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『回生を生きる――本当のリハビリテーションに出会って』
鶴見 和子・大川 弥生・上田 敏 20070801 三輪書店,319p.
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鶴見 和子
・
大川 弥生
・
上田 敏
19980520 『回生を生きる――本当のリハビリテーションに出会って』,三輪書店,237p. ISBN-10: 4895900800 ISBN-13: 978-4895900805
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内容(「MARC」データベースより)
脳卒中に倒れた鶴見和子の起死回生のドキュメント。彼女を「回生」の花道に導いた、リハビリテーションの専門家である二人の医師との対話を通して、全人間的な回生への道程を描き出す。〈ソフトカバー〉
《内容》 1995年12月24日、社会学者・鶴見和子は脳内出血で倒れ、片麻痺となった。いくつかの病院を経て、最後はリハビリテーション専門病院で数か月の訓練を受けたが、歩くことはできなかった。入院中に詠んだ歌集『回生』が縁でリハビリテーション医・上田敏と38年ぶりに再会。1997年1月に会田記念病院に入院し、積極的リハビリテーション・プログラムによって杖をついて歩けるまでに回復。回生前期に受けたリハビリテーションから全人間的回生の花道に至る全プロセスを、社会学者と2人のリハビリテーション医が火花を散らして語り合ったありのままの記録を全公開。リハビリテーション専門職はもちろん、障害や挫折を経験した本人と家族に勇気を与える希望の書。
■目次
「回生」を生きた豊かな十年 上田 敏
回生の花道(初版序文) 鶴見和子
第一部 回生を生きる 鶴見和子・上田 敏・大川弥生
序 章 不思議なご縁――三十八年ぶりの出会い
第一章 私の脳卒中体験(一)
第二章 私の脳卒中体験(二)
第三章 本当のリハビリテーションに出会って(一)
第四章 〈インタビュー〉本当のリハビリテーションとは何か 上田 敏
第五章 本当のリハビリテーションに出会って(二)
第六章 〈インタビュー〉鶴見さんのリハビリテーションを担当して 大川弥生
第七章 本当のリハビリテーションに出会って(三)
第八章 目標指向的リハビリテーション・プログラムと内発的発展論
―社会学とリハビリテーション医学との対話
終 章 今後の計画
鼎談のあとに 上田 敏
◆鶴見 和子・大川 弥生・上田 敏 20070801
『回生を生きる――本当のリハビリテーションに出会って 増補版』
,三輪書店,319p. ISBN-10: 489590279X ISBN-13: 978-4895902793 2100
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■引用
◆序章 不思議なご縁――三十八年ぶりの出会い 鶴見 和子・上田 敏 17-28
「上田 […]実は昨年(一九九六年)の末、三十数年ぶりに鶴見さんから突然『回生』という歌集を贈っていただきました。鶴見さんのような有名な方から本を贈っていただくというのは大変光栄なことだと思ったんたですが、しかし一体何の関係があるんだろうと思って読み出したら、ああ、脳卒中をなさったのかと。それでみんな私も知っている病院ですから、あの病院に入ったのか、この病院に行ったのかと。そのうちに、かなり後のほうですけれども、私の名前が突然出てきましてね、なんだこれが関係があるのか、それで私にまで贈っていただいたのかということがわかりました。
鶴見 私『回生』という歌集を出しましたけれど、あれは全人間的な「回生」ではないんです。つまり命をとりとめた、一度死んで生き返ったという、それだけのことなんです。私の全人間的な回生は今年が「回生元年」なんです。一九九五年の元旦に上田先生から速達をいただいたんです。先生が「一度診てあげたい」とおっしゃってくださった。もうこんなに素晴らしいことはなかったんです。それでご指定の病<0023<院に伺いますといって、入院させていただいて、それから歩けるようになったんです。
人間は歩かなきゃ「人間」じゃないと思うんです註4)。この回生第一歩というのは、上田先生との再びの出会いで始まったんです。だから今年が「回生元年」で、歌集『回生』は「回生前期」なんですよ。」(鶴見・上田[1998:13-14→2007:23-24])
「註4 「歩かなきゃ『人間』じゃない」というのは文字どおりにとれば問題発言である。歩けない人でも立派に人間であることはいうまでもない。ただ鶴見さんにとっては「本当のリハビリテーション」によって新しい人生が開けたこと全体の一つのシンボルとしての発言と理解したい。なお鶴見・上田「患者学のすすめ」藤原書店、六三−六六ページ参照。」(鶴見・上田[1998:28→2007:28])
■言及
◆
杉野 昭博
20070620
『障害学――理論形成と射程』
,東京大学出版会,294p. ISBN-10: 4130511270 ISBN-13: 978-4130511278 3990
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※ ds
「医療やリハビリテーションの専門職の人たちのなかには、それこそいつも自分が心がけていることだし、専門職教育はそのようにあるべきだと言う人も多いだろう。しかし、そうした「良心的専門家」と利用者との違いは、前者がこれを「実現すべき目標」としてとらえているのに対して、後者はそれが達成される「制度的保障」を求めている点である。良心的専門家は、専門家1人1人がいかに最善を尽くすべきかは雄弁に語るが、一定水準のサービスを制度的に保障するシステムについてはとたんに口が重くなり、さらに専門家と利用者との間に存在する権力の不均衡についてはまったく鈍感になる13)。」
「13) この点を象徴的に示しているのが鶴見和子・上田敏・大川弥生(1998)である。この本は、理想のリハビリテーション実践を示すものだが、はからずも、今日の日本における理学療法の実態がいかに理想とかけ離れているかを示している。もしも鶴見が有名人ではなくふつうの患者であったならば、上田や大川といった良心的医師に出会わなかったならば、鶴見の運命は悲惨なものだった。上田は鶴見が最初に経験したリハビリテーションは「古い」ものだとしているが、内反を放置したまま歩行訓練を継続させるという技術水準は、古いか新しいかといったことですまされる問題ではなく、鶴見が最初に受けたリハビリテーション・サービスが適切な水準にないことを示しているのではないだろうか。潜在的な利用者としての国民一般も含めて、利用者が期待しているのは、この本が示すような「素晴らしい専門家との幸運な出会い」ではなく、「安心して利用できる制度」の確立であり、水準の低い専門家や実践を完全に排除できるシステムではないだろうか。しかし、それについては良心的専門家たちは口をつぐむ。」(杉野[2007:111])
◆立岩 真也 20100701 「留保し引き継ぐ――多田富雄の二〇〇六年から」,『現代思想』38-9(2010-7):
資料
UP:20100607 REV:20100613, 0708
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