第1章 あなたは子ども兵士を知っていますか? 下村靖樹
第2章 子ども兵士概観
第3章 各国の子ども兵士
第4章 子ども兵士が受ける虐待
第5章 子ども兵士の社会復帰
第6章 国際社会と各国の努力
第7章 わたしたちにできること
解説 「子ども兵士」(Child Soldier)とわたしたち 楠原彰
序 章 アフリカの紛争と国際社会 武内進一
第I部 紛争勃発後の和平プロセス
第1章 スーダンという国家の再構築 ―重層的紛争展開地域における平和構築活動― 篠田英朗
第2章 歴史の写し画としての和平プロセス ―内戦期コートディヴォワール政治における連続性― 佐藤 章
第3章 コンゴ民主共和国の和平プロセス―国際社会の主導性と課題― 武内進一
第4章 DDRとリベリア内戦 山根達郎
第II部 紛争後の制度構築を考える
第5章 ウガンダ1986、南アフリカ1994 ―紛争後の包括的政治体制の比較分析― 峯陽一
第6章 シエラレオネにおける地方自治制度改革とチーフ 落合雄彦
第III部 正義と和解の現実
第7章 紛争後の社会への司法介入―ルワンダとシエラレオネ― 望月康恵
第8章 ルワンダのガチャチャ―その制度と農村社会にとっての意味― 武内進一
第9章 モザンビークにおける平和構築の課題 ─国家レベルの共存と地域社会内部での対立の深化― 舩田クラーセン・さやか
アメリカの大学で広くテキストとして使われているジョゼフ・コンラッドの『闇の奥』を、同時代の宣教師、ジャーナリスト、外交官、作家が書いたレオポルド二世のコンゴ支配批判と読み比べる。
フランス、ベルギーで発行された研究書・レポートをもとに、モブツを追いかける形でコンゴ民主共和国の現代史を描く。日本鉱業の鉱山運営、帝国石油の石油開発参加を通して日本とモブツそしてコンゴ民主共和国の関係も詳述。(旧ザイール)の関係
児童労働で採掘のコバルト使用か、人権団体がアップルやサムスン非難
Broomberg.co.jp
2016/01/20 10:26 JST
(ブルームバーグ):国際人権団体アムネスティ・インターナショナルによると、コンゴ民主共和国からコバルトを調達して米アップルや韓国サムスン電子などの携帯電話やノート型パソコン(PC)メーカーに供給する中国企業は、供給元を十分に調査しておらず、児童労働に依存する鉱山で産出されるコバルトを購入している可能性がある。
コンゴはコバルト生産で世界最大で、昨年の生産量は推定6万7735トン。大部分は産業採掘されるが、最高2割は南東部カタンガ州にあり大人も子供も危険な状況で作業している採掘現場で産出されているという。アムネスティとコンゴの非政府組織(NGO)アフリカン・リソーシズ・ウォッチが19日、報告書で指摘した。
アムネスティによると、アップルは中国の主要なサプライヤーが加工したコバルトを含む部品の購入に関する質問に対して、直接的な回答はしていない。同社は「労働・環境リスクや、効果的で測定可能かつ持続可能な変化をもたらす機会を見極めるため、コバルトを含めてさまざまな多数の資源について」評価しているとの見解をアムネスティに示したという。ブルームバーグ・ニュースによる18日の取材に対し、アップルはそれ以上のコメントを避けた。
サムスンはアムネスティの研究者が指摘した会社から供給を受けていることを認めたが、カタンガの鉱山で産出されたコバルトかどうかは判断するのは「不可能だ」と説明したという。 アムネスティ
は今回の調査について、「透明性の必要性を浮き彫りにするものだ。透明性がなければ、多国籍企業は製品に使用される原材料がどこでどう採掘されたかを検証せずに児童労働のような人権侵害の状況から利益を得る可能性がある」と指摘した。
原題:Tech Giants Accused by Amnesty of Using Cobalt Dug by Children(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先: Kinshasa Tom Wilson twilson128@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Antony Sguazzin asguazzin@bloomberg.net Alfred Cang, Emily Chasan
更新日時: 2016/01/20 10:26 JST
▽ 外務省(2日)地球規模課題審議官(東南アジア諸国連合代表部大使)相星孝一▽国際協力局兼アジア大洋州局南部アジア部参事官(コンゴ民主共和国兼コンゴ共和国大使)牛尾滋
【2月24日 AFP】コンゴ民主共和国(旧ザイール)北東部に広がるガランバ国立公園(Garamba National Park)でとある日曜、バックパックに突撃銃姿のレンジャー部隊がヘリコプターに乗り込み、9日間にわたるパトロールを開始した。5人ずつ2グループで行うパトロールでは、ゾウを探し、銃声を聞き分け、密猟者を追跡する。
ガランバ国立公園では昨年、114頭のゾウが殺された。それでも2014年の132頭に比べれば少なくなった。同公園の保護に当たる非営利団体「アフリカン・パークス(AfricanParks)」によると、一番の脅威は南スーダンで、密猟の80%は同国の武装集団によるものだという。
アジアで高値で取引される象牙目当てに、アフリカ全土では毎年3万頭以上のゾウが密猟の被害にあっている。(c)AFP
12時間働いて日給1ドル「最悪の危険労働」
スマホをはじめIT機器の電源などに使用されるリチウムイオン電池。金属元素のコバルトは同電池に欠かせない材料だ。そのコバルトの世界産出量の53%を、アフリカのコンゴ民主共和国産が占めている。
国際人権NGOのアムネスティ・インターナショナルは今年1月、コンゴの鉱山で、児童労働で採掘されたコバルトが、アップルやサムスンなどの大手メーカー製品に使われていると発表した。
「7歳からの子供が、鉱山で危険を伴う作業に従事しています。一日12時間も働いて日給はわずか1~2ドル。安全対策も不十分です」。コンゴの鉱山での児童労働について、東京経済大講師の寺中誠氏はこう話す。ユニセフの調査によると、コバルトや銅などの鉱山が多いコンゴ南部で採掘に従事する子供の数は’14年時点で約4万人に上る。
「体の小さい子供は狭い坑道に入るのに都合がよく、鉱石の運び出しなどの危険な重労働をしているのです。採掘労働はILO(国際労働機関)が『最悪の危険労働』として禁止しており、現にケガをする子供もいます」(寺中氏)
しかもコバルトには毒性があり、呼吸器や心筋の障害を引き起こす物質も含まれる。ところが安全対策は不十分で、マスクもつけずに作業する子供がいる。寺中氏は「被曝や環境汚染の影響を受ける恐れがあります」と指摘する。
採掘されたコバルトは、どのように流通していくのだろうか。
「鉱山から仲介業者が買い付けたコバルトを、コンゴ国際鉱業(CDM)が仕入れます。CDMは中国の会社『浙江華友コバルト社』の子会社。コバルトはバッテリー部品メーカーに卸され、電極部品などになります。そしてバッテリーメーカーがこれらの部品でリチウムイオン電池を作り、最終的にはアップルやサムスンなどのメーカーに納入されていることがアムネスティ・インターナショナルの調査で明らかになりました」(同)
コバルト採掘で児童労働が蔓延する理由のひとつは、規制や監視が未整備であること。米国は「ドッド=フランク法」で金、タンタル、スズ、タングステンを「紛争鉱物」に指定し、原産国情報などを調査・開示することを企業に求める。これに対してコバルトは「野放し」状態だ。
アップル本社はアムネスティ・インターナショナルに対し、この件について回答。「自社のサプライチェーンで児童労働は決して許容されない」などとしている。「コンゴ産コバルトの使用をやめてしまえば、現地の仕事がなくなるという新たな問題も生まれます。情報が公開されていないのが最大の問題。解決のためには、電機メーカーなどのサプライチェーン末端から、上流に向けて情報公開を求める流れをつくり、そのうえで現地の労働条件を改善することが必要です」
-消費者が知らない[世界的大企業]の闇-
スマホで使われるコバルトは子供たちが採掘している!?【アフリカ・コンゴの児童労働の実態】
【3月4日 AFP】アフリカで平和維持活動(PKO)部隊の要員による性的暴行疑惑が相次いでいる問題で、国連(UN)は、2015年の被害申し立てが69件に上り、関与したとされる兵士らの出身国は21か国にまたがるとする報告書を3日までにまとめ、「深い懸念」を示した。
発表前日の3日にAFPが入手した報告書は、潘基文(バン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長の指示で作成されたもの。性的暴行・虐待への関与が疑われるPKO要員の出身国が明らかになったのは、これが初めてとなる。
報告書によると、被害報告で関与が指摘された兵士の国籍で最も多かったのはコンゴ(旧ザイール)の7件で、次がモロッコと南アフリカの各4件だった。
関与が疑われる兵士の出身国にはアフリカ諸国が多く、この他、カメルーン、コンゴ共和国、タンザニア、ベナン、ブルキナファソ、ブルンジ、ガボン、ニジェール、ナイジェリア、トーゴが上がっている。警察官では、ルワンダ、ガーナ、マダガスカル、セネガル出身者の関与が指摘されている。
一方、欧州出身者もカナダとドイツの警察官と、モルドバとスロバキアの兵士らが、性的虐待や性的搾取を行った疑いがあるという。
こうした性的虐待疑惑のほとんどは、国連中央アフリカ多面的統合安定化派遣団(MINUSCA)と国連コンゴ民主共和国安定化派遣団(MONUSCO)が展開する中央アフリカとコンゴ(旧ザイール)で報告されているが、コートジボワールやマリでも複数の例が発生している。
報告書によると、疑惑の件数は2013年は66件、14年には52件だったのが、昨年は69件と「著しく増加」した。被害者のうち子どもは少なくとも22人とされているが、被害者の年齢を特定できない例もあるため、実際はこれより多くの子どもが被害に遭っている恐れがあるという。(c)AFP/Carole LANDRY
アフリカPKO要員の性的暴行疑惑、21か国・69件 国連報告書
スマートフォン(スマホ)やパソコンの電池に使うレアメタル(希少金属)、コバルト。世界供給のおよそ半分をコンゴ民主共和国が占めるが、原料の鉱石の選別や回収作業に子供を従事させているケースがあるとされる。児童労働によって取り出した原料を、いかにスマホなど製品のサプライチェーンから取り除くか。難問への解答のひとつとして、欧州では調達方法に問題がないと確認できた原材料だけを使ったスマホ「フェアフォン」が支持を集めている。
「アップルやソニーのスマホ部材の原料に児童労働によって集められたコバルトが使われている可能性がある」--。国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは今年1月に発表したリポートのなかで指摘した。
コンゴにはスイスのグレンコアなど世界の資源大手が進出してコバルトを採掘している。そうした大手企業のほかに、ノミを使って「手掘り」したり、池や採掘現場付近で鉱石を拾って選別したりする個人採掘者が数多く存在する。個人採掘者は大人に限られず、ユニセフの調べによると約4万人の児童が採掘や回収に従事しているという。採掘されたコバルトは仲介業者の手に渡り、中国の製錬会社、華友コバルトの100%子会社であるコンゴ国際鉱業(CDM)などが仕入れているという。
アムネスティ・インターナショナルが公開情報をもとに調べると、児童が回収に関わったコバルトは電池部材メーカーや電池メーカーなどを経て、最終的にアップルをはじめソニー、サムスンなど世界の大手スマホメーカーに納入されている可能性があった。
指摘を受けた企業はほとんどがその可能性をすぐに否定できなかった。アップルは「調査中」と回答している。
ソニーに取材したところ、「児童労働で集められたコバルトが使われているという明白な証拠は見つけられなかった」と回答。レアメタルに詳しい東京大学の岡部徹教授は「最終製品のメーカーがサプライチェーンを全て把握することは難しいのが実態」と指摘する。スマホ1台だけでも、金やコバルト、アルミニウムなど多くの金属が使われる。原料調達や組み立て、販売が世界の様々な場所で行われるなか、メーカーが原料の出どころまでたどるのは難しい。
コバルトの場合、原産地を詳細に把握することを法的に強制されないという事情もある。同じ鉱物でも金、すず、タングステン、タンタルの4品目は、2010年に成立した米国の金融規制改革法(ドッド・フランク法)により紛争鉱物として指定され、調達に規制がある。紛争地域の武装集団は鉱物資源の取引から得た金で兵器などを購入することがある。同法は彼らの資金源を絶つために定められ、対象地域はコンゴやその周辺国だ。コバルトは武装勢力の資金源と断定されず、対象外となったとみられる。
米国で上場する企業が紛争鉱物を使う場合、紛争地域から出たものでないことを証明しなければならない。そのため、サプライチェーンの下流の企業であったとしても、原産国までたどった調査をする必要がある。
世界のスマホメーカーが原料の産地や調達元を割り出すのに苦労するなか、オランダでは「フェアな調達」をコンセプトに新たなスマホが生まれている。それが「フェアフォン」だ。使用部品を原料の鉱物資源にいたるまで現地に赴き調査。武装勢力や児童労働が関わっていないか、自分たちの目でチェックして調達する。
昨年12月にはフェアフォンのプロジェクトマネジャー、ムーラン・ムー氏が来日。「我々は原産地を厳密に見ており、フェアフォンで調達している鉱物は、鉱山から精錬所、部品製造工場にいたるまでタグシステムで追跡している」と語った。
見た目は他のスマホと変わらず、価格は最新モデルが1台525ユーロ(約6万6000円)。不具合が生じた場合、一般の利用者にも簡単に部品の交換ができるように設計されている。そのコンセプトが受け入れられ、2013年の会社設立以来これまでに欧州で6万台売れた。
フェアフォンは今のところ、日本では販売していない。ただ、エコマークやカーボンフットプリントが浸透し、環境に配慮した製品が可視化していったように、今後「フェアな調達」も消費者にアピールする指標のひとつとなるかもしれない。
コンゴで黄熱病が流行、21人死亡 隣国アンゴラから流入か
cnn.co.jp
2016.04.13 Wed posted at 16:42 JST
(CNN) 世界保健機関(WHO)によると、アフリカのアンゴラで200人以上の死者が出ている黄熱病の流行が隣国コンゴ(旧ザイール)にも広まり、これまでに少なくとも21人が死亡したことが分かった。
コンゴからWHOに今週入った報告によると、同国では今年1~3月に少なくとも151人が黄熱病に感染したとみられる。患者の一部はアンゴラ国境沿いの地域で見つかった。
アンゴラでは今週の時点で、黄熱病による死者が少なくとも225人に上り、30年ぶりの大流行となっている。患者の大半は首都ルアンダに集中しているという。
WHOは声明で、アンゴラから帰国した旅行者の感染も報告されていると指摘し、外国への感染拡大に警戒を呼び掛けた。
黄熱病は2種類の蚊が媒介し、そのうち一方は南米で猛威を振るうジカ熱のウイルスも運ぶ。感染すると発熱や筋肉痛、吐き気などの症状が現れ、重症化したケースでは黄疸(おうだん)や出血などを起こして死に至る恐れがある。
【4月25日 AFP】アフリカ音楽界の大御所で、「コンゴルンバの王」と呼ばれるコンゴ人歌手のパパ・ウェンバ(Papa Wemba)氏が24日、コートジボワール・アビジャン(Abidjan)で開かれていた音楽祭への出演中にステージで倒れ、死去した。66歳だった。
音楽祭のテレビで生中継され、ダンサーらの後ろでウェンバ氏が倒れる瞬間や、ステージ上のミュージシャンらがパパ・ウェンバ氏に駆け寄るなど、当時の騒然とした様子が放送された。
パパ・ウェンバ氏は、1970年代にキューバ音楽とエレクトロニックロックを融合させた先駆者として知られ、ワールドミュージック界の伝説的存在だった。(c)AFP/Christophe KOFFI, Marthe Bosuandole
「ルンバ・ロックの帝王」として知られるコンゴ(旧ザイール)の国民的歌手パパ・ウェンバさんが4月24日、コートジボワールの最大都市であるアビジャンで行われた音楽祭の公演中に倒れ、その後、病院で死去した。66歳だった。死因は心臓発作。ステージ上であおむけになって倒れ込む様子は、現地テレビ局で生中継された。
1949年、当時のベルギー領コンゴのカサイ・オリエンタル州の村ルベフで生まれた。69年から伝説のオルケストル(バンド)「ザイコ・ランガ=ランガ」のオリジナルメンバーとして活動を開始。77年には自身のオルケストル「ヴィヴァ・ラ・ムジカ」を結成し、国民的スターとなった。
ザイールの伝統音楽とロックを融合させた無骨でパンチのあるサウンドが特徴。「ルンバ・ロック」「ルンバ」と呼ばれ、日本にもファンが多く、旧ザイールの公用語だったリンガラ語から「リンガラ・ポップス」とも呼ばれた。86年には「ヴィヴァ--」として来日公演も行った。
80年代後半、活動の拠点をキンシャサからパリに移したウェンバさんは、自らを中心とする国際的なグループを結成。白人ミュージシャンや女性歌手をメンバーに招き入れ、アフリカはもとより欧米でも高い評価を受けた。
20年近くウェンバさんの写真を撮り続けていた写真家の酒井透氏は「ウェンバの功績の一つはキューバ音楽をベースにしながら、ザイールの伝統音楽とロックを融合させ、独自のポピュラー音楽を作り出したこと。もう一つは音楽の中にファッションを取り入れたこと。ヨウジヤマモトやジャン・ポール・ゴルチエなど、ブランドの洋服を着てマイクを握ったのです」と語る。
ザイールのミュージシャンは普段着でステージに立っていたが、ウェンバさんがステージに取り入れたファッションは一大ムーブメントとなり、若者たちに広まった。それがコンゴを発祥の地とするサプールという文化。全身高級ブランドに身を包み、街を闊歩するおしゃれな若者の集団を指すまでになった。
【NQNニューヨーク=横内理恵】9日の米株式市場で鉱業大手のフリーポート・マクモランが大幅安で始まった。株価は前週末比1.04ドル(8.8%)安の10.75ドル前後で推移している。同日、コンゴ民主共和国に銅山を持つTFホールディングス株を中国企業に26億5000万ドル(約2850億円)で売却すると発表した。売却益は債務の削減に充てる。収益期待が大きい事業を売却したとの見方もあり売りが優勢になった。
BMOキャピタル・マーケッツによると、同事業は「長期的に拡大余地の大きい資産だが、鉄道などインフラ投資が不足しているため、開発における障害が大きい」事業だという。フリーポートは2013年以降に石油・ガス事業を拡大していたため、最近の原油相場急落の影響を大きく受けていた。今年に入って財務改善のために資産売却進める方針を示していた。
【NQNニューヨーク=横内理恵】(米東部時間10時45分、コード@FCX/U)9日の米株式市場で鉱業大手のフリーポート・マクモランが大幅安で始まった。株価は前週末比1.04ドル(8.8%)安の10.75ドル前後で推移している。同日、コンゴ民主共和国に銅山を持つTFホールディングス株を中国企業に26億5000万ドル(約2850億円)で売却すると発表した。売却益は債務の削減に充てる。収益期待が大きい事業を売却したとの見方もあり売りが優勢になった。
BMOキャピタル・マーケッツによると、同事業は「長期的に拡大余地の大きい資産だが、鉄道などインフラ投資が不足しているため、開発における障害が大きい」事業だという。フリーポートは2013年以降に石油・ガス事業を拡大していたため、最近の原油相場急落の影響を大きく受けていた。今年に入って財務改善のために資産売却進める方針を示していた。
【ニューヨーク=稲井創一】米鉱山大手フリーポート・マクモランは9日、コンゴ民主共和国に銅山を持つTFホールディングスの株式を中国のモリブデン社(CMOC)に26億5000万ドル(約2850億円)で売却すると発表した。資源安で業績が悪化しているフリーポートは資産売却で財務体質を改善する。
フリーポートは2016年12月末を期限としてCMOCに限って売却交渉を進める。16年10~12月期中に売却作業を完了させたい考えだ。
「16年に入って40億ドルの資産売却を発表しており、さらに株主価値の引き上げに努める」。フリーポートのリチャード・アドカーソン最高経営責任者(CEO)は9日の発表文で声明を出した。2月には米モレンシー銅鉱山(アリゾナ州)の権益13%を住友金属鉱山に10億ドル(約1140億円)で売却するなど資金捻出を急いでいる。
欧米企業の鉱山権益を巡っては中国企業が獲得する例が相次いでいる。
【5月11日 AFP】格闘技の世界ではある程度のアグレッシブさは必要かもしれないが、五輪大会に出場することを目指し、トレーニングを開始したコンゴ(旧ザイール)出身のポポレ・ミセンガ(Popole Misenga)さん(24)のそれは、少々度が過ぎた--。コーチの言葉を借りるなら「残忍」ですらあった。
コンゴ出身の柔道家であるミセンガさんは、8月のリオデジャネイロ五輪に参加する「難民チーム」への登録を目指す選手の一人。今回の大会では史上初めて、紛争などで母国を逃れた難民のアスリートたちから成る多国籍チームが出場することが決まっている。
ミセンガさんは、1998~2003年のコンゴの内戦を若くして経験し、恐怖と飢餓、絶望によって「無情」になった。
「彼はとても残忍だった」と、これまで五輪チームを何度も指導してきたベテランのブラジル人コーチ、ジェラルド・ベルナルデス(Geraldo Bernardes)氏は言う。同氏は現在、ブラジル人柔道選手で五輪銅メダリストのフラビオ・カント(Flavio Canto)氏がリオデジャネイロ(Rio de Janeiro)に立ち上げたNGOのトーレニング施設で、ミセンガさんら有望選手を指導している。
ミセンガさんは、リオのスラム街(ファベーラ)にある窓のない寝室一部屋のアパートで、ブラジル人パートナーのファビアナさんと、2人がもうけた1歳の息子、そして彼女の連れ子3人と一緒に計6人で暮らしている。1年前にはトレーニング施設でのけんかも絶えなかったが、今はだいぶ穏やかになったという。
彼の母親は既に死去しており、父親の行方は分からない。きょうだい3人とは離れ離れになった。幼い頃に一人で必死で森に逃げたことだけは覚えているという。
ミセンガさんはコンゴ東部のブカブ(Bukavu)から逃げ、難民キャンプにいたときに柔道を習った。ブカブでは内戦が終わった現在も情勢は不安定だ。
■世界すべての難民の代表に
ミセンガさんの柔道はみるみる上達し、コンゴの国内チャンピオンにもなった。それでも、内戦で負った傷を柔道が癒やすことはなかった。
当時のトレーニングについては、地獄そのものだったと話す。「どんなことをしてでも勝てと教え込まれる。勝てないと数日間にわたり隔離され、食事も半分しか与えられない」と説明した。
2013年、ミセンガさんはリオで開催された世界柔道選手権に出場するためにブラジルを訪れた。ポルトガル語はまったく話せず、所持金もなかった。それでも、別の女性選手と一緒にチームから逃げ出し、リオのスラム街に住んでいたアフリカ人たちの家に身を寄せた。
ファベーラは住居を構える場所としてはあまり理想的ではない。ミセンガさん一家が暮らす界隈(かいわい)も、麻薬密売のギャングたちが幅を利かしている。母国とは違い戦争は起きていないが、犯罪率は高い。それでも、住民同士のつながりは強く、移り住んできた彼らのことは歓迎しているようだ。
リオ五輪に出場する難民チームの候補選手に選ばれたミセンガさんには給付金が出ている。これまで働いていた建設現場での仕事を辞め、食事も健康的になった。ポルトガル語のレッスンも受けられるようになり、選手引退後はフォークリフトの操縦者になる目標を掲げている。
1歳の息子が遊ぶ姿を見て笑顔を見せたミセンガさん。「この子は強い。ファイターになるだろう」とつぶやいた。
パートナーのファビアナさんによると、彼の夢は、母国に残るきょうだいを見つけてブラジルに連れてくることなのだという。
難民チームの候補選手は6月の初めに5~10人に絞り込まれる。選手としての能力のほか、難民のステータスやそれぞれの「事情」が判断の基準となる。
開会式で行進できるのは、最後まで勝ち残った数人だけだ。「私は世界のすべての難民の代表となる」--そう語るミセンガさんは、自分が誰のために闘っているのかをしっかりと認識しているようだ。(c)AFP/Sebastian Smith
【5月14日 AFP】北朝鮮がコンゴ(旧ザイール)に輸出した拳銃が、中央アフリカに駐留している国連(UN)の平和維持活動(PKO)要員の手に渡っていることが分かった。国連が報告書で明らかにした。
AFPが13日に確認した同報告書によると、北朝鮮製のものに特徴が類似している拳銃が国連中央アフリカ多面的統合安定化ミッション(MINUSCA)に派遣されているコンゴの軍と警察の一部要員に支給されていることが明らかになったと専門家パネルが指摘した。
同国の兵士と警官によれば、これらの拳銃は2014年に北朝鮮の教官約30人が同国で大統領警護隊や特別警察部隊の訓練を行った際に支給されたという。
さらに同報告書は、同種の拳銃が同国の首都キンシャサ(Kinshasa)で闇取引されていると指摘している。北朝鮮は国連制裁により兵器の輸出を禁止されている。(c)AFP
(CNN) 国際刑事裁判所は21日、アフリカ中部コンゴ(旧ザイール)の副大統領だったジャンピエール・ベンバ被告に対し、隣国中央アフリカ共和国での戦争犯罪と人道に対する罪で禁錮18年の判決を言い渡した。
ベンバ被告の指揮下にあった部隊は2002年10月から03年3月にかけてクーデター未遂鎮圧のため隣国中央アフリカ共和国に派遣され、ベンバ被告はこの間の殺人、強姦、略奪にかかわったとして国際刑事裁判所で有罪判決を受けた。
判決では、特に無防備な被害者に対して残忍な強姦が行われるなど、犯行は「極めて重大」だったと認定した。
「コンゴ解放運動(MLC)」の指導者だったベンバ被告は、2003年に暫定政権の副大統領に就任した。検察によると、同被告は自分が指揮するMLCの部隊による戦争犯罪のことを知っていたとされる。
同被告の裁判には5200人を超す被害者が参加を認められ、補償の対象となる。
ベンバ被告は2008年5月にベルギー当局に逮捕されて翌月同裁判所に引き渡され、今年3月21日に人道に対する罪や戦争犯罪で有罪判決を受けていた。
刑期にはこれまで拘束されていた8年間が算入される。
【リオデジャネイロ=共同】リオ五輪に初参加している「難民五輪選手団」の柔道2選手が10日、試合に出場した。ともに紛争のコンゴ(旧ザイール)を逃れてブラジルで練習に励む男子90キロ級のポポル・ミセンガ選手と、女子70キロ級のヨランデ・ブカサ・マビカ選手が懸命に闘い、ひとりは勝ち星を挙げて、大きな拍手と声援が起きた。
24歳のミセンガ選手は初戦の2回戦を突破。3回戦で敗退したが、試合後、テレビカメラに向かって「僕は元気に生きている。気付いたら連絡してほしい」と、生き別れた兄弟へ涙のメッセージを送った。
コンゴ代表時代は試合に負けると収容所に入れられたという。この日は「負けたのは悔しいが、力を出し切った。気持ちいい」と納得の様子だった。
初戦で敗れた28歳のマビカ選手も感激の面持ちだった。「幸せな時間だった。いつか世界から難民がなくなり、母国代表として闘えることを願っている」と希望した。
リチウムイオン2次電池の材料などに使われるレアメタル(希少金属)、コバルトの国際価格が急上昇している。2カ月前より16%高い。電気自動車(EV)向けの電池需要が拡大する一方で、供給量は減少している。車載用電池向けレアメタルでは、リチウムも高値が続いている。レアメタル需要は総じて低迷しているが、電池向けは好調な需要が続きそうだ。
コバルトは国際スポット(随時契約)価格が8月下旬時点で1ポンド12.65ドル前後。直近安値の6月上旬から16%上昇し、約10カ月ぶりの高値だ。「7~8月は夏の不需要期で相場が安値で推移するが、今年の動きは珍しい」(ある専門商社)
コバルトはコンゴ民主共和国が世界生産の半分を占め、ニッケルや銅の副産物が多い。ニッケルや銅は国際価格が安値圏にあり、鉱山会社の減産や操業停止が相次ぎ、コバルト供給も減っている。今年のコバルト生産量は昨年比5~6%ほど減るとの見方が多い。
コバルト需要はEVなど車載用電池向けが増えている。中国など世界的なエコカー増産で電池の正極材に使われるコバルトは今後も伸びが期待される。民間調査会社の富士経済(東京・中央)によると、車載用リチウムイオン電池の世界市場は2019年に8200億円と14年に比べ2.5倍に拡大する見通しだ。
英調査会社ロスキルによると、世界市場でのコバルトの用途別割合では03年はニッケル合金向けが22%と最も多く、電池向けは16%だったが、13年にはニッケル合金向け18%に対し、電池向けが35%に拡大した。
米国を中心に航空機のエンジンに使うスーパーアロイ(耐熱用超合金)向け需要も好調だ。航空機受注が増え、長期的な需要増が見込まれる。
コバルト含有量は携帯電話の電池で6割ほどだが、車載用電池は1割程度。ただ使用量が車載向けの方が圧倒的に多く「省コバルト化は進んでいるが、消費総量は増えている」(東京の商社)。
日本の需要家は四半期から1年といった長期契約購入が主流だが、スポット価格を参考に値決めするため「今後の価格動向は注視していく」(非鉄金属商社)。スポット市場での購入は今の価格では手が出しにくい状況だ。年末に向けて15ドルをめざして上昇するとの見方もある。
車載電池向けはリチウムも高い。国際価格指標の一つ、中国国内のスポット価格は8月下旬現在、1トン11万7000元前後(約1万7500ドル)。1年前の2.7倍で、コバルトとともに高値が続くとの見方が多いが、つくし資源コンサルの渡辺美和代表取締役は「最大需要国の中国の動向が焦点となる」と話す。
米国のNPO(非営利団体)「ギブパワー財団(Give Power Foundation)は25日、発展途上国や後進国の電化をオフグリッドの太陽光発電システムで支援する「ミニグリッド・プログラム(Minigrid Program)」を開始したと発表した。
支援の対象として、教育、水、健康、食の安全、経済開発、通信、環境保全の7分野を定めている。
同財団は従来、貧困な地域で米SolarCity社が設置した太陽光パネル1MWにつき1つの学校に照明機器を提供するといった慈善活動を行っていた。今回のミニグリッド・プログラムでは、その取り組みを学校以外の分野に拡大する。
世界中の未電化地域で信頼性の高いエネルギーを提供することで、安全や治安を高めると同時に、電力によって住民に収入を得る機会を提供したいとしている。
同財団のミニグリッドは最大50kWで、太陽光パネルと定置型蓄電池で構成する。これにより、莫大なコストがかかる送電網や配電線といった従来の電力インフラを必要とせず、貧困な地域の小さな村落や一団の建築物に電力を供給できるという。
ギブパワー財団の最初のミニグリッド・システムは、コンゴ民主共和国の東部にあるユネスコの世界遺産「ビルンガ国立公園(Virunga National Park)」に設置された。同公園はアフリカで最初の国立公園として生物多様性の保全地域となっており、絶滅危惧種のマウンテンゴリラの約4分の1が生息している。
コンゴの同プロジェクトは、再エネ技術で人々の暮らしや環境の改善に取り組んでいるNPOの「Empowered by Light」との協力によって実現したという。
同プロジェクトで設置した太陽光発電システムにより、ビルンガ国立公園内で勤務する自然保護官が、保安灯やラジオとなどの電化製品を活用できる。それが、野生動物を保護する業務の遂行に役立つとしている。
さらに、今回ビルンガに設置された太陽光発電のプロジェクトは、国立公園の周辺に暮らす400万人の居住者にクリーンなエネルギーを届けるという野心的な計画を持つ「ビルンガ・アライアンス(Virunga Alliance)」を補完することにも繋がるという。
米NPO、発展途上国を支援する「ミニグリッド・プログラム」開始 マウンテンゴリラの保護に貢献、米SolarCityの再エネ事業を拡大
アフリカ中部の資源国・コンゴ民主共和国(旧ザイール)。東部では武装勢力が乱立し、20年以上も紛争状態が続く。原因とされるのが、同国で産出され、武装勢力の資金源になっているとされる希少金属タンタルなど「紛争鉱物」の存在だ。その採掘現場に朝日新聞記者が入った。
四輪駆動車で山道を約40分。山の合間から採掘現場が見えた。地下約20メートルの坑道で、男たちがノミとハンマーを使い、タンタルを含む鉱石を掘り集めていた。ヘルメットなどの防具はなく、10代前半の少年たちの姿も見える。
周囲の村から常時、約400人が働きに来ている。61歳の男性は「しょっちゅう落石や落盤があって危ないが、生きていくためには仕方がない」。14歳の少年は「学校には行きたいが、お金がないので働いている」と話す。
タンタルはスマートフォンなどの電子機器の製造に不可欠だが、コンゴ東部では武装勢力が採掘などに関与しているとされ、世界的に規制の動きが広がっている。(コンゴ民主共和国東部=三浦英之 コンゴ民主共和国東部=三浦英之)
■日米で規制の動き、調達元の特定困難
「1時間だけ取材を許可する」。記者は6月、ある鉱山企業の幹部の案内で「紛争鉱物」の鉱山に入った。コンゴ民主共和国東部。詳しい場所を書かないのが条件だった。鉱山では10代前半の少年を含む男たちが、山の地肌を削ったり、地下に坑道を掘ったりして採掘を進めていた。
幹部によると、鉱山の広さは約10平方キロ。希少金属タンタルを含む鉱石コルタンを年100トン以上採掘できる。国内では1キロあたり35ドル(約3500円)だが、東南アジアに持って行けば350ドル(約3万5千円)で売れるという。
幹部は「我々は合法的に事業をしている」と説明するが、国内では汚職が横行しており、「カネを払えば何でもできる。合法か違法かということはあまり意味がない」と話した。
朝日新聞の現地助手は3月と5月、武装勢力が支配する別の鉱山で、多数の子どもたちが働かされている様子などを確認している。今回、取材に応じた鉱山の幹部は「武装勢力もカネが必要。資源がカネになる限り、彼らも採掘をやめない」と述べた。
「この国の紛争は、資源の支配権をめぐる経済戦争だ。先進諸国は電子機器に不可欠な紛争鉱物を輸入することで、紛争の長期化に加担している」。東部ブカブで紛争で傷ついた女性たちの救済に取り組み、毎年ノーベル平和賞候補にあがる産婦人科医ドニ・ムクウェゲ氏(61)は、紛争鉱物が武装勢力の資金源になっていると訴えてきた。
国際社会は動いた。米国では2010年、タンタル、タングステン、スズ、金を紛争鉱物と規定し、流通に関する条項を含む米金融規制改革法が成立。上場企業に対し、自社製品に使われるこれらの鉱物の原産国などを調べ、公表するよう義務づけた。
しかし、精密機器には数千の部品が使われており、部品の仕入れ先も世界中に広がる。米政府の15年の報告書によると、対象の約1300社のうち「(コンゴなどの)対象地域から紛争鉱物を調達していない」と答えたのは24%。「対象地域から調達していた」としたのは4%で、「わからなかった」と答えた企業は67%だった。
日本でも電子メーカーなどで作る「電子情報技術産業協会」(JEITA)が11年、「責任ある鉱物調達検討会」を立ち上げ、対応に乗り出したが、15年の調査では約8割の企業が「すべての製錬所や精製所を特定することには困難がある」と回答した。
JEITAの山崎昌宏氏は「武装勢力の資金源となる鉱物は使わないという世界的な流れがあり、日本企業も説明責任を果たそうと困難さに向き合っているのが実情だ」と話す。
日本政府が主導する第6回アフリカ開発会議(TICAD6)が27日、ケニアのナイロビで開幕する。紛争鉱物について、日本もさらなる対応を求められる可能性がある。(コンゴ民主共和国東部=三浦英之 コンゴ民主共和国東部=三浦英之)
■紛争鉱物の取引が続く限り、紛争はなくならない
《ジェトロ・アジア経済研究所地域研究センター長・武内進一さん》 紛争鉱物の問題は、コンゴ民主共和国東部の紛争を長期化させている根本原因だ。多くの武装勢力が紛争鉱物の取引で得たカネを活動資金にしている。紛争鉱物の取引が続く限り、紛争はなくならない。
コンゴはここ数十年間、国連に貿易統計を出していない。従って、世界や日本との関係はわからない。日本側の統計によれば、日本は最近、ルワンダ、韓国、中国、南アフリカなどからタンタルを輸入している。ただ、タンタルの埋蔵量の多くがコンゴに偏っているとみられ、日本に入ってくるタンタルも第三国経由のコンゴ産である可能性がぬぐいきれない。
米国の法律で企業は原産国の開示義務を課せられたが、すべて追跡するのはほぼ不可能。日本側で規制することも難しいだろう。
コンゴ東部では内戦で治安が崩壊し、畑で農業をすることができなくなっている。生活資金を稼ぐため、子どもを含めて鉱物の採掘に依存しているのが実態だ。この地域でいかに治安を確保していくのかが直近の課題だ。国連などが平和維持活動などに取り組んでいるが、うまくいかない点も多く、出口が見えないのが実情だ。(聞き手・三浦英之)
◇
〈コンゴ民主共和国〉 1997年にザイール共和国から国名変更した。面積約234万5千平方キロ。銅、コバルト、ダイヤモンド、石油など資源が豊富。1人あたり国民総所得は380ドル。首都キンシャサ。国民の多くが極度の貧困の中に暮らしており、国連開発計画(UNDP)によると、平均余命や識字率、就学率によって決まる2015年の人間開発指数では188カ国・地域中、176位。
94年、隣国ルワンダで内戦が勃発し、多数派民族フツが少数派民族ツチを虐殺した。ルワンダをツチの武装勢力が制圧した際、フツ側の武装勢力が東部に逃げ込み、地域が不安定化して内戦状態に陥った。東部には武装勢力が乱立したまま残り、十数~数十の鉱山を支配するとされる。
◇
〈紛争鉱物〉 一般的には、紛争状態が続くコンゴ民主共和国やその周辺国で採掘され、流通するタンタル、タングステン、スズ、金の4種類を指す。一部が武装勢力の資金源になっていると指摘されている。タンタルはパソコンや携帯電話などのコンデンサー(蓄電器)に使われており、先進国を中心に需要が高い。
米国のNPO(非営利団体)「ギブパワー財団(Give Power Foundation)は2016年8月25日、発展途上国や後進国の電化をオフグリッドの太陽光発電システムで支援する「ミニグリッド・プログラム(Minigrid Program)」を開始したと発表した。
支援の対象として、教育、水、健康、食の安全、経済開発、通信、環境保全の7分野を定めている。
同財団は従来、貧困な地域で米SolarCityが設置した太陽光パネル1MWにつき1つの学校に照明機器を提供するといった慈善活動を行っていた。今回のミニグリッド・プログラムでは、その取り組みを学校以外の分野に拡大する。
世界中の未電化地域で信頼性の高いエネルギーを提供することで、安全性や治安を高めると同時に、電力によって住民に収入を得る機会を提供したいとしている。
同財団のミニグリッドは最大50kWで、太陽光パネルと定置型蓄電池で構成する。これにより、莫大なコストがかかる送電網や配電線といった従来の電力インフラを必要とせず、貧困地域の小さな村落や一団の建築物に電力を供給できるという。
ギブパワー財団の最初のミニグリッド・システムは、コンゴ民主共和国の東部にあるユネスコの世界遺産「ビルンガ国立公園(Virunga National Park)」に設置された。同公園はアフリカで最初の国立公園として生物多様性の保全地域となっており、絶滅危惧種のマウンテンゴリラの約4分の1が生息している。
コンゴの同プロジェクトは、再エネ技術で人々の暮らしや環境の改善に取り組んでいるNPOの「Empowered by Light」との協力によって実現したという。
同プロジェクトで設置した太陽光発電システムにより、ビルンガ国立公園内で勤務する自然保護官が、保安灯やラジオなどの電化製品を活用できる。それが、野生動物を保護する業務の遂行に役立つとしている。
さらに、今回ビルンガに設置された太陽光発電のプロジェクトは、国立公園の周辺に暮らす400万人の居住者にクリーンなエネルギーを届けるという野心的な計画を持つ「ビルンガ・アライアンス(Virunga Alliance)」を補完することにもつながるという。
(日経BPクリーンテック研究所 大場淳一)
[日経テクノロジーオンライン 2016年8月26日掲載]
【9月5日 AFP】国際自然保護連合(IUCN)は4日、世界の野生動植物の絶滅危機の度合いを示す「レッドリスト(Red List、絶滅危惧種リスト)」を更新し、中国の保護活動によって個体数が増えたジャイアントパンダについて、近い将来における野生での絶滅の危険性が高い「絶滅危惧IB類(絶滅危惧種)」から、絶滅の危険が増大している「絶滅危惧II類(危急種)」に引き下げた。一方、コンゴ(旧ザイール)で密猟が急増しているヒガシゴリラは、3段階ある絶滅危惧種の分類のうち最も危険度が高い「絶滅危惧IA類 (近絶滅種)」に1段階引き上げた。
IUCNによると、最新の調査における野生のジャイアントパンダの成獣の推定個体数は1864頭。幼獣の推定個体数を加えると約2060頭になるという。「広範囲にわたる一連の全国調査によって、個体数の減少に歯止めがかかり、増加に転じたことが示された」と、IUCNの報告書は述べている。
一方、現存する最大の霊長類とされるヒガシゴリラは、野生生息数がわずか5000頭に減少し、完全に絶滅する危険に直面しているとIUCNは指摘した。ヒガシゴリラには2亜種がいるが、このうちヒガシローランドゴリラは1994年には1万6900頭いたのが2015年にはたった3800頭に激減。専門家によると密猟が最大の原因だという。一方のマウンテンゴリラはやや個体数が回復したものの、880頭しか生息していない。
今回の更新により、地球上に生息する大型類人猿6種のうち、ヒガシゴリラ、ニシゴリラ、ボルネオオランウータン、スマトラオランウータンの4種がIUCNのレッドリストで「野生での絶滅まであと一歩」とされる「絶滅危惧IA類」に指定された。残るチンパンジーとボノボも「絶滅危惧IB類」に分類されている。(c)AFP/Kerry SHERIDAN
【9月20日 AFP】コンゴ(旧ザイール)の首都キンシャサ(Kinshasa)で19日、ジョゼフ・カビラ(Joseph Kabila)大統領の辞任を要求する抗議集会に参加しようとした人々と治安部隊が衝突し、デモの主催者側によると50人以上が死亡した。全国規模のデモ実施を訴えていた野党勢力は、反政府デモの拡大を呼び掛けている。
コンゴ政府はこの衝突の前にも、キンシャサで少なくとも17人が死亡したと発表しており、死者の数が増える恐れがあると警告していた。
野党勢力は発表した声明で「(反対派)連合は、現時点で50人の犠牲者が出たこと、警察と共和国防衛隊が実弾を発砲し、犠牲者が生まれたことを遺憾に思う」と述べ、さらに「今日の要求をひるむことなく訴え続けるために」20日に集結するよう訴えた。
19日に当局が中止した集会の目的は、2001年以降、政権を握っているカビラ大統領の辞任を要求するためのものだった。対抗勢力の間には、カビラ大統領が今年12月20日までの任期を憲法に違反して延長するのではないかとの懸念が広がっている。(c)AFP/Marthe BOSUANDOLE
【9月25日 AFP】コンゴ(旧ザイール)東部ベニ(Beni)で24日、銃声を聞いた群衆がパニックに陥って大混乱となり、13人が死亡した。地元当局が発表した。
ジーン・エドモンド・ニョナイ(Jean Edmond Nyonyi)市長は、「私服姿の兵士が酔って自身の銃を4回発砲し、パニックを引き起こした」と語った。13人の死因については「8人は川に飛び込んで溺れ、4人は事故、1人は心臓発作」だと説明した。
政情不安定な地域にあるベニでは、銃による暴力が深刻化している。ウガンダのイスラム武装勢力が加わる「民主勢力同盟(ADF)」による大量虐殺によって、2014年10月以降、700人超が死亡したという。先月13日にも51人が殺され、キンシャサ(Kinshasa)を拠点とする中央政府への大規模な抗議活動の引き金になった。(c)AFP
約20年も紛争状態が続くアフリカのコンゴ民主共和国で、性暴力が際限なく繰り返されている。被害者を治療し、ノーベル平和賞候補に挙がる婦人科医のデニ・ムクウェゲさん(61)が来日して朝日新聞の取材に応じ、解決に向けた協力を呼びかけた。
ムクウェゲさんは1999年、東部ブカブ近郊にパンジ病院を設立し、被害者への治療や精神的ケアなどを開始。2015年までに約4万8千人を診た。
活動開始時から、子どもの被害も増加した。08年、レイプされて女児を出産した母親が退院後に再び女児と共にレイプされて運び込まれた。ムクウェゲさんは「医療的な措置だけでは問題が解決しない」と考え、外部へのアピールを強化。活動が評価され、国連や欧州で表彰を受けた。
だが事態は改善の兆しを見せない。15年の国連報告書は司法制度の脆弱(ぜいじゃく)さを指摘。警察や政府軍の兵士も性暴力に関与していると非難した。ムクウェゲさんは「被害を警察に訴えても取り合われなかったり、もみ消されたりする」と話す。
昨年、被害者支援の調査をしていた同病院の女性スタッフが何者かから「調査を続けたらお前をレイプする」と脅迫され、3カ月後に実際に被害を受けた。警察に被害と保護を訴えたが動かず、女性はウガンダに亡命した。
暴力がはびこる背景には、同国の豊富な鉱物資源も関係している。立教大の米川正子特任准教授(国際関係)によると、武装勢力などが住民に恐怖心を与えて地域を支配し、課税や鉱山での強制労働などを通じて利益を得ているという。
同国で産出する鉱物は携帯電話などの電子機器にも使われる。米国では10年、タンタルなど4種の鉱物を「紛争鉱物」と規定し、自社製品に使う鉱物の原産国などを公表するよう上場企業に義務づける法律が成立した。だが、部品の流通経路や製造工程の複雑さから、調達元の特定は困難を伴う。
それでもムクウェゲさんは「経済がグローバル化した今、どの国も無関心ではいられない。ポケットに入っている携帯が、コンゴとあなたをつなげているかもしれない」と話す。
◇
ムクウェゲさんの活動を描いたドキュメンタリー映画「女を修理する男」が今月、第11回UNHCR難民映画祭の一部として東京と大阪で上映される。問い合わせは国連UNHCR協会(0120・972・189)。(中野寛)
<紛争の手段として残虐な集団レイプが行われ、「女性にとって世界最悪の地」と呼ばれるコンゴ東部で傷ついた女性たちの体と心の治療にあたってきたコンゴ人婦人科医ムクウェゲが初来日。講演では語りきれなかった性暴力の実態、性暴力が起こる構造、ノーベル平和賞候補とも言われるムクウェゲが置かれた環境などについて、日本でムクウェゲにアテンドした筆者が記す>
10月上旬にコンゴ民主共和国(以下、コンゴ)人の婦人科医、かつ人権活動家のデニ・ムクウェゲ医師(Dr. Denis Mukwege)が初来日し、コンゴ東部における性暴力と紛争鉱物について2回講演した。過去数年、ノーベル平和賞受賞有力候補に挙がっているムクウェゲ医師は欧米では非常に著名で、これまで国連人権賞(2008年)、ヒラリー・クリントン賞(2014年)、サハロフ賞(2014年)などさまざまな賞を受賞し、何回も欧米で講演している。しかし、東アジアの訪問は今回が初めてだ。
ムクウェゲ医師の初来日は予想以上に注目を浴びた。大手メディア8社から単独インタビューを受け、全国・地方新聞やテレビで大きく取り上げられ、その他、講演の参加者のブログが10万人以上によって閲覧された。
なぜこのような「ブーム」が起きたのだろうか。それには理由が3点挙げられるだろう。第1に、ムクウェゲ医師のカリスマ性、教養の高さとメッセージの強さから、誰もが同医師に人間としての魅力を感じたことだ。それは映画だけでなく、本人との対面を通して確認できた。第2に、ムクウェゲ医師の来日のタイミングが大変良かったことである。偶然にもノーベル平和賞の発表直前、そして今年6月以降、さまざまな会場で上映されているムクウェゲ医師のドキュメンタリー映画『女を修理する男』が、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の難民映画祭での上映時期と重なったことだ。
そして第3に、私が知る限り、性暴力ならぬ「性的テロリズム」(後述)、紛争鉱物とグローバル経済の関係性は日本で初めて取り上げられたテーマであることだ。我々が使用している携帯電話内にコルタンというレアメタルが含まれているが、その多くが、コンゴ東部で採掘されたいわゆる「紛争鉱物」(当該鉱物の採掘・流通にともなう利益が、政府あるいは武装勢力によって紛争資金に利用されている鉱物)である可能性が高い。その紛争鉱物と携帯電話の関係について過去約15年間にわたって、日本のメディアは数回報道してきた。しかし、今回、テレビ番組の「コンゴの医師が訴え、"性暴力"意外な背景」や「コンゴ紛争と日本、意外な接点とは」といったタイトルからわかるように、紛争鉱物と性的テロリズムとの関係は日本人にとって新しい発見であっただろう。しかも、その性的テロリズムが性的欲求ではなく、経済的な理由から組織的に生じていること、そしてそれが日本に住む我々の生活にも直結している事実にショックを受けた人は多かったに違いない。
ただムクウェゲ医師のメッセージが必ずしも十分に伝わらなかったと聞いている。その上、性的テロリズムの影響力、東京大学の講演で起きた一人デモの背景、ムクウェゲ医師が勤務するコンゴ東部の現状、そして同医師がノーベル平和賞を受賞する価値についても十分に理解していない人が多いと思う。そのため、本稿では、メディアで報道されなかったムクウェゲ医師のインタビューなどをもとに、解説を補足したい。なお講演の内容は既に上記のブログやツイッターで拡散されているために、本稿では取り上げず、またコンゴの紛争下における性暴力、紛争鉱物とグローバル経済の関係性については寄稿文を参照していただきたい。
性的テロリズムの影響力・破壊力
紛争下の性暴力は長年にわたって「戦争の武器」と呼ばれており、それは、日本を含むアジア以外に、ヨーロッパ、アフリカや南米など世界各地の紛争地で使われてきた。しかし地域によって、性暴力の理由が異なることがある。例えば、ボスニアやルワンダでは、敵側の住民を完全に根絶するために、性暴力が民族浄化戦略の手段として使われ、HIVを故意に感染させる行為も行われた。コンゴにおいても性暴力が住民やコミュニティーの破壊という目的を有するものの、それによって軍隊や武装勢力が鉱物資源を支配できるという経済的側面があることがコンゴの性暴力の特徴だ。このような性暴力と紛争鉱物が関係している現象は、国連も「紛争関連の性暴力」報告書(1)で指摘している。コンゴ以外に、今年のノーベル平和賞を受賞したコロンビアにおいても、武装グループ、不法採掘、麻薬の違法売買と性暴力の関係性が見られるという。
マーゴット・ヴァルストレム(Margot Wallstrom)前紛争下の性的暴力担当国連事務総長特別代表がコンゴ東部を「世界のレイプの中心地」と呼び始めた2010年前後から、「女性にとって世界最悪の地」の実態がもっと浮き彫りになった。それは、ムクウェゲ医師という、「集団レイプによって生じる体内の傷を治療する世界一流の専門家」がアドボカシーを続けてきたおかげであろう。性暴力は命を産みだし育てる存在としての女性とその性器を破壊する意図を持って行われるために、ムウウェゲ医師は本行為を性暴力ではなく、「性的テロリズム」と呼んでいる。これは決して過去の話ではなく、現在も続いており、ムクウェゲ医師が手術するケースとはレイプによる性器破壊が原因で生じている。
性的テロリズムが「戦争の武器」として使われるのは、それが有効でかつ安価な武器だからであり、若者、特に失業中の若者を洗脳すれば、即使用できる。その上、性的テロリズムは1人に対して使われる武器だが、それは被害者の周辺で水平と垂直の方向に打撃を与える強力で影響力のある武器でもある。まず水平(家族、コミュニティー)に関して、サバイバーの女性の夫や子供たちなど家族全員にトラウマが広がった後に、恐怖心がコミュニティー全体と社会に拡散し、最終的に社会が破壊される。さらに、垂直方向(次世代)にも影響が及ぶが、それはレイプのサバイバーから生まれた子どもたちは望まれないまま生まれたために人間関係の問題に、そして子どもたちの父親がわからないという家系の問題に直面する。その子どもたちはエイズにかかっている可能性があるため、サバイバーの子孫たちを含む家族全体が破壊される。身体的にも精神的にも受けた打撃は殺害と同じように深刻であることがわかるだろう。
その性的テロリズムは、あらゆる方法で家族やコミュニティーを破壊する力を有する。その方法とは、例えば、夫や子どもたちの前で犯される集団レイプから、女性の性器にさまざまなモノが挿入されるものなど。ある女性は7人の武装勢力要員にレイプされた際に、7人目の男性がその女性の性器に銃をねじこみ発砲した。そのため彼女の性器全体が木端微塵にちぎれ、細かい肉の断片になってしまった。またある時は、熱で溶かしたゴムなどが性器に流し込まれたり、また化学物質を使って性器に大きな穴が開けられ、直陽と性器(膣)、あるいは尿道と性器(膣)がつながって失禁状態を引き起こすケースもある。12カ月の赤ん坊はレイプされた上に、性器だけでなく腹部に至るまで完全に引き裂かれた。
このような残虐な方法は主に鉱山地域付近の住民に対して使われているが、それはその住民を強制的に追放・移動させて、最終的に国軍や武装グループが鉱山を支配するためである。
鉱山地域の住民が邪魔であれば、性的テロリズムという方法ではなく、いっそ殺戮した方が簡単ではないかと疑問を抱く人もいるだろう。しかし、ムクウェゲ医師は、加害者にとって性的テロリズムは利点が2点あると言う。
第1に、時おり例外もあるが、性的テロリズムはその証拠を残すことができず、また他人に見せることができないという点だ。例えば、1000人の市民が殺戮されると、世界中のメディアが現場に飛んで撮影し、その証拠となる死体の場所を尋ねるだろう。後述のように、国連によると、1990年代後半にルワンダ軍とコンゴの反政府勢力が「ジェノサイド」と特徴づけられる罪を犯したために、特にルワンダ政府は批判を浴びた。そのため、そのような目立った方法は使われなくなっている。その代わり、不可視化された、かつより有害な大量殺戮の方法である性的テロリズムが使われているという。もし1000人の女性がレイプされたら、その中の10%しか勇気を持って自分の身に起こった事を話さないだろうが、その際に証拠を安易に見せることはできない。それは、被害を受けた身体の部分が女性としては他人に見せにくい部分であるためだ。
第2に、性的テロリズムの残虐さを見せつけられたコミュニティーの住民が、抵抗する気力を失って従順になり、鉱山労働に依存せざるを得なくなる点だ。サバイバーの多くは、「自分はもう人間ではなくなった」と言う。彼女らは生かされてはいるが、実際には自分の人生に価値があると感じられなくなり、生きたいという気持ちを失う。コンゴ東部にはサバイバーは大勢いるため、そのような意気阻喪の感情はその家族や村・コミュニティーの住民にも拡散し、したがってコミュニティー全体が弱体化する。村の生計を支える農作業においては女性の働きが重要であるが、直腸まで達するような傷を受けると働けなくなるため、栄養失調になったり、世界食糧計画(WFP)の食糧援助に依存しなければならない住民も増えているという。コンゴ東部が穀倉地帯であるのにもかかわらずだ。農業生産が減少するため、村が経済的な損失を受けて、ますます男性による鉱山労働に依存せざるを得なくなる。これは、加害者、つまり国軍や武装勢力にとって非常に都合がよい。なぜなら、鉱山での労働環境は大変苛酷であるために、従順な奴隷労働者を要しているからだ。
ムクウェゲ医師は、核兵器や化学兵器を規制するのと同様に、戦争の武器としての性的テロリズムも規制されなければならないと語った。
現在も続く殺戮
東京大学でのムクウェゲ医師の講演では、会場にいた1人の若いコンゴ人が壇に上がり、ムクウェゲ医師の横に立ち、手にしていた紙を頭上に掲げた。
「性暴力、日本の株式会社も共犯」
これは、日本の製造会社が、携帯電話、コンピュータその他の消費者家電製品内に含まれているコンゴ産の鉱物を入手することで、現地の性暴力に間接的に関与している可能性を意味しているだろう。
続けて、このコンゴ人は "Je suis Beni"(私はベニ)と書かれた紙と、ベニで殺戮されたであろう子供の惨い死体の写真も掲げた。コンゴ東部・北キブ州のベニという町付近では、2014年10月以降の2年間、市民に対する攻撃が約120回起き、その結果、約1000人の市民が殺戮されている。2016年5月に住民50名以上が殺害される事件があった際に、ムクウェゲ医師もパンジ病院の公式HPで遺憾の意を表明した。以前、私はコンゴ東部に勤務した際に出張でベニによく行ったが、金(ゴールド)と木材が豊富な場所であり、これらを支配するために住民が殺戮されていると言われている。殺戮事件を受けて、活動家などが「私はシャーリー」(2)(シャーリーを支援します)ならぬ、「ベニを支援します」というメッセージをソーシャルメデイアで流した。
一般的に言われているのは、この殺戮の加害者は、1995年以降コンゴ北東部にいる、ウガンダのイスラミスト系反政府勢力(ADF)であることだ。しかしある調査によると、市民を守るはずのコンゴ軍が逆に攻撃し、しかも市民一人を殺害すると250米ドル(約25,000円)の報酬がもらえると言われている。
国連の機密報告書も、殺戮の責任者がコンゴ軍であり、同軍の将軍が市民を殺害する目的でADFをリクルートし、資金を提供し、そして武装したことを明記している。
コンゴ東部の紛争について簡単に説明しよう。1990年代後半以降、コンゴ東部にはADFのような外国反政府勢力、国内の反政府勢力や民兵を含む、少なくとも40の武装勢力が相互に、またコンゴ軍やルワンダ軍と戦闘しているため、紛争が20年間続いていると言われている。コンゴ軍は治安回復のために、それらの反政府勢力に対して掃討作戦(敵を排除するための軍事活動)を行ってきたが、なかなか紛争は治まらない。
それもそのはずだ。ベニに限定すると、コンゴ軍とADFは戦闘しているというより、実は「協力関係」にあるからである。例えば、国連専門家グループの最新報告書によると、コンゴ軍はADFに弾薬、制服と食糧を提供したことが明らかになっている(3)。同様に、ルワンダ軍とルワンダの反政府勢力も政治的に敵対関係にあると認識されているが、同様に経済的に協力し合っている(4)。
さらに悪いことに、世界最大級のPKOである国連コンゴ民主共和国安定化ミッション(MONUSCO)はコンゴ軍だけでなく、反政府勢力との「協力」を通して、「紛争」の長期化に加担している。例えば、インド軍のPKO要員はルワンダ反政府勢力(FDLR)を武装解除せず、国連の食糧配給をその反政府勢力に金(ゴールド)と引き換えに横流しをしていることが報道された(5)。また2009年に、コンゴ軍主導の対FDLRの掃討作戦が実施され、悪名の高かった作戦として知られている。それは、子ども兵士の徴集の容疑で国際刑事裁判所(ICC)に起訴されていたボスコ・ンタガンダというコンゴ軍の将軍(6)が本作戦を主導したからで(7)、MONUSCOがその後方支援を担当していた。MONUSCOは、ンタガンダ将軍がこの掃討作戦を主導したことを否定したが、ンタガンダ将軍の関与が真実であれば、PKOは戦争犯罪人と協力していたことを意味する。スキャンダラスな問題として報道された(8)。
このように政治的に敵対関係にあると信じられているアクターが、実は経済的サバイバル、天然資源の搾取や土地の支配のために、現地に混乱状態を意図的に長期化させ、そして相互の存在を活用しあい協力が生まれることがある。コンゴ東部の長期化した「紛争」はまさにさまざまなアクターが演じている「茶番劇」であり、「喜劇」とさえ呼んでいるコンゴ人もいる。
上述のように、ムクウェゲ医師によると、国軍と武装勢力は証拠を残さないためにも殺戮ではなく性的テロリズムでコミュニティーを破壊している。では、なぜベニでは現在も殺戮が続いているのか。この殺戮が現在進行形であるため現時点で十分に分析できない。が、推測としては、コンゴ軍がADFというイスラミスト系勢力をスケープゴートとして使っているのか、あるいはベニから住民を追放しなければならない特別で緊急の理由があるのか。ただ一つ事実として言えることは、ベニ付近には3000人のPKO要員がいるにもかかわらず、その殺戮を止められないことである。
France 24というフランスのメディアは2016年8月16日、「コンゴ・北キブ州、忘れられた戦争」というテーマで、ベニにおける殺戮について議論した。しかし二者以上のアクターが戦闘している「戦争」ではなく、コンゴ軍と反政府勢力が一方的に市民を殺戮している。
東大での一人デモの若者が、ベニにおける殺戮にフラストレーションと怒りを抱いていたことは明らかであろう。
ルワンダに「偽装占領」されているコンゴ東部
ムクウェゲ医師の活動拠点であるコンゴ東部のブカブは南キブ州の州都であり、かつ過去20年間、「紛争」の中心地でもある。紛争地なので当然大変難しい環境と想像できるが、その難しさのレベルについて理解している人は非常に少ないと思う。
コンゴ東部は「第一次アフリカ大戦」と呼ばれたものも含めて、1996年から和平合意が成立した2002年まで武力紛争が続いたが、現在も上記のように「茶番劇」的な「紛争」が継続している。もっと正確に言うと、1996年9月にルワンダ軍とルワンダ政府の代理である「コンゴ」武装勢力がコンゴ東部に侵攻し、現在もルワンダ軍がコンゴ東部を「偽装占領」し続けている。だが、例えばイスラエルがパレスチナに入植地を建てて、あからさまに軍事占領していることは国際的に認識されているのに比べて、コンゴ東部の占領は不可視化しているため認識されていない。
なぜ認識されていないのか?それには理由が3点ある。
第1に、1920年代以降、ルワンダ人(多数派フツと少数派ツチ)が移民や難民としてコンゴ東部に半強制的に移動したために、コンゴ東部にはルワンダ系住民が多く、コンゴの国籍を取得したことだ。ルワンダ人の中でも特にツチが1960年代以降、コンゴの政治と経済に影響を及ぼし、それが現在でも続いている。
第2に、コンゴは一応独立した国家であるが、1997年以降、政治・軍事組織がルワンダの直接的な影響の下に置かれていることだ。コンゴ国家の主要なアクターはルワンダ人であると信じられ、その代表的なアクターがジョセフ・カビラ現大統領である。そのため、コンゴ政府は1998~2000年を除いて、2001年以降、ルワンダ政府の代行としてコンゴ東部に占領してきた「コンゴ」反政府勢力を非難したことがない。
第3に、コンゴの大戦以降の2002年に、ルワンダ軍を含むすべての外国軍がコンゴの領土から即時撤退が要求されたにもかかわらず、ルワンダ軍は完全に撤退しなかったことだ。それどころか、PKOによる平和構築の名の下で実施されたコンゴ軍の「軍統合」の際に、ルワンダ軍(「コンゴ」反政府勢力がその代理)とルワンダ反政府勢力はコンゴ軍に「潜入」(infiltrate)したのである。そのルワンダ軍・諜報機関の幹部は、コンゴの国籍をこっそりと取得した。
ルワンダ軍による「偽装占領」だけが問題ではない。1998年と2010年の国連報告書によると、1996~7年にルワンダ軍らはルワンダ難民とコンゴの市民に対して「ジェノサイド」と特徴づけられる罪を犯した。それに加えて、1994年、ルワンダの「ジェノサイド」のきっかけとなった大統領機の撃墜に関しても、当時のルワンダ政府軍(多数派フツが主導)ではなく、当時のルワンダ反政府勢力、つまりルワンダ現政権(少数派ツチが主導)が犯したとのことだ。これは、カガメ大統領の元側近の証言によるものである(9)。ルワンダの「ジェノサイド」も、通説によるとフツ過激派がツチを殺戮したとのことだが、逆にツチもフツを殺戮したことが国連のグソーニー報告書やルワンダ軍の離脱者の証言によって明らかになっている。これが真実であれば、ルワンダの「ジェノサイド」は「ダブル・ジェノサイド」(10)、あるいは内戦と呼ばれるべきだ。
実はルワンダとコンゴ東部における紛争の実態は、1990年代後半以降、国連調査団、国連専門家グループやフランスの判事らによって何度も公表されてきたが、その紛争中に犯された重大な罪について米国とイギリスが主導している安保理では議論されることはこれまで一度もない。
これらすべての罪の責任者は、ルワンダのカガメ大統領である。ルワンダの研究者・活動家として著名なフィリップ・レインツエンスは、同大統領を「おそらく世界の現職の国家元首で、最悪の戦争犯罪人」と呼んでいる(11)。そのため、多くのコンゴ人はルワンダ政府に対して嫌悪感と恐怖感を抱いており、ルワンダ人自身もそのことを承知している。
ムクウェゲ医師はその感情を口にしないものの、大湖地域(コンゴ、ルワンダ、ウガンダとブルンジ)における政治的意思の欠乏、コンゴ政府が国民の保護という義務を果たしていなく、平和も法の正義(justice)もないことなど非難を続けている。また、「性的暴力にノー!戦争にノー!国家の分裂計画にノー!」という政治的な発言もしたことがある。ここでいう「国家の分裂計画」(balkanization)とは、「領土を第一次世界大戦後のバルカン諸国のように、お互いに政治的に敵対する小国家に分裂させる」という意味で、ルワンダによるコンゴ東部の併合計画に言及した。
ルワンダのカガメ政権も同政府の傀儡と言われているコンゴのカビラ政権も、ムクウェゲ医師のこのような発言を面白くないと思っているはずだ。その証拠として、国際メデイアの高い注目度とは裏腹に、報道の自由がないコンゴ地元ではムクウェゲ医師の実績を報道しているメディアはない。あるとすれば、例えば「ムクウェゲ医師は性暴力のサバイバーを治療していると言っているが、実際は彼自身がその加害者だ」といった中傷記事のみである。
コンゴの国外でコンゴとルワンダ政府に批判をするコンゴ人の活動家は多いが、コンゴ国内、しかもルワンダに侵略されている東部でそれを実行することは相当な危険が伴っている。事実、2007年、国連PKO(MONUSCO)のコンゴ人ジャーナリストがブカブで暗殺され、2010年に、ブカブ出身の著名なコンゴ人の人権活動家が首都キンシャサで暗殺された。後者の人権活動家は過去27年間コンゴで活動し、モブツ独裁政権(1965-1997年)中、何回も逮捕されながらも一応、活動する「自由」はあった。その彼が、2010年にカビラ大統領の秘密を暴露する予定にしていたが、その数週前に暗殺された。このニュースに多くのコンゴ人と国際人権団体はショックを受け、潘基文国連事務総長までが声明を発表したほどである。
このように、カビラ現政権ではモブツ政権時代と違って、ジャーナリストや人権活動家は急速に殺されているため、ムクウェゲ医師も恐れていたのに違いない。同医師も2012年10月に暗殺未遂にあっており、その直後、一時的にヨーロッパに避難した。現在はMONUSCO要員に守られながらパンジ病院内に住み、病院外に出る際も、MONUSCO要員数人に保護されながら移動するという自由が全然ない生活を送っている。
前述のように、MONUSCOはコンゴ軍とも反政府勢力とも協力関係にある。それに加えて、MONUSCOの任務である文民の保護はほとんど果たしておらず、また情報収集とインテリジェンスに欠乏しているとも言われている。よって、PKOに対するコンゴの市民の不信感は非常に高い。コンゴとルワンダにおけるPKOの歴史を振り返ると、1960年代にも当時世界最大級のPKOがコンゴに派遣された中で、ルムンバ初代首相が暗殺された。1994年ルワンダのジェノサイドが始まる前に、PKOは既に派遣されていたが、「ジェノサイド」を防ぐことができなかった。そのため、いざという時、PKOが本当にムクウェゲ医師を保護するのか疑問である。
以上からわかるように、コンゴ東部は単なる紛争地や無政府状態だけではなく、ルワンダとコンゴ東部で犯された「ダブル・ジェノサイド」の責任者とされるルワンダ軍によって偽装占領されている。その上、コンゴ軍もPKOも頼りにならない。そのような状況で医療とアドボカシー活動を継続していることを考えると、ムクウェゲ医師の勇気、苦労と偉大さが理解できるだろう。
ノーベル平和賞受賞以上の価値を有する医師
ムクウェゲ医師は時間の25%をアドボカシー活動に費やし、女性の人権の尊重を訴え、特に紛争下の性暴力を止めるために世界各地を回っている。訪日中の講演やメディアのインタビューで、世界におけるhumanity(人間性)の必要性を何度も訴えたが、同医師はまさしくそのhumanityを有している。講演やメデイアのインタビューではコンゴの状況について話したが、ムクウェゲ医師にアテンドした私との会話の中では、ボスニアやコロンビアなどで出会った性暴力のサバイバーの話が出た。コンゴ東部の現状だけでも最悪なのに、世界で同様な状況に置かれているサバイバーにも目を向け、グローバルに考え行動している姿に胸を打たれた。まさしくThink globally and act locally ではなく、Think and act both locally and globallyの方である。
そのため、ムクウェゲ医師がノーベル平和賞受賞を目的に活動していないことを理解しつつ、今年も受賞を逃してしまったのは正直残念である。ノーベル平和賞以上の価値を有する方だと確信しているからだ。
ムクウェゲ医師は、コンゴ人にとっても、また北アフリカを除くサブサハラアフリカ仏語圏の人間にとっても、初めてのノーベル平和賞受賞の候補者である。これまでのアフリカ出身の受賞者は、南アフリカ、ガーナ、ケニア、リベリア、ナイジェリアであり、全員が英語圏だ。日本では、アフリカをひとまとめにしてしまう傾向があるが、英語圏と仏語圏の間にはちょっとしたライバル意識がある。なので、受賞すると、世界の女性、特に紛争下の性暴力のサバイバーだけでなく、アフリカの多くの国々にとって大きな励ましになることは間違いない。
それだけではない。ムクウェゲ医師が受賞すると当然国際社会は同医師の実績を称賛し、それはコンゴの現カビラ大統領に圧力を与えることになる。同大統領は今年12月20日までの任期を憲法に違反して延長するのではないかとの懸念が広がっており、野党や多くの市民がカビラ大統領の辞任を要求している。報道の自由がないコンゴでは、ムクウェゲ医師の実績が報道されていないために同医師の実績を知らない市民が多いが、国外にいる多くのコンゴ人にとってムクウェゲ医師は希望の星であり、同医師に大統領になってもらいたいと切願している人は多くいる。
その一方で、ムクウェゲ医師がノーベル平和賞を受賞した時の懸念も抱いていた。同医師が受賞することは、コンゴと近隣国のルワンダなどの政府がコンゴ東部の性的テロリズムの加害者であることを国際社会が認識したことを意味する。その場合、ルワンダやコンゴ政府からの嫌がらせを受けるのではないか、あるいはコンゴ東部で働き続けることが難しくなるのではないかと心配した。天然資源大国であるコンゴは、過去130年間、ベルギー、アメリカや他の大国や近隣国によって資源が搾取され続けてきた。ムクウェゲ医師は性的テロリズムの加害者だけでなく、紛争鉱物を搾取している責任者(つまり、性的テロリズムの加害者と同人物)も非難しており、国連もこれまで紛争鉱物の搾取に関する報告書を毎年のように公表してきたが、国連はそれ以上の行動をとったことがない。ムクウェゲ医師や多くのコンゴ人がどれだけ落胆していることが想像できると思う。
***
ムクウェゲ医師の初来日のおかげで、性暴力と紛争鉱物に関する認知度が一気に高まったという意味では、来日の価値は大いにあったと言えるだろう。ムクウェゲ医師は企業や消費者を含む日本社会にて、アドボカシー活動を続ける必要性と価値を確認した。それに加えて、欧米諸国では見られない、日本人のサービスの質の高さ、勤勉さや整理整頓の文化が印象に残り、コンゴ人のメンタリテイーを変えるためにも日本の良さからもっと学びたいとも話していた。次回の来日がいつになるかわからないが、今後も引き続き本テーマについて議論をする機会を設け、紛争鉱物の規制に向けて行動に移すことができるようベストを尽くしたいと考えている。
ムクウェゲ医師の活動やコンゴの性暴力の実態について知りたい方は、映画『女を修理する男」をご覧ください。
<上映日程>
静岡県立大学 10月24日
岡山大学 11月4日
恵泉女学園大学 11月6日
上智大学 11月17日
沖縄産科婦人科学会 11月18日
長崎大学 11月25日
神戸市立外国語大学 11月30日
宇都宮大学国際学部 12月10日
早稲田大学 12月14日
同志社大学 12月22日
アムネスティー・インターナショナル日本支部1月28日
[執筆者]
米川正子
立教大学特任准教授、コンゴの性暴力と紛争を考える会の代表。今回のムクウェゲ医師の初来日を企画・アテンドした。
国連ボランティアで活動後、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)では、ルワンダ、ケニア、コンゴ民主共和国、スーダン、コンゴ共和国、ジュネーブ本部などで勤務。コンゴ民主共和国のゴマ事務所長を歴任。宇都宮大学特任准教授を経て、2012年11月から現職。専門分野は紛争と平和、人道支援、難民。著書に『世界最悪の紛争「コンゴ」~平和以外に何でもある国』(創成社、2010年)など。
(1)S/2015/203, 23 March 2015 > 本文へ
(2)2015年1月、フランスにある風刺週刊誌の「シャーリー・エブド」本社で12人が死亡したテロ事件後、表現の自由を支持する人たちによって掲げられたスローガン。 > 本文へ
(3)UNSC, S/2016/466, 23 May 2016, para. 200 > 本文へ
(4)UN Group of Experts, S/2002/1146, 16 October 2002, para. 68 > 本文へ
(5)Martin Plaut, 'Congo spotlight on India and Pakistan', BBC, 28 April 2008 > 本文へ
(6)ボスコ・ンタガンダは、同時に「コンゴ」反政府勢力CNDPの将軍も兼任していた。ICCは2012年にも、ンタガンダに戦争犯罪および人道に対する罪の容疑で2回目の逮捕状を発行した。逮捕状には、ンタガンダの国籍が「『ルワンダ人』と信じられている」と記述されている。ンタガンダは2013年3月にルワンダに逃亡しICCに自主的に投降したが、それは自己保身のためであった可能性が高い。 > 本文へ
(7)UNSC, S/2009/603, 23 November 2009, para.183 > 本文へ
(8)BBC, 'Congo Ex-Rebel "Working with UN",' April 29, 2009. > 本文へ
(9)Abdul Joshua Ruzibiza, 2005, Rwanda: L'historie secrete. Paris: Panama, 241-245 ; Theogene Rudasingwa, 2013. Healing A Nation, A Testimony: Waging and Winning a Peaceful Revolution to Unite and Heal Broken Rwanda. South Carolina: CreateSpace Independent Publishing Platform, 413-415. > 本文へ
(10)ダブル・ジェノサイド説は、1994年前のルワンダ旧政権と当時の反政府勢力のRPF(現政権)がジェノサイドに関与したことを意味する。1994年6月、フランスのアラン・ジュペ外務大臣(当時)がジェノサイドについて執筆した際、双方が罪を犯しているという意味を示唆して、複数形のジェノサイド 'genocides'を用いた。フランスのフランソワ・ミッテラン大統領(当時)も1994年11月に行われた演説で、同様の表現を使った。RPFの元メンバーのアブデゥル・ジョシュア・ルジビザ氏もまた、ダブル・ジェノサイドを明白に論じている。Juppe, 'Intervenir au Rwanda', Liberation , June 16, 1994; Mitterand, 'Discours de Monsieur Francois Mitterand', Biarritz, 8 November 1994, 4; Ruzibiza, Rwanda. L'histoire secrete, 328-336. > 本文へ
(11) Filip Reyntjens, Political Governance in Post-Genocide Rwanda(Cambridge University Press, 2013) > 本文へ
ノーベル平和賞以上の価値があるコンゴ人のデニ・ムクウェゲ医師 -性的テロリズムの影響力とコンゴ東部の実態-
【10月20日 AFP】紛争状態が続くアフリカ中部コンゴ民主共和国で、絶滅危惧種のゴリラの個体数が激減しており、今後5年以内に姿を消す恐れがあると警鐘を鳴らす研究結果が19日、発表された。
米オンライン科学誌プロスワン(PLOS ONE)に掲載された論文によると、世界最大の霊長類であるグラウアーゴリラ(ヒガシローランドゴリラ、学名:Gorilla beringei graueri)は、野生に3800頭しか残されておらず、「壊滅的な減少」を示しているという。1996年に旧ザイールで内戦が勃発する前までは、1万7000頭近くが生息していた。同国は1997年にコンゴ民主共和国に改称した。
論文の主執筆者で、米野生生物保全協会(WCS)のアンドリュー・プランプトリ(Andrew Plumptre)氏は「グラウアーゴリラが窮地に陥っていることは分かっていたが、どのくらい減少したかについては、誰も明確に把握していなかった」と述べる。約20年前に始まった紛争により、ゴリラの個体数調査が困難になっていたことがその背景にある。武装した鉱山労働者らによる食肉目的のゴリラの狩猟も増えたという。
グラウアーゴリラは、9月に発表された国際自然保護連合(IUCN)の「レッドリスト(Red List、絶滅危惧種リスト)」に「絶滅危惧IA類」として記載されたヒガシゴリラ亜種のうちの一種だ。もう一方の亜種のマウンテンゴリラ(学名:Gorilla beringei)も徐々にその個体数を減らしている。
グラウアーゴリラについて研究チームは、保護の取り組みを強化しなければ、5年以内に生息範囲の多くの地域から姿を消す可能性があると危惧を表明。保護地域内での鉱山採掘を中止させることや、軍隊に野生生物を保護させることなどが、戦略の一部として考えられると指摘した。(c)AFP
紛争原因となる資源流通の世界的制御は可能か?
タンタルは携帯電話やパソコン製造に不可欠の資源だ。そして他の希少メタルと共に、長期にわたりコンゴ紛争諸武装勢力の重要な資金源となっている。つまり携帯を使う私たちは意図せざる紛争加担者であり、紛争犠牲者の間接的加害者なのだ。本書は、日本など先進国と紛争地をつなぐ複雑な資源流通メカニズムの検証を通じて、先進国消費者に対し加担責任の自覚を促し、コンゴを典型とする紛争解決へ向け、私たちができる方策を多角的に追求した、渾身の労作である。
目次
序 章 消費者の社会的責任を問い直す
第1章 「つながり」でとらえる社会的責任
第2章 世界経済の中のコンゴ
第3章 コンゴにおける紛争資源問題
第4章 消費地における紛争資源問題
第5章 日本にとっての紛争資源問題
終 章
参考文献一覧
索引
【ナイロビ=共同】コンゴ(旧ザイール)東部の北キブ州で27日、地元民族ナンデ人の民兵組織が村を襲撃し、銃や刃物で少なくとも住民34人を殺害した。フランス公共ラジオなどが伝えた。現場は別の民族フツ人の村で、地元政府関係者は民族間の対立が背景にあるとみている。
コンゴ東部は多くの武装勢力が活動し、紛争が続く。同ラジオによると、ナンデ人はフツ人が他の武装勢力を支援していると批判し、フツ人はナンデ人から迫害を受けていると主張している。
映画『女を修理する男』DVD発売記念上映会と講演会を開催いたします。ご関心のある方は事前申し込みの上、ご参加ください。
申し込みフォーム
【イベント概要】
日時:3月31日(土)18時45分~21時20分 (開場 18時30分予定)
場所:JICA地球ひろば 国際会議場(2F)
案内図
東京都新宿区市谷本村町10-5(JICA市ヶ谷ビル内)
料金:1,000円
※事前申し込みをお願い致します。
※当日参加も可能ですが、残席ない場合はご入場いただけません。ご了承ください。
プログラム:
18時30分 開場
18時45分から20時37分 / 映画『女を修理する男』上映 (112分)
20時40分から21時10分 / 講演 華井 和代さん、八角幸雄さん 司会 関根健次(ユナイテッドピープル代表)
21時10分から21時20分 / Q&A
主催:ユナイテッドピープル
共催:コンゴの性暴力と紛争を考える会
問い合わせ:ユナイテッドピープル
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コンゴ民主共和国では、5月8日、北西に位置するエクアトゥール州でエボラウイルス病の流行が公式に宣言されて以降、同国の保健大臣は37の症例が確認されたことを明らかにした。現在までに、エボラウイルス病の感染が判明した9人の患者が回復し、エボラ治療センターを退院した。感染拡大の抑止について、ワクチン接種という対応の甲斐もあり、保健当局は楽観的である。このエボラウイルス病の感染拡大抑止に関する対策は、研究所における検査でエボラウイルス病と診断された新規患者および感染者と接触した二次感染者達を把握するという戦略に基づいて取り組まれている。今週末、ワクチンを受けた人々の数は、1,000人というシンボリックなラインを超えた。
(略)
Y. Hirayama、AJF、作成の参考訳があります。必要でしたらsaito@ajf.gr.jpへ連絡下さい。
Ebola en RDC: les autorit$eacute;s sanitaires optimistes sur le contrôle de l’$eacute;pid$eacute;mie
エボラウイルスが確認された最新症例の報告から、22日が経過した。この症例と何らかの関わりを持った人々は、現在のところ、感染の兆候を示すことなく、エボラウイルスの潜伏期間である21日間を終えた。
保健大臣の見解では、コンゴ民主共和国での9回目のエボラウイルス病流行に関し、現段階が終息宣言に繋がるカウントダウンへの始まりということだ。また、42日間-2期の潜伏期間-、新たなエボラウイルス病発症が報告されずに、無事に経過したときに、同国で流行終息を表明できることを明らかにした。
(略)
Y. Hirayama、AJF、作成の参考訳があります。必要でしたらsaito@ajf.gr.jpへ連絡下さい。
RDC: vers la fin de l'épidémie d'Ebola
性暴力に対する非難、被害者の社会復帰、フェリックス・チセケディ(Félix Tshisekedi)大統領の選出、ジョセフ・カビラ(Joseph Kabila)との連立政権… ノーベル平和賞のデニ・ムクウェゲ(Denis Mukwege)がジュンヌ・アフリック(Jeune Afrique)に対し、コンゴの政治状況に関する自身の闘いや悲観的な見方について語る。
《女を修理する男》と呼ばれるデニ・ムクウェゲにもはや紹介は不要だ。ルクセンブルグで3月26日、27日に行われた《立って、話して、立ち上がろう!(Stand Speak Rise Up!)》のフォーラムの討論会に参加し、拍手喝采で迎えられたこのノーベル平和賞受賞者でありイベントの主賓は、瞬く間に会場にいる他の参加者の注目を集めた。
この討論会で、生涯を性暴力との闘いにかけたムクウェゲは熱心なスピーチを行い、聴衆をすっかり魅了した。彼は《有害な男らしさ》に反対し、《生まれた時から男女平等を教える教育》に好意的な《前向きな男らしさ》を唱える。また、《戦争犯罪にあたる暴力》を終わらせるため数多くの提案を取り上げ、残虐行為に対する国際社会の沈黙を非難する。《国際社会の目を覚まさせるには、コンゴ人の最後の一人まで殺さなくてはならないのでしょうか?》と今日彼は問いかける。
ノーベル平和賞の受賞以来、闘いにはより多くの賛同が寄せられ、このコンゴ人医師は引っ張りだこになり、コンゴにいる機会が随分減ってしまっている。《確かに、コンゴのテレビ番組で私のことは報道されませんでしたが、それは大して重要なことではありません。真実はいつも最後に勝利するのです。》とこの人道支援活動家は断言し、また《非常に政治的》であると自認するように、自国が民主主義に向かうよう意見を表明する。
真の《都市を俯瞰する市民》であるデニ・ムクウェゲはジュンヌ・アフリックに対し、自身の闘いやフェリックス・チセケディの(大統領)選出について語り、12月(選挙)の代償は《仮面》の政治だと述べる。新しい閣僚は未だに指名されていないが、デニ・ムクウェゲは前大統領陣営をそのまま維持するのと同じことだとして、新大統領による、ジョゼフ・カビラのプラットフォームで計画されたような《連立政権》を警戒している。彼はむしろ、政府の多数派と合意できない場合には、大統領が柔軟に対応できるような制度的枠組みとなるコアビタシオン(保革共存政権)を唱える。
ジュンヌ・アフリック(JA):あなたには今日、性暴力の被害者に話をしていただくために来ていただきました。ここに逃れてきた多くの《生存者》が主にアフリカ出身であることについて、どう説明されますか?
デニ・ムクウェゲ:性暴力が戦争の武器であることを踏まえると、このフォーラムにアフリカ出身の生存者が出席しているのは重要なことです。また、残念ながらアフリカでは多くの紛争が起きています。ヨーロッパやラテンアメリカよりも多いのです。しかし混同すべきではありません。性暴力はアフリカや民族、大陸の問題ではありません。それは世界的な問題であり、対立が起きている場所のあちこちで広がっているのです。イスラエルとパレスチナ間の紛争では唯一、この残忍な行為が確認されていません。
JA:あなたは開会の辞で、性暴力を非難する全ての国によって引かれるべき《レッドライン(赤い線)》の考え方について取り上げました。それによって何ができるのですか?
デニ:紛争下にある多くの国で、女性は性暴力を受け、完全に破壊されています。国際社会は《不干渉》の名の下に目を背けています。この沈黙、この偽善を、私は強く非難します。一国の主権の尊重を主張するのであれば、その国の人々の主権を守り、彼らの声に耳を傾けるべきです。
私はこの虐待、性暴力、女性性器の破壊を非難する全ての国に対し赤い線を引く、つまり制裁を課すことを求めます。誰であろうと、それを越えたら非難されるべきです。まずは外交断絶、そしてこの残忍な行為の加害者と扇動者へのビザ発給拒否がなされるべきです。
次に、資産凍結です。私腹を肥やしたり、子供たちを炭鉱で奴隷のように働かせたりするために性暴力を犯す者は、経済制裁を受けるべきです。私はまた、全ての性犯罪者が国際司法裁判所で裁かれることに賛成です。
JA:今後、《性暴力》を女性及びそのコミュニティ全てを蝕んでしまう《大量破壊兵器》として定義すべきということでしょうか。
デニ:その通りです。私は最近、コンゴ中心部のカサイ(Kasaï)州で起きたように、性暴力が公に行われることがあると知りました。そのような状況に居合わせた全ての人が無傷ではいられないということからも、大量破壊兵器です。被害者は身体的、精神的トラウマに苦しみ、その周囲の人々も傷つきます。
この兵器は社会を脆いものにします。社会的結束を壊し、最も精神的ショックを受けやすい子供たちは、いつ爆発してもおかしくない時限爆弾のような状態になってしまうのです。
JA:治療を受けた被害者を、あなたはどのように社会復帰させるのですか?
デニ:パンジ(Panzi)病院は私が設立しましたが、そこにやってくる女性はしばしば身体と心が切り離された解離症の状態にあります。私たちはまず身体的治療を行い、次いで心理的ケアをします。場合によっては続いて、経済的な社会復帰に取り組みます。若い被害者には特に教育を通した復帰を促しており、このフォーラムにもパンジで治療を受け、心理学と財務管理の学士号を取得した生存者の一人が出席しています。
より年配の女性では子供がいることもありますが、被害者へのリスクは生計を立てる能力がない場合により高まるため、再び経済的に自立できるようにします。
JA:あなたは、《コンゴでの罪逃れに対する闘いには権力者が関わっているため、内部から止めることはできない》とおっしゃっています。フェリックス・チセケディの選挙でこの国の被害者の今後に希望が持てますか?
デニ:希望が持てるかどうかは、フェリックス・チセケディがその権限で何を行うかによると思います。コンゴで12月に実施された大統領選挙は茶番でした。選ばれた大統領は下院選で議席の10%も獲得できていません。フェリックス・チセケディがもし政治的コアビタシオンでコンゴを指揮するのであれば、憲法で謳っているように、協力体制にないジョセフ・カビラがとる全ての行動を撤回することができるでしょう。反対に、連立政権の選択は、ジョセフ・カビラに忠誠を誓うのを受け入れることを意味します。そうなれば、政権交代について話題にすることはもうできないでしょう。
最終的には、コアビタシオンを選択する強さと勇気があれば、フェリックス・チセケディは変化をもたらすことができるでしょう。
JA:チセケディ大統領にその勇気はありますか?
デニ:選ばれた大統領が宣誓してから2か月が経ちますが、コンゴには未だに政府がないということに触れておきます。行動によって判断したいところですが、今日まで何もなされていません。
しかし、もしフェリックス・チセケディがコアビタシオンによる政権運営を選択すれば、彼は将来を思い通りにする決心をすることになります。彼には人々がついていますし、おそらく国際社会の後押しもあるでしょう。その反対は、彼と自身の政党である民主社会進歩同盟(UDPS、編集部注)の政治的自殺行為です。この場合、彼はブルーノ・チバラ(Bruno Tshibala、カビラ政権の最後の首相、編集部注)やサミー・バディバンガ(Samy Badibanga、前首相、編集部注)と同じ運命に苦しむことになるでしょう。
JA:カビラの影は今もキンシャサを覆っていますか?
デニ:カビラは居座り続けるため、コンゴで何か《斬新な》ことを企み、それを《選挙》と呼びました。投票の半年前、私はコンゴの人々に、この期日は選挙ではなく指名であると警告しました。私はまさにこの時に人々が一丸となり、次のように言って欲しかったのです。《あなたの任期は終わりです。あなたは3期目に立候補することも、選挙を行うこともできません》と。
闇に紛れたまま、私たちはカビラが動きだすのを許してしまいました。もしフェリックス・チセケディがこの問題に関与しなければ彼の地位は守られるでしょうが、私たちは何年もの間苦しむことになり、もはや手遅れになると私は思います。
JA:マルタン・ファユルは《投票箱の真実》を求め、選挙結果に異議を唱え続けていますが、(野党プラットフォーム)Lamukaのリーダーらは最近この闘いに距離を置いています。コンゴで反対派はどのような役割を果たすべきですか?
デニ:前大統領が独立国家選挙委員会(Ceni)とともに行った操作で、今日の私の立場は明確です。カビラの策略を止めなくてはなりません。大統領は憲法上唯一の権威者であり、コンゴ人は憲法を尊重しながら、フェリックス・チセケディが適切な方向に進むよう後押ししなくてはいけないのです。
私はマルタン・ファユルをとても尊敬しています。コンゴの政治階級の中にあって、信念を貫く人は稀です。最近考えが一貫しているのは彼だけですし、今後も闘いを続けていってほしいと思います。投票箱の真実は記憶のための闘いでなくてはなりません。もしマルタン・ファユルが闘いを止めてしまえば、最近の選挙で起きたことがまた将来繰り返されるでしょう。
きちんと政権交代がなされるには、必ず憲法を遵守させ、儀礼的な大統領の職務ではなく、適切な役割を果たすよう働きかけなくてはいけません。この闘いは、全てのコンゴ人のものであるべきなのです。
昨年8月の流行宣言から、イトゥリ州、北キブ州では既に764人がエボラウイルス病(エボラ出血熱:日本ではこう記述されるが、国際的にはEVDと記すのが標準)の犠牲となった。また、1140人の発症者が確認されている。国境なき医師団によると、3月には、週ごとに新たに確認された発症者が、それまでのほぼ3倍に増えた。4月12日(金)、WHOはこのような状況にもかかわらず、今回の流行が「国際的な緊急事態」には該当せず、現時点で事態はコンゴ民主共和国に限定されていると表明した。
3月19日(火)、たった1日で、新たな18人のEVD発症者が確認された。さらに、翌日20日(水)、この週に、発症者数は過去最大の記録を更新した。これまでに確認された発症例のみならず、今後は新たな場所での感染拡大が懸念される。
国境なき医師団によると、新たに感染した患者の半数は、恒常的にエボラ出血熱の発症者と関わるような状況にはなかった。EVDは、時に、対策チームが活動を行っていないエリアで突然発生することもあれば、すでに流行が鎮静化したと思われるエリアで、再び発生するということもあるのだ。
さらに気がかりなのは、今回調査対象となった発症者の約半数は、死亡後に感染が確認されているということだ。つまり、EVD治療センターが、ごく一部の人々の間でしか、機能していないのではないかという大きな疑いがある。赤十字は、木曜日の公式発表の中で「多くの人々は、積極的な治療行為を意識していません。」と、この事態を嘆いた。あるいは、地域の医療機関にかかることを選んだとしても、そのような施設は、しばしば設備が整っていると言えず、感染も日常茶飯事だ。この現実が、感染拡大にさらなる拍車をかけており、発症者と接触する前の検査実施をいっそう難しくしている。
ゴマのような、現在まで被害を免れていた大都市でも、不安定な気運という要素がEVDの感染拡大を引き起こすのではないかと危惧されている。また、近隣国においては、この数週間、国境での出入国管理の強化が続いている。
「流行を終息させるという私たちの決意は、変わらない」
WHOは、コンゴ民主共和国におけるEVDの流行について、金曜日に2回目の緊急会議を招集した。以下は、ジュネーブのJérémie Lanche特派員の報告である。2回目の緊急会議でも、WHOは警戒レベルを引き上げないという決断を下した。同機関は、コンゴ民主共和国への渡航制限を勧告するという選択肢もあったが、たとえそのような措置を講じたとしても、今回の流行に歯止めをかけることはできないと考えている。なぜなら、EVDの流行は、依然としてコンゴ民主共和国の国内で起きているからだ。また、特筆すべきは対策資金が不足しつつあるという現状である。
WHOの事務局長、Tedros Ghebreyesus氏は「EVDの流行を、国際的な緊急事態には当たらないと表明したが、だからと言って、この事態を必ず終息させるという私たちの決意は何ら変わらない」と強調した。「国際社会には、対策のための更なる資金投入を要請したい。私たちも、充分な資金がなければ、問題解決に向けたより良い対応を進めることができない。資金不足のために、コンゴ民主共和国の周辺国における予防活動も、縮小せざるを得なかったのだから。」
WHOは、EVD対策活動に向けて、1憶4800万ドルの資金投入を要請した。しかし、現時点で同機関に届いた額は、その半分にしか達していない。数週間前、Tedros Ghebreyesus事務局長は、エボラ出血熱の流行を、今後6か月以内に終息させたいと発言していたが、同氏は改めて、おそらく、それよりもなおいっそう長い時間が必要となるだろうことを、表明した。【参考訳:Y. Hirayama、AJF】
RDC-Ebola: pas une «urgence de portée internationale», selon l'OMS
● キンシャサ特別州におけるマスク着用義務化が開始された22日(水),警察官が同違反者を射殺等する事案が発生しました。
● 皆様におかれましては,これまでの政府発表措置を遵守するとともに,不用不急の外出は控え,また大勢の人が集まっている場所には近づかない等,慎重な行動を心掛けていただきますよう,お願いいたします。
1 22日(水),警察官がマスク着用義務違反者に対して発砲し,Kingasani ya Sukaにおいて男性1名が死亡,Masinaにおいて女性1名が負傷する事案が発生しました。発砲した警察官2名は即時拘束されました。いずれの事案も,警察官と同違反者の間の口論から発展し,警察官が感情をコントロールできず,発砲行為に及んだとのことです。
2 また同日,中央コンゴ州Songololoにおいて,BDK(分離主義的カルト宗教集団)と警察の間で衝突が起き,警察官2名を含む23名が死傷する事案が発生しております。BDKは3月30日にキンシャサ特別州Ma Campagneで,4月13日に中央コンゴ州Kisantu(警察官2名含む4名が死亡)で,同月15日に中央コンゴ州Boma(警察官1名含む6名死亡)で警察との衝突を繰り返しております。
3 在留邦人の皆様におかれましては,これまでの政府発表措置を遵守するとともに,関連情報に十分留意しながら,不用不急の外出は控え,また大勢の人が集まっている場所には近づかない等,慎重な行動を心掛けていただきますよう,お願いいたします。