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日本解放社会学会の学会誌『解放社会学研究』に掲載される予定の『精神病院体制の終わり』書評へのリプライ
http://www.arsvi.com/ts/20160029.htm
を(超)細切れにして載せていくという、その第8回。
フェイスブックに載せているこの文章は
http://www.arsvi.com/ts/20162274.htm
にもある。
■リプライの前に・2
こうしてまず私が本書で書こうとしたことは、仕組み、それができたり変わらなかったするその「政治過程」といったものだ。調べてみて、知らなかったことが多かった。そのことには一定の意味があると思う。こうしてこれは、どちらかということ「外枠」から見ていこうという本である。
そして「提言」の部分も、まずここからならできるだろう、このぐらいはできるだろうというものだった。それらは当たり前のことのように私には思えるものたちだったが、どうもそうでないようにこれまで「改善」が語られてきたことがわかって、ならば、言っておこうと思ったのだ。それらについては評者が短く紹介してくれているからそれを見ていただければよい。
ただ加えると一つ、とさらにこの場を借りて、「精神の方面」にとくに関心がない人でも関心があるのではないかという部分の宣伝を続ける。第Ⅰ部の第3章が「地域移行・相談支援」。一九九〇年代後半に出てきた「ケアマネジメント」というものがしきりに言われるようになるとともに、それに反対する動きが現れた。この本を書く過程で思い出したのだが――つまりそれまで忘れていたのだが――私はその反対の側の人たちに付いて、いっしょにそれを批判する文章を書くといったことをしてきた。同時にそのケアマネジメント反対派の人たちは、地域での生活に関わる相談・支援の仕事に関わりそれに対する政府の支援を求めたのでもあった。するとその2つのことはどのような関係になっているのか。ただ「当事者(主体)」の有無といったことではないはずである。そしてそこにあった論点は現在にも持ち越されているところがある。そこでそのことを振り返りながら、昨今のことをどのように見るかというのはけっこう重要なことだと思って、その章を書いた。ご覧いただければと思う。