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マラリアの新薬、乳児にも安全かつ効果大 ◆2007/11/28 外務省 シエラレオネ共和国に対するユニセフ(国連児童基金)を通じた無償資金協力(シエラレオネ共和国における感染症予防計画)に関する書簡の交換について ◆2007/11/29 AFP BB News 【トレンド】ケイティー・グランド監修「ギャップ」の豪華チャリティー商品 ◆2007/11/30 ケータイwatch ドコモ、M702iS(RED)で700人分の年間治療費を寄付 ◆2007/11/30 マイコミジャーナル ドコモ、「M702iS(RED)」を利用したHIV対策支援の取り組みを報告 ◆2007/12/06 MSN産経ニュース 【やばいぞ日本】第5部 再生への処方箋(3)「網の目」広げマラリア制圧 ◆2007/12/27 AFP BB News 歌手で活動家のゲルドフ氏が評価、「メルケル独政権はアフリカの命救った」 ◆2007/12/28 外務省 コートジボワールに対するユニセフ(国連児童基金)を通じた無償資金協力(コートジボワール共和国における第三次感染症予防計画)に関する書簡の交換について ◆2008/01/09 外務省 ジンバブエ共和国に対するユニセフ(国際連合児童基金)を通じた無償資金協力(ジンバブエ共和国における小児感染症予防計画)に関する書簡の交換について ◆2008/01/24 HNK アフリカ支援 ゲイツ氏と協力 ◆2008/02/04 AFP BB News 「人間の多様性は自然淘汰による」、仏研究報告 ◆2008/02/22 外務省 ブルキナファソに対する無償資金協力(「食糧援助」及び一般プロジェクト無償資金協力「マラリア対策計画」)に関する書簡の交換について ◆2008/02/27 時事ドットコム 2008/02/27-11:56 ナイジェリアのマラリア予防を支援=米エクソンモービル〔BW〕 ◆2008/02/29 外務省 世界エイズ・結核・マラリア対策基金に対する拠出 ◆2008/03/02 MSN産経ニュース 【グローバルインタビュー】アフリカで蚊帳を作る日本に感銘 ◆2008/03/04 外務省 ブルンジ共和国に対するユニセフを通じた無償資金協力「ブルンジ共和国におけるマラリア対策強化計画」に関する書簡の交換について ◆2008/03/09 asahi.com アフリカ 縮む巨大湖、蚊の巣窟に マラリアが高地にも ◆2008/03/10 外務省 リベリア共和国に対するユニセフ(国連児童基金)を通じた無償資金協力(リベリア共和国における小児感染症予防計画)に関する書簡の交換について ◆2008/03/13 外務省 人間の安全保障基金による「アフリカン・ミレニアム・ビレッジ(AMV)第2フェーズ」への支援について ◆2008/03/26 nikkansports.com 野口英世賞にケニアのウェレ博士ら ◆2008/03/27 KFB 野口英世アフリカ賞、英とケニアの博士に ◆2008/03/27 毎日新聞 政策:野口英世アフリカ賞に2博士 ◆2008/04/02 時事ドットコム 2008/04/02-09:00 開発目標達成に向け会合=国連 ◆2008/04/02 British Embassy 第1回野口英世アフリカ賞(医学研究部門)を英国のブライアン・グリーンウッド博士が受賞 ◆2008/04/24 国境なき医師団 アフリカ・マラリア・デー 2008 ◆2008/04/30 河北新報 アフリカ医療の現状知って 会津大で講演 ◆2008/05/19 外務省 「国際シンポジウム―沖縄から洞爺湖へ―『人間の安全保障』から見た三大感染症への新たなビジョン」の開催について ◆2008/05/23 外務省 福田総理大臣演説「国際シンポジウム―沖縄から洞爺湖へ―『人間の安全保障』から見た三大感染症への新たなビジョン」 ◆2008/05/23 外務省 世界エイズ・結核・マラリア対策基金に対する追加拠出について ◆2008/05/28 毎日新聞 野口英世アフリカ賞:両陛下が出席し授賞式 ◆2008/05/28 nikkansports.com ケニアのウェレ博士らに野口英世賞 ◆2008/06/20 外務省 ナイジェリア連邦共和国に対するユニセフ(国際連合児童基金)を通じた無償資金協力「ナイジェリア連邦共和国における小児感染症予防計画」に関する書簡の交換について ◆2008/06/20 外務省 コンゴ民主共和国に対する国際連合児童基金(ユニセフ)を通じた無償資金協力「コンゴ民主共和国における小児感染症予防計画」に関する書簡の交換について ◆2008/07/05 asahi.com マラリア死の半減目指す 日米首脳会談で協調へ ◆2008/07/10 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ここ数年、国際的な援助機関などがようやく、この問題に本格的に取り組みだした。世界保健機関(WHO)はマラリア対策を優先課題の一つに据え、マラリア対策専門の基金は2003年以降で2倍に増えている。中国の伝統薬や蚊帳から、最先端の多剤併用療法に至るまで、ありとあらゆる手段を駆使してマラリアを封じこめようというのである。制圧の決め手と期待されながらも一向にうまくいかない長年の難題、ワクチン開発に向けた研究も、日夜進められている。 こうした援助は主に、サハラ砂漠以南のアフリカに散らばる、マラリア流行の最も深刻な国々に注がれている。これらの国々がマラリアを克服できれば、地球規模の対策のお手本となるだろう。では、もし失敗したら? この問いに、関係者は誰も答えたがらない。 アフリカ南部の肥沃な灌木地帯にある内陸国ザンビアは、代表的な流行国だ。マラリアがこの国にどれほど壊滅的な打撃を与えているかは想像を絶する。5歳未満の子どもの罹患率が常時30%を超す州もある。 患者数以上に厄介なのは、ザンビアで猛威を振るっているマラリアのタイプだ。人間に感染する4種のマラリア原虫のうち、ずば抜けて恐ろしいのが熱帯熱マラリア原虫だ。世界の感染例の約半数、そしてマラリアによる死亡の95%を引き起こし、脳症の原因となるのもこのタイプの原虫だ。アフリカでは、朝には元気にサッカーをしていた子どもが、その晩に熱帯熱マラリアで命を落とすことも珍しくない。 マラリアはしぶとい病気だ。ザンビアでは感染を10回以上繰り返す人も多く、程度の差はあれ、統計上は国民全員がマラリアにかかっている時期ができてしまうほどだ。この国が世界の最貧国に名を連ねているのは無理もない。経済を立て直すには、まず国民が健康を取り戻す以外に道はないだろう。ザンビア政府は今後4年間で、マラリアによる死者を 4分の1に減らす目標を掲げている。 100%を超す罹患率 ザンビアに重くのしかかるマラリア禍の実態を知るには、まず首都ルサカを出て、奥地に向かうことだ。車で一路北をめざし、緑の原野やバナナの大農園、ザンビアの主要な輸出品である銅の鉱山を過ぎ、アンゴラ、コンゴ(旧ザイール)との国境に広がる森林地帯に分け入っていく。ほとんど都市化が進んでいないこの北西州の辺地では、赤土の小道を歩く以外に、外部との交通手段がない村も多い。2005年に実施された全国規模の調査によれば、北西州に住む5歳未満の子ども1000人当たり、1353人のマラリア患者が発生している。年間の罹患率が100%を超すというこの数字は、決して統計の誤りではない。1年のうちに2回も3回も感染する子どもがたくさんいるのである。 北西州では、医療サービスも行き届いていない。2500平方キロ以上の未開地が広がる北部に点在する村々では、子どもが重いマラリアにかかった時に頼れる医療機関は唯一、カリーン伝道病院だけだ。古びたレンガの壁に錆びたトタン屋根、今にも崩れ落ちそうなその建物が、マラリアと人間との闘いの最前線基地となっている。顕微鏡が1台、看護師が二人、自家用のディーゼル発電機でたまに供給される電気、非常勤の医師が一人(ただし、抗マラリア薬の備蓄だけは十分にある)。たったそれだけで、人々の命を守っている。 キリスト教の伝道団が1906年に設立したこの病院で、100年余り繰り返されてきた光景がある。毎年、雨期の訪れとともに、病気の子どもを布でくるんで抱きかかえた親たちが、各地から集まってくるのだ。 ほとんどの人が歩いて来る。国境の山道をたどり、川の中を歩き、灌木地帯を抜けて、何日もかけて来る人たちもいる。ようやく病院にたどり着くと、子どもの名前をタイプしたカルテが、看護師詰め所の古い木箱に入れられる。 フローレンス、エリジャ、アシリ。この子たちの親は猛暑や雨に耐え、月明かりもない真っ暗な夜道を歩いてきた。ピューリティ、ワトソン、ミニバ。意識のない子もいれば、泣き叫ぶ子、ひきつけを起こしている子もいる。ネルソン、ジャフィアス、クーケナ。小児病棟は、幼いマラリア患者でいっぱいだ。ベッドが足りず、床の上や中庭に寝かされる子もいる。メチリン、ミルトン、クリスティン。小さな体で必死にマラリアに抵抗する子どもたち。病院に着いた時から、生きるための壮絶な闘いが始まる。 体内で爆発的に増える原虫 熱帯熱マラリア原虫は、ハマダラカの唾液腺から、宿主である人間の肝細胞にたどり着くまでは、おとなしくしている。感染後もしばらくは見たところ健康で、肝臓にも病変のきざしはない。だが、マラリア原虫がまんまと入りこんだ少数の細胞では大騒ぎが起きている。原虫が栄養をとりこみ、分裂と増殖を繰り返しているのだ。増殖はほぼ1週間、休みなく続く。原虫にとりつかれた肝細胞は、ついには中身を食い尽くされ、増殖した原虫でぱんぱんにふくれ上がる。原虫の数はこの段階で、体内に侵入した時の4万倍に増えている。 原虫でいっぱいになった肝細胞が破裂すると、30秒もしないうちに、血流に放出された原虫は再び細胞内に潜りこむ。今度の標的は血液中の赤血球だ。続く二日間、原虫は赤血球内でひそかに増え続ける。食い荒らされて原虫でいっぱいになった赤血球はまたもや破裂し、血液中に大量の原虫がどっと放出される。 人体はここで初めて、外敵の侵入を察知する。免疫反応の開始とともに、頭痛や筋肉痛といった初期の症状が現れる。だが初感染の患者では、この免疫反応には原虫をやっつける効果はほとんどない。原虫は素早く赤血球に潜入し、増殖してはいっせいに血液中に飛び出すというサイクルを繰り返すからだ。 次の段階に入ると、体は外敵を熱で打ち負かそうとする。体温を上げるために筋肉がふるえ、悪寒が起きる。熱はぐんぐん上がり、患者はぐっしょり汗をかく。悪寒と熱と大量の汗。典型的なマラリアの症状だ。その間も原虫の爆発的な増殖は続く。分裂と放出のサイクルを繰り返すうち、血液中には何十億もの原虫がひしめく状態になる。 ここまで来ると発熱は限界に達し、体がもたないほどの高熱になる。文字通り死にもの狂いの抵抗だが、原虫には通用しない。それどころか、生き残るために宿主の細胞を操るという高等戦術までやってのける。熱帯熱マラリア原虫がとりついた赤血球の表面には、突起状の接着分子が生じることがある。こうした血球が脳の毛細血管に入ると、接着分子を介して血管の内壁に付着し、血流を妨げる。これに伴い、詳しい仕組みは不明だが、脳マラリアという最悪の症状が引き起こされる。 この時を境に、宿主の体は死に至る坂道を転がりだす。赤血球が大量に破壊され、生命維持に不可欠な酸素を運ぶ役割をほとんど果たせなくなるからだ。肺は呼吸しようとあがき、心臓は躍起になって血液を送り出す。血液は酸性になり、脳細胞は死滅する。患者の小さな体はなおも必死の抵抗を試み、激しくけいれんするが、最後は昏睡状態に陥る。 人類史に残るマラリアの足跡 マラリアはおかしな病気で、理屈や常識に合わない点が多い。 たとえば、ほぼすべてのマラリア患者を治療するのは、一人も治さないより悪い結果を招きかねない。これは、流行が一時的に収まると人々は免疫による抵抗力を失い、流行が再燃した時にはさらに多くの犠牲者が出てしまうためだ。湿地の保全が叫ばれる昨今だが、マラリアを防ぐには湿地などなくしてしまったほうがいい。鎌状赤血球貧血は、死に至ることも多い血液の重い病気だが、その遺伝子を受け継いでいると、熱帯熱マラリアにかかりにくいという利点がある。優秀な研究者が世界各地で新薬を開発中の今でも、最良のマラリア治療薬は、1700年前に見つかった薬草ともいわれる。 「マラリア原虫は、環境に適応してしぶとく生き残る天才です。人間は到底かないませんよ」と、米国立衛生研究所(NHI)のマラリア研究者ロバート・グワズは言う。 マラリア原虫は、現生人類であるホモ・サピエンスの誕生以前、初期人類の時代から私たちの体に寄生してきた。マラリア原虫もハマダラカも、はるか大昔からいた生物だ。マラリア原虫は、その長い進化の歴史を通じて、宿主の免疫系の弱点をたくみに突く手段を獲得してきた。宿主となる生物は人間だけではない。ネズミ、鳥、ヤマアラシ、キツネザル、サル、類人猿などのさまざまな動物をそれぞれの宿主とする、多様なマラリア原虫が存在する。 人類の歴史上、マラリアの魔手を逃れた文明はほとんどない。古代エジプトのミイラにはこの病気の痕跡があるし、古代ギリシャの医学の祖ヒポクラテスも特有の症状を書き残している。アレクサンドロス大王の死と大帝国の崩壊を招いたのも、フン族やチンギス・ハーンの軍勢の大遠征に待ったをかけたのも、実はマラリアだったのかもしれない。 マラリアという病名は、イタリア語のマル・アリア(悪い空気)に由来する。何世紀も流行が続いたローマでは、沼沢地から生じる毒気(瘴気)がその原因と信じられていた。 何人ものローマ法王がこの病気で命を落とし、イタリアの詩人ダンテの死因もマラリアだった可能性がある。通算すれば人類の半数はマラリアで死んだとみる研究者もいる。 >TOP [地球の悲鳴]世界で大流行 マラリアの迫りくる脅威(2) マラリアが世界で猛威をふるい、幼い命を奪っている。ザンビアなどでの制圧に向けた懸命な取り組み、ワクチン開発の最前線などをレポートする。(2) アンデスで見つかった特効薬 有名なマラリアの治療薬が初めて見つかったのは、現在のペルーとエクアドルにあたるアンデス地方だ。原料となるキナノキ(キナの木)はコーヒーと同じアカネ科の常緑樹。地元のインディオがキナキナ(樹皮の中の樹皮)と呼ぶ、この木の皮からとれる薬が「キニーネ」という名で世界中に広まった。 キナノキの種や苗木をヨーロッパに持ち帰ろうと、遠征隊が何度も派遣された。南米に渡った隊員たちはアンデスの山道をたどり、キナノキが生える雲霧林をめざした。過酷な行軍で命を落とす者も多く、なんとか持ち帰った苗木はほとんど根づかなかった。後にインド、スリランカ、ジャワの大農園で大規模な栽培が成功するまでの約200年間、マラリアの治療薬は原産地の南米から直接手に入れるしかなかった。 マラリア原虫の増殖サイクルを断ち切る作用をもつキニーネは、特効薬として、多くの命を救ってきた。だが、効き目が長続きせず、あまり頻繁に服用すると、時として聴力や視力の低下などの重い副作用が出るという欠点もあった。 1940年代になると、マラリア対策に役立つ画期的な新兵器が登場した。一つは、抗マラリア薬のクロロキンだ。化学的に合成できるこの薬は安価で安全、効果が長続きし、あらゆるタイプのマラリアを完全に治せるという、まさに奇跡の特効薬だった。 奇跡の発見は、もう一つあった。スイスの化学者パウル・ミュラーが、既知の化合物ジクロロジフェニルトリクロロエタン(DDT)がもつ殺虫効果を見いだしたのである。“史上最強の殺虫剤”DDTは病気を媒介する蚊やシラミなどの駆除に威力を発揮し、この功績でミュラーは1948年にノーベル医学・生理学賞を受賞する。わずかな量で何カ月も効果が持続するDDTを使って蚊を駆除することで、マラリア伝播のサイクルを断ち切れるようになった。 クロロキンとDDTという新兵器を得て、WHOは1955年に地球規模のマラリア撲滅計画に乗り出した。「10年間で一掃する」という目標を掲げて10億ドル(約1200億円)以上の資金を投入、蚊を駆除するために毎年何万トンものDDTが散布された。 撲滅に向けた地球規模の努力は一定の成果を上げた。カリブ諸国と南太平洋の多くの地域、バルカン諸国や台湾ではマラリアはほぼ制圧された。スリランカでは 1946年には280万件の感染例があったが、1963年にはわずか17件に減少。インドでも、マラリアによる死者は年間80万人からほとんどゼロにまで減った。 だが、WHOが掲げた目標の達成は、現実には不可能だった。熱帯の奥地にはなおもマラリアがはびこっていたが、資金がしだいに底を尽き、計画は1969年に打ち切られてしまった。当時、多くの国々は外国からの援助額減少や不安定な国内政治、貧困の深刻化に直面し、各国の公衆衛生当局は重すぎる負担に悲鳴を上げはじめた。 一度はほぼ根絶されたスリランカやインドでも、マラリアは再び勢力を盛り返した。サハラ砂漠以南のアフリカでは、そもそも撲滅計画が本格的に展開されることはなかった。 WHOの計画が破綻してまもなく、蚊の駆除に各地で活躍していたDDTが使えなくなった。マラリア対策のせいではなく、綿花などの栽培農家による使いすぎが問題となったのだ。安価なDDTを必要量の何倍も散布したことで、土壌への蓄積や、川や海の汚染が引き起こされた。 DDT は、ハヤブサやアシカ、サケには有害だ。1962年、DDTなどの農薬による生態系の破壊に警鐘を鳴らしたレイチェル・カーソンの著作『沈黙の春』が出版されると、これをきっかけに、農薬としてのDDTの使用はほとんどの国で禁止された。マラリア対策用には例外的に使用を認められたが、購入しようにも手に入らなくなった。 さらに追い討ちをかけるように、最悪の事態が起きた。各種の治療薬に耐性をもつ原虫の出現だ。マラリア原虫は猛スピードで増殖し、突然変異によりめまぐるしく進化を遂げる。クロロキン耐性をもつ原虫が偶然現れると、その遺伝子は後の世代に受け継がれ、薬剤にさらされるたびに、耐性をもつ原虫が増えていく。 マラリア対策では、どれだけ時間と資金と労力を費やしても、人間の手に負えない難題が立ちはだかる。絶えず突然変異を起こして環境に適応する寄生虫、マラリア原虫に生来備わった、そのしたたかな生き残り戦略だ。 ACT は強力な治療だが、いずれはこの薬にも耐性をもつ原虫が現れ、治療の手だてがなくなるのではないかと専門家は懸念している。DDTにしても、使用が禁止される以前にすでに、耐性をもつハマダラカの出現が各地で報告されていた。再び使われるようになった以上、DDT耐性の蚊が出現し、増えていくのは確実とみられる。しかも、地球温暖化がこのまま進めば、ハマダラカが今はいない高地や高緯度地域にまで、生息域を広げるおそれもある。 治療薬と殺虫剤と蚊帳という“三種の神器”だけでは、完全な制圧は望めそうにない。求められているのは、さらに決定的な武器だ。 ※以上の記事は月刊誌「ナショナル ジオグラフィック日本版」特集からの抜粋です。 >TOP 人類はマラリアとどう闘うか? 決め手を欠いた制圧策 * 2007年7月13日 金曜日 * 藤田 宏之 前回は、世界中で猛威を振るっているマラリアの実態について紹介した。では、予防や治療で、いったいどのような対策が進んでいるのだろうか? 有名なマラリアの治療薬が初めて見つかったのは、現在のペルーとエクアドルにあたるアンデス地方だ。原料となるキナノキはコーヒーと同じアカネ科の常緑樹。地元のインディオがキナキナ(樹皮の中の樹皮)と呼ぶ、この木の皮からとれる薬が「キニーネ」という名で世界中に広まった。 キナノキの種や苗木をヨーロッパに持ち帰ろうと、遠征隊が何度も派遣された。南米に渡った隊員たちはアンデスの山道をたどり、キナノキが生える雲霧林をめざした。過酷な行軍で命を落とす者も多く、なんとか持ち帰った苗木はほとんど根づかなかった。後にインド、スリランカ、ジャワの大農園でキナノキの大規模な栽培が成功するまでの約200年間、マラリアの治療薬は原産地の南米から直接手に入れるしかなかった。 マラリア原虫の増殖サイクルを断ち切る作用をもつキニーネは、多くの命を救ってきた。だが、効き目が長続きせず、あまり頻繁に服用すると、聴力や視力の低下などの重い副作用が時々出るという欠点もあった。 1940年代になると、マラリア対策に役立つ画期的な新兵器が登場した。一つは、抗マラリア薬のクロロキンだ。化学的に合成できるこの薬は安価で安全、効果が長続きし、あらゆるタイプのマラリアを完全に治せるという、まさに奇跡の特効薬だった。 発見は、もう1つあった。スイスの化学者パウル・ミュラーが、既知の化合物ジクロロジフェニルトリクロロエタン(DDT)がもつ殺虫効果を見いだしたのである。“史上最強の殺虫剤”DDTは病気を媒介する蚊やシラミなどの駆除に威力を発揮し、この功績でミュラーは1948年にノーベル医学・生理学賞を受賞する。わずかな量で何カ月も効果が持続するDDTを使って蚊を駆除すれば、マラリア伝播のサイクルを断ち切ることができた。 クロロキンとDDTという新兵器を得て、WHOは1955年に地球規模のマラリア撲滅計画に乗り出した。「10年間で一掃する」という目標を掲げて10億ドル(約1200億円)以上の資金を投入、蚊を駆除するために毎年何万トンものDDTが散布された。 撲滅に向けた地球規模の努力は一定の成果を上げた。カリブ諸国と南太平洋の多くの地域、バルカン諸国や台湾ではマラリアはほぼ制圧された。スリランカでは1946年には280万件の感染例があったが、1963年にはわずか17件に減少。インドでも、マラリアによる死者は年間80万人からほとんどゼロにまで減った。 だが、WHOが掲げた目標の達成は、現実には不可能だった。熱帯の奥地にはなおもマラリアがはびこっていたが、資金がしだいに底を尽き、計画は1969 年に打ち切られてしまった。当時、多くの国々は外国からの援助額減少や不安定な国内政治、貧困の深刻化に直面し、各国の公衆衛生当局は重すぎる負担に悲鳴を上げはじめた。 一度はほぼ根絶されたスリランカやインドでも、マラリアは再び勢力を盛り返した。サハラ砂漠以南のアフリカでは、そもそも撲滅計画が本格的に展開されることはなかった。 WHOの計画が破綻してまもなく、蚊の駆除に各地で活躍していたDDTが使えなくなった。マラリア対策のせいではなく、綿花などの栽培農家による使いすぎが問題となったのだ。安価なDDTを必要量の何倍も散布したことで、土壌への蓄積や、川や海の汚染が引き起こされた。 DDTは人体への毒性は低いが、ハヤブサやアシカ、サケには有害だ。1962年、DDTなどの農薬による生態系の破壊に警鐘を鳴らしたレイチェル・カーソンの著作『沈黙の春』が出版されると、これをきっかけに、農薬としてのDDTの使用はほとんどの国で禁止された。マラリア対策用には例外的に使用を認められたが、購入しようにも手に入らなくなった。 さらに追い討ちをかけるように、最悪の事態が起きた。各種の治療薬に耐性をもつ原虫の出現だ。マラリア原虫は猛スピードで増殖し、突然変異によりめまぐるしく進化を遂げる。クロロキン耐性をもつ原虫が偶然現れると、その遺伝子は後の世代に受け継がれ、薬剤にさらされるたびに、耐性をもつ原虫が増えていく。 ザンビアは今まさに、国を挙げてマラリアの根絶に取り組んでいる。1985年には3万ドル(約360万円)しかなかった対策予算も、外国からの援助が加わり、現在では4000万ドル(約48億円)に達している。患者の多くは治療を受けていないため、マラリアの原因や症状を説明し、医師に診てもらうよう呼びかけるポスターが全国各地に貼られている。国民に正しい知識を広め、治療薬、殺虫剤、蚊帳を駆使してマラリアを撲滅するのが目標だ。 新たな治療方法の普及にも力を入れている。使われる新薬は、意外なことに、古くからの漢方薬をもとに開発された。キク科ヨモギ属の植物、クソニンジン(学名Artemisia annua)を用いた処方は、4世紀中国の医学文献にすでに記述があるが、漢方薬や中医学以外の世界では知られていなかった。 この薬草から生まれた薬アルテミシニンは、キニーネに匹敵する威力を発揮するばかりか、ほとんど副作用がなく、マラリア治療の“最後の砦”とみられている。 ほかの薬も引き続き治療に使われてはいるが、アルテミシニン以外のあらゆる薬(キニーネも含む)に対しては、すでに耐性をもつマラリア原虫が出現している。アルテミシニンに耐性をもつ原虫の出現を防ぐため、アルテミシニン誘導体と他の抗マラリア薬を併用する多剤併用療法(ACT)が開発されている。 ザンビア政府は殺虫剤も大量に購入し、流行の特に深刻な地域に提供して、毎年雨期に入る直前に各戸で散布するよう指導している。一定量の屋内散布に限ったうえで、DDTの使用も認めた。また、ハマダラカが人を刺すのは、夜寝ている時がほとんどなので、蚊帳も有望な対策の一つだ。実際に、殺虫剤を練りこんだ繊維でできた防虫蚊帳を配布している。 計画それ自体はさほど複雑ではなさそうだが、その遂行は一筋縄ではいかない。国民の多くは医療機関のない地域に住み、露店の売薬に頼っている。 ACT用の薬は1錠1ドル余りすることもあり、7割以上の国民が1日1ドル以下で暮らすこの国では高嶺の花だ。人々はしかたなく値段が6分の1程度のほかの薬を買うが、熱が下がって一時的に楽になるだけで、寄生虫の駆除にはほとんど役に立たない。 古くからの、さまざまな迷信も妨げになる。全土に配られた撲滅キャンペーンのポスターにはこう書いてある。「マラリアの原因は呪いではありません。汚い水を飲む、雨に濡れる、未熟なサトウキビをかじるといった行動も、マラリアとは無関係です」。 子どもが脳性マラリアの症状であるひきつけを起こすと、悪霊がとりついたと思って祈祷師に助けを求める親もいる。祈祷が効かず、病院に連れてきた時には手遅れというケースが後を絶たない。 蚊帳も、配布するだけで期待通りの効果が上がるわけではない。蚊帳が予防に役立つことには疑う余地がなく、最新の防虫蚊帳ならなおさらだが、予防効果を上げるにはまず、最も必要な人々の手に蚊帳がわたり、正しく使われる必要がある。 蚊帳の配布には政府軍まで駆り出されているが、各家庭に配られたからといって安心はできない。ただでさえ暑くて寝苦しい熱帯地域では、蚊帳を吊るとさらに暑さが増すような気がするため、人々はなかなか使いたがらない。蚊帳を吊っている家でも、子どもが寝返りを打って足が外にはみ出たり、蚊帳にほころびでもあれば、蚊に刺されるのは防げない。支給された蚊帳を、魚をとる漁網代わりに使っていた例もある。撲滅キャンペーンでは奥地の村々を劇団が巡回し、芝居仕立てで正しい蚊帳の使い方を村人たちに教えている。 治療薬と殺虫剤と蚊帳という“三種の神器”だけでは、完全な制圧は望めそうにない。求められているのは、さらに決定的な武器だ。 人間の寄生虫病を防いでくれるワクチンには、どんなものがあるのだろうか。実は「1つもない」が正解だ。細菌やウイルスに対するワクチンは開発されているが、寄生虫はこれらの病原体ほど単純な生物ではない。 たとえば、ポリオウイルスは11個の遺伝子から成るが、熱帯熱マラリア原虫の遺伝子は5000個以上。しかもこの原虫は、捜査を逃れる犯人のように“潜伏先”をころころ変えるため、ワクチンの設計は困難を極めているのが実情だ。 予防策の決め手はなかなかみつからない。しかし、完全制圧に向けた懸命の努力は続けられている。先進国からの人的、経済的支援は、文字通り命綱となっている。 (藤田 宏之=『ナショナル ジオグラフィック日本版』編集長) >TOP マラリア対策など学ぶ アフリカから研修員 八重山毎日新聞 (2007-09-07 09:46:26) マラリアやHIVなどの予防対策をテーマにした独立行政法人国際協力機構(JICA)の青年研修に参加しているアフリカからの研修員16人が6日に石垣入りした。8日までの3日間、マラリア対策などについて研修している。 研修に参加しているのは、ガーナとケニア、ザンビアの保健衛生当局の感染症対策担当者や医師、助産師など。先月27日から来月13日までの1カ月半、沖縄で行われてきたマラリアや結核、寄生虫などの対策について歴史的な推移や現状、課題について研修している。 研修員は6日午後、市役所で大浜長照市長と面談。マラリアなどの医療対策やごみ処理、上水道の現状などについて質問していた。 >TOP マラリア:新薬を開発、09年臨床試験へ…岡山大チーム 岡山大大学院医歯薬学総合研究科の綿矢有佑教授(薬学)のグループが20日、薬剤耐性のあるマラリアに有効な物質の開発に成功したと発表した。09年から臨床試験を実施する。マラリアには世界で年間3億〜5億人が感染し、150万〜270万人が死亡しているとされる。この物質を使った新薬が開発、量産されれば、1錠数十円程度での提供も可能という。 マラリアは熱帯・亜熱帯のハマダラ蚊を媒介してマラリア原虫が体内に入り、発熱や貧血などを起こす感染症。重症化すると死亡する。治療には「クロロキン」などの特効薬があるが、1955年ごろから、薬剤耐性を持つマラリアが現れるようになった。 綿矢教授らは、5000の化合物で実験した際、炭素、酸素、水素が結びついた「環状過酸化化合物」の一種に、マラリア原虫を死滅させる効果があることを確認。薬剤耐性を持つマラリアに感染させたネズミなどで実験したところ完治し、副作用もみられなかった。 綿矢教授は「被害はアフリカなどの発展途上国に多い。少しでも安価な治療薬の開発につなげたい」と話している。【植田憲尚】 毎日新聞 2007年9月20日 22時18分 >TOP マラリアの新薬、乳児にも安全かつ効果大 開発中のマラリア・ワクチンが、乳児対象の臨床試験で感染率を6割以上下げるのに成功した。 ウォールストリート・ジャーナルによると、マラリア・ワクチンは英グラクソスミスクライン(GSK)とPATHマラリア・ワクチン計画が開発しており、今回の試験は最もマラリアにかかりやすい1歳未満の乳児に対する安全性を確認するために実施された。 モザンビークで乳児214人を対象に、一方のグループにはマラリア・ワクチン、別のグループにはB型肝炎ワクチンを3回接種したところ、3カ月後の新規マラリア感染率はマラリア・ワクチンを接種したグループの方が65%少なかった。すべての乳児の家庭には殺虫加工された蚊帳が配布され、自宅への殺虫剤散布が2回行われた。以前に行われた1〜4歳児対象の試験では、ワクチン接種でマラリア感染は45%減少した。 マラリアは蚊を介して感染し、年間100万人以上が死亡、そのほとんどが子供となっている。慈善団体や製薬会社はワクチンの開発予算を増やしており、GSKとPATHのワクチンはその中で最も開発が進んでいるが、発売は早くても2011年以降となる見込み。 PATH計画には、マイクロソフト会長夫妻が創設したビル・アンド・メリンダ・ゲイツ基金が多額の資金援助をしている。 >TOP 【やばいぞ日本】第5部 再生への処方箋(3)「網の目」広げマラリア制圧 2007.12.6 02:35 かつて生活の必需品だった蚊帳を家庭で見ることはもう、わが国ではほとんどない。だが、日本の代表的な総合化学メーカー、住友化学ではいま、その蚊帳こそが「企業の顔」ともいうべき重要な製品に位置づけられている。 東京都中央区新川の同社本社を訪れると、少女と蚊帳の写真の巨大パネルが受付に掲げられていた。 ≪マラリア防圧へ。私たちが開発した防虫蚊帳が、アフリカの子供たちを守っています≫ ホームページにも、真っ先に「アフリカのマラリア防止」の見出しで≪防虫剤を練り込んだ蚊帳「オリセットネット」を開発し、WHOが推進するキャンペーンに協力しています≫と書かれている。 同社の大庭成弘専務(64)はオリセットネットについて「100億円強のビジネスなので、住友化学全体からすれば0・5%から0・6%。事業規模は大きくない」という。 ただし、貢献度は金額だけでは測れない。マラリアは、病原体のマラリア原虫に感染した人の血を吸った蚊が媒介して広がる感染症で、年間3億人が発症し、100万人が死亡する。エイズ、結核と並ぶ世界3大感染症であり、アフリカでは子供の死因の1位。住友化学が開発した蚊帳により、そのマラリアの制圧に希望が出てきたのだ。 「ハエ、カ、ゴキブリなどの駆除は住友化学50年来のビジネス。事業規模は小さいが、いわば本業の分野での社会貢献が企業のブランド価値を高め、社員や家族も会社に誇りを持っている」と大庭専務は強調する。 半ば忘れられかけていた本業を生かすことが、地球規模の課題に対する貢献につながり、企業全体の士気を大きく高める。その経験はこれからの日本にとっても教訓的である。 そのオリセットネットの開発者で、同社ベクターコントロール部の伊藤高明・技術普及課長(59)に話を聞いた。 伊藤さんは1973年に入社した技術者で、夜間操業の工場用に防虫網戸の研究をしていた85年当時、「蚊帳に殺虫剤処理すると蚊の駆除に有効である」とする論文が世界で相次いで発表されたことから、殺虫剤を染みこませた素材で蚊帳を作る研究をこつこつと進めていた。 当時の殺虫剤処理をした蚊帳は洗うと薬が流れてしまい、半年に1回、殺虫剤溶液に蚊帳を浸し直す再処理作業が必要だった。先進国の援助で大量に蚊帳の提供を受けても再処理費用までは手が回らず、途上国では結局、宝の持ち腐れである。 一方、工場用の防虫網戸にはポリエチレン樹脂に殺虫剤を練り込み、それを糸にして網戸を作る技術が確立されていた。最低5年は効き目が持続、この間は再処理の必要もない。網戸の技術を転用することで素材の樹脂の売り上げも伸ばせるのではないか。そんな計算もあった。 だが、ポリエチレン樹脂の蚊帳は、通気性の面でアフリカでは実用に適さない。平たく言えば、暑くて眠れないのだ。伊藤さんは実験と観察を繰り返し、決断した。 「網の目を広げよう」 ◇ ■「利他の精神」本業を生かす 殺虫剤を練り込んだオリセットネットの網の目は4ミリ幅。家庭用に使われる一般の蚊帳が2ミリ幅ということだから、面積では4倍の大きさになる。マラリア原虫を媒介するハマダラカは2ミリの穴だと通れないが、4ミリ幅なら通過できる。 だが、蚊の習性として、網目をすっと通り抜けてはいかない。ネットにぽんぽんと突き当たるように飛んでき、そこに殺虫剤が練り込んであるので蚊帳の中に入る前に落ちていく。実験を重ね、通気性と蚊帳の機能の両方を追求したぎりぎりの選択が4ミリだった。 住友化学は2000年、世界保健機関(WHO)から(1)オリセットネットの増産(2)アフリカへの技術移転−を依頼された。製品評価の結果、WHOがマラリア対策の有力な武器として認めたからだ。無償の技術移転にも「当時は社内的認知度が低く、ビジネスとしてはゼロに近かったので、貢献してもいいだろうということになった」と伊藤さんは振り返る。 アフリカではマラリアが治っても、また次の年に蚊に刺され発病する人が多い。貧困がマラリアの流行を促す環境を生み出し、マラリアがさらに貧困の悪化に拍車をかける。 そうした負の循環が蚊帳によって変わり、米国のNGOのニュースレターではタンザニアの農家の写真が紹介された。荒廃していた裏庭がオリセットネットの支給から1年後には、豊かな作物が実る畑になっていたという。 「アフリカの蚊の原虫保有率は4%。月に100回蚊にかまれると4回感染する計算です。蚊に刺される機会を減らし、感染する人が減れば、蚊の原虫保有率も下がる」と伊藤さんは説明する。 オリセットネットの工場は中国とベトナムに各1、タンザニアに2。タンザニアの1カ所は現地企業に技術を供与し、もう1カ所は現地企業と住友化学のジョイントベンチャーだ。原料の殺虫剤を練り込んだ樹脂ペレットは日本で製造し、海外4工場で糸にする。 その糸を縫製して蚊帳に編む工程に人手がかかるので、住友化学はエチオピアなどでも新しい縫製工場の開設準備を進めている。 タンザニアのアリューシャという町ではオリセットネットの工場が3000人から4000人の雇用を創出し、物流などへの波及効果も大きい。技術供与をきっかけに住友グループ各社でアフリカに小学校を造る社会貢献事業も生まれた。 「アフリカに行くと、日本への信頼が厚いことを感じる」と大庭専務はいう。 世界エイズ・結核・マラリア対策基金(世界基金)の存在も大きい。2000年の九州沖縄サミットで日本は、世界の3大感染症と闘うには途上国に新たな追加的資金の支援が必要だと呼びかけ、2年後に発足。コンセプトは日本が作ったといまも評価される。 先進国の拠出金が世界基金を通じて途上国の感染症対策に生かされることで、途上国が自力では購入困難だったオリセットネットのマーケットが出現し、住友化学も最小限のビジネスモデルを維持しつつ国際貢献を果たすことができる。 オリセットネットの年間生産量は3000万張。需要はアフリカだけで8000万張以上。「住友の創業の精神は自利利他、公私一如。企業は自分だけがもうけるのではなく、社会に貢献しなければならない」と大庭専務は話す。 蚊帳の開発に必要だったのは最先端技術ではない。素材部門と害虫駆除の部門がそれぞれ持っていた技術を横断的に結びつけることで新たな飛躍があった。 大切なのは必要性をつかむ想像力である。(宮田一雄) >TOP 2008/02/27-11:56 ナイジェリアのマラリア予防を支援=米エクソンモービル〔BW〕 【ビジネスワイヤ】米エクソンモービル財団は、アフリカでマラリア予防に取り組む団体「ネッツフォーライフ」のナイジェリアにおける予防活動を支援すると発表した。それにより、長期使用に耐える殺虫処理済みの蚊帳100万枚のナイジェリア国内での配布活動を後援する。マラリアは、同国最大の健康問題の一つで、2005年に報告された患者は260万人を超えており、そのうち110万人強が年齢5歳以下の子供。またマラリアは、乳児の死亡原因のほぼ25%に上り、子供の死亡原因の30%を占めている。エクソンモービルは、2000年以来、アフリカの地域社会プロジェクトに1億2000万ドル以上の寄付を行っている。エクソンモービルのマラリア予防活動の詳報は、同社ウェブサイト(www.exxonmobil.com/malaria)へ。 【注】この記事はビジネスワイヤ提供。英語原文はwww.businesswire.comへ。 >TOP アフリカ 縮む巨大湖、蚊の巣窟に マラリアが高地にも 2008年03月09日03時24分 アフリカ最大の湖、ビクトリア湖。水位が下がり、係留されていたはずのボートが陸に上がってしまっていた。ところどころできた水たまりにはボウフラが泳ぎ、いわば蚊の巣窟(そうくつ)。アフリカで子どもの主な死因である感染症マラリアを媒介するハマダラカの幼虫だ。マラリアは、非流行地だったケニア西部の高地にも多発するようになった。気候の変化がマラリアを広げ、幼い命を危険にさらしていた。 ケニア西部のスバ県ビタ。ビクトリア湖岸に幅10〜20メートルの草地が続く。長崎大熱帯医学研究所ケニアプロジェクト拠点の現地スタッフが、ひしゃくで水たまりの水をすくうと、細長く白いハマダラカの幼虫が数匹見つかった。 湖畔で直径30センチほどの穴を見つけた。夜、湖にすむカバが草を食べに陸に上がり、湖岸の湿地を歩き回った後にできた足跡だった。ここも水たまりとなり、蚊の繁殖地になっていた。 数年前まで湖水はこの付近まであった。皆川昇・長崎大教授(生態学)は「湖岸の他の場所でも蚊の繁殖地ができている可能性がある」と話す。 米航空宇宙局(NASA)などの衛星データによると、ビクトリア湖の水位はピークの98年から1.5メートル下がった。90年代の平均と比べても50センチ低い。降雨量の減少、そして下流にあるダムへの過剰な流出が原因。01〜04年の年間平均降雨量は50〜00年と比べて4.2%減っていた。 一方、標高千数百メートルを超すケニア西部の高地でも、20年ほど前からしだいに流行し始めた。「高地マラリア」だ。雨期の3〜5月にマラリア患者が増える。グチャ県では97年に異常な長雨があり、その後マラリア患者が急増した。 気温が20度を下回ると、病気の原因になるマラリア原虫は蚊の体内で成長できない。気温が上昇すると、蚊の繁殖サイクルも短くなり血を吸う回数が増え、繁殖できる期間も延びる。雨が降れば水たまりができ繁殖地も広がる。気温の上昇が、高地にまでマラリアを押し広げた原因の一つと考えられる。 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)も、昨年まとめた報告書で温暖化でエチオピアやケニアなどの標高の高い非流行地に、50年までにマラリアが侵入、80年までに感染に非常に適した地域になる、と予測している。 皆川さんは「気候変化や人為的な環境変化により蚊の数が増え、マラリア患者が増える可能性が十分にある」と話す。 世界保健機関(WHO)などの推計では、マラリアの犠牲者はアフリカだけで年間100万人以上。その犠牲者の大半が、5歳以下の子どもとされている。 >TOP 2008/04/02-09:00 開発目標達成に向け会合=国連 【ニューヨーク1日時事】2015年までの途上国の開発目標を定めた国連ミレニアム開発目標(MDG)達成に向けた取り組みを話し合う国連総会会合が1日、2日間の日程で開幕した。潘基文事務総長は冒頭、アフリカの開発の遅れなどを念頭に「MDG達成レースは中間点を過ぎたが、多くの国が横道にそれたままだ」と警告した。 この日はまた、CNNテレビの創設者で国連活動を支援する民間組織「国連財団」の会長を務めるテッド・ターナー氏が、アフリカのマラリア対策に充てるため2億ドル(約200億円)を集めるキャンペーンを始めると発表。テーマ別パネル討論では、名古屋大の北村友人准教授が貧困脱出に向けた教育振興策を論じた。 >TOP 第1回野口英世アフリカ賞(医学研究部門)を英国のブライアン・グリーンウッド博士が受賞 2008年04月02日 アフリカに関する医学研究及び医療活動を顕彰する国際賞として2006年に創設された野口英世アフリカ賞の第一回受賞者が3月26日、英国のブライアン・グリーンウッド博士とケニアのミリアム・ウェレ博士に決定しました。 グリーンウッド博士は1938年英国生まれ。1968年、英ケンブリッジ大学にて医学博士号を取得。現在は英ロンドン熱帯医学研究所臨床熱帯医学で教鞭を執っています。受賞式は、5月28日横浜で行なわれ、受賞者には賞状と賞牌および賞金1億円が内閣総理大臣から授与されます。 グリーンウッド博士はアフリカ大陸において脅威が広がるマラリア制御のための独創的な研究を行い、この難病をめぐる悲観的な状況を一変させる不可欠な手段と知識の開発を大きく促し、同博士の業績により、ごく最近まで絶望的と見られていたマラリア対策に希望が見え始めています。主な受賞業績には、30年以上にわたる現場に密着した先駆的なマラリア研究、熱帯医学の領域の拡大と変質、若いアフリカ人研究者の育成などといったアフリカとの研究パートナーシップが挙げられています。 詳細については内閣府のホームページをご覧ください。 >TOP アフリカ医療の現状知って 会津大で講演 アフリカの医学研究や医療活動に貢献した人に贈られる「野口英世アフリカ賞」の第1回受賞者が決まり、賞を受けた研究者2人を招いての講演会が今月30日、会津若松市の会津大で開かれる。ガーナで黄熱病のため亡くなった福島県猪苗代町出身の野口英世博士にちなんだ賞の創設を記念し、博士の地元を受賞者に知ってもらうとともに、県民らにアフリカ賞を紹介する機会が設けられた。 第1回受賞者となったのは、医療研究分野が、アフリカのマラリア対策に貢献したブライアン・グリーンウッド博士(69)=英国=、医療活動分野が、東アフリカで基礎医療サービスの向上と保健問題に取り組んでいるミリアム・ウェレ博士(68)=ケニア=。 講演会では、2人がそれぞれスピーチをするほか、テレビキャスターの福留功男氏をコーディネーターに対談を予定。2人の研究成果や活動ぶり、人柄などを分かりやすく紹介する。 同賞は、小泉純一郎元首相の発案で2006年に創設された。授賞式は5年に1度行われ、受賞者には賞金1億円が贈られる。 グリーンウッド博士は現在、英ロンドン熱帯医学研究所教授。30年以上にわたってアフリカに密着してマラリアを研究し、予防対策を開発して普及させ、現地の研究者の育成にも努めた。 ウェレ博士は、公衆トイレの設置拡大や乳幼児の予防接種率引き上げなど、実践的な保健サービスの向上に長年尽力。ケニアの国家エイズ対策委員長としてエイズ問題にも取り組んでいる。 2人は、横浜市で28日に開かれる第4回アフリカ開発会議での授賞式に臨んだ後、翌29日に来県。野口英世記念館を視察したり、歓迎行事に参加したりして地元住民らと交流する。 講演会は午前10時開始。入場無料だが事前申し込みが必要。締め切りは20日(必着)。定員は先着400人。連絡先は福島県国際課024(521)7183。 2008年04月30日水曜日 >TOP マラリア死の半減目指す 日米首脳会談で協調へ 2008年7月5日15時0分 北海道洞爺湖サミット直前の6日に開かれる日米首脳会談で、福田首相とブッシュ大統領がアフリカに焦点を当てた感染症対策で協調する方針を打ち出す。マラリアについては、アフリカ約30カ国での死者数を半分に減らすようサミット参加国(G8)にも協力を求める。 日米関係筋によると、ブッシュ大統領は周辺に「50年後の気候問題も大切だが、今この瞬間のアフリカの子供たちの命も心配だ」と語っているという。 両首脳は、今後5年間に集中的にアフリカで医師や看護師らを増やしていくため、人材育成を優先的に行うことでも一致する見通し。日本側はすでに5月の第4回アフリカ開発会議(TICAD)で、今後5年間に医師ら約10万人の保健労働者を対象に人材育成や技術協力をする方針を発表している。 今回の会談では、ポリオやマラリア、眠り病などの「無視された熱帯病」(NTD)と呼ばれる疾病への対策も取り上げる。特にマラリアについては、投薬治療のほかに高品質な蚊帳の現地での製造や利用を進めて死者数を減らしたい考えだ。外務省幹部は「自衛隊の活動を伴うものは憲法上の制約があるが、こういう協調は日本も大いにできる。日米協力の新たなフロンティアになる」と話している。(丹内敦子) >TOP マラリア対策に30億ドル拠出へ、国連のハイレベル会合 * 2008年09月26日 06:30 発信地:ニューヨーク/米国 【9月26日 AFP】国連(UN)で25日、各国首脳らが参加する貧困撲滅に向けたハイレベル会合が開催され、全世界のマラリアによる死者を大幅に減らすため、約30億ドル(約3200億円)の資金を拠出することが決定された。 この資金は、マラリア対策の行動計画「Global Malaria Action Plan(GMAP)」の迅速な実施を支援するために使用される。30億ドルのうち11億ドル(約1200億円)は世界銀行(World Bank)が負担する。 世界銀行のロバート・ゼーリック(Robert Zoellick)総裁は、今回資金拠出が決定したことにより、今後数年で「マラリアによる死者や関連疾病が大きく減少する」との見方を示した。 GMAPの予測によると、この行動計画が実施された場合、2008-2015年に420万人以上の生命を救え、マラリア撲滅に向けた長期的な取り組みが可能になるという。国連関係者によると、全世界で109か国、33億人がマラリア感染の危険にさらされており、1年間で約100万人が死亡しているという。 米ソフトウエア大手マイクロソフト(Microsoft)の創業者ビル・ゲイツ(Bill Gates)氏とその慈善財団ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団(Bill and Melinda Gates Foundation)は、次世代のマラリアワクチンの研究のため、マラリアワクチン・イニシアチブ(Malaria Vaccine Initiative)に1億6870万ドル(約180億円)を寄付する意向だという。 マラリアに悩まされているすべての国で、医療制度を強化するなどの方法でマラリアを完全に制御するためには、2009年にはおよそ53億ドル(約 5600億円)が必要になるという。さらに、2010年には62億ドル(約6600億円)、2011-2020年には毎年51億ドル(約5400億円)が必要になるという。(c)AFP *このファイルは文部科学省科学研究費補助金を受けてなされている研究(基盤(B)・課題番号16330111 2004.4〜2008.3)の成果/のための資料の一部でもあります。 http://www.ritsumei.ac.jp/acd/gr/gsce/p1/2004t.htm UP:2007 REV: ◇アフリカ ◇世界 |