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「終末期における患者の意思の尊重に関する法律案(仮称)修正案について〜疑問と要望〜」

 DPI(障害者インターナショナル)日本会議 議長 三澤 了 20120712

last update:20120712

尊厳死法制化を考える議員連盟
   会長 増子 輝彦 様

2012年7月12日

終末期における患者の意思の尊重に関する法律案(仮称)修正案について
〜疑問と要望〜

DPI(障害者インターナショナル)日本会議
議長 三澤 了

 私たちDPI(障害者インターナショナル)日本会議は、障害種別を超えた当事者主体の88団体が加盟し、1986年の結成以来、自立と社会参加、権利保障を確立するための活動を進めてきています。近年は2006年に国連で採択された障害者権利条約の批准に向けて、内閣府に設置された障がい者制度改革推進会議などを通じて、さらにその取組みを強化してきました。とりわけ、どんなに重度の障害があっても地域での自立した生活の権利の実現を目指して活動を進めています。
 今回、発言の機会を頂きありがとうございます。

 障害があっても他の人々と同等の、当たり前の暮らしが出来ること、重い病気であっても、必要な医療や介護を受けながら、その人らしい尊厳ある生を保障することこそが、国の責任ではないでしょうか。
 しかしながら、これまでの歴史上、障害者は生存を脅かされ、厳しい差別と偏見、排除の中で過酷な生活を強いられてきました。21世紀の今日においてさえ、障害者の人権が確立したとは到底言える状況ではありません。また、これらの歴史に対する検証・総括もなされていません。そうした中、人間の生死に関わる重大な法制度が、国会に上程されようとしていることはとても認められものではありません。

 今回、あらためてお示し頂いた案に対して、以下、疑問と意見を述べさせて頂きます。


●10の疑問
1.修正案2において、「延命措置の中止」も含めるとされていますが、3月のたたき台から変更した経緯を詳しく教えてください。
2.二つの修正案が示されていますが、議員連盟としてはどちらを採用しようと考えているのですか。
3.患者の意思の確認方法について、具体的にはどのように行うと考えていますか。
4.終末期の定義について、「死期が間近」と規定していますが、具体的にはどのような状態をさすのでしょうか。尊厳死協会の長尾副理事長も「終末期を定義することは困難」と発言されていますが、確実な判定は可能であるとお考えですか。【資料1 医療介護CBニュース】
5.現在の制度においては「医師の免責」は認められていないのでしょうか。
6.患者の意思の撤回はいつでも出来るとなっていますが、具体的にはどのような方法で行われるとお考えでしょうか。
7.国及び地方公共団体が、延命治療の不開始に関して国民への啓発を行うよう求めていますが、不開始は望ましいことであり、延命治療を行うことはそうではないとの考え方に基づくものでしょうか。不開始への誘導ではないかと思われますが、いかがでしょうか。
8.障害者等への配慮規定が盛り込まれましたが、ここでいう「障害者等」とは誰を示しているのでしょうか。現在、身体障害者手帳保持者のうち6割以上が高齢者ですが、何か区分けがされるのでしょうか。【資料2 障害者白書より】
9.第13条で示されている「生命維持のための必要な措置」と第5条でいう「延命措置」とは異なるものでしょうか。共通する内容もあるとお考えでしょうか。
10.現在、人工呼吸器、人工透析、人工栄養などによって、生活を営んでいる人々にとって、今回の法案がどのような影響を与えるとお考えでしょうか。


●要望
1.今回の法案(修正案も含む)は、人の生死に関わる重大な内容であるにもかかわらず、十分な議論が行われたとはいえません。まずは法案を撤回し、医療や福祉を必要とする多くの人々と真摯に向き合い、議論を重ねてください。

2.重い障害があっても、寝たきりになっても住み慣れた地域社会の中で暮らし続けることが出来るような、医療、福祉等の施策を拡充してください。

3.2009年に設置された障がい者制度改革推進会議、並びに同差別禁止部会で、「不幸な子どもの生まれない県民運動」や「優生保護法(1996年まで不良な子孫の出生防止規定・存続)」の問題が、ようやく取り上げられてきました。こうした優生思想に基づく歴史に関する検証・謝罪の取り組みを、国会が率先して行って下さい。【資料3 障がい者制度改革推進会議・差別禁止部会資料より】

◆資料1 尊厳死法案、「終末期」の定義めぐり激論 - 医療介護CBニュース
 キャリアブレイン医療介護ニュース  ( 2012年07月04日 18:04)


 尊厳死法案、「終末期」の定義めぐり激論- 都内で公開討論会 超党派の国会議員連盟が検討している「尊厳死法案」をテーマにした公開討論会(東京弁護士会主催)が3日、東京都内で開かれた。討論会では、同法案で規定されている「終末期」の定義をめぐって、医師や患者会などの間で激しい議論となり、今後の死生観にも影響を与える法制化の難しさが改めて浮き彫りとなった。
 尊厳死法案をめぐり、激しい議論が繰り広げられた討論会(3日、東京都内) 同法案では、「行い得る全ての適切な医療上の措置を受けた場合であっても、回復の可能性がなく、かつ、死期が間近であると判定された状態にある期間」を終末期と定めており、「医療上の措置」については、栄養補給など生命維持のための行為も対象としている。

 この日の討論会には、医師の立場から、法制化を推進する日本尊厳死協会の長尾和宏副理事長と、医療法人社団悠翔会の佐々木淳理事長の2人が参加した。
 終末期の定義について長尾副理事長は、「医学的に定義することは困難だが、末期はある。それは死んでからしか分からない。家族と医師との信頼関係が前提となっている」と指摘。医学会のガイドラインは周知されないとして、あくまで法制化が望ましいとの考えを示した。
 また、佐々木理事長は、「末期がいつかは、医師と患者さん、ご家族が話し合って決める問題だと思う」とした上で、「尊厳死もリビング・ウィルも、法制化をしなくても既にできている。法律を作ったとしても、患者さんとご家族と医師の三者のインフォームド・コンセントがきちんとできなければ、尊厳死は絶対に実現しない」と述べ、法制化に反対の立場を示した。

 一方、患者会や障害者団体からは、同法案への批判が相次いだ。障害者団体「DPI日本会議」の尾上浩二事務局長は、「適切な医療上の措置」や「回復の可能性がない」など、言葉の定義が不明確とし、法制化に反対する考えを強調。また、難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者らでつくる「日本ALS協会」の川口有美子理事は、「ALSの患者が呼吸器麻痺になった段階で、必ず呼吸器を着けることにつながらないか」と指摘。ALS患者の7割が人工呼吸器を着けずに亡くなる現状があることなどから、ALSを「終末期」の対象外とするよう求めた。
 長尾副理事長は、「障害を持っている方の人工呼吸器も胃ろうも福祉用具だ」とし、人工呼吸器の装着を選択したALS患者は「終末期」には当てはまらないとの認識を示した上で、リビング・ウィルの効力を法的に担保する必要があるとの考えを強調した。

 議連では現在、15歳以上の終末期の患者に対する延命措置について、経管栄養や人工呼吸器の装着など、新たに延命措置を実施しないとする「不開始」を対象とした「第1案」と、現在行われている措置の「中止」も含めた「第2案」を検討。いずれも、書面での患者の意思表示などを前提に、医師の免責規定が盛り込まれている。【敦賀陽平】

◆資料2 図表1-7 年齢階層別障害者数の推移(身体障害児・者・在宅) PDF


*作成:
櫻井 悟史
UP: 20120712 REV:
全文掲載  ◇安楽死・尊厳死 euthanasia / death with dignity 2012 
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