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尊厳死法制化を考える議員連盟

安楽死・尊厳死: 201220132014


cf.政治の問題ではなく死生観の問題、ではないこと
◇立岩 真也 2014/03/10 「やはり政治的争点であること――連載:予告&補遺・36」
 生活書院のHP:http://www.seikatsushoin.com/web/tateiwa36.html
◇立岩 真也 2014/03/03 「その時まで待て、と尊厳死法に言う+――連載:予告&補遺・35」
 生活書院のHP:http://www.seikatsushoin.com/web/tateiwa35.html

cf.「終末期」の扱いの問題性について
◇立岩 真也 2012/08/24 「私には「終末期の医療における患者の意思の尊重に関する法律案(仮称)」はわからない」
 『SYNODOS JOURNAL』http://synodos.livedoor.biz/archives/1968142.html『生死の語り行い・1』
◇立岩 真也 2012/04/27 「「終末期の医療における患者の意思の尊重に関する法律案(仮称)について」
 「尊厳死」法制化問題・学習会――障害者・患者が問いかけるもの 於:参議院議員会館
◇立岩 真也 2006/04/21 「初歩的なこと幾つか」『朝日新聞』2006/04/21朝刊→『希望について』

◆法案 第2案(未定稿)
 終末期の医療における患者の意思の尊重に関する法律案(仮称)
 http://mitomenai.org/bill

(趣旨)
第一条 この法律は、終末期に係る判定、患者の意思に基づく延命措置の中止等及びこれに係る免責等に関し必要な事項を定めるものとする。

(基本的理念)
第二条 終末期の医療は、延命措置を行うか否かに関する患者の意思を十分に尊重し、医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手と患者及びその家族との信頼関係に基づいて行われなければならない。
2 終末期の医療に関する患者の意思決定は、任意にされたものでなければならない。
3 終末期にある全ての患者は、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられなければならない。

(国及び地方公共団体の責務)
第三条 国及び地方公共団体は、終末期の医療について国民の理解を深めるために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

(医師の責務)
第四条 医師は、延命措置の中止等をするに当たっては、診療上必要な注意を払うとともに、終末期にある患者又はその家族に対し、当該延命措置の中止等の方法、当該延命措置の中止等により生ずる事態等について必要な説明を行い、その理解を得るよう努めなければならない。

(定義)
第五条 この法律において「終末期」とは、患者が、傷病について行い得る全ての適切な医療上の措置(栄養補給の処置その他の生命を維持するための措置を含む。以下同じ。)を受けた場合であっても、回復の可能性がなく、かつ、死期が間近であると判定された状態にある期間をいう。
2 この法律において「延命措置」とは、終末期にある患者の傷病の治癒又は疼痛等の緩和ではなく、単に当該患者の生存期間の延長を目的とする医療上の措置をいう。
3 この法律において「延命措置の中止等」とは、終末期にある患者に対し現に行われている延命措置を中止すること又は終末期にある患者が現に行われている延命措置以外の新たな延命措置を要する状態にある場合において、当該患者の診療を担当する医師が、当該新たな延命措置を開始しないことをいう。

(終末期に係る判定)
第六条 前条第一項の判定(以下「終末期に係る判定」という。)は、これを的確に行うために必要な知識及び経験を有する二人以上の医師の一般に認められている医学的知見に基づき行う判断の一致によって、行われるものとする。

(延命措置の中止等)
第七条 医師は、患者が延命措置の中止等を希望する旨の意思を書面その他の厚生労働省令で定める方法により表示している場合(当該表示が満十五歳に達した日後にされた場合に限る。)であり、かつ、当該患者が終末期に係る判定を受けた場合には、厚生労働省令で定めるところにより、延命措置の中止等をすることができる。

(延命措置の中止等を希望する旨の意思の表示の撤回)
第八条 延命措置の中止等を希望する旨の意思の表示は、いつでも、撤回することができる。

(免責)
第九条 第七条の規定による延命措置の中止等については、民事上、刑事上及び行政上の責任(過料に係るものを含む。)を問われないものとする。

(生命保険契約等における延命措置の中止等に伴い死亡した者の取扱い)
第十条 保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第三項に規定する生命保険会社又は同条第八項に規定する外国生命保険会社等を相手方とする生命保険の契約その他これに類するものとして政令で定める契約における第七条の規定による延命措置の中止等に伴い死亡した者の取扱いについては、その者を自殺者と解してはならない。ただし、当該者の傷病が自殺を図ったことによるものである場合には、この限りでない。

(終末期の医療に関する啓発等)
第十一条 国及び地方公共団体は、国民があらゆる機会を通じて終末期の医療に対する理解を深めることができるよう、延命措置の中止等を希望する旨の意思の有無を運転免許証及び医療保険の被保険者証等に記載することができることとする等、終末期の医療に関する啓発及び知識の普及に必要な施策を講ずるものとする。

(厚生労働省令への委任)
第十二条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

(適用上の注意等)
第十三条 この法律の適用に当たっては、生命を維持するための措置を必要とする障害者等の尊厳を害することのないように留意しなければならない。
2 この法律の規定は、この法律の規定によらないで延命措置の中止等をすることを禁止するものではない。

附 則
1 この法律は、○○から施行する。
2 第六条、第七条、第九条及び第十条の規定は、この法律の施行後に終末期に係る判定が行われた場合について適用する。
3 終末期の医療における患者の意思を尊重するための制度の在り方については、この法律の施行後三年を目途として、この法律の施行の状況、終末期にある患者を取り巻く社会的環境の変化等を勘案して検討が加えられ、必要があると認められるときは、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるべきものとする。

理 由
 終末期の医療において患者の意思が尊重されるようにするため、終末期に係る判定、患者の意思に基づく延命措置の中止等及びこれに係る免責等に関し必要な事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

◆法案 第1案(未定稿)
 終末期の医療における患者の意思の尊重に関する法律案(仮称)

(趣旨)
第一条 この法律は、終末期に係る判定、患者の意思に基づく延命措置の不開始及びこれに係る免責等に関し必要な事項を定めるものとする。

(基本的理念)
第二条 終末期の医療は、延命措置を行うか否かに関する患者の意思を十分に尊重し、医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手と患者及びその家族との信頼関係に基づいて行われなければならない。
2 終末期の医療に関する患者の意思決定は、任意にされたものでなければならない。
3 終末期にある全ての患者は、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられなければならない。

(国及び地方公共団体の責務)
第三条 国及び地方公共団体は、終末期の医療について国民の理解を深めるために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

(医師の責務)
第四条 医師は、延命措置の不開始をするに当たっては、診療上必要な注意を払うとともに、終末期にある患者又はその家族に対し、当該延命措置の不開始の方法、当該延命措置の不開始により生ずる事態等について必要な説明を行い、その理解を得るよう努めなければならない。

(定義)
第五条 この法律において「終末期」とは、患者が、傷病について行い得る全ての適切な医療上の措置(栄養補給の処置その他の生命を維持するための措置を含む。以下同じ。)を受けた場合であっても、回復の可能性がなく、かつ、死期が間近であると判定された状態にある期間をいう。
2 この法律において「延命措置」とは、終末期にある患者の傷病の治癒又は疼痛等の緩和ではなく、単に当該患者の生存期間の延長を目的とする医療上の措置をいう。
3 この法律において「延命措置の不開始」とは、終末期にある患者が現に行われている延命措置以外の新たな延命措置を要する状態にある場合において、当該患者の診療を担当する医師が、当該新たな延命措置を開始しないことをいう。

(終末期に係る判定)
第六条 前条第一項の判定(以下「終末期に係る判定」という。)は、これを的確に行うために必要な知識及び経験を有する二人以上の医師の一般に認められている医学的知見に基づき行う判断の一致によって、行われるものとする。

(延命措置の不開始)
第七条 医師は、患者が延命措置の不開始を希望する旨の意思を書面その他の厚生労働省令で定める方法により表示している場合(当該表示が満十五歳に達した日後にされた場合に限る。)であり、かつ、当該患者が終末期に係る判定を受けた場合には、厚生労働省令で定めるところにより、延命措置の不開始をすることができる。

(延命措置の不開始を希望する旨の意思の表示の撤回)
第八条 延命措置の不開始を希望する旨の意思の表示は、いつでも、撤回することができる。

(免責)
第九条 第七条の規定による延命措置の不開始については、民事上、刑事上及び行政上の責任(過料に係るものを含む。)を問われないものとする。

(生命保険契約等における延命措置の不開始に伴い死亡した者の取扱い)
第十条 保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第三項に規定する生命保険会社又は同条第八項に規定する外国生命保険会社等を相手方とする生命保険の契約その他これに類するものとして政令で定める契約における第七条の規定による延命措置の不開始に伴い死亡した者の取扱いについては、その者を自殺者と解してはならない。ただし、当該者の傷病が自殺を図ったことによるものである場合には、この限りでない。

(終末期の医療に関する啓発等)
第十一条 国及び地方公共団体は、国民があらゆる機会を通じて終末期の医療に対する理解を深めることができるよう、延命措置の不開始を希望する旨の意思の有無を運転免許証及び医療保険の被保険者証等に記載することができることとする等、終末期の医療に関する啓発及び知識の普及に必要な施策を講ずるものとする。

(厚生労働省令への委任)
第十二条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

(適用上の注意等)
第十三条 この法律の適用に当たっては、生命を維持するための措置を必要とする障害者等の尊厳を害することのないように留意しなければならない。
2 この法律の規定は、この法律の規定によらないで延命措置の不開始をすること及び終末期にある患者に対し現に行われている延命措置を中止することを禁止するものではない。

附 則
1 この法律は、○○から施行する。
2 第六条、第七条、第九条及び第十条の規定は、この法律の施行後に終末期に係る判定が行われた場合について適用する。
3 終末期の医療における患者の意思を尊重するための制度の在り方については、この法律の施行後三年を目途として、この法律の施行の状況、終末期にある患者を取り巻く社会的環境の変化等を勘案して検討が加えられ、必要があると認められるときは、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるべきものとする。

理 由
 終末期の医療において患者の意思が尊重されるようにするため、終末期に係る判定、患者の意思に基づく延命措置の不開始及びこれに係る免責等に関し必要な事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

◆2014年1月12日 朝刊 「尊厳死法案、提出へ 通常国会 延命中止を免責」
 東京新聞 2014年1月12日 朝刊
 http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014011202000129.html

 「超党派の国会議員でつくる「尊厳死法制化を考える議員連盟」(会長・増子輝彦民主党参院議員)は、終末期患者が延命措置を望まない場合、医師が人工呼吸器を取り外すなど延命措置を中止しても、法的責任を免責する「尊厳死法案」をまとめ、今年の通常国会に議員立法で提出する方針を固めた。 (城島建治)
 法案では、末期がんなどに侵され、適切に治療しても患者が回復する可能性がなく、死期が間近と判定された状態を「終末期」と定義。十五歳以上の患者が延命措置を望まないと書面で意思表示し、二人以上の医師が終末期と判定すれば尊厳死を認め、医師は刑事、民事、行政上の法的責任を問われないとした。
 意思表示の撤回はいつでも可能とし、本人の意思が確認できない場合は「法律の適用外」とした。
 議連は自民、民主、日本維新の会、公明、みんなの党など与野党の国会議員約百四十人で構成。二〇〇五年に発足し、尊厳死について議論してきた。
 自民党は昨年十二月に「尊厳死に関する検討プロジェクトチーム(PT)」を発足させ、法案が必要と判断。各党に四月までに議論を終えるよう要望する方針で、五月の国会提出を想定している。
 ただ、延命措置の中止は命の軽視につながるとして反対論も強く、成立は見通せない。議連は各党の理解を深める働き掛けを続け、党議拘束をかけない採決を目指す考えだ。
 終末期医療をめぐっては、厚生労働省が〇七年に初の指針を策定したが、法的責任を免責される延命中止基準を明確にしなかった。医療現場では、患者らが尊厳死を望んでも、法的責任を追及される可能性から延命措置を続ける傾向が強いとされる。」

◆尊厳死法制化を考える議員連盟・構成員(2014)

衆議院議員
(*は役員)
松本 純 自民*
後藤田正純 自民
相原史乃 生活
松崎公昭 民主
大畠章宏 民主*
笠 浩史 民主*
町村信孝 自民*
松浪健太 自民
太田和美 生活
長勢甚遠 自民
野田聖子 自民
徳田 毅 自民*
あべ俊子 自民*
森山 裕 自民
中川正春 民主
初鹿明博 民主
伊東良孝 自民
遠藤利明 自民
小里泰弘 自民
馳  浩 自民*
小宮山洋子 民主
田村憲久 自民*
中野渡詔子 生活
小林正枝 生活
鴨下一郎 自民*
平井たくや 自民
塩崎恭久 自民*
福田康夫 自民
村田吉隆 自民*
奥野総一郎 民主
石川知裕 大地
岡本充功 民主*
大野功統 自民
近藤和也 民主
田嶋 要 民主
石森久嗣 民主
森本和義 民主
平岡秀夫 民主
樽床伸二 民主
山尾志桜里 民主
森山浩行 民主
石井登志郎 民主
鳩山邦夫 無
森 喜朗 自民
河村建夫 自民
野田 毅 自民
高山智司 民主
大口善徳 公明
石田勝之 民主
石田真敏 自民
福島伸享 民主
川口 浩 民主
吉田統彦 民主
金子恭之 自民
山口俊一 自民*
池坊保子 公明*
筒井信隆 民主
柿澤未途 みんな
下村博文 自民
加藤紘一 自民
北村誠吾 自民
坂口岳洋 民主
田村謙治 民主
柴山昌彦 自民*
山本幸三 自民
室井秀子 民主
松岡広隆 民主
川越孝洋 民主*
瑞慶覧長敏 無
野田国義 民主
江渡聡徳 自民
津川祥吾 民主
磯谷香代子 民主*
岩屋 毅 自民
今村雅弘 自民
塩谷 立 自民
竹本直一 自民
中谷 元 自民*
参議院議員
(*は役員)
中村博彦 自民*
川口順子 自民
佐藤ゆかり 自民
山東昭子 自民
岸 宏一 自民
梅村 聡 民主
石井みどり 自民
桜内文城 みんな
谷川秀善 自民
大河原雅子 民主*
松あきら 公明*
熊谷 大 自民
広田 一 民主
櫻井 充 民主*
尾辻秀久 無
谷岡郁子 みどり
増子輝彦 民主*
水戸将史 民主
山本一太 自民
行田邦子 みどり
大野元裕 民主
長谷川岳 自民
小野次郎 みんな
磯崎仁彦 自民
古川俊治 自民
松野信夫 民主
森ゆう子 生活
岡田直樹 自民
山田俊男 自民
松下新平 自民
中川雅治 自民
西村まさみ 民主
上野通子 自民*
江口克彦 みんな*
津田弥太郎 民主
金子洋一 民主
藤原正司 民主*
山本順三 自民
加賀谷健 民主
西田昌司 自民
外山 斎 生活
荒木清寛 公明
森田 高 国民
野村哲郎 自民
加治屋義人 自民

◆2013/12/29 「尊厳死法案、現実味…自民PT、議論要請へ」
読売新聞 12月29日(日)13時57分配信
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131229-00000331-yom-pol

 「延命治療を希望しない終末期患者の治療を中止する「尊厳死」を認める法案を、来年の通常国会に提出しようという動きが与野党内で出ている。
 自民党の議員らが中心で、年明け以降、法制化に向けた議論が活発化しそうだ。ただ、尊厳死を認めるかどうかは倫理や死生観にかかわる難しい問題だけに、成立はまだ見通せない状況だ。
 自民党の「尊厳死に関する検討プロジェクトチーム(PT)」(座長・山口俊一衆院議員)は今月3日の初会合で、与野党各党に対し、来年4月までにそれぞれの党内の議論を終えるよう要請することを決めた。
 PTが土台としているのが、自民、公明、民主、日本維新の会、みんなの党など超党派で作る「尊厳死法制化を考える議員連盟」(会長・増子輝彦民主党参院議員)が昨年まとめた、尊厳死を認める法案(通称・尊厳死法案)だ。
 法案は、15歳以上の患者を対象に、書面などで意思表示(いつでも撤回可能)した場合、2人以上の医師が回復の見込みのない終末期との判定で一致すれば、延命治療を始めずに尊厳死を認める内容だ。医師は法的にも行政的にも責任を問われない。議連は、治療中の患者の延命措置を中止することも認める第2案もまとめている。
 尊厳死を法律で認めることには賛否両論があり、これまで法制化の動きは進んでいなかったが、安倍首相が今年2月の参院予算委員会で、尊厳死について「最期は尊厳を持って人生を終わりたいということが実現するよう、医者の側も安心して対応できるような仕組みを考えていきたい」と述べ、法制化に前向きな考えを示したこともあり、自民党などで法制化の機会を探る動きが出ていた。
 自民党のPTは、議連の法案を基に、各党の意見を取り入れた議員立法を来年の通常国会に提出し、採決時には各党で党議拘束を外すよう働きかける構えだ。2009年に成立した、脳死を「人の死」とすることを前提に臓器提供の年齢制限を撤廃する改正臓器移植法についても、共産党を除く各党は党議拘束をかけずに採決した。
 法案提出が現実味を帯びる中、日本弁護士連合会は「国民的議論が十分尽くされていない」などと主張し、反対を表明。障害者や難病患者の団体も法制化に反対している。」

◆2012 法案(↓)

◆2012/12/吉日 尊厳死法制化を考える議員連盟会長・増子輝彦→議員各位
 「「尊厳死法制化を考える議員連盟」へのご入会のご案内」(PDF)

◆2012/08/07 「尊厳死、法制化の動き 延命中止でも医師免責 「命切り捨て」と危惧も」
 共同通信2012/08/07

 「死期が近い患者が自らの意思で延命措置を望まず、自然な最期を迎える「尊厳死」。超党派の国会議員連盟(議連)が法制化の準備を進めている。議連の法案は、延命を中止しても医師の刑事責任などを問わない内容だ。歓迎の声もあるが、障害者団体などは「命の切り捨てにつながりかねない」と危惧している。
 ▽ジレンマ
 「できれば議員立法で今国会に法案を提出したい」。7月12日、国会内で開かれた「尊厳死法制化を考える議員連盟」の集会で、増子輝彦会長(民主党参院議員)はこう繰り返した。会場には車いすに乗った障害者や人工呼吸器を付けた難病患者の姿も。支援団体の代表らが「終末期や障害者の定義があいまいだ」「命の軽視が始まる」と慎重な議論を求めた。
 医療技術の高度化に伴い、死期が迫っても、呼吸器やペースメーカーなどの生命維持装置に頼れば、呼吸や血液循環を維持することは容易になった。一方で「自分の最期は自分で決め、人間としての尊厳を保ちたい」と願う人も少なくない。
 オランダや米・オレゴン州などでは薬物を使った「安楽死」まで認めた法律もあるが、日本では尊厳死の手続きなどを明確に定めた国の指針や法律はない。患者の希望を尊重したい、しかし人工呼吸器を取り外すなどした場合、医師が刑事責任を問われかねない―。議連はこうしたジレンマを打開しようと、2005年から法制化を検討してきた。
 ▽中止と不開始
 法案は終末期を「適切な医療でも回復の可能性がなく、死期が間近と判定された状態」と定義。患者本人が書面などで尊厳死を望む意思を示している場合に限定し、2人以上の医師による判定を条件とした。尊厳死に関与した医師は「刑事、民事、行政上の責任を問われない」とも明記した。
 具体的な医師の行為については二つの案がある。議連は当初、人工呼吸器装着や栄養補給などの延命措置を新たに開始しない、とした法案(第1案)を起草した。
 しかし「現に行われている延命措置の中止にまで踏み込まなければ法制化の意味がない」との意見も根強く、人工呼吸器取り外しなど、より積極的な延命中止を規定した第2案も取りまとめた。
 議連は、09年に4案を並べて審議した改正臓器移植法のように2案とも国会に提出し、各議員の判断で投票してもらう考えだ。
 ▽尊厳ある生を
 法制化を強く求めてきた「日本尊厳死協会 」の会員は現在、12万人を超えた。会員は延命拒否の意思を明記した「尊厳死の宣言書」に署名し、いざという時は医師に提示する。長尾和宏副理事長は「現状では患者の意思が明確でも希望がかなえられないことが多い。法律ができれば患者も医師も安心できる」と話す。
 一方、人の生死を法律で規定することには反発もある。人工呼吸器が不可欠な子どもたちの親でつくる「バクバクの会 」の大塚孝司会長(63)は「命の自己決定という聞こえの良い言葉の裏で、社会的立場の弱い人々が切り捨てられ、生きにくい世の中になっていくのではないか」と懸念する。
 議連もこうした声に配慮、障害などで意思表示が難しい患者は除外し「障害者の尊厳を害することのないよう留意しなければならない」との条文を法案に設けた。
 全国88の障害者団体を束ねる「DPI(障害者インターナショナル)日本会議」の尾上浩二事務局長(52)は「尊厳死の在り方以前に、尊厳ある生をいかに保障するか。立法府で話し合うべきことは、むしろそちらではないか」と訴えている。(共同通信 土井裕美子)」(全文)

◆2012/08/03 NPO法人医療的ケアネット→尊厳死法制化を考える議員連盟 「「終末期の医療における患者の意思の尊重に関する法律案(仮称)」に関する声明」

◆「延命措置の中止 免責に 尊厳死議連 新法案」
 『東京新聞』2012年7月31日 朝刊

 「超党派の国会議員でつくる「尊厳死法制化を考える議員連盟」(増子輝彦会長)は、終末期患者が延命措置を望まない場合、医師が人工呼吸器の取り外しなど「現に行っている延命措置を中止」しても、法的責任を免責される法案を新たにまとめた。既にまとめている法案とともに三十一日の総会で正式決定し、議員立法で今国会への提出を目指す。
 議連は今年三月、栄養補給や人工呼吸器装着など延命措置を医師がしなくても、法的責任を免責される法案をまとめた。しかし、医療現場から「患者と家族が尊厳死を望んでも(既に延命措置を始めているケースで)中止できないなら意味がない」との意見が相次ぎ、より踏み込んだ内容の法案もまとめた。
 議連は、二〇〇九年に四案を並べて審議した改正臓器移植法のように二法案とも国会に提出し、各議員の判断で投票してもらう考えだ。
 二法案では、適切に治療しても患者が回復する可能性がなく、死期が間近と判定された状態を「終末期」と定義。十五歳以上の患者が延命措置を望まないと書面で示し、二人以上の医師が終末期と判定した場合、刑事、民事、行政上の法的責任を問われないと明記した。
 本人の意思が確認できない場合は「法律の適用外」とした。
 議連は民主、自民、公明など与野党の国会議員約百十人で構成。二〇〇五年に発足し、尊厳死について議論してきた。
 終末期の医療をめぐって、厚生労働省は〇七年に初の指針を策定したが、法的責任を免責される延命中止基準を明確にしなかった。医療現場からは患者と家族が尊厳死を望んでも、刑事責任を追及される可能性があるとして、延命措置をするしかないとの指摘が出ている。(城島建治)」(全文)

◆「延命措置の中止 免責に 尊厳死議連 新法案」
 『東京新聞』2012年7月31日 朝刊

◆2012/07/12 「終末期における患者の意思の尊重に関する法律案(仮称)修正案について〜疑問と要望〜」
 DPI(障害者インターナショナル)日本会議 議長 三澤 了

◆2012/07/12 「改めて尊厳死の法制化に強く反対します」
 人工呼吸器をつけた子の親の会(バクバクの会) 会長 大塚 孝司

◆2012/07/12 「尊厳死法制化反対の意見書」
 TILベンチレーターネットワーク 呼ネット 代表 小田 政利

◆2012/04/06 「尊厳死法制化に対する反対意見書」
 TILベンチレーターネットワーク 呼ネット 代表 小田 政利

◆2012/06/07- 「終末期の医療における患者の意思の尊重に関する法律案」の国会上程 に反対の呼びかけ人・賛同者募集
 http://www.kaigoseido.net/3.htm
 仮事務局:全国障害者介護保障協議会内尊厳死法案反対連絡会事務局

◆2012/07/03 「高齢者やALS(筋萎縮性側索硬化症)患者が安心して日常生活を送るために」
 主催:東京弁護士会 [MS Word版広告]
 http://www.toben.or.jp/know/iinkai/koureisyougai/news/20120528.html  資料用原稿(立岩)

◆2012/05/31 「呼吸器取り外しも可能に 超党派議連の尊厳死法案」
 産経新聞社 http://sankei.jp.msn.com/life/news/120531/trd12053122420024-n1.htm

 「超党派の「尊厳死法制化を考える議員連盟」(会長・増子輝彦民主党参院議員)は31日、議員立法での国会提出を準備している尊厳死に関する法案の原案を修正し、免責対象となる医師の行為を、人工呼吸器の取り外しなど「現に行っている延命治療の中止」に拡大する方針を決めた。
 これまでは「新たな延命治療の不開始」に限っていた。がんなどで終末期にある患者本人が尊厳死を望む意思を表示している場合で、2人以上の医師の判断を条件とする点は変わらない。
 議連は6月6日に総会を開き、修正案を公表する予定。障害者団体や医療関係者、弁護士らの意見を聞いてさらに検討を続け、今国会か次期臨時国会での法案提出を目指す。ただ生命倫理にかかわるため、各党には反対の議員も多く、提出や成立の見通しは不透明だ。」(全文)

◆尊厳死法制化を考える議員連盟 2012/03/22 「尊厳死法制化を考える議員連盟総会 次第」,於:衆議院院第2議員会館第1会議室 [PDF]


◆尊厳死法制化を考える議員連盟 2012/03/22 「終末期の医療における患者の意思の尊重に関する法律案(仮称)」 [PDF]

◆長尾 義明(日本ALS協会 会長) 2012/03/19 「『終末期の医療における患者の意思の尊重に関する法律案(仮称)』に関する意見表明」 [PDF]

◆尊厳死法制化を考える議員連盟 2011年12月8日総会資料 WORD版 〔外部リンク〕画像PDF版 名簿EXCEL


8/10現在
自民 27 18 45
民主 25 13 38
公明 2 1 3
みんな 2 1 3
無所属 1 1 2
57 34 91

 会長   参 増子輝彦(民主)
 副会長  衆 大畠章宏(民主)
      〃 鴨下一郎(自民)
 幹事長  〃 山口俊一(自民)
 事務局長 〃 あべ俊子(自民)
 幹事   参 櫻井 充(民主)
      衆 松崎公昭(民主)
      〃 小宮山洋子(民主)
      〃 岡本充功(民主)
      〃 川越孝洋 (民主)
      〃 磯谷香代子(民主)
      〃 松本 純(自民)
      〃 町村信孝(自民)
      〃 徳田 毅(自民)
      〃 塩崎恭久(自民)
      〃 柴山昌彦(自民)
      〃 中谷 元(自民)
      〃 池坊保子(公明)
      参 大河原雅子(民主)
      〃 津田弥太郎(民主)
      〃 藤原正司(民主)
      〃 中村輝彦(自民)
      〃 上野通子(自民)
      〃 江口克彦(みんな)


●議連名簿
尊厳死法制化を考える議員連盟

○参議院新第一議員会館
※松本純 自民 302
 後藤田正純 自民 315
 相原史乃 民主 321
※松崎公昭 民主 323
※大畠章宏 民主 406
 笠浩史 民主 408
※町村信孝 自民 410
 松浪健太 自民 414
 太田和美 民主 416
 野田聖子 自民 504
※徳田毅 自民 513
※あべ俊子 自民 514
 森山裕 自民 515
 初鹿明博 民主 524
 小里泰弘 自民 811
 馳浩 自民 812
※小宮山洋子 民主 813
 小林正枝 民主 1013
※鴨下一郎 自民 1023
 平井たくや 自民 1024
※塩崎恭久 自民 1102
 福田康夫 自民 1103
 奥野総一郎 民主 1119
※岡本充功 民主 1206
 大野功統 自民 1211

○参議院新第2議員会館
 樽床伸二 民主 207
 山尾志桜里 民主 217
 森山浩行 民主 219
 石井登志郎 民主 220
 鳩山邦夫 無 221
 森喜朗 自民 301
 河村建夫 自民 302
 高山智司 民主 304
 大口善徳 公明 308
 石田勝之 民主 310
 福島伸亨 民主 316
 川口浩 民主 323
※山口俊一 自民 412
※池坊保子 公明 501
 筒井信隆 民主 506
 柿澤未途 みんな 611
 渡辺喜美 みんな 613
 加藤紘一 自民 701
 北村誠吾 自民 714
 田村譲治 民主 817
※柴山昌彦 自民 822
 山本幸三 自民 915
 室井秀子 民主 917
 松岡広隆 民主 919
※川越孝洋 民主 922
 江渡聡徳 自民 1021
 津川祥吾 民主 1202
※磯谷香代子 民主 1203
 岩屋毅 自民 1209
 今村雅弘 自民 1210
 竹本直一 自民 1221
※中谷元 自民 1222

○参議院新議員会館
※中村博彦 自民 304
 川口順子 自民 308
 佐藤ゆかり 自民 309
 山東昭子 自民 310
 岸宏一 自民 315
 梅村聡 民主 324
 谷川秀善 自民 412
※大河原雅子 民主 417
 熊谷大 自民 423
 広田一 民主 507
※櫻井充 民主 512
 尾辻秀久 無 515
 谷岡郁子 民主 524
※増子輝彦 民主 602
 水戸将史 民主 604
 山本一太 自民 609
 長谷川岳 自民 619
 古川俊治 自民 718
 森ゆう子 民主 805
 山田俊男 自民 809
 松下新平 自民 824
 中川雅治 自民 904
 西村まさみ 民主 909
※上野通子 自民 918
※江口克彦 みんな 1002
※津田弥太郎 民主 1006
※金子洋一 民主 1014
※藤原正司 民主 1016
 山本順三 自民 1019
 西田昌司 自民 1110
 外山斎 民主 1112
 荒木清寛 公明 1115
 野村哲郎 自民 1120
 加治屋義人 自民 1219

●尊厳死法制化を考える議員連盟総会(2011年12月8日)
 衆議院院第一議員会館多目的ホール 9:30〜
 次第
 1 開会
 1 会長挨拶
 1 議事
  「終末期の医療における患者の意思の尊重に関する法律案(仮称)」について
  ・衆議院法制局により説明聴取(5分)
  ・日本医師会より意見聴取(5分)
   陪席 厚生労働省
 ・意見交換(30分)
 その他、次回日程について
 閉会

●延命措置の差控えの流れ(イメージ図)
 〔省略:wordに図あり〕

●「終末期の医療における患者の意思の尊重に関する法律案(仮称)」
制度設計比較表

1 各案の内容

この法律の対象となる延命措置 本人の意思が不明な場合の取扱い
A案 新たな延命措置の不開始 この法律の対象としない
B案 新たな延命措置の不開始 家族の同意で代替
C案 新たな延命措置の不開始+現に行われている延命措置の中止 この法律の対象としない
D案 新たな延命措置の不開始+現に行われている延命措置の中止 ・新たな延命措置の不開始については、家族の同意で代替 ・現に行われている延命措置の中止については、本人の意思が不明な場合には、この法律の対象としない
E案 新たな延命措置の不開始+現に行われている延命措置の中止 家族の同意で代替

2 各案のあてはめ 

□…新たな延命措置を開始せず、又は現に行われている延命措置を中止することができる
  →この法律に基づき、民事上・刑事上・行政上・免責される
 
□…この法律の対象としない
  →民事上・刑事上・行政上の責任が発生するか否かは、個々具体的に判断される

新たな延命措置の不開始 現に行われている延命措置の中止
本人の希望+家族が拒まない/いない ・本人の意思が不明
・家族の同意
本人の希望+家族が拒まない/いない ・本人の意思が不明
・家族の同意
現状
A案
B案
C案
D案
E案

●第3案(最新版)'11.11.24


終末期の医療における患者の意思の尊重
に関する法律案(仮称)骨子(未定稿)


第一 基本的理念
 終末期の医療は、延命措置を行うか否かに関する患者の意思を十分に尊重し、医師その他の医療の担い手と患者との信頼関係に基づいて行われなければならないものとすること。

第二 趣旨
 この法律は、終末期の判定、延命措置の差控え及びこれに係る免責等に関し必要な事項を定めるものとすること。

第三 定義
 一 終末期

 この法律において「終末期」とは、患者が、傷病について行い得る全ての適切な治療を受けた場合であっても回復の可能性がなく、かつ、死期が間近であると判定された状態にある期間をいうものとすること。
 二 延命措置
 この法律において「延命措置」とは、終末期にある患者の傷病の治癒ではなく、単にその生存期間の延長を目的とする医療上の措置(栄養補給又は水分補給の措置を含み、現に当該患者に対して行われている措置を除く。)をいうものとすること。

第四 延命措置の差控え等
 一 医師の説明責任

 医師は、延命措置を差し控えようとするときは、診療上必要な注意を払うとともに、終末期にある患者又はその家族(事実上家族と同様の事情にある者を含む。以下同じ。)に対し、延命措置の差控えにより生じる事態等について必要な説明を行わなければならないものとすること。
 二 延命措置の差控え
 医師は、患者が延命措置の差控えを希望する意思を書面その他の厚生労働省令で定める方法により表示している場合(当該意思の表示が満15歳に達した日後においてなされた場合に限る。)であり、かつ、第三の一の判定(以下「終末期の判定」という。)が行われた場合であって、その旨の告知を受けた当該患者の家族が延命措置の差控えを拒まないとき又は当該患者に家族がいないときは、厚生労働大臣が指針で定めることにより、延命措置を差し控えることができるものとすること。
 三 終末期の判定
 終末期の判定は、これを的確に行うために必要な知識及び経験を有する二人以上の医師(当該終末期の判定が行われた場合に当該患者に対する延命措置を差し控えることとなる医師を除く。)の一般に認められている医学的知見に基づき行う判断の一致によって、行われるものとすること。
 四 免責
 二に基づく延命措置の差控えについては、民事上、刑事上及び行政上の責任を問われないものとすること。

第五 延命措置の差控えに伴い死亡した者に関する生命保険契約上の取扱い
 生命保険会社等を相手方とする生命保険契約その他これに類するものとして政令で定める契約における延命措置の差控えに伴い死亡した者の取扱いについては、その者を自殺者と解してはならないものとすること。ただし、当該者の傷病が自殺を図ったことにより生じた場合には、この限りでないものとすること。

第六 その他
 一 施行期日

 この法律は、○○から施行するものとすること。
 二 検討
 終末期の医療における患者の意思を尊重するための制度の在り方については、この法律の施行後3年を目途として、この法律の施行の状況、終末期にある患者を取り巻く社会的環境の変化等を勘案して検討が加えられ、必要があると認められるときは、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるべきものとすること。


UP:2012 REV: 20120125, 20140112, 20140317
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