障害者政策委員会が、1月27日(月)開かれ、この間続けられていた障害者差別解消法の三年後の見直しの議論のまとめを事務局は出した。差別の定義の在り方や、相談体制、紛争解決の仕組み、合理的配慮の提供の民間事業者への義務化等の問題が議論をされてきているが、複数の意見を羅列する形となっている。一部委員からは「これではよくわからない」という意見も出された。次回の委員会にさらに整理したものが出される予定。
1月7日(火)、「基本合意10年 全国集会」が開かれた。全国各地から300名以上が集まった。この日は10年前、国と障害者自立支援法違憲訴訟団が基本合意を交わした日だ。弁護団の藤岡事務局長は「基本合意、国との定期協議は介護保険統合の阻止に役立っている。基本合意と骨格提言は羅針盤」とした。
パネルディスカッションでは、「被爆者団体も国と確認書を交わしたが、国が確認書の通り進めない」と述べ、共に声を上げようと呼びかけた。浅田訴訟弁護団の呉さんは「裁判所は総合支援法の7条を介護保険優先原則条項ではなく、併給調整の条項と捉えた。つまり同時に同じサービスを使わなければどちらを選べることを述べている」と裁判所の判決を評価した。
これからの10年、基本合意・骨格提言を履行させていくには、とても良い集会となった。
昨年12月31日、宮尾修議長が永眠されました。宮尾氏は1970年代前半の障害連設立から先頭に立ち、DPI日本会議議長なども歴任。心から哀悼の意を表します。(太田)
要望 | 回答 | 備考 |
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強制不妊手術の調査 | 平成30年度中に社会福祉施設を含め全部終了 | 現状はどうなのか |
災害などの緊急時の備え | 要配慮者の対策は、福祉避難所などさまざまにおこなっている。台風19号によって生じた問題は、報告会などで課題を共有 | 超大型台風などに対する障害者の安全を具体的にどう保障するか |
「制度の谷間」 |
・福祉サービスについては、それをおこないたいと区市町村が言えば都として補助する仕組みができている
・医療費助成については、国に要求を出している中で、都として可能なことをおこなっている
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「制度の谷間」の人への施策を、都として積極的におこなうべき |
ヘルパー派遣 | 入院時のヘルパー派遣については、重度訪問介護区分6以外でも必要と認めた自治体は派遣をおこなっている。調査ではなく、日常的に区市町村と意思疎通を図っている | 回答と実際がかけ離れていないか |
生活施設 | 施設入居者の尊厳が守られるようにさまざまな取り組みをおこない、都社協においても苦情の窓口を置いている | 社会参加権に関する回答は抽象的で、現実を反映していない |
住宅施策 |
・建て替え工事をおこなう中で、既存のものを利活用するようにしている。
・家賃債務保証制度については広報している(ただしその数は本日は不明)
・民間住宅への助成については、福祉保健局と協力しておこなっている
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障害者の地域生活にとって、住宅が重要という認識を、都は持てていないのではないか |
2月21日(金)障害者政策委員会が開かれた。事務局が出した取りまとめを中心に議論をされたが、「差別の定義化が必要だ」とする意見が多く出された。
一方経営者団体からは、障害者基本法の定義でおこなうべきだ、とする発言もあった。
相談・紛争解決の仕組みについては、「現在の人権擁護委員会にそれを任せるのは非現実的であり、何らかの仕組みが必要」とする意見や、「ワンストップの相談窓口を設けて、障害者にとって少しは使いやすいものとすべきである」、とする意見が出された。
この日の議論はさまざまな観点から出され、この議題は4月にもおこなわれることとなった。
少しでも実効性のある差別解消法にしていくため今後も力を尽くしていきたい。
相談体制について多くの委員から、「たらい回しにされている実態があり、ワンストップの窓口が必要だ」とする指摘が出されて、事務局は「内閣府に、その窓口を置き、調整を図っていくことを含めてまとめを修正したい」とし、 次回の6月の委員会で最終確認を行うことになった。
5月25日(月)、第51回障害者政策委員会がインターネット会議という形で行われた。
障害者差別解消法の見直しが議題。事務局から前回の委員会で出された意見を踏まえた修正案が出された。「合理的配慮の義務化の周知期間はいらない」という意見は多かった。また、障害者基本法の見直しについても、必要とする意見が多く出された。
一方、「コロナで視覚障害者等は差別的取り扱いを受けている。」という指摘もあった。
最終的には、多くの委員の問題提起を受け止める形となった。政策委員会運営規則の改定も行われた。
次回は、まとめの最終確認。
6月22日(月)、第52回障害者政策委員会がオンラインで開催された。「障害者差別解消法」の見直しに関する意見書の最終検討だった。
意見書案は、もっと周知期間が必要とする意見があったものの、事業者の合理的配慮の義務化の検討をすべきとした。石川委員長は「障害者権利条約に照らせば義務化は当然。
相談体制については、たらいまわしをなくすため、ワンストップの相談窓口を内閣府に置く方向性が言及された。しかし、肝心の紛争解決の仕組みについては、先延ばしとされた。改正案が国会に提出・審議される過程での意見交換については、事務局も積極的な姿勢を示した。
意見書は採択された。
8月24日(月)福島みずほ議員事務所の仲介と、福島議員の立会いの下、厚生労働省と意見交換会をもった。
冒頭、福島議員が挨拶し、既に要望書を出してあり、文書回答が示されていたので、それに基づき、意見交換が行われた。
回答の要旨は以下の通りである。
この日は、二時間とってくれたので、十分な意見交換ができた。
要望 | 回答 | 備考 |
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1.障害者虐待防止法の改正 | 法律の改正は考えていない。運用等を通して虐待防止の対策を講じたい。 | →精神科病院等では、虐待が増えており、運用だけでは限界ではないか。 |
2.生活施設の監査指導の強化等 | 利用者の人権や個人の尊厳が守られるように、指導監査の徹底等について、自治体に要請。 | 第三者機関について、もう少し具体的な回答が欲しかった。 |
3.施設の減少化計画 | 障害福祉計画で進めており、令和元年度末の施設入所者数の6%以上が地域生活へ移行、令和5年度の施設入所者数を令和元年度末時点の施設入所者数から1.6%以上削減。 | 感覚的には、施設は増えているように思えるが…。 |
4.優生保護法の被害者への賠償 | 現在係属中のため、答えられない。 | 優生保護法問題は、多くの問題に波及しているので、問題の大きさについてもう少し考えてほしい。 |
5.障害者の範囲を基本法と同じに | 基本法は理念。総合支援法はサービス給付法なので、別であるが、様々な意見を聞いて検討していきたい。 | 意見交換会では、生活のしづらさ調査を通して、実態を把握しようとしているとしたら、実態が把握されていない。 |
6.ヘルパー派遣の停止をしないこと | 利用者に発熱等の症状があっても、感染防止を行った上で、サービスの継続を自治体に示している。 | 多くの参加者から「障害者で入院している人がどれくらいいるのか」という声が上がったが、回答はなかった。 |
7.入院中、障害状況を考慮した対応 | 障害特性を踏まえた入院機関の整備、コミュニケーション支援等を都道府県に指示。 | 意見交換会では、コロナ禍のコミュニケーション支援は、障害程度区分あるいは重度訪問介護利用者であるか、関係なく、対象となるとのことだった。 →ヘルパーが実際、病院でどういう形で介護を行うか、イメージが付きにくい。 |
この日、厚生労働省からの出席者は、
障害保健福祉部企画課 課長補佐 吉元信治様、障害保健福祉部企画課 監査指導室 特別自立支援専門官 黒木信也様、障害保健福祉部障害福祉課 課長補佐 小林靖様、障害保健福祉部障害福祉課 課長補佐 土佐昭夫様、障害保健福祉部障害福祉課企画法令係長 名草あい様、障害保健福祉部障害福祉課地域生活支援推進室 室長補佐 栗原拓也様、障害保健福祉部障害福祉課地域生活支援推進室 相談支援係長 池沼憲一様、子ども家庭局母子保健課 企画調整係長 安藤弘貴様 の8名。
「コロナ禍と、私たち障害者」をテーマに、10月17日(土)zoomで障害連シンポジウムを行った。パネリストは、海老原宏美さん(自立生活センター・東大和 理事長)、山田悠平さん(精神障害当事者会 ポルケ)、五位渕真美さん(障害連)、尾上裕亮さん(障害連 代表)の4人。
海老原さんや五位渕さんは、介助者の体調に気を配ったり、シフト調整が大変であることを話してくれた。そして、海老原さんは人工呼吸器を現在つけていたり、胃ろうであったり、他にも合併症があることから、「冬の時期になると、風邪をひかないように細心の対策を図っていて、ある意味自分にとってこの状況は特別なことではなく、かえって周りが感染対策をしてくれているので例年より安心できるかもしれない。」と話した。
五位渕さんは、もともと一人でいるのは苦痛でないタイプだったが、「コロナ禍は大きなストレスとなり、腰痛になるなど体調に変化をきたし、また外に出ていないので、車いすの操作が以前よりもうまくできなくなった気がする。」また、「人との関係性の大切さ」に改めて気づかされたと話していた。
山田さんは、「お話し会」や「ピア・カウンセリング」などの企画を立て、地域の仲間と関係をつくってきたが、コロナ禍によって会議室を利用できなくなってしまったとのこと。人と会う機会が少なくなり、体調不良となる人も多くなった、とした。ただオンライン会議が増えたことは、調子が悪くても会議に参加できるので、今後もそのメリットを活かしていくべきだともした。
尾上さんは、海外の当事者団体の報告をいくつか例を挙げ、「外出禁止で買い物に出かけられないので宅配を頼んだが、集合住宅の前に置き去りにされた。」ことや、「警察から障害者は外に出るな。」と言われたことなど、多くの事例が報告された。「運動を継続することがとにかく重要」と強調した。
「沖縄では、GoToキャンペーンで感染者が増え、米軍の新型コロナウイルス感染者も多いが、全国報道されない」。精神保健福祉会連合会の高橋さんは、こう述べた。
10月23日(金)、「骨格提言」の完全実現を求める大フォーラムが開催された。今年の大フォーラムは、新型コロナウイルスの拡大防止の観点から、東京・埼玉・群馬・兵庫の4会場と、各地をZoomで繋ぐかたちで行われた。
ピープルファーストヒロシマの近藤さんは、団体メンバーの話をしてくれた。会食に行く時に、ヘルパーに「一緒に食べることはできないことになっています」と言われるようになったという。「ピープルファーストの活動では会食の機会が多く、場がしらけてしまう」と実情を話した。
優生思想に関しても多く語られた。神奈川県障害者自立生活支援センターの鈴木さんは、津久井やまゆり園事件の裁判について、「「重度障害者は不幸しか作れない」という主張の背景や原因を深く掘り下げることはできずに結審してしまった」と述べた。京都の日本自立生活センターの小泉さんは、安楽死を美化する番組に対しBPOに申し立てをした活動を紹介。「報道は、人の生きる可能性を見い出せるものをつくっていくことと、一方で医療は人の命を救うことを全力でやってほしい」と訴えた。命の選別につながるコロナ禍の優生思想には、強く反対していく必要がある。
採択された集会宣言などは、以下のホームページから。
https://www.crpd-in-japan.com/10-23