幕した第5回アフリカ開発会議(TICAD)の開会式で、日本企業の投資拡大を支援するため、アフリカの産業人材の育成に力を入れる方針を打ち出した。日本企業の経営を理解する人材を増やし、中国や欧州と比べ遅れている事業展開を後押しする。
首相は演説で「アフリカ支援のやり方は一新しなければならない」と強調したうえで「力を発揮したい分野」として人材育成を挙げた。カギを握るのは日本企業の経営手法などを知り、アフリカとの橋渡し役になれる人材。現地に進出した日本企業の需要に応えることのできる「産業人材」を3万人育てる計画だ。
日本はこれまでも国際協力機構(JICA)がアフリカから研修員を受け入れるなど、人材交流に力を入れてきた。ただ最近は中国をはじめとして各国が人材育成によるアフリカとの関係強化に注目しており、日本も支援を拡充することが必要になっていた。
政府は今後、「日本企業の需要を細かくヒアリングして育成方針を決める」(外務省幹部)ことにより、現地での事業展開で即戦力となる人材を増やす考えだ。
アフリカでは中国や欧州の企業の進出が進んでいる。2011年の対アフリカ直接投資額ではフランスの58億ドル、中国の31.7億ドルに大きく水をあけられ、日本は4.6億ドルにとどまっている。
アフリカ開発会議開幕 首相、3.2兆円の支援表明
nikkei.com
2013/6/1 10:28
安倍晋三首相は1日午前、横浜市内で開かれた第5回アフリカ開発会議(TICAD)の開会式で演説し、アフリカへの民間投資を拡大するため、今後5年間で1兆4000億円の政府開発援助(ODA)を拠出する意向を表明した。交通や電力などインフラ整備には6500億円の円借款を供与し、官民共同で最大3兆2000億円の資金を投じる。資源が豊富で人口約10億人を抱えるアフリカ市場で、日本企業の対アフリカ投資を後押しする。
asahi.com 2013年06月02日07時48分
アフリカ10カ国と連携組織 ジェトロ、貿易拡大狙う
【中川透】日本貿易振興機構(ジェトロ)は、アフリカ約10カ国の貿易機関とともに、輸出入や投資を広げるための連携組織を今年度中に設ける。お互いのビジネス情報を交換し、ジェトロが持つ貿易拡大の事業ノウハウを伝える。アフリカとの輸出入を広げたい考えだ。
ジェトロはアジアの約20カ国とも連携組織「アジア貿易振興フォーラム」を設けており、新たにアフリカ版をつくる。ジェトロが拠点を置くケニアや南アフリカなど5カ国とその周辺国の計約10カ国で立ち上げる。ジェトロの拠点が事務局の機能を担う予定だ。
アフリカ版のフォーラムでは、貿易を盛んにするために、どんな支援制度や事業を進めるべきかを情報交換。各国の機関の代表者が年に数回集まり、経済交流の方策を話し合う。
日本企業のアフリカ進出を後押しするため、現地法人の設立準備などに使ってもらう貸事務所をアフリカの2カ所に設ける。日本企業のビジネスにつながるアフリカのインフラ建設計画をまとめた地図もつくる。
2012年度の日本とアフリカとの輸出入額は約3兆円で、貿易総額の2%しかない。石油や天然ガスなどの輸入が中心で、日本からの輸出は過去10年間ほど大きく伸びていない。
asahi.com 2013年06月02日05時48分
「日本成長の鍵、アフリカに」 UNDP・クラーク総裁
【高橋友佳理】途上国の開発に取り組む国連開発計画(UNDP)のヘレン・クラーク総裁が1日、朝日新聞の取材に応じ、日本にとってアフリカは「経済成長の鍵」と述べ、アフリカとの関係が日本経済を回復させ得ると強調した。
クラーク総裁は1980年代に飢餓で苦しんだエチオピアが農業生産で発展し経済成長を遂げていることを例に挙げ「アフリカでは中産階級が成長し需要が拡大している」と強調。「消費者が疲弊した日本経済が成長するには途上国との関係が答えの一つ」と述べ、日本企業のアフリカへの進出を促した。日本政府によるUNDPを通じた拠出金は過去4年間、世界最大規模に上っており、「柱としての地位を保ち続けて欲しい」と期待を寄せた。
「ミレニアム開発目標」(MDGs)の期限となる2015年の後について、「インドが極度の貧困にある人々を半減させることを期待する。極度の貧困はソマリアやアフガニスタンなど紛争のある国に限られるようになり、貧困の根絶には紛争解決が不可欠になる」と述べた。
UNDPは混乱が続くマリで7月に予定されている大統領選を人材育成などで支援しているが、「人々が命を落とさず投票できる環境作りには時間がかかる。(7月の実施は)野心的かもしれない」と述べ、治安確保に時間がかかり、実施がずれ込む可能性を示唆した。
アフリカ支援、選択と集中 官民で中国に対抗
カギはM&A、第三国との連携
nikkei.com
2013/6/2 2:41
1日開幕した第5回アフリカ開発会議(TICAD)で安倍晋三首相は今後5年間で官民あわせて最大3兆2000億円をアフリカ支援に投じると表明した。高成長を続け、世界経済の「最後のフロンティア」とされるアフリカ向け投資・貿易で中国や欧米に大きく遅れる日本。巻き返しには重点国を絞った支援、M&A(合併・買収)、第三国との連携がカギだ。(経済部次長 瀬能繁)
「いまアフリカに必要なものは民間投資」。安倍首相のアフリカ支援策は中国への対抗心が強くにじむ内容だった。
3兆2000億円の支援のうち、政府開発援助(ODA)は約1兆4千億円。残りは日本貿易保険(NEXI)などを使った官民資金だ。中国は昨年、3年間で200億ドル(約2兆円)の借款を供与するとの支援策を表明済み。援助だけなら中国にかなわないが、民間資金も加えて何とか「中国並み」にする−−。こんな演出がうかがえる。
中国の背中は遠い。12年のアフリカとの貿易総額は中国の約5分の1。11年末の直接投資残高は中国の約半分だ。今回の支援策は巻き返しの一歩だが、日本の財政余力は乏しくなっており、一段の工夫が不可欠な状況。
第1に、総花的になりがちな政府援助の照準をアフリカ54カ国から大幅に絞り込むことだ。政府は1日、戦略インフラ整備計画の対象を「ケニアとモザンビークなど10カ国」とした。政府援助の選択と集中を進め、民間企業の投資との相乗効果を高める第一歩だ。
経団連は南アフリカ共和国、ケニアとモザンビークに加え、アンゴラ、ケニア、ナイジェリアなど14カ国を「戦略的重点地域」と位置づけた。いずれも石油・天然ガス、鉱物資源が豊富で、日本企業が進出している国だ。坂根正弘コマツ相談役は「中国や韓国は国をあげて取り組んでいる」という。
第2に、日本企業がアフリカ企業やアフリカに強い外国企業を買収し「時間を買う」戦略だ。豊田通商、日本たばこ産業、関西ペイントが代表例。アジア経済研究所の平野克己上席主任調査研究員は「これからはM&A」と指摘する。
第三国との連携も重要だ。たとえば、モザンビークではブラジルと協力して農業開発を進めている。リスクを分散し、アフリカに食い込むインドと組む「3国協力」といった攻略の道はある。アフリカ連合(AU)のズマ委員長も1日、「(新興・途上国間の)南南協力や三角協力を促す」と訴えた。
競争厳しさ増す
世界各国の陣取り合戦は厳しさを増している。
「新参国と比べ、日本の投資はあるべき姿からほど遠い」。1日の会議でこう語ったエチオピアのハイレマリアム首相。わずか1週間前の5月25日のAU創設50周年記念式典では中国の汪洋副首相を「巨額の投資をしてくれた」と持ち上げた。在京のアフリカのある外交官は「どの国と組むか。選択肢は多い」と余裕すらみせる。
フランス、英国など多くの旧宗主国を抱える欧州連合(EU)。政治・経済両面での結びつきの深さをテコにアフリカ5地域との経済連携協定(EPA)交渉を進めている。オバマ米大統領も今月下旬から南アフリカなど3カ国を訪問。ブラジルはアフリカ12カ国向けの約9億ドルの債権を放棄する方針を表明した。
円安・株高をテコに日本経済は明るさが増しており、手元資金をため込んできた企業も攻めの投資が焦点になりつつある。向こう数年の「次の一手」が、日本のアフリカ市場攻略の命運を分けそうだ。
asahi.com 2013年6月2日23時44分
和食でアフリカ首脳をおもてなし 開発会議の公式晩餐会
第5回アフリカ開発会議(TICAD5)の公式晩餐(ばんさん)会が2日夜、横浜市内のホテルで開かれた。主催した安倍晋三首相は、成長戦略の一環として輸出を目指す「和食」でアフリカ各国の首脳らをもてなした。
老舗料亭「菊乃井」(京都)の総料理長らがメニューを吟味。穴子棒寿司(ずし)や車エビの艶(つや)煮、和牛の桜葉包み塩釜焼きなどが振る舞われた。首相はあいさつで「和食の『和』には、皆がまとまるという意味もある。和食を通じて皆が一丸となり、アフリカの成長に取り組んでいくことを願っています」とPRした。
asahi.com 2013年6月2日
若者からアフリカ知る 開発会議合わせ、広島でフェス
【佐々木敦斗】若者もアフリカにもっと理解を深めよう−−。第5回アフリカ開発会議(TICAD5)の横浜開催に合わせ、広島市で1日、「アフリカンフェスティバルひろしま」が始まった。中国地方の八つの大学・短大の学生25人による企画だ。
「若い世代の力で、広島からもアフリカについての議論を盛り上げていきたい」。1日、同市南区西荒神町の市留学生会館。下関市立大4年の亀鷹皓平(かめたかこうへい)さん(21)の宣言でフェスティバルが幕を開けた。
会場では14の国際交流団体が活動を紹介するブースを出展。国際協力機構(JICA)による「世界がもし100人の村だったら」と題するワークショップや、京都精華大学のウスビ・サコ教授の「暮らしから見るアフリカ諸国と日本」の講演などがあり、約200人が訪れた。
亀鷹さんは昨年11月、ガーナなどを訪れて青年海外協力隊の活動を見学した。現地の大学生とも交流し、人々の明るさが印象に残ったという。
「アフリカには差別や貧困などネガティブなイメージがある。本当の姿を伝えたい」。そう考え、今回の企画を主催する「TICAD5(ファイブ)学生プロジェクト中国地方事務局」を広島大4年の日下部花鈴(かりん)さん(22)らと設立。亀鷹さんが事務局長に就いた。
日下部さんは小学生の時、授業でアフリカの貧困を知り、「何かできませんか」とユニセフに手紙を書いた。自分たちで募金箱を作り、寄付した。
今年3月、広島を訪れたアフリカ出身の留学生約15人と交流。「原爆から復興した広島と母国とを重ね、『平和教育を手本にしたい』と言っていた。紛争地域には平和教育が必要なのかもしれません」と話す。
亀鷹さんや日下部さんは友人に声をかけ、中国地方の様々な大学・短大からメンバーを集めた。スカイプやフェイスブックなどを使って連絡を取り合って打ち合わせを重ねた。
ホームステイの受け入れなどをしている島根県の市民団体「国際ネットワークしまね」の雪吹(ゆぶき)重之さん(37)はブースを出展した。「アフリカに関する活動をしている団体が集うことはあまりない。貴重な機会です」と話した。
2日にはアフリカが抱える問題の解決策を学生が発表する「アクションプランコンテスト」などが予定されている。アフリカ料理の販売や、広島大に通うアフリカ人留学生と交流できるスペースもある。入場無料。問い合わせは日下部さん(080・5233・1173)。
首相「治安対策に5年で1000億円」 アフリカ開発会議
nikkei.com
2013/6/2 9:52
安倍晋三首相は2日午前、横浜市で開催中の第5回アフリカ開発会議(TICAD5)の平和構築に関する会合で演説し、アフリカの平和と安定に向けた支援策を打ち出した。治安悪化が深刻なサハラ砂漠南部のサヘル地域に対し、今後5年間に保健分野などの人道支援や失業対策で総額1000億円を援助。テロ対策や治安維持を担う人材を2000人育成する。
安倍首相は1月に発生したアルジェリア人質事件に触れ、「サヘルの人々と共に働く日本人の安全対策を強化し、その活動を後押しする」と強調。治安改善への支援を通じて、日本企業の進出を後押しする考えを示した。テロの要因になる貧困や格差への対処、アフリカ各地の国連平和維持活動(PKO)活動への支援に積極的に取り組む考えも表明した。
日本政府は30カ国以上に対して行政能力向上の支援を行う計画も発表。司法やメディア、地方自治、警察などの分野で計5000人の行政官を育成し、治安維持に不可欠な行政能力や法の支配の強化を後押しする。海賊被害が深刻なソマリア周辺海域の沿岸国に対しては、海上保安組織への職員研修や巡視船の供与を行う。
アフリカの防災対策、金融・円借款で貢献 首相表明
nikkei.com
2013/6/2 13:31
安倍晋三首相は2日昼、第5回アフリカ開発会議(TICAD)の災害や気候変動に関するテーマ別会合で、「日本は自然災害と闘ってきた長い歴史がある。アフリカの持続可能な成長のためにあらゆる貢献をしたい」と話し、アフリカ諸国の防災の仕組み作りを支援する考えを強調した。同会合に出席した国連の潘基文(バン・キムン)事務総長も「官民一体となりアフリカで自然エネルギーの普及などを進めていくことが、世界の利益にもなる」と語った。
安倍首相は「気候変動により自然災害の規模はより大きくなっている。アフリカの若者や女性の夢を奪いかねない」と懸念を示した。2011年の東日本大震災などに触れ、日本のこれまでの知見を生かしてアフリカの防災作りに貢献すると述べた。具体的には、防災分野での円借款の金利を大幅に引き下げるなど、借り入れ条件を改善。災害復旧に特化した円借款制度の創設などを通じた取り組みも進める。
潘事務総長は近年のアフリカでの大規模な干ばつや洪水が広範な食糧不足を引き起こし、開発の遅れや社会不安が、過激派の台頭や国際犯罪を招いていると指摘。「気候変動とアフリカの政治不安にははっきりとした相関がある」と述べた。その上で、先進国は途上国の気候変動のための資金を拠出するとともに、「官民一体となり、アフリカでの地熱や風力プロジェクトを進め、地域での雇用創出や農業の効率化などを通じて気候変動問題に適切に対処していくべきだ」と求めた。
首相が18人と個別会談 アフリカ開発会議、残り8件
nikkei.com
2013/6/2 20:11
安倍晋三首相は2日、横浜市でのアフリカ開発会議に合わせ、ルワンダやエジプトなどの首脳や国際機関の要人18人と個別に会談した。首相は会議に関連して47件の個別会談をこなす「マラソン会談」を展開中。2日は期間中最多の数をこなし、最終日の3日も8件の会談を予定している。
会談は首脳1人当たり15分間を充てている。この日はアフリカの首脳は15人でインフラ整備や資源開発を支援する意向をそれぞれに伝えた。このほか国連の潘基文(バン・キムン)事務総長とも会談し、日本人拉致問題について「現政権のうちに解決する」との決意を伝え、協力を要請した。
マラソン会談に臨む背景には、アフリカ外交で中国の後じんを拝していることへの危機感がにじむ。日本の首相によるサハラ以南への訪問は2001年に首相として初めて訪れた森喜朗元首相、次いで06年の小泉純一郎元首相以来、途絶えている。首相は1日の開会式で「できる限り早くアフリカの地を踏むつもりだ」と意気込みを見せた。
アフリカ治安改善にODA1000億円 首相が表明
nikkei.com
2013/6/2 20:58
安倍晋三首相は2日、横浜市で開催中の第5回アフリカ開発会議(TICAD)の平和構築に関する会合で演説し、アフリカの治安改善に向けた支援策を表明した。治安悪化が深刻なサハラ砂漠南部のサヘル地域での人道援助や失業対策として5年間で1000億円の政府開発援助(ODA)を拠出して支援する。
首相はアフリカ全体で5年間に1兆4千億円のODAを表明しており、この中からサヘル地域の治安対策に1000億円を振り向ける。
サハラ砂漠周辺はリビアで内戦が続き、マリではイスラム武装勢力制圧のためフランスが軍事介入するなど政情が不安定な地域が多い。1月にはアルジェリア人質事件が発生し、日本人10人が犠牲になった。首相は演説で「サヘルの人々と共に働く日本人の安全対策を強化し、その活動を後押しする」と強調。支援により進出する日本企業の安全確保につなげる考えを示した。
日本政府はアフリカの30カ国超で行政能力を高めるために支援する計画も打ち出した。司法や地方自治、警察などの分野で計5000人の行政官を育成。治安確保に欠かせない行政能力や法の支配の強化を後押しする。海賊被害が深刻なソマリア周辺海域の沿岸国では海上保安組織の職員を研修したり巡視船を供与したりする。
サヘル地域からソマリアにかけての地域やアフリカ中央部では貧困や経済格差、政府の統治能力不足が深刻なことがテロ活動の温床になっているとされる。首相は保健や教育、国連平和維持活動(PKO)への支援に積極的に取り組むと強調。アフリカ連合(AU)などの努力を後押しする考えも示した。
TICAD5:経団連会長も出席 企業の役割議論
毎日新聞 2013年06月02日 01時01分
第5回アフリカ開発会議(TICAD5)は初日の1日、横浜市で全体会合が開かれ、参加各国が開発における民間企業の役割などについて議論した。民間企業の役割が議題となるのは初めて。
出席した経団連の米倉弘昌会長は、自ら会長を務める住友化学がマラリア防止の蚊帳を現地生産している例を挙げ、「日本企業はアフリカで人材育成、雇用促進に取り組んでいる」とアピールした。
安倍晋三首相も「ただ資源を採掘して日本に持ち込むようなことはしない」と述べ、アフリカの持続的な成長に対する日本企業の貢献を強調。また、ケニアなど10カ国とインフラ整備計画「戦略的マスタープラン」を作成し、官民で長期的発展を支援する方針を明らかにした。
これに対して、アフリカ側からは「資源だけを持っていく略奪的な企業は歓迎しない」(モーリシャス代表)など、日本企業の投資に期待する声が出た。
米倉氏ら経団連加盟の約40社の幹部は、同日の昼食会にアフリカ約40カ国の首脳らを招き、直接日本企業の投資意欲をアピールした。【吉永康朗】
asahi.com 2013年6月3日5時37分
TICADのアフリカ開催、首脳らが要望
アフリカ開発会議(TICAD)の今後の開催をめぐって、アフリカ連合(AU)のズマ委員長は2日、朝日新聞の取材に対し、「アフリカ大陸で開催する時が来たのだと思う」と述べた。
1993年に始まったTICADは、これまで5回とも日本で開催されてきたが、アフリカがめざましい発展を遂げ、対等なパートナー関係が強調される中、今後、開催地について議論される可能性がある。エチオピアのハイレマリアム首相も1日の演説で、アフリカ開催を求めた。
外務省幹部は、アフリカ各国に会議の主導権を握りたいとの思惑があるとみている。同省幹部は「いずれ、この問題を議論せざるを得なくなる」との見通しを示した。
asahi.com 2013年6月3日
アフリカの大統領夫人ら、JA横浜の直売所を訪問
【山口博敬】アフリカ開発会議に参加しているアフリカ10カ国の大統領夫人らファーストレディーが2日、横浜市都筑区にあるJA横浜の直売所「メルカートきた」を訪問した。
市内の畑で朝採れたばかりの野菜が並んでおり、夫人らは「すべて無農薬なの」「どうやって運ぶの」と次々に質問。葉の部分を入れると1メートルを超える大きな大根に話題が集中し、両手で抱えながら「どうしたらこんなに大きくなるの」「どう料理するの」と興味深げに聞いていた。
会議室ではJAが「地産地消」について説明。JAによると、1カ所に多くの野菜を集めて販売する流通システムについて関心が高く、夫人の1人は「要請すれば指導してくれるのか」と質問していたという。
安保理改革で連携確認 日・アフリカ首脳
常任国拡大めざす
nikkei.com
2013/6/3 10:59
安倍晋三首相は3日午前、シエラレオネのコロマ大統領などアフリカの首脳らと国連安全保障理事会改革について議論し、常任・非常任理事国の拡大など国連改革の実現に向けた連携を確認した。アフリカは日本と同様、常任理事国入りを目指している。政府はアフリカとの協調関係を築くことで、国連での改革議論を盛り上げる狙いだ。
この会合はアフリカ開発会議(TICAD)に合わせ、国連改革を話し合うアフリカの「C10(10カ国委員会)」に日本が開催を呼び掛けた。同委員会との首脳会合は初。C10参加国のほか、アフリカ連合(AU)のズマ委員長が出席した。
首相は会合で「日本は常任、非常任(理事国)の双方の拡大を目指す多くの共通点を(アフリカと)有している。安保理改革へのモメンタムを強化していきたい」と強調した。改革実現に向け、日本とアフリカの国連代表部での連携を一層強化することで一致した。
アフリカ開発会議、主催国日本に足りなかったものは
nikkei.com
2013/6/3 11:35
国際協力機構(JICA)理事長の田中明彦氏が立ち去った。横浜市で開催中のアフリカ開発会議(TICAD)の6月2日の関連イベントで、若年層の雇用問題を議論した討論会。午後5時の終了予定時刻の数分前、南アフリカのズマ大統領ら3カ国の首脳を含む来賓をステージに置き去りにし、会場を後にした。
JICAは討論会の主催者の1つで、TICAD全体においても主催国側の「ホスト」だ。ホストは多忙だが、次の予定を数分調整するだけで礼節を保てる。調整役の力量不足なのか、人材不足なのか。
足りないのは人材だけではない。アフリカ側に用意した「手土産」では、現実味が欠如していた。
茂木敏充経済産業相は2日、日系企業が現地で雇う労働者数を5年で40万人に倍増させる計画を公表した。安倍晋三首相も1日、今後5年のアフリカに対する資金拠出を「最大で」「官民合わせて」3兆2千億円と表明した。
「アフリカ事業はまだ手探り」(パナソニック幹部)との声も多い中で、政府の意思が及ばない企業の動きまで持ち出し、空手形を切る必要はどこにあったのか。TICAD開催国たる日本の魅力が不足しており「お化粧」を施す必要があると感じたのだろうか。
援助国から投資国へ−−。5回目となった今回のTICADでは、日本のアフリカに対するかかわり方の変化が焦点となった。それは日本政府の役回りが主役から脇役に転じることも意味する。投資の主体は民間企業であり政府ではないからだ。
脇役となる政府に求められるのは「会議主催外交」の手土産に悩むことではない。投資協定の締結など、日本企業の実利につながる、より具体的な経済外交だ。
今後はホストが客を置き去りにしてステージを降りる非礼を心配する必要もないだろう。初めからステージには上がらず、主役の演技をサポートする黒子に徹すればよいのだから。
(国際部 黒沼勇史)
アフリカ成長「民間が原動力」 開発会議が閉幕
横浜宣言を採択
nikkei.com
2013/6/3 11:26 (2013/6/3 11:38更新)
横浜市で開かれた第5回アフリカ開発会議(TICAD)は3日午前、インフラ整備など民間投資を原動力として成長を促す「横浜宣言」を採択し、閉幕した。成長の前提としてテロ問題の解決など「平和と安定」を訴え、アフリカ自身の取り組みの重要性を強調。現地の産業育成や雇用増大につながらないとの批判もある中国の投資との違いを際立たせた。
安倍晋三首相は閉会式後、横浜市内で記者会見し「21世紀の半ばにかけ、アフリカは間違いなく成長の中心になる。伸びるアフリカに投資すべきは今」と訴えた。「私自身も絶対にアフリカに行きたい」とも表明した。アフリカ連合(AU)議長のエチオピアのハイレマリアム首相は閉会式で「アフリカに投資し、成長の一部になってほしい」と呼び掛けた。
横浜宣言は、アフリカ支援の原則としてアフリカ自身の意志を反映する「オーナーシップ」と国際社会の「パートナーシップ」の2つを改めて強調した。「民間部門は成長の原動力として必要不可欠」とし、民間投資を拡大するために投資環境や法制度、規制の整備を進める考えを示した。
インフラ整備では、官民連携でエネルギー、運輸、水分野に重点的に取り組む方針を掲げた。民間企業で働く産業人材を育成する方針も打ち出した。農業分野では雇用の創出や農村部の所得増加を実現するため、農産物加工や収穫後の貯蔵技術の向上、市場へのアクセス改善にも努める。
邦人10人が犠牲になった1月のアルジェリア人質事件を踏まえ、アフリカの平和維持能力の向上に取り組む。同事件を受けて1月のAU総会が採択したアルジェリアと連帯してテロ対策に取り組むAU宣言を「強く支持する」と強調した。2017年までの今後5年間の支援方針を定めた「横浜行動計画」も採択した。
首相は同会議で、今後5年間で1兆4千億円の政府開発援助(ODA)を含む最大3兆2千億円の資金を官民合同で拠出する意向を表明した。そのうち、交通や電力などインフラ整備には6500億円の円借款を供与する。現地の日本企業で働くことを前提とした産業人材3万人を育成する方針も打ち出した。
日本とアフリカ諸国の首脳が経済発展のあり方を話し合うTICADは1日から3日間の日程で開かれ、アフリカ54カ国のうち51カ国が参加した。39カ国から首脳が来日。首相は国際機関の要人も含め約50の首脳会談をこなす「マラソン外交」を展開した。
世界で2700万人、「働く意欲」失う ILO試算
長期失業で就労断念か
nikkei.com
2013/6/3 21:29
【ジュネーブ=原克彦】景気の長期低迷が続くなか、「働く意欲」を失った人が世界全体で約2700万人にのぼっている。国際労働機関(ILO)が3日発表した2013年版の世界労働報告で試算を示した。企業業績はリーマン・ショック前の水準に戻っているが、新規採用はさほど増えておらず、失業が長期に及んだ結果、就労をあきらめる人が増えているためとみられる。
世界労働報告によると、世界全体の失業率は07年の5.4%から12年に5.9%に悪化した。15年までの2年間で世界の失業者は630万人増えると推計され、失業率は6.0%で高止まりする見込みだ。欧州を中心とする先進国、東南アジアや中南米で失業の増加が予想されており、失業率が改善するのは東欧やアフリカのサブサハラ(サハラ砂漠以南)などに限られる。
政策対応が取られない場合、世界の失業者は14年に約2億500万人、15年には約2億780万人に膨らむと予測。とりわけアジア地域で失業者が増えるとした。
ILOは失業期間が長引き、就労を断念する人が増加していることにも注目している。就職活動はやめたが、就労を望んでいる人を勘案すれば失業率はさらに高くなると考えられるからだ。
世界労働報告によると、就労者に、働く意欲のある人を加えた「労働力率」は12年時点で60.0%。リーマン・ショック直後の09年から0.5ポイント低下した。労働力が維持された場合に比べて、約2700万人が働く意欲を失った計算となる。
労働力率は17年にかけて59.7%となり、さらに低下する見通しだ。
ILO国際労働問題研究所のトレス所長は3日に記者会見し、「長引く景気低迷が(労働力率低下の)最大の要因だ」と表明した。さらに「景気回復の兆しが見えても金融危機(の記憶)が負の遺産として残り、企業が新規採用に動かない」と指摘。企業の採用抑制が長期の失業を通じて就労意欲を衰えさせていると分析している。
ILOは、経営陣と労働者の間での所得格差も問題視。例として、07年から11年の間にドイツでは労働者の平均収入と経営者の収入の差が155倍から190倍に広がったことを挙げた。米国は大きく変動していないが、すでに収入格差の倍率は508倍に達する。ストックオプションなどの報酬体系の導入で企業が短期の収益確保に走り、新規採用などの人的な投資を怠った影響がうかがえるという。
雇用の悪化は、若者らによる抗議デモを通じて政情不安につながる懸念がある。ILOによると、失業率が大幅に上昇する欧州連合(EU)では社会不安指数がリーマン・ショック以前から12ポイント悪化した。その他の先進国や中東でも社会不安が高まっているという。
アフリカ開発会議:投資以外の援助も必要
毎日新聞 2013年06月03日 21時39分(最終更新 06月03日 22時28分)
「アフリカは最後のフロンティア」−−。3日閉会した第5回アフリカ開発会議(TICAD5)では、経済成長を背景にアフリカ首脳らから自信に満ちた発言が相次いだ。安定的な発展に向け日本にも強い期待を示す。一方、今会議は「投資先」としてのアフリカに注目が集まったが、企業による収奪への懸念や、感染症対策など地道な支援を求める声もあった。【平野光芳、金子淳】
「(飢餓に苦しんだ)1980年代は過去のものだ。自らの手で国の将来をデザインしたい」。エチオピアのメコンネン産業相が訴えた。最貧国の一つだが、最近は毎年10%前後の高い経済成長を達成。「工業化を進め、農業中心の社会から多様化した先進国に変革する」と強調した。
低中所得国のモロッコでは、日本の支援で培った農業や保健分野の技術をより貧しい南部に「再移転」する計画が進行中。エル・オトマニ外務・協力相は「アフリカの現実にあった技術の研究をしたい」と意欲を見せる。
また労働人口の約75%が農業に従事するガンビアのジャメ大統領は「持続可能な経済発展のためには、原材料を我々自身の手で加工し、付加価値を付けなければならない」と訴えた。「2020年にはアフリカの1次産品をすべて加工してから輸出したい」(ガボンのボンゴ大統領)といった大目標も掲げられた。
一方、会議に参加した非政府組織(NGO)からは、政府主導の大プロジェクトに懸念の声も。モザンビークでは、日本がブラジルと協力し大規模農業開発の支援を計画。だが「モザンビーク農民連合」のアドリアーノ氏は「小規模農家には恩恵がない」と指摘した。
◇感染症対策も支援を
発展途上国で深刻な3大感染症(エイズ、結核、マラリア)の撲滅に取り組む国際機関「世界基金」(本部・ジュネーブ)のマーク・ダイブル事務局長にアフリカでの継続した支援の必要性について聞いた。
◇
感染症対策は人道援助にとどまらず、健康な労働力を確保するという点で、重要な経済対策だ。特に、アフリカではエイズの拡大により、教師や医療従事者など社会基盤を支える有為な人材の損失が深刻化している。
TICADで来日した多くの首脳も「経済発展を成し遂げ、貧困から抜け出すためには、健康な人材が必要だ」と話していた。
アフリカが次世代の成長拠点であることを考えれば、健康分野での支援は、日本の経済的な利益にもかなっているはずだ。(談)
世銀総裁、日本のアフリカ投資に協力表明
nikkei.com
2013/6/3 11:01
世界銀行のキム総裁は3日午前、財務省で麻生太郎副総理・財務相と会談した。横浜市でのアフリカ開発会議(TICAD)に参加したキム総裁は、日本のアフリカ諸国への投資に関して協力する意向を表明。麻生財務相は「世銀が間に立ってくれると動きやすい」と応じ、民間の投資拡大に期待感を示した。
「開発」の時代は終わった アフリカ会議閉幕
日本経済新聞、2013年6月4日
第5回アフリカ開発会議が3日、閉幕した。「援助より投資を」と異口同音に語った首脳らの姿が映すのは、成長を続けるアフリカがもはや「貧困の大陸」ではないという事実だ。貧しい人たちを助けるという発想から抜け出さないと、アフリカでのビジネスで先を行く中国に追いつけない。
「アフリカ開発会議を次の段階に進めたい」。アフリカ連合のズマ委員長は1日の安倍晋三首相との会談でこう述べた。「次の段階」とは何か。ナイジェリアのサンボ副大統領は「最も重要なのは民間部門の投資だ」と指摘する。
日本がアフリカ開発会議を立ち上げたのはバブル経済の余韻がなお残る1993年。首脳会合なのに「開発」の2文字が入っているのは、豊かな日本が政府開発援助(ODA)で、戦乱や貧困に直面するアフリカの人々を救うという考え方が色濃かったためだ。日本がアフリカ援助で先行した功労者であるのは間違いない。
中国が閣僚級の「中国アフリカ協力フォーラム」を始めたのは2000年になってからだ。しかし、日本は援助をビジネスに結びつける過程で中国に出遅れた。世界貿易機関(WTO)への加盟をにらんでフォーラムを設けた中国は、自国製品のアフリカへの輸出拡大に奔走した。「協力」と銘打つだけあって、フォーラムは3年に1回、中国とアフリカで交互に開く。一方、アフリカ開発会議は5年に1回、日本にアフリカの首脳を集める。日本の「上から目線」を感じる国も多く「次はアフリカで」との声は根強い。11年の中国の対アフリカ投資残高は162億ドル。日本のほぼ2倍だ。中国の首脳は毎年、巨額の援助を携えてアフリカを訪ね、トップセールスを繰り広げる。日本にはまねできない。
アフリカは日本に何を求めているのか。タンザニアのキクウェテ大統領は「中国やインドより労働コストが低いアフリカに、生産拠点は移ってくる」と期待する。安倍首相が表明した産業人材を5年間で3万人育てる計画は、日本企業が進出する前提になる。アフリカ各国では、中国脅威論もくすぶる。バランスを取ろうとする各国の思いも、日本企業進出の追い風になるだろう。
「コ・マネジャー(共同経営者)」。安倍首相は日本とアフリカの関係をこう定義づけた。言葉だけでなく実践が伴わなければ、中国の背中は遠くなる。
アフリカ、課題は雇用 開発会議が閉幕
nikkei.com
2013/6/4 1:15
3日に閉幕した第5回アフリカ開発会議(TICAD)では、アフリカの最大の課題として雇用の創出を指摘する声が相次いだ。各国とも資源輸出に依存するなかで、若年層の失業率が高止まる。インフラ整備を進め、雇用の受け皿となる製造業や農業を発展させられるか。急増する人口はアフリカの成長の原動力となりえる半面、新たな雇用を生み出せなければ政情不安にもつながりかねない。
「資源依存から脱却し、成長を持続させなければならない」。南アフリカのズマ大統領は1日、TICADの会合で力説した。各国の首脳は一様に産業の多角化の必要性に言及したが、南アの状況は特に切実だ。1〜3月期の国内総生産(GDP)の実質伸び率は前期比年率で0.9%にまで低下。同国の失業率は25%、若年層では50%に達し、国民の不満が高まっている。
アフリカ最大の経済規模を誇る南アの成長鈍化の主因は製造業のマイナス成長だ。人材育成が遅れ、製造業の競争力を確立できず、この数年、製造業に従事する人口は年々減っている。
一足先に発展した南アの停滞は他のアフリカ諸国の今後の課題を示している。サハラ砂漠以南の諸国は過去3年間の平均で4%成長したが、製造業はゼロ成長。ナミビアの計画委員会のトップ、アルウェンド氏は「ダイヤモンドや大理石など自国の資源を加工する産業を育て、雇用につなげなくてはならない」と危機感をあらわにする。
現在、10億人弱のアフリカの人口は50年に2倍超の20億人に達する。アフリカ投資を競う外資は人口の増加にアフリカの成長性を見いだす。若者が職を得て購買力を備えれば、消費をけん引し、内需拡大の好循環が生まれるからだ。だが、教育など社会インフラの整備が追いつかなければ逆に貧困問題を悪化させる。
「我が国は近年4%近い人口増が続いたが、この伸び率では若者の教育や健康を守れない」(リベリアのサーリーフ大統領)。今回のTICADでは、首脳から人口の急速な増加に対する懸念の声も聞かれた。
産業育成は一筋縄とはいかない。タンザニアのキクウェテ大統領は「人件費の上昇する中国などから製造拠点がアフリカに移ってくる」と期待を表明したが、コストは人件費だけではない。ナイジェリア政府にインフラ事業で助言する英系コンサルティング会社の幹部は「発電所の整備が遅れるアフリカでは電力コストが高く、生産コスト全体では中国より安いとはいえない」と指摘する。
雇用問題は治安の安定に直結する。1月にアルジェリアで起きた人質事件。一部の地域で台頭するイスラム過激派は失業中の若者らを取り込んで勢力を拡大している。チャドのデビ大統領は「(治安問題の根底にあるのは)貧困と雇用を巡る戦いだ」と言い切る。(国際部 黒沼勇史)
asahi.com 2013年6月4日
(アフリカはいま)TICAD、次はどこ 首脳ら「アフリカ開催の時」
第5回アフリカ開発会議で3日に採択された「横浜宣言2013」は、次回以降のTICADをアフリカで開催する可能性に言及した。アフリカ首脳が主張した「アフリカ開催論」は、高い経済成長を続け、自信を深めるアフリカと、アフリカ市場への関心を強める日本との「力関係」の変化を印象づけた。
「TICAD」のTは「Tokyo」のTだ。
1993年の第1回以降、日本が主導してきたこの会議の5回の首脳会合は、その名の通り、東京、横浜で開いてきた。ところが、今回のTICADでは、アフリカの首脳らからアフリカ開催論が相次いだ。
「アフリカ大陸で開催する時が来た」(アフリカ連合のズマ委員長)
「多くの国が(アフリカ開催を)望んでいる。時折だっていい」(マリのトラオレ暫定大統領)
最終日に採択された「横浜宣言2013」には、盛り上がるアフリカの声に押される形で、日本とアフリカで順番に開く「ローテーションの原則」が、閣僚級会合だけでなく首脳会合にも「適用可能」と記された。将来のアフリカ開催に含みが残された格好だ。
■力学変化、日本拒否せず
もっとも、外務省関係者は実現には懐疑的だ。「相互開催も排除しないというくらいの話。アフリカにはこんなに大きな会議をできる都市はないし、これだけきめ細かい運営ができるのは日本の良さだ」。仮にアフリカ開催となれば、会議での日本の存在感の低下につながりかねない。
それでも、支援をする側の日本がアフリカ開催論を簡単に拒否できないのは、「21世紀の半ばにかけ、アフリカは間違いなく成長の中心になる」(安倍晋三首相)との思いがあるため。経済成長の原動力を探し求める日本にとり、豊富な資源を抱えるうえ、高い経済成長を続けるアフリカの魅力は増すばかりだ。
最終日の共同記者会見でアフリカ開催論について問われた安倍首相も慎重に言葉を選んだ。
「日本で開催する利点は、個別企業と出会える場がより多く提供できることだ。アフリカの皆さま、共催機関とよく議論して次のTICADがより良い形となるようにしていきたい」
アフリカ諸国との関係をこじらせまいという配慮の背景には、中国の存在もある。豊富な資金力を背景にアフリカとの関係を強める中国から、アフリカの目を日本に向けさせなくてはならない。首相は3日のテレビ番組で、中国への対抗心をのぞかせた。
「目立つ形で支援し、一時的にたくさん押しかけていくことで、頼りになると思わせたかといえばそうではない。(日本は)自分たちの利益ばかりを考えているということは全然ない。息の長い投資もやる」
(円満亮太、吉田美智子)
■定例会議、中韓印も開催
「中国は長いこと、力の及ぶ範囲でアフリカに無私の支援を提供してきた。これからも続けていく」
中国外務省の洪磊副報道局長は3日の定例会見で、「日本はTICADで中国に対抗しているのでは?」との質問に対し、そう強調した。アフリカへの支援では、日本や他の先進国を大きく引き離している、という自負がのぞく。
中国の歴代外相は1991年以降、毎年最初の訪問国にアフリカを選んできた。今年3月に国家主席についた習近平(シーチンピン)氏も、同月の最初の外遊で南アフリカやタンザニアへ足を運んだ。00年からは3年に一度、アフリカ各国の大臣らを招く「中国アフリカ協力フォーラム」を開いている。中国とアフリカとの交互開催の形をとる。
2国間にとどまらず、多国間の枠組みでより大きな金額を支援する試みも進む。中国がブラジルやロシア、インド、南アと提唱する「BRICS開発銀行」構想だ。実現すれば、融資の多くはアフリカへ向かうと見られている。
韓国やインド、トルコなどもアフリカとの関係強化のため、TICADに似た会議を開催している。
韓国は06年から3年ごとに首脳級や閣僚らを招いてフォーラムを開催。ソウルで昨年10月に開いた前回フォーラムでは、政府の途上国援助(ODA)として2年間で5億9千万ドルを拠出すると表明した。フォーラムは次回からアフリカと交互開催にすることで合意したという。
インドとトルコも08年からそれぞれ「サミット」を開催。インドは11年の会議で50億ドルの借款供与を表明。トルコはアフリカとの貿易額を飛躍的に増大させる目標を設定した。
各国首脳のアフリカ訪問も頻繁だ。10年からの3年間だけでも韓国の李明博(イミョンバク)大統領(当時)や、インドのシン首相らがアフリカ入りしている。トルコのエルドアン首相も今年1月にアフリカ3カ国を訪問した。
一方、日本の首相は、06年に小泉純一郎氏がエチオピアとガーナを訪問して以来、サハラ砂漠以南のアフリカ諸国を訪れていない。
(斎藤徳彦=北京、杉崎慎弥)
■Tは「東京」
<TICAD> アフリカ開発会議の英語名「Tokyo International Conference on African Development」の頭文字をつなげた略称。5年に一度、アフリカ首脳らを日本に招き、開発などについて議論してきた。
■「横浜宣言2013」骨子
・日本とアフリカで順番に開催する「ローテーションの原則」が、首脳会合にも「適用可能」
・成長の原動力として必要不可欠な民間セクターを支援し、強化する
・成長の基盤を強化するため、ハードインフラ、人的インフラ、知的インフラに焦点を当てる
・農業と関連ビジネスの拡大は、アフリカの自律的な経済成長に必要不可欠
・安保理を含む国連諸組織を早急に改革する決意を再確認
・アフリカにおける気候変動の深刻な影響を認識し、持続可能かつ強靱(きょうじん)な成長を追求する
アフリカ、コメ消費拡大 サブサハラで年率5%増
nikkei.com
2013/6/4 10:55
アフリカでコメの消費が拡大している。急速に進む都市化で、調理が比較的簡単なコメを日常的に食べるようになったことが背景にある。生産を拡大するため、国際研究機関のアフリカ稲センターはこのほど新たな高収量品種「アリカ米」として5品種を選抜し、普及に乗り出している。
同センターによると、サハラ砂漠以南のサブサハラ地域のコメ消費量は年率5%で増加。これに対し、生産量も2007〜12年には年8.4%増と、年3.2%増だった00〜07年に比べて2倍以上の伸び率をみせる。
ただ、自給率はまだ低い。消費量の4割は域外からの輸入に頼っており、08年には国際価格の高騰で深刻な食糧危機を招いた苦い記憶も。同センターはアリカ米の普及を通じ、生産性の向上を支援する。
同センターはアフリカ24カ国でつくる国際研究機関。日本などの協力も得て、病気や乾燥に強いアフリカ稲と高収量のアジア稲を交雑した品種「ネリカ米」の普及に取り組んできた。今回の「アリカ米」は交雑種かどうかは問わず、収量、品質、味などでネリカ米を上回ることを条件に選抜した。
コメの消費、アフリカで拡大 高収量品種の普及急ぐ
nikkei.com
2013/6/4付
アフリカでコメの消費が拡大している。急速に進む都市化で、調理が比較的簡単なコメを日常的に食べるようになったことが背景にある。生産を拡大するため、国際研究機関のアフリカ稲センターはこのほど新たな高収量品種「アリカ米」として5品種を選抜し、普及に乗り出している。
同センターによると、サハラ砂漠以南のサブサハラ地域のコメ消費量は年率5%で増加。これに対し、生産量も2007〜12年には年8.4%増と、年3.2%増だった00〜07年に比べて2倍以上の伸び率をみせる。
Doing Good Inc.: Japan Looks to Curry Favor in Africa
Doing Good Inc:アフリカの機嫌を取りたい日本
Japan Looks to Curry Favor in Africa
June 5th, 2013
2013年6月5日
Japan has joined the groups of countries willing to invest in Africa; this may be partly due to China's investment in the continent. At TICAD Tokyo V (Tokyo International Conference on African Development), Japanese Prime Minister Shinzo Abe announced Japan will invest $32 billion dollars that will go towards healthcare, the reduction of piracy, infrastructure and training. There are a few reasons for Japan's altruism. Africa's energy sources are important for the future of Japan, as are safer seaways and support for Tokyo's 2020 Olympic bid
日本も他の国々同様アフリカへの投資国グループに参加しています。これは中国がアフリカに投資していることが一因です。第5回アフリカ開発会議では、日本は医療、海賊行為の減少、インフラと人材育成に320億米ドルを投資すると安倍晋三首相が発表しました。この日本の利他主義にはいくつかの理由があります。アフリカのエネルギーが日本の将来にとって重要であること、そして、安全な海路の獲得と東京の2020年のオリンピック招致へのサポートが理由です。
世界の貧困層は減少? 実は中国が・・・
cnn.co.jp
2013.06.09 Sun posted at 18:04 JST
(CNN) 世界中で多くの国が経済成長を実現し豊かになっているため、貧困は減少していると思いがちだ。
確かに、世界銀行によると、1981年には1日1.25ドル(現在のレートで約120円)未満で生活する貧困人口が世界の人口の半数近くに上っていたが、今日ではその数は世界の人口の5分の1未満となっている。貧困層の人数は、20億人から12億人へと40%も減少したのだ。
しかし、良く調べて見ると、貧困人口の減少は手放しでは喜べないことが分かる。簡単に言うと、世界の貧困人口減少のほとんどは、たった1つの国によるものなのだ。そう、中国だ。
中国における貧困人口の減少を差し引いてみると、全く違う数字が見えてくる。
1981年、世界の貧困人口に中国が占める割合は43%。その他では、29%を占めていた南アジア諸国と、11%を占めていたサハラ以南のアフリカ諸国で貧困人口が多かった。
ただし、その10年程前から世界の貧困人口に占める中国の割合は低下し始めていた。この傾向は2000年代まで続き、2010年にはその割合は13%にまで低下した。一方で、貧困人口に占める南アジア諸国の割合は42%に急上昇し、サハラ以南のアフリカは約3倍の34%にもなった。
世銀のデータでは、中国の貧困人口は、過去30年間で6億8千万人近く減少しており、これは世界全体の貧困人口減少の95%に相当する。中国政府は、30年間にわたり2桁の経済成長を達成し、貧しかった中国の経済状況は驚異的な変化を遂げた。
だが一方で、他の地域での貧困の改善は極めて遅かった。
他の国々にも良い教訓となるのがインドだ。インド政府は、貧困状況の改善において大きな進展を遂げているものの、この進展は人口の増加でほとんど帳消しとなっている。
1981年には、インドの貧困人口は、全人口の約60%に当たる4億2900万人だった。2010年には、貧困率は33%まで低下したが、人口が約5億人増加した結果、貧困人口はまだ4億人前後にも上っていた。貧困層から抜け出した膨大な数の人に代わって、新たに膨大な数の貧困層が生まれたのだ。
そして、貧困を減らすための正解は、やはり経済成長なのである。
1960年代と70年代のインドは、年率2%程度にしか達しないことも多いような低成長に陥っていた。
だが、1980年代からの開放政策と、1990年代に古びた社会主義的規制の大半を撤廃したことにより、2000年代半ばには経済成長率は9%前後となった。経済成長により、中間層が生まれ多くの人が貧困から抜け出した。
自由経済を支持する米ケイトー研究所は、これらの改革が20年早く実施されていれば、インドの今日の貧困人口は1億7500万人程度少なかっただろうと試算している。そのため、貧困層に最大の影響を与える最近のインドの経済成長率低下は問題である。
アフリカで見られる変化も、最貧困層にとってはまだ遅すぎるものだ。1981年以降、貧困率は、開発途上国と世界全体の双方で着実に低下して来ている。
しかし、サハラ以南のアフリカでは、1980年代と90年代には、貧困率が僅かではあるが上昇した。それが、低下に転じたのはごく最近のことで、主に経済成長のおかげだった。
世界の貧困は減少してはいるが、そのほとんどは中国が達成したものである。
そして、中国共産党のおかげで分かったことは、貧困を減らす正しい方法は、なんと資本家が主導する経済成長だということだ。
アジアやアフリカで洪水が増加 今世紀末、東大など予測
nikkei.com
2013/6/10 11:33
地球温暖化が進むと、21世紀末にはアジアやアフリカを中心に陸上の42%で洪水になる回数が増えるとの予測を平林由希子東大准教授(河川工学)らのチームがまとめ、英科学誌に発表した。
大洪水被害に遭う恐れのある人は20世紀末に比べて最大14倍になるという。チームは「流域の人口が増えれば、被害を受ける人はさらに多くなる。洪水が増える前に適切な対策を取ってほしい」としている。
チームは、世界の研究機関が開発した11の気候予測プログラムと、河川から水がどのぐらいあふれるかを予測するためにチームが開発したプログラムを組み合わせ、2100年までの洪水の頻度を地球規模で調べた。
抜本的な対策が取られずに温暖化が進んだ場合、豪雨や長雨などにより、日本や中国を含むアジアやアフリカ、南米で洪水が増えるとの結果になった。世界にある29の主な河川のうち、黄河やメコン川など多くの河川で、現在は100年に1回の割合で起こる大洪水が、21世紀末には10〜50年に1回に高まりそうだという。
大洪水の被害に遭う恐れがある人は現在約560万人とされるが、温暖化対策が取られず気温が3.5度上がった場合には約8千万人と14倍に増える。チームは「温暖化ガスの削減目標を設定する際には、洪水のリスクについても考慮する必要がある」と主張している。〔共同〕
WTOの知財協定、後発発展途上国の適用除外延長
nikkei.com
2013/6/12 11:10
【ジュネーブ=原克彦】世界貿易機関(WTO)の加盟国・地域は11日、相互に知的財産権を侵害しないことを義務付ける協定について、後発発展途上国(LDC)を適用から除外する期限を2021年まで8年間延長することで合意した。従来の期限は6月末だった。LDCの経済成長を側面支援するのが狙い。
協定の正式名称は「知的財産権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)」。加盟国・地域は協定違反があれば相手をWTOに提訴することができるが、LDC諸国には協定を適用しない。ただ、医薬品は別の枠組みでTRIPSの適用除外期間を2016年までと定めており、今回の延長対象にはしない。
世界人口、2050年までに96億人 国連推計
nikkei.com
2013/6/14 10:11
国連は13日、2050年までに世界の人口が96億人に達するとする新たな人口推計をまとめた。インドが28年ごろに中国を抜いて、人口第1位となる見通し。アフリカなど発展途上国でも人口が大幅に増加する見通しで、世界の人口が100億人を超える可能性が現実味を帯びてきた。
国連は、世界人口が11年10月時点で70億人に達し、50年には93億人となるとの予測を公表していた。最新の調査では、現在の世界人口を72億人と推定、50年の人口推計を96億人と3億人増やした。途上国の人口が59億人から82億人に増える計算だが、先進国は「現在とほぼ同じ」。欧州は今世紀末までに14%減るとした。
インドと中国の人口は、28年ごろ14億5千万人に達し、人口1位が入れ替わる。順位の入れ替わりは従来の予測より7年遅くなる。その後、インドの人口は数十年間伸び続けて16億人まで増える。一方、中国は30年以降に減少へと転じ、21世紀末には11億人まで減ると予想する。
世界の平均寿命は、医療の進化や途上国の衛生状態の改善などで、この50年余りの間に47歳から69歳まで延びた。「今後も同じペースで延びる」としており、今世紀末には82歳に達するという。主に途上国で幼児の死亡率が縮小し寿命が延びるためだが、先進国では89歳になる可能性がある。
人口増加が続く半面、社会の高齢化は途上国にも広がる。水や食料の確保が急務になるほか、労働力不足や社会保障費負担の世代間格差など、現在先進国が抱える問題は世界規模に広がりそうだ。(ニューヨーク=杉本貴司)
日立造船、中東・アフリカに「太陽熱」 発電設備売り込み
日本経済新聞、2013年6月15日
日立造船は今秋にも中東や北アフリカで太陽熱発電設備の売り込みを始める。鏡を並べて太陽の光をパイプ(集熱管)に向けて反射し、その熱で発電する仕組みで、現在主流のタイプに比べて保守点検作業が容易なのが特徴。3年後には太陽熱発電だけで75億円の売り上げを目指す。
日立造船の太陽熱発電は「フレネル式」と呼ばれており、集光する鏡を地面から1.2メートルの低い位置に並べる。現在、サウジアラビアの海水淡水化公団(SWCC)と組んで実証プラントの性能を確認しており、そこで集めたデータを今後の商談で説明、顧客獲得につなげる。
太陽熱発電は米国とスペインで普及しつつある。現在の主流は曲面鏡を地上数メートルの場所に設置する「トラフ式」だが、保守点検作業に手間がかかるとの指摘があった。日立造船が売り込むフレネル式は集光効率に難があったものの、鏡の傾きや表面のくぼみを日光の位置に応じて自動制御する技術を確立。トラフ式に劣らない集光効率を実現したという。
太陽熱のエネルギーは海水淡水化プラントの動力源としても活用できる。日立造船は海水淡水化プラント建設も手がけており、今後は発電と造水を同時におこなう「ハイブリッド造水」(谷所敬社長)も提案する。
Africa 'ripped off big time' by foreign resource firms, says bank chief
アフリカは海外資源企業に《暴利を貪られた》、銀行総裁が語る
The Guardian
Africa 'ripped off big time' by foreign resource firms, says bank chief
June 18th, 2013
The president of the African Development Bank, Donald Kaberuka, urges the international community for more transparency and better governance in the natural resources sector. Foreign companies tend to extract Africa's mineral resources but offer few benefits to locals. Africa loses approximately $62.2 billion annually due to illegal outflows and price manipulation. The UK has recently become more strict with overseas business dealings. According to Dame Nicola Brewer, Britain's high commisioner to South Africa, G8 countries need to work together to create global rules that do not put developing countries at a disadvantage.
アフリカ開発銀行ドナルド・カベルカ総裁はグローバルコミュニティーの天然資源産業の透明性と健全な管理に改善が必要であると力説しています。海外企業はアフリカの天然資源を採掘していますが、地元の人々にほとんど利益をもたらしていません。アフリカは資源の違法な流出と価格操作で毎年622億USドルの損失を被っています。近年、英国は海外とのビジネスでの取引に関して、より厳しくなっています。英国の南アフリカ高等弁務官デーム・ニコラ・ブリュースター氏によれば、G8の国々は途上国が不利にならないよう、協力しクローバルルールを設ける必要があると言います。
女性の3人に1人が性的暴行などの被害 WHO
cnn.co.jp
2013.06.21 Fri posted at 10:33 JST
(CNN) 世界保健機関(WHO)は21日までに、世界の女性の3人に1人が性的、身体的暴行を振るわれた経験を持つとする報告書をまとめた。夫や恋人などのパートナーからの暴力が最も多いという。
報告書では、世界の女性の35.6%がこうした暴力を経験していると推計。WHOのマーガレット・チャン事務局長は「世界ではびこる健康問題」と形容した。
地域別にみると、パートナーから暴力を受けている女性の割合は東南アジア地域が37.7%と最も高く、次いで地中海東岸が37%、アフリカが36.6%、北米と南米が29.8%だった。一方で、所得の高い国(オーストラリア、日本、米国など)は23.2%と低い傾向にあった。
性的、身体的暴行を受けた女性は、エイズウイルス(HIV)感染や人工妊娠中絶、うつ、アルコール関連の障害、妊娠合併症などの割合も高くなるという。
女性が殺害されたケースのうち約38%は、パートナーが加害者となっていた。これに対して男性の場合、パートナーによる殺害は6%にとどまっている。
女性に対する暴力は、個別の事例として扱うのではなく、「女性の権利を踏みにじる行動パターン」として対処すべきだと報告書は指摘している。
報告書は各国の人口統計などをもとにまとめられた。ただ、女性が被害を届け出られないケースも多いことから正確な実態はつかめないのが現状だ。また、中東やサハラ砂漠以南のアフリカ、東アジアや中央アジアでは情報が欠如している国や地域も多かった。
アンジェリーナ・ジョリーさん「紛争地の性暴力阻止を」
nikkei.com
2013/6/25 12:38
国連安全保障理事会は24日、紛争地での性暴力に関する公開会合を開いた。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)特使の米女優アンジェリーナ・ジョリーさんが出席し「性暴力は戦争につきものだから起きるのではない。それを許す風潮が世界にあるからだ」と訴え、阻止のため行動するよう安保理に求めた。
ジョリーさんは紛争地などで、5歳の女児が警察署の前で乱暴されたり、女性が木の枝や瓶を使った残酷な性暴力を受けたりしていると報告した。
こうした事件は「加害者が逃げおおせると思っているからだ」と述べて処罰の必要を訴えるとともに、性暴力阻止の「先頭に立つべきはあなた方、国連安保理なのだ」と15カ国の大使たちに呼び掛けた。(ニューヨーク=共同)
世銀総裁「途上国に多大な懸念」 量的緩和縮小巡り
nikkei.com
2013/6/26 10:29
【ワシントン=共同】世界銀行のキム総裁は25日、米連邦準備理事会(FRB)が今秋にも量的緩和の縮小に踏み切る可能性が高まったことを受け、金利が上昇し資金調達が難しくなるなど「途上国は多大な懸念を抱えている」と表明した。ワシントン市内で記者団に語った。
総裁は、金融市場での緩和縮小観測を受け「既に金利が上昇している途上国がある」と指摘。低金利環境にある現在でも「社会インフラの整備に必要な資金調達が困難になっている」と訴えた。
世銀としては、国際通貨基金(IMF)と協力し、インフラ投資に必要な資金を手当てするなどの役割を果たすとした。