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全国「精神病」者集団ニュース 1980.3



全国「精神病」者集団ニュース 1980.3

発行
〒457 名古屋市南区呼続町7-76
健幸荘A301大野方 全国「精神病」者集団事務局
TEL052-821-1313(午後10時迄)
編集
書記教宣部

春の陽ざしが窓から飛び込み、ともすれば内に閉じこもりがちな寒い厳しい冬ともさよならをし、若草の芽が生き生きと空に向かって伸びはじめる季節となりました。
コートを脱いで外へ出て春の太陽を浴びながら、思いきり身体を動かしたいような思いにかられます。
でも私たちは、獄中で苦しい闘いをしている赤堀さんや、病院の中で苦しんでいる仲間と一緒に春の陽ざしを共に浴び、共に語り合える時まで苦しく辛い闘いを闘い抜き、あくまで生きることを通してしかこのことが実現できないことを知っています。その日をこの手に握りしめる日まで、がんばり抜いてゆかねばなりません。
今回の連絡会議は3月22日、23日と名古屋の全国「精神病」者集団事務局で行われました。
私たちにとって精神医療とは何か! また監獄と精神病院の違いや類似性について、監獄法改悪をめぐって赤堀差別裁判の中における精神鑑定の位置と役割などにいて活発な意見交換や討論がなされる中で行われました。
同時にこのことは私たちの出来る力量に比してあまりにもすさまじい課題が、ともすれば私たちの行く手に重くのしかかり重圧となっても、なおかつ必死に精一杯闘い抜いてゆく決意を一人一人の中に追っていくものとしてもあったと思います。

事務局からの報告

事務局運営の現状

事務局員の日常的な任務の中には、@共闘組織、個人、病者からの通信、私信に対して応えていく仕事があります。Aとしては事務局の整備、運営に関する会計、ならびに事務作業があります。Bとしては、「病」者集団連絡会議ニュース作成、発送作業など現在事務局センターは文字通りすべての情報が集中し、またすべての個人、共闘組織に対する「病」者集団の窓口、会計、情報センターとして機能しています。
又、愛知分会0の会の日常活動も、同一メンバーが担うなど任務が集中しているのが現状です。同時に経済的な運営も、定期カンパ、一時金カンパのみに依存し、ニュースの郵送費等の捻出にも、今後郵送料が上がることもあいまって、より一層な困難が予測されます。
この事務、通信の作業の円滑化を図るため、まず第一にすべての外部よりの通信の記録を行い、整備する作業を行っています。この仕事の内容の分析を行い、どう少ない力で、多くの課題に応えていくのかという方法を考えている所です。
その一環として、現在使っている青焼きコピーにるニュース作成の労力が二人がかりで二日〜三日かかるという現状を打破するという意味で、ゼロックス等新しい印刷方法を検討しています。事務局員の力量を最大限発揮できるようにと考えてゆきたいと思います。
私たちもガンバリますが皆さんもご協力お願いします。

日本精神神経学会について

 日本精神神経学会は精神科医師五千名で構成されている。かつて精神病に関する論文発表とした学究的なものであった。しかし「精神障害者」をより一層隔離、収容してゆこうとする保安処分が法制化される動向を機に1969年、学会の体質が学究的なものから、医師相互の討論の場と変わった。
 それは医師が「病」のみを問題にするのではなく、差別や偏見など「病」者が必然的に負う重圧をも直視する方向へと変化した。とりわけ、収容所化し、荒廃している精神病院のあり方が問われ、患者の人権を問題視するようになった。そして一方病気のある(あった人の)私たちに学会を開き、当事者の意見を求める大衆の討論の場として現在学会は機能している。
 私たち全国「精神病」者集団は1974年5月第一回患者集会を機に学会に集団として参加してきた。1976年赤堀差別裁判の精神鑑定が非科学的であり、裁判構造上、差別の根幹に位置するものとして糾弾した。そのように精神鑑定の差別性を学会に暴露し、社会の注目を浴びてきたことは記憶に新しい。
 本年は5月24日静岡県浜松市において開催される予定である。そして今年どう闘い抜くのか、「病」者集団の事務局で討論をもちました。

地域活動報告

会議参加者

まどの会(奈良)
個人的に落ち込んでいた時期もありましたが今は大丈夫です。
3月8日、奈良で赤堀学習会をやりました。これは3月11日の全国集会の前後の集会としてやったものです。三人の呼びかけにより、
島田事件と裁判の経過
これからの課題
地域における活動と赤堀さんとの関連
体験発表
を中心に行いました。これからは、奈良赤堀さんと共に闘う会を作ってゆくためがんばってゆきたい。
3月21日、信貴山病院院長との話し合いを持ちました。最初院長は7月末の交渉で慌てふためいたことに懲り、組織とは会わない、二人だけで会うという逃げ腰でした。結局二人で会いましたが、運動としては7月末の交渉以来あまり進展していない状況の中で、しかし次のことについて約束をさせました。
家族を通して、院内のまどの会の会員に会をやめさせるような圧力をかけないこと
まどの会の会員であることにより不利益をこうむらないようにする
開放化に向け職員を増やし、開放化については病院内で検討してゆく
買い物についてはおかず類、ラーメン等について制限していたが、腐りやすいものや大量に買うこと以外については制限しないようにする
早期に患者が退院できるように努力したい
隊員可能な人については家族を説得したい
以上約束させました。そしてこれからも話し合いを持つが、あまり大勢で来てもらっては困ると相変わらず逃げ腰でした。又、病院側の保護的なところからの考え方に対して発送の転換をさせてゆくため、現場で何をやってゆくのか見守ってゆきたい。

いばらの会(阪神)
3月11日の赤堀全国集会に参加。大阪赤堀さんと共に戦う会に継続的に出ています。又、個人としては、自分の生活の転換期に来ていると思いますが、その中でいろんな人々から相談を持ち込まれたり、話し合いをやったり会議に参加したりしていますが、自分の生活基盤を確立し、活動を長期的に続けてゆくため家族と協力してゆきたいと思います。
個人相談がこの間増えていますが、社会から排除され、でっち上げ逮捕の危機にさらされている私たちのことを誠実に考えてくれる医師や弁護士、支援者の協力なしには活動を続けてゆけないことを痛切に感じています。

0の会(愛知)A
この間は非常に状態が悪くて限界の連絡会議、3月11日の赤堀全国集会にも参加できませんでした。幻覚、幻聴が出たり風邪をひいたりして体調を崩しつらかった。活動を始めてから4年になりますが、その中で又、名古屋に来て1年になりますが、今過去を振り返って、今までの運動、生活のあり方、これからの運動、活動について深く考えてみました。そして今後も名古屋でひき続きがんばって活動を続けてゆく決意です。
0の会(愛知)B
0の会は今、会として無機能状態に近い状態です。会議の設定や、ニュースの発行ができていません。「病」者集団の事務局を開設したこともあって、事務局の維持、強化をしていかねばならない自覚と責任感を強く感じ、その中で主力を事務局においた結果だと思います。友人とか支援者に来てもらっている現状です。監獄法改悪阻止の闘いに力をさかれている現状もあって、0の会が機能していないことの一つになっています。しかし事務局の運営の円滑化をはかるために事務局員としての自覚、防衛、責任を果たすため努力しています。具体的には、
(1) インプットノート(通信ノート)を作り外部からの電話、手紙などの量的把握を始めました。その中で事務内容を分析し効率化をはからないと0の会の運営を行う余力が出てこないのではないかと思います。
(2) 運動原則として地域、親から排除されている会員の現状を切(3) り捨てることは絶対にしない。そのために訴えの内容、時間を問わず患者の訴えを聞き解決するため努力してゆくことを原則としています。
(4) 少数で最大の効果をあげるために0の会と「(5) 病」(6) 者集団への力量の投入の配分を考えています。
しかし以上のような視点をもっていても病状には勝てず非常に苦しく現実の闘いの中にあるギャップに悩み続けています。
身体障害者実態調査阻上の闘い
3月13日から14日にかけて愛知県障害援護課に対して32時間にも及ぶ連続交渉をやり抜きました。しかし行政との交渉の中で獲得したもの、問題点については今、総括を深めています。
これらの闘いや問題点を通して今問われていることは、病状の固定=運動への力となる病状の克服を会員全体のテーマとしてさらに検討してゆくことだと思います。

虹の会(大阪)
個人的には、活動を始めて以来最大のピンチな状態に直面しています。その中で3月11日の赤堀全国集会に参加しました。会としては、4月の定例会の設定やニュース発行、レクリエーションなどの企画をしその実現にむけて活動しています。

手紙による報告

Sさん(東京)
精神科全国共闘ニュース33に綴じ込みのビラを、鳥山病院総括集会にたまたま参加してみて、文字通り飛び上がりました。「病」者集団の名は前から少しずつあちこちから聞いていました。友人の介護者グループや全障連やその他パンフ類からです。ただ、以上の健全者や医者を交えた団体の運動性には、常に一定のこだわりがありました。Aさんの会は、 ロボトミー反対の裁判闘争を、全障連は精薄者の犯罪者へのでっち上げ反対の裁判闘争を、鳥山病院闘争は主任医師の処分反対闘争をしていますが、参加している健全者が他の健全者よりも心が通い合っているかというと必ずしもそうではないように思えます。特に、鳥山病院の集会では家族の会の会員が「私の子どもは入院しておりましたが、孫が「精神病」だと言われたら困るから、勝手に写真撮らないでね…」などと壇上で発言したのを、誰も責めようとせず非常にびっくりしてしまいました。その場には青医連のM、医学連の人などの医者お呼び医学生が居り、議長団は市民の会、家族の会で構成され、患者は置き去りにされ、発言も後回しにされ、医者が「患者さんの所まで下りていかねばならない。」という発言をするのが拍手をもって迎えられるのには正直言っていったい誰のための闘争なのか全く不分明でした。結局これらの闘争が、医者の反処分闘争の体裁のよい飾りや、健全者の勝手な「解放」運動の飾りに使われている面は拭えないと思いました。

Hさん(東京)
今回始めて闘う蟻の会の活動報告をします。
三月の第一日曜日には都内の観梅地で梅見をしました。少し肌寒い気候でしたが、温かい甘酒で暖をとり、前の晩に会員の部屋に泊まりこんで作った共同作品のおむすびをほおばりながらの観梅でした。
次の日曜日には第一例会を開き、院内会員の就職後の現状なども含め、各会員の現況を語り合い、会員相互の結集を強めました。
又、三・一一赤堀全国闘争に向け、会独自に新鑑定の学習会をやり、これを武器に第四次再審の抗告審闘争の大衆的高揚の一翼を担うことを誓い合いました。三・一一赤堀全国闘争へは就職したばかりで休暇が取れなかったり、やはり同じく就職したばかりで体の調子が本調子でないため全員参加はできなかったが、それでも全力を出し切って参加。新証拠を武器にしつつも、二・七狭山再審棄却を見据え、武装解除せず大衆的高揚を闘い取ることを確認し合った。
第二回例会では精神「障害者」の生きざま、病気と闘いながら生きていく生きざまを著し、病院の差別的処遇の実態を暴露した小林美代子の「髪の花」の読書会をやりました。「病者」の決起や組織が存在しなかった(と聞いていますが)時期に「病者」の存在とその生きざま等の問題を提起した作品と受けとめ、「病者」の抱えているいろんな問題を深化していく作業をこれを契機に進めていくつもりでいます。前半を読み終えての感想会では「怒りに絶えない」「涙を禁じえない」などの感想が出されました。次の四月の例会で後半を読み、感想を整理し、会報に載せることにしました。
三月の活動の中で最大にして最重要の政治課題として三・三〇の三里塚全国闘争(三・二六管制塔占拠、横堀要塞戦二周年)があります。闘う蟻の会の発会の契機となった三里塚闘争は「障害者」解放闘争の発展の機軸であり、赤堀闘争を発展させ、大衆的高揚を勝ち取る場でもあります。又これを通して関東の患者会の強化、相互の交流と強化の機軸でもあるのではないかと思います。

赤堀問題

2月26日、約500名の著名人署名をもった交渉団に対し、宮城刑務所当局は交渉団を2名にしぼれと不当な人員制限をなし、それに抗議する赤堀中闘委をはじめとする「障害者」「病」者を暴力的に排除しました。
3月11日の集会は、赤堀さんに対して静岡地裁の第四次再審(裁判のやり直し)請求の棄却決定が今から4年前に行われたことに抗議し、約350名の結集をもって闘い抜かれました。
私たちは2月26日の宮城刑務所の約束違反、交渉団に対する不当な人数制限、監獄法改悪策動、再審の高裁による棄却策動の強まりの中で、さらに障害者差別に対する怒りで武装し、闘い抜かねばなりません。
3月11日以降の戦いの方針としては、
赤堀さんの問題(裁判のやり直し、獄中医療、処遇問題)に取り組んでくれる国会議員の獲得をはかる
著名人署名行動の継続
再審闘争を圧殺する監獄法改悪の阻止をはかるための運動を広めていく。(監獄法改悪を許さない全国連絡会議の発行するリーフレットの学習会を行って欲しい。)
3月11日闘争の総括
まだまだ赤堀さんの問題が全ての病者、闘う人々の問題になり切っていない。この無実であるのに精神薄弱者であるということのみによってでっち上げられ、26年もの間死刑囚としてある赤堀さんを生きて奪い返すことが全ての人に問われているというオルグ大衆的情宣を強化していくことが第一の課題である。
次に「病」者の中で赤堀さんとともに生き、ともに闘うという仲間を一人でも多く作り出すというオルグ活動を行うことが第二の課題である。
又、地方から中央(東京)へ出てくるため準備が大変である。病状、経済的な問題など「病」者で闘いたいという仲間を支援者がどう支え切るのか、日常的な地域の共闘が問われている。各地で闘い得る闘いを行うことを積み重ね、その力をもってしか中央へ結集するということはできない。東京へ行くため闘いに参加できる条件を整えることが第三の課題である。

鈴木君虐殺糾弾

第5回公判
4月24日 午前10時
大阪地裁民事三部八○八号法廷
あらゆる人々の公判闘争への参加をお願いします。

【新聞記事「監獄法改悪を許すな 最終答申粉砕に決起せよ」】

内部通信

お知らせ
「絆」四号 原稿募集
今回は精神医療を主なテーマとして、編集したいと思います。私たちの運動の基点の一つは、私たちが受けてきた精神医療であることをふまえて、なるべく精神医療に関連する体験記、論文などをお寄せください。もちろん精神医療問題以外の地域活動報告、手記、論文などでも結構です。なお原稿は四百字詰原稿用紙にタテ書きでお願いします。

宛先 (削除)
吉田 おさみ

意見募集
会議へ参加できない皆さんの地域活動報告や本紙についての意見などを事務局までお寄せ下さい。
次回会議のお知らせ
○座談会「病」者にとって精神医療とは何か 4月26日(土)午後1時〜
○事務局会議               4月26日(土)午後6時〜
○連絡会議                4月27日(日)午前10時〜
所                   大阪部落開放センター
○連絡先  電話052-821-1313
(大野方 午後10時まで)

【部落開放・部落開放研究教育センターご利用の方へ 地図】

センター事務所 〒556 大阪市浪速区久保吉町1247番地
部落開放センター内
電話 代表(06)561-9121〜5
・新幹線、新大阪駅より東海道本線にのりかえ、大阪駅へ。
大阪駅より環状線「芦原橋」駅下車。北出口より出て2つ目の信号左折。徒歩5分。


*作成:桐原 尚之
UP:20090718 REV:
全国「精神病」者集団  ◇全文掲載
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