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そもそも難病って?だが、それでも難病者は(ほぼ)障害者だ

立岩 真也 2014/10/24
難病の障害を考える研究集会
http://www.sakura-kai.net/wp/wp-content/uploads/4365fa0acc4dfcf6291f6ee6aed051421.pdf

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難病・2014難病

◆cf.http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000060223.html

 「指定難病検討会において、これまでに研究班等が整理した情報を基に、医学的見知より、個々の疾病について指定難病の各要件を満たすかどうかの検討を行うとしています。なお、指定難病とされるためには、「発病の機構が明らかでない」「治療方法が確立していない」「長期の療養を必要とする」「患者数が人口の0.1%程度に達しない」「客観的な診断基準等が確立している」の5要件を満たすことが必要です。また、この指定難病検討委員会の検討の結果は、厚生科学審議会疾病対策部会に報告することとなっております。」(田中課長補佐 2014年8月27日 第1回障害者総合支援法対象疾病検討会議事録より)

「難病」 /◆「難病」・2014

■そもそも「難病」が?であることについて→「難病」?:一部引用

◇難病(nambyo)とはまずは「治りにくい病気」といった意味の日常語であり、医学用語としての定義があるわけではない。(治りにくい病気の中でも、数の多いもの、その機序がある程知られている場合には、「難病」と名指されない場合があるが、それは下記する「行政用語としての難病」の存在によるところがあるかもしれない。)

◇他方、この語は――日常語の意味を引き継いだ――政策・行政上の用語として使われてきた。
 1972年の『難病対策要綱』によると、
「1.原因不明、治療方法未確立であり、かつ、後遺症を残すおそれが少なくない疾病 2.経過が慢性にわたり、単に経済的な問題のみならず介護等に著しく人手を要するために家庭の負担が重く、また精神的にも負担の大きい疾病」
とされている。
 さらに、「難治性疾患克服研究事業」には「難治性疾患克服研究事業の臨床調査研究分野対象疾患」と、「特定疾患治療研究事業対象」とされる「特定疾患」が規定されている。「難病指定を求める」などと言われる際には、難病とは、この事業の対象、とくに「特定疾患」のことを実質的に意味することがある。

◇こうして「制度としての難病」は、研究の対象としての難病であるとともに、生活上の困難の救済・軽減対象でもあってきた。「特定疾患治療研究事業対象疾患」に指定されることによって、「研究事業」のもとで医療費の軽減などが行なわれてきた。また原因・治療法の解明を求めるとともに、医療費負担等の軽減を求める人たちが「特定疾患」への認定を求めてきた。例えば特定疾患に認定されていない「複合性局所疼痛症候群 (CRPS)」の人たちにもそれに加えることを望み求める人たちがいる。また「難病」として多くの人には受け止められているだろう 「筋ジストロフィー」 も特定疾患には入っていない。(原因がわかっているから入っていない、という説明もあろうが、どうか。その発生機序の解明の度合いが格別に高いとは言えないようにも思える。そして原因がわかったとして、なおりたい人たちにとってば、なおし方が確立されていなければ、意味がない。)その時々の「政治」によってことは決まってきたし、現役の官僚などはもうそうしたいきさつをほとんど知らないだろう。そして歴史研究もほぼなされていない。
 ではあるのだが、あるいはだからこそ、もともとこうした複合的な契機を含む「特定疾患」のあり方を含む「(研究)事業」をどのようにしていくか、政策を立案・実行する側も再検討の要を感じているようでもあり、一定の「整理」もなされようとしてきているようでもあるのだが、その方向が定まっているようにも思えない。こうしてこの(制度としての/における)難病は今(も)変化の途上にある。
 2014/05/23 「難病の患者に対する医療等に関する法律」等々→「難病」2014

■2014/10/12 障害学のMLに送ったメール

障害者総合支援法対象疾病検討会
というのが始まっているらしくその関連の
障害連事務局FAXレターも含め
http://www.arsvi.com/d/n022014.htm
に掲載しました。今月24日
http://www.sakura-kai.net/wp/wp-content/uploads/4365fa0acc4dfcf6291f6ee6aed051421.pdf
というところでしゃべらねばならないということもあります。

まだ議事録とか読んでないのですが
これから読みますが
素朴な疑問として支援法の対象になる/ならないに
疾患名はそもそも関係ないと思うんですが
なんでそういう検討とかされているのか
わけわかりません。なにか御存知のことあれば。

まあ1)総合福祉法(→身体障害者福祉法)で規定される障害の範囲が狭くて
そのすきまの部分を病気〜難病という範疇をもってきていくらかうめようというのは
わからなくはない。しかし、それは本来ば筋が違うだろうということ+うめきれないのは
あきらかであるということ…。
〜なんらかの身体的な事情に関わって不都合が生ずるのであれば、それは障害である
というふうにするのが理屈としては一貫しているということ

2)その身体的な事情について「詐称」「詐病」」の可能性があるのでそれを除外するために
診断が必要という理屈もあるかもしれない。
しかし、本来は所謂インペアメントが特定されていることを障害を有することの条件にしてはならない
〜機序・名称…がわからないことは多々あるでしょうから、ということを考えると
この理由もわからんでもないが、基本おかしい

ということになるんだと思うのですが…。
議事録を読んではみます。

ちなみにこちらで韓国の人たちと毎年やっている企画の今年のテーマは「障害と治療」で
(まだHPには掲載されてないみたいです〜今年は於:ソウル)それに関係あります。
 ↓
掲載されました(10/13)→http://www.arsvi.com/a/20141120.htm
立岩 真也

■↑というわけなので、
 1)基本的にはへん。
 2)しかし今の障害認定の不具合を「仮に」所与とおいてそこからこぼれる人を法の対象にしようとするなら、&それを「疾患名」によって拾うということであれば、法〜サービス提供の対象になるのは「生活上の不都合」を生じさせる疾患ということであるしかなく、
 「「発病の機構が明らかでない」「治療方法が確立していない」「長期の療養を必要とする」「患者数が人口の0.1%程度に達しない」「客観的な診断基準等が確立している」の5要件」というのは、
 疾患名によって対象を規定することを前提とした「場合に」5番目のものは理解できなくはない――しかしこれはむろん多くの人にとって酷なことで、そして「……等」が「確立」という文章も(文案に苦しんだ跡はわからなくはないが)不明である――として、他は?である。
 1番目と4番目は普通にわからない。
 2番目と3番目は、なおらない→長期の療養が必要→長期の生活上の困難・必要が生じその困難を軽減・必要を充足せねばならないという点では理解できなくはない。ただ「療養」が何を意味するか? 病気・障害をもちつつ働いているといった場合も含むということであればその限りでありうるが、「長期」は(これは他の法律についても同様だが)本来は不要。
 3し)かし第1回の議事録を見る限り、もちろんそれぞれぞれの発言には上記したことに関わっている部分はあるのだが、論点が絞れているという印象はほとんど受けない。それが「2時間の予定が30分も経たずして事務局案を了承する形で終了した」(『障害連事務局FAXレター』No.316 2014.10.7)となると、どうなのだと思ってしまう。普通にまずいでしょう。

 4)さてどうするか。基本的なことははっきりしている※が、その「道理」が(すぐには)全部は通らないとなると…※※。
 ※
1)研究は研究として行うべきは行う。
2)医療については、対応できる医療者・医療機関が僅かであるといった問題に対応すべきではある。
3)医療費については他の疾患ととくに別建てにすべき理由はない。ただ現行の医療における自己(家族)負担が高すぎるのだから現行の減免制度を維持すべき合理的で差し迫った根拠はあると考えるべきである。
4)「狭義の」医療以外の社会サービスの多くは障害に関わる法・制度によって対応されるべきである。だがその際、疼痛・疲労などによって活動・生活が妨げられることを勘案してこなかった紹介認定のあり方を大きく改める必要がある。
 ※※ 以上が実現しない限りにおいて、3)に記したように現行の制度の維持、現行の枠組みのもとでの対象の拡大を要求し実現させざるをえないことがある。

 それとともに、法律上の問題はいったん別にして(というか、法が対象とするべきことをわかるべき人にほからせるためにも)
 一つにはどんな疾患がどんな生活上の困難をもたらしているのかをわかるべき人にはわからせるということはあるだろう。
 当方が(今のところ)データ蓄積・提供(だけ)を請け負っている?「患者登録サイト」
 https://nambyo.net/
というものもそのための一つの手段とはなれるかもしれない。…
 &これは日本に限ったことではないのだが、病人か障害者か※、というふうに周囲の人たちのみならず本人たちも思ってしまうところがある。しかしこれはすこしでも考えれば間違っている。病人かつ障害者、ということがたくさんある。このことについては拙著『造反有理――精神医療現代史へ』第5章「何を言った/言えるか」第8〜10、あるいは『自閉症連続体の時代』第7章1節2「少なくとも五つの契機、に対する幾種類かの異なった利害」※※※等に記した。
 (このように分かれがちな理由の一つは、なおる(期待がある)か、それは想定しない(できない)かというところにもある。他にもある。ただここでは略。)
 というか、そんなものを読まなくても、すぐに誰でもわかることだ。病気をしてそれで身体がうまく動かないとか、長い時間仕事ができないとか、……。けれどもそのことをすっと受け入れて、必要なものは必要だと言い、そして必要なものを受け取るという当たり前なことにためらいがあるなら、なによりそれは(不当に)損なことだからやめた方がよい、ということは言える。

 ※※※他でも同じことを書いているので、どれかを今回の韓国での企画に合わせてコリア語に訳していただくつもり。英語で読めるものとしては
◆Tateiwa, Shinya 2011/08/23 "On "the Social Model"", Ars Vivendi Journal1:32-51
 http://www.ritsumei-arsvi.org/contents/read/id/27
 http://www.ritsumei-arsvi.org/uploads/contents/23/2011AVJ1_Article_Tateiwa.pdf
cf.
◆立岩 真也 2010/09/07 「「社会モデル」について」(草稿)

◆―――― 2004/11/15 『ALS――不動の身体と息する機械』,医学書院,449p. ISBN:4260333771 2940 [amazon][kinokuniya] ※
◆―――― 2013/12/10 『造反有理――精神医療現代史へ』,青土社,434p. ISBN-10: 4791767446 ISBN-13: 978-4791767441 2800+ [amazon][kinokuniya] ※ m.
◆―――― >2014/08/26 『自閉症連続体の時代』,みすず書房,352p. ISBN-10: 4622078457 ISBN-13: 978-4622078456 3700+ [amazon][kinokuniya] ※

『ALS――不動の身体と息する機械』表紙   『自閉症連続体の時代』表紙   『造反有理――精神医療現代史へ』表紙

 

■cf.日本弁護連合会・東京弁護士連合会関連

◆日本弁護士連合会会長・山岸憲司 2012/05/14 「ALS患者の介護支給量義務付け訴訟判決に関する会長談話」
 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2013/131219.html

◆日本弁護士連合会 2013/01/07 「「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第4条第1項の規定に基づき厚生労働大臣が定める程度(案)」に関する意見」
 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2013/130107.html

1 意見の趣旨
「2 告示の内容」中「継続的」の次に,「(周期的又は断続的な場合を含む。)」を加えるべきである。

◆東京弁護士会会長・菊地裕太郎 2013/11/18 「抜本的な難病者支援制度の構築を求める会長声明」
 http://www.toben.or.jp/message/seimei/post-334.html

◆日本弁護士連合会会長・山岸憲司 2013/12/19 「難病患者の生きる権利を支える医療費助成制度を求める会長声明」  http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2013/131219.html


UP:20141012 REV:20141013, 15, 20, 21 
立岩 真也  ◇Shin'ya Tateiwa 
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