HOME >

居住/住居

Housing / Residence

Tweet
last update: 20221018

■Index

 ◆New
 ◆ホームページ
 ◆文献
 ◆居住に関わる差別/差別の禁止
 ◆公営住宅入居の制限という問題
 ◆民間アパート借り上げ制度
  ◆生活保護を使った引越し費用・敷金・礼金・家賃の支払い → ◆生活保護
 ◆住宅改造
  ◆生活保護を使うと自己負担なしに200万円まで住宅改造ができる → ◆生活保護
  ◆東京都の「重度身体障害者(児)住宅設備改善給付事業」
  ◆住宅改造の経済効果
 ◆関連する法律・政令
   建築基準法施行令(1950/01/16政令第338号)より
   公営住宅法(1951/06/04法律第193号)より
   公営住宅法施行令(19510630政令240号)より
 ◆転居にかかわる生活福祉資金貸付制度
 ◆民間賃貸住宅の家賃補助制度
 ◆建築分野の「住居」


■関連ページ
 ◆ケア付住宅
 ◆バリアフリー/ユニバーサルデザイン/アクセス/まちづくり
 ◆施設/脱施設
 ◆ホームレス/寄せ場
 ◆生存・生活
 ◆生活保護

>TOP

■New

居住の権利/正義――を求める運動
 (2022/10/18〜)

>TOP

■Webサイト


◆バリアフリーEXA
 http://www.synapse.ne.jp/~exa/
 (バリアフリー住宅・車椅子マラソンに関する情報。車椅子の販売。)
◆人にやさしい建築・住宅推進協議会
 http://www.jaeic.or.jp/hyk/
 (人にやさしい建築・住宅の整備を推進することを目的に設立)
◆ホームステップ
 http://www.homestep.com/index.html
 (バリアフリー住宅への改造実例等。リンク集)
◆hmg homepage
 http://www.coara.or.jp/~yoneyura/
 (バリアフリーコーディネート、自立・介護用品…)
◆WE'LL net
 http://www.wellnet.co.jp/
 障害者のための生活情報を提供。車椅子を使った国内外旅行情報、福祉車両、
 バリアフリーな住宅情報他を掲載。
◆バリアフリータウン
 http://village.infoweb.ne.jp/~fwhk4954
◆人にやさしい建築・住宅推進協議会
 http://www.jaeic.or.jp/hyk/
◆(社)日本建築学会
 http://www.aij.or.jp/aijhomej.htm/
◆住まいの情報発信局
 http://www.sumai-info.jp/http://www.sumai-info.jp/">http://www.sumai-info.jp/
 (「住宅のバリアフリー化」「安全な住まいを考える」…)

>TOP

■文献


秋山 哲男 編 1993 『高齢者の住まいと交通』,日本評論社,都市研究叢書8,285p. 3800円 ※
小川 信子・野村 みどり・阿部 祥子・川内 美彦 編 1996 『先端のバリアフリー環境――カリフォルニアにみるまちづくり』,中央法規,270p. 2884円 ※
川内 美彦 1996 『バリア・フル・ニッポン――障害を持つアクセス専門家が見たまちづくり』,現代書館,220p. 2060円 ※ 交通機関,ホテル,…
京極 高宣  1992 「高齢者住宅の費用効果分析」,『高齢化社会の経済政策』,東京大学出版会
建設省建設政策研究センター 1993 「高齢者住宅整備による介護費用軽減効果」,『月刊福祉』76-12(1993-10):70-77(抜粋) ※
高木 佳子・高橋 儀平 1993 『高齢者のすまいデータブック』,有斐閣,211p.,2400円 ※
竹下 隆夫 1993 「高齢者・障害者のバリアフリーに向けての住宅政策の現状」,『月刊福祉』1993-10:23
日本障害者協議会 編 1994 『障害者の生活環境改善手法』,彰国社,131p.,2400円 ※
野村 歓・高山 忠雄編 1993 『高齢者の住環境』(長寿社会総合講座 6),第一法規出版,240p.,4000円 ※
野村 みどり 1995 『バリアフリー』,慶應通信,194p.,1200円 ※
古瀬 敏   1993 「バリアフリー建築条例の動向と建築基準法――アクセス権を保障するための方向」,『季刊福祉労働』59:12-23 ※
『季刊福祉労働』59号 1993 特集:建物・住まい・移動のアクセス権,現代書館,1236円 ※
岡村 泰之 20081125 『建築バカボンド(よりみちパン!セ)』,理論社,225p. ISBN-10:4652078390 ISBN-13: 978-4652078396 \1470 [amazon][kinokuniya]※ l07

 ※は生存学資料室にあり。

>TOP

■居住に関わる差別/差別の禁止


◆住宅のあり方についての提言
※ヒューマンケア協会地域福祉計画策定委員会 19940331 『ニード中心の社会政策――自立生活センターが提唱する福祉の構造改革』(ヒューマンケア協会,88p.,1000円)より

□01 障害をもつことを理由とした居住に関わる差別を禁止する。
□02 公的に供給される住宅については,障害者が利用できるような仕様にするとと
   もに,一部に特に重度の障害者が暮らせる住宅を配備する。
□03 公営住宅,特に単身世帯用の公営住宅の供給量を増やし,入居を容易にする。
□04 民間企業が供給する公共住宅については,障害をもつ人が居住しやすい建築基
   準を定める。また配慮のなされた住宅の建設に対しては助成を行なう。
□05 一般住宅を改造するにあたっての助成を行なう。
□06 住宅の照会や入居・居住にあたっての問題解決のための活動を行なう民間機関
   の活動を助成する。
□07 グループホーム,ケア付住宅について法令で定められている条件を緩和し,最
   低限のサポートを受けながら暮らす,独立への準備過程として使うといった機
   能を十分に果たせるものとする。
□08 入居施設については,入居当事者の意志を尊重した移行プログラムの中で縮小
   していくことを基本としつつ,個室を原則とする等,居住条件の改善を早急に
   行なう。
 各項目についての説明は『ニード中心の社会政策』をご覧下さい。

◆こらーるたいとう・ピープルファースト東京・ピープルファースト東久留米・全国精神障害者団体連合会・DPI(障害者インターナショナル)日本会議・JIL(全国自立生活センター協議会)・障害者欠格条項をなくす会 20020918 「公営住宅の単身入居を求める要望書」

◆2001/04/09 18:45 障害理由に入居断られる? 札幌市内で2件相次ぐ
 共同通信ニュース速報(部分引用)

 北海道小樽市の道立高等ろう学校を三月に卒業した、耳の不自由な二十歳の女性二人が、札幌市内で卒業後の新居を探す際、荷入れを済ませた直後などに相次いで入居を断られていたことが九日までに分かった。学校側は「賃貸契約には障害を理由とした入居拒否の項目はなく、明らかに障害者の差別」と憤っている。
 同校によると、専攻科卒業の女性は札幌市の不動産業者の仲介でマンション入居を決め、二月に仮契約を結んだが、数日後に業者から「契約できない」と連絡が入った。また別の専攻科卒業の女性は別の業者と賃貸契約を結び、新居への荷入れを終えたにもかかわらず、三月になって突然入居を断られたという。

◆差別の禁止:イギリス「市民権(障害者)法案」

 イギリスの「市民権(障害者)法案」第3章は,有資格の障害者が,特定の動産,
便宜供与またはサービスに関する計画・活動への参加を排除されまたはその便益を否
定されること,ならびに,該当者が入手または利用しようとする動産,便宜供与,サ
ービスを提供する者・機関から差別されることを禁じており,この中に,住居の財産
権の措置,ホテル,下宿,類似施設における便宜供与が含まれている(ただし,これ
に従うことが実際的でないかまたは安全でない場合はこの限りではない)。(岩間[
1993:(下)96])

岩間 大和子 1993 「市民権(障害者)法案,提出さる」(国際動向・イギリス),『月刊福祉』1993-1(1993-1):86,76-4(1993-3):96

※ヒューマンケア協会地域福祉計画策定委員会『ニード中心の社会政策――自立生活センターが提唱する福祉の構造改革』(19940331,ヒューマンケア協会,88p.,1000円)より

>TOP

■公営住宅入居の制限


◆安積 純子・尾中 文哉・岡原 正幸・立岩 真也 19950515 『生の技法――家と施設を出て暮らす障害者の社会学 増補・改訂版』,藤原書店,366p.,ISBN: 4-89434-016-X 3045yen [amazon]/[kinokuniya]/[boople]/[bk1] ※

「わずかな割合の人が公営住宅に住む。中には障害者用のものもある。だが、単身者の入居が制限されている(8)とい<64<う事情から入居は難しい。」(pp.63-64)

「「公営住宅法」(五一年)一七条一は政令で定める老人、身体障害者等以外は親族の同居を必要とするとしている。八〇年の法改正に伴い、その政令である「公営住宅法施行令」(五一年政令二四〇号)が改正され(八〇年政令二〇二号)新たに四条六が加えられた。この二で身体障害者手帳に記載される障害の程度が建設省令で定める程度である身体障害者の単身入居が可能になったわけだが、「公営住宅法の一部を改正する法律の施行について」(八〇年社生一〇三号)は、その資格について「常時の介護を必要とする者でその公営住宅への入居がその者の実情に照らし適切でないと認められる者」を除くとしている。判定は当該事業主体である住宅管理部局が、必要であれば福祉事務所長にその者が身体障害者療護施設等の収容対象者であるか否かについて意見を求めて、行なうものとされる。」(p.63(8))

◆平山洋介 20090320 『住宅政策のどこが問題か――<持家社会>の次を展望する』,光文社
「残余化した公営住宅は、福祉関連の「カテゴリー」に合致する住宅困窮者を選び、入居させる傾向を強めた。「高齢」「障害」「母子」などの表徴を目印として「救済に値する」を定義する手法が「カテゴリー」化である。特定目的住宅の制度は入居資格に「カテゴリー」を明示的に導入した。この背景には、「カテゴリー」世帯の住宅困窮が厳しいという事実がある。「カテゴリー」を使用する政策は、それに当てはまる人たちの住宅条件を改善しようとした。しかし、他方において、「カテゴリー」の導入は「救済に値する」範囲を狭め、これに合致しない多数の低所得者を「救済に値しない」領域に押し出す機能をもつ。ここに内在するのは、「住宅に困窮する低額所得者」の代理指標として「カテゴリー」を用い、「救済に値する」人たちを限定する政策技法である。」(p.251)

◆こらーるたいとう・ピープルファースト東京・ピープルファースト東久留米・全国精神障害者団体連合会・DPI(障害者インターナショナル)日本会議・JIL(全国自立生活センター協議会)・障害者欠格条項をなくす会 20020918 「公営住宅の単身入居を求める要望書」

◆障害者欠格条項をなくす会ニュースレター3号:特集・なぜ入れない、公営住宅 1999年10月24日
 http://www.butaman.ne.jp/~sakaue/restrict/NL03_199910.txt

◆障害者欠格条項をなくす会・DPI(障害者インターナショナル)日本会議・全国自立生活センター協議会(JIL)→厚生大臣 20000705 「重度障害者の公営住宅単身入居に関する除外規定の撤廃を求める要望書」

◆20000705
 JIL(全国自立生活センター協議会)、DPI(障害者インターナショナル)日本会議、障害者欠格条項をなくす会 公営住宅の単身入居制限撤廃に向けて対建設省交渉

◆20000709 『読売新聞』朝刊報道
 建設省は公営住宅の単身入居に関して、「重度の障害者も含めて積極的に入居を認める方針」であり、公営住宅法の「弾力的な運用を図る政令改正案」を11日の閣議に提出する見込み。「家族やボランティアから充分な介護を受けられる場合には本人の障害の程度とは関係なく」入居できるようにする。

◆20000712 〈読売新聞〉  「四番目のバリア 法の障壁を越えて」連載2 難しい公営住宅への入居
 「十分な介護」条件に建設省は政令改正へ

◆障害者欠格条項をなくす会 20000811 「公営住宅法の新施行令(政令)の運用に関する具体的指針の策定を求める要望書」
 http://www.butaman.ne.jp/~sakaue/restrict/000811.html

堀 利和 20000925 「公営住宅法新施行令で何が変わるのか?」(白杖の赤じゅうたん日記・再開第7回)  『季刊福祉労働』88 ※

◆ヒューマンケア協会地域福祉計画策定委員会『ニード中心の社会政策――自立生活センターが提唱する福祉の構造改革』(19940331,ヒューマンケア協会,88p.,1000円)より

 「公営住宅法」(1951年6月)が1980年に改訂され,第17条(入居者資格)1で政令で定める老人,身体障害者等以外は親族の同居を必要とするとしている。公営住宅に障害者や高齢者の単身入居がようやく認められたということでもある。

「公営住宅の入居者は,少なくとも次の各号(老人,身体障害者その他の特に居住の安定を図る必要がある者として政令で定める者にあつては,第2号及び第3号)の条件を具備する者でなければならない。
1 現に同居し,又は同居しようとする親族(婚姻の届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者その他の婚姻の予約者を含む。)があること。
2 政令で定める基準の収入のある者であること。ただし,第八条第一又は第三項の規定により国の補助を受けて建設する公営住宅については,当該災害発生の日から三年間は,なお,当該災害により住宅を失つた者であること。
3 現に住宅に困窮していることが明らかな者であること。」

 だが,その政令である「公営住宅法施行令」(1951年6月30日 政令240,改正1987年 政令295)
 第4条の7は以下のようになっている。

「法第17条に規定する政令で定める者は,次の各号の1に該当する者(身体上又は精神上著しい欠陥があるために常時の介護を必要とする者でその公営住宅への入居がその者の実情に照らし適切でないと認められるものを除く。)とする。
1 60歳(女子については,50歳)以上の者
2 身体障害者福祉法第15条第4項の規定により交付を受けた身体障害者手帳に身体上の障害がある者として記載されている者で当該手帳に記載されている身体上の障害の程度が建設省令で定める程度であるもの(以下略)」

 判定は当該事業主体である住宅主管部局が行うものとされる。もちろん条文に明らかなように,「常時介護を必要とする」だけで入居できないというわけではない。しかし不要な規定であり,「その者の実情に照らし適切でない」かどうかの判定が住宅主管部局にまかされてもいる。この規定は廃止すべきである。

◆20000830 臼井さんより

こんにちは、臼井です。

公営住宅単身入居制限に関する
群馬県桐生市(1996年当時在住)の大久保さんの体験例で
いくつか、今から見ての反省点と
今後の課題(教訓)が、はっきりしてきましたので
それについてまとめてお伝えします。

わかりにくい点もあるかと思いますが
ご意見、ご質問などもよろしくお願いします。

要点は、
当時大久保さんが、建設大臣あてに不服審査請求を出したことの誤り
(法律上はこの場合、桐生市と、群馬県を相手にしなければならなかった)
また、不服審査請求を行なう日限(不適格処分通知から60日以内)内に
正しい相手に不服審査請求を出すことができていなかったことが、
今からみれば悔やまれるということです。

また、今回、「不適格処分通知書」原本を初めて確認でき、
これがきわめつきの手抜き文書で、
異議申し立て手続きについても、
一切、記載がないものだったことがわかりました。
(一応法律で記載が義務づけられています)

当時の大久保さんも、またごく最近まで私自身も、
このように入居申請を却下された場合に、
何の法律のどの条文を、どのように活用できるか
勉強不足(または自己流解釈による誤解)のために
正しく理解できていませんでした。
これらを把握しておかないと、
いざというとき、役人の都合のいいようにされることを痛感しました。

今年7月の公営住宅法施行令の改正によって
入居希望者に入居申込書も渡さず役所から追い返すようなことは
今後は減ると思われます(もちろん監視が必要ですが)。
しかし、欠格条項自体は残っていますし
「申し込んだけどダメだった」ということは
今後とも起こりがちなことと思います。

そうした場合にどう素早く対応、追及していけるかが重要でしょう。
申し込み者自身としてもふまえる必要のある事を
おさえておきたいと思います。

改めて大久保さんと連絡をとった結果、
一昨日、大久保さんから送っていただいた、
「単身入居不適格処分通知書」を、ご了承をえて掲載します。
これは昨年の「障害者欠格条項をなくす会ニュースレター3号」
(特集:なぜ入れない、公営住宅)には掲載できていません。

通知書は、メールではその体裁をお伝えできないのですが、
FAXの送り状(カバーページ)そのものです。
県・市ともに各1枚きりで、行政としての印鑑も押されていません。
本来はきちんとした形で郵便で送るべき文書と思いますが、
FAX送信ですませていること自体も、
また当時すでに一人暮らしをしていた大久保さんの自宅宛ではなく
わざわざ、実家に送ったというやり方を見ても
大久保さん自身も言われていることですが、
「侮辱するにもほどがある」というものてす。


法律制度問題については
里見弁護士が全面的にご協力くださいました。
下記里見弁護士からいただいたコメントとあわせて編集して掲載します。
文中≪コメント≫とあるのは里見弁護士のコメントです。

------------------------------------------------------------------------
【1.経過】
桐生市と群馬県の、公営住宅単身入居拒否にかかわる経過(抄)
1996年
5月20日 大久保さん、民間貸家で自立生活を開始
桐生市住宅課に入居申込に行き、
「障害者は単身入居を申し込めない」と言われる。

6月 群馬県県営住宅にも申込を出す。
7月10日 桐生市長(市広報課)から回答書
・建設省通達に基づき、常時介護を要するかの判断が前提となる。

7月16日 市営住宅入居申込書を出す
10月1日〜10月9日 『公営住宅法に基づく単身入居不適格処分通知書』
(桐生市建設部住宅課・群馬県土木部住宅課)
大久保さんの実家にFAXで送信通知。※下記参照

11月21日 大久保さん、建設大臣に
「行政不服審査法による審査請求書」を出す

12月10日 大久保さん、桐生市に、
福祉事務所長の建設省への意見書閲覧と写しの交付を請求。

1997年
1月17日 桐生市建設部長が、閲覧写し交付拒否と、単身入居拒否を文書通知。
(要旨)公営住宅法・公営住宅法施行令の規定に基づき、「施設入所対象者又は施
設収容対象者に相当すると判断される。理由として、本人の障害程度が身体障害
程度等級表の1級に該当するため。」単身入居の希望には応じられない。


【2.単身入居不適格処分通知書の書面】

県からの通知−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

群馬県土木部住宅課
平成8年10月9日 枚数1枚(送信票含)
宛先 大久保健一 様
送信者 住宅課 管理係 主任 下村信幸

記事
県営住宅入居申込書の返却について(通知)
 このことについて、内容を審査したところ入居者資格(公営住宅法第17条)に
適合しないため返却します。
 なお、平成8年10月18日(金)までに申込書を取りに来られない場合は郵送し
ます。

TEL 0272-23-1111(内線 3454)
FAX 0272-24-1368
河川課のFAXになりますので
住宅課 下村 に送信願います

市からの通知−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
平成8年10月1日
電送依頼書(送り状)

あて先
※住所、電話番号等が記入されていますが省略します。
大久保健一 様

件名等
桐生市市営住宅単身入居資格の判定結果について(通知)

(申込者は常時介護を要する者に該当し、単身での市営住宅入居は適切でないと
認められるので、申込書を返戻します。
なお、申込書を取りに来られない場合は、郵送にて返却します。

※「常時介護…単身での市営住宅」に下線が引かれている。
  申込者以下の部分は全体を大きな「( 」(マルガッコ)で括ってある。

発信元
群馬県桐生市建設部住宅課住宅管理係(内線625)
担当者氏名 辻茂樹
桐生市織姫町1番1号
TEL 0277-46-1111
FAX 0277-46-2307(建設部専用)
----------------------------------------------------------------

【3.この通知書の問題点】

法律では、このような通知をする場合は、
少なくとも通知書に、審査請求の相手方と何日以内に審査請求をする必要がある
かということは教示しなければならないということです。
群馬県と桐生市は、それをも省略していた事がはっきりしたわけです。

≪コメント≫
 そもそも、この種の通知書には、もしこの処分に不服があるときは、何日以内
(原則として、通知を受け取ってから60日以内)にどこに対して異議申し立て
(または、審査請求)をすることができる旨の教示をすることが義務付けられて
います。もっとも、この教示をしなかったからといって、行政に対する直接の罰
則はありません。情報公開条例に基づく情報開示請求に対する決定には必ず上記
教示がかかれています。罰則はありませんが、書かないのは違法なのです。今後
は、この観点からの追及も必要なように思います。

 異議申し立て(または、審査請求)の相手先及び不服申し立て期間等の教示義
務が行政に課せられていることの根拠は、行政不服審査法第57条第1項です。

 なお、行政手続法の対象となる事柄について、聴聞を経て出された処分に対し
ては、異議申し立て(または、審査請求)はできず、後は、取り消し訴訟で争うこ
とになります。

【4.不服審査請求の相手方】

≪コメント≫
 大久保さんの場合、桐生市の市営住宅と、群馬県の県営住宅への入居申し込み
が、入居資格なしということで断られたわけですから、不服申し立て(この場合、
異議申し立てが原則、審査請求も可能と思われます)の相手は建設大臣ではなく、
桐生市長および群馬県知事でなければなりません。
 そして、異議申し立てが棄却または却下されたときは、市長および県知事の処
分(または不作為)の取り消しを求める行政訴訟を提起するということになりま
す。この点は、現在も変わっていません。


【5.経過上の教訓】

≪コメント≫
 大久保さんがした「閲覧及び交付申請」は行政不服審査法第33条第2項に基づく
閲覧請求のつもりで出されているものと思われます。

 大久保さんの場合、さらに残念だったのは、「閲覧及び交付申請」が10月9日か
ら60日以上たった12月10日になされたことです。もし、大久保さんの審査請求が
建設大臣宛ではなく正しく桐生市長または県知事宛になされていたならば、上記
不適格処分を不当だとして争おうとする側からの同処分の前提となった資料の閲
覧は少なくとも請求できることになっているからです(行政不服審査法第33条第2
項)。
 正しい異議申し立ての相手である桐生市長や県知事宛の異議申し立てが出され
ないまま60日間が経過した後の12月10日になってから上記閲覧請求が出されてい
るものですから、桐生市としては行政不服審査法第33条第2項に基づく閲覧請求と
して扱う必要がないため、(正当な理由がないのに)閲覧を拒否した訳です。
 桐生市は、上記閲覧請求が審査請求期間が切れた後になされたことを確認した
上で、閲覧等の請求に応じられないと回答してきたものです。
 まことに汚いやり方といわねばなりません。


【資料−根拠になる法律条文】

「行政不服審査法」第33条第2項
(処分庁からの物件の提出及び閲覧)
第33条
 処分庁は、当該処分の理由となつた事実を証する書類その他の物件を審
査庁に提出することができる。
 2 
 審査請求人又は参加人は、審査庁に対し、処分庁から提出された書類そ
の他の物件の閲覧を求めることができる。この場合において、審査庁は、第
三者の利益を害するおそれがあると認めるとき、その他正当な理由があると
きでなければ、その閲覧を拒むことができない。

「行政不服審査法」第57条第1項
(審査庁等の教示)
第57条
 行政庁は、審査請求若しくは異議申立て又は他の法令に基づく不服申立
て(以下この条において単に「不服申立て」という。)をすることができる処分
を書面でする場合には、処分の相手方に対し、当該処分につき不服申立て
をすることができる旨並びに不服申立てをすべき行政庁及び不服申立てを
することができる期間を教示しなければならない。


>TOP

■民間アパート借り上げ制度


※ヒューマンケア協会地域福祉計画策定委員会『ニード中心の社会政策――自立生活センターが提唱する福祉の構造改革』(19940331,ヒューマンケア協会,88p.,1000円)より

 民間アパート借り上げ制度は,1975年に東京都中野区で立ち退きを要求される等で
住宅に困窮するひとり暮らしの高齢者のための制度として始まった。
 1991年度には,東京都が「福祉型借り上げ公共賃貸住宅」制度(地域特別賃貸住宅
B)を開始している。
 国も,1992年度に「福祉型借上公共賃貸住宅制度」を創設した。建設費・家賃につ
いて,地方公共団体が負担する額の1/2以内を補助するといった内容のもの。目的
は以下のように述べられている。
「土地所有者等の建設する良好な賃貸住宅を,地方公共団体又は地方住宅供給公社が
借り上げ,家賃負担を軽減して高齢者,障害者,母子世帯に賃貸することにより,公
営住宅の供給を補完しつつ,これらの世帯の居住の安定を図ることを目的とする。」

 以上の紹介として高木・高橋[1993:10-11],東京都については竹下[1993:23]
もある。

竹下 隆夫 1993 「高齢者・障害者のバリアフリーに向けての住宅政策の現状」,『月刊福祉』1993-10:23
高木 佳子・高橋 儀平 1993 『高齢者のすまいデータブック』,有斐閣,211p. 2400円

>TOP

■東京都の「重度身体障害者(児)住宅設備改善給付事業」


 1985年4月1日開始
 特別区・市が実施し,都が補助するもので,補助率は,児童については10/10,成
人については5/10。

 1991年度の基準額の例:
 屋内移動設備について機器・器具979000円+設置費353000円。

>TOP

■住宅改造の経済効果


※ヒューマンケア協会地域福祉計画策定委員会『ニード中心の社会政策――自立生活センターが提唱する福祉の構造改革』(19940331,ヒューマンケア協会,88p.,1000円)より

 建設省建設政策研究センターによる試算によれば,1990年から2025年までに現在価
格で総額 8.2兆円の投資を高齢者住宅の整備に投入した場合,2倍強の19.7兆円の経
済効果が現われ,純便益として10.5兆円が見込まれるという(建設省建設政策研究セ
ンター[1993],他に京極[1992]の研究がある。また,これらの紹介として竹下[
1993]。この文章と建設省の試算の抜粋を掲載した『月刊福祉』76-12(1993-10)。)

◆京極 高宣 1992 「高齢者住宅の費用効果分析」,『高齢化社会の経済政策』,東京大学出版会
◆『月刊福祉』1993 76-12(10月号),特集:日本の住宅は超高齢社会を乗り切れるか,800円
◆建設省建設政策研究センター 1993 「高齢者住宅整備による介護費用軽減効果」,『月刊福祉』76-12(1993-10):70-77(抜粋)
◆竹下 隆夫 1993 「高齢者・障害者のバリアフリーに向けての住宅政策の現状」,『月刊福祉』1993-10:23

>TOP

■障害者と住宅関連法・政令


 ◆建築基準法施行令(1950/01/16政令第338号)より
 ◆公営住宅法(1951/06/04法律第193号)より
 ◆公営住宅法施行令(19510630政令240号)より

◆建築基準法施行令(1950/01/16政令第338号)より

  第二章 一般構造
   第一節 採光に必要な開口部
(学校、病院,児童福祉施設等の居室の採光)
第十九条 法第二十八条第一項の規定により政令で定める建築物は,次の各号に掲げ
  るものとする。
  一 児童福祉施設,助産所,身体障害者更生援護施設(補装具製作施設及び視聴
    覚障害者情報提供施設を除く。),精神障害者社会復帰施設,保護施設(医
    療保護施設を除く。),婦人保護施設,精神薄弱者援護施設,老人福祉施設,
    有料老人ホーム又は母子保健施設(以下「児童福祉施設等」という。)
  二 隣保館
 (2)法第二十八条第一項に規定する学校等における居室の窓その他の開口部で採
   光に有効な部分の面積のその床面積に対する割合は,それぞれ次の表に掲げる
   割合以上でなければならない。ただし,同表の(一)から(五)までに掲げる
   居室で,建設大臣が定める基準に従い,照明設備の設置,有効な採光方法の確
   保その他これらに準ずる措置が講じられているものにあつては,それぞれ同表
   に掲げる割合から十分の一までの範囲内において建設大臣が別に定める割合以
   上とすることができる。
======================================
‖居室の種類                           |割合 ‖
‖−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−‖
‖(一))|幼稚園,小学校,中学校又は高等学校の教室       |   ‖
‖−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−‖
‖(二))|保育所の保育室                    |   ‖
‖−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−‖
‖(三))|病院又は診療所の病室                 |   ‖
‖−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−‖
‖(四))|寄宿舎の寝室又は下宿の宿泊室             |   ‖
‖−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−‖
‖(五))|児童福祉施設等(保育所を除く。)の主たる用途に供する居|   ‖
‖    |室                          |   ‖
‖−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−‖
‖(六))|学校,病院,診療所,寄宿舎,下宿又は児童福祉施設等の(|   ‖
‖    |一)からら(五)までに掲げる居室以外の居室室     |   ‖
‖−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−‖
‖(七))|隣保館の居室                     |   ‖
======================================

‖−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−‖
‖(七))|隣保館の居室                     |   ‖
======================================

◆公営住宅法(1951/06/04法律第193号)より

  第三章 公営住宅の管理
(入居者資格)
第十七条 公営住宅の入居者は,少なくとも次の各号(老人,身体障害者その他の特に居    住の安定を図る必要がある者として政令で定める者にあつては,第二号及び第三    号)の条件を具備する者でなければならない。
  一 現に同居し,又は同居しようとする親族(婚姻の届出をしないが事実上婚姻関係    と同様の事情にある者その他の婚姻の予約者を含む。)があること。
  二 政令で定める基準の収入のある者であること。ただし,第八条第一又は第三
    項の規定により国の補助を受けて建設する公営住宅については,当該災害発
    生の日から三年間は,なお,当該災害により住宅を失つた者であること。
  三 現に住宅に困窮していることが明らかな者であること。

◆公営住宅法施行令(19510630政令240号)より

(用語の定義)
第一条 この政令において,次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定
  めるところによる。
  一 耐火構造の住宅 主要構造部(建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)
    第二条第五号に規定するものをいう。以下この条において同様とする。)を
    耐火構造(建築基準法第二条第七号に規定するものをいう。以下この条にお
    いて同様とする。)とした住宅をいう。
  二 簡易耐火構造の住宅 耐火構造の住宅以外の住宅で,外壁を耐火構造とし,
    屋根を不燃材料(建築基準法第二条第九号に規定するものをいう。以下この
    号において同様とする。)でふいたもの又は主要構造部に不燃材料その他の
    不燃性の建築材料を用いたものをいう。
  三 収入 入居者及び公営住宅法(以下「法」という。)第十七条第一号に規定
    する親族(以下「同居親族」という。)の過去一年間における所得税法(昭
    和四十年法律第三十三号)第二編第二章第一節から第三節までの例に準じて
    算出した所得金額(給与所得者が就職後一年を経過しない場合等その額をそ
    の者の継続的収入とすることが著しく不適当である場合においては,事業主
    体が建設大臣の定めるところにより認定した額とし,以下「所得金額」とい
    う。)の合計から次に掲げる額を控除した額を十二で除した額をいう。
   イ 同居親族又は所得税法第二条第一項第三十三号に規定する控除対象配偶者
     (以下この号において「控除対象配偶者」という。)若しくは同項第三十
     四号に規定する扶養親族(以下この号において「扶養親族」という。)で
     入居者及び同居親族以外のもの一人につき三十五万円
   ロ 控除対象配偶者が所得税法第二条第一項第三十三号の二に規定する老人控
     除対象配偶者である場合又は扶養親族に同項第三十四号の二に規定する特
     定扶養親族若しくは同項第三十四号の三に規定する老人扶養親族がある場
     合には,その老人控除対象配偶者,特定扶養親族又は老人扶養親族一人に
     つき十万円
   ハ 入居者又はイに規定する者に所得税法第二条第一項第二十八号に規定する
     障害者がある場合には,その障害者一人につき二十七万円
     (その者が同項第二十九号に規定する特別障害者である場合には,三
     十五万円)
   ニ 入居者又は同居親族に所得税法第二条第一項第三十号に規定する老年者が
     ある場合には,その老年者一人につき五十万円(その者の所得金額が二十
     五万円未満である場合には,当該所得金額)
   ホ 入居者又は同居親族に所得税法第二条第一項第三十一号に規定する寡婦又
     は同項第三十一号の二に規定する寡夫がある場合には,その寡婦又は寡夫
     一人につき二十七万円(その者の所得金額が二十七万円未満である場合に
     は,当該所得金額)
(公営住宅の規格)
第二条 法第二条第三号に規定する第一種公営住宅の規格は,一戸の床面積の合計
  (共同住宅においては,共用部分の床面積を除く。以下この条において同様とす
  る。)が十九平方メートル以上八十平方メートル以下のものとする。
 (2)法第二条第四号に規定する第二種公営住宅の規格は,一戸の床面積の合計が
   十九平方メートル以上七十五平方メートル以下のものとする。
 (3)入居者及び同居親族が六人以上であり,かつ,それらの者に六十歳以上の者
   又は心身障害者があることその他特別の事情により特に規模の大きいこと
   を必要とする公営住宅で建設大臣が定めるものの規格は,前二項の規定にかか
   わらず,一戸の床面積の合計の最高限度が,第一種公営住宅にあつては八十五
   平方メートルを,第二種公営住宅にあつては八十平方メートルを,それぞれ超
   えない範囲内において,建設大臣が定める。
(法第十七条に規定する者)
第四条の七 法第十七条に規定する政令で定める者は,次の各号の一に該当する者
  (身体上又は精神上著しい欠陥があるために常時の介護を必要とする者でその公
  営住宅への入居がその者の実情に照らし適切でないと認められるものを除く。)
  とする。
  一 六十歳(女子については,五十歳)以上の者
  二 身体障害者福祉法(昭和二十四年法律第二百八十三号)第十五条第
    四項の規定により交付を受けた身体障害者手帳に身体上の障害があ
    る者として記載されている者で当該手帳に記載されている身体上の障害の程
    度が建設省令で定める程度であるもの
  三 戦傷病者特別援護法(昭和三十八年法律第百六十八号)第四条の規定により
    戦傷病者手帳の交付を受けている者で当該手帳に記載されている身体上の障
    害の程度が建設省令で定める程度であるもの
  四 原子爆弾被爆者の医療等に関する法律(昭和三十二年法律第四十一号)第八
    条第一項の規定による厚生大臣の認定を受けている者
  五 生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第六条第一項に規定する被保
    護者
  六 海外からの引揚者で本邦に引き揚げた日から起算して五年を経過していない
    もの

>TOP

■「転居にかかわる生活福祉資金貸付制度」


社会福祉協議会から発行されている案内によると、生活福祉資金貸付制度が利用可能な対象は次の世帯とされている。

(1)低所得世帯:生活保護基準の1.8倍以内の所得水準の世帯で、独立自活に必要な資金の融通を他から受けることが困難である世帯(対象となる資金/障害者等福祉用具購入費、障害者自動車購入費以外の資金)
(2)障害者世帯:「身体障害者手帳」「療育手帳」「精神障害者保健福祉手帳」の交付を受けた者の属する世帯で、所得水準は生活保護基準の2.5倍以内の世帯。ただし、特別な事情のある世帯は運営委員会に諮るものとする。(対象となる資金/更生資金、福祉資金)
(3)高齢者世帯:日常生活上療養又は介護を要する65歳以上の高齢者の属する世帯で、所得水準は生活保護基準の2.5倍以内の世帯(対象となる資金/福祉資金、療養・介護等資金)
(4)他法、他制度優先:他法、他制度が優先適用される。したがって、生活福祉資金の貸付けにあたっては他法、他制度の利用が困難な世帯への貸付けとなる。

 ここでいう福祉資金には、福祉費、福祉費(住宅)、支度費、障害者等福祉用具購入費、障害者自動車購入費、中国残留邦人等国民年金追納費がある。支度費は、低所得者世帯に属する者か障害者が就職、あるいは技能を習得するために必要な支度をする経費のことである。
福祉費については、用途によってさらに細分化され、次の四つがある。(ア)結婚、出産及び葬祭に際し必要な経費、(イ)機能回復訓練器具及び日常生活の便宜を図るための用具の購入等を行うのに必要な経費、(ウ)住居の移転等に際し必要な経費及び給排水設備、電気設備若しくは暖房設備を設けるのに必要な経費、(エ)その他、帰省費用、年金の掛金等低所得世帯の日常生活上一時的に必要であると認められる経費である。
 福祉費(住宅)は、低所得者世帯、障害者世帯、高齢者世帯を対象に、住宅の増改築や補修、あるいは公営住宅法(昭和二六年法律第一九三号)第二条第二号に規定される公営住宅を譲り受けるのに必要な経費と定められている。
 また、世帯の種類によって対象となる福祉資金が異なる。障害者世帯では福祉費のうち(エ)が、高齢者世帯では障害者自動車購入費のほか、福祉費の(エ)と支度費は対象とはならない。
 生活保護世帯の借入申し込みについては、借入申込者が生活保護法の被保護者である場合、当該世帯の自立支援のため必要があると認められる場合に限り、当該の広域振興局保健所長または、福祉事務所長の意見を聞くことになる。また、当該世帯は、原則として生活保護費以外の収入が伴わなければならない」とされている。外国人の借入申し込みについては、外国人登録が行われていることと、現在地に6ヶ月以上居住し、将来とも永住する確実な見込みがあることの二つの条件に当てはまることが必要である。また、破産者等の借入申し込みについては、破産、債務整理、民事再生の申し立ての準備、手続き中だったり、あるいは破産後の免責が決定していない場合は貸付けの対象にはならない。ただし、免責が決定している場合は、貸付けの対象となり免責決定通知の写しが必要となる。
そして、生活福祉資金、離職者支援資金の連帯保証人になっている人は対象にならず、また原則として、過去に生活福祉資金を借り入れ滞納している世帯についても対象外とされている。

>TOP

■民間賃貸住宅の家賃補助制度

◆平山洋介 20090320 『住宅政策のどこが問題か――<持家社会>の次を展望する』,光文社
「民営借家の入居者に対する家賃補助は、住宅保障の不公平を緩和する有力な選択肢である。公営住宅に入居できる/できない世帯の双方に政府援助が届くからである。欧米諸国の低所得者向け住宅政策では、一九七〇年代から住宅建設のための補助が減少し、それに代わって家賃補助が拡大した(小玉ほか一九九九)。住宅ストックの戸数が増え、その物的水準が向上したことから、政府援助の公平性の確保が新たな課題として重みを増し、住宅建設支援だけではなく、家賃補助を使ってストックを利用し、公平性を担保する政策の合理性が高まった。しかし、日本では政府による家賃補助の制度は不在のままである。生活保護制度は被保護者に住宅扶助を供給する。しかし、住宅扶助は極度に限られた貧困者しか対象としない。」(p.264)

「社会資本整備審議会は住宅政策の新しい制度を検討し、その二〇〇五年の答申は家賃補助<265<導入の必要性を示唆した(社会資本整備審議会二〇〇五)。しかし、家賃補助の実施を難しいとみる考え方は根強い。日本の住宅政策は経済主義の性質をもち、人びとの暮らしを支えるだけではなく、建設投資を増やし、経済拡大を刺激するための手段であった。そこには、建設投資を増やし、経済拡大を刺激するための手段であった。そこには、建設投資に直結しない家賃補助のような施策は実施しないという伝統がある。同審議会は家賃補助に関わる技術上の課題を指摘した。しかし、技術課題に取り組む以前に、住宅政策は人びとの暮らしの改善に貢献するのか、経済刺激策のままなのか、という論点を検討する必要がある。」(pp.264-265)

「日本の住宅システムが企業の福利厚生制度を利用する点は、公的住宅保障の充実を避ける国家方針を表すと同時に、普遍的な家賃補助の実施を妨げる。大企業では多くの社員が家賃補助を受給する。社宅の入居者は、低廉な家賃と市場家賃の差額を非課税の「所得」として受け取る。この「所得」は家賃補助に類似した機能を果たす。企業セクターが個別企業ごとに家賃補助を供給している状況は、家賃補助の既成の実態を複雑化し、普遍的な公的制度の設計を困難にせざるをえない。日本の福祉国家が企業セクターに依存し、労働市場での地位を「有利/不利」に結びつける傾向は、住宅保障の普遍性の欠落と表裏一体の関係にある。」(p.265)

>TOP

■建築分野の「住居」

◆祐成保志 2008 「<住宅>の歴史社会学――日常生活をめぐる啓蒙・動員・産業化」,新曜社
「建築家ル・コルビュジエと建築史家ジークフリート・ギーディオンを中心に結成され、近代建築運動を牽引する役割を担った「近代建築国際会議」(CIAM)は、一九二九年にフランクフルトで開いた第二回会議のテーマを「生活最小限住居」(Die Wohnung fur das Existenzminimum)とした。そこにあるのは、本質を損なわないようにしつつ余分な要素をとり除き、不完全な部分を補強するという態度である。最小限住居の探求は、すなわち住居の本質をめぐる問いそのものであり、多くの野心的な建築家をひきつけてやまなかった。戦後間もない時期に池辺陽が発表した「立体最小限住居」(一九五〇年)がそうであったように、提示されてきたのは、核家族が私生活を営むための必要最低限の条件をそなえた建造物である(図1-1)」(p.4)

「黒沢隆[1968→1997]は、近代住宅の背後にある仮説として、「単婚家族が住む」「私生活の場」「夫婦の一体的性格」という三点を挙げ、その平面図は「(居間+夫妻寝室)+n×子供部屋」という定式で表現しうるとした。そこに住むと想定されているのは、賃金労働者としての夫、専業主婦としての妻、そして彼らの子どもである。
 核家族のための専用住宅を、純化された住居として理解するのが近代の常識である。つまり建築の概念としての「最小限住居」とは、最小限の専用住宅のことである。ここで注意しなければならないのは、それが、住居の純化の仕方のうちのひとつにすぎない――私たちの社会において圧倒的な力をもつものではあるものの――ということだ。」(p.5)
黒澤隆 1968 「個室群住居」→ 1997『個室群住居』すまいの図書館出版局

◆鈴木成史 20061204 『五一C白書――私の建築計画学戦後史』,住まいの図書館出版局,443p.
「「五一C」とは、太平洋戦争の終結後間もない一九五一年度の鉄筋コンクリート造公営住宅標準設計の一つの型の名称で、全国的に数多く建てられ、その後の公共住宅のモデルともなったものです。公営住宅とは国庫から建設費の補助が出て地方自治体が建設・経営する低家賃の公的な賃貸住宅で、県営住宅や市営住宅の類いです。
 今日でこそ社会的にあまり重視されていないかも知れませんが、戦後の疲弊し切った日本社会の甚だしい住宅難の中にあっては、公営住宅はいわば人びとの憧れの対象でした。その「五一C」型の原案を設計したのが東大の吉武泰水助教授(当時)の研究室で、私はその大学院生しかも入ったばかりの若造でしたが、この設計には青春の血を燃やして取組んだ想い出があります。これは当時吉武研究室において確立しようと模索していた建築計画学の実施への適用の試みであり、また住居計画・住宅設計としても多分に新しい理念に支えられたものでした。」(p.009)

◆早川和男 20091206 『早川式「居住学」の方法』,三五館,232p.
「戦前の建築学は、議事堂、博物館、オフィスビル、百貨店といったいわば支配権力や商業資本に奉仕する性格が強く、住宅を設計する場合でも、大邸宅を格式の象徴として芸術的にデザインするといったものが多かった。庶民の住宅を建築家が設計したり大学で研究するというようなことは皆無に近かった。
 第二次世界大戦中、工場で働く労働者のための住宅供給機関として住宅営団が設立され、西山先生はその研究部に就職された。当時国民は、"欲しがりません、勝つまでは"という軍国主義下のスローガンのもとで耐乏生活を強いられていた。建築学会でも、畳部屋の和室は食べたり寝たりと転用できるから住宅は最低限一室まで小さくできる、という住居水準の切り下げを合理化する説が有力者によって主張されていた。」(p.39)

 「これに対して、西山先生は多数の庶民住宅の生活実態調査を通じて、どのように小さな家でも食べるところと寝るところは分けて住んでいる、食事室と寝室の分離は庶民の住生活の秩序を保つ最低限の条件である、という「食寝分離論」を発表され、一躍有名になった。これは後の公営や公団住宅などのDK型の間取りにつながった。後年、西山先生はインタビューに答えて「あれは戦時下の住居水準切り下げへの抵抗理論であった」と語っておられる(大本圭野『証言・日本の住宅政策』日本評論社、一九九一年)」(p.39)

◆祐成保志 2008 「<住宅>の歴史社会学――日常生活をめぐる啓蒙・動員・産業化」,新曜社
「近代日<32<本において、広く普及し、定着した住宅様式は「中廊下形」「居間中心形」である。これらの住宅様式をはじめて定式化したのは建築史家、木村徳国[1958a][1958b][1958c][1959]である。彼は明治から昭和初期に至る日本の住宅関係の文献を網羅的に検討した結果、都市住宅の定番といえる「中廊下形」様式が、明治末に出現した比較的新しい様式であることをつきとめた。それは、南向きに居間や茶の間を置き、北向きに位置する台所などの水回りとの間に廊下を通した間取りを特徴とする。
 木村によれば、この様式は接客室と居住部分の分離、水回りと居室の分離、廊下による動線の処理といった点で一定の進歩を示している。それは、単なる在来工法の寄せあつめというよりは、住居の合理化を目指す人々によって意識的に考案された様式であった。もっとも、近世の武家住宅などから受けついだ続き間(連続した和室)に象徴される不十分な個室において限界をもっているという。
 一方、木村が称揚するのが大正期に登場した「居間中心型」である。この様式では家族共用の居間(食堂を含む)と個室(洋風寝室、子供室など)が明確に分離されている。戦前にはそれほど普及したわけではないが、戦後、民主化の機運のなかで団らんとプライバシーを尊重する核家族のための住宅として急速に一般化する。一九五〇年代に行なわれた木村の研究は、居間中心型様式のさらなる普及の立場から行なわれたものである。」(pp.31-32)

「近代家族論の視点から近代日本における住宅史を読みなおした西山[1990][1995a][1995b][1998]は、中廊下形住宅(西川はそれを「茶の間のある家」と呼ぶ)の成立と普及が、国民国家の構成単位としての近代家族というイデオロギーと密接な関係をもっていたと指摘する。[…]<33<。住宅を媒介に、国家という上位集団が家族という下位集団を統制し、また、家族が国家を下支えするという相互関係を描く。近代日本において、人々は「茶の間のある家」に暮らすことによって「国民」となった。住宅は国民を創出する装置とされる。」(p.32-33)


UP:1996 REV:...20080321, 20090830(山本 晋輔), 20091225(金城 美幸), 20100122, 20220408(村上 潔→), 09, 0512, 29, 0604, 16, 20, 22, 23, 0713, 16, 19, 20, 21, 0802, 03, 11, 12, 25, 0902, 10, 12, 16, 23, 24, 1005, 18
生存・生活  ◇バリアフリー/ユニバーサルデザイン/アクセス/まちづくり  ◇都市・空間・場所  ◇ホームレス/寄せ場
TOP HOME (http://www.arsvi.com)