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『生存権――いまを生きるあなたに』

立岩 真也・岡本 厚・尾藤 廣喜 20090310 同成社,141p.
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生存権
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立岩 真也・岡本 厚・尾藤 廣喜 20090310 『生存権――いまを生きるあなたに』,同成社,141p. ISBN-10: 4886214789 ISBN-13: 978-4886214782 1470 [amazon][kinokuniya] ※
 同成社:http://homepage3.nifty.com/douseisha/
 同成社のHPでの紹介:http://homepage3.nifty.com/douseisha/sonota/sonota.html#seizonn

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内容(「BOOK」データベースより)
最大・最初の人権=生きられること。いまや、それさえも危ない!社会学者、弁護士、ジャーナリストがそれぞれ語る、「弱者に冷酷な」日本社会のいまの空気。「この国では、落ちると途中で止まれない。底まで行ってしまう」。あなたも例外ではない。

弱者に冷酷な日本社会。第一線で活躍する社会学者、弁護士、編集者がそれぞれ語る「この国では、落ちると途中で止まれない。底までいってしまう」。

■著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

立岩 真也
1960年生まれ。社会学者。立命館大学大学院教授。ALS(進行性筋ジストロフィー)患者のフィールドワークなどをしてきた
 *間違い1) ALS(進行性筋ジストロフィー)→ALS(筋萎縮性側索硬化症)
  間違い2) フィールドワークはしていない

尾藤 廣喜
1947年生まれ。弁護士。1970年、厚生省入省。1975年、弁護士登録。京都弁護士会高齢者・障害者支援センター運営委員会委員長などを務める

岡本 厚
1954年生まれ。岩波書店『世界』編集長。自覚的な市民社会づくりに資そうとするその誌面づくりは高く評価されている

(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次

 章・見出しの題はすべて、この本の企画立案者でもあり、3つのインタビューの聞き手でもある堀切和雅*さんによる。
 *堀切さんの著作:堀切 和雅 20060621 『娘よ、ゆっくり大きくなりなさい――ミトコンドリア病の子と生きる』,集英社,170p. ISBN:4087203468 ISBN-13:978-4087203462 819 [amazon] ※(他にもあります)

1 「目指すは最低限度」じゃないでしょう? 立岩真也 9-47

 悲惨を競わなければいけないのか?
 そりゃ要るよね当たり前だよね
 智恵の共有
 「自分の将来のため」の負担、というロジックでいいのか
 これは「再分配」であるべきなのだ
 「最低限」の競争をさせるのか
 一度「ゼロ」にならないと公的扶助が受けられない
 「最低限度」じゃなくて、もっと上を狙ってもいいんだぜ
 どうしても、みんなが働かなくてはいけないのか
 「最低限」は「上がり」ではないはずだ

2 じゃ、社会っていうのはなんのためにあるのか 尾藤廣喜

 「切り捨てる側」からそれを防ぐ側へ
 「生存権」の意味を問う訴訟
 弱者にこそ必要なものの保有さえ認めない「保護」
 高額医療の公費負担制度は、生活保護の現場から生まれた
 「我慢して利用しない」「利用できることを知らない」
 目標は、低くしてはいけない
 「規制緩和」で、苦しむ人が多くなった
 権利を主張すると攻撃される社会
 保護を早めにしてこそ、「最低限」からの脱却もありうる
 生活を軌道にのせるまでの、ケアが必要
 社会っていうのはなんのためにあるのか

3 弱者に冷酷な世の中(それは自分に返ってくる) 岡本厚

 貧困はいま、つくられている
 こんな状態で世の中が回っていくのか
 誰もが生きられる社会を
 経済のために人生があるのではないはず
 命の値段に、すでに差はある
 横につながって初めて、息のできる空間が生まれる
 もう「悲惨」にも、誰も心動かない
 正直に「増税」と言え!
 当たらないミサイル買うより高福祉で行きたい
 叩けば言うことを聞く人たちばかりとは限らない
 「豊かになる」に続く価値観はないのか
 理念あってこその民族じゃないか
 明日も今日と同じようにコンビニにパンが届き水が届く社会を

「朝日訴訟」・その他の生存権訴訟について

■紹介・言及

◆2010/10/15 http://twitter.com/mitsuma3/status/27407671906
◆2009/03/30 http://home1.netpalace.jp/tokuoka-miyatake/diary/diary.cgi?year=2009&mon=3&d=30
◆2009/04/02 http://www.fben.jp/bookcolumn/2009/04/post_2130.html
◆2009/05/04 http://zarathustra.blog55.fc2.com/blog-entry-547.html
◆2009/05/04 http://zarathustra.blog55.fc2.com/blog-entry-548.html
◆2009/05/04 http://zarathustra.blog55.fc2.com/blog-entry-549.html
◆2009/06/164 http://obinata-nob.cocolog-nifty.com/blog/2009/06/index.html

■引用

2 じゃ、社会っていうのはなんのためにあるのか 尾藤廣喜

 「「切り捨てる側」からそれを防ぐ側へ
 尾藤 もともと私は旧厚生省に勤務していたことがあるんです。昭和四五年から四八年、三年間ですが、そのうち一年半ぐらい、生活保護を担当していたのです。弁護士になってからも、生活保護関係の事件を結構たくさんやっています。」(尾藤[2009:50])

 「高額医療の公費負担制度は、生活保護の現場から生まれた
 尾藤 私が厚生省にいた当時、東京都のある係長が案件を持ってきたんです。それは、当時で月収が三〇万〜四〇万円ぐらいの自営業の世帯で、保護を受けたいっていう人がいるというのです。当時の私の給料が二万から三万ぐらいだったと思います。だから、それは当然ダメでしょうと言ったのですが、いや実はこの世帯には、人工透析を受けている人が<0057<いるんだと。当時人工透析は非常に高い自己負担だったんですね。月に三〇万〜四〇万円の自己負担で、人工透析を受けている患者さんがたくさんおられたわけです。
 ――もう、一家が潰れてしまうような……
 尾藤 そうです。それで、透析を受けなければ死んでしまうと。だけど当時、人工透析の公費負担制度がなかった。それで、どうするかっていうことで、やっぱりこれは、保護費で負担しなけきゃいけないだろうということで、保護費で負担することになったわけです。
 それで、その東京都の係長は、私に対して、これは一例ですけれども、東京都ではたまたま協議したから認められるってことであってはならないと思いますと。制度というのは、全国津々浦々までも平等に運用しなければ、公平な運用とは言えんのではないかというふうに言ってきましてね、それは私もごもっともですと言った。すると、ついては、今日認めていただいのは結構ですけれども、これを通達で流していただきたいと。全国、人工透析を受けている患者さんについて、必要な場合は保護で、特別基準として給付を認めるんだっていう通達を流してほしいって言われたわけですよ。なかなか気骨のある人ですよね。そんなアンフェアな行政はできませんと言って、通達で流した。」(尾藤[2009:57-58])
 cf.人工透析

 「…健康保険制度というのは、当時でも非常に問題になっていて、どう変えるかっていうことは与野党の折衝案件で、安易な妥協をしたら、野党の、つまり当時社会党の委員長の首が飛ぶような事件、非常に政治的な問題だった。[…]
 それで結局私は保険局にいったんですよ。行って保健課の係員と話したら、予想通り、<0059<それは無理だよって言われたんですけど、だけどこれは健康保険の問題と違いますかと。保険適用の医療では、国民健康保険は七割給付になってると。三割の自己負担があって、それで自己負担が金額的に高すぎる場合がある、定率負担になってることが問題なんだから、定額負担になりませんかっていったら、お前アホかって言われまして。そんな問題は君、与野党の折衝でやる問題だし、審議会の審議事項で、日本の制度の根本に関わる問題なんだから、君みたいな者が言ったって変わるはずないじゃないかと。いやそれはそうなんですけど、なんか考えられませんかって言ったら、面白いんですよ。でもなあ、これ、例えば一ヵ月に出したお金が一定額超えた場合に、あとで補填するっていう制度はどうかなって言って。それが、後でできた高額療養費払い制度っていう制度なんですよ。それが生まれるきっかけに実はなったんですよ。」(尾藤[2009:59-60]


UP:20090319 REV:20090325 0330 20100721, 1015
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