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精神医療の方に行かない(書評リプライ09)

「身体の現代」計画補足・275
https://www.facebook.com/ritsumeiarsvi/posts/1819273261672986

立岩 真也 2016/12/15

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『精神病院体制の終わり――認知症の時代に』表紙    『造反有理――精神医療現代史へ』表紙
[表紙写真クリックで紹介頁へ]
 所謂相模原事件が起こった7月26日の後、ここで「分載」している『精神病院体制の終わり』書評のリプライ
http://www.arsvi.com/ts/20160029.htm
は8月5日頃に書いていた。以下に出てくる『現代思想』掲載の文章、次の10月号掲載の文章、12月号掲載の文章をなおし、そして杉田俊介の文章と、杉田との対談(討議)を加えた本『相模原障害者殺傷事件――優生思想とヘイトクライム』が12月19日に販売になる。
http://www.arsvi.com/ts/2017b1.htm
第T部第1章が「精神医療の方に行かない」。1本章に書くこと、2事件後述べたこと、3脅威に対してまず言われたこと、4加えて言わねばならないこと、5確率、6自傷には関わる余地があること、7他害に関わらなくてよいこと、8現行犯として刑事司法が対応すべきこと、9しなくてよいと言ってもすると言う人たちはいるのだが。
 また関連して、相模原市の障害者支援施設における事件の検証及び再発防止策検討チーム2016/12/08『報告書――再発防止策の提言』が出されたことを受けて、2016/12/09「拙速で乱暴な仕組み」、『京都新聞』2016-12-9朝刊:3
http://www.arsvi.com/ts/20160042.htm
 「この事件の容疑者が精神科に措置入院させられたことから出発してしまい、精神医療の対応のあり方の問題が主とされてしまっている。だが憎しみや攻撃に対し、精神障害という捉え方、精神医療という対応がよいかどうか、報告書を読んでも、この相模原での事件に限っても少しも明らかでない。…」
 短く言うとこの記事のようになり、もっと説明すると本の第T部第1章になる。とともに、もっと考えることがあることを思った。

 フェイスブックに載せているこの文章は
http://www.arsvi.com/ts/20162275.htm
にもある。


 「■リプライ
 他方、本人が「医療」と接する場面をどのようにしたらよいのかについては、現になされている「医療」がどうなっているか知らないということもあり、また理屈的にも難しいと思うから、書けないできた。誰か、例えば評者にも考えてもらいたいと思ってきたし、今もそういう他力本願な気持ちでいる。本書でも、「問題は、結局は「他害」「社会防衛」を巡っている。それにたいしてたいしたことを言えないのは『造反有理』の時と変わらない」(p.149)と記している。
 ただそんなことを思っている間に、この原稿の締切の直前、まだ1字も書いていなかった7月26日、19人が殺害され26人が傷を負うという事件があり、その容疑者に措置入院歴があり、そのことが取り沙汰されるということがあった(このリプライを書いているのは8月5日)。それでコメントを求められたり短文(立岩[2016b])を書くことにもなった。依頼はそのずっと前だったが、『精神医療』という雑誌(→『造反有理』)に書く文章(立岩[2016e])もそのことに関わることになるだろう。「加害(の可能性)」のことは前から気にはなっていて『現代思想』での連載でもすこし書きかけてはいる(立岩[2016a])。そして同じ雑誌の9月号の特集が「精神」の関係らしいので、連載の代わりにその事件に関わることを書こうとしている(立岩[2016c])。ここでは短く。
 評者が示しているように、私は「強制」を否定していない。その立場は変わらない。これからも変わらないと思う。ただ、誰がどのような場合にどのように強制力を発動するのかという問題がある。それはこの本では――病院の問題のされ方がぬるい、だからまずもっとましで常識的なことだけでもやろうという――その話の作り方からして、きちんと考えられていない。だからこれから考えようというのだが、とりあえず言えそうなことを記しておく。」

立岩真也 2016a 「加害のこと少し――生の現代のために・8 連載 119」,『現代思想』2016-1 ※
―――― 2016b 「事件に」,共同通信配信(『新潟日報』『静岡新聞』『高知新聞』他掲載) ※
―――― 2016c 「7月26日の事件に」,『現代思想』2016-9
―――― 2016d 「意思決定支援を巡る基本的論点」,障害学国際セミナー 2016「法的能力(障害者権利条約第12条)と成年後見制度」,於:立命館大学 ※
―――― 2016e 「強制・国家権力を肯定し、その先を考える」,『精神医療』84


UP:201612 REV:
立岩 真也  ◇Shin'ya Tateiwa  ◇病者障害者運動史研究  ◇身体の現代:歴史
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