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スティーブンスジョンソン症候群関連新聞記事:2000年代・後半(2005〜)

1990年代 2000年代・前半(〜2004)

last update:20100506
作成:植村 要

スティーブンスジョンソン症候群に関連する新聞記事本文を学術利用を目的に掲載しています。



『朝日新聞』2005.1.5.朝刊,愛知
失明 苦しみ救済に使命感じ(今をつかんで:4)

『読売新聞』2005.2.10.東京朝刊
SJS死亡賠償訴訟 遺族と会社側が和解 発症との因果関係不認定=神奈川

『日本経済新聞』2005.3.27.朝刊
医薬品で被害にあったら、副作用に公的救済制度アリ――給付条件に留意を。

『読売新聞』2005.7.10.東京朝刊
[情報サイト]スティーブンス・ジョンソン症候群患者会

『読売新聞』2006.1.20.東京夕刊
大衆薬のリスクをランク分け 「A」は薬局のみ販売 厚労省が薬事法改正案

『日本経済新聞』2006.9.4.朝刊
医薬品研など、副作用で起きる皮膚障害、遺伝子レベルで研究へ。

『朝日新聞』2006.10.19.朝刊
薬の副作用に手引 厚労省、早期発見へまず9疾患

『読売新聞』2006.10.20.東京朝刊
医薬品副作用の対応マニュアル公表/厚労省

『読売新聞』2006.12.1.東京夕刊
薬の副作用対処法、ホームページで公開/厚労省

『朝日新聞』2007.2.3.朝刊,福岡県
(医を診る)薬の副作用 服用後の「変化」注意 九州大大学院教授・笹栗俊之


 
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スティーブンスジョンソン症候群に関連する新聞記事本文
*以下、学術利用を目的として記事本文を掲載する。


 
 
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2005年1月5日 朝日新聞朝刊
失明 苦しみ救済に使命感じ(今をつかんで:4) /愛知
 武岡洋治さん(67歳)大学教授から牧師
 「今年も、またお会いできましたね」
 12月12日、安城市和泉町の市養護老人ホーム。
 日本キリスト教団安城教会(安城市大東町)に所属する名古屋市東区葵の牧師武岡洋治さん(67)は、お年寄り一人ひとりの手を握って声を掛け、一緒にキリスト降誕の歌を口ずさんだ。
 牧師になって2年余。その前は、名古屋大農学部教授だった。
 55歳の夏。人生の転機は突然やってきた。
 砂漠地帯の調査で13年前、北アフリカのスーダンに出掛けた。日中は気温が40度を超し、湿度は20%を下回る。「63歳で退官。あと一仕事だ」。同僚とともに初めてのアフリカ行きだった。
   □ □
 スーダン入りして13日目。角膜、口腔(こうくう)、鼻腔(びくう)、肛門(こうもん)......。粘膜のほとんどがただれ、皮膚全体がチョコレート色に変わった。異変に気づいたのは、首都ハルツームから約300キロ離れたセナールという都市だった。
 調査を中断、診察を受けるため首都の病院へ向かった。意識は次第に薄れていった。
 「薬の副作用による強度のアレルギー疾患スティーブンス・ジョンソン症候群」。マラリアの予防薬として、日本を出発する朝、医師の指示で飲んだ錠剤が原因だった。
 診断結果を伝える医師は、失明の可能性を示唆した。「頭の中が整理できなかった」
 病床では、悪さをした少年時代が頭をよぎった。「あの罪のためにスーダンまで来て死刑宣告を受けるのか」。罪の意識から死を連想した。
 帰国後、左目の視力は角膜の移植手術を受けて少し回復したが、右目は光を失った。
 スーダンでは、貧困に苦しみ、治療も受けられずに失明する子どもが数多くいることを知った。
 自分の失明の原因になった予防薬は副作用が指摘され、海外ではすでに治療用に限定され始めていた。薬害と飢餓。「背景にあるのは『利潤追求』『開発優先』。つまり、資本の論理じゃないか」。そう考えるようになった。
   □ □
 学生時代、キリスト教の洗礼を受けた縁で、退官後の00年4月、同志社大神学部の修士課程へ。教え子ほどの若者や会社を辞めた元新聞記者、元銀行マンと机を並べ、社会の不条理、矛盾に対する答えを探し続けた。
 聖書を読み返すうち、福音のメッセージが「雷のように心に響いた」。「苦しみを体験する人をいかに救うか。残りの人生で自らに課された使命では」
 牧師の道を選んだ。
 仕事や家庭環境で、心に傷を負った信者に出会うと、じっくり相手の話を聞くことに徹する。
 「苦しみはすぐに和らぐものではない。時間をかけて苦しみを共有できればいいですね」
 (都留悦史)
 【写真説明】
 お年寄りの手を握って励ます武岡さん=安城市和泉町の市養護老人ホームで


 
 
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2005年2月10日 読売新聞東京朝刊
SJS死亡賠償訴訟 遺族と会社側が和解 発症との因果関係不認定=神奈川
 ◆地裁、発症との因果関係不認定
 市販の風邪薬を飲んだ後、薬の副作用「スチーブンス・ジョンソン症候群(SJS)」などで死亡したのは、副作用の危険性についての説明を怠った製薬会社らの責任だとして、横浜市の女性デザイナー(当時三十一歳)の遺族が、薬の製造元「興和」(名古屋市)と販売元「興和新薬」(同)に総額1億5000万円の損害賠償を求めていた訴訟の和解が、横浜地裁(河辺義典裁判長)で成立した。遺族らが九日、横浜市内で会見し、明らかにした。
 原告側弁護士によると、薬を飲んだことと、SJSなどの発症との因果関係は、薬の服用時期や量が明確ではないとして、認定されなかった。和解条件には、製造元などが哀悼の意を表し、SJSなどの原因究明・発生防止に取り組むことなどが盛り込まれた。
 訴状によると、女性は一九九八年二月、風邪薬を一週間に計約四十二錠服用。同月七日、発熱などの症状が出たため、別の風邪薬を飲んだが改善せず、同月十日に入院。皮膚のただれ、意識障害を起こし、中毒性表皮壊死(えし)症に移行、九九年九月七日、死亡した。
 会見した女性の母親(62)は、「私たちの訴えを製薬会社がどのように受け止め対策をとってくれるか、大いに期待したい」と涙を浮かべながら語った。
 〈スチーブンス・ジョンソン症候群(SJS)〉
 ウイルスや細菌による感染症や、医薬品によるアレルギー性の皮膚反応とされるが、詳細は明らかになっていない。全身に水ほうができ、失明したり、多臓器障害などで死亡したりすることもあるという。

 
 
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2005年3月27日 日本経済新聞朝刊
医薬品で被害にあったら、副作用に公的救済制度アリ――給付条件に留意を。
「適正に使用」「症状重い」…
 医薬品の副作用で重い症状が出た場合、治療費などを補助する公的制度があることをご存じだろうか。医師から処方される薬だけでなく、薬局で買える一般薬も対象になる。副作用の程度など様々な条件があるが、万一の時の助けになるかもしれない。
 足首を痛め、近くの病院で診察を受けた三十代の橋本敏子さん(仮名)は「ねん挫」と診断され、湿布薬を処方された。ところが湿布を張った部分がひどくかぶれたため、不審に思って別の病院の皮膚科を受診すると、「薬の副作用の疑いがある」と言われた。かぶれは足全体に広がっており、結局、二週間入院した。
 「ねん挫の治療でこんな目に遭うなんて……」と嘆く橋本さんに、皮膚科の医師は「薬の使い方に問題はなかった」と話し、「医薬品副作用被害救済制度」を紹介。入院治療した医療費の自己負担分(実費)に加え、治療費以外の費用を補う「医療手当」の三万五千九百円が支給された。
 この制度は独立行政法人「医薬品医療機器総合機構」(医薬品機構、東京都千代田区)が運営。国が事務費を補助、製薬会社が医薬品の出荷額などに応じて拠出して、患者の救済資金に充てている。
 十八歳以上で障害が残った場合は障害年金(一級で月額二十二万七千四百円、二級は月額十八万千九百円)が給付される。家計を支える人が死亡した場合は、遺族年金として年二百三十八万六千八百円を十年間、そうでない人の場合は遺族一時金として七百十六万四百円を受け取れる。
 ただ、給付を受けるためにはいくつか条件がある。
 七十代の平山和子さん(仮名)は、肺にできた血液の固まり(血栓)を溶かすため、錠剤の「塩酸チクロピジン」を処方された。約二カ月後、黄疸(おうだん)がひどくなって受診。緊急入院したが、劇症肝炎で死亡した。家族は「薬の副作用が原因」として給付を請求したものの、結果は「不支給」だった。
 実はこの薬は効果の半面、肝障害などの副作用で亡くなる患者が相次いでいた。製薬会社は「緊急安全性情報」を出し、投与後二カ月間は二週間に一回、血液検査をするよう強く求めていた。しかし、投与した医師は検査を十分実施していなかったのだ。
 医薬品機構の稲岡利一・副作用給付課長は、「医薬品が適正に使われたことが前提」と説明する。「適正」とは、原則として医薬品の添付文書に書かれた使用法に従うこと。平山さんの場合は、投与した医師の過失責任が問われる可能性が高い。稲岡課長は「民事訴訟などで責任を追及できる場合は対象外」と話す。
 重い副作用であることも条件の一つだ。「入院相当の治療が必要な被害」が基準で、通院で済む場合は対象外。抗がん剤や免疫抑制剤など、重い副作用があっても、治療のために必要な医薬品は「除外医薬品」として対象外となる。
 給付の請求には、使用した薬の名称や量、理由のほか、副作用とみられる症状や経緯などを医師が記入した「医療費・医療手当診断書」が必要だ。サリドマイドやスモンなどの薬害を教訓に、一九八〇年五月から始まった制度だが、詳しく知らない医師や薬剤師も少なくない。「患者から損害賠償を求められるとの誤解から、診断書を書かない医師もいる」(稲岡課長)
 こうした医師には、患者の申し出により機構が文書で協力を要請。医師と患者で副作用かどうか見解が食い違う場合は「医師が副作用とみられる症状名を記入しなくても、薬の名称などを記入してあれば請求を認めている」(同)。最終的には厚生労働省の薬事・食品衛生審議会副作用被害判定部会が判断する。
 処方せんなしで薬局で購入できる一般薬でも、まれに重い副作用が出る。突然、皮膚や目の粘膜がやけど状態になるスティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)もその一つ。風邪薬や解熱剤などで副作用被害が報告されているが、診断が遅れる場合も多い。医療費・医療手当の請求期限は二年だ。
 患者会代表の湯浅和恵さん(52)は「一般薬は消費期限などが記載されている包装や瓶を捨てず、薬局のレシートを張って保管しておいた方がいい」と勧める。給付申請には、薬局の販売証明書が必要だが、包装とレシートだけでも有効となるからだ。
 さらに、湯浅さんは「救済対象でない軽い副作用でも、原因薬の名前を記録しておくことが大切」と話す。「次に処方される際に伝えれば、副作用被害を防げる」という。
請求急増、事務処理に支障
 医薬品副作用被害救済制度の請求件数は、二〇〇一年度に四百八十三件だったのが、〇二年度は六百二十九件、〇三年度は七百九十三件と二年連続で約三割増えている。医薬品機構は「副作用被害が増えているのではなく、広告などで制度が認知されるようになったため」とみている。
 〇三年度までで支給件数が最も多いのは、SJSや中毒性表皮壊死(えし)症(TEN)、薬疹(しん)など「皮膚付属器官障害」の千百七件。次いで悪性高熱やアナフィラキシー(過敏症)ショックなど「一般的全身障害」九百十二件、無菌性髄膜炎など「中枢・末しょう神経系障害」八百五十件となっている。
 ただ、請求増に事務処理が追いつかない。請求から支給決定までの期間は、〇三年度が十・六カ月、〇四年度上半期は十二カ月と、機構が目標とする八カ月を上回った。
 制度の対象外だった医薬品にも救済の道が開かれつつある。〇四年度には、輸血に使われる血液製剤や動物の心臓弁など、「生物由来製品」で感染した場合も救済する新たな制度を創設。医薬品機構は今月十七日、リンパ腫の治療中に輸血を受け、E型肝炎ウイルスに感染した六十代の男性に対し、初めて医療費と医療手当の支給を決定した。
 感染の原因を輸血と証明するには、輸血前後の血液検査が必要だが、実施している医療機関は少なく、制度定着への課題となっている。


 
 
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2005年7月10日 読売新聞東京朝刊
[情報サイト]スティーブンス・ジョンソン症候群患者会
 ◇SJS(http://www.sjs-group.org/
 ◎スティーブンス・ジョンソン(SJS)症候群患者会
 ◎概要 薬の副作用が原因で全身の皮膚に発疹(ほっしん)ができたり、目や口、陰部の粘膜がただれたりする重い薬疹・SJSの患者組織が主宰。病気や治療法などを解説する。
 ◎ここがイチ押し SJSの原因と推定される主な医薬品名を列記しているほか、副作用被害者が受けられる医療費や年金の救済制度が簡明にまとめられている。
 ◎お知らせ 悩み相談を電子メールpostmaster@sjs‐group.orgや、携帯電話090・7209・8981で受け付けている。


 
 
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2006年1月20日 読売新聞東京夕刊
大衆薬のリスクをランク分け 「A」は薬局のみ販売 厚労省が薬事法改正案
 ◆「資格」試験の新設も
 ドラッグストアなどで売られている大衆薬(市販薬)の販売方法が、大幅に変わりそうだ。陳列棚にずらりと並ぶ薬を見ただけでは、どの薬が自分の症状に最も合っているのか、副作用は強いのかといったことはなかなか分からない。厚生労働省は、薬のリスクを3ランクに分けて、店側がきちんと消費者に説明し、買う側にも薬の副作用の度合いなどが分かるように販売ルールを改めるため、20日からの通常国会に薬事法の改正案を提出する。1960年以来となる大改革は2008年から実施される予定だ。
 現在の薬事法は、医師の処方せんを基に調剤ができる薬局と、薬店の中でも薬理作用が強い大衆薬(指定医薬品)を扱える薬店(一般販売業)に薬剤師の常駐を義務付けている。
 国内の薬剤師は24万人。一方、薬剤師が常駐しなければならない薬局・薬店は6万店余で、数字の上では全店に常駐させることができる。
 しかし実際は、就職先として病院や製薬会社の方が圧倒的に人気があり、薬局・薬店は薬剤師の確保が困難なのが現状だ。02年の厚労省の全国調査では、指定医薬品を売る薬店の16%、薬局の2%弱で薬剤師が不在だった。ある大手ドラッグストアの幹部は「薬剤師が確保できない夜間は、アルバイトに白衣を着せて店番をさせたこともある」と打ち明ける。
 新制度が導入されると、大衆薬はリスクに応じてA〜Cに3分類される。医療用医薬品から大衆薬に転用された胃腸薬「H2ブロッカー」など、高リスクの薬はランクA。販売できるのは薬局のみで、薬剤師による対面販売が義務化される。
 解熱・鎮痛薬の「アスピリン」など中程度のリスクの薬はランクB、ビタミン剤など低リスクの薬はランクCに分類。これらはすべての薬局・薬店で扱えるが、販売従事者としての資質確認のため、薬事法や副作用に関する知識を問う試験を新設し、合格者でなければ販売できなくなる。一方で、B、Cランクの薬だけを扱う店では薬剤師の常駐は必要なくなる。
 A〜Cのランクは、すべての大衆薬の外箱、容器に表示されるようになる。
 規制強化にも見える制度改正だが、業界側は「これまでは、法律と実態に隔たりがあり、やりにくかった。新制度なら我々も胸を張った経営ができる」(宗像守・日本チェーンドラッグストア協会事務総長)と歓迎する。
 全身がケロイド状態になる「スティーブンス・ジョンソン症候群」をはじめ、大衆薬が原因とみられる副作用報告は04年だけで約300件に上る。サリドマイド薬害の被害者らでつくる財団法人「いしずえ」の間宮清事務局長は、「薬の販売を商業ベースで考えず、『かかりつけ医』のような存在に変わることが薬局・薬店には求められている」と話している。
 〈薬局・薬店〉
 医師の処方せんに基づき調剤を行えるのが薬局(全国に約5万店)。販売しか行えないのが薬店。薬店はさらに2種類あり、薬理作用が強い指定医薬品を販売できる「一般販売業」は現在、1万1000店ある。大手ドラッグストアのほとんどはこれに属する。それ以外の「薬種商販売業」は1万3000店あるが、新制度では、この区別がなくなり、薬店は一本化される。
 ◇主な医薬品成分のリスク分類=表略


 
 
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2006年9月4日 日本経済新聞朝刊
医薬品研など、副作用で起きる皮膚障害、遺伝子レベルで研究へ。
 国立医薬品食品衛生研究所などは、医薬品の副作用で起きる重い皮膚障害の原因を遺伝子レベルで解明する研究を今夏から始めた。患者に共通する遺伝子の特徴を見つける。発症抑制や治療法の開発につなげる考え。
 研究対象は、スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS、皮膚粘膜眼症候群)と中毒性表皮壊死(えし)症。原因となる医薬品は様々で、解熱剤や抗生物質など二百五十種類以上が厚生労働省に報告されている。市販の風邪薬で起きることもある。
 同研究所の長谷川隆一部長らは横浜市立大学や京都府立医科大学などと協力し、痛風治療剤、抗てんかん剤、解熱鎮痛消炎剤などの副作用で発症した患者の血液を分析、遺伝子の共通した特徴を明らかにする。一薬剤あたり二十―五十人の患者を集める予定。
 海外では台湾の研究者が抗てんかん剤を飲んでスティーブンス・ジョンソン症候群になった人と飲んでも問題なかった人とを比較。白血球の型を決める遺伝子の一部に、患者に共通の塩基配列を見つけた。ただ、欧州の白人や日本人ではこの配列を持つ人はまれで、発症との関連性はないと考えられている。
 研究グループは、日本人患者ではこの遺伝子の別の部分に共通した配列を持つ可能性があるとみており詳しく調べる。
 スティーブンス・ジョンソン症候群は急に皮膚がただれる。視力が大幅に低下し呼吸障害が残ることもある。アレルギー性の皮膚反応とみられるが詳細は分かっていない。発生頻度は低く国内では百万人当たり年間一―六人。

 
 
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2006年10月19日 朝日新聞朝刊
薬の副作用に手引 厚労省、早期発見へまず9疾患
 厚生労働省は、抗がん剤「イレッサ」で多数の死者を出した「間質性肺炎」など、薬の副作用による九つの重い疾患についての安全対策マニュアルの原案をまとめた。早期発見と症状の悪化を防ぐのが目的で、19日に専門家の検討会を開き、正式に決める。医療従事者だけでなく、患者も参考にできるようにホームページで公開する。08年度中には対象疾患を120に拡大する方針だ。
 今回、マニュアルを作るのは「間質性肺炎」のほか、皮膚がただれて失明や死に至ることもある「スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)」、筋肉細胞が壊れる「横紋筋融解症」、「アスピリンぜんそく」など。
 副作用による疾患は、特に初期の段階は、かかりつけの医師では気づかないことも多く、悪化するケースもなくならない。このため同省は、症状から副作用の可能性をたどることができる手引が必要と判断、関係学会と協力し、内容を詰めていた。
 マニュアルでは、副作用による疾患の初期症状や、原因として考えられる薬、その服薬期間、治療方法などを紹介する。患者向けと、医師や看護師ら医療従事者向けの2部構成。副作用被害の救済などに取り組む「医薬品医療機器総合機構」のホームページに、近く掲載する。(辻外記子)


 
 
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2006年10月20日 読売新聞東京朝刊
医薬品副作用の対応マニュアル公表/厚労省
 厚生労働省は、副作用死が相次いだ肺がん治療薬イレッサ(一般名ゲフィチニブ)で知られる「間質性肺炎」や、「アスピリンぜんそく」など、医薬品を使ったことで起こる9種類の重い副作用について、早期に発見し対応するためのマニュアルを作り、19日、公表した。年内に、厚労省や新薬の審査を担当する独立行政法人「医薬品医療機器総合機構」のホームページで紹介する。
 副作用は、投薬した医師の専門分野と違う臓器にも起きる可能性があり、発見が遅れて重症化する恐れがあるため、厚労省は昨年度から関連学会と連携し、マニュアル作りを進めている。2008年度末までに120種類に対象を広げる予定。今回公表された副作用はほかに、全身の皮膚や目がやけどのようにただれる「スティーブンス・ジョンソン症候群」、筋肉の細胞が血液中に溶け出す「横紋筋融解症」など。1000種類以上の副作用から年間の報告件数の多い9種類を選んだ。

 
 
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2006年12月1日 読売新聞東京夕刊
薬の副作用対処法、ホームページで公開/厚労省
 厚生労働省は、薬で起きた重い副作用の対処法などを集めた「重篤副作用疾患別対応マニュアル」を作成し、一般向けにもホームページで公開を始めた。
 薬で重い副作用が起きる機会は、数としてそんなに多くない。そのため家族や医師が症状を見逃し、診断や治療を始めるのが遅れ、かえって重症化してしまうケースが少なくない。
 そこで同省は、薬を服用したことで発症する副作用で、報告件数が多い代表的なものについて、日本病院薬剤師会や関係する学会に協力を依頼して、診断や治療など対応マニュアルを作成した。
 第1弾は、皮膚や粘膜に重い炎症を引き起こす「スティーブンス・ジョンソン症候群」のほか、「間質性肺炎」「非ステロイド性抗炎症薬によるぜんそく発作」など9種類についてまとめた。
 マニュアルでは、副作用の早期の発見や対応の方法、他の病気との区別、典型的な症状や経過、治療法などがわかりやすく書かれている。同省は2008年度までに、約40種類の副作用の対応マニュアルをホームページ(http://www.info.pmda.go.jp/juutoku/juutoku_index.html)で公開する。


*作成:植村 要/掲載:青木慎太朗
UP:20070713 REV:20100506
スティーブンスジョンソン症候群  ◇SJS関連新聞記事1990年代  ◇SJS関連新聞記事2000年代・前半(〜2004)
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