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日本臨床心理学会




■年表

1962 第26回日本心理学会での集まりをきっかけに日本臨床心理学会の設立準備を開始
19631214 心理技術者資格認定機関設立準備(協議、後に取れる)会へ発展
1963 日本臨床心理学会に職能局設置
19640401 正式に日本臨床心理学会が発足
19640620 第1中間報告(心理技術者資格認定機関設立準備会)
19640628 日本臨床心理学会設立総会、10月に戸川行男が会長に就任
1964 職能局の活動第一歩としてニュージャージー州へ留学をあっせん募集
19650508 第2中間報告(心理技術者資格認定機関設立準備会)
19660706 最終報告(心理技術者資格認定機関設立準備会)
196607 第1回スーパーヴィジョン研修を実施
19671125 心理技術者資格認定委員会へ発展
196904 日本精神神経学会で学会改革開始(第66回日本精神神経学会学会大会)
196910 日本精神分析学会で学会改革開始(第15回日本精神分析学会大会)
19691010 渡部・中井・乾を発起人とする第5回大会討論集会準備会が要望書提出
19691014 日本臨床心理学会で学会改革開始(第5回日本臨床心理学会大会)
196911 日本児童精神医学会で学会改革開始(第10回日本児童精神医学会学会大会)
19691125 ニュースレター『クリニカルサイコロジスト』にて臨床心理学会病院部会発足のお知らせ
19700124 第1回討論集会準備会が開かれる
19700125 「臨床心理学会病院部会」から「関東地区病院臨床心理家月例会」へ名称変更
19700205 大会準備委員長より第6回大会のあり方についてのアンケート配布
19700321 常任理事会が総括と次期大会の方針を打ち出す
19700325 討論集会準備会(関東地区)よりアンケート撤回、総括の要求(大阪地区同様)
19700705 理事会内に総括委員会が発足
19700705 九州大会を討論集会と総会にすることが決定
197008 心理技術者資格認定委員会の作業停止
19701016 九州大会(第6回日本臨床心理学会大会)総会延期
19710214 小金井総会(第6回日本臨床心理学会大会総会)開催
197107 国際応用心理学会「心理テストの作成、頒布並びに使用に関する勧告」採択
19710715 クライエントを守る委員会発足準備会の開催
19710925 ニュースレター『クリニカルサイコロジスト』にて病臨心による理事会理事辞任のアピール
19711025 学会改革委委員会準備会、「緊急常任理事会、理事会開催要望書」提出
197111 旧理事辞任、日本臨床心理学会改革委員会が発足(第7回日本臨床心理学会大会)
1972 1年目の学会改革委員会活動として地区討論集会が各地で開催
19720601 「我々はどこにいてなにを指向するか」改革委員会総括原案発表
19720731 「日心『日本心理学会連合規約』についての検討報告書」に関する意見書を提出
197209 国内テスト委員会準備委員会が応心会長に報告書を提出
19721007 「国内テスト委員会(仮称)結成、および国内被害実態調査に関する提案申し入れ書」を応心より受け取る
197302 学会内に心理テスト問題検討小委員会が設置
19730423 日本精神神経学会、欠格条項を排除するよう法務大臣に意見書(新谷訴訟)を提出
19730714 テスト問題懇談会第1回会合
197311 日本臨床心理学会会則改正
19731111 「三重県公安委員会の運転免許取消し処分の不当性に抗議する」(新谷訴訟)
19740113 「療育手帳制度に対する抗議声明並びに要請書」を厚生省・各自治体に提出
19740303 療育手帳問題小委員会が発足
19740324 精神病者大野萌子さんとの討論集会を開催
197411 総会にて島田事件対策協議会・全国「精神病者」集団より赤堀闘争の支援要請
197610 総会にて「赤堀裁判とその精神鑑定書における差別性についての意見書」決議
19770311 静岡地裁第4次再審請求を棄却(赤堀闘争)
19770325 精神鑑定問題検討小委員会が静岡地裁に抗議文(赤堀闘争)
19780812 文部省「精神薄弱者のための発達診断表」を採用
19781015 第42回日本心理学会大会にて会合「心理臨床の夕べ」(後に日本心理臨床学会の発足につながる)
197902 『心理テスト――その虚構と現実』出版
197902 心理テスト研究会が発展解消し、臨床心理学研究会(心理療法を問う)へ
19791027 第1回会合「心理臨床家のつどい」(後に日本心理臨床学会の発足につながる)
198004 『戦後特殊教育・その構造と論理の批判』出版
19800826 学会内で「保安処分に反対する小委員会」発足
19800919 奥野法相あてに保安処分新設反対の声明文を送付
198010 日本精神神経学会をはじめ「保安処分に反対する医療従事者協議会」発足
19811016 「精神医療の抜本的改善について(要綱案)に関する要望書」
1982 日本心理臨床学会が設立
19820912 日本心理臨床学会第1回大会準備委員長および世話人に抗議声明・質問状送付
198305 赤堀闘争、高裁で地裁差し戻しの決定
19830730 ニュースレター『クリニカルサイコロジスト』にて「第19回総会をむかえるにあたって(緊急アピール)」 19831030 若手会員を中心とする運営委員会とは独立の自主企画(第19回総会)を開催
198403 報徳会宇都宮病院事件

■人

小沢 牧子
篠原 睦治
山本 勝美

■関連組織

日本社会臨床学会


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■書籍等

◆日本臨床心理学会 編  19661001 『臨床心理学の進歩 1966年版』,誠信書房,446p. ASIN:B000JAAI9Y \1500 [amazon][kinokuniya] ※ (新規)
◆日本臨床心理学会 編 197902 『心理テスト――その虚構と現実』,現代書館,445p. ISBN-10: 4768499414 ISBN-13: 978-4768499412 3833 [amazon][bk1] ※ m,
◆日本臨床心理学会 編 19800430 『戦後特殊教育・その構造と論理の批判――共生・共育の原理を求めて』,社会評論社,358p. ASIN: B000J88YYM 3500 [amazon] ※ m,
◆日本臨床心理学会 編 19851125 『心理治療を問う』,現代書館,446p. ASIN: B000J6NKR0 3500 [amazon] ※/本郷V55-361 m,
◆日本臨床心理学会 編 19871015 『「早期発見・治療」はなぜ問題か』,現代書館,445p. ISBN-10: 4768433596 ISBN-13: 978-4768433591 3500 [amazon] ※ eg, m,
◆日本臨床心理学会 編 19900810 『裁判と心理学――能力差別への加担』,現代書館,396p. ISBN-10: 4768433731 ISBN-13: 978-4768433737 3500 [amazon][bk1] ※ d, m,
◆日本臨床心理学会 編 20091120 『地域臨床心理学』中央法規出版, 217p. ISBN-13: 9784805832332 2730
◆日本臨床心理学会 編 20101010 『幻聴の世界――ヒアリング・ヴォイシズ』中央法規出版, 202p. ISBN-13: 9784805833698 1470


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■引用

小沢 牧子 20020321 『「心の専門家」はいらない』,洋泉社,新書

「「クリニカル・サイコロジスト(いわゆる心の専門家)の資格」が、いまから30年以上前に発足しようとしていたことを知る人は少ないだろう。その準備はすでに1963年から始まっていた。当時心理学関係のさまざまな学会など19団体が集まって「心理技術者資格認定機関設立準備会」を作り、69年には認定の申請受け付けが始まるばかりになっていた。ところがその直前に、日本臨床心理学会のなかで議論が起こる。」(小沢 2002: 63)

「「自分たちが作ろうとしている資格は誰のためのものか。はたして仕事の対象となっている患者・クライエントのためになるものなのか。自分たちの仕事は相手にたいしてどのような中身と意味を持っているのか」という問いである。そのなかで、目前にあった資格認定受け付けは、学会員大多数の賛成のもとにストップされ、この議論を深化させるために、篠原睦治を委員長とする「日本臨床心理学会改革委員会」が71年に発足した。」(小沢 2002: 63-4)

「その後、年一回開かれる学会総会では、毎年臨床心理学とその実践の問いなおしをめぐる種々のシンポジウムが持たれた。1973年には「心理テストについての総点検」が、75年には「精神医療における心理治療の点検」が、78年には「治療観の再検討」が、という具合に、点検と議論が重ねられていった。81年には「心理臨床家の資格問題を考える」を論じている。またその年月のなかで、『心理テスト・その虚構と現実』(現代書館)、『心理治療を問う』(同)の単行本が出版された。」(小沢 2002: 65)

「その後この学会[日本臨床心理学会]は91年に、臨床心理士の国家資格化に協力すべきか否かで二つの立場に別れ、「否」を主張した側が脱会して、その後93年に日本社会臨床学会を設立し、これまでの課題を引き継ぐ。」(小沢 2002: 66)

小沢 牧子 200001 「カウンセリングの歴史と原理」日本社会臨床学会 編  『カウンセリング・幻想と現実 上巻 理論と社会』,現代書館

1970年代を中心に、日本の臨床心理学史のなかで、心理テストやカウンセリング・心理治療をめぐる重要な論議があったことをここで書き留める必要がある。それらは、カウンセリングを含む臨床心理学が今も抱え続けている本質的な問題を、明確に指摘したものであるからだ。当時の臨床現場に働く人々の共同討議と発言、また「治療」の対象とされる患者と呼ばれる人々から鋭く指摘された諸問題は、臨床心理学が「行う者」と「受ける者」の二つのサイドから成り立つ構図と、そこに発生する深い差別の問題を解き明かした。この時期の論議は、当時の日本臨床心理学会の手になる学会誌や単行本、なかでも『心理テストその虚構の現実』(1979年)、『心理治療を問う』(1985年)の二冊にまとめられている。

◆日本臨床心理学会 編 197902 『心理テスト――その虚構と現実』,現代書館

「そしてこれらに応えるには、まず第一にこれまで筆者らのやってきたテストについて、その差別性を内側からあばき出すことが必須であると考えた。本書ではこのような意図の下に、筆者らの意識変革の契機となった様々な人たちや事件との出会いや関わり、日本臨床心理学会の改革を通じての自己批判、テスト肯定論者との論争等々を、できるだけ忠実に追ってみた。筆者らのこのような動きが、単なる観念的な自己批判に終わることなく、いわばテストなき社会、差別なき社会へ向けての第一歩となればと願わずにはおれない。」(p.15)(「はしがき」より)

◆日本臨床心理学会 編 19851125 『心理治療を問う』,現代書館

「「心理治療」、「カウンセリング」という行為が、医療をはじめとするさまざまな場に登場し、その言葉が世の中に広く知られるようになったのは古いことではない。わが国では、1960年代に入ってのことであり、人間が「人的資源」などの言葉のもとに能力主義の尺度上にモノとして序列化され、管理されるという社会状況の変化に伴って、その言葉は急速に世の中に浸透していった。「心理治療」を受けることを強いられる人びとがいる一方、それを自ら求める人びともおり、いまなお増えつづけているという現実がある。」(p.9)(「はじめに」より)

◆鈴木 伸治 19851125 「心理治療はなぜ求められるのか」日本臨床心理学会 編『心理治療を問う』,現代書館 

「一度に併行して10人、20人と心理治療を受け持ったことのある人なら、特に共感していただけると思う。相手の微妙な心理のひだに注意深く関心を寄せたり、深く全人格的に共感し、しかもまき込まれないことは、大変エネルギーを要することだから、日常場面で引き続き同じような態度で接しなければならないとなったら、もうお手上げである。ということは面接場面では、相手への関心や注意の向け方や共感的姿勢の点で、日常場面とはちがって、いわば背伸びした、特別な態度や姿勢をとっているということである。別の言葉でいえば、実際よりも一段と理解力、包容力、落着きのある、よりスケールの大きい人格者ふうにふるまっているともいえよう。当然相手は……[日常的場面で会った場合にも共感性や包容力]を期待し要求することになる。そうなれば、たちまち馬脚をあらわしてしまわねばならない。」(p.310-1)

「現代の疎外的な人間関係の中で傷つき、ゆがめられた心を癒やす力のある、すばらしい専門家という期待をもって、訪れる人も多いであろう。そして面接を重ねていくうちに、しだいに面接室内での関係の不自然さ、まがいもの性に気づいて、幻滅し、満たされない淋しさをバネにして、現実にそれを満たしてくれる人を求めるという形で関係を切って離れていく。この場合は、治療される側もかなり力があり、一時的に治療関係に頼ったとしても、すぐ自力で離れていけるのであるから、被害も比較的少なくて済むし、それなりに人間関係の発展に役立ったともいえよう。しかしそうあっさりいかない場合のほうが多い。例えば……」(p.315)


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■論文

篠原 睦治 19820925 「第18回日本臨床心理学会総会への招き――学会改革10年をふりかえりつつ<共に>をめざす」(季節風),『季刊福祉労働』16:086-087 ※
堀 智久 20110430 「専門性のもつ抑圧性の認識と臨床心理業務の総点検――日本臨床心理学会の1960/70」,『障害学研究』障害学会、第7号: pp249−274

■言及

◆立岩 真也 19970905 『私的所有論』,勁草書房,511p.
◆―――― 20130520 『私的所有論 第2版』,生活書院・文庫版,973p.
 【】内は第2版における加筆

 「☆22 Duden[1991=1993]。この書の中で彼女は次のようにも言う。
 「倫理的で高圧的な現在の論議をきわだたせているあの「生命」は、欺瞞と妄想の歴史、そしておそらくは▼364 宗教の歴史に属するものであって、身体の歴史にはふさわしくないのである。」(Duden[1991=1993:155])ドゥーデンについては荻野美穂[1993]。本書283・299頁でも引用した。
 また加藤秀一[1991b:19→1996:52]でも引かれる【小沢牧子(改革期の日本臨床心理学会→日本社会臨床学会で活動した)の】以下のような記述。
 「産む性の身体的感性からいえば、「受胎」は他者の人格に関わる事態というよりも、まず圧倒的に「わが身体における現象」という事態である。…受胎をもって生命の誕生ひいては他者の発生を定義するのは、抽象的なイメージの作用に依拠した思いこみとはいえないのか」(小沢[1987:340-241])」

 「☆23 教育、医療といった領域に限定し関連する単行書を発行年順に追うと以下のようである。『知能公害』(渡部淳編[1973])、『母よ! 殺すな』(横塚晃一[1975]、増補版[1981]【、新版[2007](そこに付した「解説」(立岩[2007c])の全文→hp)、cf.第9章注5・714頁)】)、『反発達論』(山下恒男[1977])、『障害者殺しの思想』(横田弘[1979])、『心理テスト――その虚構と現実』(日本臨床心理学会編[1979])、『戦後特殊教育・その構造と論理の批判――共生・共育の原理を求めて』(日本臨床心理学会編[1980])、『知能神▽535 話』(山下恒男編[1980])、『「早期発見・治療」はなぜ問題か』(日本臨床心理学会編[1987])。これらはごく一部にすぎない。主張されたことを検証する別の作業が必要になる。【日本臨床心理学会の「改革」の模索について堀[2011]。この学会は精神科ソーシャルワーカー(PSW)の資格化等を巡って分裂、反対した少数派が日本社会臨床学会を立ち上げた。『カウンセリング・幻想と現実 上・下』(日本社会臨床学会編[2000])、またシリーズ「社会臨床の視界」を刊行している。】

 「☆16 医療やリハビリテーションに関する論文のほとんどは構造的にこうした問いを受け付けないようになっている。直接な効果だけを調べ、代わりに失ったものを評価することがないからである。【関連した文章に「なおすことについて」(立岩[2001b])。吃音の矯正について渡辺克典[2004]他。】
 日本臨床心理学会編[1987]は「早期発見・治療」の問題性を指摘する、というよりかなり根底的な部分から批判している。ここで主張されていることがどのような根拠によりなされているか、子細に検討してみる必要がある。【この学会について第7章注23・534頁】」

◆立岩 真也 20140825 『自閉症連続体の時代』,みすず書房,352p. ISBN-10: 4622078457 ISBN-13: 978-4622078456 3700+ [amazon][kinokuniya] ※

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*作成:立岩 真也堀 智久
UP:20040908 REV:20081101,20090811,0817,20111117,1216
日本社会臨床学会  ◇組織
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