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長見 有人増田 英明ユ・ジンギョン・立岩 真也 20200228 『ハングル、韓日現代アート、70年代と現在』エンディングトーク,於:京都・アバンギルド

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■当日の終わりの部分の記録

長見 有人増田 英明ユ・ジンギョン立岩 真也 20200228 「『ハングル、韓日現代アート、70年代と現在』エンディングトーク」,於:京都・アバンギルド

■立岩

立岩:はい、どうもありがとうございました。最初からいた人も途中からの人もいると思いますけど、もうほんとにわけのわかんないイベントでございました。どうしてこういうわけのわかんないイベントが成立したかっていうことなんだけれども、さっき照れながらちょっと挨拶した長見さんなんですよ※。長見さんは、最初にお話しなされた野間〔秀樹〕さんの大学の時の同級生。それからずーっと付き合いがあるっていうことがあり、それから介護派遣の事業所、ココペリっていうんですけどやってるんですね、僕もそこの人たちと長いこと付き合いがあったりして。まあそんなこんなで、それからココペリさんっていうのは不思議なところで、介護派遣だけやってるかっていうともうちょっと欲があってですね、もうちょっと文化な感じなことをしたいとかしてるとかそういうとこがあって、それで普通だったらあり得ない、なんだこれ、ぜんぜん最初から最後まで説明つかない、みたいなそういう今日のイベントがあったっていうことなんです。それ言ってもわかんないと思うんですけど、でも半分ぐらいの人はもうみんな関係者なので、言われなくてもほんとはわかってんだろうとは思いますけど。
※長見 有人 i2019 インタビュー 2019/10/09 聞き手:立岩 真也 於:コモンズ紫野(旧杉江邸)
 で、何しゃべろうかなと思って、一つは日本と韓国のことで、増田さんも実は2年前だったっけな?※ 2年ぐらい前に一緒に韓国行ったことあって、あのときに増田さん何歳? 70いくつの誕生日だったかな。
障害学国際セミナー 2017 2017/10/24-27

ユ:70何歳でした? 教えてください。

立岩:そういうふうにして〔文字盤を使います〕

ユ:韓国に行ったときの歳。

ユ:74。

立岩:74。一緒に飛行機に乗って。増田さんと飛行機に乗ってソウルに行くのがどんなに大変だったのかって話は3時間ぐらいできるのでしませんが、めっちゃ面白いですよ。ほんとに面白いんだけれども、行って、それでちょうど僕らが障害に関するセミナーっていうのを一緒にやってて、今年京都でやるんですけど、たぶんね、コロナで延期とかにならなければ。そのときちょうど増田さん74歳の誕生日ですよ。そういうことがあったり、日本と韓国の人たちがどういうふうに、今いろいろなことがあるなかで一緒にやろうとしてるのかという話もしてますし。
 韓国の社会運動ってめっちゃ面白いんですよ、障害者運動も面白いですよ。派手なんだよね、ビジュアルなんですよ。日本の今の運動ってあんまり、テレビ見ててもあんまり面白くないですよね。だけどね、韓国はすごいですよ。見てて楽しいっていうか感銘を受けるんだよ。わくわくするっていうのがあって、そういうことも含めて韓国の障害者たちの運動だけじゃなく社会運動ってすごい面白いですけど。そういう話も今日はしません。いっくらでもできますけれども。
 ひとつにじゃあ何言おうかなと思ったのは、みんなね、ヘルパーするといいんじゃないかなって話を今日しようと思って、今ほんと人手が足りないんですよ。今、街で暮らしたいとか、っていう人、つい数日前もそういうメール来て、でも派遣できる人いないっていうふうに言われたって。ほんとそうなんですよね。ってときになんだろうな、なんでこの話するかっていうと、ひとつはさっき、今、今日ここで演奏なさってる方々、すげーなと思った、ウッドベースとかっていいなってすごく思ったんですけど〔この時、立岩は長見さんの話の冒頭の部分を聞いていなかった〕。そういう人たちが、でもさすがにそれだけで食えないじゃないですか、何してんだろうと思ったときに、実は増田さん、ALSっていう不思議な障害で体がだんだん動かなくなるっていう障害なんです。だけれども目ん玉だけ動くっていうことがあって、それで目ん玉動くから文字盤を介してコミュニケーションするっていうそういう仕掛けの人生を生きてるんですけどね、そういうふうにして生きてる人が京都にもいろいろいるんだけれども、その初代みたいな人が甲谷〔匡賛〕さんていうおじさんなんです。
 実は甲谷さんっていうのは身体、舞踏、今日もなんかこういう感じで、踊っていたかたいたじゃないですか、ああいう人たちの身体のメンテをしてた人なんですよ。そういう人が、そのこととはなんの関係もないんですけど突然ALSになって体だんだん動かなくなったときに、最初にそれを支援していた人っていうのは昼間は踊って、か、夜は踊るかどっちかわかんないですけど、どっちか半分踊って、でもそれじゃあ飯食えないから彼の介助をしてっていうふうにして、で、生きた人なんです。
 最初はほんとにボランティアっていうかそういうかたちでやったんだけれども、どっちもそれじゃ大変じゃないですか。だから京都市に交渉して制度をつくって、そういう仕事をしてもお金がもらえるよっていうふうになって、一方では踊りながら、一方では三代前ぐらいですね、増田さんの前の前ぐらいから、今でもお元気でお住まいになってますけれども甲谷さんの介助をする。そういうカルチャーっていうか現実が京都にもあるんですよ。
 だから京都意外といいなって、いちおう褒めようとこの頃僕思ってて、だからそういう、普通だったらない、この会場にも医者もいるし弁護士もいるし、僕みたいな研究者ですかそういう人もいるし、介護のわかる人もいるし、アーティストの人たちもたくさんいるわけですよ。そういう人たちがこういう場所にいっぺんに上がる、日本にはないですよね。でもそういうことが例えば長見さんみたいな人がいることによってできてきた。そのなかで、日本の京都ではアーティストが夜とか昼とか介助っていう仕事をして、飯食いながらでもやりたいことやるって、そういうことができちゃってるんですね。これはね、世界に誇っていいことであって、皆さんどうですか? っていう話を今日はしたんです。
 何がいいかっていうと、介助っていうのはね主体性がいらない仕事なんですよ。というか主体性がないほうがいいみたいな仕事なんです。今日もこのステージにいた人見て思ったんですけど、たぶんそういうのが邪魔な人たちもたぶんいるんだなと思ってて。でも一方では自己実現的なことはアートみたいなところでやりながら、でもそんなこと一日やってたら疲れるから半分そういうのやりながら、そうじゃないところで人の言うことを淡々と聞くっていう仕事をする、そういうバランスすごいいいと思って。だからそういう仕事今足んなくて、それは単に政府がけちでお金をいっぱい出さないからなんですけれども、政府にいっぱいもっとお金を出させるようにしてですね、そういう仕事をする。
 今日、そこに吉野〔靫〕っていうのがいるんだけど、僕のところの大学院を終わった人なんですけど、さっきその吉野から聞いたんですが、今日ウッドベース弾いた人は実は京都で清掃の仕事をしながらやってるんですって。ああそうかって。うちの大学院生〔寺前晏治〕に清掃の仕事のバイトしようっていのが最近いて、いいよね、清掃の仕事っていう話をその院生としてて。たぶんね、そういう黙ってできる仕事みたいなことって、嫌いな人は嫌いかもしれないけどいい人にはいいんですよ。で、清掃の仕事っていうのとさ、ケア、介助の仕事で違うってみんな思うかもしんないけど、でもなんだろう、主体性を殺せる、黙ってできる、実はね、解除の仕事はもうすごい大変なこともあるんだけど、そうでもないときもある。
 だから今の京都の今のこの場所っていうのは非常に不思議な場所であって、普通だったら日本中、世界中そういうことないかもしれないですよ。介助の仕事してる人とわけわかんないアートなことをしてる人が一緒にいるみたいな、普通あんまりないです。でも京都のここはあるんですよね。そういうことを含めて、なんかね、音楽とかしたいしするけど、ちょっと金もないしね、そういう仕事してみようと思ったら、増田さんの介助してみる。そういうのすごいいいなと思ってね。
 すみません、僕短い話が得意なんですけど、今日はちょっと長くしゃべってしまいました。だいたいそんな感じです。以上です。どうもありがとうございました。私は立岩真也といって、そういうようなことの相談とかそういう仕事してみたいとかあったら、いつでもメール〔tae01303@nifty.ne.jp〕いただければなんぼでも相談に乗らせていただきます。そうですね、今資料を皆さんにお渡ししてると思いますけど、まだ受け取ってないかたは残部がたくさんあるそうなんで、あそこに金色の髪の人がいるんですけれども、長谷川〔唯〕っていうんですが、うちの大学院出た人ですけども、長谷川さんがたくさん持っていますのでそれに請求していただればもらえると思います。ありがとうございました。(拍手)


■いただいたメール

増田さん、ユさん、立岩先生

 この度は2/28(金) 18:30?21:30 のイベントに特別出演していただけるということで、ありがとうございます。
 ぜひ、以下の少し詳しい内容紹介をお知り合いの方や一般に公開して拡散していただけると、幸いです。


2/28(金)@木屋町Urbanguild
『ハングル、韓日現代アート、70年代と現在』
トークゲスト:野間秀樹
open 17:30 start 18:30前売1800円+1drink/当日2300円+1drink

第一部: 野間秀樹トーク
【現代美術の一里塚 1979 「七人の作家/韓国と日本展」のころ】

朝鮮言語学・日韓対照言語学の第一人者で美術家としての顔を持つ野間秀樹が70?80年代の自身の作品と韓日の現代美術家の交流をテーマにプロジェクターからの投影と合わせて語る。

第二部:【舞踏家、韓日ミュージシャン、ペインターによる即興パフォーマンス】
舞踏家湯山大一郎氏(大駱駝艦)とサイケデリックバンド、ウンラヌとのセッションと
 韓国では珍しく、デルタ・ブルースを基盤とした音楽を奏でる韓国ブルースマン、ハ・ホンジンの演奏を行い
 転換時は音頭や民謡をベースにした電子音楽のJapkasai、韓国釜山出身(現在京都在住)のダブルベース演奏家のドンの演奏と同時に中LAによるライブペインティングが客席横の壁に立て掛けたキャンバス上で始まります

第三部はALS当事者の増田英明さん、立命館大大学院の留学生で増田さんの介助者もしているユ・ジンギョンさん、立命館大学生存学研究所の立岩真也教授の3人が【韓日の障害当事者運動の交流】をテーマに語ります。

 ※会場となるUrbanguildでは野間秀樹の版画作品をイベント時間全体を通して飾り、全作品の販売も行われます。


UP:2020 REV:
立岩 真也  ◇Shin'ya Tateiwa  ◇生を辿り道を探る――身体×社会アーカイブの構築 
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