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『全障連』10



 ◇『全障連』(全国機関誌)目次

『全障連』10(1980・2・25)
「80年 全障連年頭アピール」・・・・・・・全国事務局(p1-2)

※「我々を取り巻く客観的情勢は一層きびしくなっている。」(p1)
@全障連を無視しての養護学校義務化
A赤堀政夫さんに対する東京高裁の「抗告棄却」
B財政難を理由とする年金の見直し、福祉切り捨て、「地域総合福祉」のふりまき
C刑法改悪、安楽死法制化

※80年代の課題
@国家権力の障害者政策に対置する、我々の政策=解放のみちすじを理論的・運動的にもはっきりと具体的に作り上げること
Aこれまで不十分だった組織化を早急にたてなおし労働者、市民・障害者の親などを含めた障害者差別と闘う広範な人々の確たる組織化をすること
B部落解放同盟、三里塚空港反対同盟をはじめとする闘う労働者、被抑圧大衆との闘いによる結合



「12・9 生活問題討論集会の報告と提起」・・・・・・・・・・・・・・・・・・pp3-4
1979・12・9 「全国各ブロックから80余名が結集し、障害者が地域社会で自立生活をかちとっていくため、とりわけ厚生省闘争の方向を決定する討論集会が行われた。」(p3-p7)
→生活領域の運動に力を入れるのは、全生連第四回大会からの方針

集会はまず、八木下代表幹事より「障害者は厚生省の差別政策を糾弾する中でしか生きられない。地域社会で自立して生きていくために我々自身の政策体系を作り出そう」との挨拶に始まった。その後特別アピールsとして関東ブロックの幹事でもある猪野さんから、他人介護料特別基準の戦い(全生連加入者は二名しか受けていない、全国でも十数名といわれている)が報告され、75年から支給されているが、今年はその引上げ率がおさえこまれたことに対し、新たな戦いを作っていることのへの支援要請と共に、生活保護を受けている障害者を中心に介護保障の重点的戦いとして、みんなが特別基準を要求することの提起がなされた(p3)。


「この分析に基づき(地域福祉批判など―作成者)、今後の方針として、@年金を含めた所得、A24時間の介護、3住宅の三つの課題を基本的な問題とし、これをどうかちとっていくかを討論することが提起された。また1-2月に厚生省闘争を準備し、厚生省に対し障害者が地域社会で自立をして生きていくことを認めさせることから戦いをはじめていくことが表明された。」(p4)

※参加者からの疑問
@労働していない障害者の問題に絞られている
A視覚・聴覚障害者の問題が出ていない

答え
@さまざまな障害者をもつ仲間を積極的に考える
A働いている仲間を分けて考えない。

「また『重度』『軽度』の用語が安易に使われており、分担を許さない立場をもっと深く考える必要が確認された」(p4)

※介護問題の問題提起
@千葉の鈴木さんから介護料特別基準の申請と権交渉の経過報告。
これまで県都の5回の交渉で公的介護保障の必要性を訴えている。
「全国各地でこの闘いに呼応し、要求を出して運動を作って欲しい」

A猪野(千代子―作成者)さんから
猪野:「特別基準は、東京の障害者仲間の闘いの中で厚生省に24時間介護保障を迫ったとき厚生省が「現行法内ではこれしかない」ともらしたことから始まった。75年から支給されているが、これは他人受領方式で、本人にに支給されると収入認定が生活保護法の規定で支給分が生活保護費から引かれる)されるので他人名義で受けている。今年引上げ率がおさえこまれ現在7万円となっている。問題点として、収入認定と引き下げ、そして生活保護で生きている(こと?―作成者)そのものがある。」(p4-5)

BI(集会参加者)の提起
介護を金で保障させると障害者が介護者を雇う形となり矛盾してくる。共に生きる原則を運動として考えなおし整理すべきだ。

C猪野さんの返答
それは介護する位置と意味を明確にしないと解決しない。現実的には、介護する人を探すのに懸命だ。健全者も共に考え闘うことを要請する。

D生活小委 荒木氏の挨拶
「これまで全障連」として生活問題の取り組みが弱かったが、今後全力でやっていく。現段階では討論された問題を深めつつあるところだが、各地域での戦いと基本的立場の確立を早急に作り出し、年金を含めた所得・介護・住宅の三つの基本的課題を要求する中で具体化したい。厚生省闘争を全国闘争としてやりぬく。」(p5)

※今後の方針
・所得保障
ほんらい的に生活保護ではなく年金で保障されるべきであり制度的改革が求められている(中略)「基礎年金」が生活保護あるいはそれ以下の額で保障しようとする傾向は、障害者が人間としての権利を全うする要求にこたえるものではない。

・介護については、あくまで24時間の公的保障を要求する。そして政府が一人一人に対してこれを実施しない段階においては、介護保障のあり方として、、私たちの運動と政府―権力の力関係の中で運動の一環として位置づけ自己管理も考えられる必要がある。一方では、具体的武器として全国各地で介護料特別基準を要求していく方向を作り、その申請モデルを作成しようとしています。

付記
2月4日に厚生省交渉→2月25日実態調査強行、詳細は次号。

資料
「全国身体障害者実態調査強行実施に対する抗議声明」(全障連→厚生大臣)
身体障害者・精神薄弱者および心身障害児実態調査に関する問題について」(障害者の生活保障を要求する連絡会議→厚生大臣)


「3.11 静岡地裁の再審棄却決定弾劾 三周年 障害者抹殺攻撃を許さず赤堀差別裁判糾弾全国闘争に勝利しよう」・・・・全障連(全障連赤堀小委) pp8-9

※11・25全国闘争の総括(11・26の間違いか?―作成者)
11月26日に参加者約600名で赤堀全国闘争を行う。
「集会においては、全障連の2名の仲間と全国『精神病』者集団の仲間が自らの差別されてきた生い立ち―差別の現実をつきつけつつ「健全者」に対する共生共闘を強く訴えました。」(p8)



全国障害者者解放運動連絡会議全国幹事会「声明 関西『障害者』解放委員会」(中核派)の『障害者解放63号」に貫かれた全障連への敵対・分断策動を糾弾する!」・・・・・・・・・・pp10-11


全障連全国出版部「障害者解放運動の立場から三里塚農民大衆との連帯・結合を深め共にU期工事着工阻止の闘いに参加しよう 3.30三里塚現地に結集しよう」・・・・p11

「全障連は、一月文部省糾弾連続闘争での三里塚空港反対同盟との交流を契機として、この三月から三里塚の闘いに組織として連帯して闘っている。ところが、五・二〇の全国集会の場で、戸村委員長から、『障害者は差別発言に負けるような運動ではダメだ。用語にこだわるな』という趣旨の発言があり、障害者解放運動と三里塚闘争の関係についてよりつっこんで考える必要性がでてきた。」

八木下浩一→三里塚空港反対同盟「話し合い申し入れ書」

楠事務局長「九・一六 三里塚第二期工事阻止決起集会での全障連アピール要旨」・・・・・pp13-14
「ところで、私達障害者のおかれている情況は、ここに参加されている方々の想像をこえた厳しいものであります。トイレ・飯を食べるにも、外へ一歩出れるのも、あるいはさまざまな闘い一つ知るのも非常に困難があるのです。それをのり越えてこの闘いに参加してきています。同時に、私たちは十三年間の三里塚闘争の不屈の闘いに学び、力づけられてきました。しかし、残念なことに、先の五・二〇の時戸村委員長の発言には不信感を覚え、結果として差別を冗長する危惧を深く感じています。しかし、私たちは、このことをもって三里塚闘争に背を向けるのではなく、むしろこのことをキッカケとして話し合いを行い、本当に深く結びついた連帯を作り出したいと考えています」(p13-14)

鈴木利子「10.21 三里塚集会に参加して」・・・・・・・・・・p13
・今回のあやふやなままの参加は問題があるのではないか?
「私達には、全国的にもいろいろな問題があるが、第四回大会にスローガンをあげ反対同盟と今後の話し合いをしていくということが決議されたならばせめて全国の代表者一名でも参加して全障連の旗を掲げ「障害者」自らの参加をつきつけていかなければならないのではないでしょうか」(p13)

全障連関東ブロック「10.31狭山斗争報告」・・・・・・・・・・・p14

「5年前無実の部落民である石川一雄さんが、最高裁による無期懲役の有罪判決の暴挙が行われた(後略)」(p14)
・全障連では、赤堀裁判と狭山裁判を同じ問題として連帯する方針を打ち出した。
・2つのコースでデモを行った。

梅谷尚司君の富注入学を実現し、みんなで教育を考える会「一九七九年度秋季総括と今後の方向性」・・・・・・p15-p19
・3・30確約以降

5・11の会議
教委側
@特例としての富中の学籍
A訪問教育は週二回、一回2時間
B来年度開設予定の障害児学級については就学指導委員会から再判定する

「考える会」側
@本稿で野受け入れ態勢の整備が先決
A担当教師の問題
B原学級の位置づけ

→平行線

5・21 第二回目の話し合い
「考える会」
・現段階でのほうも教育はやむをえないが、教師と生徒集団との交流を保障せよ

教委側
・「教育の中身は学校長の権限である」
→平行線

7・5 市教委に要望書を提出
「奈良市障害児教育の推進について」という方針をださせるも「『障害を持つ子ども一人ひとりの可能性と個性を最大限に伸ばし、全て仲間と支えあい生活を高める指導をするためには、より広い集団の場で教育することが大切である』という方針の中味を実質的に否定するものであった。」(p16)

7・26
解放同盟、梅谷さん立会いの下、県教委、富中校長の話し合い
県教委、市教委、富中、三者協議のうえ、8・17に具体的な方策「梅谷尚司君の教育について」が出される



この文書に対し、「考える会」は、
@一年生として在訪教育を行う
A「奈良市障害児教育」の方針による
B本年度は、週二回、一回二時間とする

という三項目について、教師がこれまで共に闘ってきた者であることの前提で評価する。


※「考える会」→基本的に「在宅訪問指導教育」誤りである

・9・4 「訪問教育」スタート当日、校長は「あくまで訪問指導ですから学校へ来たりすることのないよう」と繰り返す。

・10・5 運動会は来賓あつかい

「しかし、家とその周辺という限られた空間、担任教師、親と尚司くんという個人的な人間関係の中で行われる授業は、集団の大切さを考えるとき、尚司くんにとってけしいて好ましい状況であるとは言えない。」(p17)

※今後の運動方針
@就学指導委員会そのものの糾弾
A「お客さん」扱いの問題の指摘
B運動とともに障害児や親とのかかわりをもつ。→校区の学校に行きたいという児童を増やす。
C「手をつなぐ親の会」との論議

渡辺鋭気「全障連第四回大会記念講演 スウェーデンの社会福祉とそれに至る障害者運動の歴史」・・・・・・・p20-25
※ 教育の問題
一九八〇年代に大規模な施設と養護学校はほとんど解体されるだろう

※ 障害者差別をめぐる国際的情況
・アメリカのリハビリテーション法504条をめぐる障害者の実力行使を紹介
・イタリアの障害者の解雇撤回闘争を紹介
→養護学校義務化は時代への逆行と主張

・「地域福祉」の本質
「『地域福祉』と言えば、障害者や老人の生活の場が地域社会の中に確保される。そのための政策ではないかと錯覚しますが・・・・・(中略)・・・・・むしろ選別が強化されることに通じております」(p23)

・在宅福祉で管理が強化されると指摘
・老人糧奉仕員制度の有料化を批判

「例えば生活保護費にかわる年金制度をつくりり出したり、介護者付きの住宅を街の中に建てさせたりする闘いがこれ垢の地域闘争の課題であり・・・・(後略)」(p25-26)

岡山における義務化阻止闘争のとりくみ・・・・・・・・・・・岡山「54年度養護学校義務化」阻止共闘会議(25-26)
・交渉の末、統合教育の原則に立ち保護者並びに本人が普通学校を求めた場合には認めることを確認する


*作成:廣野 俊輔 
UP:20090909 REV:20090922
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