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東日本大震災:学界・学会の対応
災害と障害者・病者:東日本大震災
last update:20121120
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立命館大学関連
(別頁)
◆2013/01/27 「震災と障害を持つ人びと」(与えられた仮題)
シンポジウム「東日本大震災とマイノリティ――高齢者・障害者・外国人などに関して問わなければならないこと」
主催:日本学術会議社会学委員会・社会学系コンソーシアム分科会/日本学術会議社会学委員会・震災再建分科会 共催:日本学術会議社会学委員会 於:日本学術会議大会議室(乃木坂)
◆2012/10/21 日本社会福祉学会 第60回秋季大会
震災特別企画シンポジウム「提言:生活の再建に向けた社会福祉学の役割」
【震災特別企画シンポジウム】(学会・開催校企画)
テーマ: 「提言:生活の再建に向けた社会福祉学の役割」
シンポジスト: 高橋 了 (石巻市渡波地域包括支援センター)
千管英理子(前大槌町地域包括支援センター) 高橋敏徳(釜石市民生委員協議会)
阿部祐二(東北福祉大学)
コーディネーター:都筑光一(岩手県立大学)
コメンテーター:岡部 卓(首都大学東京)※敬称略
◆2012/10/20
日本社会福祉学会 第60回秋季大会 大会記念講演「日本社会の再生と社会福祉学の役割-東日本大震災後の復興を通して日本社会の再生を考える-」
於:関西学院大学 上ヶ原キャンパス
◆2012/10/19
第46回京都歴史災害研究会「歴史地理学の観点による東日本大震災の復興支援-阪神淡路大震災を経験した神戸大学教員の発想-」
於:立命館大学 衣笠キャンパス
◆2012/10/12
国際言語文化研究所 秋季企画Ⅰ第1回 「ホロコースト・震災・詩」
於:立命館大学 末川記念会館 第3会議室
◆2012/09/02
日本社会学理論学会第7回大会シンポジウム「3・11以後の社会と理論」
於:立命館大学衣笠キャンパス
演題・パネラー(仮題)
「アクターの回帰とアクシオンの社会学」濱西栄司(ノートルダム清心女子大学)
「地域社会の再生に向けての仮題と方法 八ッ葉ダム問題を事例として」荻原優騎
「被災地における定住外国人の多重的アイデンティティ:グローガリゼーションとナショナリズム言説」(仮)郭基煥(東北学院大学)
コメンテイター:立岩真也(立命館大学)・宇城輝人(福井県立大学)
司会:樫村愛子(愛知大学)
◆2012/07/29
公開シンポジウム シリーズ 社会学から、東日本大震災を問い直す1 東日本大震災・再生への道程を問い直す~社会学と計画学との対話
於:東北大学川内南キャンパス
◆2012/07/21
家族問題研究学会シンポジウム「災害と家族 ―東日本大震災を考える」
於:早稲田大学文学部戸山キャンパス
◆2012/06/20 「特集II 災厄に向かう――阪神淡路の時、そして福島から白石清春氏を招いて 【特別企画トークセッション――障害学会第8回大会から】」
『障害学研究』8号
◆2012/05/27
関西社会学会シンポジウム「〈3.11以前〉の社会学――阪神淡路大震災から東日本大震災へ」
於:皇学館大学
◆2012/04/26
産業社会学会 東日本大震災連続フォーラム第2弾
於:仙台市福祉プラザ
◆2012/03/14
シンポジウム「東日本大震災の記録の収集と保存―震災アーカイブの構築に向けて」
於:国立国会図書館
◆2012/03/11
日本社会学理論学会研究例会「3・11以後の社会と理論」
於::立教大学・池袋キャンパス
◆2012/02/25
社会政策関連学会協議会シンポジウム「3.11から1年――社会政策がアプローチする復興」
於:明治大学駿河台キャンパス
◆2012/02/11
生物学史研究会 中川保雄『<増補>放射線被曝の歴史――アメリカ原爆開発から福島原発事故まで』合評会――放射線被曝の歴史をどう読み書くか
於:東京大学 駒場キャンパス14号館308号室
◆2011/12/12
早稲田大学社会科学学会シンポジウム2011「東北復興 ―歩き続ける道―」
於:早稲田大学 早稲田キャンパス 14号館2階201教室
◆2011/12/10
環境社会学会・日本社会学会(研究活動委員会) 研究例会「福島原発事故の被害とコミュニティ:避難者・受け入れ地域の調査から」
於:関西学院大学大阪梅田キャンパス K.G.ハブスクエア大阪 1005教室
◆2011/12/10
震災シンポジウム
社会貢献学会,於:神戸学院大学ポートアイランドキャンパス
◆2011/12/03
日本現象学・社会科学会 第28回大会 土曜シンポジウム「核と社会:原発リスクと社会的選択」
於:高千穂大学
◆2011/12/03
札幌学院大学総合研究所シンポジウム「震災を乗り越える社会情報学」
於:札幌学院大学 G館 SGUホール
◆2011/11/06
シンポジウム「東日本大震災に直面して」
日本医学哲学・倫理学会大会,於:東京大学(本郷キャンパス)
◆2011/10/30
シンポジウム「東日本大震災を地元メディアはどう伝えたか~来るべき南海トラフ巨大地震に備えて」
日本災害情報学会 第13回学会大会,於:名古屋大学
◆2011/10/22
日仏社会学会創立75周年記念 2011年度日仏社会学会大会 大会シンポジウム「リスク・不安・格差―3.11以後の社会を考える」
於:日仏会館
◆2011/10/08
地域社会学会 第2回研究例会
於:明治学院大学白金キャンパス
◆2011/10/01
災厄に向かう――阪神淡路の時、そして福島から白石清春氏を招いて
障害学会大会,於:名古屋
◆2011/09/18
第84回日本社会学会大会・研活テーマセッション(2)「東日本大震災を考える(2)――社会学からの提起」
日本社会学会,於:関西大学
◆2011/09/17
第84回日本社会学会大会・研活テーマセッション(1)「東日本大震災を考える(1)――社会学への問いかけ」
日本社会学会,於:関西大学
◆2011/09/03
科学・技術と社会の会創立23周年・『年報 科学・技術・社会』刊行20周年記念シンポジウム「東日本大震災・福島第一原発事故の投げかける問題にどう向き合うか」
科学・技術と社会の会,於:東京大学山上会館 大会議室
◆2011/07/31
自治体学会関東フォーラム「原発事故に立ち向かう」(7.31川崎)
於:川崎市産業振興会館ホール
>TOP
◆2011/04/01 明治学院大学国際平和研究所(PRIME)
「東北関東大震災に関する声明
◆
日本学術会議
東日本大震災への対応:
http://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/shinsai/shinsai.html
◇
東日本大震災に対応する第一次緊急提言(平成23年3月25日)
◇
日本学術会議緊急集会「今、われわれにできることは何か?」に関する緊急報告(平成23年3月21日)
◇
日本学術会議幹事会声明 東北・関東大震災とその後の原子力発電所事故について(平成23年3月18日)
■
各学会等
>TOP
■2011年4月1日 明治学院大学国際平和研究所
各位
明治学院大学国際平和研究所
「東北関東大震災に関する声明」送付のご案内
東北関東大震災ならびに福島第一原子力発電所事故の被害と余波はいまだ終焉の見込みが立っていません。当研究所は平和研究の機関として、こうした事態を前にして何らかの態度表明を行うべきであると考えます。所員・研究員・客員所員の協力を得て、声明をまとめましたのでお届けいたします。
予断を許さない状況のもと、被災された方々の一刻も早い立ち直りと、事態の終結を心から望むものであります。
なお、既にホームページにも掲載しておりますので、ご覧下さい。
http://www.meijigakuin.ac.jp/~prime/message/seimei/seimei_earthquake.html
2011年4月1日
明治学院大学国際平和研究所
所長 竹尾茂樹
〒108-8636東京都港区白金台1-2-37
Tel: 03-5421-5652 Fax: 03-5421-5653
URL: http://www.meijigakuin.ac.jp/~prime/
E-mail: prime@prime.meijigakuin.ac.jp
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明治学院大学国際平和研究所(PRIME)
東北関東大震災に関する声明
このたびの東北関東大震災の犠牲になられた多くの方々に追悼の意を表し、被災された皆様に対しお見舞い申し上げます。
私たち、明治学院大学国際平和研究所(以下PRIME)は、明治学院大学の学部組織から自律し、学外の研究者や市民活動家にも開かれた平和研究組織です。世界平和実現の条件を研究し、学内外の平和研究者、NGO・平和運動関係者と学際的交流を行うことを目的として、 1986年に設立されました。普遍的視点からの地域的研究、社会性あるいは
時代性のある研究、学際性の高い研究を重視しながら、平和の諸問題に取り組んできました。
私たちは、2011年3月11日に発生した東北関東大震災及び原発事故によって、この地域にすむ人々の生命・生活が著しく損なわれると同時に、社会全体の安定と多様性が危機にさらされていると認識しています。
1.安全地帯への避難を
福島第一原発で、放射性物質の流出が起こっています。今も、放射線にさらされながら周辺地域に多くの人々が取り残され、今後の推移によっては生命への危険も否定できない危機に瀕しています。迅速な避難策、特に乳幼児や妊婦、病人を、一刻も早く福島第一原発から遠く離れた場所に、コミュニティの絆に配慮しながら、避難させる必要性を強く認識します。政府や関係機関には、早急な対応を要望します。
2.正確な情報を
こうした事態についての関係諸機関の情報伝達は十分とは言えません。政府及び地方自治体は、生命の保全を第一とする正確な状況分析と情報開示をおこなうこと。被災の状況や、原発や放射性物質の流出をめぐる正確な情報を提供すること。以上を要求します。
3.差別なき支援を
その際に、地震、津波、放射能汚染に直面する人々が置かれている状況は、居住地域や、その人の年齢、性別、障害の有無、国籍の違い、来歴などによって異なり、個別の背景に応じて丁寧にケアしていく必要があります。
4、わたしたち大学は状況分析と提言を
市民社会は、「非常事態」や「自粛」の雰囲気に流されず、社会的に弱い立場の人々への目配りをし、少数意見への寛容性を失わずに、草の根のレベルで連帯と信頼を築く必要があると考えます。
私たちは、東北関東大震災と原発事故がもたらした深刻な危機は、経済的成長に専心し、格差を拡大し、環境を破壊し、弱者を切り捨ててきた近代日本社会のあり方と密接に結びついたものであると考えます。震災復興において生命と生活の保障とコミュニティの再生が急務です。このような社会の再建のために叡智を集める必要があります。その際には、経済成長に依存する社会のあり方を検討して、新たな生産と生活のあり方を模索する必要があります。私たちは、原子力発電への依存から脱却し、核のない社会を実現する決意です。こうした営みは、現存する政治や経済の仕組だけではなく、広義の研究や教育のあり方に対しても批判的な問い直しを必要とします。
5.開かれた言論と自由な批評を
大規模災害時の社会においては、被害の増大を食い止め、復興を進めるために、開かれた言論と自由な批評が保障されなければなりません。しかし、政府とメディアによる情報管理や、国民の一致団結を求める社会的風潮によって、自由な言論と批評が妨げられる危険があります。批評や批判を封殺することのない、開かれた議論と表現の場が必要です。
PRIMEは以上のような課題を解決する使命を負うと考え、人々の平和と安全を第一に尊重する立場から研究教育活動を進めていくことを宣言します。
2011年4月1日
明治学院大学 国際平和研究所(PRIME)
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>TOP
■日本学術会議
◆東日本大震災に対応する第一次緊急提言
平成23 年3 月25 日
日本学術会議東日本大震災対策委員会
○ 未曾有の大震災を受けて、地震・津波、原子力関連等の問題について、速やかに専門家を招いた公聴会を開催する等、国会での審議を通じて、国民の心配、疑問に応えるとともに、事態に対する国民の理解を深め、適切な行動の基盤を早急に整える。同時に、日本の対応について、国外の信頼・理解を得ることに努める。
○ 今回の大震災には、従来レベルの国あるいは現地行政だけの対策・体制では、短期の救済支援から災害復興まで、広汎かつ持続的な協力・提携項目に対応できない。国の総合的支援政策を推進するとともに、特に、自治体間の水平的連携の考え方に立ち、「ペアリング支援」(別紙参照)を講じることにより、真に求められる個別具体的な行動アイテムを双方が協議して進めることが期待できる。そのために、国は早急に法的整備を進め、全国知事会、全国市長会、全国町村会とともに体制を構築する。
○ 国民が、原子力災害と状況(放射能、水・食料汚染)に対する理解と信頼を深め、適切な行動を取るために、政府の公式プレス発表に合わせて、科学的・技術的背景説明、国民が取るべき行動の詳細など、適切な専門家による補足説明を行う体制を早急に整備する。
○ 原発施設外の環境モニタリングとそのデータの評価について、かねてから日本学術会議が提言してきたように、一元的かつ継続的な体制を至急構築する。その際、広く海外の専門家・専門機関の参画を得て、国民への信頼感の醸成と海外への科学的情報発信に努める。
別 紙
ペアリング支援とは
ペアリング支援とは、全国民の力を生かして被災地域の復興を支援する仕組みである。原義は中国語の「対口支援」であり、中国の四川大地震の復興で大きな役割を果たした。「対口」とは、ペアを組むという意味である。その内容は、次の5項目にまとめることができる。
1. 復興に向けて、被災地ではない特定の県、もしくは市町村(支援側)が、被災地の特定の自治体と協力関係を結び、互いに顔の見える持続的支援を行っていく。
2. 支援側は、それぞれの被災地の実情、考え方を踏まえて、人的支援、物資支援、避難所供給、復興まちづくり支援など、様々の支援を行う。
3. 国は、この支援に必要となる法の整備(地域復興支援法等)を行い、財源の手当てを行う。
4. 自治体間の組み合わせについては、総務省、全国知事会、全国市長会、全国町村会などが、これまでの蓄積を活かし、被災地の特定の自治体の規模、被災状況、課題、これまでの支援経過などを総合的に判断し、決定する。
5. ペアリング支援の期間は、3年間とする。被災した自治体は、支援自治体の協力を得て、早急に復興目標の策定を行い、その実現に向かってともに努力する。
http://www.scj.go.jp./ja/info/jishin/pdf/t-110325.pdf
>TOP
◆日本学術会議 緊急集会 「今、われわれにできることは何か?」に関する緊急報告
<会長からのメッセージ>
日本学術会議は、平成23年3月18日15:00~17:20に、日本学術会議講堂において、一般参加者も加えた表題の緊急集会を開きました。この集会は、同日に発出しました「日本学術会議幹事会声明」を受けて、日本学術会議が、一般市民の方々やメディア関係者の方々とともに、「今できること」について、喫緊の問題と、中長期的な問題との区別を意識しながら議論したものです。急に設定した集会でもありましたし、一般市民の方々への衆知も十分ではなかったこともありますので、集会における議論をここにまとめて「緊急報告」として発出することにしました。今後の日本学術会議の行動の方向性にも関わる提案もあり有意義な集会であったと理解します。一般市民の方々や集会に参加できなかった日本学術会議会員・連携会員の方々のこれからの議論と行動の参考にして頂ければ幸いです。
平成23年3月21日 日本学術会議会長 金澤一郎
<はじめに>
まず、この度の東北地方太平洋沖地震に基づく東日本大震災(以下東日本大震災)により犠牲となられた多くの方々に心から哀悼の意を表し黙祷を捧げ、被災されました方々に深くお見舞い申し上げるとともに、現場において身に迫る危険を顧みず不眠不休で事態の収拾、復旧、復興に当たっておられる方々に心から敬意を表しました。日本学術会議としては、この深刻な事態を目の当たりにして、また日本学術会議が科学者・技術者の立場から政府および国民に対して政策を提言する機能を持っている事を合わせて考え、社会に対して負う責務の大きさを改めて痛感し、科学の英知を結集して、社会の持続的な安全と生活の質の維持と向上に貢献する決意を表明しました。この決意表明は、総括的な決意として「幹事会声明」の中に述べてありますが、それに引き続いてこの「緊急集会」を開催し、科学者・技術者の立場から、具体的にどのような貢献ができるのか、について意見交換を行うことにした旨の説明を致しました。その際に集まった具体的な意見を以下にまとめてお示しします。なお、この緊急集会への参加者は、日本学術会議の会員・連携会員88 名、一般参加者60 名、マスコミ関係者42 名、計190 名でした。
<話題提供---共通認識のために>
1.田中俊一氏(元原子力委員会委員)
原子力発電所の現状について最悪のシナリオも含めて解説。水の注入が最大の課題であること、放射能測定をシステムに則って行うべきこと、特に原子力関係機関の総合力を活用したall Japan の体制が必要であること、などを強調。
2.宮川 清氏(東京大学大学院放射線分子医学教授)
漏出放射能の人体への影響について、放医研のHP を中心に解説。
<提案並びに決意表明>
1.【大災害への共通認識】
巨大地震、大津波、原子力発電所の放射能漏出という一連の出来事は、地域、組織、世代、分野を越えて、国民一人ひとりが、自らに関わる問題と受け止め、わが国全体の「緊急事態」であるということを共通に認識した。
2.【柔軟な対応の必要性】
従来から災害への対応のためには、平常の体制とは異なった緊急対応計画が組まれている。そして、今回もその計画に沿った措置が取られている。しかし、今回の大災害は、対応策を設定した時点での「前提」あるいは「想定」をはるかに超えたものであり、この事態に対して十分な効果を挙げることができない場面が見られる。これまでのしがらみを捨てて柔軟な緊急対応策を至急追加し、実施する必要がある。このことは、現時点の緊急課題に対しても、今後の諸課題に対しても必要である。
3.【直ちに構築するべき体制】
原子力発電所施設の事故対応、周辺地域と住民の方々の避難・医療・環境評価、また現場作業に従事している方々への措置などに関して、日本全体のみならず海外の知識と経験を活用することが必須であり、関係者・関係機関の総力をあげて対応する体制を構築する必要がある。そのために総理官邸、原子力安全・保安院、東京電力、原子炉メーカー、原子力安全委員会、原子力研究機構、大学および研究所、医療保健関係団体・機関などの英知と経験を、組織を越えて結集する仕組みを至急構築するべきである。日本学術会議としても、内外の科学者・技術者のネットワークを通じて、その協力体制の構築と運用に貢献する決意である。
4.【直ちに実行に移すべき行動】
①直ちにとりかかるべきこととして、政府との情報交換・対話、情報流通の橋渡しシステムの構築、災害沈静・被災者支援に有効な全国の資源の現地への結集などが挙げることができる。具体的方式としては、過去の大災害において効果を挙げた実績のある「被災地への対口支援方式の導入(市町村単位で特定の被災地を支援する方式)」を進めるべきである。
②原子力発電所の事故に対しては、各方面のエキスパートの意見を取り入れつつ、できる限りの措置が講じられてきたと考えるが、敷地外への放射能の拡散状況の下で、環境放射能の評価システムを用いた測定結果などを公表し、情報を国民と共有するべきである。正確な測定結果を含む情報を適切に公開することにより、安易な楽観視や過剰な危惧を抑制することができる。特に、風評被害が起こらないように十分配慮することが肝要である。
③被災地の現状は、住居はもとより、食料、飲料水、灯油、ガソリン、寝具、衣料、医薬品など、生活必需品の不足が明らかである。その原因にはいくつかの要素があろうが、様々な平時の規制によって食料、薬剤、ガソリンなど必要物資の運搬が行えなかったことがあったとされる。これらの点について、緊急対応のための「特別措置」をさまざまな場面で講じるよう強く要望する。
5.【科学者コミュニテイへの働きかけ】
既にいくつかの専門学協会で活動が始まっている。事実、日本学術会議の第三部(理学・工学部門)では、具体的な議論と行動が開始されている。しかし、日本学術会議は、この事態に対して人文・社会科学を含むあらゆる分野での経験に照らして、必要と考えることを、社会に向けて発信することを要請する。日本学術会議は、それら様々な活動の結節点になる決意である。
6.【教育研究体制への提案】
①大きな被害を受けた教育研究の組織・施設が多数にのぼるが、その救済と長期的な復興支援、当面4月の新学期からの学務スケジュールの柔軟な運用などを強く要望する。日本学術会議は、今後、教育研究現場の問題あるいはニーズを広く調査し、必要な行動を取る決意である。その中には、被災地における大学院生や任期付研究員等への配慮、研究資金の運用にあたっての柔軟な措置、学生のボランティア活動への配慮などもある。
②大災害によって、小・中学校および高等学校の4月からの新学期についても、様々な支障が生じることが予想される。臨機応変に対応するためには、平常時における数多くの「規制」に対しての柔軟な対応を強く要望する。
7.【復旧・復興への計画作成のための体制】
①復興に向けて、科学者・技術者の最重要使命は、災害に対する多くの観点からの科学的調査・分析とそれに基づく復興行動への助言である。特に復興計画作成への貢献が求められる。
②被災地や原子力発電所の現状からみると、事態の収拾、復旧および復興への活動にあたって、医療・保健、原子力、エネルギー、環境、食品、水利、土木・建築、運輸、経済、法律、行政、自治など、広い範囲や分野における科学技術の専門家集団の知識と経験が必須である。これには、省庁、組織、世代を超えて結集した国全体としての総合的な体制の整備が肝要である。
③長期的課題としては、日本のエネルギーの長期ビジョン、復興に向けた地域と日本全体の将来像のグランドデザインなどが含まれるであろうが、その他広く課題の発掘を行い、その対応について早急に計画を立てる必要がある。以上の諸課題の実行のために、日本学術会議は全力で協力する決意である。
8.【日本学術会議としての行動決意】
我が国が、このたびの大災害の被害から立ち上がり復興を果たし、再生日本を構築でき、その新しい日本の社会が持続的に安全で生活の質も向上し続けるために、日本学術会議はあらゆる方面において貢献する決意である。そのための具体的第一歩として、日本学術会議は「東日本大震災対策委員会」を設置し、会員・連携会員を中心として、日本のみならず世界の科学者・技術者から情報や提案を受けることとし、それらを適切にまとめた上で、効果的な発信を行い、行動する決意である。
-以上―
文責:日本学術会議会長(緊急集会の司会) 金澤一郎
サポート:JST 社会技術研究開発センター長 有本建男
(付)なお、この集会での上記のような個別の意見や提案のなかで、直ちに内閣に届けるべきと私が判断しました以下の2項目については、政府に3 月18 日中に届けましたことをご報告いたします。
1)日本全体の知恵と能力の活用福島原発の状況は深刻であり、その解決のためには、各省、各政府機関、研究機関、民間、専門家の能力が一元的に機能する体制の構築が必要である。(田中俊一氏の提言)
2)被災地への「対口支援方式」の導入このたびの被災地が余りに広範囲であることに鑑み、特定の被災地の市町村を、被災地以外の特定の市町村が支援する方式、すなわち「対口支援方式」の導入を提言する。これは、2008 年の中国四川省大地震の際に大きな成果を挙げた。(日本学術会議環境学委員会の提言)
日本学術会議会長 金澤一郎
http://www.scj.go.jp./ja/info/kohyo/pdf/k-110318.pdf
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◆日本学術会議幹事会声明 東北・関東大震災とその後の原子力発電所事故について
2011 年3 月18 日
平成23 年3 月11 日、三陸沖を震源地にマグニチュード9.0 の巨大地震が発生し、東北地方太平洋沿岸を中心に広い地域を襲った巨大な津波を誘発して、多くの方々の貴重な生命を奪いました。この未曾有の地震と津波の犠牲者の方々には、心からの哀悼の意を捧げます。食料、飲料水、寝具、医薬品など、緊急な救援物資さえ敏速には届かず、寒さと飢えと病いに苦しみ続ける被災者の皆様には、一刻も早く暖かい救助の手が届くこと、膨大な数にのぼる行方不明の方々も早急に発見され、家族と再会できることを、強く祈念せずにはいられません。不屈の闘志を持って被災者の救出活動に懸命に努力されている多くの方々には、心からの感謝の意を表します。また、海外から寄せられた暖かい連帯と激励の言葉並びに敏速な救援活動に対しても、厚くお礼を申し上げます。これら無償のご厚意にお応えするためにも、日本学術会議はこの惨状の克服に向けたあらゆる努力に協力する覚悟です。
そのためにも、今回の事態に照らして、災害の衝撃に対する日本の社会・経済システムの備えを厳しく点検しなおすこと、災害を予測・予防するために、学術がどこまで有効に貢献できるかを冷静に考えなおすことは、必要不可欠です。この再点検、再検討の作業は本格的な取り組みを要する中・長期的な課題ではありますが、現在も継続中の危機に有効に対処するために早急に必要な緊急作業も、決して少なくはありません。
第1に、我々が現在直面している最大の問題は、東京電力福島第一原子力発電所の原子炉から放射性物質の漏出が起こっている非常事態です。その原因の究明と再発防止への議論もさりながら、放射能漏出による国民生活や健康への被害を最小限に留めるための対策は、喫緊の重要性を持っています。原子力関係の科学者が、所属する省庁や研究グループの違いを超えて学術の《知》を結集して、少ない選択肢のなかで最善の選択がなされることを、心から願っています。
第2に、未曾有の災害に直面して国民が覚える不安感は、直面するリスクに関する正確な情報が、必ずしも的確に伝達されていないことに起因することが少なくありません。たとえ深刻な情報であっても―むしろ深刻な情報であればあるほど―正確に国民に伝えられるべきものです。そうであればこそ、事態の深刻さを冷静に踏まえた適切な行動を求める呼びかけは、人々を動かす力となるものだと思います。放射性物質の漏出問題はその適例であります。
第3に、今回の災害に対して、かつての阪神大震災の教訓を生かして社会・経済システムが設計されて、今回の自然災害に直面して有効に機能したかといえば、総量的には不足していない緊急な救援物資さえ被災者に敏速に届いていない事実が物語っているように、慄然とした思いを禁じ得ない実状にあります。津波による輸送網の破壊によって説明できる部分は限られていて、少なからぬ問題点はシステムの運用面に見いだされるというべきです。
これらの緊急の作業に関して、人文・社会科学を含む学術の全側面を代表する日本学術会議は、必要な助言を行う意思と能力を持っています。
日本の学術の担い手を結集する日本学術会議は、今回の災害が顕示した日本の社会・経済システムの脆弱性を謙虚に受け止め、その改善の方策を真摯に模索して、次代に安心して引き継ぐことのできる新しいわが国の社会を構築するために科学と技術を活用する方法を、社会に向けて説明する責任を自覚して行動します。
http://www.scj.go.jp./ja/info/kohyo/pdf/kohyo-21-kanji-2.pdf
http://www.scj.go.jp./ja/info/kohyo/pdf/kohyo-21-kanji-2e.pdf
(英文)
>TOP
■各学会等
◆日本災害情報学会 理事会からの提言
http://www.jasdis.gr.jp/00teigen2011/
◆日本社会心理学会 - 東北地方太平洋沖地震関連ページ
http://sites.google.com/site/jsspjishin/
◆日本心理学会 - 東北関東大震災関連ページ
http://www.psych.or.jp/jishinjoho/
◆日本リスク研究学会 災害対応特設サイト
http://311sra.ecom-plat.jp/
◆日本グループ・ダイナミックス学会 - 東北関東大震関連サイト
http://www.groupdynamics.gr.jp/gdshin/gdshin.htm
◆日本心不全学会災害用ブログ
http://blog.livedoor.jp/jhfs/
◆日本心理臨床学会・支援活動委員会 東北地方太平洋沖地震と心のケア
http://heart311.web.fc2.com/
◆日本トラウマティック・ストレス学会 大規模災害後の心理的支援について
http://www.jstss.org/info/info04.html
◆日本脳神経外科学会 阪神・淡路大震災からの教訓
http://jns.umin.ac.jp/kyoukun.html
◆日本産婦人科学会 妊婦受け入れ病院リスト・放射線の影響等に関する情報etc
http://www.jaog.or.jp/index02.html
◆日本小児科学会 放射性ヨウ素が測定された水道水摂取 に関する情報etc
http://www.jpeds.or.jp/tohoku-j.html
◆日本循環器学会 受け入れ可能施設リスト その他リンク集
http://www.j-circ.or.jp/shinsaitaisaku/saigaitaisaku_teian.htm → 震災対策室 終了(2011/09/11)
◆小児神経学会 災害時子どものメンタルケア 多数PDFあり
http://homepage2.nifty.com/jspp/jspp_website/JSPP_zai_hai_yong_gong_youfairu.html
◆日本都市社会学会 東日本大震災復興に向けた都市社会学の取り組むべき課題(提言)
http://urbansocio.sakura.ne.jp/teigen2011.doc
◆日本図書館研究会 - 図書館の災害復興、危機管理を扱った『図書館界』掲載文献
http://space.geocities.jp/nal_backup/kikikanri.html → 臨時サイト終了(2011/04/24)
◆京都大学医学研究科 健康障害の予防・治療に関する学術情報リソース提供
http://www.server-system.jp/resource/
◆日本小児科学会、日本周産期・新生児医学会及び日本未熟児新生児学会「「食品衛生法に基づく乳児の飲用に関する暫定的な指標値100Bq/キログラムを超過する濃度の放射性ヨウ素が測定された水道水摂取」に関する、日本小児科学会、日本周産期・新生児医学会、日本未熟児新生児学会の共同見解」
平成23 年3 月25 日
日本小児科学会
会長 五十嵐 隆
日本周産期・新生児医学会
理事長 田村正徳
日本未熟児新生児学会
理事長 戸苅 創
「乳児による水道水の摂取に係る対応について[平成23 年3 月21 日健水発第2 号厚生労働省健康局水道課長通知])」に基づき、乳児による水道水の摂取を控えるように各自治体から呼び掛けが行われています。そのため、各地域で、乳児のいる家庭、乳児を預かる保育所、乳児が入院する病院等で大きな混乱が起きています。しかしながら、この指標値は月あるいは年単位で摂取した場合に設定されたものです。したがって、短期間の摂取では、乳児であっても、健康に影響を及ぼす可能性は極めて低いと言えます。一方、乳児の水分摂取必要量は成人に比べて多いため、短期間であっても、水分摂取不足は重大な健康障害を起こします。このため、飲用水が確保できない場合には、水分摂取を優先させて下さい。なお、学会としては、当面の対応として以下のようなことを推奨します。
1)母乳栄養の児では、母親は制限なく食事を摂取し、母乳栄養を続けてください。
2)人工栄養の児では、ミネラルウォータを使用してミルクを調整することは可能ですが、煮沸し適温にしてから使用します。注1)一部の硬水では、粉乳が十分に溶解しないことがあります。また、硬水には多くのミネラルが含まれており、乳児に過剰な負担を与える可能性があります。この場合には、注2) 水道水を用いる方が安全です。
3)離乳食を摂取している乳児では、水分摂取は離乳食からも可能なので、人工乳の量を減らすことは問題ありません。
4)人工乳のみを摂取している児で、代用水が確保できない場合には、通常通り水道水を使用して下さい。
上記の注は日本学術会議による挿入です。以下をご覧下さい。
注1)一部の外国産のミネラルウォータは、硬水です。
注2)日本の水道水は、ミネラルが少ない軟水です。
http://www.scj.go.jp./ja/info/jishin/pdf/m-110325.pdf
UP:20110330 REV:20110330, 0514, 1230, 20120718, 1120
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