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若年非正規労働者による労働組合のニュースなど 2007年1月から6月

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製作:橋口昌治* 2007.07-


■(メガロポリス 街ひと)フリーターの声、聞いて 大卒4人が雑誌創刊
(朝日新聞 2007年6月14日)
 Megalopolis

 フリーターや日雇いなど不安定な身分で働く若者が抱える労働問題について、当事者の声を発信する雑誌「フリーターズフリー」が今月、創刊した。編集した のは、埼玉県所沢市の大澤信亮さん(31)ら30〜40代の4人。いずれも大学を卒業後、フリーターになった。同世代や周辺で貧困や格差が広がる現実に 「一矢報いたい」と立ち上がった。(赤田康和)

 創刊号では、自動車工場で期間従業員として働いてきた静岡県の男性(30)や日雇い派遣で働く20歳代女性らにインタビューした。自動車の部品組み付け やサンドイッチ製造の流れ作業の経験を語っており、厳しい現場の風景が浮かび上がる。
 首都圏青年ユニオン書記長の河添誠さんへのインタビュー、フリーター問題で売れっ子の論客、作家の雨宮処凛さんの論文なども掲載した。
 フリーター問題をめぐっては、「正規の仕事に就かなかった自己責任ではないか」との批判がつきまとう。そんな中で、フリーター自身の「生の声」を世に発 信していくのが雑誌の狙いだ。
 編集の中心となった大澤さんは「非正規の労働者を企業は必要としている。社会構造の問題を指摘すると同時に、自分たちの問題も考えていきたい」。雑誌の 題には「フリーターにとっての自由の意味を自ら問い直したい」との思いを込めた。
 大澤さんは慶大大学院修了後、塾講師などのアルバイトを経て、2年契約で映画専門大学院大学の助手となった。週32時間労働で月収は約9万円程度。フ リーで雑誌編集などの仕事をして収入を補っている。
 フリーターへの批判が今より更に強かった02年ごろ、大澤さんはネットのホームページで反論した。その文章に「共感した」と電子メールで連絡してきたの が川崎市の杉田俊介さん(32)だった。杉田さんも大学院卒だが、交通事故で借金を背負い研究者への道をあきらめ、フリーターになった。今はNPO法人職 員として障害者の介助の仕事をしている。週約40時間労働で月収は約13万円。フリーター問題についての著書もある。
 2人は会って話すうちに意気投合、フリーター問題をテーマにした雑誌発行を計画した。日雇い労働者で、野宿者支援活動もしている生田武志さん(43)、 東京都中野区の非常勤公務員栗田隆子さん(33)も加わった。
 発行は年1回の予定。20日から発売開始する。インターネットなどの先行発売は好調で約200冊が売れた。
 発売元は人文書院、税抜き1500円。全国の主要書店で入手できる。ホームページは、http://www.freetersfree.org/

 ◆キーワード
 <フリーター> 総務省統計局の調査では、05年のフリーターは201万人。若年無業者は95年は45万人だったが、05年は64万人。内閣府の意識調 査によれば、フリーターが正社員にならない理由は「条件にこだわっていないが正規の職がない」が17・1%、「近くに正規の職がない」が14・6%。「勤 務時間などが自分の都合に合わない」とした人は18・5%。望んでフリーターを選んだ人は少ないことがうかがえる。

 【写真説明】
ネットラジオ番組に出演した杉田俊介さん(左端)が、大澤信亮さん(中央)、栗田隆子さんと雑誌を販売した=8日午後、東京都渋谷区で、関口聡撮影

■0519
□「もう我慢の限界だ」 フリーター労組がデモ、福岡で (朝日新聞)

 福岡市の天神・大名地区の路上で19日、フリーターなど低収入で不安定な暮らしを強いられている若者たちがデモ行進をした。デモ隊は台車にステレオを載 せ、大音響でダンス音楽を鳴らしながら「もう我慢の限界だ」「まともな仕事をよこせ」「フリーターを使い捨てるな」などとマイクで絶叫、自分たちの「生き づらさ」を訴えた。買い物客らで混雑する夕方の繁華街は一時、騒然とした雰囲気に包まれた。

デモ行進するフリーターユニオン福岡の人たち=19日午後6時すぎ、福岡市中央区大名で
 フリーターなどでつくる労組「フリーターユニオン福岡」(小野俊彦執行委員長)の主催。「五月病祭」と名付けられ、主催者発表で約90人が参加した。 「生きさせろ!難民化する若者たち」などの著書がある作家、雨宮処凛(かりん)さんが「景気回復は(低賃金で働く)フリーターのおかげだ」とシュプレヒ コールを上げると、沿道の若者たちから拍手と歓声が沸いた。

 デモの前には、同市中央区の教会で、雨宮さんが「生きづらさの変化」と題して講演。「いまの政治は『役立たずは早く死ね』と、生存権の切り崩しを進めて いる」などと主張した。」


■0519
□16歳「茶髪」少女 バイト先からクビ通告 個人で労組へ

 ビジュアル系バンドや少女漫画が好き。そんな16歳の少女が、髪の色を理由にアルバイト先の店長から突然、クビを通告された。「納得できない」。彼女は 闘うことを決めた。個人加盟できる労働組合(ユニオン)に入り会社と交渉、撤回させた。

アルバイト先と団体交渉をした福家菜津美さん

 東京都練馬区の福家(ふくや)菜津美さん(16)は昨春、中学を卒業。高校には進まず、母と姉の3人暮らしの家計を支える。

 週5日、朝8時から夕方5時まで牛丼チェーン店で働く。さらに週2、3日は午後6時から9時半までファミリーレストランで。ダブルワークで月収は約16 万円。高卒認定試験(旧大検)をとって大学に進み、獣医師になるのが夢だ。

 ところが3月、ファミレスの新店長に「髪の色を黒くしなさい」と指示された。極端な茶髪ではないし、店では規則通りに束ねている。1週間考えた後、拒否 した。店長からは「それなら一緒に働けない」と告げられたという。「1年間、一生懸命働いて時給も20円あげてもらった。それが髪の色だけで否定されるこ とが悔しかった」

 首都圏青年ユニオンに入って交渉することにした。4月の団体交渉には、同ユニオンの16人が支援に駆けつけてくれた。会社側は「解雇通告だというのは誤 解」と説明。店長の「クビ」発言についてもはっきり認めない。だが福家さんは「一緒に働けないと言われたら、クビと同じじゃないですか」と思いをぶつけ た。交渉の結果、会社は、髪を黒くしなくても今まで通り働くことを認めた。

 福家さんは20日に東京・明治公園である「全国青年雇用大集会2007」で体験を話す。

 「16歳でも、働く人の権利を知らないと絶対損をする。何も知らなければ、何も言うことができません」


■0512
□<派遣労働者>労災急増 「日雇い」増え仕事不慣れ (毎日新聞)

 派遣で働く労働者の労働災害事故が急増していることが、東京都内の派遣業者を対象とした東京労働局の06年の調査で明らかになった。前年に比べ5割近い 増加となっている。急増の背景には、日々派遣先が変わる「日雇い派遣」が増え、仕事に不慣れなことがあると見られる。派遣労働者の労災実態が明らかになる のは初めて。
 東京労働局は、労働者派遣法の改正で製造業などへ派遣の範囲が拡大されたことを受けて、05年から派遣労働者の労災状況(死亡、けが)の調査を始めた。 全国に労働者を派遣している都内に本社を置く派遣事業者の報告件数などをまとめた。
 それによると、06年の同局管轄の死亡災害は99人(前年比15人増)で、けがは1万78人(同169人増)。
 このうち派遣労働者の死亡災害は2人(前年ゼロ)、けがは401人(同268人)となり、49.6%増となった。
 業種別では倉庫・運輸が150人▽製造82人▽事務51人――などで、倉庫・運輸と製造で全体の58%を占めた。また年齢別では30代が123人で最も 多く、20代が109人。20歳未満の7人を加えると若年の被災者が全体の6割にのぼった。また、被災者のうち仕事の経験が1年未満の労働者が6割だっ た。
 死亡した労災は、造園事業に派遣され、マンションの樹木の剪定(せんてい)作業中にはしごからコンクリートの路上に落下したケースと、事務職の派遣で外 階段を移動中に突風を受けて転落したケースだった。けがでは機械に挟まれたり転落などが多く、1カ月以上の休業が必要な人は142人いた。荷物を持ち上げ る際に腰を痛める、プレス作業中に左手を挟まれるなど経験と安全教育が不足しているのが目立った。
 同局では「正社員に比べ安全教育がおろそかになりがちで、注意を呼びかけたい」と話している。
 派遣労働者の労組「派遣ユニオン」の関根秀一郎書記長は「日々違う現場に派遣される日雇い派遣の増加と軌を一にするように労災の相談も急増している。解 体片づけ現場でのクギの踏み抜きなどのけがは日常茶飯事で安全教育の欠落を感じていたが、数字的にも裏付けられた。派遣業者が安全衛生教育の脆弱(ぜい じゃく)さを何とかしない限り派遣労働者の被災は増え続けるだろう」と話している。【東海林智】
 ◇全国の労災死者、建設業最多508人
 06年の労働災害による全国の死亡者数が、統計を始めた1948年以来過去最少の1472人(前年比42人減)となったことが11日、厚生労働省のまと めで分かった。一方、一度に3人以上の労働者が被災する重大災害は318件(同53件増)と74年以降では最多となった。
 死亡者の内訳は、建設業が508人と最多だった。交通事故での被災が前年から81人の大幅減となり、過去最少の要因となった。重大災害はノロウイルスな ど病院施設内の病原体感染などが、増えたことの要因となった。


■0430
□長居公園1日テント村 明るいビンボー★メーデー
 http://binbomayday.hp.infoseek.co.jp/

□自由と生存のメーデー07──プレカリアートの反攻
 http://mayday2007.nobody.jp/

■0429
□残業代払われてる?東京・渋谷 「すき家」前で宣伝(しんぶん赤旗)

 「残業代払われていますか?」。若者たちでにぎわう東京・渋谷駅前のセンター街で、首都圏青年ユニオンに加盟する青年ら約十数人が二十八日午後、「ユニ オンに入って残業代を払わせよう」と書かれた横断幕やパネルをかかげて、「残業代不払い一掃」をアピールしました。宣伝行動を呼びかけたのは、五月二十日 に明治公園で開かれる「全国青年大集会2007」の実行委員会。二月二十四日にとりくんだ「すき家」前宣伝第二弾として企画されました。

 「若者に仕事を」「政府は、若者みんなが働けるルールをつくってください」と書かれたのぼりをかかげ、渋谷センター街の牛丼チェーン店「すき家」前で 「牛丼『すき家』は残業代を法律どおり払え」と訴えるメンバー。集会案内のビラやユニオンの紹介リーフレットを元気に配るメンバーらを、若者たちが携帯カ メラで撮影する光景も。

 首都圏青年ユニオンの河添誠書記長は「どんどん撮ってください。友だちにもどんどん、こういうことを知らせてください」と呼びかけます。

 河添さんは「センター街にくる若い人たちは残業代ももらえず、社会保険にも入ってない青年たちがたくさんいます。5・20集会やメーデーに参加しません かと呼びかけて、楽しく仲間を広げていきたい」と話していました。

■0428
□ネットカフェ難民増大
食事はスープ もう2年近くいる 青年大集会実行委 政治に解決求める(しんぶん赤旗)

 「仕事をやめて二年近くネットカフェに住んでいる」「夜はいつも満席。スーツ姿の人が半分」―。懸命に働いてもアパート代さえ払えず、インターネットカ フェで寝泊まりするため"ネットカフェ難民"と呼ばれ社会問題となっている青年の実態調査結果が二十七日、発表されました。

 五月二十日に東京・明治公園で開く「全国青年大集会」実行委員会が行ったもの。東京、大阪、愛知、福岡など全国十九地域、三十四店舗前で八十四人と対話 し、三十七人からアンケート回答が寄せられました。

 東京都大田区の男性(24)は、アパート代が払えず二年間カフェ暮らし。午後四時にカフェを出て、翌日の午前六時に帰ってくる生活で、「仕事が不安定で いつ収入がなくなるか分からず、アパートを借りられない。年金も健康保険もない。同じように住んでいる人が三十人くらいいる」。

 東京都渋谷区の二十代の男性は飲食店の正社員ですが、仕事が忙しくて午前八時から午後十一時まで働いており、家に帰ると寝る時間がなくなるため、週に六 日はネットカフェに泊まり日曜日だけ帰ります。

 「以前は金もうけを追求していたけど、いまは当たり前の生活ができることが幸せなんだと思うようになった」

 「月収八万円。家に帰ると親に『なにしとったんや』といわれるので、ネットカフェによく泊まる」(奈良)など、フリーターなどで家庭や社会の中に居場所 がもちにくいため、カフェ暮らしをしている人もいました。

 店舗からの聞き取り調査では「常連さん」(長期滞在者)が増えており、全国に拡大していることも分かりました。

 東京都内で記者会見した首都圏青年ユニオンの河添誠書記長と民青同盟の清沢達也副委員長は、「青年の貧困は予想以上に広がっている」と強調。「個人の努 力だけで解決できる問題ではない。政治や行政が役割を果たすべきだ」とのべ、「五月二十日に開く集会では青年の切実な願いを集めて、解決を求めていきた い」とのべました。

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利用者の声から
 東京・蒲田 男性(24) 2年くらいずっといる。テレビ局で1日中働かされ、心も体も疲れて退職。収入が減り、アパートの契約更新のお金を貯金できな かった。仕事が不安定でアパートを借りようとは思えない。

 同・30―40代の女性 3年間、ネットカフェ暮らし。週5日泊まり、週末はホテル。週3日ほどのパートと夜の仕事で、月収は9万円。

 埼玉・大宮 男性(24) 出張でホテルがとれず泊まった。1日12時間働き、月約100時間残業をしているが、残業代は上限40時間までしか出ない。 将来が不安。

 奈良 20代の男性 手取り月8万円。食事は昨日からとってない。ネットカフェのドリンクやスープですます。

 埼玉・蕨 男性(24) 週3回くらい泊まる。解体作業の手伝いなどをし週1、2回で月3万円。父子家庭。父はイライラしていることが多く家にいづら い。

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□「ネットカフェ難民」広がる 7割の店に「長期・常連」

 2、3年前から暮らしている、仕事が忙しすぎて帰宅できない――。インターネットカフェや漫画喫茶に寝泊まりする「ネットカフェ難民」の実態を知ろう と、各地の労働組合や民間団体が全国規模で聞き取り調査をし、27日に結果を公表した。調査した34店舗の4分の3に長期滞在者がいて、「難民」の広がり と深刻な実態が浮き彫りになった。

 調査は宮城、東京、埼玉、千葉、神奈川、愛知、奈良、大阪、兵庫、福岡の10都府県で今月実施。ネットカフェの店員に質問したり、利用者に年齢や泊まる 頻度、理由などを尋ねたりした。

 その結果、利用者84人が質問に答え、兵庫をのぞく9都府県の26店舗に「宿泊常連・長期滞在者」がいた。

 利用者からは「2年間ネットカフェ。深夜のアルバイトをしているが、仕事が不安定でアパートを借りようと思えない。夕方から働き、朝6時にネットカフェ に帰る」(東京都・20代男性)、「家がない。正社員になれず、職を転々として当座のお金を稼いでいる」(愛知県・40代男性)、「3年前から夫の暴力を 苦にネットカフェ暮らし。パートなどで月収9万円」(東京都・30代女性)などの声があった。

 「飲食店の正社員。家に帰ると寝る時間がなくなるので週6日はネットカフェに泊まり、日曜日だけ家に帰る」(東京都・20代男性)など、厳しい長時間労 働が背景にある事例も複数あった。

 調査をまとめた首都圏青年ユニオンは「若者の貧困が予想以上に広がっており、仕事と生活の困難さの縮図になっている」と、行政や政治による対応を訴え た。

 厚生労働省も「ネットカフェ難民」に注目し、今年度中に働き方などの実態調査をする。今後の若年雇用対策につなげるため、ネットカフェで暮らす若者から 直接話を聞くことも検討している。

 業界団体の日本複合カフェ協会によると、ネットカフェや漫画喫茶は05年時点で全国に約2740店。

■0427

□「ネットカフェ」暮らし、地方にも"常連"拡大(読売新聞)
 ネットカフェや漫画喫茶について、労働組合やNPO法人などが10都府県で行った調査で、8割近くの店に長期滞在の利用者がいることが確認された。

 調査は、首都圏青年ユニオンなどの労組やNPO法人のメンバーらが今月、10都府県の34店舗で、利用者の若者らから聞き取りしたもの。それによると、 8割近くの26店舗に長期滞在の利用者がいた。首都圏だけでなく、東北や九州の店舗にも長期にわたって寝泊まりする"常連"がいた。

 アルバイト収入が不安定なため、2年間も宿泊している男性(24)(東京)や、労働時間が長く帰宅するゆとりがないため、ネットカフェに泊まることの多 い男性(30)(奈良)などのケースがあったという。

 首都圏青年ユニオンの河添誠書記長は「貧困だけでなく、過酷な長時間労働などにより、ネットカフェに寝泊まりする人が増えているようだ」と話している。

■0426
□「お試し期間」油断大敵 入社直後に解雇通告(朝日新聞)

 春、新入社員のほとんどが経験する「試用期間」。企業に新人を育てる余裕がないのか、数カ月勤務しただけで、はっきりしない理由で解雇される例が出てい る。団塊の世代の大量退職も始まり、最近の就職戦線は「超売り手市場」ともいわれる。それでも「筆記や面接試験を何度も受けて採用されたのだから」なんて 考えていると、痛い目にあう?(長野佑介)

 ◆「作業遅い」「定時帰宅」…
 「君をうちの会社で働かせるのは難しい、ということなんだ」
 昨年7月、都内の書店に勤めていた東京都狛江市の男性(23)は、人事担当者の言葉に耳を疑った。入社して4カ月での解雇通告。試用期間中だった。
 男性は4度の面接を経て内定を得、入社前の研修にも参加。4月の入社後は主に店頭でレジを担当した。
 試用期間は2カ月のはずだった。ところが5月末、上司から「作業スピードが遅く、レジの管理などミスが多い。このまま社員として雇うわけにはいかない」 と、試用期間の2カ月延長を要求された。
 働きたい一心で応じ、別の店に異動して励んだが、結果は変わらなかった。
 男性は解雇通告の際、人事担当者に理由を聞いた。上司に聞いた説明以外にも「正社員なのに定時で帰った」などを挙げられた。「職場で交友関係を増やした い旨の発言があった」と本人にもよくわからない理由も言われたという。
 「解雇では履歴に傷が残る」と退職願を出すよう勧められたが、出さずに7月末で解雇された。
 納得できなかった男性は昨年10月、解雇無効や本採用されれば払われたはずの賃金の支払いを求め、東京地裁に仮処分命令を申し立てた。2カ月後に会社側 は一方的な解雇を撤回し、本人の同意も必要な会社都合退職にして、解決金を含む約180万円を支払うことで和解した。
 男性は「解雇は不当と思っていたので撤回してくれたのはよかった」としながらも「まじめに働いて大きなミスもしていない。なぜ解雇されたのか、いまでも わからず悔しい」と声を落とす。

 ◆新卒の穴、派遣で補う?
 通常の解雇は、03年の労働基準法改正で「客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当と認められる場合」に限ると明記された。だが、特に試用期間に 限った定めはない。
 採用試験のとき履歴書にうそを書いたなどとして、本採用を拒否したことの是非が問われた73年の最高裁判決は、試用期間中の解雇は「通常より広い範囲で 認められる」と判断。具体的な要件として「採用した際、知ることのできなかった事実がわかり、雇用しておくのが適当でないと認められる場合」などを挙げ た。
 若者の雇用問題に取り組む首都圏青年ユニオンの河添誠書記長は「入社後すぐに解雇された」という相談が増えたと感じる。以前は中小企業が目立ったが、最 近は大企業にも広がっているという。
 「人を育てる余裕がなくなったのかはわからないが、『辞めた新卒社員の穴は有能な派遣社員で補えばいい』と都合よく考える企業が増えたのではないか」
 解雇された人が金銭補償を求めることも多いため、自主退職を迫る企業も目立つ。同ユニオンに寄せられた、東京都の保険会社に勤めた新卒男性のケースは、 人事担当者から「どれだけ仕事ができないか」を同僚に聞き取ってつくったアンケートを見せられ、「親がこんな事情を知れば悲しむだろう」などと自ら辞める よう強要されたという。

 ◆泣き寝入りせず相談を
 東京都の中央労働基準監督署によると、「辞めてくれないか」と言われるままに退職願を書いてしまい、企業が「自主退職した」、社員が「解雇された」と対 立するケースが多いという。
 同労基署は「一方的な解雇と、自分が意思表示をする自主退職の違いを把握することが大事」という。解雇の方が退職金が多いことがあるし、自己都合退職だ と雇用保険が3カ月は支給されない。「自分に不利と感じたら口頭で終わらせず、相手の主張をできるだけ書面でもらうように」
 解雇問題などの相談を受ける日本労働弁護団の水野英樹事務局次長は「試用期間中の解雇は、企業が理不尽な理由を付けるなど、法的に有効なケースばかりで はない。泣き寝入りせず、労働基準監督署や弁護士などに相談してほしい」と呼びかけている。

 ◆キーワード
 <試用期間> 社員が会社の一員としてやっていけるかを見極める「お試し期間」。主に就業規則に盛り込まれ、3カ月や半年など企業により異なる。期間中 でも社会保険が適用され、時間外手当も支給される。企業は本人の同意を得れば延長できる。14日以上働いた後で解雇する場合は、通常の解雇と同じように 30日前に解雇を予告するか、30日分の解雇予告手当を支払わなければならない。


■0420
□命名権売却の県、「フルキャスト」の審査を 労働組合員ら要請 /宮城県(朝日新聞)

 宮城球場の命名権を取得している人材派遣会社「フルキャスト」(東京)グループの派遣労働者の労働組合員ら3人が19日、県庁を訪れ、同社に命名権を売 却した県として、団体交渉に誠意を持って応じるよう会社に働きかけて欲しいと要請した。

 訪れたのは、フルキャストのグループ会社の派遣労働者で作るFCCユニオンと、労働問題支援NPO「ガテン系連帯」のメンバー。同社の求人広告には、実 際に得ることができる以上の過大な金額が書かれているなどの法規違反があると指摘。県は命名権の応募企業の審査の際には法令順守を審査項目に盛り込み、実 態を審査するよう求めた。
 これに対して県は「きちんと検討して回答する」と伝えた。

■0417
□「ワーキングプア」動いた 非正社員の労組が続々 春闘、40人で24時間ストも (朝日新聞)

 ワーキングプア(働く貧困層)克服のために声をあげよう――。派遣や請負といった非正社員による労働組合が続々と生まれ、今年の春闘で時給アップや雇用 安定などの要求を会社にぶつけた。パートの待遇改善の動きも定着してきている。広がりをみせる非正規春闘、その成果と実情は。

 4月4日。トヨタ自動車系部品メーカー「光洋シーリングテクノ」(徳島県藍住町)で、期間工や請負労働者ら約40人が初めての24時間ストに踏み切っ た。要求は、正社員への転換や時給の引き上げだ。
 同社では昨年、正社員と請負労働者が混在して働く「偽装請負」が発覚。請負労働者らでつくるJMIU徳島地域支部光洋シーリングテクノ分会の要求をきっ かけに、約50人が期間工として直接雇用された。
 だが、派遣や請負の人が工場全体で160人程度残る。期間工を正社員にするスケジュールもはっきりしない。期間工の時給も、会社は1100円からの20 円アップを回答したが、労組は「定期昇給分を含め、6千円以上上がる正社員との差が縮まらない」としてストを決めた。
 同分会の代表、矢部浩史さん(42)は「非正社員だけでもストはできる。黙っていても会社は格差を是正しようとはしない」。スト中も正社員らが操業を続 けた。労使交渉は続行中だ。
 誕生したての非正社員組合が取り組んだ初の春闘。苦闘しながらも少しずつ前進の気配をみせる。

 ■「寮にカギを」
 大手人材会社「日研総業」から日野自動車などの工場に派遣された社員でつくる「日研総業ユニオン」は、1カ月といった細切れ雇用をやめ、1年以上雇うよ う要求。最低年収300万円や正月、お盆などの休業中の賃金保障も求めた。寮は、日研が借りたマンションに見知らぬ派遣社員同士が暮らすことが多い。防犯 やプライバシーのため部屋ごとにカギをつけ、社員より高いとされる寮費の引き下げも訴えた。
 同ユニオンによると、日研側は交渉で、寮費の引き下げやカギを原則として取りつける意向を示し、時給アップも検討している。派遣先企業も、雇用期間を期 間工なみの2カ月に延ばすという。
 昨年秋に同ユニオンが結成されたあと、日研は派遣社員の要望を聞くアンケートを実施した。同社は「交渉中なので回答内容はまだ言えないが、社員のニーズ をもとに要求にこたえていきたい」という。

 ■人手不足追い風
 製造業で働く非正社員の全国組織で同ユニオンも加盟する「ガテン系連帯」は「派遣にも人手不足が追い風になっている」と話す。
 日雇い型派遣大手の人材派遣会社「フルキャストグループ」(東京)。社員と登録スタッフでつくるフルキャストユニオンは10日、初の春闘交渉に臨んだ。
 ネットカフェで寝泊まりしながら働く男性スタッフ(42)も副委員長として加わった。仕事が途切れて家賃が払えず、アパートを出て4カ月。所持金千円を 切り、ファストフード店で夜を明かした日もあった。
 そんな切実な実態をふまえて、正社員の賃上げは求めず、「時給1200円以上」など派遣スタッフの待遇改善に要求を絞った。
 会社は「現状では困難」と回答。ただ、春闘に先立って結んだ労使協定では、日雇いスタッフにも年次有給休暇を保証し、日雇い労働者向けの雇用保険を適用 することなどに合意した。
 交渉は今後も続ける。星野雄一委員長(26)は「正社員の賃上げ要求を見送って格差是正を話し合った意義はあった」という。
 国際電話センターで働く契約社員でつくる「KDDIエボルバユニオン」。24時間シフト勤務のため、春闘集会は12日昼と13日夜にわけて開いた。会社 が提案した諸手当のカットなどを撤回させる成果をあげ、組合員数も昨年11月の結成時の12人から33人に増えた。
 春闘では勤続1年につき時給10円の定期昇給を求め、16日に団体交渉を申し入れた。見留洋子委員長(48)は「3年働いても時給が新人と変わらない。 たとえ10円であっても上がることに大きな意味がある」と話す。

 ◇時給アップの流れ広がる
 連合はパートら非正社員の待遇改善を春闘の最重要課題に掲げ、時給の15円程度の引き上げを目指してきた。企業業績が回復し格差是正に注目が集まったこ ともあり、パートの時給アップは目標の15円を上回るところも出ている。
 民間最大の産業別労組UIゼンセン同盟(約95万人)は組合員の4割がパート。時給引き上げ額は9日時点で16・3円(妥結71組合)と、前年同期より 3円以上増えた。サービス・流通連合(約20万人)も3日時点で、4円近く増え15・2円(妥結23組合)。「一部で人手不足感もあり、経営側にも時給引 き上げの理解が広まってきた」(UIゼンセン)という。
 個別企業でみると、松坂屋(名古屋市)は前年は成績評価の高いパートだけ10円引き上げたが、今年は一律30円上げる。「近年では初の大幅アップで、優 秀な販売員の確保につなげたい」。マイカル(大阪市)は18・33円で妥結したが、パートの組合員数が前年の約2千人から約1万7千人へと一気に増え、引 き上げ対象者数も拡大した。流通準大手のイズミ(広島市)も28円上げている。
 外食産業も、全国にファミリーレストランを約700店舗展開するジョイフル(大分市)は前年より12円増の29円上げる。「約7千人いるパートに長く勤 めてもらえるよう引き上げた」

 【写真説明】
日研総業ユニオンの春闘では、支援の学生も参加して派遣社員の待遇改善を訴えるプラカードを掲げた=東京都日野市の日野自動車本社前で、細川卓撮影

■0414
□(経済気象台)連休で困っている人たち (朝日新聞)

 海外、国内あるいは帰省と、多くのビジネスマンが楽しみにしているゴールデンウイークも間近である。遠出を避けて、都心のホテルで時間を過ごしたりする 人もいるらしいが、ともあれ個人消費の回復に一役かってほしい大型連休だ。
 しかし、この連休にため息をついている人も増えている。主に派遣、請負、期間工として働いている人々の「情報交換と連帯の場」である、「ガテン系連帯」 のブログを見ていたら、長期休暇の悩みがつづられていた。ゴールデンウイーク、夏休み、冬休みなど「長期休暇が入るこれらの月は、時給月給である私たちに とって深刻な休みになります。1週間も休みであれば、5万円は収入が減ってしまうからです」とある。
 休みの間に他の仕事があればまだしもだが、それが不慣れな仕事であったら、やはりつらい。ヨーロッパ諸国の勤労者と比べ、日本の勤労者の休日の少なさを 考えると、もっと休日は増やすべきだ。そして、その際、非正規雇用の勤労者にも「ガテン系」の人たちが主張するように、休業補償をすべきだろう。
 そのブログの中に、非正規系勤労者の労組による自動車工場との交渉経過が書かれている。労組による「1カ月単位という不安定な細切れ契約をやめてくれ」 という要求に対して、会社側は「たしかに1カ月更新では生活が成り立たない」として「2カ月契約」の回答をしたという。「1年間」の要求は通らなかった が、前進は前進だ。労組をつくり、交渉をしたからこその結果である。休業補償も交渉のテーブルに乗るとよい。
 また、筆者が注目したのは、彼らの主張は主張として、文末に「(自動車メーカーの)誠実な態度に感謝する」とあることだ。誠意は通ずる。企業はやっかい ごとを派遣会社や請負会社にまかせるのではなく、自らが責任をもって対応するほうがよい。(遠雷)

■0414
□「ソクハイ」労組を結成 バイク便業界初(朝日新聞)

 バイク便大手「ソクハイ」(本社・東京都品川区)で働くバイク便や自転車便スタッフが、労働組合「ソクハイユニオン」を結成した。「実態は労働者なのに 契約が個人事業主扱いなのはおかしい」として、雇用契約への切り替えや社会保険料の負担などを会社側に求めている。上部団体の連合によると、バイク便業界 での大規模な組合結成は初めてという。
 同ユニオンは今年1月に結成。組合員数は非公表だが、上山大輔執行委員長によるとスタッフの過半数が所属している。同社のホームページではスタッフは 700人弱。
 同ユニオンによると、スタッフは、「個人請負契約」を会社側と結んでいるが、実際は労働時間が管理され、移動経路も具体的に指示されるという。労災保険 に入っていないため、配送中に事故にあっても治療費などは自己負担となる。  自転車便スタッフの一人でもある上山執行委員長は「自分の裁量で仕事をとるのは難しい。閑散期の保障もないので、完全歩合制でなく最低保障をつけて欲し い」と訴える。
 ソクハイ総務部は「折衝中のため、現在はコメントを控えている」と話している。

■0404
□◇社会保障 あんしん◆声を上げ始めた若者たち(読売新聞)

 「僕たちは使い捨てじゃない」。フリーターの若者たちが声を上げ始めた。勉強会などで労働者としての権利を学んだり、待遇改善を求めて労働組合を結成し たりするなど、活動は広がりつつある。(大津和夫、写真も)
 ■半分クビ 
 「同じ人間として扱え!」――そんな思いをアップしたところ、1日1000件のアクセスが2か月近く続いた。昨年10月、組み立て工場などで働く若者ら の全国組織として発足したNPOのホームページだ。
 「展望の見えない境遇を強いられることへの怒りからだった」。現業・技能系の就職情報誌にちなみ、「ガテン系連帯」(東京)と名付けられた同NPOの共 同代表、池田一慶さん(27)は振り返る。
 池田さんは、2005年の大学卒業以来、都内の大手自動車工場で派遣社員として働いている。10〜60キロ・グラムもの鉄のリングを、トラックのギアに 加工するのが仕事だ。それは働き始めてからずっと同じで、賃金も変わらない。契約は1か月更新で、先の保障もない。
 約20万円程度の月収から相部屋の寮費などが引かれ、手元に残るのは約13万円。手を滑らせて指を挟むなどケガが絶えず、病気やけがを隠して働く仲間も 少なくない。食中毒で休んで3日目、派遣会社から「派遣先に迷惑がかかる」と離職を迫られたこともある。
 「ぼくらは常に半分クビのような状態。再チャレンジというが、今の職場の労働環境をまともにするのが先」と池田さんは話す。
 「ガテン系」の会員は、製造業などで働く非正社員の若者を中心に増え、今では100人に迫る勢いだ。趣旨に賛同した労働組合幹部や弁護士の参加もある。 国や派遣の業界団体に待遇改善を働きかけたり、労組と連携して労働相談などを行ったりしている。
 労組の結成を支援することもあり、結成された若者の労組は、近く発足の予定も含め、派遣会社などで7社に上る。「よくぞ立ち上がってくれた」。ホーム ページにはこんな応援メールがすでに100件近くも寄せられている。
 ■勉強会 
 静かなBGMが流れる中、コーヒーを片手に、若者ら約40人が、若手弁護士の説明に耳を傾ける。NPO法人「POSSE」(東京)は3月、若者でにぎわ う東京・下北沢のカフェで、労働法に関するセミナーを開いた。
 代表の今野晴貴さん(23)は、社会政策を専攻する大学院生。友人や先輩が不当な労働条件で働かされているのを知り、「ぼくらの世代は社会になめられて いる」と、昨年9月、仲間とNPOを設立した。
 会員は口コミで増え、今では約130人に。若い労働者の残業代未払いなどの実態を調べて改善を働きかけたり、「あなたのぼったくらレベル」と題し、残業 代の仕組みなどをクイズ方式で説明したりする。
 「働く問題についてぼくらの世代は一人で悩みがちだが、他の団体と連携して、居場所づくりを広げたい」と、今野代表は話す。
 国民生活白書(2005年版)によると、パート・アルバイト男性の年間所得は、20歳代が114万円、40歳代でも147万円。フリーターである期間が 長期化し、将来への危機感を強める若者は多い。
 若者問題に詳しい労働政策研究・研修機構の小杉礼子統括研究員は、「孤立しがちなフリーターの若者が、様々な受け皿を通じて社会とつながることは意義深 い」と話している。

■0402
□立て万国の貧困者 ワーキングプアの大逆襲(AERA:2007年04月02日号)

 ワーキングプアが立ち上がった。一人で、数人で、会社も仕事の枠も超えて。
 働いても豊かにならない、一度落ちたら抜け出せない。この貧困はなんだ?
 義憤に動かされた貧困者たちの闘い、他人事ではあり得ない。
 (AERA編集部・後藤絵里)

 半年で20キロ痩せた。

 2006年1月から人材派遣のフルキャストのグループ会社で正社員として働く星野雄一さん(26)は、「スポット(日雇い)派遣」の「人繰り」が仕事 だった。企業の依頼を受け、携帯電話やメールでそのつどの人手を確保し、解体作業などの現場に送る。午後3時まで注文を受け、登録スタッフのマッチングを 始める。

 「明日働けるかな?」

 人数がそろうまで、深夜1時でも電話をかけ続ける。

 翌朝6時。今度はスタッフから電話で出発連絡を受ける。9時頃まで100本近い電話を1人でさばく。会社に3、4連泊はざら。昼も夜もコンビニ飯。給湯 室で頭を洗う。最初の半年を時給換算したら500円を切った。

 でも、スタッフの生活はもっと悲惨だった。

 スポット派遣の日当は6000〜7000円。月20日働いても十数万円。アスベストの粉塵が舞う現場で風邪用マスクだけで働かされた人、危険な現場で安 全靴を持たず、釘が足を貫通した人……。

 星野さんが珍しく家に帰れた日の翌朝。出勤途中の横浜駅の地下で、ゴミ箱をあさる若い男性を見た。胸が詰まった。時々仕事をまわすスタッフだった。

 「これじゃホームレス製造工場じゃないか」

●ひと味違う新ユニオン

 当初は同僚と、会社側に自分たちの労働環境の改善を訴えた。社長との協議は平行線で、同僚は一方的に解雇された。星野さんたち社員は、未払い残業代を求 めて横浜地裁に提訴。その後、スタッフも誘って労働組合を結成した。

 「無法地帯のスタッフの労働状況がずっと気になっていたんです」

 会社と団体交渉を重ね、グループで働く全スタッフの労働条件を改善する労使協定の締結にこぎつけた。日雇い派遣では初めてのことだ。有給休暇の保証や日 雇い労働者向け保険の適用を約束させた。今年の春闘でも社員の賃上げは据え置き。スタッフやアルバイトの時給アップが最大の要求だ。

 バブル崩壊後の不況期、企業は人件費を減らすため派遣や契約、請負といった非正社員への切り替えを進めた。後押ししたのが規制緩和。1986年施行の労 働者派遣法は99年、対象業務を原則自由化し、03年には禁じられていた製造業への派遣も認めた。今や全雇用労働者の3分の1が非正社員だ。

 そうした非正社員は、労働運動とは遠い存在だった。労働組合は正社員中心だし、組合活動を理由に契約を切られかねない。

 そんな丸腰の労働者がいま、労働組合の結成に動き出している。彼らの新しいクミアイは、既存の労組とはひと味もふた味も違う。オルタナティブな連帯、" 新ユニオン(労組)"なのだ。

 まず第一に、中心のない、ネットワーク状に広がる紐帯であることがあげられる。

●使いやすいコマの反逆

 「フリーター連帯はどうだ」

 「なんだか締まりがないな」

 「3K職場がおれたちの職場。『ガテン系』でいこう」

 06年9月。新宿西口の居酒屋で盛り上がる一団がいた。製造現場で働く非正社員の労働団体ガテン系連帯の誕生だ。

 会社も職種も、働き方も違う全国の労働者をつなぐネットワーク。会員は職場ごとに労組を作って個別に交渉をする。

 一方、ガテン系連帯ではそれぞれの職場情報を共有する。労働法を学んで知識武装する。国や業界団体に訴えかける。従来型の組合のように「支援→被支援」 の上下関係では、組合員に依存心が生じるし、執行部もなれ合う。だから、中央組織は置かない。

 業務請負大手の日研総業から派遣され、日野自動車で働く和田義光さん(42)と池田一慶さん(27)は創立メンバー。労組結成のきっかけは職場有志の花 見の席だった。池田さんは隣に座った若い正社員から声をかけられた。

 「いくつになった?」

 「26歳です」

 「その年でハケンか。人生終わってるな」

 池田さんより先に、向かいに座っていた和田さんがキレた。

 「何を言ってるんだよ!」

 よっしゃ、この人なら一緒に声を上げてくれるかもしれない。池田さんはそう思った。

 製造現場への派遣期間は最長1年(07年3月に3年に延長)。細切れの雇用契約、低い賃金など、企業にとっては使いやすい「コマ」であり、著しい身分格 差がある。

 日野の場合、直接雇用の期間工は社が準備した寮で寮費は無料。派遣は派遣会社の借り上げ寮。和田さんたちは3人1部屋で一人3万8000円と光熱費を月 給から引かれる。期間工は一定期間働くと慰労金が出る。派遣はどんなに働いても時給1150円前後のまま。少ない月は手取り15万円を切る。契約は1カ月 更新だ。

 「夏は40度の暑さで油まみれになりながら、社員も期間工も派遣も、協力してノルマ達成に向かう。働く仲間じゃないですか。そこに身分格差が埋め込まれ てる。僕らは最下層。そんな怒りや悔しさを抱える非正社員が全国にたくさんいるんです」(池田さん)

 ●胸の底にあるのは義憤

 既存の労組は多くが企業内組合で、組合の役員経験が出世の一段階となっているところもある。しかし"新ユニオン"は成り立ちから違う。義憤――胸の底に あるのは、そんな感情だ。

 2人がガテン系連帯の結成準備にかかりはじめたころ、後藤英樹さん(48)は三重県の半導体工場で働いていた。10年勤めた百貨店が倒産。求人誌で見つ けた派遣に応募したのだ。年収は200万円を切る。

 ある夜、夜勤に行くため派遣会社のバスを待ちながら、空を見上げた。満天の星。高校生の時、キャンプ場で見た星空と同じだ。当時は美しさに心が震えた。 今は少しもきれいだと思えなかった。

 「同じ星なのに、置かれた境遇でこんなにも見え方が違うのか」

 美しいものを美しいと思えない世の中って何だろう?

 翌月、派遣会社を変え、東京都青梅市の半導体工場で働き始めた。その間インターネットでガテン系連帯のサイトにたどり着き、池田さんに会った。

 「皆さんが正社員になったら会は解散するんですか」

 後藤さんの問いに池田さんはそうじゃない、と首を振った。

 「ならば、一緒にやりたい」

 2月には同じ職場で働く仲間と労組をつくった。後藤さんの組合運動は、自分の生活を良くするなんてけちな考えじゃない。

 「派遣には若い子も多いんです。あいさつしてもまともに返事もしない。死んだ魚の目をしている。未来のある人たちが、星がきれいだと思うこともなく一生 を終えるなんてあんまりだ」


●携帯とネットを駆使

 70年代にトヨタ自動車の工場で季節工として働き、『自動車絶望工場』を著した鎌田慧さんは言う。

 「大企業の組合員と違い、守るべき権益も会社への忠誠心もない彼らが労働運動に立ち上がるのは、もはや人間の尊厳を保てないレベルまで追いつめられてい るから」

 昭和女子大の木下武男教授(労働社会学)も、19世紀の産業革命期を見るようだという。

 「資本主義の黎明期、飢えて死ぬほどの貧困と無権利の労働者が大量に生まれた。彼らが生存権を求め闘ったのが労働運動の始まりでした。非正社員の労組結 成は、運動の原点を思わせる」

 携帯電話やネットを駆使するのも、新時代ユニオンの特徴だ。

 東京・渋谷、午後6時。若者でごった返す「109」の前に怪しい円陣が組まれた。首都圏青年ユニオンの団交前の打ち合わせ光景だ。同ユニオンではメーリ ングリストが組合員同士をつなぐ。

 「『すき家』に対して未払い残業代と解雇撤回を求める団交を行います。集合は○日×時、渋谷の109前。応援お願いします」

 当日、関心がある組合員がわらわらと集まってくる。書記長の河添誠さんが立ったまま、10分程度でポイントを説明。これは喫茶店に入るお金を節約するた め。団交後に再び円陣を組み、感想を言い合う。非正社員の職場はバラバラで、個人加盟のメンバーが多い。「よその団交」に出ることでいろんなケースを知 り、連帯も生まれる。同ユニオンには「すき家」のアルバイト労組に続き、3月にはライブドアの労組もできた。


●会社と闘うの怖かった

 ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)という手もある。国際電話のオペレーターをする谷岡典子さん(31)は昨年11月、ミクシィの日記に つづった。

 「1人でも入れる労働組合に入って運動してます。組合を作ると、会社と対等な立場で話し合えるんです」

 谷岡さんはKDDI子会社の契約社員。会社は昨夏、契約社員の労働条件の変更を一方的に通知してきた。(1)交通費の支給を廃止(2)1年契約は3カ 月・6カ月の短期更新に(3)深夜勤手当2000円を400円に減額、などだ。谷岡さんは月収6万円のダウンになる。

 「契約途中で一方的に条件を変えるのはおかしい」

 上司との面談で訴えたが取り合ってもらえない。条件を応諾するかどうか返事を迫られた2回目の面談を控え、ネットで見つけた派遣ユニオンに電話した。書 記長の関根秀一郎さんは穏やかに言った。

 「全部ノーって言いなさい」

 会社と闘うのは怖かった。クビになるかもしれない。

 「でも、転職してもまた非正社員。ここで逃げても、同じ問題が繰り返されるだろう」

 夫も姉も友人も、有期雇用の社員。将来子どもも欲しい。そのころには、非正社員もまともな働き方ができる社会になっていてほしい。腹をくくった。

 ユニオンに加盟し、関根さんと2人で数回の団交に臨んだ。約2カ月、同僚にも言わず、たった一人の闘い。数回の交渉の後、会社が譲歩する姿勢を見せ始 め、10月からの各種手当の減額が保留になった。

 すると、職場の同僚が谷岡さんに「労基署が踏み込んだらしい」とささやいた。がっかりした。

 「団交の成果だって知らないのか……。この仕組みを知らないとまた同じことされちゃうよ」

 そこでミクシィで「告白」し、同じ内容を職場の友だちの携帯に「転送歓迎」でメールした。

 数日後。昼勤務の40代の先輩が、夜勤で入る谷岡さんとすれ違いざまに声をかけてきた。

 「メール見ました。協力します」

 別の同僚は小さくたたんだ紙切れをくれた。「すき家のアルバイトが労組結成」を報じた新聞記事のコピー。

 背中を押され、谷岡さんは動き出した。


●もっとも弱き者の連帯

 「労働組合を立ち上げたい。協力してください」

 はっきりそう伝えるメールを同僚に送った。そうして組合員は30人に増えた。映画『七人の侍』で、侍に野武士との戦い方を教わった農民みたいだった。会 社側に気づかれずに組合を作るのに、SNSと携帯のチェーンメールは大いに役立った。

 非正規の若者たちのメーデーのデモをきっかけに生まれたのはフリーター全般労組だ。

 「ちょっと遅刻しただけでバイト先をクビになった」

 デモに参加した若者が話すのを聞き、執行委員長の大平正巳さんは、個別相談に応じる場が必要だと感じた。

 「労働基準法ではアルバイトでも正当な理由なく解雇できない。権利を知らずに泣き寝入りしている人がどんなに多いか」

 私は正社員、新しい労働運動なんて関係ない――。そう思っている読者がいたら、グローバル化の時代認識を誤っている。共産主義の恐怖がなくなった今、資 本主義は「強者必勝」の本来の姿に回帰している。立命館大の高橋伸彰教授(日本経済論)が言う。

 「グローバル化で、企業は世界中から安い労働力を調達できるようになった。先進国の労働者は途上国の安価な労働者とポストを競うことになる」

 実際、台頭する中国やインドでは技能労働者が育っている。

 「日本の正社員も、いずれ彼らと競争することになり、待遇はじりじり下がるだろう。国内で正規/非正規と言っている場合ではない。大資本に対抗するには 労働者も力を持たないと。国際的な連帯、生活者との連帯が必要です」

 自己増殖する巨大資本=怪物リバイアサンに対抗する手だてがなければ、働く者すべてがじきにのみ込まれる。

 徒手空拳で立ち上がる「もっとも弱き者」の連帯。新しい闘いの可能性は、そこにこそあるのかもしれない。

■0326
□「脱プア」は議会を目指せ 統一地方選で「就活」(朝日新聞)

 フリーターから地方議員を目指す動きが出ている。
 選挙はフェアな就活、選挙民が面接官だ。
 不謹慎か。政治を市民に取り戻す潮流か。

 市販の書道の半紙に自分の名前を大書して、セロテープで棒にくくり付けた。お世辞にも「パリッとした」とは言えないスーツ姿も、一張羅というから仕方が ない。
 井芹文義(27)は熊本市内一の繁華街に駆けつけるなり、黒いリュックサックを背負ったまま絶叫調で一席ぶった。
 「あたくし、今度、シッ、市政に挑戦いたします。全力を尽くして参ります」
 なれない演説を、女子学生たちが遠巻きに眺める。もらい物のネクタイ10本に、10年近く愛用するスーツ。勝負服からのぞかせるシャツの黄ばみは、消耗 戦を物語る。
 「まずは議員にでもならないと、生活とボランティアを両立するのははっきり言って無理ですね」
 井芹は、大学受験に失敗した直後、ひとり家計を支えていた母を亡くした。進学をあきらめ、派遣会社から紹介される日雇いの仕事を転々。危険な建築現場な ど、ガテン系の仕事が多かった。「食うこと」に精いっぱいだったある日、公開討論会の運営ボランティアに出あう。そこへの参加が、彼を政治の世界に誘っ た。

 ●落選ならハローワーク
 コンビニで一枚一枚コピーしたという、A3判の政策プランの内容は我が道を突っ走る。
 〈あなたの身近に、ホッとできる無料カフェを創ります!〉
 供託金以外の選挙資金は限りなくゼロに近い。選挙のために仕事も辞めた。彼の財布にお札が入ることは、ない。
 もともとは県議選に出馬する予定だったが、告示直前に市議選へくら替えした。
 「県議選に出る新顔候補とキャラがかぶっちゃったんですよ。なんていうか、若くてさわやか、どちらもスマップ、みたいな感じ」
 もし落選したら、次の日からハローワークに通うという。
 熊本でいま、異変が起きている。地方議員を目指す20〜30代の新顔が10人以上もいる。4月15日告示の同市議選だけで5人(前回は1人)の20代が 名乗りをあげる。全員が当選すれば、議会の1割を20代が占め、0・009%という全国水準を大きく上回ることになる。
 立候補予定者はいずれも、議員秘書や松下政経塾などのいわゆる議員予備軍とは無縁の若者。「失われた10年」に青春を迎え、学校から就職氷河期の荒野に 弾き出された世代だ。
 所得の不平等さを示す「ジニ係数」で全国ワースト4位の熊本は、格差社会の象徴とも言える。熊本市議選の当落ラインは約4000票、倍率は1・35倍ほ どで、議員報酬は月額70万円弱。全国的な大企業や役所に入るより、競争倍率は確かに低い。

 ●父親が選対スタッフ
 「大学を出ても就職が難しく、熊本にも仕事がありません。若い人がもっと発言できる場に出て行かないと」
 街頭で同世代にそう訴えていたのは野崎祐子(26)。市議選に合わせて大阪の広告会社を退社。貯めてきた軍資金で古着ショップ跡に構えた6畳の事務所を 「アジト」と称する。事務所の看板は発泡スチロール製。迎えてくれたのは、野崎の父親佐登志(52)だった。
 「待て。あと4年は勉強せい」
 娘の出馬宣言を聞いて、最初、佐登志はこう諭した。気がつけば、地元企業を離れて無給の選対スタッフになっていた。
 親子二人三脚で当選を目指す候補はもう一人いる。
 「真剣に勝利だけ考えてます」
 そう語るのは西井洋一(52)。やはり新顔で立候補する辰朗(26)の父親だ。「選挙長」の名刺を持ち歩き、同地区に住む8期32年の自民党市議のド ン、嶋田幾雄(66)の自宅にも、息子を連れて出馬の挨拶に出向いた。
 辰朗は地元で街作りのNPOを「起業」。稼ぎは月8万円ほどだ。
 早朝。商店街では、辰朗が辻立ちを続けている。元日から欠かさず毎日。必ず半ズボンを着用する。
 熊本が突出しているが、今、全国の自治体でフリーターから議員へ転身しようという潮流がある。「ドットジェイピー」は、学生に議員や首長のインターンの 口を紹介し、若者の政治参加を呼びかけるNPO。ここでインターンを経験した学生から、多くの20代政治家が輩出している。
 理事長の佐藤大吾(33)は「コミックバンチ」で連載中の漫画『タネダミキオでございます。』の監修もつとめる。主人公は高卒、牛丼店のアルバイト。地 盤・看板・鞄なし、政治未経験の25歳が、ノリで挑戦する市議選を描く。ボンボン、元ホスト、セクシー美女など、個性豊かな若手候補が地方選に乱立。団塊 世代の弘兼憲史が描いた、エリート商社マンが総理を目指す漫画『加治隆介の議』の時代とは、隔世の感がある。
 熊本の3人は真剣だが、佐藤はこうも言う。
 「今や選挙とは、やりがいある職業を勝ち得るための学歴不問でフェアな就職活動なんです」

 ●「変わり者」への期待
 フリーター世代にとって、4年で改選、休日不定、落ちればタダの人という議員への挑戦は、「特別なリスク」とは感じない。
 怖いもんなし、若手の捨て身の挑戦は既得権者の脅威にもなるはずだが、現職若手は「新規参入」に歓迎だ。超党派の「全国若手市議会議員の会」(会員 300人)会長を務める千葉県市川市の市議高橋亮平(30)は、「『普通の感覚』を持った議員を増やすことで、議会を健全化させることの意味は大きい」と 話す。新顔を独自に発掘し、政策や議会質問の見本を与えて即戦力に仕立て上げる。2011年の次回統一選では、若手首長候補100人擁立を目指す。
 『はじめてのデモクラシー講義』を書いた岡田憲治専修大助教授(44)も、今の学生に「議会に就職」を勧める。
 (1)人の役に立つという充実感がある(2)志をきちんと示せば誰かは手を差し伸べてくれる(3)人並みの暮らしは出来る(4)短期的な結果を迫られな い(5)一議員がバカでも地域は潰れない(6)ポストが自分を成長させてくれる、からだ。
 「昼間に開かれる地方議会に出席できる人は限られる。アパート5棟ぐらい所有している資産家だったり、会社経営は人に任せて名誉だけ欲しい2代目の自営 業だったり。ならば、本気度が高ければ優れたフリーターの方が住民にとってもいい」(岡田助教授)
 もっとも、当選後に議会の因習に縛られるようなら、「脱プア」議員などいらないのだが、公約の実現にはそれなりの処世術は求められるようだ。
 高卒・フリーター出身の土井裕之(35)が、風呂なし家賃2万7000円のアパートから、全財産40万円ほどで10日だけの選挙戦をへて、27歳にして つかんだ仕事は旧浦和市議会だった。野菜の仕分け作業、警備員、コンビニ店員、神棚の搬入、喫茶店の厨房−−。バイト先を漂流してきた土井の、人生8番目 の「職場」。
 浦和市と大宮市、与野市との合併に異議を唱えていた土井は、任期中、合併が決まるとけじめをつけて辞職した。深夜のコンビニ店員に逆戻りした。
 2003年、最年少・トップ当選でさいたま市議に返り咲いた土井は言う。
 「既得権から離れた変わり者が何かやってくれるのでは。そういう期待がフリーターにも向けられる。しかし、全会一致を好む地方議会で何かやろうと思え ば、正反対の考えをのみ込むこともときに迫られる。議会を変えたいと思う人ほど、議会の世界にどっぷりつかって、染まりやすいんです」
 この春、土井も3期目に挑む。
 出願期限は4月上旬。「面接官」は市民だ。(文中敬称略)
 (編集部 常井健一)

 【写真説明】
 井芹文義 今にも吹き飛ばされそうなのぼりで熱弁をふるう。高校同窓のお笑いコンビ「くりぃむしちゅー」に応援を依頼する予定は、今のところない
 西井辰朗 生まれてずっと熊本市内で暮らす。半ズボン遊説に現職対立候補は「目立とうとしてやっているんじゃないの」と冷ややか
 野崎祐子 「一度は子どものために必死になりたい。こんなチャンスはない」という父親が強力な選対幹部
 <photo 比田勝大直>

■0325
□(時時刻刻)貧困解決へ、大同団結 隠れた実態、告発相次ぐ 東京で初の統一集会 (朝日新聞)

 全国の生活苦にあえぐ人びとよ、一緒に声を上げよう――。フリーターや野宿者、シングルマザー、障害者、消費者金融の被害者など、くらしに困難を抱える 人たちと、彼らを支援する団体が一堂に会する初めての集会が24日、東京で開かれた。不安定雇用が広がりワーキングプア(働く貧困層)が増える一方で、福 祉は削られる。手を携えないと問題が解決されないという危機感が背景にある。(清川卓史、竹信三恵子)

 「1食200円以下に削って働いたが、年越しの生活費が同居の友人と2人で3千円しか残らなかった」(フリーターの30代男性)。「子どもの保育費を滞 納し、卒園証書を1人だけ渡してもらえなかった」(ヤミ金融被害の30代女性)。「病名をだしたら就職の面接すら受けられないのに『歩けるでしょう』と福 祉の対象にもならない」(難病の人の団体代表)
 24日の「もうガマンできない!広がる貧困/人間らしい生活と労働の保障を求める3・24東京集会」では、当事者からの痛切な告発が相次いだ。約420 人の聴衆が会場を埋め、車いすの障害者や路上のテントで暮らす人の姿もあった。
 集会の狙いの一つは、「社会から隠された貧困」が見えるよう当事者が声をあげること。実行委員長で多重債務問題などにかかわってきた宇都宮健児弁護士は 「貧困の広がりは社会を崩壊に導く。まず実態を直視する必要がある」と語った。
 集会は貧困対策や、労働の規制緩和のとりやめを国に求め、この日のネットワークを広げていくとの宣言を採択した。

 ●団体ごとの活動に限界
 集会の実行委員35人はそれぞれ、福祉、労働、女性の分野で活動する=表。彼らが連帯しようとするのは、個別の活動では限界があるからだ。
 ヤミ金融問題に取り組む猪股正弁護士は「過酷な取り立てをとめるだけでは対症療法」と話す。民間支援団体の調査では、被害相談をした人の3分の1が再び 借り入れに走る。低収入で不安定な仕事しかないのに生活保護が受けにくいためだ。「労働問題と社会保障に同時に取り組まない限り、ヤミ金融に苦しむ人は後 を絶たない」
 野宿者の支援をする「もやい」の湯浅誠事務局長も「家賃が払えずネットカフェで暮らすといった隠れた貧困があり、色々な問題が1人の人間に折り重なって いる」という。生活保護申請などで当面はしのいでも、働いても低賃金でまともな生活ができない根本問題は手つかずだ。
 では労働運動はというと、首都圏青年ユニオンの河添誠さんは「労使交渉も貧困が壁」という。
 同ユニオンに高校生から相談電話がきた。母は一人親で低収入。アルバイトで学資を稼いできたが解雇された。「組合員になって交渉しよう」と言ったら「組 合費を払うお金があったらお母さんにあげる」。労使交渉に行く交通費500円が出せない若者もいる。今、お金がない人には労組だけでは対応できない。
 障害者問題に取り組むDPI日本会議議長の三沢了さんも「重い障害者に生活保護は命綱だが、母子加算廃止の流れを見ると、障害者加算も切り下げられかね ない。多くの人と共闘しないと」と危機感をつのらせる。
 集会の準備を通じて見えてきたもうひとつの共通課題は、「自己責任論」を当事者も信じて解決が難しくなることだ。
 DV(ドメスティック・バイオレンス)で離婚しても「離婚した自分が悪い」。病気で失業しても「病気になった自分が悪い」。「自分を責めて声を上げられ ない。互いに交流して実情が見え始めると、安全ネットが機能していないことが問題とわかってくる」と、一人親の自助グループ「しんぐるまざぁず・ふぉーら む」の赤石千衣子さんはいう。

 ●先見えぬ不安、連帯の旗印に
 ここ数年の景気回復の一方で、生活保護の受給は06年6月で106万世帯に達した=グラフ。都留文科大の後藤道夫教授の推計によると、働いているか求職 中で収入が生活保護水準に満たない「ワーキングプア世帯」は、02年までの5年間で140万世帯以上増え650万世帯に。「社会保障が弱いまま安定雇用が 崩れたことが、急増の原因」と後藤教授はみる。
 「プレカリアート」=キーワード=という言葉が広がっている。昨年4月、フリーター全般労組などが東京で行ったメーデーデモの呼びかけ文に登場。同労組 の山口素明書記長は「正社員、フリーター、派遣と立場の違う人がデモに集まったが、プレカリアートという言葉が旗印になった」。先が見えない不安定さに悩 む点は共通しているからだ。
 実行委員で、若者の生きづらさや自殺の問題に向き合ってきたフリーター経験のある作家、雨宮処凜(かりん)さんもこの言葉に「突破口を見つけた」とい う。「弟の一人は過労死しかけ、下の弟はフリーターで国民健康保険料が払えず『医療難民』になりかけた。今の日本で安心して働ける人は超一部しかいない」 と雨宮さん。今度の集会は「現代の米騒動です」という。

 ◆キーワード
 <プレカリアート> イタリア語のプレカリオ(不安定な)から派生した言葉で「不安定な雇用を強いられた人々」の意味。イタリアで路上に落書きされたの が始まりという。
 伊藤公雄京大教授によると、欧州でもグローバル化で不安定雇用が増えるなか、こうした働き方の人々が自らを表現する言葉として普及。昨年、フランスで若 者が労働政策をめぐり大デモを繰り広げたときも登場した。

 ■実行委員が所属する団体の例(50音順)
アジア女性資料センター        女性運動支援
首都圏青年ユニオン          労働組合
自立生活サポートセンター・もやい   ホームレス支援
しんぐるまざぁず・ふぉーらむ     当事者中心の母子家庭支援
全国クレジット・サラ金問題対策協議会 クレジット、消費者金融問題に取り組む法律家、被害者の会などでつくる交流、支援組織
全国公的扶助研究会          ケースワーカーらによる生活保護制度の研究会
全国生活保護裁判連絡会        生活保護にかかわる裁判の支援
DPI日本会議            障害者の当事者団体
派遣労働ネットワーク         派遣労働者支援
ホームレス総合相談ネットワーク    ホームレスの法律相談
連合                 労働組合(ナショナルセンター) 

 【写真説明】
広がる貧困について話し合う集会に大勢の聴衆が集まった=24日午後、東京都渋谷区神宮前で、戸村登撮影

■0305
□首都圏青年ユニオン、ライブドアに労働組合結成(日経産業新聞)

 二十歳、三十歳代が中心の労働組合、首都圏青年ユニオン(伊藤和巳委員長)は二日、ライブドアの報道部門に所属する徳永裕介記者を代表とする労働組合 「ライブドアユニオン」を結成したと発表した。同記者は、ライブドアがポータル(玄関)サイトのニュースコーナー向けに記事を執筆する報道部門を廃止する のにともない「不当に解雇された」と主張している。
 組合員の数は公表していない。ライブドア側との団体交渉などを通じ、従業員の生活保障などを求めていく。同記者によると「報道部門閉鎖で従業員二十数人 が事実上の解雇通告を受けた」という。ライブドア側は「退職勧奨は行ったが解雇通告はしていない」(広報担当者)としている。


■0303
□ライブドア社員、解雇撤回要求へ (朝日新聞)

 ライブドア(平松庚三社長)の報道部門廃止に伴い、事実上解雇を言い渡されたとして、正社員の男性(31)が2日、労働組合を通じて解雇の撤回を求めて いくことを明らかにした。男性は「経営合理化による不利益を説明もないまま、一方的に押しつけられた」と主張している。男性は他の社員らとともに、個人で 参加できる首都圏青年ユニオンに入り、同ユニオン内で「ライブドアユニオン」を立ち上げ、今後会社側と団体交渉する。


■0302
□(攻防07春闘)「働く貧困」克服訴え 声上げる派遣・請負・契約 (朝日新聞)

 派遣労働者の待遇向上を求めて1日、NPO法人「派遣労働ネットワーク」が、業界団体の日本人材派遣協会と、今年で5回目の「派遣春闘」を開催した。非 正規労働者が増えるなかで、昨年次々と結成された派遣や契約社員らの労組も、ワーキングプア(働く貧困層)の是正へ向けた要求を繰り広げている。
 東京都内で開かれた派遣春闘では、派遣ネットの中野麻美理事長と、非正社員3300人で作る「全国ユニオン」の鴨桃代会長らが、収入が不安定な「登録型 派遣」の原則禁止などを要請した。最低時給1780円も要求。協会側は「(登録型など)多様な選択肢があったほうがいい。専門性の高い派遣の時給は上がっ ている」と答えた。
 厚生労働省によると、05年度の派遣労働者は約255万人。派遣業界の売上高は前年度比4割増の約4兆円だ。一方で賃金は、7・8%減の1日約1万 500円だった。
 「派遣料金が上がっても派遣社員の取り分に反映しないとの訴えもある。派遣料金の開示も求める」と、派遣ネットの関根秀一郎さんは話す。
 非正社員による春闘は多方面に広がっている。
 人材派遣会社、フルキャストグループの社員と登録スタッフは昨年9月、「フルキャストユニオン」を結成した。同グループは、携帯電話やメールで派遣先を 紹介する「日雇い派遣」の大手。首都圏で最低850円の登録スタッフの時給を1200円に引き上げること、一律500円の交通費支給などを求める。
 実態は派遣なのに請負契約で働く「偽装請負」の摘発が進むなか、製造現場の非正社員も昨年10月、労組「ガテン系連帯」(池田一慶共同代表)を作った。 春闘では、1〜3カ月の契約を繰り返すのではなく1年以上の契約を結ぶことなどを要求に掲げる。
 契約社員も行動を始めた。KDDIグループ、KDDIエボルバの国際電話センターで働く26人は昨年11月、組合を結成。1年更新だった契約を3カ月更 新にし、深夜・早朝手当も減らすと会社が通告したためだ。勤務9年目の見留洋子委員長(48)は「一人前になるのに2年かかる。細切れ雇用への切り替えは 人を育てる気がないということ」と憤る。正社員との労働条件の格差是正や、勤続1年につき時給10円の賃上げを要求する。

■0302
□(攻防07春闘)「働く貧困」克服訴え 声上げる派遣・請負・契約(朝日新聞)

 派遣労働者の待遇向上を求めて1日、NPO法人「派遣労働ネットワーク」が、業界団体の日本人材派遣協会と、今年で5回目の「派遣春闘」を開催した。非 正規労働者が増えるなかで、昨年次々と結成された派遣や契約社員らの労組も、ワーキングプア(働く貧困層)の是正へ向けた要求を繰り広げている。
 東京都内で開かれた派遣春闘では、派遣ネットの中野麻美理事長と、非正社員3300人で作る「全国ユニオン」の鴨桃代会長らが、収入が不安定な「登録型 派遣」の原則禁止などを要請した。最低時給1780円も要求。協会側は「(登録型など)多様な選択肢があったほうがいい。専門性の高い派遣の時給は上がっ ている」と答えた。
 厚生労働省によると、05年度の派遣労働者は約255万人。派遣業界の売上高は前年度比4割増の約4兆円だ。一方で賃金は、7・8%減の1日約1万 500円だった。
 「派遣料金が上がっても派遣社員の取り分に反映しないとの訴えもある。派遣料金の開示も求める」と、派遣ネットの関根秀一郎さんは話す。
 非正社員による春闘は多方面に広がっている。
 人材派遣会社、フルキャストグループの社員と登録スタッフは昨年9月、「フルキャストユニオン」を結成した。同グループは、携帯電話やメールで派遣先を 紹介する「日雇い派遣」の大手。首都圏で最低850円の登録スタッフの時給を1200円に引き上げること、一律500円の交通費支給などを求める。
 実態は派遣なのに請負契約で働く「偽装請負」の摘発が進むなか、製造現場の非正社員も昨年10月、労組「ガテン系連帯」(池田一慶共同代表)を作った。 春闘では、1〜3カ月の契約を繰り返すのではなく1年以上の契約を結ぶことなどを要求に掲げる。
 契約社員も行動を始めた。KDDIグループ、KDDIエボルバの国際電話センターで働く26人は昨年11月、組合を結成。1年更新だった契約を3カ月更 新にし、深夜・早朝手当も減らすと会社が通告したためだ。勤務9年目の見留洋子委員長(48)は「一人前になるのに2年かかる。細切れ雇用への切り替えは 人を育てる気がないということ」と憤る。正社員との労働条件の格差是正や、勤続1年につき時給10円の賃上げを要求する。

■0218
□ テレビの取材を受けました。  http://sokuhai-union.blogspot.com/2007/02/blog-post_18.html

■0212
□ソクハイユニオンが結成されました!
 http://sokuhai-union.blogspot.com/2007/02/blog-post.html

■0205
□長居公園テント村に対する行政代執行・テント村強制撤去
   
(一)
 長居公園での若い労働者のみなさん。
 奴ら大阪市による行政代執行を前にして、ずっと地道に、労苦をいとわず長居公園テント村を現場で支えてきたみなさん方のことは、監獄にある私にもよく伝 わっています。
 私は64歳なので、みなさん方よりは少なくとも2倍は歳くってるでしょう。
そんな私ですが、自分の獄中生活を誰よりも励ましてくれているみなさん方への恩義は、これからも忘れまいと心しています。

 (二)
 若い労働者のみなさん。
 この国の支配者どもはローソンの店員やビル管理会社のガードマンなどとして働いている若者たちのことを、「フリーター」とか名付け、連中がそのことをど のように言いつくろおうと、本音のところでは蔑んでやみません。私はこの、使い捨ての臨時雇い労働者として働かざるをえない若者らに投げつけられた「フ リーター」という言葉と、同じ支配者連中が公園労働者たちのことを指して、二言目には「気楽で、好き勝手な人たち」と言いたてていることが、一から百まで 似ており、連中がこの二つの言葉をもって何をやろうとしているのかも同じだととらえています。私はこの事一つをとってみても、臨時雇いの身で、働きのわり には報われることのない若い労働者と公園労働者が出会い、つながったのは、それなりの理由があっての、必然だと思っています。

 (三)
 若い労働者のみなさん。
 私は、奴ら検察側のお得意とする、なんでもありの手口で逮捕された当初、留置場は西成署でした。その折、房で一緒だった人が先の「大阪城・うつぼ」での 代執行のことを「朝から晩までやってたね。リヤカーのおっさんら根性あるね」と話すのを耳にし、この言葉に私はひとり嬉しがったのですが、その一方で、私 にはもひとつ物足りないものでした。それは、この人が見たというテレビニュースでもちゃんと映し出されてた筈なのに、この人の話には、あの日、根性のある リヤカーの労働者らがスクラムを組んだあいかたの、若い労働者のことが出てこなかったからです。
 先の「大阪城・うつぼ」での現場の実際が示したように、あの場での若い労働者たちの姿は、およそ知識青年による"野宿者支援"とは異なり、賃金仕事を奪 われた野宿労働者という一つの味方を得ることで、支配者どもの「フリーター」策をもってする抑圧に負けまいとする、若い労働者たち独自の姿としてありまし た。

 (四)
 もう何年も前からですが、この国のどこであっても、テント・小屋がけの労働者がおる所では、野宿労働者と若い労働者の出会いは、ごく普通のこととなって います。

 一つは、私が西成署の留置場で会った人の話がそうであったように、この野宿労働者と若い労働者の出会いとつながりは、まだ分散状態にあり、世間の誰もが 分かるかたちでの社会の流れとはなっていないこと。
 あと一つは、確かに、かって天王寺公園事務所の施設管理課長の阿部が、浪速区の恵美公園で労働者の小屋をつぶそうとした時のことで、一度はこんなことが あったと聞いています。何人ものポリ公に見守られる中で、労働者らに追い返されたあと、暫くして阿部は「今だったら支援も帰ってるからもう一回行こう」と 言ったのだが、労働組合員でもある部下から、「今日はやめときましょう」といさめられ、けっきょくその日の小屋つぶしは取り止めになったといいます。しか し今のところは、まだなんといっても、公園事務所の労働者らによる組織だった反乱に期待をつなぐことはできません。
 主にこれらの事情から、全国的にはまだバラバラな状態の、野宿労働者と若い労働者との出会いを一つにつなぎ、明確な社会勢力へと発展させるためにも、 「大阪城・うつぼ」の時がそうであったように、どうしてもここ当分のあいだは、自分らのかたき連中とは、それなりに力ずくで闘っていくことが必要です。

 (五)
 長居公園での若い労働者のみなさん。
 働くものが蔑まれない世の中をめざすうえで、私は、あなた方には誰にもまして「私たちは野宿労働者の味方だ!」と言う権利があると思っています。
 プロレタリアートの最敬礼をもって。

2007年2月2日 昼いちばんに

■0122
□勝手にクビ、もう許さん! 20〜30代フリーター、生活守る権利訴え(朝日新聞)

 フリーターだからと軽く見ないで! アルバイト先から突然クビを言い渡されるなど、不当な扱いを受けた20〜30代のフリーターたちが、元フリーターら が運営する地域の労働組合に駆け込み、雇い主に対して主張し始めた。フリーターは正社員になるのが難しく身分も不安定な中で、同世代の仲間の生活を守ろう と、組合も活発に取り組んでいる。(荻野好弘)

 東京・渋谷の牛丼チェーン店で働くフリーターの男性(28)は昨夏、店側からの言葉にあぜんとした。
 「店をリニューアルする。辞めてほしい」
 別の店舗への異動も、新装後に再雇用する約束もない。勤務して約3年半。時給は千円から1200円に上がり、月収は27万〜28万円あった。妻(26) も正社員ではない。保育園児の息子を抱え、同意するわけにはいかなかった。
 「法律的なことは知らなかったが、こんなクビ切りはおかしいと思いました」
 会社側に掛け合ってもらちがあかない。同様に解雇された学生ら5人とともに、「首都圏青年ユニオン」(東京都豊島区、組合員約280人)に入った。団体 交渉を重ね、全員が復職。残業代の割増賃金の未払いがあった仲間は、それも手にした。
 フリーターを積極的に受け入れる労働組合が、あちこちに生まれている。青年ユニオンは、パートやアルバイトの若者が集まって00年に発足した。フリー ターでつくる労組の草分けだ。
 「フリーター全般労組」(東京都新宿区、約40人)も昨春、活動休止中だったが再スタートした。委員長の大平正巳さん(37)は、「フリーターでいる自 分が悪いなんて考えず、勝手な都合でクビにする雇用主に対して声を上げようということです」と語る。
 今は診療所職員の大平さんだが、大学を出て勤めた企業を辞め、アルバイトを転々とした。昨春、原宿での「フリーターメーデー」を機に、大平さんら4人が 同労組で活動を始めると、ネットなどを通じてメール相談が次々と舞い込んだ。

 ●「約束と違う」と交渉、解雇撤回や解決金も
 メンバーは組合活動は初めてだったが、別の地域労組から助言を受けながら交渉した。解雇撤回や解決金を勝ち取った例もある。日雇い派遣の若者が集まる漫 画喫茶にチラシを置いて、組合加入の勧誘もする。
 交渉委員の清水直子さん(33)は話す。「低所得のまま中高年になるフリーターも多いはず。労組加入は、生き残るためのつながりづくりと考えてほしい」
 関西では05年秋、若者たちが「ユニオンぼちぼち」(京都市、約30人)を立ち上げた。正式名は「関西非正規等労働組合」。当時大阪外大4年だった委員 長の中村研さん(22)が、バイト先のコンビニで「来週から来なくていい」と言われたのが結成のきっかけだ。
 相談は、やはり解雇や賃金不払いが多い。京都市内のパン屋で働いていた女性(23)は、2カ月の試用期間が過ぎても、約束と異なり700円の時給が上が らなかった。「話が違う」と言った2日後、店長に解雇を告げられた。「ぼちぼち」の組合員だった友人の勧めで自分も加入。交渉で、ひと月分の解雇予告手当 に加え、約束の時給との差額も手にした。大卒後も好きな演劇を続けたいと就職活動をしなかったが、非正社員はないがしろにされると実感した。「法律の知識 も身につけないと、フリーターすら続けられないと思った」
 こういった労組は運営する執行部も30代以下がほとんどで、若者からみて敷居が低い。このほか、「ユニオン」の名がつくような各地の地域労組の大半も、 組合費さえ払えば、だれでも1人でも入れる。連合系、全労連系、全労協系の各「全国一般」も同様だ。

 ◆苦しむ仲間、組織化に希望みえる
 熊沢誠・甲南大学名誉教授(労使関係論)の話 ワーキングプア(働く貧困層)の中心は、都会のフリーターら若い非正規労働者たちだ。雇用が臨時的、流動 的なため継続して付き合う仲間を得にくく、連帯して生活改善を図る労組への関心がどうしても薄くなって、政府の救済や企業の温情に期待を抱くしかなかっ た。若者の中から、自ら生活を守ろうという気風がようやく芽生え、ともに苦しむ仲間を組織化しようとする労働運動も現れてきた。ここに希望がほの見える。

 【写真説明】
メールマガジンの発行などについて話し合うフリーター全般労組のメンバー=東京都新宿区で

■0110
□すき家、残業代不払い 過去2年、アルバイトの数億円分(朝日新聞)

 牛丼チェーン「すき家」を展開するゼンショー(東京)が、1万人以上が登録されているアルバイトの大半の残業代を適正に支払っていなかったことがわかっ た。不払い総額は、過去2年分で数億円に上る見通し。同社広報室は「賃金制度に一部問題があった」と認め、労働組合を通じて不払いを指摘した一部アルバイ トには、すでに未払い分を支払っている。
 同社によると、アルバイトの賃金には変形労働時間制を採用。この制度では、1カ月間の労働時間が平均週40時間以内に収まれば、特定の日に8時間を超え て働かせることができる。この場合、31日ある月は177・1時間、30日の月は171・4時間を超えた部分が残業となり、法律で定める割増賃金(25% 以上)を支払う必要がある。
 しかし、月ごとに変えないといけない割増賃金が発生する基準時間を一律174時間に設定していた。アルバイトや派遣社員らでつくる首都圏青年ユニオンか ら問題点を指摘され、昨年11月、1日8時間を超えた部分が残業となる一般的な制度に改めた。
 同社は「制度について理解が不十分だった」としている。同ユニオンに加入している5人には、変更後の制度に基づいて過去2年分をさかのぼり、1日8時間 を超えた割増賃金として計約40万円を支払った。他のアルバイトについては「調査中で、支払うかどうかコメントできない」という。
 すき家は全国に784店舗ある。


UP:20070710 REV:随時
◇労働 http://www.ritsumei.ac.jp/acd/gr/gsce/d/w001.htm
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