女と海/クィアな海
Females and the Sea / Queer Sea
神戸市外国語大学2018年度前期科目「ジェンダー論入門」
"Introduction to Gender Studies" [The First Semester of the 2018 Academic Year]
at Kobe City University of Foreign Studies
授業期間[Class Term]:2018/04/13 - 2018/08/03(全15回[Total 15 lectures])
担当教員[Lecturer]:
村上 潔(
MURAKAMI Kiyoshi)
last update: 20190424
■授業情報[Course Information]
授業日程[Course Dates]
@2018年4月13日 A4月20日 B4月27日 C5月11日 D5月18日 E5月25日 F6月1日 G6月8日 H6月15日 I6月22日 J6月29日 K7月6日【休講(豪雨の影響)】→7月13日 L7月20日 M7月27日 N8月10日[補講期間 *5限に統一して行なう] ◎定期試験:8月3日 *GWを除く毎週金曜日[Every Friday]
授業時間[Class Hours]
・5限[5th period]=16:05〜17:35
・6限[6th period]=17:50〜19:20
*5限と6限は基本的に同内容(受講人数等の事情により変更する可能性がある)。
Their details are basically the same. There is a possibility that a difference occurs for some reasons.
教室[Classroom]
学舎308教室[Room 308] 【Campus Map】
使用言語[Classroom Language]
日本語[Japanese]
過去の授業[Past Lectures of this Course]
◇2017年度:女性がつくる自律的文化シーン――メディア・空間・アクティヴィズム」[Women's Autonomous Cultural Scenes: Media, Space, and Activism]
◇2016年度:“Grrrl/Queer/Feminist Zines”
◇2015年度:「女と海」[Females and the Sea]
◇2014年度:「《女子》と《都市》――神戸における女性文化」[Girls and the City: Women's Culture in Kobe]
+
■主題と目標[Theme and Objectives of Class]
◆主題[Theme]
「女と海/クィアな海」[Females and the Sea / Queer Sea]
◆目標[Objectives]
【背景】本授業は、2015年度《ジェンダー論入門》「女と海」(https://sites.google.com/site/femalessea2015/)の発展型として位置づくものである。
[Background] This class is positioned as an advanced variation of the class of Introduction to Gender Studies of 2015: "Females and the Sea" (https://sites.google.com/site/femalessea2015/).
【目標】本授業では、現代の創作表現(日本の歌謡曲)の検討を通して、「女」と「海」との関係性、そしてその関係性のもとに生起する情動的・生物的・物理的・社会的現象の諸相を読み解くことで、人間と自然との関係のうちに性がどのように作用しているのかを理解する。また、「女」という枠組みを拡張させることで、近代の人間社会の秩序とは「異なる生命」が海(自然)において存在しうる可能性の意味と、海(自然)そのものがクィアな本質を有することの意味を確認する。たんなるテクスト論/表象論としてではなく、情動や身体性のレベルまで動員した理解を追求する。
[Objectives] This class is intended to understand how does sexuality act in relations between human being and nature by comprehending the relationship between females and the sea, and the diverse aspects of emotional, biologic, physical and social phenomenon caused by that relationship through consideration of modern creations (Japanese pop songs). In addition, we confirm the meaning of the possibility that the organisms which deviated from the modern social order can exist in the sea (nature) and that the sea (nature) itself have the nature of queer through expanding the frame of females. We pursue the understanding accompanied with emotions and physicality beyond the bounds of textual theory and representation study.
【注記】本授業は、一定レベル以上の日本語能力を必要とする。
[Note] This class requires a certain level of Japanese language skills.
■キーワード/サブテーマ[Keywords/Subtopics]
- 「女は海」
- 「女の海」
- 水(液体)
- 光/闇
- 風――潮風・季節風・貿易風
- 音――潮騒・海鳴り・霧笛
- 空間――渚・浜辺・海辺
- 気象(空)――雲・雨・嵐
- 天体――太陽・月・星
- 港――桟橋・船・車(道路)
- 航海――異国・別れ・ロマンス
- 生物――魚・人魚・鳥
- 生命と/の記憶――誕生・成長・死
- クィアな海
■講義内容[Lecture Contents]
第1回:「イントロダクション」[2018/04/13]
◇本授業の(2014年度以降の)経緯
◇担当教員紹介
◇シラバス確認
◇定期試験/評価のつけかたについて
◇2015年度講義「女と海」の振り返り
━━━
◇講義の土台となる理念の枠組み
‐ [人間−自然]=[男性−女性+性別を越えた存在]
‐ 近代/前近代/先史/地球史
‐ 規律・規範・訓化・飼いならし――を逸脱する力・ポテンシャル
◇分析の視角
‐ 自然が内包する8つの基本構成要素――@時間/A方角/B高度/C光度/D色彩/E速度/F温度/G天気
‐ 人間の身体(感覚)と精神(情動/愛)
‐ 自然と人間が交錯し・浸透しあい・錯乱し・変態する――その作用が生み出すもの・痕跡
━━━
◇導入
【テーマ】「人間(男)から海の環境への作用ベクトルが屈折・脱線・拡散すること――ならびに媒介する「女」の位置について」
【対象作品】
@山下達郎“SPARKLE”
作詞:吉田美奈子
作曲・編曲:山下達郎
6th Album『FOR YOU』(1982/01/21)A-1
A山下達郎“RIDE ON TIME”
作詞・作曲・編曲:山下達郎
6th Single(1980/05/01)A-1→5th Album『RIDE ON TIME』(1980/09/19)A-4
*日立マクセル「UD」(カセットテープ)CMソング
‐ 夕闇/朝日
‐ 高さ/広がり
‐ 心=世界/心→魂(昇華)
‐ 「女」の普遍(不特定)性/拡張性
‐ 「女」の力に対する受動性/能動性
第2回:「抱擁の表裏――「南」からの力を湛えた女」[2018/04/20]
【対象作品】
@山下達郎“高気圧ガール”
作詞・作曲・編曲:山下達郎
10th Single(1983/04/23)A-1→7th Album『MELODIES』(1983/06/08)A-2
*1983年全日空《リゾートピア沖縄》キャンペーン(04/01-06/30)イメージソング
Aジュディ・オング“魅せられて”
作詞:阿木燿子
作曲・編曲:筒美京平
28th Single(1979/02/25)A-1
*第21回日本レコード大賞:大賞・作曲賞(中山晋平賞)
◇官能性
◇所有・被内包欲求(男)
◇主体的な抱擁・被抱擁(女)
◇語る女の複層性
◇神秘性・女神
◇南・海・空気・光・自然現象
◇欲望(男)×再生産(女)
◇エーゲ海の特質
◇オリエンタリズム/エキゾチシズム
◇ポストコロニアリズム
第3回:「「南」の先の海と空――永遠の愛を願う場所」[2018/04/27]
【対象作品】
@松任谷由実“Tropic of Capricorn”
作詞・作曲:松任谷由実
編曲:松任谷正隆
15th Album『VOYAGER』(1983/12/01)B-3
A下成佐登子“南十字星”
作詩:三浦徳子
作曲・編曲:大村雅朗
2nd Album『ハートフル』(1982/06/21)B-3
◇[刹那の時間 + 身体性の喪失]×[終わらない時間 + 肥大化する情熱]
◇南の海の果ての不穏さ――人間以外の現象に向く女の意識/感受する能力
◇太陽さえ越えて進む意志――特定の人間への愛情を超えた海と空への回帰性
◇南十字星がもつ超越的・普遍的な力(=光)――女が直接願いをかけるただ一つの対象
◇海と人との関係を俯瞰する女――達観と昇華願望
◇不可視・不明瞭な(最後景にある)男性性――必要とされない存在
◇女から南十字星へのコネクトの自己目的化――求める「愛」の別のかたち/追求する「真実」への到達
◇不特定の「南」という領域/場所性――どこでもないが特別な意味をもつ位置どり
第4回:「小さな貝殻の内と外――女と海の複層的相互関係」[2018/05/11]
【対象作品】
@久保田早紀“真珠諸島[アイランズ]”
作詞:久保田早紀・山川啓介
作曲:久保田早紀
編曲:萩田光雄
2nd Album『天界』(1980/06/21)A-4
A久保田早紀“月の浜辺ボタンがひとつ”
作詞・作曲:久保田早紀
編曲:久米大作
7nd Album『夜の底は柔らかな幻』(1984/10/01)A-2
@甘美な孤独
A喪失する身体性
B時を越えた追憶
――を可能にする条件とは
━━━
◇暖色な周辺環境×寒色の自己
‐ 燃える空と火+周囲の若さ×冷えて重くなる身体と心
‐ 時間とともに反比例する作用
◇交錯する入れ子構造
‐ 海の内と外/貝の内と外
‐ 私=貝のシンクロと他者性
‐ 反転する海と「心」のスケール
◇冷静で俯瞰的な孤独(感情的でない感傷)
‐ 「南」の海にもたらされる安らぎ
cf. ポストコロニアル的な関係性(北からの来る人−南の海の資源)
‐ 海の生への回帰(人の関係からの離脱)
━━━
◇人工物(ボタン)−海の自然物(貝殻)
◇ボタン:人の身体の外にありつつ一体であるもの
‐ 他者(女性)の身体の記憶・環境の記憶+(本来もつ)海の記憶
◇見つけられたい(人への愛慕)×このままでいたい(海の包摂による安寧)
‐ 「金の糸と針」(人工)―「銀の砂」(自然):対照的だが両立する対称性
‐ 浜辺(海)にあり続けることの必然性(光れるという価値)
◇女性性の複層性と時間の複層性
‐ 男性性の不在(必要とされない)
‐ 海における自己完結的な再生産
‐ 人の時間の有限性を超える永続的な海の時間
第5回:「波の力でリセットする結びつき――人との関係を乗り越えるための破壊」[2018/05/18]
【対象作品】
@斉藤由貴“砂の城”
作詞:森雪之丞
作曲:岡本朗
編曲:武部聡志
9th Single(1987/04/10)A-1
*富士フイルム「AXIA」(カセットテープ)イメージソング
A松任谷由実“サンド キャッスル”
作詞・作曲:松任谷由実
編曲:松任谷正隆
23rd Album『DAWN PURPLE』(1991/11/22):9
◇砂【自然】→城【人工】
‐ 城:社会的機能(防衛/威厳)【対人】
◇波【自然】が城を解体し砂を自然の状態に戻す
‐ 人の間の(社会的)関係性をリセットする
‐ 育んできた愛の終わりを必然化・普遍化する
‐ その過程をシミュレーションして自分に納得させる女(少女)
◇「指先」に「光る砂」が残る
‐ 具体的に限定された生身の身体――リアリティの意味を高める
‐ 自然と身体の直接的な接触に意味を見出す
‐ 光を認識し砂に価値を見出すのは女(のみ)
‐ ほんの少しの(=希少性の高い)ポジティブな(大切な/愛おしい)愛の名残り
‐ 「涙」と並んで自分の「誇り」の象徴
‐ 相手もその感覚を共有してくれているはずという女の確信/願望
‐ 愛の終わりという事実以上に高いウェイトが置かれる
━━━
◇確信犯的行為(演出/儀式)
‐ 「崩れ去るのを待ってる」
‐ 満ち潮の時間を計算
‐ 波が来る場所に作る
◇自己完結
‐ 女(一人)と海の間だけで展開しまとまるストーリー
‐ 自然を装い(利用し)計画・遂行される――共犯関係
━━━
◇自然=人工の読み替え
‐ ナイロンのコートの裾が風で擦れる音=泣き声(女の心情)
‐ 波の泡+フレア=「白いレース」(カーテン/ドレスを想起させる)
‐ 具体的な物質性を抽象化する――自然のファンタジー性に溶け込ませる
cf. 「キャッスル」・「お城」――「城」と言わない(ファンタジー性の強化)
◇男女関係の戯画化
‐ 「ゴールイン」・「プリンセスとプリンス」――不自然な(意図的に陳腐な)言葉遣い
‐ (物質性の抽象化と並行して)あえてファンタジー的な表現をすることで現実の関係(「結婚」など)を直視しない
cf. 一貫して「愛」ではなく「恋」
‐ 人間の社会関係としてのつながりかたを相対化する
◇関係自体の抽象(不特定)化
‐ 「you」でも「him」でもなく「Somebody」
‐ 自然界における関係のありかたをなぞる――個体性に基づかない関係による再生産
‐ 女性性が(便宜的に/根源的に)要請する自然の関係の秩序
第6回:「身ごもる身体と海――解放・再生・再生産」[2018/05/25]
【対象作品】
●アン・ルイス“WOMAN”
作詞:石川あゆ子
作曲:中崎英也
編曲:佐藤準
30th Single「WOMAN」(1989/09/06)A-1
◇「つわものどもが〜」:無常観・達観
‐ 男性社会の動態(争い・戦い・武力・征服)のむなしさ
◇「通り魔みたい」:刹那的・暴力的な強奪・逃亡
‐ (わかっていた/プログラムされた)愛への別れ
◇思い出のドレスを海に流す:儀式
‐ 冬の海+夜+満月(推定)+満ち潮(推定)=「終わり」の象徴
◇月の光を受ける:→[浄化]
◇(海水で濡れた)足首を投げ出す:→[解放]
‐ ×「手を縛られた夜の鳥達」:[被束縛]=「愛」という「(暴力的な)力」に絡めとられている人々
◇男性社会の恋愛秩序(愛の力の支配)から離れ、別の次元で自律的な生をリスタートさせる。
◇「砂も地球のかけら」であること
‐ 知識・教養として認識している/話す[男]×裸足で体感している[女]
‐ 身体感覚レベルで受け止める自然との一体感(月光・海水・砂)
◇身ごもる/「女なら耐えられる痛み」:妊娠・出産[再生産]
‐ 「悲しみ」・「淋しさ」を体内(母胎)で育み「優しさ」に転化させる
‐ (身ごもる)自己と(自身が影響を及ぼしうる)他者[女]の解放・(「愛」の「力」からの)防衛・(自律的な生のリスタートに向けた)再生
‐ 自身一人の枠に収まらない再生産の展開
◇「MY NAME IS WOMAN」:[個別性+匿名性・不特定性・普遍性・遍在性]
‐ 矛盾する両面を満たす
‐ 「わたし」は(無数の)「あなた(たち)」であり「彼女(たち)」である
‐ 「わたし=女」の身体性・メンタリティはあなたたちにも彼女たちにもある――誰もが解放され・再生しうる可能性
‐ 連帯・シスターフッド・エンパワーメント――呼びかけ・働きかけ的な意味
‐ 自分の内側・外側(自然・地球・宇宙)両方からの目線・認識・実感――他者化によるアイデンティティの再獲得
第7回:「あたしの/という海――剥き出しの身体性と終わらない再生産」[2018/06/01]
【対象作品】
●石川セリ“八月の濡れた砂”
作詞:吉岡オサム(吉岡治)
作曲:むつひろし
編曲:秋葉洋
1st Single「小さな日曜日」(1972/03/05)両A面
*映画『八月の濡れた砂』(監督:藤田敏八/日活/1971年8月25日公開)主題歌
◇“わたし”ではなく“あたし”
‐ ウーマンリブ
‐ 一般的な女性性の主体との差異化(ジェンダー規範への対抗)
‐ 自らの固有性を強く主張する一人称
◇「まっ赤」・「夕日」・「血潮」
‐ 「赤」の連続強調
‐ 「海」が赤い「血」で染まる強いイメージ
◇「あたしの海」に「夕日が血潮を流」す
‐ [現象]夕日が海に沈む→海面が赤く染まる
‐ [象徴]女性身体における血の循環/排出
◇月経
‐ 生殖・生命(妊娠・出産)
‐ 周期(決まったサイクル)
‐ 再生産
‐ 海との連関 cf. 「初潮」/潮の満ち引き
‐ 海=月=女性身体
◇「夏」の「光と影」
‐ 「夏」:太陽と海がもっとも強く輝く季節
‐ 「光と影」=コントラスト
‐ 生命力と感情(喜怒哀楽)のダイナミズム
◇喪失・剥奪
‐ 「どこへ行ってしまったの」:喪失状態の持続
‐ 「悲しみさえも 焼きつくされた」:感情の剥奪
‐ 「想い出さえも 残しはしない」:記憶の剥奪
◇「いつかは愛もくちる」
‐ ロマンティシズムへの不信・諦念・放棄
‐ 虚無感
◇「あたしの夏は明日もつづく」
‐ 終わらない再生産
‐ 日々繰り返される身体現象
‐ 女の身体がもつリアリティ
◇この曲が提起するもの
‐ 社会的な意味をはぎ取った剥き出しの生命力
‐ 内面性(感情・感傷)の徹底的な排除
‐ 理想・理念・イデオロギーとの断絶
‐ 男性秩序(権力・生産・闘争・戦争)の虚しさ――それらによってあらかじめ「奪われた」生を生きること
‐ 現にいまある女の身体・生命そのものへの回帰――固有の身体性への依拠
‐ 女の再生産にのみ託される生の事実
◇「あたし」の/という「海」
‐ つねに液体を湛え・排出する構造
‐ 生命の再生産の源である海と再生産する女の身体との関係性(リンク)
‐ 絶えることない無数の個体の生死を経た悠久のスパンにおける生命の循環構造
◇液体性
‐ 液体:流れる/カタチがない[女(身体)]×固体:モノ=物質文明[男(社会)]
‐ 「濡れた砂」:乾いた物質が液体に浸された状態:生命が存在しうる条件
‐ 境界がない――無国籍であること(cf. 湘南=南米)
‐ 女の生/身体の(歴史的・地域的)普遍性
‐ 物質文明・恋愛イデオロギーに対する抵抗的身体
第8回:「砂と波との葛藤――身体性の転化と愛からの解放」[2018/06/08]
【対象作品】
@大橋純子“ひきしお”
作詞:松本隆
作曲・編曲:佐藤健
2nd Album『ペイパー・ムーン』(1976/05)B-6
A大橋純子&美乃家セントラル・ステイション“ディープ・ソウル”
作詞:松本隆
作曲・編曲:筒美京平
4th(大橋純子:6th)Album『FLUSH』(1978/12/01)B-4
B大橋純子“黄昏”
作詞:三浦徳子
作曲・編曲:佐藤健
20th Single(1982/08/25)A-1/10th Album『黄昏』(1982/08)B-4
◇波[あなた(=男)]>砂(一粒)[わたし=女]
‐ 圧倒的に非対称な関係性
‐ 受動的・静的・極小な存在
◇身体性における未練
‐ 捨て去れないもどかしさ
◇砂への転化願望
‐ 悲しみ・苦しみをもたらす感覚・感情を切り離したい
‐ 砂自体には生命はないが海という生命世界の一部
‐ 愛の閉塞感から逃れる
━━━
◇私の分離・分割
‐ 「砂に線」:分割
‐ 「嘘が上手ね」と囁くもう一人の自分の存在
‐ a)魂:「海を渡る」――海の上に
‐ b)愛とその「傷跡」:「深い海の底」
◇私の身体
‐ 能動的・動的
‐ 身体性における未練――捨て去るために駆け出す
‐ (転ぶのを前提に)「エナメルの靴」で砂浜を駆ける→転ぶ→「砂まみれ」+血がにじむ→「傷」→(愛の)傷跡を海の底に沈める
◇愛は堕ちるもの
‐ “Fallin' down, Fallin' love”
‐ 「愛の深み」には(未練を抱えた身体の傷を落として)魂は落とさない
‐ 「愛」への不信・決別
◇波との対話の諦め
‐ 波は徹底して私を無視する
‐ 冷静な確認――追い求めない
◇風(潮風)・音(海鳴り)に乗せて魂(=私の声)は「海を渡る」
‐ 海で自分を整理して身軽になった私
‐ 「あの人」との断絶を受け入れて乗り越えた先
━━━
◇砂[私]をスルーする波
‐ (「あなた」との)想い出が消失していく
◇オルゴールという存在
‐ 海流に乗ってどこかから流れ着いたのか/終わった愛を整理するために(想い出のあるものとして)持参したのか
‐ いずれにせよ[a]波打ち際にあり[b]私がねじを巻いた
‐ オルゴールは機械仕掛けの楽器だが人間の身体的介入を必要とする
‐ 記憶の(脈絡のない)断片性:オルゴールが奏でる音の構造と合致
◇私の感情・声を音(音楽)に託す
‐ “アローン・アゲイン”(ギルバート・オサリバン/1972):オルゴールの曲か
‐ いまの私の状況そのもの――というメッセージ
‐ 音は海を渡り空間を越える
‐ 身体性はねじを巻く行為のみ――未練・葛藤の昇華
━━━
◇[波(男)>砂(女)]の(力)関係から離脱する
◇「愛」の力(束縛/暴力性/抑圧)から自らを解放する
‐ 「ロマンチック・ラブ・イデオロギー」からの脱却
第9回:「見えない交信/トランスフォームする身体――身体性から離れるために」[2018/06/15]
【対象作品】*以下、検討順。
@とみたゆう子“海のキャトル・セゾン”
作詞・作曲:富田裕子
編曲:水谷公生
2nd Album『DEUX』(1982/07/25)B-2
Aとみたゆう子“ストローリング・ナイト”
作詞:前田未来
作曲:前田義秀
編曲:大和圭太郎
1st Album『COLOURS』(1981/09/20)B-1
Bとみたゆう子“海”
作詞・作曲:富田裕子
編曲:窪田晴男
2nd Single『セプテンバー・ガール』(1981/08/25)B-1/1st Album『COLOURS』(1981/09/20)A-5
◇海の世界を感じる/中に入る
‐ 嗅覚:「香り」
‐ 触覚:「腕」=「風」
‐ 視覚:「ぬすみ見る」
‐ 聴覚:「潮騒」
‐ 場所:「波打ち際」――陸の先端部
‐ 時間:「夕陽が落ちてく」――光が消えていく/センチメンタル
◇(感覚を研ぎ澄ます過程を経て)変態“させる”
‐ あなたの横顔→「海鳥」(「海を渡る」)
‐ 「人の名」=「海鳴り」
‐ 自身の能力+海の介在(協力)によって
◇「あなた」の身体性やそれを想起させる要因を消す
◇「あなた」を追いかけない
‐ 変態させることで耐えることができる
━━━
◇謎:「連れてって」は誰にお願いしているのか?
◇「あなた」を追うために自分が変態“する”
‐ 女→蝶々→海の泡
◇非効率
‐ 鳥ではなく「蝶」(鳥[速く・高く・強く飛ぶ]=男/蝶=女)
‐ 海そのもの/波/島ではなく「泡」
‐ 蝶:「飛ぶ」よりも「舞う」:風に流される――はじめから到達を目指していない
‐ 泡:海面を漂う/はじけると気体となって海面の上をふわふわと漂う
◇蝶と泡:小さい・もろい・流される:受動性――「連れてって」の受動性とリンク
‐ 「あなた」のもとに辿り着くことよりも海の上を漂うことに目標をシフト
‐ 変態の主体性と受動性の両立:二重基準――人以外の力(風・海)を頼る
◇変態を可能にする条件:霧のある・月光のない夜
‐ 見えない・見られない:神秘性――人以外の力との交信可能性
━━━
◇条件:星の降る夜/暗さ
◇感覚:波の音を「聴く」/ゆく舟を「みつめる」――感覚を研ぎ澄ます
◇上の2曲との共通点
‐ 「風がひきさく」:「風が私の羽さらったら」(“ストローリング”)と対応
‐ 「いつかは空に入ってゆける」:「海の泡」(“ストローリング”)と対応
‐ 「水平線は遠く」:「静かなホライズン」(“キャトルセゾン”)と対応
‐ 「動き出した 季節感じる」:「季節が移るこの時期に」(“キャトルセゾン”)と対応
◇「風に告げた」→私の心を「風がひきさく」:風と対話が成立している
‐ “ストローリング”で私が「連れてって」と呼びかけていたのは「風」
◇「航海地図 みつけ出すところは 海」:どこにいっても海(・空)――私の拠点・基軸
‐ 航海は風・空(星)・季節を“読む”――感覚を研ぎ澄まし海・風・空と交信する
‐ それを経て変態(トランスフォーム)が可能になる
◇恋愛上の/社会的な成功・優位性より海における風との交信・結合や季節との連動を重視する――トランスフォームの能力主体の要件
‐ 男性原理的な変態(より大きく・より強く)とは別/逆の価値観・様態
‐ 人の身体性から離れていく――海の再生産世界・時間秩序に同化していく
第10回:「心地よい余裕は自分で作る――素足と砂浜/速度と距離」[2018/06/22]
@荒井由実“天気雨”
作詞・作曲:荒井由実
編曲:松任谷正隆
コーラスアレンジ:山下達郎
4th Album『14番目の月』(1976/11/20)B-2
A今井美樹“ポールポジション”
作詞:戸沢暢美
作曲:中崎英也
編曲:佐藤準
2nd Album『elfin』(1987/09/21)A-2
B今井美樹“9月半島”
作詞:岩里祐穂
作曲:上田知華
編曲:佐藤準
3rd Album『Bewith』(1988/06/21)B-5
【A】乗り物:速度・(海までの)距離――それ自体/その過程がもつ意味)
×
【B】身体と海:素足+砂浜――直接の接触がもたらす効果・作用
×
【C】ジェンダーイメージとのギャップ――男性世界への(消極的・積極的)介入
━━━
@荒井由実“天気雨”
【乗り物】鉄道(相模線)
【距離】八王子→茅ヶ崎
【速度】(鉄道にしては)遅い(単線・各駅・約80分)
【過程】「白いハウス」(米軍キャンプ座間)
◇波(=「わたしの恋」)をあなたはかわす
◇素足を見せて気を引く――効果は期待できず
◇天気雨を降らせたのは……わたし
‐ 素足×砂浜の接触が作動スイッチ
‐ 伏線は移動の過程
◇「白」のマジック
‐ 「雲」・「煙る水平線」=白
‐ 足の裏・砂=白
‐ 「白いハウス」を通過するのが予備段階
◇波はかわされる→天気雨を降らせて濡らす
◇サーフィンという男のフィールドから目の前のわたしへと彼の意識を少しでも振り戻す――男性性への消極的な介入
◇ささやかなアクションにとどめることの意味
◇接近しすぎない=適度な距離(「クールなまま近くに」)がベスト
◇心理的距離=物理的距離
‐ 海に来るまでの距離・時間・過程の意味
◇「やさしくなくていいよ」と言える余裕――自分の計算と行動で保つ
━━━
A今井美樹“ポールポジション”
【乗り物】車(カブリオレ)
【距離】都会→海(仮の想定:東京23区内→葉山or逗子)
【速度】速い(早朝〔夜明けの前後〕のすいた道路)
【過程】(幌を上げているので)つねに強い風を受ける/途中で後方から朝陽が差してくる(東京→湘南[東→西]であれば方角的に合致/横浜あたりで日の出か)
◇海に来るまで「朝の光」と風を直接受ける――海に着く前に自然の力を十分に吸収する
◇スピード感→「ポールポジション」
◇さりげなさの演出:高速移動によって距離を苦にしていないから可能
◇「砂浜を歩くとき素足はきっとまぶしい」:朝の光を充填を体内にしているから
◇速度の使い分け(コントロール):「歩く」=遅い
‐ 「あわてちゃダメ」:緩急を駆使したアプローチ
◇身体的な充実→精神的な余裕(「自信」)
◇男性性への積極的な(しかし軽やかな)侵犯
‐ オープンカーを自分で運転する
‐ モータースポーツという男の世界の言葉・概念を使う
‐ 乾杯はビール(シャンパンやスパークリングワインではない):男性的ふるまい
◇イニシアチブを握るのはつねにわたし
◇「余裕のポジション」を保つ:自然の力との接触→吸収によって――その過程を経るための距離と速度が必要(逆算してスタート)
━━━
B今井美樹“9月半島”
【乗り物】自転車(ペダルが錆びている/素足でこぐ)
【距離】近い(海の近くの地点→おそらく岬のような海に対する突端の場所まで*曲中では辿り着かない)
【速度】かなり遅い(思うようにこげない/進まない)
【過程】疲れて木陰で途中休憩
◇「砂の残る」素足:すでに砂が付着している/海岸から遠くない場所にいた
◇モスリン:ソフト・ナチュラル・繊細
◇柔らかな光と風→(遅い速度で十分に)黒髪に受ける→「輝いた翼になる」[身体が自然の力を吸収して変態]
◇「息を切らして走る」:こぐ効率が悪いので身体を激しく使う/「汗」が出る
◇(辿り着けずに)木陰で休む:一定時間とどまって静かに考える
◇「波のしぶき」を聞くあいだの内省による精神面での変化
‐ 「忘れたかった」→「思い出でいい」[感情の浄化/昇華]
◇「鳥のように自由でいたい」:先の変態ですでに「翼」になっている(可能条件をふまえての願望提示)
◇最初から最後まで意識は「あなた」にではなく「海」に向いている――海の力への絶対的信用
◇近くて遅い(身体を直接使う)移動によって海を取り巻く自然の秩序に内包される――身体と精神の変化を自分で促す
◇人間の身体にもっとも近い乗り物――ソフトランディングな自然な変化
◇着地点:「今一人をえらんだ」――主体的選択(が可能であることが証明されている)
━━━
◇主体の女自身がそれぞれの乗り物に応じて海までの距離と速度を逆算して設定している――過程の意味をふまえて
◇身体的なアプローチ/コントロールによって精神/感情を(余裕を保つよう)コントロールする[連動性]
◇ジェンダーの意図的な侵犯も変化の突破口となる
第11回:「月の欠落を埋める声――天と海にひしめく無数の多様で不特定な存在」[2018/06/29]
◆太田裕美“恋のハーフムーン”
作詞:松本隆
作曲・編曲:大瀧詠一
ストリングス&ホーンアレンジ:松任谷正隆
20th Single(1981/03/21)A面
◇状況・環境
‐ 位置:茅ヶ崎の海
‐ 場所:車の中
‐ 人:2人(わたし・あなた)
‐ 時間:夜
‐ 天体:月(半月)+星(“降る”→流星群)
‐ 気温:肌寒い――春か秋
‐ 音:ラジオ(FEN=英語)
◇半月
‐ 弦月[げんげつ](英語:half moon/half-moon):上弦または下弦の月。輝いている半円部分が弦を張った弓のように見えることから。弓張り月ともいう。秋の季語。
‐ 上弦:夕方に南の空に正中→深夜に西の空に沈む
‐ 下弦:深夜に東の空から昇り→明け方南の南の空に正中
◇秋の流星群
‐ ジャコビニ流星群/オリオン座流星群/おうし座流星群/しし座流星群/いっかくじゅう座α流星群
‐ 流星を見るには周りが暗い必要がある――深夜
◇月と海
‐ 弦月:「弓を張る・引く」
‐ “渚に糸を引く”
‐ 月→海面にベクトルが伸びる
‐ 上弦・下弦どちらでもありえるが、月自体が海面に向かって沈んでいくのは上弦。
‐ 月と海との連続性/一体性・相互連動
◇月と女
‐ “糸を引く”→機織り
‐ 月の中の機織り女[はたおりめ]:世界的にある伝承 cf. 『日本大百科全書(ニッポニカ)』の「月」項目
◇月=海=女
‐ +取り巻く流星群
‐ 直接的関係・連動システム
◇半月
‐ 新月と満月(ピークの両極)のあいだ
‐ どっちつかず/中途半端
‐ 変化の中途/過程/準備
‐ 上弦:吸収/下弦:放出
‐ 女性の心身のコンディション
cf. “不思議に泣けない”
◇中途半端な意思表示
‐ リクライニングは「少し」
‐ 「あなた」に対する受け入れ/拒絶(=吸収[上弦]/放出[下弦])
‐ “待って待って待って”/“or no”/“たぶん”/“なんとなく”
◇女性性を、
@複数性(無数性)
A多様性
B不特定性
が補完する。
◇@を、
[A]反復・共鳴
が、
A・Bを、
[B]多言語の混在
が担保する。
◇@複数性(無数性)
‐ “心半分”:もう半分が存在する
‐ “星降る”=流星+天体に輝く星:無数
‐ 海の環境と同様:見える+見えない無数の生命――の再生産
‐ “波のまにまに”:「間に間に」とあてれば波の複数性・無数性
‐ “ひとりひとり”:特定の2人(1+1)にとどまらない複数の/無数の存在
◇共鳴
‐ 変化しながら(人には聞こえない領域まで)再生産され続ける
‐ 瞬間単位の変化:A多様性を担保
◇反復・共鳴の声
‐ 特定の誰か(男)ではない
‐ 太田裕美(女)本人に仮託される
◇B不特定性
‐ “FEN”:日本で流れる英語の放送
‐ インターナショナリティ/ハイブリッド
‐ 英語+日本語でひとつのフレーズ――多言語の混在
‐ 対象の不特定性
‐ 心情を吐露する主体に内在する多様性
◇生身の身体と月
‐ 右手(手の半分)を重ねる:月の半分+半分を示唆
‐ わたしとあなたの1対1の関係を完成させるなら「右+左」でないとおかしい――車のシート(左右)の両側から中央に向かって手を出すと仮定して
‐ 単一の組み合わせではなく、不特定・多数(無数)の接触・重なりを示している。
◇残り「半分」を埋めるもの
‐ 特定・単一のあなた(男)ではなく、自らを取り巻く無数の多様な何か。
‐ 波・星・海の生物――反復・共鳴の声の(真の)主
◇不特定な対象
‐ “相手が誰でも 好きだと言えるの?”:発音的には“?”ではなく“!”――私は言える!
‐ “誰でも”:複数性・無数性・多様性・不特定性→クィア性
‐ それらがつねに自分を組み換え、再生産していく。
◇絶えず変化する月と海
‐ 月:満ちる/欠ける(周期)
‐ どこからでも見えるが違った見えかたをする(多面性)
‐ 月を取り巻く天体の状況はつねに変化している
‐ 海:潮が満ちる/引く(周期)
‐ 波の反復性
‐ 生命は絶えず再生産され、海の中はつねに変化している。
‐ どこにでもつながっているが単一の秩序がない(統括不可能性)
◇繰り返す/つねに同じでない再生産に身を委ねる
‐ “波のまにまに”:「随に」――「〜の動きに任せる」
‐ 海の意志・秩序・流れに従う
‐ あなた(男)の真の愛は想定しない:“つれなさの嘘でも”/“それとなく”/“少しだけ”でいい
◇女性性が生かされる条件
‐ 月と海は女性性を内在・体現する
‐ 無数の多様な不特定の外部によって女性性はつねに補完・再編される
‐ 人間(近代的個人)の単一的・規範的恋愛関係との相克は不可避
第12回:「人魚になる――女は何を捨てどこに行くのか」[2018/07/13]
@今井美樹“ふたりでスプラッシュ”
作詞:戸沢暢美
作曲・編曲:武部聡志
2nd Album『elfin』(1987/09/21)A-5
A大貫妙子“人魚と水夫”
作詞・作曲:大貫妙子
編曲:佐藤博
12th Album『A Slice of Life』(1987/10/05)A-3
@今井美樹“ふたりでスプラッシュ”
◇重要要件
‐ 流星+月+海―女
‐ 素足 on 砂浜 with 波
◇女が着飾る(自らを引き立てる)もの
‐ ドレス:ベール(=空)+レース(=波)+シルク(=息)
‐ 装飾:ダイアモンド(=波の雫)
‐ 空+海+女性身体からなる――それらの一体性・連動性
◇踊る
‐ そのためのドレス・装飾
‐ 身体・感情欲求:“体中はしゃいでる”
‐ 他者との関係性を変える
‐ 祭祀(儀式):自然・神に向けて
◇“Make a Splash”
‐ 意味:@しぶきを上げる/Aバシャッと音を立てる/Bあっと言わせる(cf.“make a splash with a colorful outfit”:派手な服装であっと言わせる *ドレス・装飾)
‐ 砂浜の上の素足の“つま先”で波を跳ね上げる
‐ 海への交感の合図(儀式)
◇“ふたりで”人魚に
‐ 相手=“海の底より静かな瞳”:人間の生命感を超越した存在
‐ ジェンダーを越える――[女=人魚×男=人魚を妻に迎える者]ではない
‐ セクシュアリティの攪拌――恋愛・生殖・再生産を前提としない
‐ クィアな/への願望
◇天
‐ “天使”:天にいる神の使者――“踊る”主体
‐ “銀河”へも行ける――“遠くへゆきたい”
‐ “千の星屑”(流星群:無数性)に祈る――天への主体的アクセス
◇月
‐ 砂浜を“見てる”主体――主体性の交感
◇海の時間・天の時間
‐ “一秒”の“ひとつも粗末にできない”:海と天体は瞬間(“つかの間”)ごとに変化する
‐ “未来を旅したい”:人間世界での過去・現在への決別
◇人間世界からの離脱
‐ “砂に埋めた過去はそのままでいい”:人間世界での位置・(恋愛を含めた)関係性を捨てる
◇“星の夜でした”
‐ 過去形:ここで(ここだけ)時制が変わる
‐ ここまで:回想
‐ 現時点では天の上か海の中――死ではなく、わたしが生きる世界が移行した。
‐ “あなた”はもはや言及されない――あなたはそもそも人ではなくわたしを天/海にいざなうために遣わされた者(星/天使/海の生物/海の自然現象)
━━━
A大貫妙子“人魚と水夫”
◇“あのひと”の身体性
‐ “オリーブの肌”:人間の身体表象の範疇にとどまらない
◇装飾
‐ “光の指輪”:指輪は人間の恋愛関係とその契約の象徴
◇指輪を砂に埋める
‐ それまでの恋愛関係/感情の清算
‐ “そっと”:軽やかに行なう
‐ 海との交感の合図
◇海への還元
‐ “約束”(指輪に象徴される契約)は(相手の人ではなく)“波間”に返す
‐ 人間関係の浄化/昇華
‐ 波が砂をさらう→砂に埋めた指輪が海に引き入れられていく――その過程を想定してセッティングする
‐ “返して”あげる:約束(指輪)はもともと海(との間)にあったもの
◇自己を海に組み込む
‐ “銀のしずくになる”(cf. 本授業で扱った“ストローリング・ナイト”/“ふたりでスプラッシュ”との共通性)
‐ 生物を通り越して水そのものに――ジェンダー/セクシュアリティ(恋愛/生殖/再生産)からの解放
‐ 光/輝きは担保
◇時間概念の無効化
‐ 夜・昼→“夢の時間”:海の時間
‐ “待つことも行くこともない”:恋愛によって生じる時間に関する感情が不要になる
◇自然・空間との交感
‐ “木陰のささやき”:海の中へのいざない
‐ 葉音+風音+波音
‐ 曲中の反復・呪文的発話(多重的な女性の声)の主
◇海の秩序のなかに組み込まれる
‐ あのひと/あなた(男)を必要としない:“だからひとりでいる”
‐ より豊かな・尽きることない無限の多様性と無限の時間の世界
‐ ジェンダー/セクシュアリティの無効化――クィアな世界の豊潤さ
◇「人魚」性
‐ 人の世界と海の世界を軽やかに行き来する
‐ 人間男性との距離
‐ 海を取り巻く自然と交感する
‐ (翻って証明される)自らのクィア性
第13回:「気体と化して南の海へ――人魚が追い求めるもの・摂取するもの」[2018/07/20]
◆松田聖子“小麦色のマーメイド”
作詞:松本隆
作曲:呉田軽穂(松任谷由実)
編曲:松任谷正隆
10th Single(1982/07/21)A-1|第24回日本レコード大賞金賞
◇マーメイドでありながら
‐ 「裸足」・「小麦色」――人間的な身体性
‐ プールにいる――近代的な物質性・世俗性
*アンデルセン童話『人魚姫』との連関性:(足があるという)寓話性は担保しつつも、普遍的な悲恋の物語には向かわず、現在的な世俗性・刹那性が強調される(「デッキチェア」/「林檎酒」)。
‐ それらの矛盾が両義性を象徴する
◇身体性
‐ 描写割合:あなた>わたし:非対称――自らの身体性はミステリアスに
‐ ウィンク×3×2=6回(実際に〔パフォーマンス上〕するのは6回目の前に一度だけ)――誰に/なんのために:儀式性
◇両義性
‐ 「嘘/本気」・「好き/嫌い」――どちらにも変われる・どちらでもありえる
‐ 変態[トランスフォーム]の潜在性
‐ 身体の両義性=感情の両義性
‐ 寓話とリアル(世俗)の両義性
◇音:穏やかな反復の世界[「わたし」の内面:静的]――平坦・淡々・メロウ
‐ 永遠に続く夏の午後の気怠さ(倦怠):世俗的でもあり寓話的でもある
‐ 心地よいまどろみ→状況を打ち破ろうとする衝動[「静」→最後に一気に「動」]
◇「あなた」からのアプローチ[動的→最後に消失]
‐ 軽いアプローチ(投げキッス)→スルー
‐ 強引なアピール(水しぶきをかける)→「まじめ」なことば――はぐらかす
◇没コミュニケーション
‐ あなたとわたしの噛み合わなさ:目の前のあなたにまともに向き合っていない
‐ ウィンク×6回の不可解さ:あなたへの好意的意思表示でなく何らかの合図
◇二人のベクトル(追いかける目標)がちがう
‐ あなた→わたし
‐ わたし→X
◇わたしは「常夏色」の「夢/風」を追う
@常夏a:つねに夏のような気候であること
‐ 終わらない永遠の夏(の反復)を望む――再生産の世界
‐ 肌が「小麦色」である必然性
‐ 「南」の「海」への憧憬/回帰
A常夏b:ナデシコ(撫子)の花(ピンク/赤/白)
‐ ピンク――林檎酒の色と同じ
‐ 林檎酒=シードル=発泡[気体化]
‐ アンデルセン『人魚姫』:海の泡→空気の精[気体化]
‐ 灼けた素肌に冷たい水しぶきがかかる:水分が蒸発する[気体化]
*あなたにかけられた水(→蒸発)でわたしが受動→能動にシフト
‐ 気体となって(能動的に)空間を越えて移動する→南の「夢/風」を追う
cf. プールという箱庭的空間性とのギャップ
◇あなたをつかまえて生きる
‐ 平坦的な流れから一転しての最高潮の場面で発する言葉(叫び):「生きる」ことを強調
‐ 「捕食」的イメージ:南の海に帰るために必要な対象
‐ 海を離れたマーメイドの再生産資源(男)
‐ ウィンクはその捕獲における儀式的所作(6回目の前のリアルなウィンクは本気で捕まえにかかる合図)
◇まとめ:ポイント
‐ 変態[トランスフォーム]
‐ 回帰(空間の越境)
‐ 再生産
第14回:「海のもつ身体性、海のもつ記憶――飲み込まれるセクシュアリティ」[2018/07/27]
@太田裕美“海が泣いている”
作詞:松本隆
作曲:筒美京平
編曲:萩田光雄
9th Album『海が泣いている』(1978/12/05)B-1
A谷山浩子“海の時間”
作詞・作曲:谷山浩子
編曲:斎藤ネコ
18th Album『ボクハ・キミガ・スキ』(1991/05/21)#10
B石川セリ“遠い海の記憶”
作詞:井上真介
作曲・編曲:樋口康雄
4th Single(1974/08/25)A-1
*NHKテレビ少年ドラマシリーズ『つぶやき岩の秘密』(1973/07/09〜07/19〔全6回〕)主題歌
@太田裕美“海が泣いている”
◇海=生物
‐ 海そのもの・全体を一つの生命体とみなす――たんなる擬人法を越えた意味づけ
‐ 主体性・能動性――「泣く」(感情・衝動・身体)/「走る」(身体・躍動感)/「黙りこく」る(意思をもった沈黙行為)
‐ 「浜辺」=海の周縁の空間性も行為主体
◇「風」との対比
‐ 風は主体ではない:客観的描写・非能動的
‐ 「油絵」:描かれるもの(受動的)/生命がない(物質)/固定されるもの
◇海/風の区別に対応する人の関係性
(1)海:「言葉が聞こえる」
‐ つながり/コミュニケーションの成立
‐ 「あなた」の代わりに海が代弁(媒介)
(2)風:「そっぽ向いた」・「わざと惨酷に」・「知らん顔」
‐ コミュニケーションの断絶
◇海と人との共振・連動
‐ 「肩を抱きしめられたら」心が身体に「溶ける」:身体が精神を癒す
‐ それによって「海は静ま」る:「二人」(わたし・あなた)の関係性の変化に伴う行為に海が反応
‐ 人と海との身体的な共振関係
‐ 男女一対の状態の人間(おとな)と海との連動・共同性
◇時の航海
‐ 海が静まることで「二人帰る」:どこへ?→海へ
‐ 「自然の流れ」に「小舟を浮かべて」:浮かべる主体は「二人」
‐ 「自然の流れ」=(a)海+(b)時(cf.「浜辺」を横切る「時」の存在)
‐ 海の時間に入っていく――海の世界への回帰
‐ 訪れる平穏:人間社会の/恋愛関係の苦しみから解き放たれた時間
◇生物/生命体としての海
‐ 複合的・包括的な生命体系
‐ それ自体意思をもち、多様な存在と共振する/共同性を保つ。
‐ (セクシュアリティなどで)複合的な要素をもつ存在を受け入れる
◇ジェンダー/セクシュアリティ
‐ 男女一対の人間と海との共振
‐ その二人が海の世界に入っていく――セクシュアリティが飲み込まれ・溶解していく
‐ ジェンダー/セクシュアリティという縛り・枠組みの無効化→平穏の訪れ
━━━
A谷山浩子“海の時間”
◇主体(人)
‐ 「ぼく」と「きみ」:男女(?)ペア
‐ 身体的に密着している
‐ 真剣に愛しあっている
‐ 子どもではないがおとなでもない――幼さ・純粋さ
◇海へ向かって旅に出る
‐ 寒い雨の夜に
‐ 「ベッドの船」で「時を超えて」:時間旅行
‐ 過程:「大森林」・「遠い昔の植物たち」・「水の岸辺」を通過して
‐ 太古からの水・植物・生命体(胞子)の存在
◇時間旅行のゴールは「海の底」
‐ 海の底=遡れる時間の極限
‐ 海の深さ=時間の深さ(長さ)
‐ 地球の生命の起源(海百合・三葉虫)
◇無限の現在[いま]
‐ 遡った時間の極限=無限の現在(つながる/ループ)
‐ 現在と太古を結びつけるもの=海:絶えざる再生産の装置
‐ 地球に生物が生まれたときから現在まで連続して存在している
‐ 時間旅行の行く先が海である必然性
◇セクシュアリティの消失
‐ 太古の海では「ぼくときみの境目」がなくなる――セクシュアリティが消失・無効化される
‐ 太古の海では生物のセクシュアリティが明瞭でない:始原的な再生産の体系
‐ 海の生命秩序が二人(現在の二人の関係)に反映・還元される
‐ 「水が命を〜/森が息を〜/星が生まれ〜ように」「ぼくたちは恋をする」
‐ 人間の恋愛とは違う次元での「恋」=関係性に到達する
◇なぜセクシュアリティの消失に向かうのか
‐ セクシュアリティを無効にする時間性・生命体系をもつ海へのアクセス:その意味
‐ 近代的自我・セクシュアリティに規定されそうな自分たちの存在・関係を、本来生物があるべき始原の生命・共同性・結合・再生産のスタイルへと変換するため。
‐ 近代的人間社会の秩序を脱出・相対化する願望:「どんな言葉もここにはない」(文明・社会性の外側)
◇海へのアプローチ:二人ペアで
‐ @の「わたし+あなた」と同じ構図
‐ 特定のセクシュアリティ(単体)ではアプローチしない
‐ セクシュアリティを飲み込む海の生命体系に対応する関係
━━━
B石川セリ“遠い海の記憶”
◇記憶としての海
(1)海を記憶する:「風景」
(2)海の(=海がもつ)記憶を記憶する:「本当の姿」
‐ 無数の少年少女にそれが要請される:「今だ見つめておけ」
◇海(の記憶)を記憶する意味
‐ 海は「君」を「育み見つめてくれた」「ふるさと」
‐ 見つめ返す:応答
‐ 少年少女:海との交感可能性をもつ
◇「君」の存在の不確定性の意味
‐ 風景の記憶はおとなになる過程で「溶けてしまう」――近代的自我の確立(「個人」になる)/社会化
‐ おとなになってからでは海の「本当の姿」は感受できない
◇セクシュアリティの揺らぎ
‐ アイデンティティ・ジェンダー・セクシュアリティが不確定な存在(少年少女)であるがゆえに海の記憶を受けとめ・身体化することができる
‐ おとなになって近代的秩序が自分のなかで臨界した際に海の記憶がよみがえる――アイデンティティ・ジェンダー・セクシュアリティを無効化・相対化するための原料として
━━━
【まとめ】
◇海とセクシュアリティ――海の生命体系・時間・記憶にストレートにアプローチできる存在
‐ セクシュアリティを複合させた状態の二人の人間:@A
‐ セクシュアリティを越える意思(勇気)をもつ人間:A
‐ セクシュアリティが不確定な状態の人間(少年少女):AB
◇海の生命秩序=生物多様性(Biodiversity)=クィア性
‐ 単一の種別・体系では括れない生命秩序とその空間
‐ セクシュアリティ確定以前の生命の姿
‐ 人間が把握できない生命の総体:本来であれば人間もその一部――その始原の状態を取り戻したいという人間の(必然的な回帰)欲求
◇時間・記憶
‐ 海がもつ超越的な時間体系 × 人間の小さすぎる記憶――非対称的
‐ アプローチの不可能性を知りつつアプローチする人間
‐ 不可能性を埋めるための主体的な記憶の獲得――B:それを促す
◇近代社会を超える
‐ 明確なアイデンティティ(近代的自我)・ジェンダー・セクシュアリティとは別の秩序において構成され・把握され・補完される世界――近代的な社会性・価値観で評価する/推し測ることは無理
‐ 海は人間の「社会」を破壊するほどの豊饒さを有している――ことに人間は気づいている
‐ だからこそ人は海を畏れる――と同時に魅了される
‐ 始源の生命体へと人間を差し戻す可能性――そこにかけようとする人間の欲望・欲求
━━━
【付論】「女と海/クィアな海」が歌われた背景――その時代的な必然性
‐ 高度経済成長の終焉
‐ 生産[男性企業社会]・消費・経済発展至上主義の限界
‐ 公害問題――「開発」のひずみ・犠牲の可視化
‐ 自然との関わりかたに改めて向き合う
‐ 再生産(女性の身体/「母性」/生命を育むこと)に改めて向き合う
‐ 性役割への違和感/批判的視角
‐ 自然と再生産との関係性から否応なく引き出されてくる(それと認識されない)クィア性
第15回:「都市という海、人の波、もがく魚――虚無感を超え、生を希求する」[2018/08/10]
@BaBe“Fishes”
作詞:高橋研
作曲:森栄治
編曲:大村雅朗
3rd Album『Fight!』(1988/06/21)B-2
A亜蘭知子“Stay In My Eyes”
作詞:亜蘭知子
作曲:栗林誠一郎
編曲:明石昌夫
8th Album『Stay In My Eyes』(1989/11/21)A-1 *TUBEへの提供曲(5th Album『SUMMER DREAM』〔1987/05/21〕B-1)
@BaBe“Fishes”
◇語る主体:「ぼく」→「きみ」
‐ 俯瞰と一方的な呼びかけ
◇都市を自然になぞらえる
‐ ビル群=森
‐ 地下の暗渠=川
◇海
‐ 動く人の群れ=波
‐ 街=海
‐ きみ=魚(銀色の/飛び魚)
‐ みんな(人波のなかの個々)=泳ぎ疲れた魚
◇人波
‐ 満ち引きをする:潮の周期=ラッシュアワー――朝にターミナル駅からオフィス街に吐き出され、夕方には逆に吸い込まれていく。
‐ 機械的な流れ(一定の速度・間隔で移動していく):システマティック/生命感がない
◇「ぼく」
‐ 「誰もいないビル街」(=手つかずの森〔原生林〕)で「深呼吸」
‐ 都市のなかの「自然」を見出し生息する
‐ 「きみ」と社会を上から俯瞰的に観察する
‐ 「きみ」の夢のなか(=抱える欲求)も把握する
‐ 都市をさまよう精霊的な立ち位置(人間ではない)
◇都市に生きる人々
‐ ただ流れに流されていく(=人波):マジョリティ
‐ 個々の顔は見えない:個性・主体性・生命力を剥奪されている
‐ 「泳ぎ疲れた」:流れに抗うことを諦めた――いま流されている人々もかつては魚(Fish)だった
◇「きみ」
‐ たった一人で(世の中の流れに)抵抗する
‐ 強い意志に基づく身体的行為:唇を噛む・跳ねる――主体性・能動性・身体性
‐ 輝いて見える(「銀色」)
◇夢
‐ 「明日の岸辺」=ここではないどこか/新しい世界
‐ 「見つめる」:はっきりと目標を定めている
(a)都市の日常からの離脱願望
(b)海から陸へ上がる=トランスフォーム――自分を生まれ変わらせたいという欲望
◇抵抗/離脱の行動
‐ 自律的な主体:きみ=若い女性ひとり
‐ 都市社会(男性中心・生産至上主義)の歯車になっていく/個を埋没させていくことへの耐えがたさ
‐ 生きる/生き続けることへの希求
◇男性性の消去・無効化
‐ 「ぼく」は行動の主体にならない/「きみ」に力添えをする(影響を及ぼす)こともない
‐ 「きみ」は「ぼく」を意識(認知)していない
‐ 「きみの愛する人」も流されている:それ以外に男性的な存在は示されない
━━━
A亜蘭知子“Stay In My Eyes”
◇島・海
‐ 高い位置から都会を見下ろす→見える「ガラス」=ビルの窓[ビル=島]
‐ ビル群を内包する都会[街=海]
◇船・波
‐ 「記憶の船」
(a)わたしの胸のなかにある想い出
(b)この都会で生きてきた自分の軌跡
‐ 帆をたたむ:一区切りをつける
‐ 「ラッシュの波」:自分を飲み込んで流していく現実の人波(の力)
‐ 「怒りと悲しみ」:都会の日常生活のなかで不可避的に抱えるやるせない感情――意識して忘れるべきもの
◇機械的な日常:生命力・身体性・自由が失われた状態
‐ 疲れた体(=「壊れた時計」)を引きずる:日常に流されている
‐ 心の「壁」に閉ざされている:叩いて「爪痕」をつける――抵抗
◇信頼関係(“Trust”)
‐ 都会で生まれる(恋愛)関係の刹那性(「季節に騙されるだけ」)
‐ 真の信頼関係への希求
◇「あなた」
‐ 笑顔/温もり/やさしい瞳
‐ わたしを癒す
‐ 現実的な存在感はない
◇“Stay in my eyes”
‐ 「瞳のなか」にいること
(a)あなたに自分の目の前にいてほしい[瞳に映る]
(b)閉じた瞳のなか(=現実の外/わたしの「胸」)にこそ真実の関係がある[瞳の奥]
‐ ビルの島は「夢を横たえて」いる:わたしが賭ける可能性=夢の所在は(b)
━━━
【まとめ】
◇都会の日常=決まりきった現実――に対する(小さな)抵抗/からの離脱願望(夢)
‐ 新たな行き先を求める
‐ 自らを変える
‐ 身体を使ってもがく
‐ 夢を活用したセルフケア
◇都市への忌避感と離れられなさ――それらを引き受けたうえでの実践
◇自然との現実的断絶を意識しつつ接続を図る姿勢
‐ 都会生活とリゾートの使い分けなどとは異なる引き受けかた
◇不可避的に内包する虚無感・諦観・憂鬱(アンニュイ)――を否定せず受けとめて先に進む
◇主体が若い女性ひとりであること:男性社会(経済・産業・開発)が作り上げた都市社会のゆがみ・ひずみ
■参考[References]
対象候補とした(が取り上げられなかった)もの[Alternative Candidates]
◆井上昌己“魚座[さかなざ]たちの渚”
作詞:古賀勝哉
作曲:芦沢和則
編曲:京田誠一
2nd Album『Fellow & Steady』(1989/11/08)A-1→4th Single(1990/01/24)A-1
◆門あさ美“月を抱いたヴィーナス”
作詞・作曲:門あさ美
編曲:白井良明
7th Album『BELLADONNA』(1985/04/05)A-3
◆下成佐登子“渚でFu-wa Fu-wa”
作詞:小林和子
作曲:下成佐登子
編曲:大村雅朗
2nd Album『ハートフル』(1982/06/21)A-1
◆八神純子“黄昏のBAY CITY”
作詞・作曲:八神純子
編曲:瀬尾一三
18th Single(1983/11/21)A-1→7th Album『FULL MOON』(1983/12/05)A-3
関連する情報[Related Information]
◆中村佑子 20180106− 「[連載]私たちはここにいる――現代の母なる場所」『すばる』40-2(2018-02): 218-232[第1回] *以降隔月連載
◆村上潔 20181001− 「中村佑子「私たちはここにいる――現代の母なる場所」を読んで【集約】」
*作成:村上 潔(MURAKAMI Kiyoshi)
UP: 20180413 REV: 20180420, 24, 27, 0510, 11, 18, 19, 24, 25, 26, 0602, 09, 16, 21, 23, 0713, 14, 26, 0802, 14, 15, 0929, 20190424
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事項