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若年非正規労働者による労働組合のニュースなど  2003年

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製作:橋口昌治* 2007.07-



■0920
□フリーター全般労働組合準備会呼びかけ文
 http://a.sanpal.co.jp/paff/resource/call_20030920.html
■非典型労働者の増大〜その背景と機能〜

 パート・アルバイト・派遣・契約・準社員・フリーター等、様々な名称で呼ばれる非典型労働者(広義のフリーター)が近年急増しています。不況の中での雇 用の流動化や価値観の多様化などとしてゴマかされることが多いのですが、財界および政府による経済戦略・労働力政策こそがむしろその主要な原因です。そし て現在進んでいるフリーター層の増加は、賃金を始めとする労働者の労働条件を大きく引き下げる要因となっています。
 2003年度版『国民生活白書』によると、フリーターとは「15〜34歳の若年(ただし、学生と主婦を除く)のうち、パート・アルバイト(派遣等を含 む)及び働く意志のある無職の人」と定義されています。しかし主婦パートおよび学生アルバイトの実態にてらして、両者をフリーター層に数えないのは問題で す。また『白書』の統計からは、今やフリーター労働力の有力な一翼を担っている外国人労働者がそもそも除外されていることでも明らかなように、フリーター という存在が抱える問題を、若年日本国民の「質」(の低下)の問題へと矮小化しようとする意図が窺えます。主婦パートは、その収入によって家計を支えてい ることが明白であるにもかかわらず、賃金水準は学生並かそれ以下であり、不当にも一人前の労働者として扱われていないことにおいて、まさに「フリーター」 の呼称がふさわしい存在であるといえます。大学生(とりわけ女子学生)には就職難が叫ばれてすでに久しく、卒業後もパートや派遣で生計を立てる人が年々増 加しています。こうなってくると、学生時代のアルバイト等の非典型雇用と卒業後の非典型雇用とは連続しており、これを分けて考えることにはあまり意味があ りません(あるとすれば、学生は「学生だから」という理由で、卒業後は「非正規だから」という理由での差別待遇を正当化することによって利益を得る者たち にとってのみでしょう)。学生もまた現にすでにフリーター化しているといえるでしょう。外国人労働者はその多くが非典型労働者であり、日本の差別的な入国 管理行政とあわせて二重に苛酷な生活状況を強いられています。
 主婦および学生、そして外国人労働者をフリーター層に含んだ場合のフリーター総数はおおよそ1700万人(失業者360万人を含みます)で、総労働人口 6600万人のうち26%を占めます。この1700万人に、小零細企業(100人未満)の正規労働者2050万人とを合計すると、実に労働者の過半数が非 典型労働者もしくはそれに近い不安定雇用状態に置かれていることになるのです。
 ちなみに非典型労働者と典型労働者との違いは、働き方だけで見るかぎり極めて曖昧です。「契約期間に定めのある/なし」が判断基準とされる場合がありま すが、契約の更新により実質的に「期間の定めのない雇用」とみなされる場合には、解雇にあたって典型労働者と同一の正当事由が要求されますし、典型労働者 と同じ職場で同じ時間、同じ仕事をしている非典型労働者も多数存在します。ゆえに典型、非典型を区別する基準は、働き方の違い(労働時間の長短)や労働能 力にあるのではなく、何か理由をくっつけて少しでも人を安く使おうという者にとって都合のいい労働条件の待遇格差にこそあると言えるでしょう。2002年 度の大卒男性典型労働者と主婦フリーターの平均時間賃金格差は100対40であり、この格差は年をおうごとに拡大しています。
 つまるところフリーターとは、「フリーター」「非正規」というレッテルを理由に様々な差別的待遇に甘んじろという社会的圧力に日々さらされている被差別 低賃金労働者といっても過言ではありません。有給休暇がとれないなどは当たり前、残業時の割り増し賃金がもらえない、妊娠を理由に解雇された(解雇されな いために堕胎した)などの法律違反や法律(男女雇用機会均等法)にかこつけた差別が公然と行われています。さらに外国人労働者の場合には、日本人よりも劣 悪な就労条件を強制されるといった例も存在します。このようにフリーターは、安くて便利な労働者として使い捨てにされているのが現状なのです。こうした趨 勢は若年層にとどまらず、高齢者の労働力をも「ボランティア」や「定年後の生きがい」という美名のもとに法外に買い叩いてフリーター化しようとする兆しが あります(「構造改革特区」構想において、足立区が「元気高齢者」の「労働基準法適用除外」を厚生労働省に申請したこと等)。
 現在典型労働者の労働条件も、相次ぐ労働法制改悪にもとづく裁量労働制(何時間働いても八時間しか働いていないとみなされる)の要件緩和による長時間労 働の蔓延や年功賃金制度の崩壊、大量リストラの横行などでドラスチックに引き下げられています。この流れは典型労働者の「下」に、膨大な非典型労働者を置 くことによって成り立っています。フリーター層を始めとする非典型労働者が、財界及び政府による労働者全体の低賃金化と、差別・分断化攻撃の「道具」とし て利用されているのです。実際日本の主だった経営者によって構成されている日本経団連という団体は、95年に発表した「新時代の『日本的経営』」を始めと する政策提言や、派遣労働者法改悪案などの法律を通して、積極的に労働者の低賃金化を推し進めています。そしてその理由として、「労働者同士の競争」と 「総額人件費の抑制」を通した「生産性の上昇」を挙げています。
 今後財界および政府は「国際競争力に打ち勝つため」と称して、労働者の労働条件をさらに引き下げる動きを加速化させていくでしょう。このような中で、フ リーター層の労働条件の低下を許す事は、全労働者の労働条件の低下を招きます。ゆえにフリーター層の問題とは、すなわち全労働者の問題なのです。

■世界で進む労働条件の引き下げと生活破壊、そして戦争

 現在日本では、「小泉構造改革」のもと、大企業にとって有利な「規制緩和」(裁量労働制=八時間労働制の規制緩和もその一つ)が進められ、倒産、賃下 げ、リストラ促進減税の一方で貧乏人に重税、そして社会保障費の削減がバンバン推し進められています。またこれによって日系企業の多国籍展開(グローバル 化)を応援し、それに伴う軍事展開も企てられています。
 このような流れは日本一国だけでなく、アメリカ、ヨーロッパを含む「自由主義諸国」に共通する動きであり、俗に「新自由主義」と呼ばれています。現在 「新自由主義」は「グローバリゼーション」の名のもとに正当化されていますが、何者による何のグローバル化かといえば、軍事力を背にした巨大多国籍企業に よる貧困と戦争のグローバル化というほかはないでしょう。
 これら多国籍企業の展開を容易にしているのは、その豊富な資金力とIMFや世界銀行などによ当該国への「援助」です。豊富な資金力は、圧倒的な経済格差 の上に成り立つ「第三世界」の安価な労働力と資源、そして本国労働者の貧困化と「高い技術力」に基づいて形成されています。国際機関による「援助」は、国 家に納められた税金が、国際的な金融機関であるIMFと世界銀行に上納され、それらのカネが「構造改革」(「構造調整」という呼び方もします)を条件に IMFと世界銀行を通して融資させられるという方法で行われています。
 その結果、現在多くの国々で「構造改革」を通した生活破壊が進行しています。地場産業の解体、自然環境の破壊、「先進国」のヒモつき独裁者による労働運 動への弾圧等によって人民の生存自体が脅かされる貧困が蔓延し、大量の「経済難民」を発生させています。そしてこれらの「経済難民」が仕事を求めてグロー バルに移動する自由を妨げ、彼らに犯罪予備軍のレッテルを貼ることによってナショナリズムを煽りたてるのが、日本だと「石原慎太郎」に象徴される極右政治 家だったりするのです(だからこのような政治家に投票してはいけないのです)。またIMFと世界銀行による世界各国にたいする金融自由化政策は、金融投機 の激化をもたらし、「金融危機」を発生させることでその国固有の経済基盤を掘り崩し、結果として各国の国際機関への依存度をさらに高める、という悪循環も 生じています。
 今世界中で労働者の生活条件が、資本家の利益のために低下させられています。そしてその利益がますます悪用されているのです。そして国連もへったくれも なく自らの権益確保のためには軍事を駆使して世界中で暴れ回り、殺しまくるという事態にまでいたっています。世界の労働者と連帯し、その生活条件を向上さ せることで、頭からではなく、足下からその足を引っ張ることによって、グローバル資本の搾取と横暴の自由に歯止めをかけることが重要になっています。

■今こそ労働者の団結を

 私たちは、世界の労動者が団結し、共に労働条件の向上を勝ち取ることが、世界の労働者人民の生活と平和のための喫緊の課題であると考えます。日本におい ては、労働者の労働条件切り下げの構造的「重石」として機能しているフリーター層の労働条件の向上が急務です。
労働者が今よりましな労働条件を勝ち取るためには、労働者自らが団結して財界および資本家と闘う必要性があります。団結することを通して、一人一人の労働 者の力を何倍にもすることが可能になるのです。
 現在日本では労働三権が憲法によって保障されています。労働三権は、(1)団結権(2)団体交渉権(3)団体行動権によって成り立っており、団体行動権 ではストライキ(同盟罷業)、占拠などが法的に保障されています。そして労働者が団結するための組織である労働組合の設立もまた保障されています。労働者 の団結権及びその他の諸権利は、労働者と資本家との長いあいだにわたる闘いによって労働者が勝ち取ってきた貴重な権利です。私たちは、この貴重な権利が結 実している労働組合の結成を通して、広く労働者の団結を形成するとともに、労働者の権利をより強固にする必要があると考えます。
 私たちは、フリーター層の労働条件を向上させるための労働組合結成をみなさんに呼びかけたいと思います。
 万国の労働者団結せよ!! 全てのフリーターはフリーター全般労働組合に加入しよう!!
 フリーターに一人前の賃金を!

■0917
□サポート マリオン(朝日新聞)

 ◆シンポジウム「若者たちの失業と就業をめぐって」
 20日土曜、午後1時半〜5時、東京都千代田区神田駿河台の明治大リバティータワー1階1011教室(御茶ノ水駅)。都立大の乾彰夫教授、首都圏青年ユ ニオン執行委員の蓑輪明子さんらが、若者たちの働く環境について話す。500円。先着300人。電話・FAX研究会「職場の人権」(06・6315・ 7804)。


■0714
□一生ずっとフリーター可能なのか 第一世代は崖っぷち(アエラ)

 バブル期に登場したフリーター。
 組織に縛られず自由に生きる。
 それが合言葉だった。
 不況で失業者があふれるいま、
 そのフロントランナーたちが、
 40歳に迫ってきた。
 みずから選んだ「自由」には、
 求められる代償もある。
 (編集部・諸永裕司、郭允〈写真〉)
 
 時給900円のラーメン店員というのは「仮の姿」だ。夜8時から朝6時までの勤務を終えて眠りに落ちる間際、大塚文雄さん(38)はそう自分に語りかけ る。
 「昔は漫画家にでもなろうかと思ってたんだけど、ちょっと無理かなと思って、いまは俳優を目指しているんです」
 築30年になる東京・世田谷のアパートは家賃4万6千円。近くの首都高速道を大型トラックが走るたび、振動でかすかに揺れる。南向きの6畳間と3畳間、 風呂はない。日差しの強い夏は喫茶店に避難する。
 
 ○幸せの青い鳥いずこ
 漫画本を納めた段ボール箱20箱とともに、ビデオテープの山が部屋を占拠する。テープは10本980円。レンタルビデオ代を節約して、映画やドラマは自 分で録画している。壁に渡したロープから洗濯物がぶらさがり、その下にテレビが3台並んでいる。
 「2台は拾ったもの。友だちがくれた28インチの大型テレビは壊れかけているけど捨てられなくて。粗大ゴミは捨てるだけでカネ取られるでしょ」
 週4日働いて、月収は約12万円。アクション教室のレッスン代に3万円払うと、あまり残らない。
 そこで時々、エキストラのバイトも入れる。最近では、高橋克典主演のドラマに警官役で「出演」した。深夜零時からファミレスで待機して、撮影が終わった のは午前6時すぎ。バイト代は3千円。交通費はでなかった。
 「放送されても一瞬、映るかどうかですけどね」
 それでも、夢とつながっていると思えるからやめられない。
 大塚さんが大学を卒業したのは、バブル経済が膨らもうとしていた1988年。ちょうど、アルバイト情報誌「フロム・エー」が、フリーアルバイターを略し た造語「フリーター」という言葉を世に送り出した直後だった。いわば、フリーター第一世代にあたる。
 企業に背を向け、アルバイトを転々とした。図書データ処理、土木工事、工事現場監督、スキー場のレストラン、チェーン寿司店、郵便局……。
 好きなときに眠り、好きなときに起きる。そして、「本当にやりたいこと」を探す。それが自由だと思っていた。しかし、いつまでたっても「幸せの青い鳥」 は手に入らない。それどころか、姿さえ見えはしない。いつまでこの生活を続けていけるのか。
 そう考えるようになったのは、地下鉄の駅の階段を上り下りする足の運びが重く感じられるようになった最近のことだという。
 体を壊したら一瞬にして失業者へと転落しかねない。貯金は2万円。「飢え死に」という言葉さえ頭をよぎる。アルバイトでは「失業保険」ももらえないから 親元へ転がり込むしかない。そうなれば、将来、老親の介護が降りかかり、「自由」はますます遠ざかる。
 
 ○定義では35歳まで
 だからというわけでもないが、フィットネスクラブに入っている。会費の安い昼間のメンバーで、月々の負担は7500円。
 「痛いけどね。まあ、シャワーも浴びられるし」
 とはいえ、実際にはヨガや水泳の教室に足が向かない。
 「昼すぎに起きて何か食べると、もう面倒臭くなっちゃって。体もキツい。夜8時からの仕事を思うと、疲れられないし」
 40歳を前に、フリーター第一世代が思い描いた人生は軋みはじめている。
 フリーターとは、厚生労働省の定義によれば、低賃金、低技能のパート労働者の200万人。
 総務省の定義では、派遣社員や契約社員を含めるために417万人。
 いずれも、対象は15歳から35歳未満のため、統計の網からもれた35歳以上のフリーターの実態はわからない。
 リクルートワークス研究所の大久保幸夫所長はフリーターの長期化、高齢化が進んでいると指摘したうえで、「自由の代償」という言葉を口にした。
 フリーターと正社員では毎年、平均100万円の収入格差が生まれる。もちろんカネがすべてではない。ただ、フリーターは毎年100万円ずつ損する計算に なる、と言うこともできる。
 「30歳をすぎても続けるのなら、知っておいたほうがいい数字ではないでしょうか」
 フリーターという言葉は「自由」という幻想を広げすぎたのかもしれない。
 
 ○気がつけばフローター
 7月12日に東京で開かれる第3回「詩のボクシング」全国大会に出場する福岡県穂波町の高市宗治さん(34)はみずからを、
 「漂流者」
 と呼ぶ。フリーターではなく、フローターというわけだ。
 いま、実家にパラサイトしながら、町議会の議事録などのテープ起こしのバイトで稼いでいる。60分テープ1本分で5500円。文字にするのに最低でも 4、5時間はかかる。ときには、1人分10円の名簿入力もこなす。それでも収入は5〜8万円。うち2万円を母親に渡すものの、国民健康保険や年金の支払い を立て替えてもらうことも珍しくはない。
 「あんた、いつになったら結婚するとね」
 母親の言葉に「今にするけん」と答えるのが精一杯だという。
 じつは5年前、結婚を考えたひとがいた。成人式のスーツを箪笥から引っ張り出し、20社以上の面接を受けた。どうしても正社員になりたかった。ならなけ れば結婚を認めてもらえないと思った。でも、壁は厚かった。ようやく学習塾に採用されたのは3カ月後だった。彼女にそう伝えると、
 「ごめん。好きな人ができた」
 以来、バイト暮らしに戻った。
 朝食は「腹もちがいい」納豆かけご飯。昼飯は食パンにジャム。「安売りの六つ切を2枚ずつ3日で食べる」。夜は、嘱託職員としてバス会社で働く父 (66)と病院ヘルパーの母(57)と食卓を囲む。ほとんど外食はしない。
 99年には、塾講師を描いた小説が「九州芸術祭文学賞」の福岡地区優秀作に選ばれた。地元のミニコミ誌にも詩を発表している。とはいえ、それで食べてい けるわけではない。
 図書館で本を読んでいると、高市さんはふいにページをめくる手が止まることがあるという。
 「読んでいるのは、だれか別のひとの作品だと思うと、たまらなく焦りを覚えるんです。著者の年齢が自分より若いと余計にキツイ。俺は何をやっているの か、と」
 かすかな罪悪感を抱えながら、いまも行き先を探している。自作の詩にこんな一節がある。
 〈そう、幻にきまっとる
 こげん長ごう漂っとったら
 何もかも幻
 生きとるんか死んどるんか分からん
 まるでクラゲや〉
 
 ○月収15万円以下6割
 「じつは、フリーターの7割は正社員希望なんです。でも、仕事につけないからフリーターを続けている。それが現実です」
 パート労働者などが加入する「青年ユニオン」で相談・交渉を担当する阿久津光さんは言う。
 ただ、「高齢フリーター」が仕事を探そうとしても、間口は狭い。アルバイトでは職業能力は蓄積されず、履歴書は空白のままだ。それに、リストラや転職の ために職を求める「失業者」は増えており、そうした人たちと比べれば技能も経験も乏しい。かりに働きたくても働けない状況という。
 インフォシークが昨年12月に実施したネットアンケートでも、40歳以上のフリーターが直面する現実の厳しさが浮き彫りになった。回答した417人のう ち、40〜49歳の男性23人の答えを拾ってみよう。
 フリーターとして働いている理由は、8割近くが「就職先が見つからなかった」。
 月収は6割が「15万円未満」で、「25万円以上」は1人。
 フリーターとして働くメリットについて、4割が「特にない」と答え、「収入が不安定」「保険・保障がない」をはじめ、「将来の見通しが立たない」といっ た不安の声が目立った。「将来の夢が持てる」と答えた人はいなかった。
 3人に2人は未婚で、3人に1人は親から小遣いをもらい、親との同居率は約4割。親という「インフラ」なしには立ち行かないのが実態のようだ。
 日本労働研究機構の副統括研究員で『フリーターという生き方』の著書もある小杉礼子さんは言う。
 「40代になると、アルバイトでも仕事が限られ、まして賃金は上がらない。仕事は補助的なものが大半だから、やりがいや達成感はえられにくい。そして、 企業から『雇用の調整弁』として使い捨てされる。自由どころか、むしろ制約のほうが大きくなる」
 制約を受けるのは個人だけでなく、国家も同じだ。
 元富士総研研究員で白鴎大学助教授の浅羽隆史さんの試算によると、2010年度には税収が967億円減り、厚生年金の未加入・未納者が8%増える、と見 込まれている。
 「年金を払っていないフリーターは高齢になっても、年金を受け取れず、生活保護に頼ることになる。しかし、その分、ほかのだれかの負担が増える。フリー ターにも負担を求めるような税体系に見直すべきではないか」
 浅羽さんは、40代フリーターが増殖するようなことになれば、国の基盤が揺らぎかねない、と警告する。
 
 ○現実も将来も「重い」
 フリーター第一世代と同年代のSさん(36)は昨年の春、フリーターの仲間入りをした。コンビニへ商品を届ける配送センターと郵便局で週6日、種分けの アルバイトをしている。
 バブル期の真っ只中に就職したコンピューター関連会社でシステムエンジニアとして12年働いた。辞表を出したのは、
 「自分が擦り切れていくような感じがしたから」
 給料をもらうために仕事をしたくない。第一世代が口にしていた言葉がようやくわかるような気がした。だから、企業への再就職は考えなかった。
 夢はなにかと問われても、すぐには答えられない。「会計士」。ようやく口を開いても、自分で自分の言葉を信じてはいない。
 「会社から離れたはいいけど、これからどこへ行くのか。自分でもわからない。でも、こんなはずじゃなかったとは思いたくない」
 楽して儲けられないかと始めた株では、100万円以上損をした。貯金通帳の残高が瞬く間に減っていく。
 現実を見るのも、将来を考えるのも重い。親にはまだ、フリーターになったとは伝えていない。
 
 【写真説明】
 無料プロバイダーと契約して以来、仕事は自宅のパソコンからインターネットで探す
 大塚さんは夕食をバイト先のラーメン店で食べることが多い。それも節約術のひとつだ。
 「腹の底から、しっかり声出せよ」。アクション教室で、大塚さん(右)に講師の激が飛んだ


■0708
□INFORMATION(朝日新聞)

 バイト・仕事何でも電話相談 首都圏青年ユニオンが13日午後3時〜7時まで実施。電話03・5395・5359。


■0325
□パート均等、法律化見送り 新指針、残された課題議論は国会へ(朝日新聞)

 パートタイマーは、正社員と比べ働く時間が短いだけで賃金など処遇が低すぎないか。そういう問題意識で始まった厚生労働省の労働政策審議会の議論が、 18日終わりました。労働側委員の反対の中でまとめられた報告書は、新指針を作って行政指導で均等待遇を実現するとし、法制化は見送りました。残った課題 と今後の方向性を探ります。(林美子、竹信三恵子)
 
 ○見いだせぬ一致点 労使の審議、11回の激論
 「報告書は均等待遇原則の法制化を明らかにしておらず、パートタイム労働者の期待を……」
 18日の同審議会雇用均等分科会で、労働側委員を代表して反対の意見書を読み上げていた吉宮聰悟連合総合男女平等局長は、そこで言葉を切り、顔を紅潮さ せて数秒間沈黙した。「……裏切るものになっている」。声が少し震えていた。
 昨年9月から11回に及んだ審議は、労使の代表と学者ら公益委員の3者による激論が続いた。法制化を主張する労働側と、行政指導でさえも拒否する使用者 側。とりまとめにあたった公益委員と厚労省は、労働側の説得は困難とみて、難色を示す使用者側を説き伏せた。報告書に労働側の反対意見書が添付される異例 の決着となった。
 労働側は「パート労働法が10年前にできたにもかかわらず、処遇格差が拡大傾向にある。同法が努力義務規定にすぎず、事業主に対し強制力を持たないため だ」と主張。これに対し公益委員は「パート法の効果があがらなかったのは、ある処遇状態が適正かどうかを判断する基準がなかったためだ」とし、指針=ポイ ント参照=で基準を示すだけでも「一歩前進」だと主張した。
 一方の使用者側も「処遇は労使で決めるもの。行政が介入すべきでない」と反発。公益委員の「処遇自体には口出ししない。処遇の決め方の基準をそろえてほ しいというだけ」などの説明に、18日の分科会では「全面的賛成ではないが当面矛を収める」とした。来年度、指針を大臣告示として定める時に再度議論する 構えだ。
 水町勇一郎東北大助教授(労働法)は「行政指導という手法自体に限界がある。均等待遇原則を明文化したうえで具体的内容はパート労働者を含む労使の話し 合いに委ね、トラブルになったら裁判所が判断するのが望ましい。少なくとも法制化に向けた工程表をつくるべきだった」という。
 
 ○パート、行政への不信も強く 使用側、賃金以外から改善も
 「均等待遇を実現する法律を待ち望んでいたのに」。名古屋市に住む坂喜代子さん(51)は、報告書に怒りを隠さない。
 銀行の事務パートとして24年間。労働時間が短い以外は正社員と区別なく仕事をこなしても、時給は870円という。パートらでつくる「名古屋ふれあいユ ニオン」の運営委員長でもあり、「交渉の際に『法律にこう書いてある』と言えば武器になる。指針では改善されない」と話す。
 行政への不信感も強い。広島市に住むパートの女性(38)は、雇用保険加入を求めたのをきっかけに解雇されたが、連合系の「全国一般」に相談し、昨年 11月に解雇無効判決を勝ち取った。「最初に労基署や県庁に訴えたのに、動いてくれなかった。行政が指導能力を高めないと意味がない」と批判する。
 一方、東京都内の50代のスーパー経営者は「周りには正社員に賃金を払うのもやっとという零細企業が多く、均等と言われてもできない現実がある」と言 う。
 法制化が進まない中で、福利厚生など壁の低い部分から処遇改善に取り組む動きも目立つ。
 派遣社員らでつくる特定非営利法人「派遣労働ネットワーク」は11日、経営者団体「日本人材派遣協会」との交渉で「賃金の均等は簡単ではないが福利厚生 は何とかしたい」との回答を得た。
 フリーターなど若者が加入する「首都圏青年ユニオン」によると、4月から都内の区役所などで非常勤職員にも子供の看護休暇や慶弔休暇を認める動きがある という。
 
 ○政府頼み進まず 議員立法に動く
 国会では、議員立法の動きが強まっている。
 政府頼みでは進まないとみた連合は、民主党に法案づくりを要請。同党は2月末、法案骨子を公表した。労働時間が正社員より短いパートのみを対象に、均等 処遇を義務づける内容だ。
 一方、昨年12月には、民主、共産、自由、社民各党などの国会議員57人でつくる「パート議員連盟」が法案骨子をまとめた。フルタイムで働く「疑似パー ト」や派遣社員など有期雇用も含み、民主党案より幅が広い。
 民主党案のとりまとめにあたった水島広子衆院議員は「賛成しやすい最低限の線でまとめた」と話す。自由党と社民党も同調し、3党の政策責任者会議は今月 12日、民主党案を核に3党案をまとめる方向で合意した。
 パート議連は、25日に骨子をもとにした法案要綱を発表する。共産党も独自案づくりを始め、有期雇用全体を対象とし、罰則も盛り込む方向だ。
 野党による議員立法は実現が難しいが、市民団体「均等待遇アクション2003」が22日まとめたアンケートでは、自民党は回答保留、公明党と保守新党は 賃金格差は「改善の必要あり」と答えた。パート議連会長で社民党政審会長の大脇雅子参議院議員は「議連案はあるべき方向を示す灯台。3党案は、これを目標 にまずパートからということ。共産案との一本化をさぐり、与党にも働きかけたい」という。
 
 ◆パート処遇指針のポイント(報告書の要旨)
 ●労使の取り組み
 (イ)事業主はパート労働者から処遇について説明を求められたときは、説明する
 (ロ)パートの意見を聴く方法を工夫する
 (ハ)苦情処理の仕組みづくり
 ●正社員に転換する条件を整備する
 ●正社員と同じ仕事をしているパートの扱い
 (イ)異動の範囲、頻度、役割の変化や育成のあり方など人材活用の仕組みや運用等が正社員と違わない場合は、処遇の決定方法を合わせる
 (ロ)人材活用の仕組みや運用等が違う場合は、意欲、能力、経験、成果等に応じて処遇し、正社員とのバランスを考慮する
   *
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UP:20070710
◇労働 http://www.ritsumei.ac.jp/acd/gr/gsce/d/w001.htm
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