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手話通訳 sign language interpreter

情報・コミュニケーション/と障害者


手話通訳とは、日常生活・社会生活の多くの場面において必要になる「言語通訳」の1種である。

■本頁目次
手話通訳制度関連年表
手話通訳士試験問題の事項、および関連制度
聴覚障害に関する基礎知識
手話通訳のあり方について
関連団体
その他の情報

■本HP関連ファイル

聴覚障害・ろう(聾) 
情報・コミュニケーション/と障害者
■成果・全文掲載

坂本 徳仁櫻井 悟史 編 2011/07/22 『聴覚障害者情報保障論――コミュニケーションを巡る技術・制度・思想の課題』,生存学研究センター報告16,254p. ISSN 1882-6539 ※
坂本 徳仁佐藤 浩子*・渡邉 あい子 2009/09/26-27 「聴覚障害者の情報保障と手話通訳制度に関する考察――3つの自治体の実態調査から 」,障害学会第6回大会・報告 
坂本 徳仁立岩 真也佐藤 浩子渡邉 あい子 「効率的かつ持続可能な手話通訳制度の構築可能性に関する研究」
 財団法人みずほ福祉助成財団 平成21年度社会福祉助成金研究助成 http://homepage3.nifty.com/mizuhofukushi/old/y2009.html


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■手話通訳制度関連年表

<明治期〜1950年代:聾学校教員によるボランティアの時代>

1878年   京都盲唖院設立。
1915年   日本聾唖協会発足。
1947年   日本聾唖協会の名称が全日本聾唖連盟(以下、全日ろう連)に変更。
1949年   身体障害者福祉法の制定。
        全日ろう連による“手話のできる”身体障害福祉司の要望。


 <1960年代:手話サークルとろう運動の時代>

1963年   京都で日本初の手話サークル「手話学習会みみずく」が結成。
⇒ 全日ろう連、手話サークルによる公的な手話通訳制度設立への働きかけ。
        「裁判を守る会」結成。
        松永端『手話辞典』、早稲田大学ろう心理研究会『日本手話図絵』出版。
        旭川市が聴覚障害者を「ろうあ者相談員」として採用。
⇒ 各自治体で「ろうあ者相談員」が採用されることのきっかけに。
1965年   「身体障害者地域活動の育成について(昭和41年5月13日社更182号)」が厚生省社会局長から
        都道府県・指定都市へ通知。
⇒ ろう者の手話講習会への補助事業。手話に対する関心の高まりを反映。
        京都府ろうあ協会「3・3声明」を発表。
        蛇の目寿司事件。
1966年   京都府議会本会議にてろう者の質疑に対する知事答弁に手話通訳が付く。
        第1回全国ろうあ青年研究討論集会の開催。
1967年   東京都中野区総選挙立会演説会にて初めて手話通訳者が付く。
        全日ろう連の全国大会にて権利獲得運動がスローガンになる(1967年以降)。
        大阪にて「ろうあ者の生活と権利を守る会」が発足。
1968年   第1回全国手話通訳者会議の開催。
…… 全国ろうあ者大会と併催、後に全国手話通訳問題研究会へと発展。
1969年   全日ろう連「手話通訳者の養成訓練期間の制度化」決議(第18回全国ろうあ者大会)。
        手話法研究委員会の設置(全日ろう連、日本自転車振興会から補助)。
        全日ろう連『わたしたちの手話(1)』出版。


 <1970年代以降:公的制度の立ち上げ・整備の時代>

1970年   手話奉仕員養成事業の開始(旧厚生省)。
⇒ 手話講習会の実施により、全国各地で手話サークルが誕生。
        京都市が手話のできる職員を地方公務員として初めて採用。
1971年   立会演説会における手話通訳の公費負担通達(旧自治省)。
1972年   全日ろう連「手話通訳についての当面の方針」、「手話通訳制度化についての当面の方針」発表。
        A県立病院にて手話による意思疎通不在のため、ろう患者が死亡。
1973年   手話通訳者設置事業の開始(旧厚生省)。
1974年   手話協力員制度の開始(旧労働省)。
        全国手話通訳問題研究会の設立。
1976年   手話奉仕員派遣事業の開始(旧厚生省)。
        第1回全国手話通訳者認定試験の実施(全日ろう連による民間資格)。
1977年   手話通訳中断事件。
1979年   手話通訳指導者養成研修事業、標準手話研究事業の開始
        (旧厚生省から全日ろう連への委託事業)。
1980年   国際障害者年推進本部の設置(本部長:内閣総理大臣)。
⇒ 「障害者対策に関する長期計画」(1982年3月)にて手話通訳の制度化を明文化。
1981年   国際連合「国際障害者年」の決議。
        字幕・手話付きビデオカセットライブラリー等製作貸出事業
        (旧厚生省から全日ろう連への委託事業)。
1982年   手話奉仕員養成事業と手話奉仕員派遣事業が統合化。
        手話通訳制度調査検討事業の開始(旧厚生省から全日ろう連への委託事業)。
1984年   全日ろう連「第1回全国ろうあ者相談員研修会」開催。
1985年   全日ろう連「手話通訳制度調査検討報告書」(旧厚生省による委託研究)。
      アイ・ラブ・コミュニケーション運動
1986年   全日ろう連「手話通訳認定基準等策定検討委員会」の発足
        (旧厚生省から全日ろう連への委託事業)。
1988年   全日ろう連「『手話通訳士(仮称)』認定基準等に関する報告書」(旧厚生省による委託研究)。
        「手話通訳認定に関する委員会」の設置(旧厚生省社会局長の諮問機関)。
1989年   手話通訳士認定制度の開始(旧厚生省)。
        全日ろう連「ろうあ者相談員の正職員採用、全国的な設置のために」決議
        (第38回全国ろうあ者大会)。
1990年   日本手話通訳士協会の設立。
        手話通訳専門職員養成課程(定員10名、1年制)、手話通訳士研修会の開設(国立障害者
        リハビリテーション・センター学院、以下、国リハ学院)。
        福祉八法の改正。
⇒ 聴覚障害者情報提供施設の設置。
1991年   第11回世界ろう者会議(東京)
1997年   日本手話通訳士協会「手話通訳士倫理綱領」の発表。
1998年   「障害者の明るいくらし」促進事業実施要綱の改正。
⇒ @「手話奉仕員養成事業」と「手話通訳者養成事業」の分割。
  A 手話通訳者特別研修事業の開始。
2000年   社会福祉事業法の改定により社会福祉法が成立。
⇒ 社会福祉事業の一つとして手話通訳事業が位置づけられる。
2001年   手話通訳学科(定員30名、2年制)へ移行(国リハ学院)。
        全日ろう連「手話通訳者登録試験問題」作成。
2002年   社会福祉法人全国手話研修センターの設立。
2003年   全国手話研修センター「コミュニティ嵯峨野」開設。
2006年   障害者自立支援法の施行。
⇒ 地域生活支援事業の一つとして手話通訳事業が位置づけられる。

主要参考文献
◇伊藤雋祐,小出新一 [監修] (2001) 『手話通訳がわかる本』,中央法規出版.
◇植村英晴 (2001) 『聴覚障害者福祉・教育と手話通訳』,中央法規出版.
◇林智樹 (2005) 「日本の手話通訳制度」,21世紀のろう者像編集委員会 [編] 『21世紀のろう者像』,全日本ろうあ連盟出版局.

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■手話通訳士試験問題の事項、および関連制度

ファイルの作成者が受講する「手話通訳技能認定試験」の試験内容をまとめたものです。
手話通訳技能認定試験には、毎年1000人前後が受験するが、合格率は毎年10%前後で推移している。
◆「障害者福祉の基礎知識」の理解
1.障害者福祉の理念と発展
  ・ノーマライゼーション/リハビリテーション/インクルージョン等の考え方
  ・自立の概念/エンパワメント/権利擁護(アドボカシ―)等について
2.障害の概念と実態
  ・国際生活機能分類(ICF)の概念と理解
  ・日本の障害者実態調査の結果の特徴(障害者白書・生活のしずらさ調査等)
3.障害者福祉の制度
  ・障害者権利条約
  ・障害者福祉に関する法律の概要(障害者基本法、障害者総合支援法、障害者雇用促進法)
  ・障害者福祉サービス(障害者総合支援法に基づくサービス等)
  ・障害者福祉の実施体制(行政機関、相談支援事業、民間の相談員制度等)
  ・障害者の生活を支える関連制度(権利擁護・障害者年金等の所得補償)

→特に、「障害者総合支援法」、「障害者雇用促進法」の箇所が頻出。

〇イメージ
基盤として「障害者基本法」があり、その上に「対象別の法律(身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、精神保健福祉法、発達障害支援法等)」があり、その上に「社会面に関連する法律(障害者差別解消法、障害者雇用促進法、障害者総合支援法、ハートビル法、バリアフリー法など…。)」がある。

障害者基本法では、名称が段階ごとに変わってくる
匡→障害者基本計画
都道府県→都道府県障害者基本計画
市町村→市町村障害者計画
●「障害者基本法」のポイント
◎第1条(目的)
・「全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものである」という理念。
・「全ての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現する」ためのものである。
・その責任の所在は「匡、地方公共団体等の責務」が明記されている。
・障害者の支援のための施策の基本事項を定め、「障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を総合的、計画的に行おうとする」ものである。
→施策を定める計画として、5年に1度実施される「障害者計画」がある(内閣府所管)。

◎第2条(定義)
・障害者の定義として、ICFが採用され、障害の定義を「心身の機能の障害があるものであって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう」としている。
→そのため、難病などで社会的障壁が発生している場合も、それを「障害」と定義する。
・社会的障壁の定義として、日常生活や社会生活を営むうえで障壁となる「社会の事物、制度、慣行、観念その他一切の物」がその対象となる。

◆障害者の状況の確認
日本国民の8%前後が何らかの障害を持っている。
そして、大まかに身体障害>精神障害>知的障害の順に多いとされている。
→概要は、「生活のしづらさなどに関する調査」、「社会福祉施設等調査」、「患者調査」等から確認できる。

手話通訳士試験受験における「障害者基本法」の項においては、身体・知的・精神障害者の数等の概数、そして入所・入院・在宅生活の状況などの確認が必要。
◎対策:
・知的障害者の入所数の割合が他の障害に比べ多い(あくまで「割合」が多い)。
 →知的障害は発達期から現れるものであり、高齢化の影響を受けることが少ない。
・在宅にいる障害者数は、身体障害では65歳以上、知的障害・精神障害では労働年齢(18〜64歳、25歳〜64歳)が多い傾向にある。
在宅の定義とは…?

 →グループホームなどで生活の場があるが、家で住んでいる人は在宅という?  →「要介護者が自宅で家族・介護サービス事業者の介護を受けながら生活を送ること」「自宅にいること」を指す。

◆法律上の身体障害者の定義
・18歳以上の者であり、身体障害者手帳の交付を受けた者。
(階級としては1〜7級まで存在するが、手帳の交付がなされるのは6級から)

発行手続きとしては、指定医が行った診断書をもとに市町村に申請を行い、都道府県知事・政令指定都市市長・中核市市長から交付される。
診断基準としては、視覚障害、聴覚または平衡機能の障害、音声機能・言語機能・咀嚼機能の障害、肢体不自由、心臓や腎臓、または呼吸器の機能の障害、その他政令で定める障害等が挙げられる。

◆知的障害者の定義
・「知的障害者福祉法」の中で定義されておらず、「知的障害児(者)基礎調査」の中で定義がなされている。
その中では「知的機能の障害が発達期(おおむね18歳まで)にあらわれ、日常生活に支障が生じているため、なんらかの特別の援助を必要とする状態にあるもの」と定義。
「知的機能の障害」と「日常生活能力」などから総合的に判断され、療育手帳が交付される。判断する機関としては、「児童相談所(18歳未満)」、「知的障害者更生相談所(18歳以上)」がある。

・療育手帳→一貫した指導・相談がなされ、各種の援助を受けやすくすることを目的に交付。交付者は、都道府県知事や政令指定都市・児童相談所を設置する地方公共団体の中核市市長。
特徴→「療育手帳」という名称は、あくまで国の制度上の名前であり、地域によって名称と障害の程度の表記が異なる。

◆精神障害者の定義
・「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」の第5条に定義がされている。
知的障害が定義に含まれているのは、疾病疾患とは異なり、「治りにくい障害」であり、一貫したサポートを受けやすくするため(?) 身体と精神の同時取得が可能と言う意味?→知的障害の人が精神病を発症する場合もあり、重複する場合を想定している。
市町村を経由して、都道府県知事または政令指定都市市長が交付する。
手帳の交付については、長期にわたり日常生活又は社会生活への制約があるものに対して「精神障害者保険福祉手帳」が交付される。
申請は、精神障害にかかる初診日から6か月を経過した日以降に申請ができる。
しかし、2年で有効期限が切れてしまうので、更新手続きが必要。→精神障害は治る可能性があるため、更新が求められる。
等級は、1級(日常生活が不能)、2級(日常生活に著しい制限)、3級(日常生活・社会生活に制限)。

◆発達障害の定義
・発達障害者支援法第2条1項の中で定義がある。

◆「障害者総合支援法」のポイント
・障害者計画(障害者基本法)と障害福祉計画(障害者総合支援法)
・サービスの利用の流れ
・相談支援の流れ
・自立支援給付(障害福祉サービス)と地域生活支援事業(相談支援事業)
・共生型サービス
・市町村と都道府県の役割について

●「障害者総合支援法」
・障害者基本法の理念に則り、「障害者及び障害児の基本的人権を享有する個人としての尊厳にふさわしい日常生活又は社会生活をできるよう、必要な障害福祉サービスにかかる給付(自立支援給付)、地域生活支援事業(都道府県と地域で指すものが異なる)、その他支援を総合的に行」うものである。そして障害の有無に関わらず、国民が相互に人格と個性を尊重できるような「地域社会の実現に寄与すること」が目的となっている。

・障害者計画→施策の総合かつ計画的な推進を図るための基本的計画。
内閣府が5年に一度作成する。障害者基本法が根拠法
・障害福祉計画→障害福祉サービスの提供体制及び自立支援給付等の円滑の実施を目指し、具体的な数字が載っている。
厚生労働省が3年に一度作成する。→具体的な数値を達成しないといけないので、期間が短め。自立支援協議会の意見を聞くように努める必要がある。
障害者総合支援法が根拠法

◆障害者福祉サービスの法制度の流れ
●支援費制度(2003年〜)により、措置から契約制度へ。
・精神障害は支援制度の対象外。
・地域のサービス水準の格差
障害当事者が参画したが、望まれた制度にはならなかった

●障害者自立支援法(2006年〜)
支援費制度の課題であった、地域間のサービス水準の差や、サービス量の格差を一元化しようとした。
・格差就労支援施策の強化
・低率の利用者負担の原則
・障害の程度区分の明確化の導入

●障害者総合支援法(2013年〜)
・身体障害者福祉法に則って交付される障害者福祉手帳が届かない人がいる。手帳は公布されないが困っている人に対応するために難病が追加
・障害の程度ではなく、「どのくらいの支援が必要か」という視点で支援区分(区分1〜6)を設ける。
・この法律は基本的に大人向け。18歳未満は児童福祉法を整理し、法的根拠とした。
→障害者手帳を持っていなくてもサービスの利用は可能だが、病状があることを説明する書類が必要。

◆福祉サービスの提供までの流れの整理
・市町村が行うこと、都道府県が行うことで分かれている。
・介護給付と訓練等給付が福祉サービスの主な内容。

★サービス支給までの流れ
@福祉施設への受付(障害支援区分の認定※)

Aサービス等利用計画の作成(どのサービスを、どの事業所で、どの程度利用するのかを決める)
これは、相談支援専門員の役割
 相談専門員は、利用者の希望する生活に合わせたサービス利用や支援について相談に乗る。
 利用者が、障害福祉サービスを利用したいときは、本人と相談しながらサービス等利用計画を作成していく。
※個人作成(セルフプラン)も可能

B支給決定(当事者の状態が変化することを見据えて更新性)

Cサービス担当者の中で会議

D個別支援計画の作成(Aとは異なり、担当の事業所内で決められるもの)

Eサービスの開始

Fサービスの利用計画の見直し(一定期間にモニタリング)

※障害支援区分と手帳制度との違い
・障害支援区分は、自身の状態から必要な支援を求めるためのもの
・手帳制度は、自身の状態を示すためのもの

当事者からサービスの申請がなされたとき、「1次判定」と「2次判定」がなされる。その判定を経て、市町村による認定が行われる。(不服がある場合は、市町村の上階である「都道府県介護給付等不服審査会」へ申し立てる。)
・コンピューター判定の1次判定→「認定調査員の80項目調査」と「主治医の意見書」による1次判定。
・市町村審査会の2次判定→「認定審査員の特記事項」と「主治医の意見書」

事業者としてサービスを提供する支援の責任者は、サービス管理責任者。個別支援計画の作成が必要
サービス提供を行う事業者の認可をおろすのは、都道府県の役割。都道府県の認定していない事業は利用ができない。

※障害福祉サービスは、世帯の所得に応じた4段階の応能負担がなされている。相談のみであれば、費用は発生しない。              
区分 世帯の収入状況 負担上限額(/月)
生活保護 生活保護受給世帯 0円
低所得 市町村民税非課税世帯(障害手帳1級の場合、概ね300万円までの収入) 0円
一般1 グループホーム、入所施設利用者(20歳以上)を含まない市町村民税課税世帯(所得割が16万円未満(収入600万円くらい)の人) 9300円
一般2 上記以外 37200円

       
段階 世帯の範囲
18歳以上の障害者(施設入所している18歳、19歳は除く) 障害当事者とその配偶者
障害児(施設に入所する18歳、19歳を含む) 保護者の属する住民基本台帳に記載されている範囲



相談体制としては、指定特定相談支援事業者が行う(※事業者指定は、市町村長が行う。→サービス提供者を決めるのは都道府県)。

◆自立支援給付(実施主体は市町村)
どのような地域であっても、同程度のサービスを受けれるようにする必要があり、「義務的経費」としての扱いがなされる。

▼障害福祉サービス
→介護給付と訓練等給付の2つある。(介護給付においては障害者区分が用いられ、サービスの量、質が決まる)

〇介護給付
 介護の支援を受けるもの
 居宅介護、重度訪問介護、同行援護などがある。

〇訓練等給付(障害児は利用できず、障害者しか利用できない)
 一定期間で訓練を行い、自立した生活を行えるようにすることを目指す。
 自立訓練(機能訓練)や就労移行、就労継続A・B、就労定着支援等がある。

・自立訓練→機能訓練と生活訓練・宿泊型生活訓練がある。
 機能訓練→リハビリテーション
 生活訓練→排泄や入浴や食事などの日常生活を営むための訓練(原則2年をめど)
 宿泊型生活訓練→生活訓練よりもより細かい家事(料理とか)を訓練し、原則2年で出ていき、1人暮らしを目指す

▼相談支援事業
計画相談支援給付地域相談支援事業がある。

〇計画相談事業
 計画相談→サービス利用支援(支援開始前にどのサービスをどれくらい実施するのかを事業所と相談する)と、継続サービス利用支援(モニタリングし、事業者と連絡調整を行う)がある。 

〇地域相談支援事業
 地域移行支援(施設に住んでいた18歳以上の障害者が地域に戻ってきたときの不安の解消・相談)、地域定着支援(24時間の連絡体制を準備し、緊急時に必要な支援を行う)
  ※相談担当は、指定一般相談支援事業者(地域移行・定着担当)→都道府県知事・指定都市市長及び中核市市長が行う
 就労移行支援を2年間までの間で利用して一般就労を目指し、就労定着支援を3年間以内に行っていく。

 就労定着支援は、就業に伴う環境変化により日常生活や社会生活上のに対応できるように、一般就労をして6か月経った人に対して企業と家族などとの連絡調整等の支援を行うサービス。
 その後は、障害者就業・生活支援センターへ機能を移行する。

▼自立支援医療制度
→精神通院事業、更生医療、育成医療(実施主体)
・精神通院医療(都道府県・政令指定都市)
 精神保健福祉夫雄第5条に規定する統合失調症などの精神疾患を有するもので、通院による精神医療を継続的に要するもの
・更生医療(市町村)
 身体障害者福祉法に基づき身体障害者手帳の交付を受けたもので、その障害を除去・軽減する手術等の治療により確実に効果が期待できる者(18歳以上)
・育成医療(市町村)
 身体に障害を有する自動で、その障害を除去・軽減する手術等の治療により確実に効果が期待できるもの(18歳未満)

▼補装具           
障害種別 身体障害児・者 身体障害児のみ
視覚障害 盲人用杖(携帯・普通)
義眼
眼鏡(矯正、遮光、コンタクト)
なし
聴覚障害 補聴器 なし
肢体不自由 義肢
装具
座位保持装置
車いす、電動車いす
歩行器や補助杖
意思伝達装置(オリヒメなど)
座位保持椅子
規律保持具
頭部保護具
排便補装具


◆地域生活支援事業(市町村及び都道府県が実施主体)
 地域の実情に応じた柔軟な事業形態での実施が可能になる。→効率的・効果的に取り組むらしい。 自立支援給付ではまかなえないものを行っている。
(市町村が実施する事業)
1.理解促進研究・啓発事業
2.自発的活動支援事業
3.相談支援事業
  基幹相談支援センター等機能強化事業
  住宅入居等支援事業
4.成年後見制度利用支援事業
5.成年後見制度法人後見支援事業
6.意思疎通支援事業
  手話通訳、要約筆記、点訳等を行うものの派遣
7.日常生活用具給付等事業
8.手話奉仕員養成研修事業
  日常会話レベルの手話表現技術を習得した手話奉仕員の養成研修
9.移動支援事業
  屋外での移動が困難な障害者への外出支援
10.地域活動支援センター
  創作活動や生産活動の機会の提供
  交流を目的とし、居場所づくりをしている
11.任意事業
  市町村又は都道府県の判断により地域の事情に合わせて行う事業

(都道府県が実施する事業)
→市町村の後方支援
専門性の高い支援(発達障害や高次機能障害)や、広域的な支援が可能になる。
専門性の高い意思疎通支援を行うものの養成、派遣にかかる連絡調整(手話通訳者、要約筆記者、盲ろう通訳)
障害児が65歳になったときに、支援を円滑にするために、介護保険と障害福祉両方の制度に共通するサービスを提供できるようにする。
詳しくは下記。            
通称名 介護保険サービス 障害福祉サービス
ホームヘルプサービス 訪問介護 居宅介護・重度訪問介護
デイサービス 通所介護 生活介護・自立訓練
ショートステイ 短期入所生活介護 短期入所
「通い・訪問・泊り」のサービスの組み合わせを一体的に提供するサービス 小規模多機能型居宅介護
介護予防小規模多機能型居宅介護
看護小規模多機能型居宅介護
生活介護
自立訓練
短期入所

◆障害者雇用促進法
・障害の有無に関わらず均等に能力発揮できるようにし、障害の有無の関わらず均等な機会および待遇を目指す。
・障害者がその能力に適合する職業に就くこと等を通じて
・「職業生活において自立する」ことを促進するための措置を総合的に講じ、障害者の就業の安定化を図ることを目的とする。
→障害当事者に対するサポートだけではなく、障害者を雇う企業等にも法の効果が及ぶことを示している。 ・障害のある労働者は、経済社会を構成する一因として、その能力発揮する機会を作りましょう →聴覚障害者が働くために手話通訳が重要な役割を持っていることが分かる。
・障害者雇用促進法が根拠法であるジョブコーチと、障害者総合支援法が根拠法である就労定着支援とは異なる。 →ジョブコーチは、あくまで企業内での支援が主で、雇用に特化している。就労定着支援は就労とそれに伴う生活(家庭)のフォローが追加されているのがポイント。
・法律上の障害者の定義と、雇用上の義務となる障害者の対象が異なる
→後者は「長期にわたり、就業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難なもの」具体的には下記。

▼区分
1.身体障害者
  ・いわゆる身体障害者の総称。
  2.重度身体障害者
    ・身体障害者手帳の1級、2級、もしくは3級の障害を重複している者が対象
3.知的障害者
・障害者のうち、知的障害があるものであって厚生労働省令(児童相談所・知的障害者更生相談所等の認定)で定めるもの
4.重度知的障害者
・知的障害者判定機関により知的障害の程度が重いと判断されたもの。
・「職業上の重度知的障害者」として、障害者職業センターから判定される場合もある。
・都道府県知事が発行する療育手帳、知的障害者判定機関の判定書によって確認がなされる。
5.精神障害者
・精神障害者保健福祉手帳の交付を受けているか、そして医師の診断書や意見書によって判断(ただ実際障害者と認定されるには、精神障害者府県福祉手帳の交付が必要)

〇障害者雇用法のポイント
▼障害者雇用率制度
障害者にたいして常用労働者となりえる機会を確保することを目的とし、健常者の社員の数に対する障害者雇用率を定め、事業主等に障害者雇用率達成義務という名前で法的義務を課す。
        
対象 法定雇用率 雇用対象となる企業規模(常用労働者数)
民間 匡・地方公共団体 都道府県等の教育委員会
2.3% 2.6% 2.5%
43.5人以上 38.5人以上 40人以上

※表は2021年3月1日のもの。
・2022年度
企業全体の障害者雇用率→2.25%
法定雇用率を達成している企業割合→48.3%
雇用率は上がっており、雇用率達成しようとしている企業は達成しているが、していないところはしていない。
ハローワークからの行政指導→応じない場合は厚生労働外人による企業名公表をすることができる。
 ※すぐに達成ではなく、できるだけ早い時期に達成できるよう設定する。←準備期間の意味合い
 ※厚労大臣は、絶対公表する必要があるわけではない。

▼障害者雇用のカウント方法
→2種類ある。
 1.週の時間数によるカウント方法
常用労働者→30時間以上
短時間労働者→20時間以上30時間未満
※20時間以下の労働時間だと、雇用しているとはみなされない。
 2.障害の程度によるカウント数による変化         
障害種別 障害程度 常用労働
(30時間以上)
短時間労働
(20時間〜30時間未満)
身体障害 重度
重度以外
2人
1人
1人
0.5人
知的障害 重度
重度以外
2人
1人
1人
0.5人
精神障害 程度関係なし 1人 0.5人または1人※
※A.新規雇入れから3年以内の方、又は精神障害者福祉手帳習得から3年以内の人、かつ、B.令和5年3月31日までに雇れられ、精神障害者福祉手帳を取得した人

▼障害者雇用納付金制度
法定雇用率を満たしていない民間企業(常用労働者数100名を超える企業)は、5万円/月の納付金を払う必要がある(いわゆる罰金の徴収)。
そして、その納付金は、法定雇用率を達成している企業に対しての調整金(常用労働者数100名を超える企業)、報奨金(100名以下の企業)、特例給付金、助成金などの財源とされていく。
※納付金を払ったからといって、法定雇用率を達成しない理由にはならない。
※調整金の額は、超えて雇用している障害者の数に応じて、2万7000円/人を受け取れる。 ※民間企業に対して適応されるものであって、国等は対象外である。

▼特例給付金制度(2020年度〜)
雇用率のカウント対象外であるが、短時間であれば就労可能な障害者等の雇用機会を確保するため、週20時間未満の雇用障害者数に応じて給付されるお金
・支給条件
@手帳を保持する障害者のうち
A1年を超えて雇用される障害者(見込みを含む)
B週所定労働時間10時間以上20時間未満で働く障害者を雇用する事業主に給付される
100人以上の事業主→7000円/人、100人以下の事業主→5000円/人

▼特例子会社制度
事業主が障害の雇用の促進・安定を図るため、障害者の雇用に配慮した特別な子会社を設立
→一定の要件を満たす場合には、特例としてその子会社に雇用されている労働者を親会社に雇用されているものとしてみなし、親会社の実雇用率に換算できる。
→特例子会社のリスト

▼特例子会社のグループ適用制度
特例子会社を有する親会社は、関連するグループを含めて、グループ全体を実雇用率にカウントできる。

▼職場適応援助者(ジョブコーチ)
→障害者雇用促進法に基づく制度で、主に社会福祉法人やNPO法人が運営
3パターンが存在する。         
種類 概要
配置型ジョブコーチ 地域障害者職業センターに所属するジョブコーチが、事業所に出向いて支援を行う。
訪問型ジョブコーチ 就労支援を行っている社会福祉法人等に所属するジョブコーチが、事業所に出向いて支援を行う。
※障害者雇用納付金制度の助成金対象
企業在籍型ジョブコーチ 自社の従業員がジョブコーチ養成研修を受けて、自社で雇用する障害者の支援を行う。
※障害者雇用納付金制度の助成金対象

・障害当事者に対する職務の遂行、職場内のコミュニケーションに関する支援、だけではなく事業主に対しても障がい特性に配慮した雇用管理等に関する支援を行う。
・ジョブコーチの支援は、主に事業主の同僚や上司による支援(ナチュラルアプローチ)に移行することを目指し、数か月に1回の頻度での支援になる。

就業定着支援の3年間の支援(障害者総合支援法が根拠法)の後は、障害者就業・生活支援センターに機能を移管する(障害者雇用促進法が根拠法)。
利用に関して金銭は不要。就労定着支援と異なり、主に相談業務を担う。

●就労定着支援と障害者就業・生活支援センターの違い                  
就労定着 障害者就業・生活支援センター
障害者総合支援法 障害者雇用促進法
採用後からの支援 就労及びそれに伴う生活の支援(採用前からの支援)
費用負担の発生 費用負担なし
職場だけではなく家庭も含めた広範囲の支援が可能になる 主に職場に関する支援を行う。
主に相談業務を担う
利用者⇔サービス提供者とのやり取りが基本
就労定着支援は受けれる対象が訓練等給付(障害福祉サービス・障害者総合支援法)を受けた人のみ
幅広い地域から相談が可能にする

●障害者就業・生活支援センターの行っている内容   
【就業面】就業支援担当 【生活面】生活支援担当
・就業に関する相談支援職業準備支援/職場実習のあっせん
・(就労希望者も対象とし)就職活動の支援
・職場定着に向けた支援それぞれの障害特性を踏まえた雇用管理についての企業に対する助言
・関連機関との連絡調整
・日常生活、地域生活に関する助言生活習慣の形成、健康管理、金銭管理等の日常生活の自己管理に関する助言
・住居、年金、余暇活動など地域生活、生活設計に関する助言
・関連機関との連絡調整

▼障害者雇用における合理的配慮
一盤的な合理的配慮
→匡・地方公共団体は法的義務として、民間企業は努力義務(法的義務に変わる予定)として提供する必要がある。
しかし、障害者雇用促進法では、
精神障害者の雇用義務化、従業員となった障害者に対しては必ず合理的配慮を提供しなければならないというルールが追加される(2021年次の改正より)。
障害を理由として差別の禁止と合理的配慮の提供義務が規定された。
(採用前は、障害者から事業主に対して合理的配慮の申し出。採用後は、事業主から障害者に対し社会的障壁について聞かれ、その解消に向けたアクションが取られる。)
↑ ここでは、障害者→事業主、事業主→障害者と、矢印の向きが変わっている。
過度な合理的配慮は除外され、事業主個別に判断される。


●関連用語(これが法律を理解するベースになる)
・ノーマライゼーション
  1950年代前半にデンマークで「知的障害者の親の会」から提示される。
  バンクミケルセン(障害福祉行政担当官)が、知的障害者等福祉法において「知的障害者の生活を可能な限り通常の生活状態に近づけるようにする」と定義し、「脱施設化」を進めた。
  ニィリエが1969年スウェーデンにおいて「ノーマライゼーションの原理」をまとめた。その中では8つの原理(※)が提唱された。
  ヴォルフェンスベルガーがアメリカ・カナダで普及させ、「ソーシャルロール・ヴァロリゼーション(SRV)」を提唱。
  障害者と健常者が同じように暮らすことが目的。
・インクルージョン(包括・一体性)
  ノーマライゼーション(障害者福祉の理念)と、ソーシャルインクルージョン(社会福祉の理念)は別の言葉。
  ソーシャルインクルージョンという言葉は、1980年代にヨーロッパでの社会福祉政策の理念とされてきた。
  社会的排除に対抗する概念として生まれ、個人を尊重仕様とする考えが強い。
・ユニバーサルデザイン
     施設や製品等を、人種や性別にかかわらず誰にとっても利用しやすいものとしていくこと。
  バリアフリーは主に障害者や高齢者を対象としているため、ユニバーサルデザインとは異なる考え。
・自立
  IL運動などの成果もあり、「経済的自立」を重視する価値観から、ケアを受けながらも自己決定や主体的に生きることを重視する「新しい自立感」が広まる。
・リハビリテーション
  医学、教育、職業、社会、工学など、様々な分野で用いられる。
  国連(1982)の定義では以下のように決められている。    「リハビリテーションとは、身体的、精神的、かつまた社会的に最も適した機能水準の達成を可能とすることによって各個人が自らの人生を変革していくための手段を提供していくことを目指し、かつ時間を限定したプロセスである」。
あくまで、障害者自信が自己決定に基づき自分でゴールを決められるということが重要。
   障害に関しては、「予防」「リハビリテーション」「機会均等化(=社会的障壁の除去)」の分野で問題になる。
・エンパワメント
  アメリカの公民権運動時に、黒人が差別を受けていることで生きる力を失っている状態の改善を目指すために用いられた言葉。
  ストレングス理論に基づき、強さや長所に注目する。
  社会的不利な立場に置かれた人々による自己決定や自己実現を行っていく様子。
・アドボカシー(権利擁護)
  社会的弱者の権利を擁護する活動。
・ダイバーシティ
  国籍、性別、年齢、障害の有無、性的至高性、宗教、価値観、キャリア、経験、ライフスタイル等の多様性。
・ICIDH(国際障害分類)
  1980年にWHOがICIDHを発表する。
  そこでは、障害を、原因を起点として「@機能障害」→「A能力障害」→「B社会的不利」の3つのレベルに分けた。
  →個人の障害によるものだけではなく、社会的障壁によって妨げられているという指摘も生まれる。
・ICF(国際生活機能分類)
  ICIDHに対する批判を踏まえて、個人だけの問題ではなく、個人因子と環境因子の双方向によって「障害」が作られるという認識に変わる。
  ICIDHで使われるマイナスの言葉を、ポジティブなものへと変えた。
  「機能障害」→「心身機能・構造」
  「能力障害」→「活動」
  「社会的不利」→「参加」


(※)ニィリエが提唱するノーマライゼーションにおける「8つの原理」
@1日のノーマルなリズム
A1週間のノーマルなリズム
B1年間のノーマルなリズム
Cノーマルな成長過程
Dノーマルな要求の尊重
E両性のいる生活
Fノーマルな経済生活
Gノーマルな住環境

●2023年度(令和5年)以降の法改正のポイント
・労働政策審議会(障害者雇用分科会)資料
・障害者の日常生活および社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律案の概要
・障害者総合支援法改正法施行後3年後の見直しについて〜社会保障審議会 障害者部会報告書〜

▼就労アセスメント
就労移行支援、就労継続支援に加えて、『就労選択支援』が追加される。
就労移行支援→2年で終わるため、企業に「押し出す」力も働く。
しかし、その一方で就労A,Bの人たちにとって、そこが職場になって、働きやすい場所になっている場合もある。
そして、そこで活躍していればしているほど事業所の収入に直結するので、事業所からも無理に「押し出そう」とする力が少なくなる。

企業就労できる可能性があるのに、外的要因(経験のなさで自信が持てない、事業所からの押し出し力のなさなど)で留められることがないように企業就労を選択できるような制度や環境調整を行う必要ために制度設計が見直される。
アセスメント結果や障害者本人と協同し、就労能力や適性を客観的に評価するとともに、本人の強みや課題を明らかにし、就労に当たって必要な支援と配慮を整理することで、職業を選択する。

▼障害者雇用率の設定等
・令和5年度から民間の障害者雇用率は2.7%(匡は3.0%)と引き上げることが決まった。
 しかし、経過措置として2024年4月から2.5%、2026年7月から2.7%へと引き上げることが決まった。
 そして、ノーマライゼーションの観点から、除外率を無くそうとする動きがあり、除外率は段階的に引き下げられている。

・10時間〜20時間未満で働ける特定の障害者を、雇用率の算定に追加されるようになった。
 重度身体障害、重度知的障害、精神障害の人を対象に、0.5人としてカウントする(あくまで重度のみ)。
 (とくに精神障害の分野で多い働き方)→特例給付金を廃止し、雇用を促進して移行する流れに。

・障害者雇用調整金の支給方法を見直し、助成金の強化。
 調整金の支給額が2万9千円に変更になった。
 法定雇用率を上げれば上げるほど、5万円/人の納付金(罰金)が徴収できなくなり、雇用の質向上のために使える助成金が支払えなくなる。→制度として限界を迎える
 →100人以上働いている企業の場合、10人を超えて採用する場合、2万3千円/人(つまり、元来2万9千円から6千円減)とする。
 →報奨金について、支援対象人数が35人を超えて採用する場合、1万6千円/人(つまり、元来2万1千円から5千円減)とする。



■聴覚障害に関する基礎知識・福祉と運動・自立と社会参加

◆出題ポイント
A.聴覚障害者の基礎知識
 1.聴覚障害とその特性
  →ろう・難聴・障害の原因、聞こえの程度等
 2.聴覚障害と社会環境
  →コミュニケーション障害、情報障害等
 3.聴覚障害と重複障害等
  →重複障害の現状、高齢化

B.聴覚障害者の福祉と運動
 1.聴覚障害者福祉の現状
  →聴覚障害者福祉の歴史、現状、動向等
 2.聴覚障害者運動の現状
  →聴覚障害者運動の歴史、現状、動向、課題等

C.聴覚障害者の自立と社会参加
 1.聴覚障害者の教育
  →学校教育、職業教育、生涯教育
 2.聴覚障害者とコミュニケーション
  →手話、口話、筆談等
 3.聴覚障害者と社会生活
  →聴覚障害者の就労等
 4.聴覚障害者と援助サービス
  →補助具、社会的資源、援助活動等

★特に、下記は、ほとんどの試験で頻出
・耳の仕組みと働き、難聴の種類と原因、聴力検査などの聴覚生理
・補聴器の種類や特性、人工内耳の適用基準、新生児スクリーニング検査
・特別支援教育や制度に関しても載っている、文部科学省の特別支援教育の資料
・聴覚障害情報提供施設

A.聴覚障害の基礎知識
聴覚障害は、聞こえる、聞こえないの程度がバラバラ。
補聴器付けて聞こえる場合もあれば、そうではない場合もある。
補聴手段の選択は、その人のアイデンティティと密接に関わるものである。
聴覚障害者全体で約35万人いると推定されている。
→このうち手話でコミュニケーションをする人は、平成8年ごろには14%いると言われている。
一方、手話研究の発達・普及に伴い、手話に興味を持つ人が増え、14%から増えていることが考えられる。
一般的に、身体障害者福祉手帳の等級は、1〜7まである。
だが、聴覚障害は、2〜6まである(1,5,7級はない)。
→5級がないのは、4級と6級の差がわずかでしかないこと。そして1級がないのは、他の障害状況に比べ、1級に達しないとされる状況だからという説がある。
                                         
障害等級 聴覚障害 平衡機能障害
1級 なし なし
2級 両耳の聴力レベルがそれぞれ100デシベル以上のもの なし
3級 両耳の聴力レベルが90デシベル以上
平衡機能の極めて著しい障害上のもの
平衡機能の極めて著しい障害
4級 A.両耳の聴力レベルが80デシベル以上のもの(耳介に接しなければ話音声を理解しえないもの)
B.両耳による普通話声の裁量の語音明瞭度が50パーセント以下のもの
なし
5級なし平衡機能の著しい障害
6級A.両耳の聴力レベルが70デシベル以上のもの(40センチメートル以上の距離で発生された会話語を理解しえないもの)
B.1側耳の聴力レベルが90デシベル以上、他側耳の聴力レベルが50デシベル以上のもの
なし

▼失聴の原因
・先天性聴覚障害
→生まれつき(妊娠中のウイルス感染や、遺伝性要因等)

・後天性聴覚障害
→中耳炎、薬物による難聴(ストレプトマイシンなど)、老人性難聴、メニエール病、事故等…。

▼聴覚障害の分類
・ろう者
    うまれつき、あるいは幼少期から聞こえず、手話を第1言語としている人
  ※全国ろうあ連盟と、一部のろう者との間には、対立が生じている。それは、ろう者を「日本手話」を用いる言語的少数者と限定的とする立場と、対応手話・日本手話をすべて「手話言語」とする立場との間との対立である。

・難聴者
  軽度から十度まで様々、補聴器の活用や有用性も様々
・老人性難聴
  耳の老化によって聞こえが悪くなった状態

▼コミュニケーション方法
口話、筆談、空書き、指文字、手話、身振り、ICT技術の活用、盲ろう者用の触手話、接近手話

▼聞こえない、聞こえにくい人と社会的不安
・聴者と見た目が同じで、障害が外から見えない
 →声掛けが通じないなどで、誤解を受ける
・音の感覚が希薄で、音を出しているという自覚が薄い
・集団での活動に参加しにくい(何話しているのか分からないから)
・災害など緊急時の不安

B.聴覚障害者の福祉と運動
出題傾向としては、国内関係(差別に対する取り組み、手話言語法制定の動き、当事者団体の動き)、国際関係(障害者の権利条約、世界ろう者会議等)の動きなど、歴史や現状、動向が出題されている。
→ろう者運動の歴史、当事者団体の名称や設立年、最近の法改正や災害対策の動向、障害者権利条約に関連する国内法の法整備の動き、通訳運動について、整理を行っていくことが重要。

 ろうあ連盟は、ろう者が聞こえる人と同じ人間として生きていくために社会からの冷遇と戦ってきた。現在でも全体的に行政とろう当事者団体との連携が少ない状態になっている。
 特にその中でも、ろうあ運動においては「運転免許獲得運動」「手話通訳の制度化」「聴覚障害者センター」「民法第11条の改正」の4つの柱を掲げ運動を行ってきた。

▼「運転免許獲得運動」
▼「手話通訳の制度化」
▼「聴覚障害者センター(聴覚障害者情報提供施設)」
 聴覚障害者が利用する字幕入りの録画物の制作や貸し出しを低額(あるいは無料で)行い、手話通訳者、要約筆記者の派遣、聴覚障害者に関する相談を行う。
 1990年に法改正により設置されることになった(身体障害者福祉法34条が根拠法)。
 国が2分の1の費用を負担し、運営がなされている。
▼「民法11条改正」

その後、障害者の暮らしを守るために、様々な法律が可決されてきた。

・障害者権利条約(2006年12月13日に国連で採択、そして2008年5月3日に発行)
  日本では、批准するために足りない国内法を整備し、対応した。→障害者総合支援法、障害者基本法(2011年7月)、障害者差別解消法などの整備
  そして権利条約を批准したのは2014年1月20日に批准、2月19日に施行
・障害者基本法
 →「言語(手話を含む)」と法律で記載された。
・障害者総合支援法
 →2012年に成立し、制度の谷間の障害者(具体的には、身体障害者福祉法に則り障害者手帳を交付されてない人々)に対する支援を充実させた
・障害者差別解消法
 →2016年4月に公布。合理的配慮の成立など、聴覚障害者の情報保障の環境が整備されるようになった。
・障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法
 →2022年5月25日から施行。障害者が情報にアクセスしやすくなった。
・手話言語法案


 従来、ろう者は「結婚を認められない」「公務員になれない」「手話は手真似であり劣ったもの」「考える力が弱い」など、優生思想に基づき、医学モデル的な視点で「手話の否定」「障害のない人が中心の社会に合わせる」「障害の克服」が求められてきた。
→そこから、「社会モデル」の考えを広め、「手話は聞こえない人にとっての社会参加の大きな力」とする活動が展開されていった。

・緊急時の対応
 事故の対応などが、24時間ではなく定時での対応になっていたりする時もある。
 ICTなどによる、遠隔手話通訳サービスの普及が望まれている

■優生保護関連法
1948年   優生保護法の成立
       →人口増加や強姦による問題が背景。
      当時、強制、同意関係なく、多くの人が不妊・中絶手術がなされた。
       →同意があったと言っても、それはほぼ強制的なものであり、拒否権などなかった(女性障害者が7割を占める)。
1995年   優生保護法が廃止され、母体保護法が成立する

全国で、優生保護の関する訴訟が行われている。
 その中で、聴覚障害に関係するのは5か所(兵庫、大阪、富山、福岡、愛知)で行われ、13人(うち2名は死亡)が裁判で争われている。
 →違憲であると認められたものの、不法行為の除斥期間(手術から20年後)に該当するため、賠償請求が無効とする判決がなされている。
  →その後、国が「障害者に対する差別・偏見を正当化し、助長してきた」とし、原告が訴訟を起こすための情報や相談機会へのアクセスが著しく困難な環境にあり、「除斥期間」をそのまま適応することは著しい正義・公平の理念の反するとして、逆転勝訴!匡へ賠償を命じた。
   →その後国は上告しているので、その後の動向を見ていかなければならない。

C.聴覚障害者の自立と社会参加
障害者介助等助成金の交付対象が、1〜3級から、1〜6級へと拡大した。
しかし、活用する企業が少ない

・助成金を申請する手続きが煩雑
・助成金があることを知らない
・助成金に応募できる条件が厳しい等…

※コロナ禍による収入減や、就職場所の減少など、コロナによる影響も調べておく必要あり。

■手話通訳のあり方について
手話通訳場面における適切な動き方についての出題が多くなされている。
その他、「政見放送にかかる手話通訳士の倫理要綱」や手話通訳運動の歴史、世界手話通訳者協会の設立年度などの問題も出題されている。

《出題範囲》
1.【手話通訳者の役割】
@聴覚障害者のニーズと手話通訳者の役割
A手話通訳者の倫理と責務

2.【言語・文化・コミュニケーション】
@ことばと社会
A手話の特徴
B異文化理解
Cコミュニケーション

3.【通訳理論】
@通訳過程とモデル
A通訳形態と方法
B通訳技術

4.【手話通訳の実際】
@手話通訳実施上の留意点
A手話通訳の技法

5.【手話通訳者としての一般教養】 @手話通訳を取り巻く動向
A手話通訳者に求められる対人援助技術
B時事問題


1.【手話通訳者の役割】
従来は「手話通訳士倫理要綱」の条文からの出題や、手話通訳場面の事例をとおして、手話通訳の適切な判断や動き方を問う問題が多い。

▼【手話通訳士倫理綱領】
1997年5月4日 「日本手話通訳士協会第8回定期総会採択」より抜粋
私たち手話通訳士は、聴覚障害者の社会参加を拒む障壁が解消され、聴覚障害者の社会への完全参加と平等が実現されることを願っている。このことは私たちを含めたすべての人々の自己実現につながるものである。私たち手話通訳士は、以上の認識にたって、社会的に正当に評価されるべき専門職として、互いに共同し、広く社会の人々と協同する立場から、ここに倫理綱領を定める。

1.手話通訳士は、すべての人々の基本的人権を尊重し、これを擁護する。
2.手話通訳士は、専門的な技術と知識を駆使して、聴覚障害者が社会のあらゆる場面で主体的に参加できるように努める。
3.手話通訳士は、良好な状態で業務が行えることを求め、所属する機関や団体の責任者に本綱領の遵守と理解を促し、業務の改善・向上に努める。
4.手話通訳士は、職務上知りえた聴覚障害者及び関係者についての情報を、その意に反して第三者に提供しない。
5.手話通訳士は、その技術と知識の向上に努める。
6.手話通訳士は、自らの技術や知識が人権の侵害や反社会的な目的に利用される結果とならないよう、常に検証する。
7.手話通訳士は、手話通訳制度の充実・発展及び手話通訳士養成について、その研究・実践に積極的に参加する。


・手話通訳の要綱問題(地域間格差)
  通訳要綱が地域によって異なり、派遣できる現場、派遣できない現場がバラバラである。

2.【言語・文化・コミュニケーション】
広く分野を問わずに出題される。

▼【ことばと社会】
主に社会言語学の分野からの出題がなされる。
【用語】

▼【手話言語の特性】
手話の言語学的な分野に関する問題が出題される。
【用語】
▼【非言語コミュニケーション】
 言語によらないコミュニケーションの事を指す。
 メラビアンの法則によれば、人間は相手の感情を読み取る上で視覚情報が重要であることを発表した。
 非言語コミュニケーションには、身体動作(手の動き方や頷きなど)、身体的特徴(髪型・服装など)、接触行動(ハグ等)、近言語(意味のない言語)、人工物の使用(アクセサリー)、環境等(照明の明るさ等)がある。

▼【手話とジェスチャー・非言語コミュニケーションの種類】


3.【通訳理論】
▼通訳過程とモデル
【手話通訳の実施過程】
1.準備過程
  手話通訳事業の設置通訳者、またはコーディネーターが聴覚障害者などからの依頼を受けて、設置通訳者or登録通訳者のどちらの誰が担当するか判断して派遣を決定し、通訳者が現場で働くまでの過程を指す。
2.実施過程
  手話通訳現場で聴覚障害者を対象として実際に通訳する過程。
3.評価過程
  手話通訳者が通訳を終えて、手話通訳の準備過程を実施過程について考察と評価を行い、登録手話通訳者であれば手話通訳報告書を作成して窓口担当者に提出し、報告書をもとに手話通訳事業を実施している事業体がその後の手話通訳事業の実施について継続・改善をしていく過程を指す
                                            
通訳のモデル名称
内容
ヘルパーモデル 家族、友人、教師などの身近な人が無償で手助けとして行う手話通訳
水路(導管)モデル 機械のような、黒子的な手話通訳を行う
何も足さず、何も引かず、変えないでそのまま伝えることから、通訳者は「透明な存在」と形容されるようになる
コミュニケーション促進モデル 手話通訳者が中立的な存在(透明な存在)であることで、コミュニケーションを促進するとする
二言語・二分化専門化モデル 利用者は多言語集団・少数言語集団に所属すると見て、専門性をもって手話通訳を行おうとする
認知モデル手話通訳者のパーソナリティ等が通訳表現に影響を与えるとする
相互作用モデル利用者の文化的背景を考慮し、環境の調整やコミュニケーション上の調整技術に焦点を当て、手話通訳者が調整を行う
社会言語学モデル手話通訳プロセスに言語の認知、語彙、統語、意味、文脈、関連事項、文化認識、物理要員、心理要因等のポイントを社会言語学的に捉える

B通訳技術                                                                      
通訳トレーニング 内容
シャドーウィング(表現力向上) 表現者の表現した手話または音声語を、直ちにマネして同じように手話又は音声語で表現する。
正確に読みとることが求められる。
デカラージシャドーウィング(表現力向上) 表現者の表現した手話または音声語を、1〜3語遅れて真似するトレーニング。
表現者の表現を見て保持する力、次の表現を確認しながら保持した内容を再表現していく力を高める。
イントラトレーニング・イントラリンガル(翻訳技術向上) 表現されたメッセージを同言語内で言いかえるトレーニング。他者のメッセージの内容を正確に捉え、自分の言葉で置き換えることで語彙力の幅を広げることができる。
サマリートレーニング(翻訳技術向上) 表現されたメッセージの主題を要約して、同言語で表現するトレーニング。メッセージを損なうことなく、キーワードを抽出して要約することが重要である。
主題を把握する力、メッセージの理解力、再構成する力を高める目的がある。
逐次通訳トレーニング(翻訳技術向上)相手から出されたメッセージを一定のまとまりで止めて、その翻訳を随時行うトレーニング。
通訳者は対象や場面に応じて、メッセージの意図や、受け手に伝わったかどうかなどを確認する。
まとまりのある文として表されたメッセージを、十分理解した上で正確に翻訳する力を高めることができる。
同時手話通訳トレーニング(翻訳技術向上)表現されたメッセージを、音声/手話で翻訳するトレーニング。
上記のイントラリンガル、サマリー、逐次通訳などのトレーニング能力が総合的に求められる。
クイックレスポンス流れてくる単語や短文などをすぐに訳していく通訳練習方法。
サイトランスレーション見たものをすぐに訳出していくトレーニング。原稿読訳とも言う。
情報処理能力の向上につながる。
リプロダクションフレーズ・センテンスで区切ってメッセージを聞き/見て、聞き/見終わってから該当箇所をそのままの言語で再生する。
ラギングとは…。

〇その他関連用語 5.【手話通訳者としての一般教養】
▼【手話通訳を取り巻く動向】
令和元年の「手話通訳士実態調査報告書」(社会福祉法人聴力障害者情報文化センター手話通訳士実態調査事業委員会より)によると、手話通訳士は3714人存在する。
そして、2019年までの受験では、平均2.7回の受験で合格している。
学習歴としては、平均10.4年で合格している。
〇学習歴
・5年未満→14.6%
・5年〜10年未満→31.5%
・10年〜15年未満→28.0%
・15年〜20年未満→12.9%
・20年以上→9.7%

★現代の手話通訳者の課題
・通訳者の働く場問題
 通訳者の派遣が行われていても、事業に手話通訳者が設置されている場合がかなり少ないことが問題になっている。
 →原因として「手話通訳」の仕事だけで正規雇用される事は少ないこと、雇用条件や労働条件が不十分な現状がある。
  →これは、いままで通訳活動を担ってきた主婦層が動きやすいような制度設計になってきたことが原因として考えられる。
   さらに、通訳者の平均年齢も50代と言われ、高齢化が進み、若い通訳者育成が課題になってきている。
   通訳以外で手話を活かせる仕事が少ないということも、若者の手話学習が続かない→通訳者が育たない原因になっている。
   (現状は、合理的配慮の提供義務化により、事業所等の中で手話通訳者を配置していこうとする団体が増えているが、通訳者の「派遣はしても設置」する事業は少ない。)
    言語としては面白くても、仕事にできなければ続ける人が少なくなるというのは自明である。

▼【手話通訳者に求められる対人援助技術】

▼【時事問題】

〇主要参考文献、及びサイト
・林智樹,2017『必携 手話通訳者・手話通訳士ハンドブック』.
・社会福祉法人全国手話研修センター,2021『手話通訳者養成のための講座テキスト』.
・手話通訳士育成指導者養成委員会編『手話通訳の理論と実践 −手話通訳者養成のために−』一般財団法人全日本ろうあ連盟.
・一般財団法人全日本ろうあ連盟,2004,『手話通訳者養成講座実践課程指導書』全国手話研修センター.
・木村晴美・岡典栄,2019,『手話通訳者になろう』白水社.
・ウスター宣言 障害保険福祉研究情報システムのサイトより
・聴覚障害者情報文化センターサイトより
・「咲む」 公式サイト
・日本手話言語法案全日本ろうあ連盟の公開するPDFより。


■関連団体

◆日本手話通訳問題研究会
http://www.zentsuken.net/
手話通訳派遣問題とろう者の人権を考える会

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■その他の情報

◆2005/03/21 第2回手話通訳派遣問題とろう者の人権を考える会 集会


*作成:甲斐 更紗
REV:....20030923, 20090125, 1119,1218, 20110706, 20230627
聴覚障害・ろう(聾)  ◇情報・コミュニケーション/と障害者
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