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安楽死・尊厳死:2007年7月〜9月

安楽死・尊厳死  -1970's  1980's  1990's  2000-  2004  2005  2006  2007


製作:新田千春(立命館大学大学院先端総合学術研究科・2006入学)

京都府長岡京市の開業医がALSの義母に告知をせず、死に至らしめた件

良い死!研究会会員募集中
日本尊厳死協会
安楽死・尊厳死法制化を阻止する会
『生存の争い――のために・1』刊行。


◆2007/07/02 「患者さまの人権と尊厳を尊重したケアによる看護・介護の質向上への取り組み」
 第11回北海道抑制廃止研究会 2007年7月2日
 http://www.salanet.com/news/news_200706251045.html
◆2007/07/07 「コラム上昇気流」
 世界日報 2007年7月7日
 http://www.worldtimes.co.jp/col/jk/jk070704.html
◆2007/07/07 「平本初代会長 追悼の集い 「人工呼吸器をつけた子の親の会」」
 神戸新聞 2007年7月7日
 http://www.kobe-np.co.jp/kurashi/kaigo457.html
◆2007/07/10 「訪問入浴(上)寝たきりでも、自宅で快適に」
 読売新聞東京夕刊 2007年7月10日
 https://db.yomiuri.co.jp/bunshokan/
◆2007/07/11 「訪問入浴(下)増える重症者 足りぬ看護師」
 読売新聞東京夕刊 2007年7月11日
 http://www.yomiuri.co.jp/iryou/kyousei/saizensen/20070711-OYT8T00215.htm
◆2007/07/12 「終末期入院医療費、1日3万円/日本医師会調査」
 読売新聞大阪朝刊 2007年7月12日
 https://db.yomiuri.co.jp/bunshokan/
◆2007/07/12 「可能性広げる呼吸器 外食、海外旅行もOK 入院当たり前…認識変えて」
 読売新聞大阪朝刊 2007年7月12日
 https://db.yomiuri.co.jp/bunshokan/
◆2007/07/14 「主治医が患者を総合評価 75歳以上の診療報酬体系で」
 朝日新聞 2007年07月14日
 http://www.asahi.com/health/news/TKY200707140337.html
◆2007/07/16 「地域をつつむ緩和医療をめざして」−−第12回日本緩和医療学会開催
 週刊医学界新聞第2740号 2007年7月16日
 http://www.igaku-shoin.co.jp/nwsppr/n2007dir/n2740dir/n2740_01.htm
◆2007/07/18 「「死」と向き合う意味」
 読売新聞西部朝刊 2007年7月18日
 http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2007080200006&genre=C4&area=K30
◆2007/07/21 「終末期医療を考える」
 北日本放送 2007年7月21日19:29現在
 http://www2.knb.ne.jp/news/20070721_12212.htm
◆2007/07/21 「延命拒否カードを富山市内でも発売 高岡市の6LC作成」
 北國新聞 2007年7月21日02:48
 http://www.toyama.hokkoku.co.jp/_today/T20070721205.htm
◆2007/07/22 「『子の見本となる生き方を』−−金沢、日野原重明さんら講演」
 中日新聞 2007年7月22日
 http://www.chunichi.co.jp/article/ishikawa/20070722/CK2007072202034767.html
◆「ALS告知せず死亡――長岡京の医師 義母の患者、呼吸器説明もなし 」
 『京都新聞』2007-8-2:1
 →以下、京都府長岡京市の開業医がALSの義母に告知をせず、死に至らしめた件に掲載
◆2007/08/02 「介護サービス向上へ−四国老人福祉施設研究大会」
 四国新聞 2007年8月3日09:31
 http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/locality/article.aspx?id=20070803000088
◆2007/08/08 「故人への手紙で悲しみ共有−−生きる希望の一助に募集」
 山梨日日新聞 2007年08月08日
 http://www.sannichi.co.jp/local/news/2007/08/08/9.html
◆2007/08/08 「変わる盆の形式−−追慕する記念日に」
 読売新聞 2007年08月08日
 http://osaka.yomiuri.co.jp/kokorop/kp70807a.htm
◆2007/08/08 「重度の介護者、在宅で高い満足度」
 キャリアブレイン 2007年08月08日
 http://www.cabrain.net/docomo/news/article.do?newsId=11092
◆2007/08/08 「待機時間に賃金不支給/訪問介護」
 キャリアブレインネット 2007年08月08日
 http://www.cabrain.net/docomo/news/article.do?newsId=11218
◆2007/08/10 「末期がん母絞殺に嘆願書−−42歳娘に猶予判決、地裁栃木支部=栃木」
 東京新聞朝刊 2007年08月10日
 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070809i304.htm
◆2007/08/11 「難病のALS−−患者の命置き去り」
 神戸新聞 2007年08月11日
 http://www.kobe-np.co.jp/news_now/news2-768.html
◆2007/08/14 「福祉用具「貸しはがし」自治体で格差」
 キャリアブレインネット 2007年08月14日
 http://www.cabrain.net/docomo/news/article.do?newsId=11308
◆2007/08/19 「終末期医療:基準づくり−−「命の選別」募る不安 重度障害児の親ら訴え」
 毎日新聞東京朝刊 2007年08月19日
 http://www.mainichi-msn.co.jp/science/medical/news/20070819ddm013100072000c.html
◆2007/08/22 「終末期医療に関するガイドライン」
 日本医師会 2007年08月22日
 http://www.med.or.jp/teireikaiken/20070822_1.pdf
◆2007/08/23 「日医が終末期医療のガイドラインを公表」
   キャリアブレインネット 2007年08月23日
 http://www.cabrain.net/docomo/news/article.do?newsId=11462
◆2007/08/23 「奈良市が尊厳死広告断る、世論分かれていると」
 読売新聞 2007年08月23日
 http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20070823p201.htm
◆2007/08/23 「「尊厳死広告はだめ」と奈良市 庁舎内の壁面広告掲載で」
 朝日新聞 2007年08月23日
 http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200708230039.html
◆2007/08/25 「呼吸器外し倫理委判断 延命中止で独自指針 日本医科大」
 中日新聞夕刊 2007年08月26日
 http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2007082502043839.html
◆2007/08/26 「呼吸器外し、倫理委で判断−−日医大が延命中止指針」
 日本経済新聞 2007年08月26日
 http://health.nikkei.co.jp/news/top/index.cfm?i=2007082506440h1
◆2007/08/27 「カトリーナ直撃病院の安楽死裁判、専門家の証言なかった」
 CNN Japan 2007年08月27日16時20分
 http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200708270015.html
◆2007/08/27 「ベストセラー作家の西村寿行さん死去...大胆な暴力描写で人気」
 サンケイスポーツ 2007年08月27日
 http://www.sanspo.com/shakai/top/sha200708/sha2007082700.html
◆日本集中治療医学会 2007/08/28 「集中治療における重症患者の末期医療のあり方についての勧告」
 http://www.jsicm.org/kankoku_terminal.html
◆2007/08/29 「後期高齢者の報酬、9月中にも骨子」
 キャリアブレインネット 2007年08月29日
 http://www.cabrain.net/news/article.do?newsId=11593
◆2007/08/30 「末期の病態 定義し本に 尊厳死の法制化目指す」
 中日新聞 2007年08月30日
 http://www.chunichi.co.jp/article/living/life/CK2007083002044979.html
◆2007/08/30 「終末期医療、チームで判断・医師会が指針中間答申 」
    日経ネット 2007年08月30日16時49分
◆2007/08/31 「在宅ケアを考えるフォーラム開催」
 キャリアブレインネット 2007年08月31日
 http://www.cabrain.net/docomo/news/article.do?newsId=11641
◆2007/08/31 「差額なしのホスピスケア病棟開設 道内初」
 キャリアブレインネット 2007年08月31日
 http://www.cabrain.net/docomo/news/article.do?newsId=11642
◆2007/09/03 「終末期医療のガイドライン、いかなる場合にも積極的安楽死は実施しない」
 キャリアブレインネット 2007年09月03日
 http://www.cabrain.net/docomo/news/article.do?newsId=11690
◆2007/09/03 「世界の潮流,コミュニティケア」
 週刊医学界新聞第2746号 2007年09月03日
 http://www.igaku-shoin.co.jp/nwsppr/n2007dir/n2746dir/n2746_04.htm
◆2007/09/04 「これも治療」
 四国新聞 2007年09月04日
 http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/column/article.aspx?id=20070904000072
◆2007/09/05 「第X次生命倫理懇談会が中間答申−−「終末期医療のガイドライン」をまとめる」
 日医ニュース第1104号 2007年09月05日
 http://www.med.or.jp/nichinews/n190905a.html
◆2007/09/05 「患者の権利保障など先決=尊厳死法制化に慎重意見−−日弁連」
 時事通信 2007年09月05日19時21分
 http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2007090500865
◆2007/09/05 「後期高齢者医療の診療報酬で評価すべき項目を公表−−後期高齢者特別部会」
 厚生政策情報センター  2007年09月04日
    https://www.cabrain.net/news/article.do?newsId=11742&freeWordSave=1
◆2007/09/06 「後期高齢者の診療報酬、委員の反応は?」
 キャリアブレインネット 2007年09月06日
 http://www.cabrain.net/news/article.do?newsId=11764
◆2007/09/08 「後期高齢者医療、保険料 年15万円のケースも−−分科会で問題次つぎ(中央社会保障学校2日目)」
 しんぶん赤旗 2007年09月08日
 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-09-08/2007090805_01_0.html
◆2007/09/08 「ローマ法王、訪問先オーストリアで妊娠中絶や安楽死を非難」
 AFPBB News(SAMUEL KUBANI) 2007年09月08日18時33分 発信地:ウィーン/オーストリア
 http://www.afpbb.com/article/life-culture/religion/2278834/2105465
◆2007/09/11 「四季が尊厳死テーマ「この生命誰のもの」」
 日刊スポーツ  2007年9月11日17時43分
 http://www.nikkansports.com/entertainment/f-et-tp0-20070911-254684.html
◆2007/09/12 「ぬくもり指数」
 朝日新聞(あねざきしょうこ)  2007年09月12日
 http://mytown.asahi.com/ishikawa/news.php?k_id=18000140709120001
◆2007/09/16 「在宅ホスピス医の先駆者・内藤いづみ医師が来月8日に講演「命の雫たち」」
 BNN(文:村上)  2007年09月16日(日) 09時30分
 http://www.bnn-s.com/news/07/09/070913153503.html
◆2007/09/17 「前ローマ法王、安楽死を求めなかった=担当医」
 世界日報 (バチカン 16日 ロイター)  2007年09月17日18時04分
 http://www.worldtimes.co.jp/news/world/kiji/2007-09-17T180406Z_01_NOOTR_RTRMDNC_0_JAPAN-279150-1.html
◆2007/09/18 「いつまでもお元気で 敬老の日」
 中日新聞(小島香子・藤共生)  2007年09月18日
 http://www.chunichi.co.jp/article/fukui/20070918/CK2007091802049559.html
◆2007/09/18 「後期高齢者医療「チーム連携で」」
 キャリアブレイン  2007年09月18日
 http://www.cabrain.net/news/article.do?newsId=11965
◆2007/09/20 「『グランドデザイン2007−−国民が安心できる最善の医療を目指して−−各論』を発表」
 日医ニュース第1105号  2007年09月20日
 http://www.med.or.jp/nichinews/n190920a.html
◆2007/09/20 「一日一言」
 四国新聞  2007年09月20日
 http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/column/article.aspx?id=20070920000090
◆2007/09/20 「平成19年度 第1回在宅医研修会−−在宅医療を推進する諸形態」
 日医ニュース第1105号  2007年09月20日
 http://www.med.or.jp/nichinews/n190920e.html
◆2007/09/21 「凍結すると大混乱? 後期高齢者医療」
 キャリアブレイン  2007年09月21日
 http://www.cabrain.net/news/article/newsId/12043.html
◆2007/09/22 「終末期医療の在り方を問う ドキュメンタリー映画「終わりよければ--」」
 神戸新聞(片岡達美)  2007年09月22日
 http://www.kobe-np.co.jp/kurashi/kaigo465.html
◆2007/09/26 「救急医療における終末期医療に関する提言(ガイドライン)(案)について」
 日本救急医学会 2007年09月26日
 http://www.jaam.jp/html/info/info-20070925.htm
◆2007/09/26 「救急医療における終末期医療に関する提言(PDF)」
 日本救急医学会 2007年09月26日
 http://www.jaam.jp/html/info/info-20070925.pdf




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◆2007/07/02  「患者さまの人権と尊厳を尊重したケアによる看護・介護の質向上への取り組み」
 第11回北海道抑制廃止研究会 2007年7月2日
 http://www.salanet.com/news/news_200706251045.html

  「認知症などによる徘徊や、医療用チューブを患者さまが抜いてしまう、などの行為を防ぐ理由でベッドに患者さまの身体を縛る、言葉や態度により行動の制限をする行為を「身体抑制」と言います。
  北海道抑制廃止研究会では、患者さまの人権と尊厳を尊重したケアによる看護・介護の質の向上を目的に、この身体抑制をなくすための取り組みを学ぶ研究会を毎年開催しています。
  第11回目となる研究会は6月6日、道内各地の病院・施設関係者260人が集まり札幌市内で開かれました。
  同研究会中川翼会長(医療法人渓仁会定山渓病院院長)の挨拶の後、事務局を担う定山渓病院看護部長の服部紀美子氏より、事務局の主な活動である抑制に関する相談についての報告がなされました。道内各地の病院・施設関係者260人が集まりました
  同研究会の2000年からの活動で、電話やFAXで受けた相談総数は59件にのぼります。その主な内容は、「抑制の規準」を問うものや「抑制廃止への具体的な取り組み方法」の助言を願うものが多く寄せられました。
  これらの相談への返答として、身体拘束禁止規定や例外規定、身体拘束禁止行為11項目の遵守を伝えているなど、これまで病院・施設関係者から寄せられた事例を報告。続く研究発表では、7題の研究成果が発表されました。
  定山渓病院看護師の鈴木公子氏の発表では、終末期の患者さまの人権と尊厳を念頭に置いた「抑制の取り組み」が紹介されました。酸素吸入を必要とするものの体動が激しく、ご家族の希望のもと「抑制に関するモニターシート」を使用して抑制について検討。
  結果、両上肢をやむを得ず抑制した事例で、鈴木氏は終末期の患者さまにおける、ご家族の希望と抑制の検討の難しさを痛感したと話し、抑制廃止の新たな課題への取り組みを参加者へ投げかけました。」(HP掲載全文)


 
 

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◆2007/07/07  「コラム上昇気流」
 世界日報 2007年7月7日
 http://www.worldtimes.co.jp/col/jk/jk070704.html

  「地域の総合病院でも「延命治療」の手はずがかなり整ってきたが、一方、延命措置の強引な中断で告発される刑事事件も発生している。   そのため、厚生労働省の研究班は、延命治療を中止する際の指針の試案をこのほどまとめた。延命治療の在り方は、医療の根幹に触れる問題で、指針の明確化は必要だが、今回に関しては首をひねりたくなる内容だ。
  まず、治る見込みがないがん患者について、治療中止に応える終末期を「余命三週間以内」と定義。さらに患者本人の意思を前提に、治療中止の範囲を「人工呼吸器(の装着)、栄養の補給、輸血、投薬などのすべての治療行為」と定めている。
  しかし、この「三週間」というころ合いの根拠が明らかでなく唐突だし、そもそも終末期をこういった数値で割り切れるものかどうか。また「すべての治療行為」とは漠然とし過ぎている。
  「なかなか進まない終末期医療に関する議論が医療現場で活発になれば」(同研究班)と、“たたき台”であることを強調しているのも、勘繰れば責任逃れのための一札か。延命治療に関する市中の是と非の議論の上澄みだけをすくい上げた妥協的産物だ。
  試案の対象は、終末期のがん患者のみで、救急、難病、エイズなどの患者については別途検討するとしているのも、延命治療の隘路(あいろ)を図らずも自認している。医療専門家たちには、難問に正面から取り組む姿勢が欲しい。


 
 


◆2007/07/07  「平本初代会長 追悼の集い 「人工呼吸器をつけた子の親の会」」
 神戸新聞 2007年7月7日
 http://www.kobe-np.co.jp/kurashi/kaigo457.html

  「人工呼吸器をつけて生きる子どもの社会参加を進め、昨年五月に亡くなった尼崎市の平本弘冨美(ひろふみ)さん=当時(62)=の追悼会がこのほど、 同市内で開かれ、全国から集まった仲間が平本さんの歩んだ道を振り返った。難病で呼吸器をつけた娘の父親として、彼女の在宅生活、普通校への入学を実現さ せ、「誰もが地域の中で当たり前に生きられる社会を」と訴え続けた平本さん。そのメッセージを受け継いでいこうと、約百人が語り合った。(磯辺康子)
  共生の社会へ遺志継ぐ/開かれた道可能性広げよう
  平本さんは、一九八九年に発足した「人工呼吸器をつけた子の親の会(バクバクの会)」の初代会長。長女の歩(あゆみ)さん(21)は、筋力が低下する難病ミトコンドリア筋症で、生後間もなく人工呼吸器をつけ、入院を続けた。
   会の発足当時、医療関係者も呼吸器をつけた子どもの在宅生活は難しいと考えていた。しかし、平本さんは「病室の天井を見続けるだけの生活」に疑問を投げ 掛けた。九〇年、歩さんは四歳で退院。地元の保育園、小、中、高校に通った。平本さんは仕事を辞め、たんの吸引などの医療的ケアが必要な娘を支えた。
  小学校で歩さんの担任を務めた北田賢行教諭(55)は「平本さんは『子どもは子どもの中で育つ』と話していた。呼吸器をつけた子の受け入れは初めてだったが、子どもたちはすぐに歩さんと仲間になり、私自身も多くを学んだ」と振り返る。
  ■「誰もが等しく」
  一方で、平本さんは「すべての子が親の付き添いなしに通える社会にすべきだ」と、教育委員会などに訴え続けた。
  「障害児を普通学校へ・全国連絡会」(東京)の熊谷直幸運営委員(55)は「たんの吸引などの医療的ケアは鼻をほじるようなもので、生活介助の一つに過ぎないと繰り返し言っていた」と話す。「誰もが等しく教育を受ける権利」に、平本さんはこだわった。
  付き添いをめぐる問題は今も解決していないが、呼吸器をつけた子どもの行動範囲は確実に広がっている。バクバクの会は現在、全国に約三百家族の会員が おり、七割近くが自宅で生活。追悼会に合わせて発行された文集には、「平本さんが道を作ってくださったおかけ」などの言葉が並んだ。

  ■メッセージを発信
  追悼会には、歩さんが通った尼崎稲園高校の二年後輩で、「ビジュアルアーツ専門学校大阪」の二年生、石谷真菜さん=尼崎市=の姿もあった。歩さんの生 活を撮影し、ドキュメンタリー作品を制作。「学校では話す機会がなかったけれど、歩さんは私の兄と同級生。障害のある人にとっての『社会の壁』を考える作 品にしたい」という。
  歩さんは今、小学校教諭の母、美代子さん(56)と暮らし、二十四時間のヘルパー派遣を受けながら自立を目指す。自分が通った保育園で月一回、子どもとの交流を続けるなど、新たな試みにも挑戦し続けている。
  バクバクの会の現会長、大塚孝司さん(58)=東京都東大和市=は「平本さんは、スキーや登山など、呼吸器をつけた子ができることを次々に広げ、皆に 『自分ができることを探してみたら?』というメッセージを発し続けた。『尊厳死』などという言葉で命の選別が進む今、呼吸器をつけた子が当たり前に存在で きる社会になるよう、活動を続けたい」と話した。


◆2007/07/10  「訪問入浴(上)寝たきりでも、自宅で快適に」
 読売新聞東京夕刊 2007年7月10日
https://db.yomiuri.co.jp/bunshokan/




社会保障 あんしん
車にボイラー、簡易浴槽   
自宅に簡易浴槽を持ち込んで、全身浴や部分浴を行う訪問入浴サービス。寝たきりのお年寄りや家族らにとっては欠かせないサービスだが、その実態はあまり知られていない。長期入院の見直しで在宅で暮らす人が増えるなか、訪問入浴の実態や課題を見た。(内田健司、写真も)  
◎1時間で手際よく  
午 前9時、東京都小金井市の本木トシさん(95)宅に、「桜町高齢者在宅サービスセンター」のスタッフ3人が入浴車両で到着した。室内に上がり、手際よく簡 易浴槽を組み立てる。車載のボイラーで40度近くにした湯をためると、ベッドから寝たきりの本木さんを抱き上げて湯船に入れ、髪、手足、体の順に洗ってい く。  
入浴前後には看護師が血圧、脈、呼吸などを測り、皮膚の状態などもチェック。見守っている娘の中本要子さん(58)が、「気持ちよくなったねえ、お母ちゃん」と顔をのぞき込む。普段はあまり話さないトシさんが、突然、「あ、り、が、と」と言うこともあるという。  
スタッフは残り湯をトイレに排水し、浴槽などは素早く消毒洗い。約1時間で手際よく撤収していった。  
桜町センターでは約40人にサービスを提供している。担当の鈴木治実さんは、「湯気で暑いうえ、家族の目の前で行うだけに緊張します」と気を引き締める。  
三 浦和行センター長も、「人間としてその人らしく生きて、死んでいく在宅サービスの最後の砦(とりで)となるのが訪問入浴。介護保険で、報酬単価が導入時か ら下げられていない大切なサービスでもある。体調の急変などもあるため、利用者の状態に応じて加算があるのが望ましい」と話す。  
◎車両は募金支え  
福祉医療機構の「WAM NET(ワムネット)」によると、訪問入浴を提供している事業者は全国で約 2600。介護保険実施後、多くの民間事業者が参入した。自前で入浴車両をそろえる民間に対し、社会福祉協議会や社会福祉法人などが使う車両の多くは、募 金などにより支えられていることも意外と知られていない。  
桜町センターの場合は、日本財団の助成を受けて購入した。同財団によると、1999年以降に助成した訪問入浴車は計1263台に上るという。  
一 方、30年前からこのサービスを普及、下支えしてきたのは日本テレビ系列各局のチャリティー番組24時間テレビによる募金だ。これまでに計1770台が寄 贈された。2003年度からは、大地から幸せを運ぶ鳥が飛び立つシンボルマークを描いた車両が、主に地方都市を走り回る。  
◎利用者に情報紙  
「利用実態を知ってもらうことが課題」と情報紙を発行する事業者も現れた。  
株式会社「ティー・ シー・エス」(本社・神奈川県平塚市)は、簡易浴槽に入浴中の写真とともに、脳こうそくの発症時の様子などを紹介する情報紙「け・あ・ぷ・ろ」を発刊。家 族の声を織りまぜながら、風呂好きだった利用者が、入浴後には血行が良くなり、体も柔らかくなって座位がとりやすくなったケースなどを取り上げ、約800 人の利用者らに配布している。  
川内美喜男社長は、「医療制度改革による長期入院の見直しが進み、在宅で暮らす人は今後も増える。地域性を大切にしながら、魅力を感じてもらえるようなサービスを提供していきたい」と話している。
{訪問入浴}  
介護保険の報酬単価は、看護職員1人、介護職員2人でサービスした場合、1回1万2500円。地域により1.8〜7.2%の加算があり、東京都区部は1万3400円。看護師がいない場合や、部分浴の場合などは減算される。利用者負担はこの1割。
写真=本木さんの入浴介助をするスタッフ。笑顔を絶やさず、家族との会話も弾む(東京都小金井市で)
写真=日本テレビ系列チャリティー番組のシンボルマークがついた訪問入浴車から、2分割された簡易浴槽を運び出すスタッフ(栃木県壬生町で)


◆2007/07/11  「訪問入浴(下)増える重症者 足りぬ看護師」
 読売新聞東京夕刊 2007年7月11日
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/kyousei/saizensen/20070711-OYT8T00215.htm




難病 終末期 できる限り心地よく
人口呼吸器を付けたり外したりしながら入浴する大栗貴志さん(栃木県壬生町で) 在宅での療養生活を支える訪問入浴サービス。利用者の重度化が進 み、医療処置が必要な人が増える一方、健康チェックに欠かせない看護スタッフの確保が大きな課題となっている。(内田健司、写真も)
呼吸器  
栃木県壬生町に住む大栗貴志さん(31)は、訪問入浴サービスを週1回利用している。  
筋ジストロフィーのため、6年前から人工呼吸器を付けてベッド上で過ごす。わずかに動く指でパソコンで情報を集めたり、スカイパーフェクTVで巨人戦を楽しんだりしている。  
以前は、入浴時には人工呼吸器を外していたが、自発呼吸が弱まり、入浴中に脈が上がるなどの症状が出たため、訪問看護師らが家族と相談。最近は、人工呼吸器を付けたまま入浴させる方式に切り替えた。  
3人の女性スタッフと一緒に母親の良子さん(58)が見守り、ベッドと浴槽間の移動や、背中を洗う際などに限って、呼吸器を手際よく付けたり外したりしている。  
サービスを提供している同県西方町社会福祉協議会の看護師中田泰子さんは、「穴が開いているノドから間違って湯が入らないように、タオルを首に巻くなど気をつけています。呼吸器を付けることで、ゆっくり入れるようになりました」と話す。  
利用者の中には、難病患者や、胃に開けた穴から管で栄養を取る「胃ろう」の高齢者などもおり、看護師に期待される役割は重くなるばかりだ。
重労働  
腹部大動脈瘤(りゅう)で下半身の知覚がなくなった沓沢礼一さん(70)(神奈川県平塚市)も、6年前、1年3か月に及ぶ入院生活を終えて自宅に戻った翌日から、訪問入浴を利用している。  
人工こう門をつけているが、入浴時もそのままだ。退院時に出来ていた大きな床ずれも、数年前に手術してからはすっかり回復。床ずれの予防や回復にも、「入浴による効果が期待される」と話す。  
サービスに満足している沓沢さんにも、一つだけ不満がある。訪問する看護師がよく代わることだ。「体調の変化を継続的に見てもらいたいし、病状が変わるたびに説明するのは苦痛だ」と訴える。  
事 業者によると、看護師の確保は容易ではない。常勤以外の採用を人材派遣会社に頼る場合も多く、その費用は、1日2万5000円程度で、従来より交通費など も含めて高騰しているという。それでなくても慢性的に看護師が不足していることに加え、「訪問入浴は、体力的に大変な反面、医療や看護面の仕事が少ない」 と見られがちなのも、なり手が少ない理由だ。
最期まで  
終末期の人の入浴について考えようという動きもある。訪問入浴車を1972年に世界で初めて開発し、普及に努めてきた 「デベロ」(本社・水戸市)では、医療処置が必要な人への対応の仕方や医療機関などとの連携もテーマに、様々なレベルアップ講座を開くなど研修に力を入れ ている。  
同社の梅澤秀樹統括営業本部長は、「利用者の中には、次の日に亡くなるケースも珍しくない。いかに快適に入浴していただけるかを念頭に改善を続けている。利用の窓口になるケアマネジャーにも、サービス内容を理解してもらえるよう努力したい」と話している。


◆2007/07/12  「終末期入院医療費、1日3万円/日本医師会調査」
 読売新聞大阪朝刊 2007年7月12日
   https://db.yomiuri.co.jp/bunshokan/




75歳以上で死亡した入院患者にかかる死亡前1か月間(終末期)の入院医療費は1日あたり3万1800円で、同年代の入院医療費の約1.5倍にな ることが、日本医師会の調査でわかった。医師会は「保険がきくことも考え合わせると、家族が治療を控える理由にはならない」としている。
3病院で、2006年度に死亡した75歳以上の入院患者403人について、死亡日から30日間さかのぼって分析した。


◆2007/07/12  「可能性広げる呼吸器 外食、海外旅行もOK 入院当たり前…認識変えて」
 読売新聞大阪朝刊 2007年7月12日
https://db.yomiuri.co.jp/bunshokan/




けがや病気などで人工呼吸器を付けて暮らしている人たちがいる。「寝たきり」とのイメージがあるが、旅行や外食を楽しんでいる人もいる。こうした 人たちへの理解を深めてもらおうというセミナーが兵庫県内で開かれ、参加者からは呼吸器は生命維持だけでなく、「社会参加」のための道具というメッセージ が発信された。(森川明義)
「人工呼吸器使用者の自立生活を実現するために」と題されたセミナーは、兵庫頸髄(けいずい)損傷者連絡会(三戸呂(みとろ)克美会長)の主催。交通事故や筋ジストロフィーなどの病気で呼吸器を使っている人たちがそれぞれの生活ぶりを報告した。
最初に、同連絡会のメンバーで、交通事故で障害を負い呼吸器を使用している池田英樹さん(33)が「呼吸器をつけて自分らしく生きる」と題して基 調講演。池田さんは第三者の介助を利用しながら友人と外食しているといった事例を紹介しながら「一度しかない人生、悔いを残さないように生きたい。呼吸器 を付けているからたばこはだめ、酒はだめと他人に行動を制限されたくない。自由に好きなことをやっていきたい」と訴えた。
この後、筋ジストロフィーで、3年前から呼吸器を使い始めた藤原勝也さん(27)は「呼吸器は自分の可能性を広げてくれる道具で、なくてはならない。海外旅行にも行き、生活の幅が広がった」などと話した。

呼吸器を使う人たちを巡っては、一般の認識、介護、医療など様々な面から課題が挙げられている。
車いすを使って生活している三戸呂会長は「呼吸器を付けている人は最重度であり、病院にいるのが当たり前で、在宅は考えられないという一般の認識 を変えなければならない」と訴え、在宅での生活介護を引き受ける事業所が少ないことや、呼吸器のリース代補助など制度的な支援が整っていない現状を語っ た。
また、呼吸器によっては胸を切開手術して気管につなげるケースもあり、管にたんが詰まった場合は吸引が必要となる。
呼吸器を付けた子どもを持つ親らでつくる「バクバクの会」事務局長の折田みどりさん(大阪府池田市)は「24時間の介護保障と、たんの吸引という医療的なケアができる介護者が必要だが、介護の報酬単価が安いことなどもあって人材がいない」と話した。
さらに、関西労災病院リハビリテーション科医師の土岐明子さんは「呼吸器を付けている患者のリハビリができる施設が少ない」と述べた。
適切な時期にリハビリを受けることができないケースもあり、「首などの骨を折った脊髄(せきずい)損傷者を一括して診るシステムを作り、その経験 を蓄積する態勢作りが必要」とした上で、「呼吸器は眼鏡と同様に“生きていくための道具”。呼吸器を付けることで生活ができ、自立も可能です。そうした人 が増えれば社会の認識も変わるはず」と指摘した。
写真=人工呼吸器を使っている人たちが自立への課題を話し合ったセミナー(兵庫県明石市で)


◆2007/07/14  「主治医が患者を総合評価 75歳以上の診療報酬体系で」
 朝日新聞 2007年07月14日
http://www.asahi.com/health/news/TKY200707140337.html




厚生労働省は75歳以上の後期高齢者について、主治医が年に1回程度、心身の状態を総合的に評価する新たな仕組みを設ける方針を固めた。この評価 をすると診療報酬を得られるようにする。年2回程度の定期的な検査結果と併せ、評価内容を本人や家族、看護師、ケアマネジャーと共有することで、効果的な ケアを行う狙いだ。
08年4月にスタートする後期高齢者向け医療制度では、高齢者向けの独自の診療報酬体系をつくることが決まっている。「患者の心身を総合的に診ることができる医師」を公的に主治医として認定し、在宅ケアや終末期ケアでも中心的な役割を担うことが柱となる。
患者の心身についての評価はその一環。主治医が日常の診察から受ける印象に加え、「自分1人でトイレに行けますか」などさまざまな質問をして、日常生活の能力や意欲、情緒などを判定する。
継続的に患者を診ている医師の評価を周囲の人々が共有することで、治療方針についての合意を得やすくなり、患者のニーズに合ったケアが可能になるとみている。
厚労省はこのほか、薬の重複投与や副作用のリスクを避けるため、75歳以上の4割以上の人が持っている「お薬手帳」に複数の医療機関で処方されている薬や注射の内容をすべて記録するようにする。


◆2007/07/16  「地域をつつむ緩和医療をめざして」−−第12回日本緩和医療学会開催
 週刊医学界新聞第2740号 2007年7月16日
  http://www.igaku-shoin.co.jp/nwsppr/n2007dir/n2740dir/n2740_01.htm




第12回日本緩和医療学会が6月22−23日の2日間,田中紀章会長(岡山大)のもと,ホテルグランヴィア岡山(岡山市)ほかで開催された。医療 機関から在宅での看取りへという大きな流れのなか,患者自身の意向に沿った緩和ケアの提供を,地域で包括的に実践していくことが求められている。本学会の 開催テーマも「地域をつつむ緩和医療」とされ,緩和医療チームの活動,緩和医療を中心とした地域連携による生活支援システムの構築に向けた取り組み,法と 倫理など多彩な演題でセッションが展開された。
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6月15日,がん対策推進基本計画が閣議決定された。年度内の立案を目標に各都道府県では地域に根ざしたがん対策の計画が,急ピッチで進められている。急速に施策が進むがん対策を背景に,外口崇氏(厚労省)が今後の日本の医療制度改革について特別講演を行った。
がん診療連携拠点病院のあり方に触れ,「現在286施設にまで増加しているが,要件にあてはまる施設がない地域もある。質の担保をしながら(地域 に応じた)新しい枠組みを考えていくことも必要」と述べた。また,緩和医療における地域の医療機能の連携について,「各地で先進的な事例が続々と現れ,全 体のけん引役となっている」と評価した。シンポジウム「在宅医療と緩和医療」では,この各地で展開される取り組みが紹介された。
緩和ケアを通じた丹念なまちづくり  
加藤雅志氏(厚労省健康局がん対策推進室)はサイコオンコロジーを専門とする厚生労働技官の 立場から発言。在宅医療の充実を基盤に,病院から在宅への切れ目のない緩和ケア提供,がん患者を支えることができる地域づくりが求められる。また,地域ご とに住民の生活特性を分析しながら機能分化を進めていくことが必要であるとした。
◆広島県の取り組み  
広島県では2004年9月,県立病院内に「緩和ケア支援センター」を設置,緩和ケア病棟の運用と緩和ケア 支援室を通じ,県内全域に総合的な緩和ケアを提供する取り組みを行っている。運営費は県予算から年間1000万円を拠出,医療者の連携,県民への情報提供 の中核機関としての役割を担う。  
同センターの本家好文氏は「二次保健医療圏ごとにがん診療連携拠点病院をつくる目標で開始した」と述べた。また,地域の医療者への教育的役割 についても言及。広島大医学部の学生は全員,病棟緩和ケア研修に参加するほか,1日研修には県内の研修医や病院管理者などの参加が相次いでいるという。本 家氏は「今後は拠点病院を中心に地域レベルで,がん治療に携わる医師には緩和ケア,かかりつけ医に対しては疼痛ケア,とそれぞれのニーズに応じた教育・研 修が求められる」とした。
◆十和田市の取り組み  
蘆野吉和氏(十和田市立中央病院)は腫瘍外科医として在宅ホスピスケアに長く携わってきた。現在は病院 長として,院内・地域連携のネットワークづくりを行う。「前任地では退院者の3分の1が在宅で看取られていたが,1年半前の着任時,十和田の地域住民は病 院で亡くなるのが当然という意識だった」と述べ,住民に対しても,在宅で迎える最期・看取りへの意識変革が必要とした。この方法として町内会や在宅研究会 などのリソースを通じ,地域,医療者全体で考える地道な取り組みが必要であると述べた。そのうえで,在宅ホスピスケアは地域社会システムの枠組みの中で考 えるべきとし,この成否は「医療支援システムに加え,デイホスピスやレスパイトを含めた地域・在宅をつつみ込む新しい生活支援システムを構築できるかにか かっている」と述べた。
◆緩和ケア岡山モデル  
加藤恒夫氏(かとう内科並木通り診療所)は,がんの早期から終末期まで途切れることなく医療を提供する ためには,病院とプライマリケアチームの連携,それをサポートする「在宅サポートチーム」の活動が不可欠と指摘。これを具体化したのが,2001年から加 藤氏が取り組む「緩和ケア岡山モデル」。  
加藤氏は活動の分析のなかで,近年の化学療法患者の増加の影響か,病院との連携が増加していると述べた。そのうえで「最近,化学療法中の終末 期患者が突然,在宅ケアに移行させられる例が増えている」と指摘。合わせて2005年より在宅死の数が減少傾向にあることに触れ,化学療法中の患者のギア チェンジの難しさについても指摘した。
◆尾道方式  
片山壽氏(尾道市医師会長)は,尾道診療圏に存在する3つの急性期病院や在宅の主治医と緊密に連携しながら,可能な限り長期にわたる在宅緩和ケアをめざす“尾道方式”について報告。  
尾 道方式は,退院前に入院先で多職種による徹底的なケアカンファレンスを行う。在宅での緩和ケアに移行する退院患者・家族の意志,病院側の継続的なバック アップ,在宅担当者側のチーム編成を確認する。退院後も時宜に応じ,在宅主治医の往診時に,病院側主治医やホスピス認定看護師,訪問看護師などが同行訪問 し,丁寧なチーム医療を実践している。  
同市医師会の主治医機能対応医療機関(67施設)のうち,麻薬処方を含む緩和医療,在宅での看取りを7割以上の施設で実施しているといい, 「尾道では患者の病態に応じて“可変的に”在宅医のネットワークが組める」と述べた。最後に,患者の希望をかなえることを第一義とする尾道方式緩和ケアの 評価尺度は「患者の笑顔の質と量」であるとして論を閉じた。
負担・不安の解消に向けて  
“家族の負担・急変時の不安”を理由に退院を躊躇する終末期の患者は多い。地域における緩和ケアでは,この問題の解決が鍵となる。  
川 越博美氏(在宅ホスピス協会)は,自身がスーパーバイズする在宅ケア支援グループ「パリアン」の活動を紹介した。医師との緊密な連携のもと,常勤看護師2 名による24時間訪問看護(在宅末期医療総合診療料算定)の実施,ボランティアも参加した療養通所介護(デイホスピス)の運営を通じ,“家族の負担・急変 時の不安”の解消,市民と医療者協働によるまちづくりの実践モデルをめざす。また天涯孤独の独居者や聾唖者の看取りにも触れ,社会的弱者へのサービス提供 も不可欠と述べた。  
地域で支える緩和ケアの実現に向けて“住民ホスピスボランティア”の育成も望まれる。川越氏は,ボランティア活動のメリットを「自然にスピリチュアルケアができること」とした。  
岡 山済生会総合病院のボランティアとして約10年活動を続ける近藤和代氏は「人生を振り返る援助,傾聴を中心に,患者さんの生活を日常的・家庭的な雰囲気に 近づける努力をしている」と日々の活動を総括。死に直面した患者さんを前に今でもとまどうことが多いとしたうえで「会う時間が短くても,一瞬でも心に寄り 添えたと感じたとき意義を感じる」と実感を述べた。


◆2007/07/18  「反射角]「死」と向き合う意味」
 読売新聞西部朝刊 2007年7月18日
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2007080200006&genre=C4&area=K30




「お迎えが来る」という言葉は、臨終の際に仏が迎えに来るという意味だ。来世への旅立ちを送る遺族に対する思いやりも感じられる、と言えば反発さ れるだろうか。縁起でもない、と怒られるだろうか。しかし、「死」は、どんな人にもいつかは必ず訪れる「時」であり、絶対に避けることができない「事実」 である。
しかし、今。死をバーチャル(仮想)として受け止める傾向が強まっているような気がする。「一度死んでもリセットすれば生き返る」と思っている 子どもがいることも調査で明らかになっている。一方では、「自殺マニュアル」本が売れたり、インターネットでは猟奇的に取り扱う情報が飛び交ったりしてい る。「死」を実感としてでなく、イメージとして受け止めているからではないか。
死が身近なものでなくなった大きな理由は、ほとんどの人が病院で治療を受けながら、亡くなるという現実がある。近親者や友人・知人の告別式に参 列した時には、ほとんどが「いずれは自分も……」という「事実」に直面するにしても、病気や老衰と闘った後に死を迎える姿を家族――とくに子どもたち―― が直接見る機会は少ない。
終末医療に詳しい二ノ坂保喜医師(福岡市)は、死が必然のものでなく、『医療の中で管理された死』として扱われるようになった、として、「医療 技術はたくさんの病気を治癒できるものにし、人々に多大な恩恵を与えてきた。しかし、命のすべてを把握し、コントロールし、治癒することはできない。いつ かは必ず死が訪れる。そのことを意識しながら生きることが、かけがえのない命、人生を大切にすることにつながる」と指摘する。
「死を意識する」一つの回答として二ノ坂医師は「自宅で死ぬこと」をあげる。人生の最期を迎える場所は、その人が暮らし、たくさんの思い出が残 る場所がふさわしい。家族や近隣の親しい人が最期までみとることが、「死」と向き合うとともに、命を大切にすることにつながるという。
それを可能にするためには、家族や地域の協力が欠かせない。医療面では、「在宅ホスピス」のネットワーク化が重要な課題だ。
「近隣がみとる」ことは、地域の連帯につながる。少子・高齢化、核家族化によって希薄になっている地域コミュニティー(共同体)の再生にも寄与する。
同医師らが中心になっている「福岡県在宅ホスピスをすすめる会」はこのほど「在宅ホスピスガイドブック」(木星舎)を発行した。在宅療養診療所、 訪問看護ステーションなどを1年間かけて調査した資料で、終末医療のネットワークを構築することを目標にしている。読んでいると、「死」と真剣に向かい合 う真摯(しんし)な姿勢が伝わる。それは命を大切にする姿そのものでもある。
「死は、実は人間的な生の要素であり条件なのである。(略)生が持っている活力の側面もまた、その具体的な発揮の方向性を死の自覚によって与えられるのである」(小浜逸郎『癒(いや)しとしての死の哲学』)。(編集委員・工藤正彦)


◆2007/07/21  「終末期医療を考える」
 北日本放送 2007年7月21日19:29現在
http://www2.knb.ne.jp/news/20070721_12212.htm




終末期医療のあり方を考えるシンポジウムが21日、富山市で開かれました。
終末期医療に関する県民シンポジウムは、今年5月に厚生労働省が公表した「終末期医療に関するガイドライン」の内容を県民に知ってもらい、自分や家族の終末期にどのような医療を望むか考えてもらおうと県などが開きました。
まず東京大学大学院法学政治学研究科教授で、終末期医療の決定プロセスのあり方に関する検討会の座長の樋口範雄さんが講演し、終末期医療では肉体的な苦痛を緩和するためのケアが行われることが重要などのガイドラインの基本的な考え方を説明しました。
続いて開かれたパネルディスカッションでは、よい終末期を迎えるには本人の思いを尊重することが大切で、そのためにも医療が人の幸せのためにあるとわかる医者が必要だという意見が出ていました。


◆2007/07/21  「延命拒否カードを富山市内でも発売 高岡市の6LC作成」
 北國新聞 2007年7月21日02時48分更新
http://www.toyama.hokkoku.co.jp/_today/T20070721205.htm




富山市の文苑堂書店藤の木店で七月末から、「延命措置を望まない意思表示カード」の取り扱いが始まる。高岡市内の六つのライオンズクラブ(LC) が作成し、五月末から同市内二カ所で販売したところ好評であったことから、富山市内でも扱い、終末期医療への関心を高める契機とする。
カードは四月、高岡、高岡志貴野など六LCで構成するLC国際協会334―D地区2リジョン1ゾーンのチェアパーソンを務めていた同書店の吉岡 隆一郎社長が発案。LC以外の賛同者にも携帯してもらいたいと、高岡市のLC事務局と文苑堂書店福田本店で取り扱ったところ、千枚以上が売れ、市外からも カードを希望する声が多く寄せられた。
カードは吉岡社長が撮影した高岡古城公園のモミジと噴水の写真に「私は延命措置を望みません」の文言が印刷されており、裏面に日付を書き込んで署名する。二枚セット二百円で、一枚は本人、もう一枚は家族が保管する。


◆2007/07/22  「『子の見本となる生き方を』−−金沢、日野原重明さんら講演」
 中日新聞 2007年7月22日
http://www.chunichi.co.jp/article/ishikawa/20070722/CK2007072202034767.html




終末期医療が発達する中で人生をよりよく生きるための公開セミナー「memento mori石川2007〜『死』を見つめ、『今』を生きる〜」 (日本財団など主催、北陸中日新聞など後援)が二十一日、金沢市文化ホールで開かれ、公募の約九百人が、日野原重明・聖路加国際病院理事長と村上和雄・筑 波大名誉教授の講演に聴き入った。 (遠田英樹)
「memento mori(メメント・モリ)」とは、ラテン語で「死を想(おも)え」の意味。同セミナーは一九九九年、長崎県をスタートに始まり、今回で二十七回目。
三浦一郎日本財団常務理事のあいさつに続いて、九十六歳間近の日野原さんが「与えられた人生を いつ、誰に、どう返すか」をテーマに講演した。
温かなユーモアを交えながら「子どもたちがどう生きたらいいのか、良いモデルがない。子どもが親のようになりたいと思うような生き方を大人自身が するしか、子どもを育てる方法はない」「死は必然でつらいこと。最後に“生まれてきて良かったね”と、本当に感謝して死ねれば最高の幸せ」などと言い聞か すように語った。
また、村上さんは「心といのち〜感動や志が遺伝子をONにする」をテーマに講演した。

 
 


◆2007/08/02  「介護サービス向上へ−四国老人福祉施設研究大会」
 四国新聞 2007年8月3日 09:31
 http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/locality/article.aspx?id=20070803000088

 「第56回四国老人福祉施設関係者研究大会(四国老人福祉施設協議会など主催)が2日、高松市のサンポートホール高松で始まった。4県の老人福祉施設関 係者ら約1200人が参加、講演やテーマごとの研究部会などがあり、介護サービスの質の向上について理解を深める。3日まで。
 初日は大ホールで開会式典や基調報告、講演会が行われた。基調報告では、全国老人福祉施設協議会の中村博彦会長が「介護現場の実情を発信し政治に反映さ せ、適切な制度改正に結びつけるよう頑張りたい」と決意を示した。また、厚生労働省の担当者が介護保険制度改正の状況と将来展望について解説した。  最後に▽自立支援と自己実現のできる21世紀型特養づくり▽低所得者の負担軽減と先進的介護福祉サービスに率先して取り組む▽尊厳ある認知症ケアや終末 期の看取りケアのできる医務看護体制の充実―などを目指す大会宣言を採択、初日の日程を終えた。3日は個別テーマごとに分かれて研究部会がある。」(HP 掲載全文)


 
 


◆2007/08/08  「故人への手紙で悲しみ共有−−生きる希望の一助に募集」
 山梨日日新聞 2007年08月08日
 http://www.sannichi.co.jp/local/news/2007/08/08/9.html

 親しい人を亡くした悲しみを共有し、生きる希望につなげてほしい−。自分らしい最期のあり方を探ろうと学習を重ねている県内の市民グループ「エンディン グを考える会」(蒲田裕子会長)が、今月末に計画している最新葬式事情を紹介するイベントに合わせ、「天国への手紙」(故人への手紙)を募集している。期 間中、会場に展示して故人を思う気持ちを分かち合い、生きる糧にしてもらうのが目的だ。  イベントは「知って得するフューネラルガイダンス」と題し、八月三十一日−九月二日、甲府・アイメッセ山梨で開く。今年三回目。  今回は「グリーフ(癒やし)」をテーマに、「天国への手紙」を企画。「手紙を書くことで気持ちに区切りをつけ、さらに公開することで、親しい人をなくし た悲しみを共有し、自分は一人じゃないという希望を持ってもらいたい」(同会)という。  手紙は、亡くなった家族や大切な人にあてたものとし、便せんなどに四百字程度にまとめてもらう。二十五日必着で受け付ける。会場に展示して審査し、最終 日には優秀作品の朗読会も開く。  イベントではこのほか、人形供養祭、尊厳死や家族葬についてのワークショップ、仏事全般の相談コーナーを開設。記録映画「わたしの葬送日記」も上映す る。問い合わせは同会事務局、電話055(233)7009。

 
 


◆2007/08/08  「変わる盆の形式−−追慕する記念日に」
 読売新聞(文・森川明義) 2007年08月08日
 http://osaka.yomiuri.co.jp/kokorop/kp70807a.htm

仏壇、部屋に合わせ現代風
 日ごろは宗教心が薄くても、盆になると、ふるさとに帰省し、仏壇や墓に参る人は多い。しかし、最近は盆休みを利用して海外旅行をするのも珍しくなく、仏壇のない家も増えていて、その形式は変わりつつある。盆の意義と人々の思いについて考えてみた。 しきたりにとらわれずそれぞれの形で故人をしのぶことのできる「仏壇」も登場(ギャラリーメモリア枚方で)
  盆は旧暦の7月15日を中心に行われる盂蘭盆(うらぼん)のこと。先祖を供養する仏教行事だが、それに各地の習俗が重なり、13日に迎え火で先祖の霊を迎 え、16日(15日の地域もある)に送り火とともに送り出すという形になった。新暦になった際、東京などでは暦通り7月15日を中心に行っているが、多く の地域は8月の旧盆(13日〜16日)に行っている。  第一生命経済研究所が「日常生活における宗教的行動と意識」について調査したところ、盆の実施率は74%で、初詣での76%と並んで高く、年中行事とし て定着している。国民の休日でもないのに多くの人々が休みを取る盆は、現代社会の中でどんな意味を持っているのだろうか。  「毎年めぐってくる盆は、祖霊信仰の中で、命のつながりを思い起こし、死者と交流する壮大な装置として働いている」  そんな風に説くのは、大阪市天王寺区の大蓮寺住職、秋田光彦さん。終末期をテーマにした「エンディングを考える市民の会」を主宰する。「普段は忘れてい ても、盆という国民的行事の中で、命のつながりを思い出すことができるのです」  しかし、風習は薄れつつある。盆の間、僧侶が檀家(だんか)を回り経をあげる「棚経」も、最近は案内を出しても断る人が出始めた。  一方、大蓮寺では、新盆を迎える檀家に案内を出し、寺で新仏の合同供養を行っている。供養では、それぞれに自己紹介してもらい、亡くなった人の思い出や 今の悲しさなどを話してもらう。参加者は亡くなった人に思いをはせるとともに、悲しみを持つのは自分だけではないことを知ることができるという。 洗練されたデザインで扉がガラス製の現代仏壇も人気 家で先祖を迎えるのに必要な仏壇も時代とともに変化している。
 大阪府枚方市の家具団地にある「ギャラリーメモリア枚方」。店内には、モダンなデザインの仏壇が並ぶ。箱がなくガラスを組み合わせたステージ形式のもの は、高級家具のようだ。洋風の居間にも合い、宗教性を感じさせないのが特徴だ。  前川和也店長は「若い人たちは特定の宗教ではなく、ライフスタイルに合ったまつり方をして、大切な人をしのびたいと思っている。その精神性の高い場所、 手を合わせる対象として仏壇を選んでいるようです」と話す。  客からは「部屋にマッチする仏壇がほしかった」「形式にこだわらずに親をまつりたかった」などの声が寄せられているという。  ギャラリーメモリア枚方の商品を製造しているのは八木研(本社・大阪市)。モダンなデザインの仏壇を「現代仏壇」として商標登録し、全国で60店舗を展 開している。この10年で売り上げは倍以上になった。  八木研では、居間での仏壇の場所を「マインドスペース」と呼ぶことを提案する。まつる対象も本尊ではなく、故人の写真や思い出の品など、しきたりにとら われない自由さが特徴だ。  盆の形式や仏壇は変わっても、亡くなった大切な人へ思いをはせる気持ちはなくならない。  第一生命経済研究所の小谷みどり主任研究員は指摘する。「昔は思いを寄せる対象が先祖など縦のつながりの人だったけれど、今は時間、空間を共有した家族 や友人たちが中心になってきている」  先祖を敬うというのが決まりだった盆が、親や友人ら知っている人を追慕する記念日へと変化しているというのだ。  シングルの人や子どもを持たない人が増えていることで、追慕の方法も変わってくる。大蓮寺では2002年、共同の個人墓を作り会員を募集したところ多数 の応募があった。盆供養の際は、同じ墓に入るということで契約者の連帯感は強いという。「自分が死んでも誰かが自分を覚えていてくれて墓に参ってくれる。 みんなそんな安心感を求めているのです」と秋田さんは言う。  小谷さんは強調する。「人間は一人では生きられない。生前も死後も誰かとつながっていたい。それが心の安寧につながるのです」  盆を契機に、亡くなった人をしのび、家族や友人との「つながり」を求める心は連綿と続いている。

 
 


◆2007/08/08  「重度の介護者、在宅で高い満足度」
 キャリアブレインネット 2007年08月08日
 http://www.cabrain.net/docomo/news/article.do?newsId=11092
 在宅で介護を受けている重度の市民を対象に行った実態調査の結果を、神奈川県相模原市がこのほど公表した。在宅で介護保険サービスを利用している人の満足度は、いずれのサービスでも8割を超えることが分かった。

 調査は、今後の介護の施策展開に活かすため、在宅で介護を受けている「要介護4」「要介護5」状態の市民を対象に06年6月22日から7月31日にかけて実施。931人から回答を得た(回収率54.0%)。

 回答者のうち、介護保険サービスを利用している人は720人。そのうち、9つの在宅系サービスごとの利用状況は、訪問介護358人、訪問入浴243人、 訪問リハビリテーション133人、訪問看護270人、通所介護316人、通所リハビリテーション118人、ショートステイ274人、福祉用具貸与459 人、居宅療養管理指導61人だった。これらの人を対象にサービスの満足度を尋ねた。
 利用者のうち、「満足」もしくは「まあ満足」と回答したのは、訪問介護では89%、訪問入浴では94%、訪問リハビリステーションでは93%。訪問看護 では95%、通所介護では、89%、通所リハビリテーションでは87%、ショートステイでは81%、福祉用具貸与では94%、居宅療養管理指導では93% となり、いずれのサービスでも高い満足度を示した。

 しかし、自由記述からは、在宅生活を継続する上で、介護を受けている人また介護をしている人に関する不安や問題点も明らかになった。
 介護を受けている人の不安や問題点は466件。そのうち「介護の必要性が高い」169件、「病気や症状の悪化が不安」153件と、この2点に集中した。
 介護をしている人の不安や問題点について寄せられたのは509件。内容は「介護者の健康面」が283件で最も多かった。

 相模原市は、「在宅ケアを継続するための問題点・課題を抽出し、現行の各種サービスを点検するとともに、サービスの質の向上と今後の施策展開の検討資料として活用したい」としている。

140%;">
◆2007/08/08  「待機時間に賃金不支給/訪問介護」
 キャリアブレインネット 2007年08月08日
 http://www.cabrain.net/docomo/news/article.do?newsId=11218
 介護従事者の厳しい賃金実態が指摘される中、訪問介護を行う事業所の多くで、非正社員に移動時間や待機時間など非サービス時間の賃金を支給していないこ とが、財団法人介護労働安定センターの調査から分かった。待機時間については、約5割の事業所で不支給。事業所を法人格別でみると、民間企業やNPO法人 で支給していない割合が高く、社会福祉協議会や社会福祉法人では支給している割合が高かった。

 同センターが行った「事業所における介護労働実態調査」は、介護事業所による雇用改善のための基礎資料を作ることを目的に実施。2006年9月26日か ら10月31日にかけて介護保険サービス事業を行う37,456事業所を対象に行われ、11,627事業所から有効回答を得た。

 調査は、「移動時間」「ミーティング時間」「書類・報告作成時間」「待機時間」「研修・講習時間」の非サービス時間について実施。訪問介護を行う事業所 が非正社員に賃金を「全部支払っている」「一部支払っている」「支払っていない」の3通りで回答を求めたところ、11,627事業所のうち6,426事業 所が回答した。

 結果は、待機時間に対して「支払っていない」と回答した事業所が46.1%、書類・報告作成時間に対して「支払っていない」としたのが35.5%、そし て移動時間に対して同じように回答したのが34.1%となり、多くの事業所で非サービス時間に賃金を支給していないことが明らかになった。

 また、結果をさらに詳しく、法人格別にみると、移動時間について「全部支払っている」と回答したのは、社会福祉協議会で49.1%、社会福祉法人で 44.2%だったのに対して、民間企業では23.8%、NPO法人では22.8%となることが判明。法人格によって賃金支給の状況が異なることが分かっ た。

 「事業所における介護労働実態調査」は、法人・事業所の状況、雇用管理の状況、訪問介護員・介護職員の賃金制度・賃金管理の状況など、調査事項は多岐にわたる。同センターは、調査結果の詳細をまとめた図書「介護労働の現状T」を発売している。


 
 


◆2007/08/10  「末期がん母絞殺に嘆願書−−42歳娘に猶予判決、地裁栃木支部=栃木」
 東京新聞朝刊 2007年08月10日
 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070809i304.htm

足利市で今年5月、末期がんで苦しむ実母を絞殺したとして承諾殺人の罪に問われた同市大沼田町、無職真田初美被告(42)の判決が9日、地裁栃木支部であった。
林正宏裁判官は「どのような状況にせよ人の命を奪うことは決して許されない」としつつも、「自己の一切を犠牲にして献身的な介護にあたったことは参酌すべきだ」などとして、懲役3年、執行猶予3年(求刑・懲役5年)を言い渡した。
判 決などによると、真田被告の母京子さん(当時68歳)は昨年12月に胃がんの摘出手術を受けたが、今年4月ごろから病状が悪化、5月には余命1か月と宣告 された。5月30日、自宅で激痛に苦しむ京子さんを見て、「これ以上母が苦しむ姿は見たくない。自分が楽にしてあげよう、その後自分も死のう」と決意し、 京子さんの承諾を得て、電気ストーブのコードで首を絞め、窒息死させた。
真田被告は会社を4月に辞め、介護に専念してきたが、しきりに「死にたい」と訴える京子さんをふびんに思い、遺書を代筆したり、温泉で心中を図る計画も立 てたりしていたという。京子さん殺害後は、スーパーの立体駐車場から飛び降り自殺を図ろうとしたが、電話を受けて駆け付けた妹の説得で思いとどまった。
刑の減軽を求める同級生や自治会からの嘆願書は7000通を超え、執行猶予付き判決が読み上げられると、傍聴していた家族や友人らは「よかったね」と涙を 流した。判決後、林裁判官から「お母さんを十分に供養してあげてください」と諭された真田被告は、「ありがとうございました」と深々と一礼した。


 
 


◆2007/08/11  「難病のALS−−患者の命置き去り」
 神戸新聞(社会部・田中伸明) 2007年08月11日
 http://www.kobe-np.co.jp/news_now/news2-768.html

難病のALS 患者の命置き去り
 全身の筋肉が動かなくなる難病「筋委縮性側索硬化症」(ALS)の患者に対し、人工呼吸器を使って延命するかどうかが、医療や福祉の環境によって大きく 左右されている。京都府長岡京市では今月、開業医が、病名告知や呼吸器装着の意思確認を患者にしないまま、呼吸不全で死亡させた問題が発覚。関係者は、患 者が延命を望んでも、医療側の消極的な姿勢や介護体制の不備が、呼吸器装着を阻んでいると指摘する。現状を探った。
呼吸器敬遠 医療と介護が「壁」に 延命治療多くが断念
/公立八鹿病院 支援充実で9割装着−−ALSが進行した患者の生は、人工呼吸器によって支えられている=養父市八鹿町内
 「ここの告知方法には正直、戸惑いがある」近畿内の公立病院の関係者は、取材に対しこう打ち明けた。
 同病院では、患者自身が「呼吸器を着けたい」と希望しても、担当医は「着けてまで生きる目的は何なのか」「家族で二十四時間介護する力はあるのか」などと応じているという。人工呼吸器を着けずに、死を迎えるケースも多い。  担当医の持論は「介護体制が整わないまま延命しても、患者も家族も不幸になるだけだ」。これに対し、この関係者は「医師も悩んでいるのだと思う。病院としても環境を整える役割をもっと果たしてほしい」と話す。

 ALS患者は、病気が進行すると呼吸不全になるが、気管を切開して人工呼吸器を装着すれば、長期間の生存も可能。医師側は、病名を告知し、呼吸器装着の意思を確認することが、日本神経学会のガイドラインで定められている。  しかし、実際には医師側の考えで左右される例が多いことは、多くの関係者が指摘している。
 兵庫県北部に住む六十代の女性患者も、ALSの告知を受けたとき、延命によるデメリットばかり強調されたという。
 「寝たきりで、話もできなくなる」「二十四時間介護が必要」…。
 女性は「非装着」を選択した。家族は「着けてもらいたいとは言いにくかった」と振り返り、今も揺れ続ける。
 患者団体・日本ALS協会近畿ブロックの水町真知子事務局長は、呼吸器装着を妨げる要因の一つに「地域福祉の貧困」を挙げる。
 水町事務局長が支援している奈良県内の五十代の女性患者は、訪問看護の事業所から、夫が退職して二十四時間介護するよう求められた。「万一の場合、責任が持てない」のが理由。同意書への署名を拒むと、サービスを打ち切られた。

 医療機関が独自に介護を支える体制をつくり、呼吸器装着を積極的に進める例もある。
 養父市の公立八鹿病院では、医師、看護師、理学療法士など十二職種によるケアチームを結成。定期的に情報交換し、ケアの方法を検討する。介護する家族の負担を減らすための「レスパイト入院」も受け入れる。
 近藤清彦・脳神経内科部長は「告知の際、こうしたケア体制の情報も提示することで、呼吸不全になった患者の九割以上が呼吸器装着を選んでいる」と強調する。
 養父市在住のALS患者、濱薫さん(62)は、呼吸器装着から五年を迎えた。悩み抜いたが、今は「装着して良かった」と考えている。八鹿病院の支援を受け、自宅で介護する妻美知代さん(59)は言う。
 「目の合図で話ができるので、何でも相談している。つらいことも多いけれど、夫がそばにいることには替えられない」
 【筋委縮性側索硬化症】 厚生労働省指定の難病。認定患者は約7300人で増加傾向にある。原因不明で有効な治療法もない。運動神経が侵され、全身の筋肉が動かなくなるが、感覚や知能ははっきりしているため、痛みなどの訴えが多く、介護の負担も大きいとされる。


 
 


◆2007/08/14  「福祉用具「貸しはがし」自治体で格差」
 キャリアブレインネット 2007年08月14日
 http://www.cabrain.net/docomo/news/article.do?newsId=11308
 昨年4月の「介護保険法改定」に伴い、電動ベッドや車いすの貸しはがし(貸し出し中止)が各地で指摘されている中、大阪府内では26,000件を超える 実態にあることが、大阪社会保障推進協議会の8月13日までの調査で明らかになった。大阪での貸しはがしでは、貸し出しの減少率が90%以上に上る市町が ある反面、40%未満に止まる市もあり、自治体間で大きな格差が起きていることも分かった。

 介護保険は改定前まで、要介護区分について「要支援」と「要介護1」〜「要介護5」の6段階に分類されていた。しかし、昨年4月の改定で、「要支援」に 加え、要介護1のうち改善の可能性が高い人を「要支援1」・「要支援2」に分け「新予防給付」の対象者に選定。残りの人たちを「介護給付」の対象とするこ とに変更された=図参照。この改定に伴い、電動ベッドや車いすなどの福祉用具5品目について、「要支援1」・「要支援2」のほか「要介護1」の人が原則と して介護給付の対象外となり、貸与されていた用具も返却となった。

 福祉用具の貸与中止で、電動ベッドや車いすによって起き上がりが出来ていた人や通院していた人の要介護度が悪化するとともに、在宅で生活できる人が症状 悪化に陥り、寝たきりや施設入所が増えるのではないかなどと心配し、同社保協が府内の介護保険実施状況アンケートを実施。政令指定都市の大阪市と堺市など の大規模な自治体からは回答がなかったものの、23市町村から回答があった。

 その結果、2006年3月と07年3月の貸し出し実績を比較すると、電動ベッドは21,542件から3,614件に減少(減少率83.2%)、車いすは 12,691件から4,130件に減少(同67.5%)し、合わせて貸しはがしは26,489件に達していた。特徴的なのは、電動ベッドの減少率で、 90%を超える自治体が13市町に達し、すべてのベッドを貸し出し中止にした町も見られた。一方、減少率が40%未満の自治体が6市あった。

 同社保協が自治体の担当者と交渉したところ、「それだけ使わなくてもいい人が(以前は)使っていたということ」と貸し出し中止を肯定する市もあれば、 「たとえ軽度といえども、必要なベッドであれば貸与できるようにケアマネジャーとも話し合い、主治医に意見書を出してもらった」という市もあったという。

 こうした実態を踏まえ、同社保協は「自治体の姿勢ひとつで、サービスが使えたり使えなくなったりする事態になる」と指摘している。

 福祉用具の貸しはがしは、大阪府以外にも、山形・秋田・岩手・福島・宮城の東北5県で4,000件を超えていることが、東北保険医団体連絡会の調べで既 に判明。厚生労働省は今年2月に軽度の要介護者を対象にベッド利用制限の一部を緩和したが、なお病名や症状等による制限は多く、同連絡会は「福祉用具貸与 の制限規定を止め、必要と判断された場合は保険給付すべき」などと訴えている。


 
 


◆2007/08/19  「終末期医療:基準づくり−−「命の選別」募る不安 重度障害児の親ら訴え」
 毎日新聞東京朝刊(遠藤哲也) 2007年08月19日
 http://www.mainichi-msn.co.jp/science/medical/news/20070819ddm013100072000c.html
 回復の見込みのない患者への終末期医療の基準作りを巡って、重い障害のある子の親たちが不安を募らせている。「生きる価値のある命と、ない命という選別が進むのでは」と訴えている。
 ◇「未来を否定しないで」
 ■まぶたで意思疎通
 「この子たちが生きていることが迷惑に思われる社会になってほしくない」。大阪府池田市に住む折田みどりさん(45)は語る。長男の涼さん(18)は筋力の衰えるウェルドニッヒ・ホフマン病のため、人工呼吸器をつけて生活を送る。
 生後半年たった89年10月、大阪の病院でみどりさんは医師から告げられた。「息子さんは、自分での呼吸が次第にできなくなります」。みどりさんは迷うことなく人工呼吸器の装着を決めた。
 気管を切開したため、吸引器でたんを1日に5回程度、取り除かなければならない。鼻から入れたチューブで流動食を流して栄養を取る。ヘルパーも加えた24時間態勢の介助が必要だが、まぶたの動きでコミュニケーションを取る涼さんのことが、みどりさんは可愛くてならない。
 「地域で普通に暮らしたい」。涼さんは地元の公立小、中学校にストレッチャー型の車椅子で通い、今は高校3年生になった。昨秋には飛行機に乗り、北海道への修学旅行を友だちと楽しんだ。
 ■呼吸器は日常風景
  涼さんと歩む毎日の中で、みどりさんは「呼吸器が日常風景になった」と感じる。「生命維持装置というより、眼鏡と同じように生活に必要な道具の一つ。涼と いると、『生きるには、何でもありなんだ』と思う」。どんなことがあっても、生き抜くことの大切さを全身で教えてくれる息子。だから一層、かけがえのない 命の息吹を感じる。
 ■尊厳死の法制化も
 厚生労働省の「終末期医療の決定プロセスのあり方に関する検討会」は今年5月、終末期医療に関する初のガイドライン(指針)をまとめた。
 昨年3月に富山県射水市民病院で発覚した人工呼吸器外しが一つのきっかけになった。患者本人の意思決定を基本にした上で、治療の中止は、複数の職種の医療従事者によるチームで慎重に判断するとした。
 一方、尊厳死の法制化を求める動きもある。超党派の「尊厳死法制化を考える議員連盟」(中山太郎会長)は今年6月、回復の可能性がなく死期が迫った患者の延命中止の法案要綱案を初めて示した。
 みどりさんが所属する「人工呼吸器をつけた子の親の会」(事務局・大阪府箕面市、約300家族)は、こうした動きに不安を隠さない。尊厳のある死という美しい言葉で、子どもたちの命の芽を摘む空気を感じ取る。
 同会は国のガイドラインに対して「世の中が重度障害や難病を持つ子どもたちの未来を否定する方向に進んでいくのではないかと大きな危惧(きぐ)を持つ」と懸念を示す。
 会長の大塚孝司さん(58)=東京都東大和市=は「たとえ短い命でもメッセージを持って生まれてくる。医療費の削減など社会の都合で、命の質を判断するような優生思想が見え隠れしている」と訴えている。


 
 


◆2007/08/23  「日医が終末期医療のガイドラインを公表」
 キャリアブレインネット 2007年08月23日
 http://www.cabrain.net/docomo/news/article.do?newsId=11462
 死期が切迫していて回復の見込みがない患者が治療の中止を求めた場合、医師は治療を中止できるか――。日本医師会の第10次生命倫理懇談会(座長=高久 史麿・日本医学会長)は22日、「終末期医療に関するガイドライン」を中間答申として取りまとめ、ガイドラインに対する意見の募集を開始した。ガイドライ ンの内容は厚生労働省が6月に公表した「終末期医療の決定のプロセスに関するガイドライン」とほぼ同様。医師を中心とする「医療・ケアチーム」が患者や家 族と話し合い、最善と思われる治療方針を決める。今後、募った意見や関係団体の意見を盛り込んで年内に正式決定し、来年2月をめどに最終答申をまとめる予 定。
 今回、日本医師会が公表したガイドラインが厚労省のガイドラインと大きく異なるのは、@「事前の意思表示書」の明記、A在宅医療にかかわる医師への支援――の2点。
 患者が意識不明の場合、家族の確認があれば「意思表示書」を有効なものとして尊重し、医療・ケアチームが治療の方針を決定する。また、在宅医療に携わる 医師のように「医療・ケアチーム」をつくるのが難しいケースを考えて、医療チームを地域の医師会でつくる必要があるとした。
 このほか、人工呼吸器の取り外しのような延命措置の中止について、「民事上及び刑事上の責任が問われないような体制を整える必要がある」との見解を明記した。

■ 尊厳死の法制化について
 今回のガイドラインについて、日本医師会の担当者は「ガイドラインの公表は来年の1月頃を予定していたが、『早く示してほしい』という自民党の中山太郎衆議院議員の求めに応じて公表の時期を早めた」と話す。
 「尊厳死法制化を考える議員連盟」(会長=中山太郎元外相)は今年6月、治療を中止した医師の免責を担保する制度の要綱案を公表。末期がんの患者などに対する延命措置の停止を法律で認めることを主張しており、「尊厳死の法制化」を目指す動きが活発化している。
 これに対して、日本医師会は「尊厳死の法制化は時期尚早である」として反対の意思を表明。日本医師会の担当者は「終末期医療について法律で決めてしまう と、医療現場はやりにくくなるのではないか。人の生死の問題は法制化になじまないので、ガイドラインで運用すべきだ」と話している。
 治る見込みのない病気で死期が迫っている時、患者や家族の求めに応じて延命措置を中止する「尊厳死」については、2006年3月に富山県の射水市民病院で人工呼吸器取り外しが発覚したことをきっかけに国民の関心が高まっている。
 厚労省は06年9月、終末期医療に関するガイドラインの「たたき台」をまとめ、意見募集を開始。専門家による検討会を設置して議論を続け、今年6月にガイドラインを公表している。
 日本医師会は今後、各都道府県の医師会や日本医学会の分科会など、関係団体の意見を盛り込んで年内に正式決定し、来年2月をめどに最終答申をまとめる予定。


 
 


◆2007/08/23  「奈良市が尊厳死広告断る、世論分かれていると」
 読売新聞 2007年08月23日
 http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20070823p201.htm
 奈良市が募集した庁舎内壁面広告に、日本尊厳死協会関西支部(奈良市)が応募したところ、市が「尊厳死の問題は世論が大きく分かれている」として拒否し ていたことがわかった。22日、市の説明を受けた支部側は「終末医療を考えるきっかけにしてほしかっただけなのに」と、ふに落ちない様子だ。
 市は庁舎1階の壁面を広告掲示場所とし、先月4日から1枠(縦103センチ、横73センチ)当たり月2万円で募集。同支部は「健やかに生き、安らかに死 ぬ これが私たちの希(ねが)いです」などと記した広告を出そうと、申し込んだ。市の広告掲載基準で「国内世論が大きく分かれているもの」は不適当と規定 しており、市はこれに該当すると判断、17日に不掲示を決定した。
 同支部が官公庁で広告を申し込んだのは今回が初めて。小倉真市・支部長は「尊厳死を押しつける広告ではない。理解されるまで時間がかかるのかも」と話し た。岩井信孝・市企画政策課参事は「賛否が分かれている中、一方の主張する広告を公の機関が掲示するのは好ましくない」としている。


 
 


  ◆2007/08/23  「「尊厳死広告はだめ」と奈良市 庁舎内の壁面広告掲載で」
 朝日新聞 2007年08月23日
 http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200708230039.html
 奈良市が新たな財源確保策として今年度から募集した庁舎内の壁面広告をめぐり、掲載を申し込んだ日本尊厳死協会関西支部(奈良市、小倉真市支部長)に対 し、市が「国内世論が大きく分かれている」として断っていたことがわかった。同支部は「広告は市が尊厳死を奨励していることを示すものではないのに、腑 (ふ)に落ちない」としている。
 同支部によると、広告(1枠=縦103センチ、横73センチ)は「尊厳死について関心のある方は当協会へご相談ください」という文言で、支部の住所や連絡先を盛り込み、2枠申し込んでいた。広告料は1枠あたり月2万円。
 同支部は7月4日に市に申し込んだが、市は8月14日に広告審査会を開き、「掲載基準に抵触する」として不掲載を決めた。市の担当者は「世論が二分している問題で片方の意見の広告を載せるのは、誤解を招く恐れがある」と話す。


 
 


◆2007/08/25  「呼吸器外し倫理委判断−−延命中止で独自指針−−日本医科大」
 中日新聞夕刊 2007年08月25日
 http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2007082502043839.html
 回復の見込みがなく死期が迫った患者の終末期医療について、患者の意思確認などの条件を満たせば「延命治療の中止を考慮してよい」とする「暫定指針」を日本医科大(東京都文京区)が作成、付属四病院で運用を始めたことが 二十五日、分かった。人工呼吸器の取り外しは個別ケースごとに、各病院の倫理委員会で可否を判断するとしている。

■厚労省は議論先送り
 終末期医療をめぐっては、厚生労働省が患者の意思尊重を盛り込んだ国として初の指針を五月に決定したが、患者の死に直結する呼吸器外しなどと殺人罪との線引きには言及せず、議論を先送りした。病院が呼吸器を含む延命治療の 中止手続きに踏み込んだ独自の指針を運用するのは異例。

 日医大倫理委員長の工藤翔二教授(内科学)は「条件を満たしていることが確認できれば、呼吸器外しにゴーサインを出すことは十分ある。倫理委が関与することで判断の客観性を高め、医師が刑事責任を問われるような事態を避け たいと考えている」としている。

 指針は日医大の倫理委がまとめ、今年四月から本院の日医大病院と、同大武蔵小杉病院(川崎市)、同大千葉北総病院(千葉県)など三つの分院で運用を開始。これまでに呼吸器外しが病院の倫理委にかけられたケースはないとい う。

 指針は「終末期」を「病気やけがで二週間以内から長くても一カ月以内に死が訪れることが必至の状態」、または「医学的に不治と判断され、生命維持処置が死の瞬間を延期することだけに役立っている状態」と定義。

 その上で(1)終末期の判断は必ずチームで行い、主治医一人で判断しない (2)延命治療を希望しない患者の意思を本人の書面や家族の話などで確認 (3)患者の意思に対する家族の同意 −の三条件がそろえば、個々の中止内容などを家族と話し合いながら検討する。

 中止対象となる延命治療の内容は薬物投与、化学療法、輸血、栄養や水分の補給、透析、人工呼吸などで、呼吸器外しのように患者の死に直結する治療の中止は倫理委にかけるとした。

 呼吸器外しをめぐっては秋田赤十字病院(秋田市)が昨年、脳死と判定した患者に限り認める指針を作成している。

■病院の倫理委員会
 病院が実施しようとする薬の臨床試験や医学研究などの妥当性を審議する合議制の委員会。各診療部門の責任者らのほか、法学者や生命倫理学者ら外部の専門家を入れるケースもある。終末期医療のように、 個々の診療行為が審議対象になることは少ないとされる。厚生労働省研究班が昨年実施し、全国の約1500病院が回答した調査では、約半数の病院が設置済みだが、100床未満の小規模病院では設置率が21%と低かった。


 
 


◆2007/08/26  「呼吸器外し、倫理委で判断−−日医大が延命中止指針」
 日本経済新聞 2007年08月26日
 http://health.nikkei.co.jp/news/top/index.cfm?i=2007082506440h1
 回復の見込みがなく死期が迫った患者の終末期医療について、患者の意思確認などの条件を満たせば「延命治療の中止を考慮してよい」とする「暫定指針」を 日本医科大(東京都文京区)が作成、付属4病院で運用を始めたことが25日、分かった。人工呼吸器の取り外しは個別ケースごとに、各病院の倫理委員会で可 否を判断するとしている。
 終末期医療をめぐっては、厚生労働省が患者の意思尊重を盛り込んだ国として初の指針を5月に決定したが、患者の死に直結する呼吸器外しなどと殺人罪との 線引きには言及せず、議論を先送りした。病院が呼吸器を含む延命治療の中止手続きに踏み込んだ独自の指針を運用するのは異例。
 日医大倫理委員長の工藤翔二教授(内科学)は「条件を満たしていることが確認できれば、呼吸器外しにゴーサインを出すことは十分ある。倫理委が関与することで判断の客観性を高め、医師が刑事責任を問われるような事態を避けたいと考えている」としている。
 指針は日医大の倫理委がまとめ、今年4月から本院の日医大病院と、同大武蔵小杉病院(川崎市)、同大千葉北総病院(千葉県)など3つの分院で運用を開始。これまでに呼吸器外しが病院の倫理委にかけられたケースはないという。
 指針は「終末期」を「病気やけがで2週間以内から長くても1カ月以内に死が訪れることが必至の状態」、または「医学的に不治と判断され、生命維持処置が死の瞬間を延期することだけに役立っている状態」と定義。
 その上で(1)終末期の判断は必ずチームで行い、主治医1人で判断しない(2)延命治療を希望しない患者の意思を本人の書面や家族の話などで確認(3)患者の意思に対する家族の同意―の3条件がそろえば、個々の中止内容などを家族と話し合いながら検討する。
 中止対象となる延命治療の内容は薬物投与、化学療法、輸血、栄養や水分の補給、透析、人工呼吸などで、呼吸器外しのように患者の死に直結する治療の中止は倫理委にかけるとした。〔共同〕


 
 


◆2007/08/27  「カトリーナ直撃病院の安楽死裁判、専門家の証言なかった」
 CNN Japan 2007年08月27日16時20分
 http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200708270015.html
米ルイジアナ州ニューオーリンズ(CNN) 2005年に大型ハリケーン「カトリーナ」の直撃で甚大な被害に遭った米南部ニューオーリンズで、メモリアル 医療センターの医師が重症患者を安楽死させた疑惑をめぐる裁判は、大陪審が先月、誰も起訴しないとの結論を出した。しかし、ルイジアナ州当局の要請を受け た医療専門家5人が、大陪審の前で証言を行わなかったことが、26日判明した。
法医学や医療倫理、苦痛緩和医療の専門家を含む5人は、詳細にわたる証言文書を提出し、患者9人が薬物の過剰投与によって意図的に死亡させられたと述べ た。大陪審は9人のうち4人の死亡について、医師と看護師2人を第二級殺人罪で起訴するか判断を求められていたが、ニューオーリンズ地検のジョーダン検察 官は、専門家5人を召喚して大陪審の前で証言させることをしないことを決めた。大陪審の審理は非公開で行われ、陪審員も裁判所関係者も口外を禁じられてい るため、大陪審が5人の証言文書を目にしたかは不明。
専門家5人はジョーダン検察官の決定に困惑したとされ、フォティ同州検察長官も決定が下された理由に疑問を投げかけている。5人の1人、ペンシルベニア大 学生命倫理センターのアーサー・キャプラン氏は「わたしが知る限り、大陪審はわたしの報告を読んでいない。この事件を調査した専門家は各自、死因が薬物の 過剰投与であり、患者が自発的に希望したはずはないと結論しているが、大陪審には一切提示されていない。大陪審が起訴の是非を決める前に確認したかった証 拠のはずだ」とコメントした。
こうしたなか、起訴を免れたアンナ・ポー医師は米誌ニューズウィークの最新号に対し、カトリーナ被災後の病院が「第三世界以下」の劣悪な状況だったため、 適切な医療行為ができるまで重症患者の苦痛を緩和する方向で治療を行っていたことを認めた。ただ、ポー医師は、患者を死なせる意思はなかったと述べた。


 
 


◆2007/08/27  「ベストセラー作家の西村寿行さん死去...大胆な暴力描写で人気」
 サンケイスポーツ 2007年08月27日
 http://www.sanspo.com/shakai/top/sha200708/sha2007082700.html
 「君よ憤怒の河を渉れ」などのバイオレンス小説や「世界新動物記」などの動物小説で多くのベストセラーを生んだ作家の西村寿行(にしむら・じゅこう、本 名としゆき)さんが23日、肝不全のため東京都内で死去していたことが26日、分かった。76歳。昭和55年には長者番付の作家部門1位になるなど、幅広 いジャンルをこなす人気作家として、一時代を築いた。

 「ハードロマン」と呼ばれる大胆な暴力描写を盛り込んだ復讐(ふくしゅう)劇で多くのファンを魅了し、昭和40〜50年代を中心に活躍した人気作家が、逝った。
 西村さんは昭和5年、高松市生まれ。兄は時代小説作家の西村望氏。業界紙記者、漁師、タクシー運転手など職を転々とし、東京・新宿で活魚料理店を経営していた昭和44年、「犬鷲」がオール読物新人賞佳作となった。39歳の“遅咲き”のデビューとなった。
 新宿では「暴力で泣いている人たちが山ほどいる」と知り、作風の基礎を築く。以後、社会派ミステリー「瀬戸内殺人海流」「安楽死」などの推理小説を創作した。
 一方で「滅びゆく動物の悲しさも描きたい」として、「犬笛」「黄金の犬」など野生動物の生態や人と自然の交流を描いた短編なども次々と発表した。
 「推理小説では人間の赤裸々な欲望が書ききれない」。新境地を目指す西村さんは、昭和50年の「君よ憤怒の河を渉れ」で、冒険小説の要素と大胆な暴力描 写を盛り込んだ「ハードロマン」と呼ばれる新ジャンルを確立。破天荒さの中に詩情がのぞくバイオレンス・ノベルのヒットを次々と飛ばした。
 さらに医療問題などを扱った社会派作品から時代小説まで幅広く執筆。森村誠一さん、半村良さんらとともに「三村」と呼ばれ、40〜50年代を代表する人気作家となった。一時は月に1000枚近くというハイペースで書き続け、55年に作家部門の長者番付のトップに立った。
 「君よ−」は高倉健さん主演で映画になるなど、映像化された作品も多い。55年には産経新聞に「大都会の中に潜む欲望と狂気」を描いた「虚空の舞い」を連載した。
 西村さんは生前、「『ノラクロ』や『鞍馬天狗』で育ったボクにとって、小説は面白くなくてはならないもの。小説には冒険と女が必要なんだ」と小説への情熱を語っていた。葬儀・告別式は近親者のみで行う。


 
 


◆2007/08/29  「後期高齢者の報酬、9月中にも骨子」
 キャリアブレインネット 2007年08月29日
 http://www.cabrain.net/news/article.do?newsId=11593
 厚生労働省は8月29日に開かれた中医協の総会で、後期高齢者医療制度の診療報酬体系に関する考え方をまとめた骨子のたたき台を、9月4日に開かれる社会保障審議会の特別部会に提出する方針を明らかにした。特別部会は、9月中にも骨子をとりまとめる。

 特別部会は早ければその日にたたき台を了承する。その後は社会保障審議会の医療部会、医療保険部会でも骨子の中身をそれぞれ検討。特別部会は、両部会の意見も踏まえて骨子をとりまとめ、中医協に報告する。診療報酬体系をめぐる議論はそれ以降、中医協に引き継がれる。
 骨子が中医協に報告されるのは9月末から10月初頭になる見通し。
 厚労省が7月30日の特別部会に提出した資料(未定稿)では、▽外来医療 ▽入院医療 ▽在宅医療 ▽終末期医療――のステージごとにこれまでの主な議論を整理しており、骨子にはこれらの内容を反映させる。
 29日の総会では、古橋美智子専門委員(日本看護協会副会長)が「在宅医療では、電話等による相談支援に大きな効果がある」と述べ、訪問看護ステーションなどでの電話対応を適切に評価するよう求めた。


 
 


◆2007/08/30  「末期の病態 定義し本に 尊厳死の法制化目指す」
 中日新聞(遠藤健司) 2007年08月30日
 http://www.chunichi.co.jp/article/living/life/CK2007083002044979.html
 延命措置を中止するかなど、患者が治療に対する希望を事前に文書化するリビングウイルの取り組みが注目されている。尊厳死の法制化を目指している日本尊 厳死協会は、このリビングウイルをより明確にしようと、病態別の不治や末期などを定義した試案をまとめ、このほど出版した。発案者の一人でもある同協会東 海支部・青木仁子支部長に、試案の意義などについて聞いた。
 同協会のリビングウイル「尊厳死の宣言書」では、自己決定を前提に不治かつ末期のとき、延命措置を断れる旨が記されている。
 しかし、不治・末期の定義はなく、そのあいまいさが法制化反対論の一つに挙げられてきた。「私自身、具体的にどういう状態が不治とか末期なのか、よく分 からなかった。病気や病状によっても異なるのではないのかとも思ってきた。具体的な内容を明らかにすることが法制化に近づくのではと検討を始めた」と青木 さんは振り返る。
 昨年三月には、富山県の射水市民病院で医師が複数の患者の人工呼吸器を外し、死亡させた問題が発覚。以来、医療現場から終末期医療の指針や法整備を求め る声が高まり、厚生労働省も今年四月に終末期医療に関する初の公的なガイドラインをまとめた。しかし、延命治療中止決定の手続きなどが中心で、どういう病 気が対象になるか、終末期の定義については触れられなかった。
 こうした中、同協会理事長の井形昭弘・名古屋学芸大学長(神経内科医)を中心にした医師七人で研究班をつくり、約一年かけ検討してきた。その内容をまとめた研究報告書が「私が決める尊厳死−『不治かつ末期』の具体的提案」だ。
 本書では、総論として「不治」を「薬物投与や放射線治療など、回復を目的としたあらゆる治療行為に効果がまったく期待できず、死への進行が止められなくなった状態」とし、「末期」は「不治となった時点から、臨死期を含む死までの時期」と定義した。
 延命措置を中止する条件には▽患者本人に、十分なインフォームドコンセントに基づいた中止を求める意思表示がある▽複数の医師の意見が一致している▽尊厳ある生の確保と苦痛の除去を目的とする−などを挙げている。
 総論とは別に▽持続的植物状態▽がん▽高齢者▽ALS(筋委縮性側索硬化症)−など六つの病態・状態ごとに、どういう状態を末期とし、どういう条件で延命措置を中止できるかなども示した。
 青木さんは「われわれは延命治療はやってほしいと思っている。しかしその治療が功を奏さなくなったときは自然死させてほしい。不治・末期の状態を定義することで、自分の終末期をどう生きるか考えてもらえるのでは」と話した。
 井形理事長も「不治・末期の定義は、尊厳死を法制化した国でもされておらず、おそらく世界でも初めての試み。今回の内容は、尊厳死協会全体で統一されたものではないが、協会内外問わず尊厳死の議論が活性化することに一石を投じたい」と説明した。
 本はA5判、百五十九ページ。一冊千円。中日新聞社出版開発局から出版されている。


 
 


◆2007/08/30  「終末期医療、チームで判断・医師会が指針中間答申 」
    日経ネット 2007年08月30日16時49分
 日本医師会の生命倫理懇談会は30日までに、「終末期医療に関するガイドライン」の中間答申をまとめた。終末期の治療開始、不開始、変更、中止の判断は複数の医療従事者による「医療・ケアチーム」が行うと規定。ガイド ラインに基づき延命措置を中止する行為が法的責任を問われない体制づくりの必要性にも触れた。

 ガイドラインは、治療方針の決定は「患者の意思決定が基本」とし、説明の際に「医師は押しつけにならないように配慮し、十分に話し合いを行い、その内容を文書にまとめる」と明記した。


 
 


◆2007/08/31  「在宅ケアを考えるフォーラム開催」
 キャリアブレインネット 2007年08月31日
 http://www.cabrain.net/docomo/news/article.do?newsId=11641
 終末期患者にとって適切な在宅ケアのあり方を考えるフォーラムが9月22日、サピアタワー503(東京都千代田区)で開催される。長年在宅ケアの研究に 取り組んでいる国際医療福祉大学小田原保健医療学部の島内節(しまのうち・せつ)看護学科長が終末期における新しいケアシステムを提案。また、在宅ケアに 携わる開業医や看護師が豊富な経験を語る。

 フォーラムでは、島内学科長が、「在宅END OF LIFE CAREの新軌軸」と題して、エビデンスに基づいた終末期における在宅ケアシステムを提案する。同システムは、島内学長が、在宅ケア評価研究を6年、さら にターミナルケアの国際共同研究を4年間行ってきた集大成で、専門職と利用者家族の共有を可能とする世界初の試みとなる。

 また、山梨県中央市で「医療法人どちペインクリニック玉穂ふれあい診療」を開業する医師の土地邦彦氏と、千葉県看護協会もばら訪問看護ステーションの岸光江所長といった在宅ケアに豊富な経験を持つ関係者も駆けつける。

 フォーラムは、9月22日13時30分から16時30分までサピアタワー503で開催。定員は200人で、会費は事前振込み3000円。詳しくは株式会社CNSのホームページ(http://www.cnsi.co.jp/)で。


 
 


◆2007/08/31  「差額なしのホスピスケア病棟開設 道内初」
 キャリアブレインネット 2007年08月31日
 http://www.cabrain.net/docomo/news/article.do?newsId=11642
 国民の3人に1人はがんで亡くなり、がん患者へのケアの質向上が求められる中、北海道勤労者医療協会中央病院(北海道札幌市東区)が10月1日、がん末 期の患者を対象にした「ホスピスケア病棟」を開設する。北海道では初めてとなる全室差額なしのホスピスとして注目を集める。病棟の開設に携わる副総看護師 長・小澄悦子さんは、「他の病棟と連携して、病院全体でがん患者さんへのケアの質を高めていきたい」と話している。

 同病院によるホスピスケア病棟の開設の背景には、がんに伴うさまざまな苦痛に対する緩和ケアのニーズの高まりがある。緩和ケアとは、延命や治療を目的と するのではなく、身体的苦痛や精神的苦痛を軽減することを目指すもので、今年4月施行の「がん対策基本法」でもその導入が謳われている。
 同病院を受診する人の約3割はがん患者が占め、また緩和ケアを必要とする人は月に10人前後存在。地域で開いた緩和ケアについての学習会では、地域住民 からは「緩和ケア病棟ができれば安心」、周囲の医療機関からも「受け入れてほしい患者さんがいる。期待している」などの声が上がった。

 現在休止中の病棟を改装し、18床の緩和ケア専門病棟が誕生。医師・看護師・薬剤師・ソーシャルワーカーなどの多職種がチームとして対応する。中でも看 護師については、「ホスピスケア認定看護師」1名を含む17人の配置を予定。患者・家族が望む、心に行き届いたケアが期待される。
 北海道内には9施設、札幌市内には5施設の緩和ケア病棟がすでにあるが、室料差額を徴収しない施設としては道内で初めて。看護師の小澄さんは、入りたく ても差額室料による経済的負担のためにホスピスに入れない患者さんがいる状況に対し、「これまでなら緩和ケアを受けられなかった人へ、ケアの提供を実現す るもの」と胸を張る。

 日本社会の高齢化にともない、がん患者のさらなる増加が予想される中、小澄さんは緩和ケア病棟の開設について高く評価する。「他の病棟におけるがん患者 さんへのケアの質も、緩和ケア病棟と連携することで高まり、病院全体のケアの質の向上につながる。新病棟が担う役割は大きい」。


 
 


◆2007/09/03  「終末期医療のガイドライン、いかなる場合にも積極的安楽死は実施しない」
 キャリアブレインネット 2007年09月03日
 http://www.cabrain.net/docomo/news/article.do?newsId=11690
 日本医師会は8月29日に「グランドデザイン2007?国民が安心できる最善の医療を目指して?」を公表した。
 この資料は、(1)医療の質向上と安全のために(2)医療提供体制と地域医療連携(3)社会の変化に対応して―の3章から構成されている。
 終末期医療のあり方については、「終末期医療のガイドライン」<page.71.75>が提示されており、「終末期」の定義が明示されている。
 終末期の定義は、広義と狭義に分けられており、広義の終末期は「最善の医療を尽くしても、病状が進行性に悪化することを食い止められずに死期を迎えると 判断される時期」としている。その上で、主治医を含む複数の医師と看護師、その他複数の医療関係者が判断し、患者もしくは患者が意思決定できない場合に は、患者の意思を推定できる家族等が、終末期の定義を理解し納得した時点で「終末期」が始まる、とした。
 また、狭義の終末期は「臨死の状態で、死期が切迫している時期」と明示している<page.72>。 
 さらに、終末期における治療の継続・変更・縮小・中止については、いかなる場合にも治療の中止以上に死期を早める措置(積極的安楽死など)は実施しない、としている<page.73.74>。


 
 


◆2007/09/03  「世界の潮流,コミュニティケア」
 週刊医学界新聞第2746号(森下正之/広島国際大学教授・医療経営学) 2007年09月03日
 http://www.igaku-shoin.co.jp/nwsppr/n2007dir/n2746dir/n2746_04.htm
 10年にわたり英国の病院PFIを継続的に監視・調査を行った中で得た結論は,「先進国に共通する現象として,医療福祉分野において,急速な高齢化の影 響を受け“コミュニティケア”重視への政策転換が同時的に起こり,世界の潮流になっている」ことである。コミュニティケアの定義は,狭義には,英国地域医 療保険制度を意味し,広義には長期ケアの必要な患者(高齢者,身体・精神障害者)や終末期患者に対して,病院や福祉等の施設より,通常の生活環境で,より 良い生活の質が提供できると位置づけ,プライマリケアとソーシャルケア両方を提供する統合型ケアを指す。英厚生省は,“Community Based Care(CBC):Care Closer to Home”とより厳密に表現している。
 コミュニティケア重視政策への転換の軌跡は,下記に述べる10年間のブレア労働党政権の変遷に重なる。
 1)1997年のブレア政権の誕生で,厚生・教育改革を最重要政策とし,二次医療改革に着手。ハード面で急性期病院の100施設整備をPFIで目途をつけ,ソフト面は国立病院の財団化の布石を打った。
 2)2001年ブレア第二次政権(圧勝)発足。一次医療改革へ重点を移行,GP(一般開業医)を組織化。その形態である約150PCT(プライマリケ ア・トラスト)に公的医療費予算の委任機能を付与。ハード面でPFI発展型のLIFT(地方改善財務信託)によりワンストップの医療モールセンターを 500か所建設計画に着手。
 3)2005年ブレア第三次政権(辛勝)発足。一次医療と福祉の統合の方向性を鮮明化し,中核に既存コミュニティ病院機能改革と新世代型病院(一般外来 グループ診療科,日帰り手術,歯科・眼科・耳鼻咽喉科やOT・PT・SPT,小規模療養病床および併設の老健施設と自治体運営のデイサービスからなる病 院)を置き,計300の施設整備に着手。
 ひるがえって,わが国の超高齢化への対応を見ると,医療・介護等公的保険給付費用の抑制観点から,訪問診療・看護や居宅介護サービスに重点移行する政策 が強調され,患者・家族の立場に立つ,サービスの質や満足度,精神の安寧・幸福等の観点が欠ける。英国に学ぶべきは,理念や哲学面に踏み込み,官民協働に よるソフト・ハード面の整備に基づく整合性を図ることである。

 森下正之略歴
 1965年関西学院大経済学部卒。ハワイ州立大経営大学院修了。ハワイ大助手,東海大講師などを経て現職。著書に『医療・福祉PFIの進化・発展』(ふくろう出版)など。


 
 


◆2007/09/04  「これも治療」
 四国新聞 2007年09月04日
 http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/column/article.aspx?id=20070904000072
 福川徳三さんは高松市内で診療所を営む泌尿器科医。だけどよくある開業医ではない。人生の最期は自宅で―そう願う終末期の患者の往診を半ば専門に行う在宅ホスピス医だ。
 昼休みや午後の空いた時間に患者宅に赴く。そこで行うのは患者や家族と会話を重ね、モルヒネなどで患者の苦痛を緩和することだけ。チューブでベッドに縛り付ける痛ましい光景はそこにはない。
 あるのは患者の住み慣れた家と愛する家族。もちろん近い将来亡くなると分かっているが、できる限り日常を保ったまま、家族の一員として残る時間を過ごさせる。それが彼の仕事だ。
 そんな最期を迎えたいと思う人もいよう。しかし現実には、誰もがそんな医者に出会えるわけではない。往診には応じたとしても、相手が確実に死ぬ末期患者となると、世の中の大半の医者は二の足を踏む。
 彼らは治癒の可能性がなくなった時は即ち、医療の敗北の時だと信じている。患者が健康を取り戻してこそやりがいも感じるものだ。加えて在宅となると、否応なしに家に入り込み、家族の一員となる。深くかかわるほど、その重さから逃げ出したくなる。
 福川さんも勤務医だった若いころは「切って切って切りまくった」。患者を治したくない医者はいない。でも何をどうやっても助けられない患者が必ずいた。自分に何ができるのか。たどり着いたのが、緩和医療という“治療”だった。
 患者の死はいつでも喪失感をもたらす。そんな時、彼は温泉で静かに酒を飲んで寝ることにしている。患者の葬式に出席し、後に患者への思いややりとりを文章に残す。そうして彼の治療は完了する。


 
 


◆2007/09/05  「第X次生命倫理懇談会が中間答申−−「終末期医療のガイドライン」をまとめる」
 日医ニュース第1104号 2007年09月05日
 http://www.med.or.jp/nichinews/n190905a.html
 第X次生命倫理懇談会は,このほど,唐澤 人会長からの諮問「終末期医療に関するガイドラインについて」に対する中間答申を取りまとめ,八月六日に, 久史麿座長から,唐澤会長に手交した.

 今回の中間答申は,懇談会を四回,作業部会を二回開催して,鋭意検討を重ねた結果,取りまとめられたものである.
 そのなかでは,まず,「終末期における治療の開始・不開始・変更および中止等の医療のあり方の問題は,従来から医療現場の最も重要な課題の一つとなって いる」との問題認識を示したうえで,終末期医療に際し,医師に求められる対応として,(一)終末期状態であることの決定は,医師を中心とする複数の専門職 種の医療従事者によって構成される医療・ケアチームで行う,(二)終末期における治療の開始・不開始・変更および中止等は,患者の意思決定を基本とし,医 学的妥当性と適切性を基に医療・ケアチームで慎重に判断する,(三)疼痛やその他の不快な症状を緩和し,患者・家族等の精神的・社会的援助も含めた総合的 な医療およびケアを行う,(四)積極的安楽死や自殺幇助等の行為を行わない─の四項目を掲げている.
 終末期における治療の開始・不開始・変更および中止等に関しては,特に中止に際して,その行為が患者の死亡に結び付く場合があることから,医師は終末期医療の方針決定を行う際に,特に慎重でなければならないとし,以下の三つの基本的手続きを必要としている.
 一,患者の意思が確認できる場合には,インフォームド・コンセントに基づく患者の意思を基本とし,医療・ケアチームによって決定する.その際,医師は,押し付けにならないように配慮しながら患者と十分な話し合いをした後に,その内容を文書にまとめる.
 前述の場合は,時間の経過,病状の変化,医学的評価の変更に応じて,その都度説明し,患者の意思の再確認を行う.また,患者が拒まない限り,決定内容を家族等に知らせる.
 なお,救急時における医療の開始は,原則として生命の尊厳を基本とした主治医の裁量にまかせるべきである.
 二,患者の意思の確認が不可能な状況下にあっても,「患者自身の事前の意思表示書(以下,「意思表示書」)」がある場合には,家族等に意思表示書がなお 有効なことを確認してから医療・ケアチームが判断する.また,意思表示書はないが,家族等の話などから患者の意思が推定できる場合には,原則としてその推 定意思を尊重した治療方針をとることとする.その場合にも家族等の承諾を得る.患者の意思が推定できない場合には,原則として家族等の判断を参考にして, 患者にとって最善の治療方針をとることとする.
 家族等との連絡が取れない場合,または家族等が判断を示さない場合,家族等のなかで意見がまとまらない場合などに際しては,医療・ケアチームで判断し,原則として家族等の了承を得ることとする.
 前述のいずれの場合でも,家族等による確認,承諾,了承は文書によらなければならない.
 三,前述の一,および二,の場合において,医療・ケアチームのなかで医療内容の決定が困難な場合,あるいは患者と医療従事者との話し合いのなかで,妥当 で適切な医療内容についての合意が得られない場合などに際しては,複数の専門職からなる委員会を別途設置し,その委員会が治療方針等についての検討・助言 を行う.
 また,中間答申の最後では,終末期の患者が延命措置を拒否した場合,あるいは患者の意思が確認できない状況下で患者の家族等が延命措置を拒否した場合を 取り上げ,それらの場合においては,「このガイドラインに沿って延命措置を取りやめた行為について,民事上および刑事上の責任が問われないような体制を整 える必要がある」との見解を示している.
 一方,末尾には,「医療・ケアチーム」「家族等」「患者自身の事前の意思表示書」の定義の注釈のほか,終末期医療の方針決定に至る手続きを示したフローチャート(図)が附記されている.

 なお,八月二十二日には,唐澤会長, 久座長,宝住与一副会長,羽生田俊常任理事出席のもと,記者会見が行われ,中間答申の内容等に関しての説明が行われた.
 会見のなかで, 久座長は,厚生労働省が五月に取りまとめた「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」と,今回の中間答申の違いに言及.中間答申のみに盛り込まれ ているものとしては,(1)終末期の状態であることの決定を医療・ケアチームで行うとしていること(2)救急時における医療の開始は,原則として生命の尊 厳を基本とした主治医の裁量にまかせるべきとしていること(3)在宅医療に際して,在宅療養に従事する医師の判断を支援するシステムを,地域の医師会に構 築する必要があること─の三点があると説明した.
 また,羽生田常任理事は,今後,この中間答申を都道府県医師会をはじめ,日本医学会分科会,日本学術会議,国立保健医療科学院,厚労省等各方面に配布して意見を募るほか,日医ホームページにも掲載して,パブリックコメント(締切:九月末日)を求めていくとした.
 生命倫理懇談会では,これらの意見も参考としながら,年度内の最終答申作成に向けて,さらに検討を続けていく予定になっている.

日本医師会 第]次生命倫理懇談会
座 長
  久 史麿(日本医学会長・自治医科大学長)
委 員(五十音順)
 青木  清(上智大名誉教授)
 井形 昭弘(名古屋学芸大学長)
 井石 哲哉(長崎県医会長)
 加藤 尚武(京大名誉教授)
 楠本万里子(日看協常任理事)
 小森  貴(石川県医会長)
 佐々木義樓(青森県医会長)
 田村 里子(東札幌病院 診療部II 副部長)
 鍋島 直樹(龍谷大法学部教授)
 楢原多計志(共同通信社 編集委員・論説委員)
 福田  孜(富山県医会長)
 松根 敦子(日本尊厳死協会副理事長)
 向山 雄人(癌研有明病院緩和ケア科部長)
 山田 卓生(日大法科大学院教授)
オブザーバー
 澤 倫太郎(日医総研 研究部長)
 水谷  渉(日医総研 主任研究員)


 
 


◆2007/09/05  「患者の権利保障など先決=尊厳死法制化に慎重意見−−日弁連」
 時事通信 2007年09月05日19時21分
 http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2007090500865
 日本弁護士連合会は5日、議員連盟(中山太郎会長)が6月にまとめた終末期の延命中止に関する法案要綱案について、「極めて慎重な検討が必要であり、現段階では賛成できない」とする意見書を公表した。
 患者の権利を保障する法律の制定や、緩和・在宅医療の充実を先に進めるべきだとしている。
 意見書は、「尊厳死」の法制化は単に医療の一分野にとどまらず、社会全体に重大な影響を及ぼすもので、医学的に回復の見込みがないとされる患者に対する心理的圧力を増大させる恐れがあると指摘した。


 
 


◆2007/09/05  「後期高齢者医療の診療報酬で評価すべき項目を公表−−後期高齢者特別部会」
 厚生政策情報センター  2007年09月04日
    https://www.cabrain.net/news/article.do?newsId=11742&freeWordSave=1
 厚生労働省が9月4日に開催した、社会保障審議会の「後期高齢者医療の在り方に関する特別部会」で配布された資料。
 この日は、後期高齢者医療の診療報酬体系の骨子案(たたき台)が公表され、外来医療で主治医に求められる役割が明示された。
 後期高齢者に対する外来医療で主治医に求められる役割として、(1)患者の病歴・受診歴・服薬状況・他の医療機関の受診状況等の一元把握(2)日常生活 能力や認知機能などを総合的に評価し、結果を治療や生活指導で活用すること(3)専門的な治療が必要な場合には、適切な医療機関に紹介し治療内容を共有す ること―の3点があげられ、診療報酬上で評価することを検討するとしている(P.5参照)。
 また、入院医療と在宅医療、終末期における医療についても、評価のあり方を検討すべき項目が記載されている(P.5〜8参照)。
 さらに、後期高齢者医療においては、「連携と情報の共有」「医療資源の重複投入の抑制」「効率的な医療提供」ということに留意すべきとしている(P.8参照)。


 
 


◆2007/09/06  「後期高齢者の診療報酬、委員の反応は?」
 キャリアブレインネット 2007年09月06日
 http://www.cabrain.net/news/article.do?newsId=11764
 2008年4月からスタートする75歳以上の高齢者(後期高齢者)の医療について、診療報酬の骨子がまとまりつつある。厚生労働省が社会保障審議会の特 別部会(部会長=糠谷真平・独立行政法人国民生活センター理事長)に示した骨子案では、外来医療、入院医療、在宅医療、終末期医療の4つのステージごとに 診療報酬に反映すべき事項が示されている。入院医療、在宅医療、終末期医療について、特別部会における委員の意見をまとめた。
 骨子案について川越厚委員(ホームケアクリニック川越院長)は「よくまとめていただいた。“いずれ誰もが迎える死”という表現など、タブーである死とい うところから医のあり方を提示していただいた。従来の医療は若い人を対象にした急性期医療の延長という面が強かったので、骨子案は医療のあり方全般を考え る上でベースになる」と高く評価した。

 一方、当日欠席した辻本好子委員(NPOささえあい医療人権センターCOML理事長)は「患者の立場からは自己負担の増加につながるのではないか」とのコメントを寄せた。

1.外来医療について
 外来医療では、「主治医」に対する評価を重視する方向を示した。
2.入院医療について
 入院医療について示されたのは次の3項目。
――――――――――――――――――――――
@退院後の生活を見越した計画的な入院医療
A入院中の評価とその結果の共有
B退院前後の支援
――――――――――――――――――――――
 入院医療については、退院後の生活を見越した「診療計画の策定」を診療報酬上で評価する。また、入院中の情報を在宅医療に携わる医療関係者の間で共有す る「ケアカンファレンス」の実施などについて、診療報酬で評価する方向を示した。退院調整についても診療報酬で評価する。

 野中博委員(医療法人社団博腎会野中医院院長)は「これで退院時の調整を積極的にやっていただける」と評価。川越委員も「退院前後の支援が重要なので、ここを書いていただいたことは非常に良い」と評価した。

 質疑では、退院調整に関する意見が多く出された。入院患者が退院する際、病院の担当者が次の転院先を探したり自宅での療養計画を立てたりする「退院調 整」について、川越委員は「訪問看護師の力を引き出せるような配慮をお願いしたい」として、訪問看護師の行う在宅調整を診療報酬上で高く評価することを求 めた。

 村松静子委員(在宅看護研究センター所長)は「重症度の高い患者さんが自宅に帰る場合、訪問看護師が何度も病棟に足を運んで調整をする。できれば、ケー スによっては何度も病院に行ってもいいような工夫をしていただきたい」と述べ、退院調整における訪問看護師の役割について、診療報酬上の評価を求めた。

 野中委員は退院調整を円滑に進めるための「カンファレンス」の重要性を指摘。「訪問看護師が現場で苦労するのは療養上の世話であり、これが病院で軽視さ れている面がある。医師も忙しい、看護師も忙しいという中で、なんとか在宅の仕事を認識してもらいたい」と述べ、カンファレンスを通じた情報共有の重要性 を訴えた。

3.在宅医療について
 在宅医療について示されたのは次の6項目。
――――――――――――――――――――――
@情報共有と連携
A病院等による後方支援
B在宅歯科診療
C在宅療養における服薬指導
D訪問看護
E居住系施設等における医療
――――――――――――――――――――――
 外来医療と同様、主治医を中心とした情報の共有や連携が図れるような診療報酬を検討する。また、「病院等による後方支援」として、病院による円滑な受け 入れを評価する。このほか、本人や家族による服薬管理の支援を推進する。訪問看護は「退院前後の支援」「24時間体制の充実」などを評価する。

 質疑では、「病院等による後方支援」について意見が集中した。野中委員は「後方支援が大きな問題。今後の方針を決定する時、“病院が受けてくれるか”という意味の後方支援が東京でさえ機能していない」と述べ、特に病状の急変時における受け入れ病院の必要性を強調した。

 川越委員は「病診連携も大切だが、患者さんの医療依存度が高い場面においては医師と看護師の連携を評価していくべき」と指摘し、在宅医療を支える医療従事者の“チーム力”を高めるような報酬制度を求めた。

4.終末期医療について
 終末期医療について示されたのは次の2項目。
――――――――――――――――――――――
@終末期の医療
A疼痛緩和ケア
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 本人が書面で示した診療内容に関する希望を医療関係者で共有し、終末期の病状や緊急時の対応についてあらかじめ家族らに情報提供することを評価する。在 宅患者の「看取り」について訪問看護師の役割を評価。疼痛緩和ケアでは医療用麻薬の管理、指導などの取り組みを評価する。

 終末期医療について鴨下重彦委員(国立国際医療センター名誉総長)は、欠席した高久史麿委員(自治医科大学学長)が書面で寄せたコメントを評価。「複数 の医師による判断が求められる場合、在宅医療医は地区の医師会の応援を得る必要があり、その為の診療報酬制のあり方を検討すべき」とした部分を骨子案の中 に加筆するよう求めた。

 厚労省の原課長は「一人の医師がいろいろとやってしまうのは良くないのではないか、というご指摘だと思う。診療報酬上で評価する場合、どのぐらいのス テージで、どの程度のものを書くのかという問題がある。“複数の医師”というものを考える場合、必ずしも地区の医師会だけでなく、病院と連携する方法もあ る」と回答した。

 一方、疼痛緩和ケアについて村松委員は薬剤師の24時間体制の推進を求めた上で、「医師によって薬の使い方がまったく違う。医師の臨床の力は看護職としても求めたい」と述べ、医師が緩和医療を学べる体制の必要性を訴えた。

 遠藤久夫委員(学習院大経済学部教授)は「末期がん患者の看取りは増えているので、在宅での緩和ケア普及のためには疼痛緩和ケアの評価が必要」と述べ、疼痛緩和ケアを診療報酬上で評価することを求めた。
いる。しかし、新しい制度をつくる以上は、 評価した結果として効率化される部分、排除される部分があるだろう。全体として、プラスマイナスゼロだろうか? プラスであってほしい」と述べた。

 これに対して、原課長は「改定率がいくらになるかにかかっているので、年末まで分からない。項目的には積極的な評価が多い。しかし、重複投薬や重複診療 が抑制されるなら節減になるし、さらに入院医療から在宅医療に移行する場合にはかなり節減になる」と述べ、具体的な点数設定は中医協で議論していくとし た。


 
 


◆2007/09/08  「後期高齢者医療、保険料 年15万円のケースも−−分科会で問題次つぎ(中央社会保障学校2日目)」
 しんぶん赤旗 2007年09月08日
 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-09-08/2007090805_01_0.html

 第三十五回中央社会保障学校は七日、二日目を迎え岡山市内で分科会を開きました。来年四月からスタートする後期高齢者医療制度が大きなテーマになり、 「医療構造改革を考える」分科会では、全日本民医連の原和人副会長が制度の内容を説明し、同制度は「中止、廃止すべき」と訴えました。

 後期高齢者医療制度は、七十五歳以上の人(後期高齢者)は世帯単位で加入する国民健康保険、共済(組合)健保を抜けて、個人単位の新たな保険に強制的に加入させられます。保険料負担がなかった被扶養者(家族)からも保険料を徴収します。
 厚生労働省の試算で保険料は、年二百八万円の年金収入の人で月平均六千二百円(年七万四千四百円)。保険料を滞納すると短期証、一年を経ると資格証明書になります。原氏は「保険料の負担はさらに増える」と指摘しました。
 同制度が「安らかな終末期を迎えるための医療」としていることにたいして原氏は、「元気になりたい、病気を治したいという当たりまえの願いは七十五歳を 境に変わることはない。終末期の人のことを一般化し、高齢者を差別する考え方は許せない」と指摘しました。同時に「ハイリスクの高齢者を切り離すというこ とは、保険になじまないし、破たんは必至といえる。経済的に厳しい高齢者から医療を取り上げ、差別を持ち込むもの」と批判しました。
 参加者が相次ぎ発言。「東京都の試算では最も高い設定で保険料が年十五万五千円になる。問題点を広く知らせ宣伝、署名運動をすすめる」(東京)、「国民 年金法は第一条で憲法二五条に基づく社会保障と規定している。月一万五千円以上の年金受給者から介護保険、後期高齢者医療保険料を天引きするのは、健康で 文化的な生活をする権利を奪うものだ」(大阪)とのべました。
 国民健康保険は市町村が運営主体ですが、後期高齢者医療制度は都道府県ごとにつくられる「広域連合」が運営主体になります。「名古屋市には独自の減免制 度がある。広域連合で減免分が使えなくなると十一億円が他に使われ消える。議会への署名、広域連合への働きかけを強める」(愛知)と発言しました。

 第三十五回中央社会保障学校では、この日、「医療構造改革を考える」のほかに「年金・社会保険庁問題を考える」「国保・生活保護を考える」「社会保障入門」の四分科会(分散講座)を開きました。
 午後には、朝日訴訟の原告、故朝日茂さんのたたかいを振り返るツアーを実施。参加者は「人間裁判の碑」、朝日さんの療養病院跡などを訪ね、憲法二五条の生存権を根づかせ生活保護基準を改善させた、たたかいを語りあいました。


 
 


◆2007/09/08  「ローマ法王、訪問先オーストリアで妊娠中絶や安楽死を非難」
 AFPBB News(SAMUEL KUBANI) 2007年09月08日18時33分 発信地:ウィーン/オーストリア
 http://www.afpbb.com/article/life-culture/religion/2278834/2105465
 3日間の日程でオーストリアを訪問中のローマ法王ベネディクト16世(Pope Benedict XVI)は滞在初日の7日、ウィーン(Vienna)で、妊娠中絶を「人権の対極」だとして非難する演説を行った。

 大統領府の置かれているホーフブルク(Hofburg)王宮で政府関係者や各国外交官を前に法王は、「基本的人権は、他のすべての権利に先立つものであ り、生存権そのものである。このことは、受胎した瞬間から命が自然に終わりを迎える時まで、真理である。そのため、妊娠中絶は人権であり得ない。妊娠中絶 は人権の対極に位置するものだ」と述べた。

 法王は、「声を上げることができない、産まれることのなかった胎児」を代弁するとして、各国政府に妊娠中絶を合法化しないよう求めると同時に、子どもが「重荷」ではなく「神からの贈り物」だと受け止められるような、喜びと信頼のある生活環境作りを訴えた。

 法王はまた、「終末期の苦痛への適切な対応、愛情のこもった介護と、死への旅に付きそうことであって、『積極的に死を手伝う』ことではない」と語り、安楽死問題に取り組む社会、医療改革の必要性を訴えた。

 この演説はハインツ・フィッシャー(Heinz Fischer)大統領との会談後に行われたもので、欧州キリスト教徒のアイデンティティーについても強調した。

 法王は、9日に聖シュテファン大聖堂(St. Stephen’s Cathedral)でミサをささげ、ハイリゲンクロイツ(Heiligenkreuz)でシトー派の修道院を訪問した後、バチカンに戻る予定。


 
 


◆2007/09/11  「四季が尊厳死テーマ「この生命誰のもの」」
 日刊スポーツ  2007年9月11日17時43分
 http://www.nikkansports.com/entertainment/f-et-tp0-20070911-254684.html
 劇団四季公演「この生命誰のもの」(16日〜10月7日)の公開げいこが11日、横浜市の四季芸術センターで。交通事故で首から下が全身まひとなった彫 刻家を主人公に、尊厳死をテーマにした舞台。79年初演で、今回は味方隆司(47)を主演に6回目の上演。共演陣に俳優座、民芸、昴などの俳優も参加し、 潤色・演出の浅利慶太氏は「劇団の壁を取っ払った、新劇合同公演です」。


 
 


◆2007/09/12  「ぬくもり指数」
 朝日新聞(あねざきしょうこ)  2007年09月12日
 http://mytown.asahi.com/ishikawa/news.php?k_id=18000140709120001
 ≡触れて見つめて安心感を≡
 朝晩ようやく過ごしやすくなった。私の住む寺町は、木々に恵まれていることもあって日中はセミの声、夜は虫の声がにぎやかだ。夕方は心地よい風に乗っ て、鐘の音も聞こえてくる。少しずつ布団が恋しくなる季節でもある。しかし「昼ごろでなければ布団から出られず、人に会うのが苦痛」となると、気候のせい とばかりは言っていられない。
 布団の中は子宮空間に似ている。助産師でもある私は、両手で、妊婦の腹壁に沿って子宮の形をなぞりながら胎児の状況を推察する。まあるくふくらんだそこは、胎児にとって安全な小宇宙である。
 同様に、布団の中は、他者とかかわるのが苦痛な人にとって、外界との接触を避ける安全地帯である。生存に適した温度が確保され、照明や音も適度に遮断さ れている。夜具のにおいや手触りも心地よい。なつかしい子宮空間のぬくもりだ。そこから抜け出るにはそれなりにエネルギーを要する。
     ☆   ☆   ☆
 心理学者H・F・ハーロウは、子ザルの実験を通して、子どもが母親に愛着をもつのは授乳されるからではなく、気持ちのよい接触感のせいであるといってい る。やがて性的に成熟するためにも、それらの学習は大きな意味を持つ。また、生命の終焉(しゅうえん)が近づいたときにも同様なことが言える。
 私が講義を受け持っている看護学生のターミナルケア(終末期看護)研究では、「看」という字が、手で見ることを意味していることを理解し、それをどう看 護実践に結び付けていくか議論しあう。人は誕生から臨終まで、物理的にも、精神的にも接触というぬくもりを求める存在と言える。
 つい先ごろ、奈良県の妊婦が救急車で搬送中、受け入れ病院が見つからず死産した。一刻を争うべき事態だった。ここでは医療に迅速性が求められた。命を軽んじない、ぬくもりのある医療体制であったなら、もっと迅速な対応ができたはずだ。
     ☆   ☆   ☆
 カウンセリングルームでは「早くまわりに適応しなくては」というアクセルと「まだ安全地帯にとどまっていたい」というブレーキの葛藤(かっとう)が往々 にして語られる。たとえば「早く登校(出社)できるようになりたいのだけれど、朝起きることができない」というように。これでは心が疲れるのは当然であ る。そんなときは、自分は守られている、という安心できる環境を整えてあげればいい。
 そこで私はぬくもり指数というのを思いついた。指数を上げることで、人間関係でキレたり、うつになったりするのを予防する効果があると考えている。お互 いの存在を確認しあうために、あいさつをする、見つめ合う、手を握る、頭や背中をなでる、ほおを寄せる、抱きしめるなどの行為によって指数が上がっていく というわけだ。
 現在、自殺者は年間3万2千人、うつで苦しむ人はここ6年で2倍以上に増えている。アクセルを踏み続ける日々、自分なりのぬくもり指数、少しでも上げていきませんか。
(セクシュアリティ・カウンセラー)


 
 


◆2007/09/16  「在宅ホスピス医の先駆者・内藤いづみ医師が来月8日に講演「命の雫たち」」
 BNN(文:村上)  2007年09月16日(日) 09時30分
 http://www.bnn-s.com/news/07/09/070913153503.html
 10月8日、札幌市の「かでる2・7」で開催。

 山梨県甲府市「ふじ内科クリニック」の内藤いづみ院長が10月8日午後2時から「かでる2・7」(札幌市中央区北2西7)で特別講演を行う。演題は「命の雫たち〜在宅ホスピス医からのメッセージ」。

 “最期は畳の上”と願っている人は多いが、自宅で亡くなる人は一部にすぎない。

 1952年、自宅で亡くなる人の割合は81.3%だったが、その割合は年々減少し、76年には病院や診療所などの医療機関で亡くなる人が上回った。2006年は自宅で最期を迎えた人の割合が12.2%まで下がっている。

 厚生労働省は、長期療養者の終末期医療費を削減するため、療養病床を削減する。療養病床は医療保険で入院する25万床と介護保険の12万床があるもの の、入院患者の相当数は医師の対応をほとんど要しない社会的入院とされ、同省は12年度までに療養病床を15万床程度まで減らす方針だ。

 03年、年間死亡者数が100万人を突破。06年には108万人に増加している。死亡者数の増加はハイペースで進み、38年のピークには170万人に達すると予測されている。

 同省は38年時の“在宅死”を現在の3倍強である4割まで引き上げることを目標としているが、その際、在宅医療を担うことになるのが、在宅療養支援診療所だ。

 在宅療養支援診療所は24時間態勢で往診、訪問看護を行う医療機関。昨年4月の制度スタート以来、1万を超える医療機関が届出をしている。

 自宅で病人が発生した際、かつては家族、場合によっては近所の人が介護をし、病人を看取ることもあった。しかし、現在は病院のベッドで亡くなるケースが 大半で、“畳で最期を迎えたい”という気持ちとは裏腹に、知識や実体験に乏しいことから不安を抱くケースも多いとみられている。

 内藤医師は、1980年代にイギリス・プリンス・オブ・ウェールズホスピスで研修を受け、帰国後の95年に「ふじ内科クリニック」を開設。現在は「在宅ホスピスケア」の先駆者として全国で講演をしている。

 特別講演会を主催する、ばらのおうち文庫の主宰者・高橋洋子さんは、「一人の大人として伝えなければならない大切なことを伝えたい。命の終わりの話では ない、命のバトンをつなぐ話、希望の話。私は自宅で母を看取り、良い体験をした。生きる喜びを知ってもらいたい」と話す。

 特別講演会の定員は500人、参加費は大人1,000円、学生500円、高校生以下は無料。問い合わせは高橋さん(電話、FAXとも011-886-1799、もしくはE-mail hibridgeyotto@yahoo.co.jp)まで。


 
 


◆2007/09/17  「前ローマ法王、安楽死を求めなかった=担当医」
 世界日報 (バチカン 16日 ロイター)  2007年09月17日18時04分
 http://www.worldtimes.co.jp/news/world/kiji/2007-09-17T180406Z_01_NOOTR_RTRMDNC_0_JAPAN-279150-1.html
 2005年4月に84歳で死去した前法王ヨハネ・パウロ2世の治療を担当した医師が、死期の迫った前法王が安楽死を求めなかったことを明らかにした。同医師がイタリアのレプブリカ紙のインタビューに答えた。
 ローマ・カトリック教会は安楽死を禁じている一方、安楽死を支持する活動家らは前法王が人工呼吸器などの医療措置を拒否したと主張。同問題をめぐり、イタリアではここ数カ月間にわたって議論が行われている。
 前法王の担当医として約27年間勤めたこの医師は、「父なる神の家にもう行かせておくれ」という前法王の最後とされる言葉が、医師らに対して治療行為を止めるよう求めたものと解釈されるべきではないと述べ、医療行為を中断したことはないと明言した。


 
 


◆2007/09/18  「いつまでもお元気で 敬老の日」
 中日新聞(小島香子・藤共生)  2007年09月18日
 http://www.chunichi.co.jp/article/fukui/20070918/CK2007091802049559.html
◆記録映画を上映 在宅医療の拡充願い
終末期の在宅医療の取り組みを紹介するドキュメンタリー映画「終りよければすべてよし」(羽田澄子監督)が「敬老の日」の十七日、福井市手寄一丁目のア オッサ内の県民ホールで上映され、約四百人が鑑賞した。上演後、観客からは県内での在宅医療の広がりを期待する声が聞かれた。
   県しあわせ福祉資金の助成を受けてNPO法人「高齢者の人権を守る市民の会」が主催した。同会によると、県内で昨年亡くなった約七千七百人のうち、自宅で最期を迎えたのは二百人足らずという。
 映画では、終末期患者でも日中はパジャマから普段着に着替え、寝たきりにさせない岐阜県池田町の総合ケアセンターの取り組みなどを克明に追っている。
 脳梗塞(こうそく)で半身不随となり、介護が必要な夫(69)と会場を訪れた福井市の主婦(66)は「うらやましい思いで見た。共働き家庭が多い福井で は在宅医療は難しいのかもしれないが、広がってほしい」。県看護協会の石丸美千代会長(60)は「県内でも在宅医療の取り組みはあるが、PRが不十分」と した上で、在宅医療には医療と看護、家族の連携が重要との視点を示した。
 同会の観篤子理事長は「自宅でお世話になった人に囲まれて最期を迎えたいと誰もが思いながら、それがかなっていない」と指摘。映画の終盤で触れられた「住民力」という言葉を引用し「今回の上映で世論が高まり、在宅医療システムが拡充するきっかけになれば」と話した。
◆豪華料理にニッコリ 施設で長寿祝う
 「敬老の日」の十七日、県内の料理店の料理長やシェフらでつくる県調理師萌友会は、福井市大和田町の老人ホーム「グリーンライフ大和田」で、入居者たちに工夫を凝らした料理を振る舞った。
 同会のメンバー十二人が訪問。きのこご飯や子持ちアユのかんぴょう巻き、高野豆腐など八品が入った松花堂弁当約九十個のほか、刺し身の舟盛りも二艘(そう)そろえた。
 米寿を迎えた五人の入居者に調理師から花束が手渡された後、同ホームの笠原仁施設長(80)が「おいしい料理を食べてずっと長生きしてください」とあい さつ。全員で乾杯し、プロの味に舌鼓を打った。同会の牧野金一会長(61)が「お年寄りを敬う気持ちを込めた」という料理に、米寿の西岡信子さん(88) は「きれいに盛り付けされている。凝ったお料理でとてもおいしい」と笑顔で話していた。


 
 


◆2007/09/18  「後期高齢者医療「チーム連携で」」
 キャリアブレイン  2007年09月18日
 http://www.cabrain.net/news/article.do?newsId=11965
 厚生労働省が提示した「後期高齢者医療の診療報酬体系の骨子(案)」について、日本看護協会は9月18日までに、「切れ目ない一体的な在宅療養支援に向けて、多職種チーム連携の充実させること」などの提言を発表した。
 骨子案は、厚労省が9月4日の「社会保障審議会 後期高齢者医療の在り方に関する特別部会」で提示。診療報酬に反映すべき内容を外来・入院・在宅・終末期医療ごとに示している。

 日看協が求めたのは、▽切れ目ない一体的な在宅療養支援に向けて、多職種チーム連携を充実させること▽在宅療養移行に向けた退院支援を充実させること▽ 地域連携体制の構築と施設体系の整備を行うこと▽在宅療養における看護師の自立的な判断に基づく訪問看護の提供体制を整備すること▽主治医の明確化と情報 提供、及び意思決定の支援を行うこと▽医療保険制度と介護保険制度の整合性を持たせること―の6点。

 多職種の連携については、「主治医、看護師、OT・PT、薬剤師、歯科医療従事者、介護・福祉関係者が、相互の情報提供や連携をチームとして横断的に行 う必要がある」と強調。そのため、「疼痛緩和ケアにおける麻薬の包括指示に関するガイドラインの策定」「看取りの諸制度の見直しとガイドラインの策定につ いての検討」を求めた。

 また、退院支援については、「入院中に在宅生活の見通しを立てた上で十分な準備が重要」と指摘。「病院に退院調整部門の設置する」ことによって、「ケアカンファレンスなどの地域連携の充実」を訴えた。
 さらに、訪問看護についても言及。「在宅においても担当看護師を明確にし、利用者の療養生活を踏まえた療養相談や指導ができる体制を整える必要がある」などと意見している。


 
 


◆2007/09/20  「『グランドデザイン2007−−国民が安心できる最善の医療を目指して−−各論』を発表」
 日医ニュース第1105号  2007年09月20日
 http://www.med.or.jp/nichinews/n190920a.html
日本医師会は,『グランドデザイン二〇〇七―国民が安心できる最善の医療を目指して―各論』(以下『各論』)をまとめ,八月二十九日の記者会見で発表した(全文は,日医ホームページに掲載).

 今回の『各論』は,四月に公表された『グランドデザイン二〇〇七―国民が安心できる最善の医療を目指して―総論』が,高齢社会における公的医療保険制度や医療提供体制のあるべき姿などに関する考え方を示したものであったことを踏まえて,より具体的な内容となっている.
 唐澤 人会長は,会見のなかで,国民の健康と生命を守る医療は,平時における最も大切な安全保障であり,その理念を体し,国民医療を守る医療政策を策定し,各分 野に説明する責任を果たしていくことが日医の役割と使命であるとの考えを示した.そのうえで,各地域の医療が,現在の医療レベルに準拠し,安定的で,安 心・安全な心温まる医療が,納得できる価格で国民に提供されることが国民医療であり,それは,地域の医療提供体制と国民皆保険制度を守ることによって確保 されるとした.

 一方,医療の現況は,地域により格差が広がり,小児・救急・産科医療などが崩壊しつつあり,周産期医療,高齢者医療などが大きな課題となっていると指 摘.そのため,『各論』では,医療崩壊の危機を重く受け止め,個々の課題について,特に「地域」「高齢者」「患者・家族」といった切り口から検討を進めた と説明した.
 その一例として,「終末期医療のガイドライン」を挙げ,「看取り」の問題をめぐっては,医師や家族等にその判断がゆだねられ,医療提供者が混乱し,患 者・家族等を精神的に追い詰めることもあるため,医療現場で,終末期の安らかな看取りを実現すべく,この問題に踏み込んで議論したことを明らかにした.
 唐澤会長は,「日医は,医療提供者として,“国民が安心できる医療とは何か”を考えてきた.『グランドデザイン』の総論・各論を通じて,国民各層の方々からご意見,ご批判をいただければと思う」と述べた.

 つづいて,中川俊男常任理事が,『各論』の概略と「終末期医療のガイドライン」について説明した.
 それによると,『各論』は,「第一章 医療の質向上と安全のために」「第二章 医療提供体制と地域医療連携」「第三章 社会の変化に対応して」の三章で 構成.第一章では,(一)医療従事者の偏在と不足,(二)医師の教育・研修,(三)医療の安全性の確保,第二章では,(一)高齢者を支える医療提供体制, (二)地域医療提供体制とその連携,(三)健康および予防医療,第三章では,(一)終末期医療のあり方,(二)危機管理の必要性,(三)医療におけるIT 化,(四)医療における財源と税制の課題―など,幅広い項目について述べている.

   実践に耐え得る「終末期医療のガイドライン」
 中川常任理事は,「終末期医療のガイドライン」の検討状況について,「八月に公表された,日医第X次生命倫理懇談会の中間答申『終末期医療に関するガイ ドラインについて』は,総論,理念として位置付けており,パブリックコメントを受けて年度内に最終答申が出される予定である(別記事参照).
 一方で,執行部として,終末期医療の現場で実践に耐え得るガイドラインとして提示したのが,『各論』の第三章の『終末期医療のガイドライン』であり,緊急臨死状態で,通常の判断プロセスを経る時間的余裕がない場合も想定して示したつもりである」と説明した.

 『各論』の「終末期医療のガイドライン」では,「終末期」について,広義の「終末期」(最善の医療を尽くしても病状が進行性に悪化することを食い止めら れずに死期を迎えると判断される時期.主治医を含む複数の医療関係者が判断し,患者もしくは患者の意見を推定できる家族がそれを理解・納得した時点で始ま る)と,狭義の「終末期(臨死状態)」(臨死の状態で,死期が切迫している時期)とに分けて定義.さらに,「終末期に向かうまでの類型」として,(1)慢 性疾患から長期療養を経て終末期に至るケース(2)急性期治療後に療養期間を経て終末期を迎えるケース(3)急性期治療中に終末期を迎えるケース―の三つ に分類した.
 そのうえで,終末期における治療の継続・変更・縮小・中止に関しては,「死亡までにある程度の時間が見込める場合」「一定の終末期を経て臨死状態に入っ た場合」「急性期治療中に臨死状態に入った場合」のケース別に,患者本人や家族等の意思の確認・記録といった詳細な説明がなされている.

 なお,延命治療の“中止”に関しては,患者と家族等,双方の同意を必要とし,たとえ,患者の臨死状態前の意思が延命治療の中止であっても,家族等が同意 しなければ,基本的には,治療を中止することはできないこと,また,いかなる場合においても,治療の中止以上に死期を早める処置(安楽死など)は実施しな いことを明記した.
 ただし,「終末期医療」においては,「延命処置および延命治療の中止」が最も大きな検討課題であるが,PVS(Persistent Vegetative State:遷延性植物状態)は,ガイドラインに示した定義に該当せず,また,ALS(Amyotrophic Lateral Sclerosis:筋萎縮性側索硬化症)患者等の問題をガイドラインの対象とするのは,刑法の諸規定等,法律が未整備なわが国の現状では時期尚早であ り,十分な時間をかけて議論すべきであるとした.
 同常任理事は,本ガイドラインが,あくまでも「終末期の安らぎ」のためのものであり,決して「医療費の適正化(抑制)」のためのものではないことを強調.今後,さらに検討を重ね,「社会通念として,国民的な合意を得られるようなガイドラインにしたい」と述べた.

 
 


◆2007/09/20  「一日一言」
 四国新聞  2007年09月20日
 http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/column/article.aspx?id=20070920000090
 小学生の時、親戚のおじいさんの葬式の後、近所の老僧が六道の話をしてくれた。衆生がその行いによって死後に住む地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天の六つの世界。最上界に行くのがいかに難しいかを説いた話にえらく感動して、小さな手を合わせた。

 初めて身近な人の死に接し、初めての葬式を体験し、初めて聞いた死の話。何十年が過ぎ、老僧もとうに彼岸の人となってしまったが、この人の話を聞くと、いつもあの幼い日の気分を思い出す。僧侶ではない。宗教学者の山折哲雄さんだ。

 山折さんは、よく「共死」という言葉を使う。「共生」という明るく前向きな言葉の対義語としての共死。命あるものはいつか死ぬ。なのに、子供たちに生き る力は教えても、それぞれの生の先に共にある死については何も語らない。日本人の精神を形作ってきたこの仏教の死生観は、いつから忘れられてしまったの か。

 そんな話をしてくれた2年前の講演で山折さんは、最近天の声が聞こえて困ると言っていた。「おまえ、今死ねるか」と。講演の後、うまそうにビールを飲み ながら「今日も瀬戸大橋を渡っている時、聞こえました」と穏やかに笑う山折さんを見て、この人は死ぬのは怖くないのだなと思った。

 その山折さんを迎えたフォーラム「生きる作法・死ぬ作法」が、10月6日に総本山善通寺で開かれる。僧侶や尊厳死問題に取り組む医師らと心と命について 語るフォーラムは、2年前の講演で「宗教者よ、もっと頑張れ」と山折さんに叱咤激励された1人の僧侶が東奔西走して実現させたもの。明日を生きるために、 死の話に耳を傾けたい。


 
 


◆2007/09/20  「平成19年度 第1回在宅医研修会−−在宅医療を推進する諸形態」
 日医ニュース第1105号  2007年09月20日
 http://www.med.or.jp/nichinews/n190920e.html
 平成十九年度第一回在宅医研修会が,「在宅医療を推進する諸形態」をテーマに,八月二十六日,日医会館大講堂で開催され,受講者数は三百八十四名であった.当日の模様は,宮城など十県医師会にテレビ中継された.

 冒頭のあいさつで,唐澤 人会長(竹嶋康弘副会長代読)は,「現在,療養病床再編成の施策が進められている.日医では地域を一つの病棟と考えており,その中心的役割を担う在宅療養に携わる医師を支援する責務がある」と述べた.
 高木安雄慶應義塾大学大学院教授の総合司会の下に,まず大島伸一国立長寿医療センター総長が,第一講義─一「在宅医療推進会議の取り組みについて」を 行った.在宅医療推進会議は,国立長寿医療センター総長が招集し,在宅医療について政策提言等を行うもので,作業部会で全体構想と行動計画を策定する,と 説明した.

 第一講義─二は,黒岩卓夫医療法人社団萌気会理事長の「在宅医療を拡充するために」であった.在宅医療を医療界に拡充する三つの条件として,(1)受け皿の充実と医師の使命感(2)病院医師の意識改革と協力(3)国民の理解と共鳴―を挙げた.
 また,在宅ケアは「おもしろい」.生き死にのドラマに参加できる,二十四時間体制と地域連携が安心と継続のキーワード,などと強調した.

 第二講義は,池上直己慶應義塾大学医学部教授が,「高齢者における予防とリハビリテーションの一体化」のテーマで行った.
 来年度から特定健診・特定保健指導が始まる.健診を受けるのは,健康に関心がある人である.無関心な人には,医療機関を受診した時に健診を実施したほうが効率的である.高血圧症,高脂血症,糖尿病で通院している人は,特定健診の対象から除外すべきである.
 介護予防施策では,「特定高齢者」と「要支援者」とは分断されていて,認定基準に整合性がないと批判.保健,医療,介護の分断を改め,在宅医が一体的に責任を持つべきとした.

 第三講義は,白髭豊長崎市医師会理事の「長崎在宅Dr.ネットの取り組みについて」.在宅医療は,無理なく訪問診療できる態勢が必要になる.長崎在宅 Dr.ネットの考え方は,二十四時間三百六十五日の対応,入院中と同様の医療や最適な在宅医療の提供,多職種連携などである.グループ診療システムでは, 患者を主治医と副主治医とで担当する.在宅医療推進には,病院における退院調整,診療所同士のネットワークづくりなどが重要であると指摘した.

 第四講義は,嶋田丞大分県医師会副会長の「在宅医療を推進する諸形態 有床診療所の立場から─地域に根差す有床診療所を目指して─」であった.有床診療 所は,地域医療の支援病床として有用であり,終末期医療を引き受ける病床としても貴重な存在である.演者の診療所には,上階に高齢者専用賃貸住宅も設けて あり,安心であるということであった.

 第五講義は安藤高夫全日本病院協会副会長の「在宅医療を推進する諸形態 中小病院(特に慢性期病院)の立場から」であった.東京都病院協会等の緊急提言 を紹介し,介護療養病床は,急性期病院からの受け皿,長期療養,在宅ケア等との連携などが大きな役割である.医療療養病床の役割は,同様に重要であり,在 宅療養支援診療所や一般診療所との協働,急性期・回復期医療や在宅サービスとの連携などが大切であると述べた.

 全体ディスカッション「在宅医療を推進する諸形態」では,まず,野中博野中医院院長が指定発言を行った.在宅医療は,医療を生活の場で提供するという特 殊性がある.厚生労働省は,「患者の視点に立った,安全・安心で質の高い医療が受けられる体制の構築」を掲げているが,これには,在宅医療を整備する必要 があり,地区医師会の関与が重要であると述べた.
 さらに,日医の「在宅における医療・介護の提供体制─『かかりつけ医機能』の充実─」の七つの提言についても,その重要性を強調した.
 その後,活発な討論と質疑応答が行われ,司会の 木氏の総括,竹嶋副会長による閉会のあいさつで会は終了した.


 
 


◆2007/09/21  「凍結すると大混乱? 後期高齢者医療」
 キャリアブレイン  2007年09月21日
 http://www.cabrain.net/news/article/newsId/12043.html
 2008年4月からスタートする75歳以上の高齢者(後期高齢者)医療の診療報酬について9月20日に開催された厚生労働省の社会保障審議会医療保険部 会では、「制度を凍結すると、事実上の大混乱に陥るおそれがある」といった制度設計の遅れを指摘する意見があったほか、「主治医」の役割などに関する意見 が相次いだ。

 神田真秋委員(全国知事会社会文教常任委員会委員長、愛知県知事)は「新しい医療がどう変わっていくのか、住民や地方行政にとって関心の的だ。いよいよ スタートしなければならない時期なのに、議論が遅れている。骨子案の基本的な方向性は評価していいが、具体的な準備作業に入っていかなければならない時期 なので、心配している」と述べ、制度構築に向けた取り組みの遅れを指摘した。

 同様の意見は河内山哲朗委員(全国市長会国民健康保険対策特別委員会委員長、山口県柳井市長)からも出された。
 河内山委員は「後期高齢者制度そのものについて、凍結を含めた見直しをすべきとの意見もある。凍結すると、システム改修など事実上の大混乱に陥るおそれがある。地方財政が厳しい中、ギリギリの状況になるので、ぜひご理解いただきたい」と述べた。

 山本文男委員(全国町村会会長、福岡県添田町長)は「後期高齢者医療制度はほとんどの人が知らない。知っているのはここにいる人ぐらいだろう。75歳以 上のお年寄りもあまり分かっていない。広報が行き届いていない」と指摘したほか、「75歳以上は医療費を多く使うからこういう制度にするのだ。この制度は 決して良いものではない」と批判した。

■ 「主治医」について
 骨子案では、在宅医療について「主治医等が中心となって、医療従事者間の情報の共有や連携を図りながら、それぞれの役割をしっかりと担う必要がある」とされている。
 鈴木満委員(日本医師会常任理事)は「主治医“等”とあるが、医師以外が中心になるのは考えにくい」と指摘した。

 これに対し、古橋美智子委員(日本看護協会副会長)は「医師が中心となりながらも、医師が支配するのではなく、チームの中で連携することが必要。医師だ けが指示者ということでは成り立たない。訪問看護師が医師と相談して連携する上で必要な“判断権”を重視してほしい」と述べ、地域におけるチーム医療の重 要性を訴えた。
 古橋委員は、主治医がいても地域における支援体制を整備しなければ機能しないことを強調し、「人口過密の地域と過疎地域ではコミュニティの形成が違う。 特に過密地域では、主治医がいても高齢者の医療行動は変わらないので、頻回受診や重複投薬は完全に解消されないだろう。地域の相談・支援体制を整えていく 必要がある」と述べた。

 「主治医等」の意味について、厚労省保険局の原徳壽医療課長は「在宅療養支援診療所などに併設されている訪問看護ステーションがある場合には、訪問看護師が情報のやり取りの中心になる。医療そのものではなく、情報共有の役割を担うという意味だ」と説明した。

 一方、対馬忠明委員(健康保険組合連合会専務理事)は「骨子案は全体的に良くできているが、主治医が疾病的に診る医師を意味していて、総合的に全体的に 診るという総合医の考え方を変えている点が理解できない。“総合的に診る医師”という概念を強く出すべきだ」と指摘した。

 また、岩本康志委員(東京大学大学院法学政治学研究科教授)は「主治医は患者から見て一人だが、これを診療報酬でどう評価するのか。一人の患者が複数の 病院にかかり、たくさんの医師が主治医として手を挙げてレセプトを全部通してしまったら機能しないのではないか」として、診療報酬上の評価の点で難題を抱 えることを示唆した。

 多田宏委員(国民健康保険中央会理事長)は「後期高齢者を総合的に診る取り組みの推進というのが、どうもよく分からない。主治医を誰がどう選ぶのか。あ る疾病で病院にかかった時、『おれが主治医だ』と医師が言えば主治医なのか。将来、後期高齢者医療制度のシステムをどう構築していくのか見えない。原点に 帰った議論を希望する」と不満を表した。

 このほか、参考人として出席した小島茂氏(日本労働組合総連合会生活福祉局長)は「74歳以下と75歳は連続性があると言いながら点数を変えるのか。入 院基本料や医療区分などで74歳以下と75歳を分けるのか、従来の診療報酬体系とまったく別の体系を組み立てるのか、イメージが見えない」と指摘するな ど、主治医の診療報酬上の評価について、その内容の不明確さを指摘する意見が出された。

■ 終末期医療について
 在宅患者の看取りについて、骨子案は「訪問看護が果たしている役割を踏まえて、その診療報酬上の評価の在り方について検討すべき」としているため、鈴木委員は「訪問診療医」を加筆するよう求めた。

 これに対し、原医療課長は「訪問診療医を決してないがしろにしているわけではない。現在の診療報酬体系では訪問看護師の評価が低いという意見があったので、このように書いたが、訪問診療医は重要だと認識している」と答えた。

 また、終末期に希望する診療内容などについて、骨子案は「あらかじめ家族等に情報提供等を行うことが重要」としている。岩本委員が「どの時点が“あらか じめ”なのかわからない。がん宣告をされて95%は外科手術で治るが5%は転移するという場合、転移した時点で意思表示するのか。“あらかじめ”とは、切 迫した状況だと思うが、線引きが難しい」として、拡大解釈のおそれを懸念した。


 
 


◆2007/09/22  「終末期医療の在り方を問う ドキュメンタリー映画「終わりよければ--」」
 神戸新聞(片岡達美)  2007年09月22日
 http://www.kobe-np.co.jp/kurashi/kaigo465.html
 日本の終末期医療の在り方に問題提起をしながら、国内外の先進的事例を紹介するドキュメンタリー映画「終わりよければすべてよし」が大阪・十三の第七芸 術劇場で公開されている。監督は「痴呆(ちほう)性老人の世界」(一九八六年)や「安心して老いるために」(九〇年)で老人問題を追ってきた羽田(はね だ)澄子(すみこ)さん(81)。「よりよい最期の迎え方を考えるきっかけにしてもらえたらいい」と話している。
妹の死…過剰な延命治療に疑問/羽田監督 国内外の先進例紹介
 このテーマに取り組んだ直接のきっかけは昨年三月に富山県・射水市民病院で発覚した人工呼吸器取り外し問題だった。羽田さんも、がんで亡くなった妹が何 本ものチューブを体内に挿入する延命治療を受けながら、「体に悪いから」とモルヒネによる緩和ケアをしてもらえなかったのを目の当たりにし、以来、過剰な 延命措置に疑問を抱くようになったという。「富山の問題が発覚し、世間の関心が集まっている間に、終末期医療について映画を撮らなくては」と、五カ月で撮 り上げた。
 国内では、在宅医療運営組織二カ所と、終末期の緩和ケアシステムを備えた特別養護老人ホームを取材した。会員制で在宅医療を行う「ライフケアシステム」 は八〇年に発足し、現在、会員は東京都を中心に約三百五十世帯。月会費約七千円と健康保険で運営され、常勤三人、非常勤二人の医師が会員宅を定期的に往 診、二十四時間体制で対応している。患者の容体が急変した際も医師が電話で症状を聞き、あらかじめ処方した薬の中から、どれを飲ませればいいか指示を出 す。
 オーストラリアに飛んでは、医療と福祉が連携する総合的な組織「バララット ヘルス サービス」を取材。スウェーデンでは、日本の厚生労働大臣にあたる社会大臣にインタビューし、最新の在宅医療サービスとともに紹介している。
 取り上げたのは、いずれも患者や家族の意思を尊重したシステム。羽田さんは「日本の医療・福祉システムを批判するのではなく、より理想に近い例を示すこ とで問題点をあぶりだしたかった」と狙いを説明。「政府や医師、そして何より患者が意識を変えていけば、紹介したようなサービスを受けることも可能」と訴 えている。
 第七芸術劇場TEL06・6302・2073。兵庫県内での上映は未定だが、自主上映の希望を募っている。問い合わせは自由工房TEL03・3463・7543


 
 


◆2007/09/26  「救急医療における終末期医療に関する提言(ガイドライン)(案)について」
 日本救急医学会 2007年09月26日
 http://www.jaam.jp/html/info/info-20070925.htm

−ご挨拶−
日本救急医学会では救急医療における終末期医療に関する諸問題を検討するために「救急医療における終末期医療のあり方に関する特別委員会」を平成16年に組織し、その活動の一環として「救急医療における終末期医療のあり方に関する提言(ガイドライン)」(案)を本年2月に提示いたしました。
その後、日本救急医学会会員からは138件の意見が寄せられました。また、ホームページをご覧になった会員以外の方々からも貴重な意見を賜ることが出来ました。その内訳は、医師・看護師・薬剤師ら医療関係32件、法曹関係7件、倫理学・宗教などの社会科学関係8件、自然科学関係2件、マスメディア関係5件、その他の一般の方々15件などでした(計69件)。会員をはじめ大変多くの、最終的には合計207件もの御意見を賜りました。ここに厚く御礼申し上げます。
これらを参考にさせて頂きながら、委員会ではより丁寧な、または適切な表現などについて推敲を重ね、ここに改めて「本提言(ガイドライン)」(案)を提示するに至りました。
関係の各位におかれましては、引き続き宜しく御指導と御支援を賜りますようここにお願い申し上げます。

平成19年9月26日
有限責任中間法人日本救急医学会
代表理事 山本 保博

救急医療における終末期医療のあり方に関する特別委員会
委員長 有賀 徹


 
 


◆2007/09/26  「救急医療における終末期医療に関する提言(PDF)」
 日本救急医学会 2007年09月26日
 http://www.jaam.jp/html/info/info-20070925.pdf



 


*このファイルは生存学創成拠点の活動の一環として作成されています(→計画:T)。
*このファイルは文部科学省科学研究費補助金を受けてなされている研究(基盤(B)・課題番号16330111 2004.4〜2008.3)の成果/のための資料の一部でもあります。
 http://www.ritsumei.ac.jp/acd/gr/gsce/p1/2004t.htm

UP:200607 REV:.... 20070802,03,04,0909
安楽死・尊厳死