last update: 20130411
*以下、寄せられた情報を掲載。webmaster@arsvi.comまで情報をいただければ掲載いたし
ます。
◆ALS・2013
■新聞記事見出し
◆2013/01/01 「特集――殻を破れ、科学技術さらなる地平、iPS細胞で難病に挑む、井上治久さん。」
『日経産業新聞』
◆2013/01/03 「逃げない精神――資本市場研究会理事長篠沢恭助氏(交遊抄)」
『日経産業新聞』
◆2013/01/04 「[医療ルネサンス]難病とともに 私の物語(1)ALS再生医療に希望(連載)」
『読売新聞』
◆2013/01/06 「女の気持ち:母 石川県中能登町・林清子(主婦・69歳)」
『毎日新聞』
◆2013/01/07 「[医療ルネサンス]難病とともに 私の物語(2)ちゃめっ気健在(連載)」
『読売新聞』
◆2013/01/08 「東大、認知症原因遺伝子の一つであるプログラニュリンの役割を解明」
『プレスリリース サービス』
◆2013/01/08 「東大、認知症原因遺伝子の一つであるプログラニュリンの役割を解明」
『日経速報ニュースアーカイブ』
◆2013/01/11 「体動かなくなる難病を支援、アイ・エム・アイ、患者の意思、視線で認識。」
『日経産業新聞』
◆2013/01/16 「県文化賞に辻さん 神経難病の原因解明 功労・奨励賞に5人 /和歌山県」
『朝日新聞』
◆2013/01/17 「「明るいはみ出し ゆかい教授とはみ出し女房」篠沢秀夫著」
『読売新聞』
◆2013/01/19 「現場から:難病長女の介護苦に3人心中 親子の叫び、なぜ届かず=倉岡一樹 /神奈川」
『毎日新聞』
◆2013/01/25 「理化学研究所、神経難病ALSとSMAに共通した病態メカニズムを発見」
『プレスリリース サービス』
◆2013/01/28 「[社説]難病対策 患者を支える体制が必要だ」
『読売新聞』
◆2013/01/28 「理化学研究所、神経難病ALSとSMAに共通した病態メカニズムを発見」
『日経速報ニュースアーカイブ』
◆2013/01/31 「(社説余滴)麻生発言をタブーにしない 浜田陽太郎」
『朝日新聞』
◆2013/01/31 「長崎情報 /長崎県」
『朝日新聞』
◆2013/02/03 「福島へ介護支援 参加を 府中の有志 毎月11日PR=多摩」
『読売新聞』
◆2013/02/04 「難病介護、ひとりじゃない ネット上に仲間、親支える娘たち語り合う 【大阪】」
『朝日新聞』
◆2013/02/06 「八ツ場ダムめぐり知事、国に不満 2013年度当初予算案発表 /群馬県」
『朝日新聞』
◆2013/02/14 「補正と一体、6057億円 県新予算案、実質5.4%増 /和歌山県」
『朝日新聞』
◆2013/02/14 「神経の難病に共通の仕組み、理研など発見。」
『日経産業新聞』
◆2013/02/24 「会話の声 難病でも残す 事前に録音 PC利用=多摩」
『読売新聞』
◆2013/02/24 「[いくら?かかるの]難病の医療費助成 56疾患」
『読売新聞』
◆2013/02/25 「[Web空間]「つながる権利」すぐそこに 荻上チキ(寄稿)」
『読売新聞』
◆2013/03/01 「iPS細胞――さまざまな細胞・組織に成長(きょうのことば)」
『日経産業新聞』
◆2013/03/01 「iPS細胞:臨床研究、国に申請 網膜細胞移植−−理研」
『毎日新聞』
◆2013/03/02 「ALS患者、闘病の証 九大名誉教授が体験まとめ出版 【西部】」
『朝日新聞』
◆2013/03/02 「非常用発電機 無償貸し出し 人工呼吸器患者 災害時も安心=和歌山」
『読売新聞』
◆2013/03/03 「[病院の実力・大阪編](62)緩和ケア(連載)=大阪」
『読売新聞』
◆2013/03/05 「頑張る女性メークで応援、ワンコインのセミナー開催、好印象演出「自信もって」。」
『日経産業新聞』
◆2013/03/07 「逆流性食道炎に関する市民公開講座、腎臓病講座、他(健康がいどガイド)」
『日経産業新聞』
◆2013/03/12 「ノーベル賞2氏が顔合わせ 京大iPS研シンポ」
『日経速報ニュースアーカイブ』
◆2013/03/14 「「より良い病院作りたい」 遠藤さん 医療功労賞全国表彰=宮城」
『読売新聞』
◆2013/03/19 「神経系難病にiPS活用、発症解明や治療、日米欧で研究成果。」
『日経産業新聞』
◆2013/03/25 「再生医療で大学連携、慶大・自治医大、京大・東北大、難病の治療法探る。」
『日本経済新聞』
◆2013/03/25 「JSTと大阪大学、脳の免疫細胞が運動の神経細胞を保護することを発見」
『日経速報ニュースアーカイブ』
◆2013/03/25 「再生医療で大学連携 慶応・自治医など難病治療探る」
『日経速報ニュースアーカイブ』
◆2013/03/25 「JSTと大阪大学、脳の免疫細胞が運動の神経細胞を保護することを発見」
『プレスリリース サービス』
◆2013/03/26 「装着型ロボ使い、歩行の臨床試験(Science&Techフラッシュ)」
『日本経済新聞』
◆2013/03/26 「国立病院機構新潟病院、装着型ロボ使い歩行の臨床試験」
『日経速報ニュースアーカイブ』
■催しもの、その他
◆2013/01/01 「特集――殻を破れ、科学技術さらなる地平、iPS細胞で難病に挑む、井上治久さん。」
『日経産業新聞』
「チャンスがあるならダメと決めつけない
「神経の難病である筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療薬の候補物質を見つけた」。2012年夏に京都大学准教授の井上治久さん(45)が発表した成果は、不治の病に苦しむ患者や家族に一筋の光を与えた。
同年のノーベル生理学・医学賞を受賞した京大教授の山中伸弥さんの研究成果「iPS細胞」。患者の細胞からさまざまな細胞を作り出せることから、医療を大きく変えると期待を集める。井上さんはそのiPS細胞で「難病を制することができないか」とALSやアルツハイマー病の治療法開発に取り組んでいる。
ALSは脳からの指令を筋肉などに伝える神経細胞に異常が起こり、徐々に体が思うように動かなくなる。病気の仕組みもわかっていない。井上さんはこの難病をiPS細胞で再現。患者の細胞から作ったiPS細胞を神経細胞に育てると、神経の突起が伸びず病気の状態になった。
さらに、この神経細胞に加えると突起が回復する物質も見つけた。すぐに使えるわけではないが、治療薬に結びつく可能性を示した成果に、「方向性は合っている」と手応えを感じる。
「神経細胞を大量に作れなければ品質がばらついて創薬に使えない」と考え、効率良く作る努力を重ねてきたことで、世界に先駆ける成果を出せた。
井上さんを米国から研究室に招いた教授の高橋良輔さんは「発想が奇抜」と評する。iPS細胞がまだない時代に、皮膚の細胞から神経細胞を作る研究をしていたからだ。「アイデアは良かったが実現できなかった」と井上さんは笑う。
だからこそ06年に「マウスの細胞からiPS細胞を作製」という山中さんの成果を新聞で知った時の衝撃は忘れられない。07年に山中さんが人の細胞で作製に成功するとすぐ、患者の細胞を持って相談に行った。
そのフットワークの軽さや研究の原動力は神経内科の臨床医としての経験だ。医師になって最初に師事したのはALSの権威。これまでに関わったALS患者は百人以上。その姿は目に焼き付いている。治療法の研究の比重が増えても、患者への思いは変わらない。
治療法のヒントを探ろうと、iPS細胞にたどり着くまでには最先端の研究を求めて第一人者の研究室の門をたたいたり、移植治療を学ぼうとパーキンソン病で移植をしていた米国の病院に留学したりもした。
約10人のチームを率いる研究室でも普段はにこやかだが、研究の話になると厳しい表情に一変する。「苦しむ患者がいる。治したいと思うのは医師ならば当然」という。「製薬会社に使ってもらえる良い材料を提供したい」と意気込む。
アルツハイマー病についても、iPS細胞から育てた神経細胞で薬の効果を調べて新薬候補を探す方法を作った。ALSと併せて研究するからこそ見つかるヒントもあるという。あらゆる可能性に目を向け、ALS患者の神経細胞をiPS細胞を使って補う再生医療の研究も手がける。
「チャンスがあるならダメと決めつけない」と鋭いまなざしを向ける。
井上さんに4つの質問
(1)気分転換 映画観賞。「なかでもアドベンチャー映画が好きです」
(2)好きな食べ物 カレー。「特に具の大きなもの」
(3)尊敬する人 ガリレオ・ガリレイ。「信じる強さにひかれます」
(4)10年後の日本にひと言 「ボーダーレスになる世界についていくスピードを持てるように貢献したい」
いのうえ・はるひさ 京都大学iPS細胞研究所准教授。京都市出身。1992年京大医学部卒。住友病院、国立精神・神経センター神経研究所、米ハーバード大学医学部マクリーン病院などを経て、2009年京大iPS細胞研究センター准教授。10年から現職。」(全文)
◆2013/01/03 「逃げない精神――資本市場研究会理事長篠沢恭助氏(交遊抄)」
『日経産業新聞』
「藤沢義之君と私は昭和24年(1949年)、東京高等師範付属中学(現、筑波大付属)に入学以来の63年にわたる仲間だ。彼は日本興業銀行、私は大蔵省に勤めたが、仕事ではすれ違いばかりで、専ら「付属」の集まりで議論してきた。ところが10年前に最後の興銀会長を終え、メリルリンチ日本証券会長になって1、2年たつうちに、突然彼の言語が不鮮明になった。ALS(筋萎縮性側索硬化症)の発症だ。
それから常人の想像を超える活躍が始まった。口、喉、手、足そして体中の筋肉が動きを止め、完全な車椅子生活となるなか、彼の頭脳と精神は病の進行に負けない強さを発揮した。彼はIT(情報技術)を武器に人間らしい意思の発信に集中し、視線でパソコンに入力する。最近は電子メール、パソコンソフトとの囲碁対局で多忙そうだ。
2010年にはフロリダのALS国際大会で英語の「スピーチ」を行い、昨年は180ページの本を書いた。今は難病患者の発信機会拡大のためのNPO法人ICT救助隊の理事長でもある。
先日、私の関係している雑誌へ寄稿を頼んだところ、すぐに原稿を送ってきた。題名は「逃げない」だ。iPS細胞がALS治癒に役立つ日が早く訪れるのを祈りたい。(しのざわ・きょうすけ=資本市場研究会理事長)」(全文)
◆2013/01/04 「[医療ルネサンス]難病とともに 私の物語(1)ALS再生医療に希望(連載)」
『読売新聞』
「◇通算5484回
◆仏文学者・篠沢秀夫さん(上)
冬の澄んだ青空の下、慣れ親しんだ駅までの道を、日光浴をしながら散歩する。篠沢秀夫さん(79)の最近の習慣だ。妻の礼子さん(72)が、人工呼吸器を着け、車いすに乗った篠沢さんに付き添う。
「パピ、お膝にのっていい?」
祖父である篠沢さんを「パピ」と呼ぶ湊(みなと)ちゃん(4)も、時には一緒。いたずら盛りの孫娘にまとわりつかれても、抱き上げることも、言葉や笑みを返すこともできないが、家族との散歩の時間は何よりの楽しみだ。
70年代後半から80年代にかけ、テレビ番組「クイズダービー」の解答者として親しまれた篠沢さん。学習院大教授の仏文学者という肩書に似合わず、とぼけた笑顔で珍解答を繰り出す姿が人気を呼んだ。
現在、篠沢さんは筋萎縮性側索硬化症(ALS)という病気で自宅療養中だ。筋肉を動かす神経がまひし、全身が徐々に動かなくなる原因不明の難病で、患者数は約9000人。有効な治療法はない。
「(車いすの散歩で)私は社会に参加するのだと思っています。9月に、(発病してから)初めて散歩した日には、交差点で車の轟音(ごうおん)を聞き、毎日通った頃を思い出し、感動して涙が出ました」。篠沢さんは、不自由な手でつづった。
体調の変化に気づいたのは2008年春。歯のかみ合わせが悪くなり、うまく話せなくなった。健康のため急に減量したせいだと気にかけないでいたが、のどに違和感を覚えた11月、耳鼻科を受診。脳梗塞を疑われ検査をしたが、問題ないとされた。しかし、その後に受けた人間ドックで、大学病院の神経内科を受診するよう勧められた。
「何かおかしい」。不安を感じ始めたそのころ、礼子さんはたまたま参加した講演会で、気になる話を聞いた。講師は、全身の様々な細胞に変化できるiPS細胞(人工多能性幹細胞)作製で後にノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥さん(50)だった。
「僕は、基礎研究者として何とかしたい病気があります。ルー・ゲーリッグ病です」。ゲーリッグは米大リーグで1920?30年代に活躍した野球の名選手。当時ALSと診断され、30代の若さでなくなったことから、こう呼ばれる。
山中さんは、iPS細胞でALS患者の神経を再生し、治療薬の開発につながればと語った。
「うちのパパ、この病気じゃないかしら。山中先生に駆け寄って聞いてみたい衝動に駆られました。でも、まさかこの2か月後、本当にその診断を受けることになるなんて」。礼子さんは振り返る。
今では、その山中さんの活躍が大きな励ましとなり、篠沢さんの闘病を支えている。山中さんが講演の際、篠沢さんの闘病について触れていると聞き、うれしくも思っている。山中さんのノーベル賞受賞を祝い、手紙を書いた。
「ご活躍の姿をテレビで見るのは楽しいです。私の病の対抗策を創出してください。病状の進行が停止できれば、この程度の筆遣いはしていられます」
手書きでしたためた言葉に思いを込めた。治療法開発には時間がかかると理解しているが、明るいニュースが、前向きな生き方を後押ししてくれる。
「治療法のない難病にかかるとは、医学の発達前の古代人になったようなものと思っています。難病の方もご家族も、今ある姿を楽しむ『古代の心』をもって暮らしましょう」。ほかの人にも、こんなふうに語りかけたい思いでいる。
(このシリーズは全6回)
◆対象疾患300以上へ
難病を巡る現状について、日本難病・疾病団体協議会(JPA)代表で、自らも重症筋無力症の患者である伊藤たておさん(67)に聞いた。
◇
今、国の難病対策は大きく変わろうとしています。厚生労働省の難病対策委員会が具体的な見直しを検討していますが、医療費の公費助成制度の対象が、現状の56疾患から300以上の疾患へと拡大されることになりそうです。
このほか、今年4月に施行される障害者総合支援法で、難病患者も福祉サービスの対象になります。ハローワークに難病患者就職サポーター(仮称)が配置され、就労を支援する対策も始まる予定です。病気を抱えながらより良く生きていける社会づくりに向け、今年は大きな第一歩を踏めるのではないでしょうか。
ただ、難病は5000?7000種類もあると言われ、それでもまだ救われない患者がいることも事実です。私たち患者自身もそのことをよく認識し、より良い制度になるよう力を合わせ、社会の理解や支援を得られるよう努力していくことが大切だと思っています。
◎連載「医療ルネサンス」は、月曜日から金曜日の週5回の掲載です
写真=「クイズダービー」では珍解答で人気を集めた(篠沢さん提供)
写真=妻の礼子さん、孫の湊ちゃんと自宅近くを散歩する篠沢秀夫さん(2012年11月、東京都内で)=片岡航希撮影」(全文)
◆2013/01/06 「女の気持ち:母 石川県中能登町・林清子(主婦・69歳)」
『毎日新聞』
「義母とは昭和41年10月から、わずか4カ月しか一緒に住むことができなかった。
義母は私が嫁ぐ前から、自分で食事ができなかった。ALS(筋萎縮性側索硬化症)と診断され、自宅療養していた。
結婚と同時に、義母の介護は私が担うことになった。寝たままの状態で、義母は私の差し出す食事をスプーンからゆっくりとのどに流し込んでいた。最初から私の介助を嫌がらずに、食べてくれた。
寝たままなので、スプーンと口元の角度がなかなか合わず、最初は苦労した。しかし、義母はそのうちに「嫁のあなたでなくては」と、目で言ってくれるようになった。そんな時は、私の苦労も報われたような気になった。
頭はしっかりしているのに、声も出せず、手足も思うように動かせなかった。今から思えばどんなに悲しい思いをしていたのだろう、と思う。ただ、亡くなる3日ほど前まで、義母は動かない足を引きずりながら、義父の肩につかまってトイレに行っていた。
義母は呼吸困難で亡くなった。臨終の際は、私に「ありがとう、ありがとう」と言っているかのように、頭を動かしてほほ笑んでいた。
私を産んでくれた母、そしてほんのわずかな時間だったけれど、実の娘のように愛してくれた義母。今は、ただただありがたく、2人の母に見守られながら生きているような気がしている。」(全文)
◆2013/01/07 「[医療ルネサンス]難病とともに 私の物語(2)ちゃめっ気健在(連載)」
『読売新聞』
「◇通算5485回
◆ちゃめっ気健在 著作次々
◇仏文学者 篠沢秀夫さん(下)
筋肉を動かす神経がまひし、全身が徐々に動かなくなる難病・筋萎縮性側索硬化症(ALS)で自宅療養中の篠沢秀夫さん(79)。その一日は、妻の礼子さん(72)をはじめ家族と、ヘルパー5人、看護師1人に支えられている。
篠沢さんは人工呼吸器を着けているので、24時間介護が必要だ。ヘルパーや看護師のいる時間は計17時間半。ヘルパーが来てくれる時間帯も、礼子さんは睡眠中以外、ほとんど付き添っている。「自分の時間はないけど、パパはうちの宝だから最優先」と笑う。
原因不明で治療法がないALS。篠沢さんは、3か月に1度の通院で経過をみる以外は自宅で過ごす。一昨年は、呼吸が苦しくなったり発熱したり、体調が急変して4回も救急車を呼んだが、昨年は呼ばずに済んだ。仕事関係の会合も車いすで出かけ、晴れていれば週3日ほど散歩する。
人工呼吸器を着けるためのどを切開し、声は失ったが、わずかに動かせる右手でサインペンを握り、筆談で会話する。遊びに来た孫が帰る時はコツコツと壁をたたき、「じゃあね」の合図をする。夕方からの2?3時間は毎日、執筆にあてている。
「前進、前進、また前進」というのが、子どものころからの信条。発病後の4年間も、計5冊の本を出した。現在は、教え子たちとの思い出をまとめようと、パソコンのキーをたたく。
「家内が『本にするなら、有名な人が出なきゃダメよ』と言うので、友人で映画監督になった佐藤純弥君、文芸評論家・江藤淳になった江頭淳夫君、俳優・児玉清になった小玉清君が出ます」。筆談での語り口から、持ち前のちゃめっ気も健在とわかる。
「死刑宣告を受けたように落ち込んだこともあったんですよ。でも、人生はどんな状態になっても、それなりに楽しいことがあると気づかされた。こんな病気だけれど、うちのパパには夢があるんです」。礼子さんが明かす。「ベストセラーを出すことと、本の舞台化と映像化なんですって」
昨年出版した、夫婦の歴史と闘病の記録「明るいはみ出し」(静山社)。篠沢さんを一躍人気者にしたテレビ番組「クイズダービー」の共演者で、女優の長山藍子さんに、「妻役をやってもらえるかも」と想像し、楽しんでいるという。
一日の終わりには、亡くなった両親や親族に祈るのが、篠沢さんの日課だ。
「今日も一日中ずっと元気に過ごし、社会活動も執筆活動も活発にできました。ありがとうございます」
◎医療・健康情報はインターネットサイト「ヨミドクター」(http://yomidr.jp)で
写真=家族や来訪者とは筆談で会話し、著書の原稿はパソコンで執筆する篠沢さん。病を得ても創作意欲は旺盛だ(東京都内の自宅で)
」(全文)
◆2013/01/08 「東大、認知症原因遺伝子の一つであるプログラニュリンの役割を解明」
『プレスリリース サービス』
「発表日:2013年1月8日
東京大学大学院農学生命科学研究科 研究成果
プログラニュリンは脳内炎症反応を軽減する
−認知症原因遺伝子の一つであるプログラニュリンの役割を解明−
<発表者>
田中良法(東京大学大学院農学生命科学研究科獣医学専攻 博士課程、日本学術振興会 特別研究員)
松脇貴志(東京大学大学院農学生命科学研究科獣医学専攻 助教)
山内啓太郎(東京大学大学院農学生命科学研究科獣医学専攻 准教授)
西原眞杉(東京大学大学院農学生命科学研究科獣医学専攻 教授)
<発表のポイント>
・脳傷害部位に集積する活性化ミクログリア(注1)は、プログラニュリンを発現する。
・プログラニュリン欠損マウスでは活性化ミクログリアの集積が亢進し、過剰な酸化ストレスや血管新生が起こる。
・プログラニュリンはミクログリアの過剰な活性化を抑制し、脳傷害時の炎症反応を軽減する。
<発表概要>
東京大学大学院農学生命科学研究科獣医学専攻の田中良法特別研究員、西原眞杉教授らの研究グループは、マウスを用いた実験的脳傷害モデルによりプログラニュリンの炎症反応における役割を調べました。プログラニュリンは、近年、人ではその遺伝子変異が前頭側頭葉変性症(注2)等の神経変性疾患の原因となることが明らかとなり、認知症の発症との関連が着目されているタンパク質です。今回の研究により、プログラニュリンは脳傷害部位に集積する活性化ミクログリアに発現し、ミクログリア自身の過剰な活性化を抑制して炎症反応を軽減することが明らかになりました。プログラニュリンの持つこのような神経保護作用が、神経変性の抑制にも関連している可能性が考えられます。
<発表内容>
プログラニュリンは細胞の増殖や腫瘍の形成、創傷の治癒などに関与することが知られているタンパク質です。西原教授らの研究グループは、プログラニュリンの脳における発現が性ホルモンであるエストロゲンにより促進され、新生子の脳の性分化や成熟動物における神経新生に関与することを見出してきました。近年、プログラニュリン遺伝子の変異によるハプロ不全(注3)が人の認知症の一種である前頭側頭葉変性症の一因であることが報告され、またアルツハイマー病や筋萎縮性側索硬化症等の神経変性疾患の発症リスクを高めることも示唆されています。さらに最近、変異型プログラニュリン遺伝子のホモ接合により神経セロイドリポフスチン症が発症することも報告されました。これらのことは、プログラニュリンが神経変性を防ぐ作用、すなわち神経保護作用をもつことを示唆していますが、その仕組みは明らかになっていません。
今回、本研究グループはマウスの大脳皮質にステンレス針を刺入するという実験的な脳傷害モデルを用いて、その後の回復過程を調べました。その結果、コントロールの野生型マウスでは傷害後CD68を発現する活性化ミクログリアが増え、このミクログリアがプログラニュリンを発現していることが分かりました。本研究グループが作成したプログラニュリンの遺伝子を欠損するマウスを用いて同様の実験を行うと、野生型マウスよりもCD68を発現する活性化ミクログリアが傷害部位により多く集積するとともに、酸化ストレスの指標となるカルボニル化タンパク質の蓄積や血管新生の指標となるラミニンの免疫反応性が増大していることが明らかとなりました(図)。さらに、プログラニュリン欠損マウスではミクログリアの作用発現に関与するサイトカインであるTGFβ1の産生が上昇するとともに、アストロサイトにおいてTGFβ1の細胞内情報伝達を仲介するSmad3のリン酸化も亢進していました。
以上の結果より、脳に傷害が起こったときに傷害部位に集まる活性化ミクログリアでプログラニュリンが産生され、このプログラニュリンがミクログリア自身の過剰な活性化やTGFβ1シグナルを抑制することにより、酸化ストレスや血管のリモデリング、アストログリオーシス等の炎症反応を制御していることが示唆されました。プログラニュリンはこのような炎症抑制作用を通して神経保護作用を発揮していることが明らかとなり、またプログラニュリンのもつこのような神経保護作用が神経変性疾患を抑制する一つの機序となっていることが考えられました。
なお、本研究は日本学術振興会の科学研究費補助金の支援を受けて行われました。
※参考画像は、添付の関連資料を参照
<発表雑誌>
雑誌名 「Neuroscience」(オンライン版:2012年12月28日掲載)
論文タイトル Exacerbated Inflammatory Responses Related to Activated Microglia after Traumatic Brain Injury in Progranulin−Deficient Mice
著者 Yoshinori Tanaka, Takashi Matsuwaki, Keitaro Yamanouchi, and Masugi Nishihara
DOI番号 10.1016/j.neuroscience.2012.11.032
アブストラクト http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0306452212011438
<用語解説>
(注1)ミクログリア
グリア細胞の一種で、感染や神経組織の損傷が起こると活性化してCD68等のタンパク質を発現し、炎症反応等を誘起して脳内における病変の修復を担う。
(注2)前頭側頭葉変性症
大脳の前頭葉と側頭葉に限局した萎縮が見られる神経変性疾患。認知症の一種で、記憶障害は軽度であるが意欲低下や攻撃性向の増大などの人格変化を示すことが知られている。
(注3)ハプロ不全
対立遺伝子の片方に変異が起こり(ヘテロ接合)、その遺伝子によりコードされるタンパク質の量が減少するために病態が発現すること。
関連ホームページ
東京大学 ホームページ(http://www.u-tokyo.ac.jp/)」(全文)
◆2013/01/08 「東大、認知症原因遺伝子の一つであるプログラニュリンの役割を解明」
『日経速報ニュースアーカイブ』
「発表日:2013年1月8日
東京大学大学院農学生命科学研究科 研究成果
プログラニュリンは脳内炎症反応を軽減する
−認知症原因遺伝子の一つであるプログラニュリンの役割を解明−
<発表者>
田中良法(東京大学大学院農学生命科学研究科獣医学専攻 博士課程、日本学術振興会 特別研究員)
松脇貴志(東京大学大学院農学生命科学研究科獣医学専攻 助教)
山内啓太郎(東京大学大学院農学生命科学研究科獣医学専攻 准教授)
西原眞杉(東京大学大学院農学生命科学研究科獣医学専攻 教授)
<発表のポイント>
・脳傷害部位に集積する活性化ミクログリア(注1)は、プログラニュリンを発現する。
・プログラニュリン欠損マウスでは活性化ミクログリアの集積が亢進し、過剰な酸化ストレスや血管新生が起こる。
・プログラニュリンはミクログリアの過剰な活性化を抑制し、脳傷害時の炎症反応を軽減する。
<発表概要>
東京大学大学院農学生命科学研究科獣医学専攻の田中良法特別研究員、西原眞杉教授らの研究グループは、マウスを用いた実験的脳傷害モデルによりプログラニュリンの炎症反応における役割を調べました。プログラニュリンは、近年、人ではその遺伝子変異が前頭側頭葉変性症(注2)等の神経変性疾患の原因となることが明らかとなり、認知症の発症との関連が着目されているタンパク質です。今回の研究により、プログラニュリンは脳傷害部位に集積する活性化ミクログリアに発現し、ミクログリア自身の過剰な活性化を抑制して炎症反応を軽減することが明らかになりました。プログラニュリンの持つこのような神経保護作用が、神経変性の抑制にも関連している可能性が考えられます。
<発表内容>
プログラニュリンは細胞の増殖や腫瘍の形成、創傷の治癒などに関与することが知られているタンパク質です。西原教授らの研究グループは、プログラニュリンの脳における発現が性ホルモンであるエストロゲンにより促進され、新生子の脳の性分化や成熟動物における神経新生に関与することを見出してきました。近年、プログラニュリン遺伝子の変異によるハプロ不全(注3)が人の認知症の一種である前頭側頭葉変性症の一因であることが報告され、またアルツハイマー病や筋萎縮性側索硬化症等の神経変性疾患の発症リスクを高めることも示唆されています。さらに最近、変異型プログラニュリン遺伝子のホモ接合により神経セロイドリポフスチン症が発症することも報告されました。これらのことは、プログラニュリンが神経変性を防ぐ作用、すなわち神経保護作用をもつことを示唆していますが、その仕組みは明らかになっていません。
今回、本研究グループはマウスの大脳皮質にステンレス針を刺入するという実験的な脳傷害モデルを用いて、その後の回復過程を調べました。その結果、コントロールの野生型マウスでは傷害後CD68を発現する活性化ミクログリアが増え、このミクログリアがプログラニュリンを発現していることが分かりました。本研究グループが作成したプログラニュリンの遺伝子を欠損するマウスを用いて同様の実験を行うと、野生型マウスよりもCD68を発現する活性化ミクログリアが傷害部位により多く集積するとともに、酸化ストレスの指標となるカルボニル化タンパク質の蓄積や血管新生の指標となるラミニンの免疫反応性が増大していることが明らかとなりました(図)。さらに、プログラニュリン欠損マウスではミクログリアの作用発現に関与するサイトカインであるTGFβ1の産生が上昇するとともに、アストロサイトにおいてTGFβ1の細胞内情報伝達を仲介するSmad3のリン酸化も亢進していました。
以上の結果より、脳に傷害が起こったときに傷害部位に集まる活性化ミクログリアでプログラニュリンが産生され、このプログラニュリンがミクログリア自身の過剰な活性化やTGFβ1シグナルを抑制することにより、酸化ストレスや血管のリモデリング、アストログリオーシス等の炎症反応を制御していることが示唆されました。プログラニュリンはこのような炎症抑制作用を通して神経保護作用を発揮していることが明らかとなり、またプログラニュリンのもつこのような神経保護作用が神経変性疾患を抑制する一つの機序となっていることが考えられました。
なお、本研究は日本学術振興会の科学研究費補助金の支援を受けて行われました。
※参考画像は、添付の関連資料を参照
<発表雑誌>
雑誌名 「Neuroscience」(オンライン版:2012年12月28日掲載)
論文タイトル Exacerbated Inflammatory Responses Related to Activated Microglia after Traumatic Brain Injury in Progranulin−Deficient Mice
著者 Yoshinori Tanaka, Takashi Matsuwaki, Keitaro Yamanouchi, and Masugi Nishihara
DOI番号 10.1016/j.neuroscience.2012.11.032
アブストラクト http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0306452212011438
<用語解説>
(注1)ミクログリア
グリア細胞の一種で、感染や神経組織の損傷が起こると活性化してCD68等のタンパク質を発現し、炎症反応等を誘起して脳内における病変の修復を担う。
(注2)前頭側頭葉変性症
大脳の前頭葉と側頭葉に限局した萎縮が見られる神経変性疾患。認知症の一種で、記憶障害は軽度であるが意欲低下や攻撃性向の増大などの人格変化を示すことが知られている。
(注3)ハプロ不全
対立遺伝子の片方に変異が起こり(ヘテロ接合)、その遺伝子によりコードされるタンパク質の量が減少するために病態が発現すること。
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
参考画像
http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0327411_01.jpg」(全文)
◆2013/01/11 「体動かなくなる難病を支援、アイ・エム・アイ、患者の意思、視線で認識。」
『日経産業新聞』
「モニターとカメラの装置
医療機器販売のアイ・エム・アイは体が動かなくなる筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の意思伝達を支援する「視線入力意思伝達装置スプリング絆」=写真=を発売した。患者の視線をカメラが読み取り、モニター上のどこを見ているかを認識、文章の作成などを補助する。同社の主力である人工呼吸器の販売にもつながるとみている。
スプリング絆は台湾の工業用検査機器メーカーのユーテックゾーンが製造した。絵や文字を使い、患者から介助者や家族への意思伝達を補助する。インターネットの閲覧などもできる。価格は130万円(税抜き)。発売から1年間で30台の販売を見込む。
ALSは体を動かす神経が徐々に侵され、全身の筋肉が動かなくなる難病。感覚や知能ははっきりしたまま、寝たきりとなって食事や呼吸も困難になる。人工呼吸器を装着するため発声ができない。厚生労働省によると2011年末の国内のALS患者数は約9000人。」(全文)
◆2013/01/16 「県文化賞に辻さん 神経難病の原因解明 功労・奨励賞に5人 /和歌山県」
『朝日新聞』
「県文化賞に辻さん 神経難病の原因解明 功労・奨励賞に5人 /和歌山県
文化や芸術の向上・発展に著しい功績のある、県出身や県にゆかりのある個人・団体に贈られる県文化表彰の表彰式が15日、県庁であった。古座川町出身で東大医学部付属病院ゲノム医学センター長などを務める辻省次さん(61)=東京都在住=ら6人が受賞した。
特に顕著な業績を残し、県の誇りに値すると認められる文化賞を受賞した辻さんは1951年、那智勝浦町で生まれ、古座川町で育った。東大医学部を卒業後、神経難病の原因の解明や治療法の研究に取り組んできた。
遺伝子の塩基配列を指すゲノム(全遺伝情報)の解析で多くの遺伝性神経疾患の病因遺伝子を見つけ、若年性パーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症(ALS)が発症する仕組みの一端を解明し、治療法開発への道を開いてきた。
ケガのために式を欠席した辻さんは「古座高校を卒業するまで自然の豊かな紀南で過ごした。多くの友人、素晴らしい先生方に恵まれ、のびのびと育てていただいたことが、その後の人生で大きな支えになっている」「名誉ある賞をいただいたが、これを励みにより一層の努力を続けたい」とのコメントを出した。
功労が特に顕著な人に贈られる文化功労賞には、「和歌山ブルース」や「串本育ち」といったご当地ソングを歌ってきた群馬県出身の歌手・古都清乃さん(65)と、上富田町出身で南方熊楠顕彰館の初代館長を務めた郷土史研究家の中瀬喜陽さん(79)の2人が選ばれた。
将来の活躍が期待される文化奨励賞には、いずれも和歌山市出身で、スペースアートクリエーターの池下章裕さん(55)、作曲家の北浦恒人さん(53)、日本画家の清水由朗さん(51)が選ばれた。
県文化表彰は1964年度から始まり今年度で49回目。芸術や文化など八つの分野を対象にし、他薦で応募を受けて外部の選考委員会が候補者を選び、知事に推薦して受賞者が決まる。
【写真説明】
辻省次さん
古都清乃さん
中瀬喜陽さん
池下章裕さん
北浦恒人さん
清水由朗さん
(いずれも県文化国際課提供)」(全文)
◆2013/01/17 「「明るいはみ出し ゆかい教授とはみ出し女房」篠沢秀夫著」
『読売新聞』
「テレビ番組「クイズダービー」の名物解答者として人気を博した仏文学者の著者が、学習院大で研究生活に入った若き日々から、難病・筋萎縮性側索硬化症(ALS)を患う現在まで、妻・礼子さんと歩んだ半世紀をユーモラスにつづった。(静山社、2000円=税抜き)
写真=表紙装丁」(全文)
◆2013/01/25 「理化学研究所、神経難病ALSとSMAに共通した病態メカニズムを発見」
『プレスリリース サービス』
「発表日:2013年1月25日
神経難病ALSとSMAに共通した病態メカニズムを発見
−DNAから成熟RNAを合成するスプライシング反応の破たんが細胞死を誘因−
◇ポイント◇
・ALSの原因タンパク質とSMAの原因タンパク質がお互い作用し複合体を形成
・ALSの運動神経細胞の核にスプライシング反応を担うsnRNPsが異常蓄積
・運動神経変性疾患の発症メカニズムの全貌解明や治療法開発への応用が期待
理化学研究所(野依良治理事長)は、全身の筋肉まひを引き起こす運動神経変性疾患の1つ「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」の運動神経細胞の中に、小児期に発症する運動神経変性疾患「脊髄性筋萎縮症(SMA)」と類似した異常を発見し、2つの疾患に共通する神経細胞変性のメカニズムの一端を解明しました。これは、理研脳科学総合研究センター(利根川進センター長)運動ニューロン変性研究チームの山中宏二チームリーダー、築地仁美研究員らと、名古屋大学、東京都健康長寿医療センター、福祉村病院長寿医学研究所との共同研究グループによる成果です。
運動神経細胞が変性し筋肉まひを引き起こす疾患であるALSの一部は、RNA結合タンパク質TDP−43(※1)やFUS(※1)をコードする遺伝子の異常により発症します。正常な脊髄運動神経細胞にあるTDP−43やFUSタンパク質は核内に局在しますが、ALSの約90%を占める非遺伝性ALSの脊髄運動神経細胞では、TDP−43タンパク質は細胞質に異常凝集していることから、これらのタンパク質の異常がALSの発症に直結する原因であると考えられます。しかし、どのようなメカニズムが破たんし、細胞死を引き起こすのかはまだ不明です。
共同研究グループは、正常な細胞においてTDP−43とFUSタンパク質の局在を詳細に調べたところ、もう1つの運動神経変性疾患のSMAの病因タンパク質SMN(※2)とTDP−43、FUSが互いに結合し、核内にあるGem(※3)と呼ばれる構造体を形成することを見いだしました。さらに、ALS患者の変性した運動神経細胞では、TDP−43の異常に伴い、Gemが消失していること、またタンパク質の鋳型を作るスプライシング反応(※4)を担うsnRNPs(※5)が核内で異常凝集し蓄積していることも発見しました。さらに、snRNPsの減少はSMAの要因と知られていたことからALSとSMAの運動神経細胞に共通してsnRNPsの異常が起こっていることを初めて突き止めました。
今回の研究成果は、JST戦略的創造研究推進事業チーム型研究(CREST)の研究領域「精神・神経疾患の分子病態理解に基づく診断・治療に向けた新技術の創出」における研究課題「孤発性ALSのモデル動物作成を通じた分子標的治療開発」(研究代表者:祖父江元、名古屋大学教授)、文部科学省新学術領域研究「脳内環境」の支援を受けて行われ、欧州の医学専門誌『EMBO Molecular Medicine』2月号に掲載されるのに先立ち、オンライン版(2013年1月25日付け:日本時間1月25日夕)に掲載されます。
1.背景
筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic Lateral Sclerosis;:ALS)は、全身の筋肉を支配する運動神経細胞に障害が起き、呼吸筋を含む全身の筋肉がまひする運動神経変性疾患です。50代から60代での発症例が多く、極めて進行が早い原因不明の難病です。有効な治療法は見つかっておらず、日本では約8,500人のALS患者が闘病していると推定されています(出典:公益財団法人難病情報センター)。患者さんの苦痛に加え、長期にわたって負担が大きい介護を必要とするため、その原因の解明と治療法の開発が社会的に強く求められています。
ALSの約90%は非遺伝性で、ほぼ全ての非遺伝性ALSの病巣にTDP−43と呼ばれるRNA結合タンパク質が運動神経細胞の細胞質内に異常に凝集し蓄積しています。さらに、過去の研究から遺伝性ALSの一部にTDP−43やFUS遺伝子の変異が見つかっていることから、TDP−43やFUSタンパク質の異常がALSの発症に直結する原因であると考えられます。TDP−43とFUSタンパク質の働きは、スプライシングやmRNA安定性の制御などさまざまなRNA代謝の制御に関わることが知られています。RNA代謝の制御は、DNAからタンパク質が合成される転写や翻訳などのプロセスに重要な役割を持ち、生物が正常に生命維持活動を行うために欠かせない機構の1つです。
しかし、この2つのタンパク質の異常がどのようなメカニズムで運動神経細胞の変性を引き起こすのかは依然として不明のままです。
一方、脊髄性筋萎縮症(Spinal Muscular Atrophy:SMA)は、ALS同様に脊髄の運動神経細胞の病変によって全身の筋肉まひが起こる運動神経変性疾患で、小児期から発症する遺伝性の進行性神経難病です。過去の研究からSMNというタンパク質の減少によりSMAを発症することが知られていました。SMNタンパク質はスプライシング反応を担うsnRNPsと呼ばれるタンパク質とRNAの構造体の形成に必須なので、snRNPsの減少がSMA発症の要因と考えられます。ALSもSMAと同様なRNA代謝の異常が予想されますが、ALSではどのようなRNA代謝異常があるのか、またALSでどのメカニズムの破たんが運動神経細胞を死滅させるのかは不明でした。
そこで、共同研究グループは、TDP−43やFUSタンパク質の異常とRNA代謝の関連性を突き止め、運動神経変性メカニズムの解明に挑みました。
2.研究手法と成果
まず、正常な状態でのALS病因タンパク質TDP−43、FUSとSMA病因タンパク質SMNの動態を確認するために、ヒトとマウスの正常な培養細胞内でこれらの局在を詳細に調べました。すると、TDP−43、FUSタンパク質とSMNタンパク質は一緒に核内に存在し、Gemと呼ばれる構造体に共に局在していることを見いだしました(図1 A)。さらに生化学実験によってTDP−43タンパク質のカルボキシル末領域がGemへ局在するのに必要であることが分かり、その領域はSMNとの結合に必要であることも明らかになりました(図1 B−D)さらに、この3つのタンパク質は互いに結合して複合体を形成していることも分かりました(図1 E)。
次に、ALS患者と非ALS患者の脊髄組織を用いてTDP−43タンパク質とGemを免疫染色したところ、非ALS患者の脊髄にある正常な運動神経細胞では核内にGemが観察され、TDP−43タンパク質はGemに局在することが分かりました。しかし、ALS患者の変性した運動神経細胞では、TDP−43は細胞質に異常に凝集し、Gemが形成されていませんでした(図2)。また、ALS患者の脊髄の運動神経細胞では、snRNPsの量が異常に上昇し核内に凝集していることも分かりました(図3)。snRNPsのRNA構成成分であるsnRNAs(※6)の染色法による解析によっても核内にsnRNAsの異常蓄積が認められ(図4 AB)、かつ脊髄組織中のRNA量を定量するとALS患者組織でsnRNAs発現量の上昇が確認されました(図4C)。
通常、核内でDNAから転写されたsnRNAsは細胞質へ運ばれ、SMNタンパク質によりsnRNPsが構築され、再び核内のGemへと輸送されます。Gemでさらに修飾が起こり、多くのタンパク質が相互作用することでスプライシング反応を起こすスプライソソーム(※4)まで成熟します。ALSの変性した運動神経細胞では、snRNPsが核内に異常に増えて凝集し、スプライシング反応の破たんを招いていることが示唆されました。snRNPsの減少がもう1つの運動神経変性疾患SMAを起こすことを考え合わせると、運動神経細胞はsnRNPs異常に脆弱であると考えられました(図5)。
3.今後の期待
本研究により、根本治療法がなく難病とされるALSとSMAに共通した病態メカニズムを初めて突き止めました。今後は、このスプライシング反応の破たんがどのように運動神経細胞死を引き起こしているかを詳細に検証することで、ALSやSMAを含む運動神経変性疾患全体の発症メカニズムの全貌の解明や治療法開発への応用が期待できます。
<原論文情報>
Hitomi Tsuiji,Yohei Iguchi,Asako Furuya,Ayane Kataoka,Hiroyuki Hatsuta,Naoki Atsuta,Fumiaki Tanaka,Yoshio Hashizume,Hiroyasu Akatsu,Shigeo Murayama,Gen Sobue,Koji Yamanaka
"Spliceosome Integrity is Defective in the Motor Neuron Diseases ALS and SMA"
EMBO Molecular Medicine 2013 DOI:10.1002/emmm.201202303
*以下の資料は添付の関連資料「参考資料」を参照
・補足説明
・図1 TDP−43、FUS、SMNは核内でGemに共局在し、互いに結合している
・図2 ALS患者の脊髄運動神経細胞Gemが減少している
・図3 ALS患者の脊髄運動神経細胞におけるsnRNPsの核内異常蓄積
・図4 ALS患者の脊髄運動神経細胞におけるsnRNAsの異常蓄積
・図5 概念図
関連ホームページ
(独)理化学研究所 ホームページ(http://www.riken.go.jp/)
理研脳科学総合研究センター ホームページ(http://www.riken.go.jp/r-world/research/lab/nokagaku/index.html)
運動ニューロン変性研究チーム ホームページ(http://www.riken.go.jp/r-world/research/lab/nokagaku/cause/senior/yamanaka/index.html)」(全文)
◆2013/01/19 「現場から:難病長女の介護苦に3人心中 親子の叫び、なぜ届かず=倉岡一樹 /神奈川」
『毎日新聞』
「川崎市多摩区の市営中野島多摩川住宅で今月4日、母子3人の遺体が見つかった。高齢の母親が重い障害で寝たきりの長女を介護し、近くに住む会社員の長男も手伝っていた。介護疲れと将来を悲観した末に、母と長男が無理心中を図ったとみられる。3人の死亡推定は昨年の12月31日。新年を翌日に控え、親子はなぜ死を選んだのか。理由を知りたくて現場を歩いた。
◇私が死んだら誰に託すの/先立つ不孝お許し下さい
同住宅の9号棟1階居室内で死亡していたのは、母親の沖山みよ子さん(70)▽長女の知恵美さん(42)▽会社員の長男、高幸さん(44)。知恵美さんは、全身の筋力が急速に衰える難病・筋萎縮性側索硬化症(ALS)を患い、8年以上前から寝たきり状態だった。
多摩署員が発見した時、居間のベッドに横たわっていた知恵美さんの首には絞められた痕があり、そのベッドの手すりでみよ子さんと高幸さんが首をつっていた。近くの椅子の上に置かれていた、A4サイズの約半分の大きさの紙に遺書とみられるメモが書き残されていた。「親戚の方々へ 先立つ不孝をお許し下さい 高幸」
同署などによると、みよ子さんは夫と知恵美さんとともに、約6年前に京都府から引っ越してきた。横浜市内の建設会社に勤めていて、同住宅から約1・5キロ離れたアパートで1人暮らししていた高幸さんを頼る形だったという。ところが転居後間もなく、夫は死亡した。
住んでいたのは障害者向けのバリアフリー型住居で、間取りは3DK。段差にスロープが設けられ、家の中も車いすが通りやすいよう、廊下などが広めに作られていた。みよ子さんと知恵美さんは年金を受給しており、生活苦ではなかったとみられるという。
■ ■
みよ子さんは昼夜を問わず、毎日ほぼ付きっきりで知恵美さんを介護していた。近くの福祉施設のショートステイなど介護サービスを利用することもあったが、同じ棟に住む70代女性は「『ヘルパー任せにしたくないし、いいところに住まわせてもらっているから私が頑張らなきゃいけない』といつも言っていた」と述懐する。
だがこの女性によると、みよ子さんは時折思い詰めた表情で将来への不安を口にすることもあった。「十分に眠れず、体がきつい。娘の病状が進んでいくのに、息子はあまり手伝ってくれない。私が死んだら、介護を誰に託せばよいのか……」
高幸さんも昨年10月ごろ、自宅の近所に住む60代男性に苦しい胸の内を明かしていた。「体が不自由な妹がいる。介護をしているのは70歳の母。10年もすれば2人の面倒を見なければいけなくなる。肉体的にも金銭的にも限界だ」
■ ■
追い詰められた親子は、周囲に助けを求めなかったのか。同住宅に住む60代男性は「妻から話を聞き、大変だなあとは思ったが、自分が助けようという気はなかった。深入りはしたくないからね」と率直に話した。60代女性も「5日の朝、警察が来て初めてそんな人が住んでいたことを知った。ここに誰が住んでいるかなんか、誰も関心がないんじゃない。自分が生きるだけで精いっぱいだよ」とつぶやいた。多摩区保健福祉サービス課は、みよ子さんらからの相談の有無について「個人にかかわる情報なので答えられない」と回答した。
ある県警幹部は、地域のつながりの希薄化が遠因になっているのではないかと考える。「日ごろから事件の聞き込みなどで痛感しているが、周りを気にするとか、他の人を助けようとする意識が特に都会では欠落している。東日本大震災で『絆』という言葉がよく聞かれたが、結局それは言葉だけ。『地域社会』という言葉自体、もう存在しないよ」
◇自らとだぶる、歯がゆい思い
介護がどれほど大変かは、身をもって知っている。
10年8月、県内に住む父(68)が肺気腫などで倒れ、一時危篤状態になった。奇跡的に回復し家へ帰ることができ、現在は歩けるまでになったが、酸素吸入器が手放せない。
同居する母(62)と弟(31)が介護しているが、手がかかる時は「ちょっと手伝ってくれないか」と連絡が来る。私が11年5月に福岡運動部から川崎支局に異動した理由の一つは、父の介護を手伝うためだった。
だから、今回の無理心中事件は人ごとと思えなかった。
取材を進める中で、沖山みよ子さんが一人ですべてを背負い込み、無理を重ねていた姿が浮かび上がった。「頑張りすぎなくてもよかったのに」。そんな思いが胸に去来した。
誰かがみよ子さんの発するシグナルをキャッチし、知恵美さんを施設に入所させることを勧めるなどといった助言をできなかったのだろうか。
沖山さん親子が暮らしていた居室のベランダには、今も洗濯物を干すハンガーなどがそのまま残っている。取材中、通りかかった高齢の男性住民に声をかけられた。「あそこ、事件あったところでしょ。もう新しい人が入ったの?」。既に事件が忘れられかけていることが歯がゆい。」(全文)
◆2013/01/28 「[社説]難病対策 患者を支える体制が必要だ」
『読売新聞』
「難病と闘う患者を支える仕組みを整えることが重要である。
厚生労働省の厚生科学審議会は、難病の診療体制や患者への支援策の提言をまとめた。厚労省は具体化のための法整備を目指す。
難病は、患者数が少なく、原因不明で治療法が確立していない病気を指す。長期にわたり生活への支障が生じる。全体で5000?7000種類に上るとされる。
このうち、診断基準が明確で、医療費負担が重い筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病など56疾患が医療費の助成対象になっている。
提言の柱は、医療費の助成を見直し、対象の病気を300程度に拡大することだ。
56疾患以外にも、重い医療費の負担を強いられる難病患者が少なくないことを考慮した。助成を受けていない病気の患者との不公平の解消を図ることは、妥当と言えるだろう。
さらに提言は、医療費が無料となっている重症患者からも、所得に応じて自己負担を求めた。助成対象者が増え、財政負担が年1200億円を超えた事情がある。
財源確保に知恵を絞る必要があるが、より多くの患者を援助するには、医療費助成の給付水準を引き下げることはやむを得まい。
提言では、多様な分野の専門医がいる大学病院などを、難病医療の拠点病院として新たに指定することも求めている。難病治療には神経内科、循環器科など多くの診療科の連携が必要なためだ。
重要なのは、難病患者が確実に専門医の診断を受けられる体制を構築することである。拠点病院に専門医を適切に配置することが欠かせない。
難病は患者数が少ないために、診療経験の豊富な専門医も限られる。正しい診断を受けるまで、何年も様々な医療機関を訪ね歩く患者は少なくない。
専門医がいる医療機関の情報をデータベース化し、患者が検索できるようにしてはどうか。
最初に診療する医師は、自身が専門医でなくても、的確に専門医を紹介することが求められる。一般の医師が難病への知識と理解を深めることが大切だ。
提言は、難病研究の強化も打ち出した。病気のメカニズムを解明するための遺伝子解析や、再生医療技術を活用した新しい治療法の研究を推進する。
多くの患者が待ち望んでいる病気の原因究明や新薬開発に、官民で力を入れてもらいたい。」(全文)
◆2013/01/28 「理化学研究所、神経難病ALSとSMAに共通した病態メカニズムを発見」
『日経速報ニュースアーカイブ』
「発表日:2013年1月25日
神経難病ALSとSMAに共通した病態メカニズムを発見
−DNAから成熟RNAを合成するスプライシング反応の破たんが細胞死を誘因−
◇ポイント◇
・ALSの原因タンパク質とSMAの原因タンパク質がお互い作用し複合体を形成
・ALSの運動神経細胞の核にスプライシング反応を担うsnRNPsが異常蓄積
・運動神経変性疾患の発症メカニズムの全貌解明や治療法開発への応用が期待
理化学研究所(野依良治理事長)は、全身の筋肉まひを引き起こす運動神経変性疾患の1つ「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」の運動神経細胞の中に、小児期に発症する運動神経変性疾患「脊髄性筋萎縮症(SMA)」と類似した異常を発見し、2つの疾患に共通する神経細胞変性のメカニズムの一端を解明しました。これは、理研脳科学総合研究センター(利根川進センター長)運動ニューロン変性研究チームの山中宏二チームリーダー、築地仁美研究員らと、名古屋大学、東京都健康長寿医療センター、福祉村病院長寿医学研究所との共同研究グループによる成果です。
運動神経細胞が変性し筋肉まひを引き起こす疾患であるALSの一部は、RNA結合タンパク質TDP−43(※1)やFUS(※1)をコードする遺伝子の異常により発症します。正常な脊髄運動神経細胞にあるTDP−43やFUSタンパク質は核内に局在しますが、ALSの約90%を占める非遺伝性ALSの脊髄運動神経細胞では、TDP−43タンパク質は細胞質に異常凝集していることから、これらのタンパク質の異常がALSの発症に直結する原因であると考えられます。しかし、どのようなメカニズムが破たんし、細胞死を引き起こすのかはまだ不明です。
共同研究グループは、正常な細胞においてTDP−43とFUSタンパク質の局在を詳細に調べたところ、もう1つの運動神経変性疾患のSMAの病因タンパク質SMN(※2)とTDP−43、FUSが互いに結合し、核内にあるGem(※3)と呼ばれる構造体を形成することを見いだしました。さらに、ALS患者の変性した運動神経細胞では、TDP−43の異常に伴い、Gemが消失していること、またタンパク質の鋳型を作るスプライシング反応(※4)を担うsnRNPs(※5)が核内で異常凝集し蓄積していることも発見しました。さらに、snRNPsの減少はSMAの要因と知られていたことからALSとSMAの運動神経細胞に共通してsnRNPsの異常が起こっていることを初めて突き止めました。
今回の研究成果は、JST戦略的創造研究推進事業チーム型研究(CREST)の研究領域「精神・神経疾患の分子病態理解に基づく診断・治療に向けた新技術の創出」における研究課題「孤発性ALSのモデル動物作成を通じた分子標的治療開発」(研究代表者:祖父江元、名古屋大学教授)、文部科学省新学術領域研究「脳内環境」の支援を受けて行われ、欧州の医学専門誌『EMBO Molecular Medicine』2月号に掲載されるのに先立ち、オンライン版(2013年1月25日付け:日本時間1月25日夕)に掲載されます。
1.背景
筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic Lateral Sclerosis;:ALS)は、全身の筋肉を支配する運動神経細胞に障害が起き、呼吸筋を含む全身の筋肉がまひする運動神経変性疾患です。50代から60代での発症例が多く、極めて進行が早い原因不明の難病です。有効な治療法は見つかっておらず、日本では約8,500人のALS患者が闘病していると推定されています(出典:公益財団法人難病情報センター)。患者さんの苦痛に加え、長期にわたって負担が大きい介護を必要とするため、その原因の解明と治療法の開発が社会的に強く求められています。
ALSの約90%は非遺伝性で、ほぼ全ての非遺伝性ALSの病巣にTDP−43と呼ばれるRNA結合タンパク質が運動神経細胞の細胞質内に異常に凝集し蓄積しています。さらに、過去の研究から遺伝性ALSの一部にTDP−43やFUS遺伝子の変異が見つかっていることから、TDP−43やFUSタンパク質の異常がALSの発症に直結する原因であると考えられます。TDP−43とFUSタンパク質の働きは、スプライシングやmRNA安定性の制御などさまざまなRNA代謝の制御に関わることが知られています。RNA代謝の制御は、DNAからタンパク質が合成される転写や翻訳などのプロセスに重要な役割を持ち、生物が正常に生命維持活動を行うために欠かせない機構の1つです。
しかし、この2つのタンパク質の異常がどのようなメカニズムで運動神経細胞の変性を引き起こすのかは依然として不明のままです。
一方、脊髄性筋萎縮症(Spinal Muscular Atrophy:SMA)は、ALS同様に脊髄の運動神経細胞の病変によって全身の筋肉まひが起こる運動神経変性疾患で、小児期から発症する遺伝性の進行性神経難病です。過去の研究からSMNというタンパク質の減少によりSMAを発症することが知られていました。SMNタンパク質はスプライシング反応を担うsnRNPsと呼ばれるタンパク質とRNAの構造体の形成に必須なので、snRNPsの減少がSMA発症の要因と考えられます。ALSもSMAと同様なRNA代謝の異常が予想されますが、ALSではどのようなRNA代謝異常があるのか、またALSでどのメカニズムの破たんが運動神経細胞を死滅させるのかは不明でした。
そこで、共同研究グループは、TDP−43やFUSタンパク質の異常とRNA代謝の関連性を突き止め、運動神経変性メカニズムの解明に挑みました。
2.研究手法と成果
まず、正常な状態でのALS病因タンパク質TDP−43、FUSとSMA病因タンパク質SMNの動態を確認するために、ヒトとマウスの正常な培養細胞内でこれらの局在を詳細に調べました。すると、TDP−43、FUSタンパク質とSMNタンパク質は一緒に核内に存在し、Gemと呼ばれる構造体に共に局在していることを見いだしました(図1 A)。さらに生化学実験によってTDP−43タンパク質のカルボキシル末領域がGemへ局在するのに必要であることが分かり、その領域はSMNとの結合に必要であることも明らかになりました(図1 B−D)さらに、この3つのタンパク質は互いに結合して複合体を形成していることも分かりました(図1 E)。
次に、ALS患者と非ALS患者の脊髄組織を用いてTDP−43タンパク質とGemを免疫染色したところ、非ALS患者の脊髄にある正常な運動神経細胞では核内にGemが観察され、TDP−43タンパク質はGemに局在することが分かりました。しかし、ALS患者の変性した運動神経細胞では、TDP−43は細胞質に異常に凝集し、Gemが形成されていませんでした(図2)。また、ALS患者の脊髄の運動神経細胞では、snRNPsの量が異常に上昇し核内に凝集していることも分かりました(図3)。snRNPsのRNA構成成分であるsnRNAs(※6)の染色法による解析によっても核内にsnRNAsの異常蓄積が認められ(図4 AB)、かつ脊髄組織中のRNA量を定量するとALS患者組織でsnRNAs発現量の上昇が確認されました(図4C)。
通常、核内でDNAから転写されたsnRNAsは細胞質へ運ばれ、SMNタンパク質によりsnRNPsが構築され、再び核内のGemへと輸送されます。Gemでさらに修飾が起こり、多くのタンパク質が相互作用することでスプライシング反応を起こすスプライソソーム(※4)まで成熟します。ALSの変性した運動神経細胞では、snRNPsが核内に異常に増えて凝集し、スプライシング反応の破たんを招いていることが示唆されました。snRNPsの減少がもう1つの運動神経変性疾患SMAを起こすことを考え合わせると、運動神経細胞はsnRNPs異常に脆弱であると考えられました(図5)。
3.今後の期待
本研究により、根本治療法がなく難病とされるALSとSMAに共通した病態メカニズムを初めて突き止めました。今後は、このスプライシング反応の破たんがどのように運動神経細胞死を引き起こしているかを詳細に検証することで、ALSやSMAを含む運動神経変性疾患全体の発症メカニズムの全貌の解明や治療法開発への応用が期待できます。
<原論文情報>
Hitomi Tsuiji,Yohei Iguchi,Asako Furuya,Ayane Kataoka,Hiroyuki Hatsuta,Naoki Atsuta,Fumiaki Tanaka,Yoshio Hashizume,Hiroyasu Akatsu,Shigeo Murayama,Gen Sobue,Koji Yamanaka
"Spliceosome Integrity is Defective in the Motor Neuron Diseases ALS and SMA"
EMBO Molecular Medicine 2013 DOI:10.1002/emmm.201202303
*以下の資料は添付の関連資料「参考資料」を参照
・補足説明
・図1 TDP−43、FUS、SMNは核内でGemに共局在し、互いに結合している
・図2 ALS患者の脊髄運動神経細胞Gemが減少している
・図3 ALS患者の脊髄運動神経細胞におけるsnRNPsの核内異常蓄積
・図4 ALS患者の脊髄運動神経細胞におけるsnRNAsの異常蓄積
・図5 概念図
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
参考資料
http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0328925_01.pdf」(全文)
◆2013/01/31 「(社説余滴)麻生発言をタブーにしない 浜田陽太郎」
『朝日新聞』
「(社説余滴)麻生発言をタブーにしない 浜田陽太郎
「終末期医療」は、生死をめぐる個人の価値観にかかわり、政策論議が難しい。
麻生副総理・財務相が社会保障国民会議で、自らの希望を述べる形で「さっさと死ねるようにしてもらう」と発言、批判を受けて撤回した。
4年半ほど前の記憶がよみがえった。人工呼吸器を使うかどうかなどを話し合って書面にすれば、医師に診療報酬を払う仕組みを導入したところ、大騒ぎになったのだ。
週刊誌は「延命やめたら医師にお手当2千円」「団塊世代が斬り捨てられる」とボルテージを上げた。政権交代前夜の民主党は勢いづき、凍結に追い込んだ。
取材していて後味の悪さが残った。大切なテーマが「政治的なタブー」になってしまうと感じたからだ。
当時、この仕組みを批判する急先鋒(きゅうせんぽう)だったのが川口有美子さんだ。全身の筋力が失われる筋萎縮性側索硬化症(きんいしゅくせいそくさくこうかしょう)(ALS)の母親を介護した経験を著書「逝かない身体」にまとめ、大宅壮一ノンフィクション賞を受けた。
難病の患者が適切な医療・介護を受けられないのに、先に治療を断るルールをつくるべきでない――。
その信念からの反対だったが、「政治に利用されたことで、ただ仕組みを引っ込めただけに終わり、議論が深まらなかった」と振り返る。
いま終末期医療のルールづくりについては、超党派の国会議員らが尊厳死の法制化に取り組んでいる。
川口さんらは反対だが、「対立」だけでは生産的でないとも感じている。
必要なのは「終末期の医療や介護のケアはどうあるべきか」という本質的な議論だと思うからだ。
高齢化を背景に、麻生さんの言うように「さっさと死にたい」と思う人は増えているのかもしれない。
ただし気をつけたい。それが、いつの間にか「延命はすべきでない」という空気を醸し、さらに「病気でも生きたい」がタブーになることを。
先日放送されたNHKスペシャル「老人漂流社会」で、こんなシーンがあった。
生活保護を受ける80歳代の独り身の男性。施設入所にあたり「病院で治療を尽くして欲しいか、静かに最期を迎えたいか」と聞かれ、「命ある限り、延ばして欲しい」と絞り出すように答えた。
反射的に「あれっ」と思った自分も、「空気」に加担しかねない。自戒をこめて告白しておく。
(はまだようたろう 社会保障社説担当)」(全文)
◆2013/01/31 「長崎情報 /長崎県」
『朝日新聞』
「(長崎情報 /長崎県
<イベント>
●九十九島かき食うカキ祭り・冬の陣 2月の土日と祝日[前]10時〜[後]4時、佐世保市の西海パールシーリゾート大芝生広場。
九十九島殻付き生カキ1キロ700円、木炭1キロ150円、軍手とカキ開けナイフセット200円で販売。焼き台400台(1600席)は無料。開催日は[前]10時から、カキ1キロを500円で購入できる整理券を先着100人に配る。電話させぼパール・シー(0956・28・4187)。
●郷土を知る講座 2月2日[後]1時半〜3時半、佐世保市宮地町の市立図書館3階視聴覚室。「佐世保ば語ろう会」の平川定美さんが「八幡神社界隈(かいわい)の史跡」をテーマに話す。資料代200円。電話中島さん(0956・25・0976)。
●エビ・カキ祭り 2月2〜3日[前]10時〜[後]4時、平戸市崎方町の平戸港交流広場。カキ1キロ、サザエ2個、ウチワエビ1匹、焼き台使用の炭火焼き基本セットが1200円。特産品の販売も。電話中野漁協(0950・24・2221)。
●奉行所節分 豆まき 2月3日、長崎市立山1丁目の長崎歴史文化博物館2階奉行所。[後]4時半から書院で追儺(ついな)豆まき、[後]4時45分からは奉行所玄関前で開運福豆まき。開運福豆まきでは、当たりの福豆を拾った人に記念品のプレゼントも。無料(奉行所内は常設展観覧料が必要)。直接会場へ。電話同館(095・818・8366)。
●大宮マルシェ 2月3日[前]10時〜[後]1時、佐世保市稲荷町の市場通り。地元の菓子店や花屋、かまぼこ店など10店が出店。目玉は地元レストランのオリジナルラスク販売(100袋)。お試し券(100円)を100枚販売、福石小学校の児童が豚汁を売る子どもマルシェも。雨天時は元ムタグチ2階。電話させぼ福栄会協同組合(0956・32・1200)。
●わたしたちの街でうまれ育つ子どもたちを地域の絆で支えるために 2月7日、壱岐市石田町の石田農村環境改善センター、2月13日、時津町のとぎつカナリ―ホール、2月26日、東彼杵町総合会館。各日[後]1時半〜4時半。児童養護施設「光の子どもの家」の生活に密着した記録映画「隣る人」を上映。県内児童養護施設職員や里親による講話も。無料。直接会場へ。電話県こども家庭課(095・895・2442)。
●井川惺亮のデッサン教室 2月9〜10日、長崎市の県美術館2階アトリエ。さらっとコースは[前]10時半〜正午、しっかりコースは[後]1時半〜4時。講師は現代美術作家の井川惺亮さん。1回100円。同館で開催中の「奈良原一高」観覧券を持参すれば1回無料。各回先着30人。直接会場へ。電話同館(095・833・2110)。
●男性から女性へ「フラワーバレンタイン」アレンジメント教室 2月10日[後]2〜3時、諫早市東小路町の市立諫早図書館1階展示ホール。バレンタインの贈り物として花かごを作る。対象は男性20人。500円。要予約。電話JAながさき県央 南部営農センター(0957・23・3311)。
●プリザーブドフラワー アレンジレッスン 2月10日[後]1〜3時、長崎市万屋町の道具屋ふじの3階ギャラリー。プリザーブドフラワーのバラを使ってコサージュを作る。2500円。はさみを持参。2月9日までに申し込む。定員8人。電話山田さん(095・824・2835)。
●冬芽観察会 2月24日[前]10時半〜[後]0時半、長崎市神浦北大中尾町のながさき県民の森。県民の森内を歩き、木々の冬芽や越冬中の生き物を観察する。雨天中止。無料。2月15日までに申し込む。電話県民の森森林館(0959・24・0181)。
<相談>
●相続登記無料相談会 2月2日[前]10時〜[後]4時、長崎市興善町の県司法書士会館。司法書士が相続登記について相談に応じる。1人30分程度。要予約。無料。電話事務局(095・823・4777)。
<展覧会>
●春の詩(うた)シリーズ展 2月28日まで、諫早市小長井町の小長井カントリー倶楽部アートサロン2階。アート未来の浜井隆常任理事が描いた抽象画の油絵13点を展示。無料。
●美術館コレクション展 3月24日まで、長崎市の県美術館常設展示室。長崎出身の画家・木村一生が描いた油彩画、版画「凧(たこ)文様シリーズ」を展示。400円。大学生・70歳以上300円、小中高生200円。県内在住小中学生は無料。2月15日まで同館で開催中の「奈良原一高」の観覧券で無料になる。
●おに画展in長崎 2月1〜5日、長崎市万屋町のギャラリーコクラヤ4階。山口県出身のしの武さんが「鬼」をモチーフに、「心のことば」を描いたポストカードなど約40点を展示・販売。
●鶴南特別支援学校美術作品展 2月5〜12日、長崎市の浜屋百貨店ステップギャラリー。絵画、写真、書、版画、デザインなど約50点を展示。無料。
●コミックアート展 2月7〜11日、長崎市興善町の市立図書館1階多目的ホール。長崎漫画創作団体DEPαRTURE(デパーチャー)のメンバー約30人が、半年間に制作した作品約80点と漫画作品の冊子やファイル、原画などを展示。創作相談会やぬりえ&らくがきコーナーも。無料。
<音楽>
●イブニングライブ 2月3日[後]4時と6時の2回、長崎市の県美術館エントランスロビー。活水女子大音楽学部で管楽器を学ぶ学生が演奏を披露。無料。直接会場へ。電話同館(095・833・2110)。
●ロビーコンサート 2月3日[前]11時〜11時半、佐世保市の島瀬美術館。OMURA室内合奏団弦楽四重奏(バイオリンやチェロなど)がビバルディの四季から「冬」などを演奏。無料。電話シーハットおおむら(0957・20・7207)。
●ピョートル・ジュコフスキ ピアノリサイタル 2月7日[後]7時、佐世保市のアルカスSASEBO。ショパンの曲を演奏。一般2500円、学生1500円(いずれも当日500円増し)。電話大道寺さん(090・1169・4740)。
●同窓生によるジョイントコンサート 2月9日[後]2時、長崎市東山手町の活水学院大チャペル。活水同窓会創設120周年記念イベント。4人の同窓生がオルガン、ピアノ、メゾソプラノを披露。収益の一部を東日本大震災・津波遺児支援として、あしなが育英会に寄付する。3千円。大学生以下千円。電話事務局(095・822・7365)。
<舞台>
●長崎市民演劇祭 2月5〜10日、長崎市千歳町のチトセピアホール。「謎のモダン館」による「蠍(どくろ)城の麗人」など5公演。時間や料金は公演ごとに異なる。全ての公演を観覧できる通しチケットは4千円(限定50枚)。電話事務局(095・823・9373)。
●もってこ〜い寄席 柳家権太楼独演会 2月10日[後]2時、長崎市新地町の長崎ワシントンホテル。要予約。3500円(当日500円増し)。当日正午より整理券を配布する。電話長崎もってこ〜い落語の会の前田さん(095・822・8503)。
<講座・講演>
●「難病患者の“生きる”選択」 2月11日[後]1時半〜4時20分、長与町の県立大シーボルト校。難病の筋萎縮性側索硬化症の闘病を続けるテレビ局の報道記者を追った山陰放送制作のドキュメンタリー「生きることを選んで」を上映後、番組を制作した同僚の佐藤泰正さんが話す。無料。直接会場へ。電話同大シーボルト校(095・813・5500)。
●女性のためのがん予防講演会 2月12日[後]1時半〜3時20分、諫早市多良見町のたらみ会館2階集会室。乳がん体験者の体験談や、宮本外科の宮本峻光院長による「乳がん予防について」と題した講演など。要予約。無料。50人。託児あり(要予約)。電話市多良見支所住民福祉課(0957・43・1111)。
<募集>
●防災ボランティア技術講習 2月10日[前]10時〜[後]4時、長崎市魚の町の日本赤十字社県支部講習室。応急手当ての方法を学ぶ。対象は15歳以上。30人。100円。2月7日までに申し込む。電話同県支部(095・821・0680)。
●天地サッカー教室参加者 2月10日[前]9時半〜[後]3時、佐世保市烏帽子町の佐世保青少年の天地。国見高校サッカー部の選手から指導を受ける。小中学生約100人。サッカーボール、屋内シューズ持参。50円。所定用紙で4日までにFAX(0956・23・9617)で申し込む。電話青少年の天地(23・9616)。
●コーラス「桜」会員 平和を願おうという趣旨のもと結成。練習は月2回、長崎市の市民会館7階中央青年の家・音楽室。2月は6日と16日で、いずれも[前]10時〜正午。入会金3千円。会費は月2千円。電話今泉さん(090・8222・1688)。
<映画>
【長崎市】
▼セントラル(095・823・0900)レ・ミゼラブル(1日まで)△チキンとプラム△映画と恋とウディ・アレン△恋のロンドン狂騒曲(2日から)
▼ユナイテッド・シネマ長崎(823・0222)大奥〜永遠〜(31日まで)△妖怪人間ベム(1日まで)△ホビット△今日、恋をはじめます△ONE PIECE FILM Z△レ・ミゼラブル△96時間/リベンジ△HUNTER×HUNTER 緋色の幻影△LOOPER△特命戦隊ゴーバスターズVS海賊戦隊ゴーカイジャー△東京家族△ライフ・オブ・パイ(3D吹き替え・2D字幕)△ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q/巨神兵東京に現わる△砂漠でサーモン・フィッシング△ストロベリーナイト△つやのよる△ベルセルク 黄金時代篇3 降臨(1日から)△アウトロー(1日から)△きいろいゾウ(2日から)
▼TOHOシネマズ長崎(848・1400)ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q/巨神兵東京に現わる(1日まで)△今日、恋をはじめます(1日まで)△復活 尾崎豊(1日まで)△妖怪人間ベム(1日まで)△青の祓魔師(31日、土日のみ上映)△ホビット(吹き替え)△ONE PIECE FILM Z△レ・ミゼラブル△96時間/リベンジ△HUNTER×HUNTER 緋色の幻影△LOOPER△ted(字幕・吹き替え)△特命戦隊ゴーバスターズVS海賊戦隊ゴーカイジャー△東京家族△ライフ・オブ・パイ(3D字幕・3D吹き替え・2D字幕)△ストロベリーナイト△つやのよる△さよならドビュッシー△かいけつゾロリ△アウトロー(1日から)△DOCUMENTARY of AKB48(1日から)△きいろいゾウ(2日から)
【佐世保市】
▼太陽(0956・24・5151)007 スカイフォール(31日まで)△大奥〜永遠〜(31日まで)△ホビット(3D吹き替え、1日まで/2D字幕)△今日、恋をはじめます△妖怪人間ベム△ONE PIECE FILM Z△レ・ミゼラブル△96時間/リベンジ△ted(字幕・吹き替え)△東京家族△特命戦隊ゴーバスターズVS海賊戦隊ゴーカイジャー△ライフ・オブ・パイ(3D吹き替え・2D字幕)△ストロベリーナイト△ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q/巨神兵東京に現わる△アウトロー(1日から)△きいろいゾウ(2日から)(全館入れ替え制)
※上映作は映画館の都合で変更になることがあります。」(全文)
◆2013/02/03 「福島へ介護支援 参加を 府中の有志 毎月11日PR=多摩」
『読売新聞』
「府中市を中心にした市民グループ「福島応援 On Song」が、福島県に介護ボランティアを派遣する活動に乗り出した。原発事故による放射能の問題などがあって手探りの部分も多いが、メンバーは「困難を一つずつ解決したい」と前向きだ。(長内克彦)
グループは、東日本大震災から5か月後の2011年8月に発足。全身の筋肉が動かなくなるALS(筋萎縮性側索硬化症)患者で、障害者支援のNPO法人「わの会」理事長の佐々木公一さん(65)(府中市四谷)が呼びかけた。震災が3月11日午後2時46分に起きたことを踏まえ、毎月11日を活動日に設定。午後2時から約1時間、同市宮町の専門店街「フォーリス」前で有志が歌声を響かせて募金も行っている。
介護ボランティアの派遣は、福島市在住のALS患者、佐川優子さん(59)の訴えがきっかけ。佐川さんは、「福島応援 On Song」の活動日にほぼ毎回、府中に駆けつけている。その際、地元の福島でヘルパー不足が深刻化し、在宅のALS患者が病院や施設に入らざるを得なくなっている現状をメンバーに説明した。
この切実な訴えを受けて佐々木さんは昨年5月頃、メールで知人らに福島の現状を伝えるとともに介護ボランティアの派遣を提案した。佐々木さんは自ら声を発することはできないが、妻の節子さん(63)を通じて大学の授業で講演することも多く、その縁で東京家政大学(板橋区)講師の田中恵美子さん(44)(社会福祉学)が協力を申し出た。田中さんは、すぐにゼミ生に声をかけた。
だが、派遣先はすぐに見つからなかった。調べてみると、放射線量が想定以上に高い地域もあり、福島側との調整はスムーズに進まず、グループ内でも「若い学生を派遣するのは問題では」といった意見も出た。
ようやく、国立病院機構いわき病院(いわき市)での受け入れが決まり、昨年12月下旬には、ゼミ生10人や、佐々木さんの日常生活を手助けしている看護学生ら総勢28人が同病院を訪問。ALS患者と文字盤を使って会話をしたり、車いすを押して散歩したりするなど交流した。
震災後、初めて院外に出た患者もいたという。ゼミ生の同大3年、飯塚咲紀さん(22)は、「すごく喜んでもらえたし、また機会があれば、ぜひお手伝いしたい」と話す。
ただ、グループの最大目標は、身体介助でも役立つボランティアを送ること。定期的な派遣については意見が一致しており、今後の訪問方法などを検討していく。
問い合わせは「わの会」(042・360・3626)へ。
写真=福島への支援を呼びかけるALS患者の佐々木さん(左)と佐川さん(左から2人目)=府中市宮町で」(全文)
◆2013/02/04 「難病介護、ひとりじゃない ネット上に仲間、親支える娘たち語り合う 【大阪】」
『朝日新聞』
「難病介護、ひとりじゃない ネット上に仲間、親支える娘たち語り合う 【大阪】
難病「筋萎縮性側索硬化症」(ALS)の患者を親に持つ娘たちが、インターネット上のソーシャルメディアで支え合っている。人気アイドルグループをまね、その名も「ALS48」。孤立しがちなメンバーは時に親の介護の悩みを語り合う。仲間の存在が明日を生きる力になる。
ソーシャルメディアの一つ「ミクシィ」にあるALS48のコミュニティー。「お互い弱音をはきあって行こうね☆ そして、幸せになろうね」。仙台市青葉区の今野優花(ゆか)さん(26)は最近、あるメンバーを励ました。
今野さんも助けられた。母親(58)が約3年前、ALSと診断された。昼は仕事、夜は介護の生活を両立。その状況に共感してくれる同世代の友達は多くはなかった。
たとえば母親との気持ちのすれ違いに悩んだ時。ALS48のメンバーに打ち明けると、次々と「どうしたの?」と書き込まれた。聞いてくれる人がいるだけで心が軽くなった。母親も「すてきな仲間たち。頼りになる存在」と喜ぶ。
2011年10月にできたALS48は30歳前後を中心に女性17人でつくる。東京、滋賀、鹿児島など全国各地のメンバー数は少しずつ増加。専業主婦もいれば、会社員、学生も。ミクシィ以外に、メッセージ・通話アプリ「LINE(ライン)」も使い、結婚や子育て、仕事にまつわる相談をメンバー間だけでやり取りをする。親の病気とは関係のないガールズトークも多い。
結成に携わった一人、千葉芙美さん(32)は「患者の娘という同じ立場で話せる場が身近に少ない。今日はうつむくことがあっても、明日を明るく迎えられるように、お互いがかかわれるグループでありたい」と語る。
オンライン上の難病患者や家族のやり取りを研究する明治学院大学の茨木尚子教授(障害者福祉論)は「介護や仕事があり、現実社会で集まって話すのは難しい。そういう意味でオンラインでの活動には可能性がある。『わたしだけじゃない』と思えるだけで救われる」と話す。グループへの連絡はメール(als48info@gmail.com)で。
(久永隆一)
◆キーワード
<筋萎縮性側索硬化症(ALS)> 筋肉を動かす神経に障害が起きて体が動かせなくなり、筋肉がやせていく病気。原因は不明で特定疾患の一つ。厚生労働省の統計によると、全国に8992人の患者がいる(2011年度末)。
【写真説明】
列車を待つ間、ALS48のメンバーとやり取りする今野優花さん。少しの空き時間が大切だ=JR仙台駅」(全文)
◆2013/02/06 「八ツ場ダムめぐり知事、国に不満 2013年度当初予算案発表 /群馬県」
『朝日新聞』
「八ツ場ダムめぐり知事、国に不満 2013年度当初予算案発表 /群馬県
◆基本計画の見直し求める 公共事業
大沢正明知事は2013年度当初予算案を発表した5日の記者会見で、八ツ場ダム(長野原町)本体の完成を15年度としている国の基本計画を、早急に実現可能なものに見直すよう政府に求める考えを示した。13年度中にも現実的な工程表に基づいて完成時期を明確化し、予算を重点配分するよう強く求めた。
国は12年度予算でダムの工事用道路や作業場の建設費として18億円(国費7億円)を盛り込んだが、未執行のまま。政府は13年度当初予算案に同じ事業を繰り越し、ダム本体の工事費は盛り込まなかった。
知事は国の対応に不満を示し、基本計画の想定から現実の作業が大幅に遅れていることに言及。「現実論として、現実的な工程表をすぐに作成し、完成期日を明確に示して、通常よりしっかり予算をかけて短期で完成させる責任が国にはある」と述べたうえで、13年度中に基本計画を見直すことについて、「やるべきだ。すぐにでもやって、完成期日を示すべきだ」と強調した。
こうした国の動きを反映して、県が13年度当初予算案に盛り込んだ八ツ場ダム関連の事業費も、今年度と同水準の97億4600万円。その内訳は、生活再建に向けた取り組みに61億円、付け替え道路など社会基盤整備に23億円、国の直轄事業への負担金が13億円などだ。
国道、県道の付け替えは約9割がすでに供用済みで、重点は接続する町道5路線の整備などに移る。そのほか、生活再建の一環で整備される川原畑地区の滞在型農園の用地買収などを行う。
●7交通軸に264億円
八ツ場ダム関連の事業費は横ばいでも、2月補正予算分を合わせた公共事業費は、12年度当初と比べて1・5倍の約1230億円にのぼる。八ツ場以外で重点配分が目立つのは、「七つの交通軸」と位置づける主要道路の整備などだ。
交通軸は、北関東自動車道の全線開通で完成した高速交通網にアクセスする幹線道路の整備事業。12年度より約30億円増額し、約264億円計上した。上信自動車道(国道145号、353号)、東毛広域幹線道路(国道354号)、椎坂バイパス(国道120号)などに重点的に取り組む。
道路関連予算の総額は、12年度当初の397億円から、2月補正を合わせた15カ月予算で623億円と大幅に増えた。知事は「高速網と幹線網がつながることが、企業誘致や雇用拡大にもつながり、県の将来の発展に大きく貢献する」と強調した。
公共事業はこのほか、農業生産基盤整備など農業関連が60億円から99億円に。林道や作業道の整備など林業関連も84億円から142億円に増やしている。
◆全学校でいじめ議論、女子高トイレ洋式化 教育
全国的に問題になっているいじめ対策に440万円を計上した。県教育委員会は県内の小・中・高校の全児童・生徒約23万人がいじめ防止について議論する場を設け、ソーシャルワーカーら専門家も活用する。
各学級や学校に目標を設定させたうえで、県内12地区で各校の児童・生徒代表によるフォーラムを開催。夏には各地区の代表がそれぞれの取り組みやいじめ防止策について議論する「サミット」も開き、一人ひとりの子どもたちにいじめ問題について考えてもらう、としている。
また、生活習慣の変化に合わせ、県立女子高校8校のトイレの洋式化に2億円を計上した。県内の公立高校全体のトイレの洋式化率が31・5%なのに対し、女子高校は23・9%。開校当初の和式トイレのままが多く、各校の関係者らから「学校のトイレをいやがる生徒もいる」などと要望が出ていた。
このため、2013年度中に洋式化率が高い富岡東高校を除く8校の生徒用トイレを洋式化し、女子高全体の洋式化率を50%程度に引き上げるとしている。
◆がん特区へ環境整備、難病患者介護を支援 医療
がん対策などの先進医療の推進にも県は力を入れる。国に指定を申請している「がん治療技術国際戦略総合特区」の環境整備として、計約1800万円をかけて医療機関や企業の間のニーズを調整するコーディネーターを配置。医療機器の開発研究に対しても、県独自に補助する。
県立がんセンター(太田市)に14年春に設けられる東毛地区初の緩和ケア病棟(25床)の整備費には7億1300万円を計上した。病棟には県内初の「疼痛(とうつう)センター」を併設。センターの入院患者のほか、外来患者にも疼痛緩和の先進的医療を実施する。
また、筋肉が動かなくなる筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの難病患者を介護する人たちの支援策として、年間14日を上限に患者を受け入れた病院に対し、委託費用1日1万8670円を国、県が補助する。人工呼吸器が必要な在宅患者を対象とし、介護する家族が一時的に休養をとれる環境づくりが狙いだ。県内の対象者は約40人と見込み、予算額は約970万円。
◆再生エネ発電施設の早期設置へ新部署 エネルギー
東日本大震災と東京電力福島第一原発の事故を受けた対応策の一つとして、県は、太陽光などの再生可能エネルギーの発電施設の早期設置をめざす「電源群馬プロジェクト」を今年1月に発足させた。新年度予算案にも、推進費約23億800万円を盛り込んだ。
新年度から、企画部に主軸となる「新エネルギー推進課」を設け、「新エネルギー特別会計」も新設予定。県の合同庁舎や学校の屋上などにも自家消費用の太陽光発電設備を導入していくという。
推進費の内訳は、特別会計に新規で1億円。太陽光発電事業では、施設の建設や住宅への設置補助などに11億6800万円、三つの水力発電所の建設費などに約10億円を計上した。中・小型の風力発電の導入も検討する。
【写真説明】
2013年度当初予算案について説明する大沢正明知事=県庁」(全文)
◆2013/02/14 「補正と一体、6057億円 県新予算案、実質5.4%増 /和歌山県」
『朝日新聞』
「補正と一体、6057億円 県新予算案、実質5.4%増 /和歌山県
県は13日、2013年度当初予算案を発表した。南海トラフの巨大地震・津波対策に重点を置いた積極的な予算になった。一般会計は総額5672億円で前年度比1・3%減だが、国の緊急経済対策を受けた12年度2月補正予算案と一体で編成したため、両案を合わせた「13カ月予算案」の実質的な規模は6057億円で同5・4%増。一方、県債残高は13年度末に初めて1兆円の大台に乗る見込みとなった。
●公共事業 実質17%増 13カ月予算として編成
予算案は、国の財源を活用し、将来、必要な防災対策を前倒して盛り込むなど積極的な中身になった。ただ、13年度当初予算案の県税収入は今年度初めの見込みより22億円少なく、県債残高も過去最高を更新するなど、国が頼りの厳しい県財政の現状は変わっていない。
県は予算編成にあたり、12年度2月補正予算案が県議会で議決される見込みが3月のため、補正予算案と13年度当初予算を実質的に一体ととらえ、13カ月予算として編成した。
県財政課によると、12年度2月補正予算案は、安倍政権の緊急経済対策で国から配分された200億円に加え、国が後から地方交付税ですべて肩代わりをする特別な県債を176億円発行するなどし、県の補正予算としては過去3番目の規模になる390億円を計上した。このうち9割近い345億円を、道路や河川の改修や橋の耐震化などの公共事業費(投資的経費)にあてた。
このため、公共事業費は13カ月予算案として見れば1488億円に上り、12年度当初予算案に比べ17・3%の大幅な増加となった。
一方、県税収入は、景気の低迷などにより法人2税が10億円減ったことなどで13億円減の788億円になる。
自主財源は12年度当初比32億円減の2199億円で歳入全体の38・8%。地方交付税や国庫支出金などの依存財源に6割を頼る状況が続いている。
歳入不足の9億円は、貯金にあたる県債管理基金を取り崩して補う。
●津波ハザードマップ 沿岸市町作成を支援
昨年、内閣府が公表した南海トラフの巨大地震の新被害想定を受け、県は地震・津波対策を加速させるため関連予算を13年度当初予算案に盛り込んだ。
新想定によると、県内には津波が最短2分で到達し、高さも最大20メートルに達するとされる。
県は新想定をもとに3月中に完成予定の津波浸水予測図に合わせ、沿岸市町がハザードマップを作る経費の半分を助成する予算として3600万円を盛り込んだ。さらに、避難路の整備や衛星携帯電話の配備など市町村の防災事業費の半分を補助する予算は、12年度当初予算比で1・5倍の3億円に拡充した。
ただ、津波からの避難が困難な地域での建物の高台移転や、避難ビルの建設などへの補助については予算を計上せず、「引き続き検討する」としている。新想定を基にした浸水予測図ができあがっていないため避難困難地域が具体的に決まらないことや、国の補助の方針が定まっていないことが理由という。
一方、台風12号水害などの災害復旧費は12年度当初予算比で6億円増の134億円。復旧工事は件数ベースで95%が12年度中に終わる予定だが、那智勝浦町の那智川の改良工事や、田辺市伏菟野地区の砂防工事など大規模な工事の本格化に伴い事業費は増加した。
●県債 残高1兆円超へ 公債費増え財政圧迫
県債残高が13年度末に1兆円を超える見込みとなったのは、11年秋の台風12号水害の復旧事業や、12年度2月補正予算案を編成するため県債発行を増やしたことが主な要因だ。13カ月予算案で見た県債の発行額は、12年度当初予算比で91億円増の1052億円。県債残高の増加にともない、県債の返済にあてる公債費は16年度に807億円で過去最高を更新する見込みで、財政を圧迫している。
後から国が地方交付税で全額補填(ほてん)する臨時財政対策債は12年度末から243億円増え、13年度末には3284億円となる見込み。さらに臨時財政対策債を除いた「県の実質的な借金」と言える残りの県債も同37億円増え、13年度末には6731億円になる見込みだ。
公債費も増加傾向にある。13年度当初予算案でみると、公債費は733億円で、過去5番目の高さとなった。県の財政収支見通しによると、公債費は14年度765億円、15年度792億円と増加傾向で、16年度には807億円で過去最高を更新する見込みだ。
一方で、12年度末で217億円と見込んでいる基金残高は、16年度末に116億円まで落ち込む見通し。団塊の世代の大量退職にともなって10年間だけ許されている退職手当債の発行期限が15年度で切れることが大きいという。
県財政課は、12年度当初予算案を組んだ時点で200億円と見込んでいた今年度末の基金残高が、最終的に17億円増えて217億円となる見込みであることから、行財政改革の効果を強調する。しかし、県債残高や公債費が増え続ける一方、基金残高が減ることに変わりはなく、財政状況は依然として厳しい。(遠藤雄司)
■【和歌山県】2012年度と2013年度当初予算の比較
<歳入(一般会計)>
2012年度 2013年度
5748億円 5672億円
県税 801(13.9) 788(13.9)
地方交付税 1642(28.6) 1601(28.2)
国庫支出金 770(13.4) 842(14.8)
県債 961(16.7) 876(15.4)
その他 1574(27.4) 1565(27.6)
<歳出(一般会計)>
2012年度 2013年度
5748億円 5672億円
人件費 1468(25.5) 1434(25.3)
公債費 725(12.6) 733(12.9)
扶助費 127 (2.2) 130 (2.3)
投資的経費 1269(22.1) 1144(20.2)
その他 2159(37.6) 2231(39.3)
(数字は億円、カッコ内は構成比%。金額は億円未満を、比率は小数点2位をそれぞれ四捨五入しているため、合計があわない場合がある。)
【図】
和歌山県財政状況の推移
(30面に続く)
水害に二つの対策 豪雨予測新システム、砂利採取要件緩和へ 県新予算案 /和歌山県
(31面から続く)
●水害に二つの対策 豪雨予測新システム、砂利採取要件緩和へ
一昨年秋の台風12号による水害を教訓に、豪雨時の避難指示の発令に役立てるため、県は日本気象協会が開発したきめ細かな降水予測のシステムを利用する。また、県管理の河川にたまった土砂をより多く取り除くため、原則禁止だった砂利採取の要件も緩和する。
現行の気象台から提供される短時間の降水予測は、6時間先までの各1時間の降水量が30分間隔で更新され、量は最大80ミリにとどまる。長時間の降水予測は「県北部」と「県南部」の2区域で、おおむね24時間後までの各1時間の降水量が発表されている。台風12号の水害時の予報では「県南部の多いところで1時間に80ミリ」とされていたが、4日未明の新宮市の1時間当たりの最大降水量は131・5ミリに達していた。
日本気象協会が開発したシステムの利用は、こうした予測と実態の差を埋め、市町村による避難指示などの発令に役立てるのが狙いという。
県総合防災課によると、新システムでは短時間予測で1平方キロメートルごとに「1〜3時間先までの各1時間の降水量が10分間隔」で分かるようになり、80ミリ以上の量と累積量も分かる。長時間予測でも5平方キロメートルごとに「1〜51時間先までの各1時間の降水量が3時間間隔」で分かるようになる。
一方、台風12号によって川に流れ込んだ土砂の撤去が各地で長期的な課題となるなかで、1986年以降、原則禁止で許可制にしていた県管理河川での業者による砂利採取の一部規制を緩和する。現行制度で砂利採取ができるのは有田川、日高川、熊野川、古座川の4河川で、ダムや支流合流点より上流に限られていた。災害復旧と予防の観点から、対象河川に富田川や日置川を加え、採取地点の限定もなくす。ただし今後5年間の期限付きで、見直しもしていく方針だ。
●停電に備え 人工呼吸器患者に非常用発電機を無償貸与
県は、大規模な災害によって、長期にわたる停電が起こった場合に備え、在宅で人工呼吸器を使っている患者に、医療機関を通じて非常用発電機を無償で貸し出す制度を新年度から始める。
県健康推進課によると、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの難病や、肺の病気などで人工呼吸器を使用している在宅患者は、県内に約60人いるという。
停電に備え外部バッテリーなどを個人で用意している人もいるが、作動時間は6〜12時間程度。県はその時間内に医療機関への緊急搬送が難しい場合を想定し、長時間使用できる発電機の貸与を決めた。発電機1台につき上限10万円を県が医療機関に補助し、医療機関から患者へ無償で貸与してもらう。当初予算案には全員に貸与できるように60台分、600万円を盛り込んだ。
災害時には燃料のガソリンが不足する恐れがあるため発電機はカセットコンロなどに使う小型ガスボンベを利用。ボンベ2本で2時間程度、外部バッテリーの充電などに使えるという。
●県教委 5年ぶり学力テスト、いじめ対策専門の職員拡充
県教委は2012年度比で0・1%増になる1015億円に上る13年度当初予算案を組んだ。
新規事業で、小学4〜6年生と中学1〜2年生を対象にした県統一の「学習到達度調査」を12月にする。県独自の学力調査は08年度以来5年ぶり。科目は国語と算数(数学)。全国学力調査で全国平均より正答率が低い応用問題も取り入れる。教員の研修旅費も含め学力向上総合支援として1461万円を計上した。
いじめ対策には1億6813万円を充てた。スクールカウンセラーの採用を増やし、派遣先を従来の136中学・高校から182中学・高校に増加。小学校への派遣も30校から70校程度に増やす。市町村教委に配置するスクールソーシャルワーカーも拡充する。
●県警 非行防止に紀南分室
県警は、少年の非行防止や立ち直り支援に力を入れるため少年課に設けている「少年サポートセンター」について、4月から新たに紀南分室を田辺署管内に設置。小中学校で「非行防止教室」を開き、いじめ防止などにあたる「スクールサポーター」を6人から9人に増やし、3人を分室に配置。名称も「少年サポーター」に変更する予定。
また、校内暴力などの問題を抱える中学校に常駐し校内パトロールなどにあたる「学校支援サポーター」も4人から8人に増やす。
■主な新規事業の一覧
<防災> 津波避難支援対策プログラム策定(7718万円)▽津波ハザードマップ作成支援(3600万円)▽地震・津波観測情報の収集強化(2970万円)▽県立医科大付属病院の津波浸水対策(830万円)▽避難発令支援情報提供(2978万円)▽人工呼吸器使用者の電源確保(600万円)▽緊急道路を切り開くための防災拠点作り(2800万円)
<医療福祉> クーポン形式によるがん検診の受診率向上対策(9146万円)▽日高看護専門学校設立支援(4億8千万円)▽わかやま結婚支援(879万円)▽生活保護受給者の自立支援プログラム(441万円)
<環境> 農業用ハウスでの木質バイオマスボイラーの導入支援(1150万円)
<警察> 性暴力被害者ワンストップ支援センター設置(518万円)▽交番・駐在所のネットワーク化(1237万円)▽新宮警察署の庁舎新築(3641万円)
<産業経済> サービス産業の県外市場開拓支援(335万円)▽観光トイレ整備補助(1億1125万円)▽梅・桃などの重要病害ウイルスの侵入防止対策(708万円)
<教育> 学習到達度調査などの「きのくに学力向上総合支援」(1461万円)▽電子黒板などの整備(1711万円)▽非行防止と保護対策のための少年サポーター増員など(645万円)▽南紀熊野ジオパーク推進(3522万円)▽古墳時代の「紀の川の巨木」保存展示(1240万円)▽国体関連施設・田辺市の三四六総合運動公園内施設整備支援(7億2195万円)
※1万円未満は四捨五入
【写真説明】
県内の保健所に備えられているガスボンベ式の発電機。同型のものを人工呼吸器の患者に無償で貸し出す=海南市大野中」(全文)
◆2013/02/14 「神経の難病に共通の仕組み、理研など発見。」
『日経産業新聞』
「理化学研究所の山中宏二チームリーダーらは、神経の難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)と小児期に発症する「脊髄性筋萎縮症(SMA)」で神経細胞の変性を起こす共通の仕組みを突き止めた。治療法の手掛かりが見つかると期待している。欧州の医学専門誌に報告した。
たんぱく質の合成にかかわるたんぱく質の集合体「Gem」で、ALSでは集まるたんぱく質に異常があるほか、Gemになる「snRNPs」と呼ぶ別のたんぱく質が細胞内に固まっていた。SMAでも、神経のsnRNPsが減っている。」(全文)
◆2013/02/24 「会話の声 難病でも残す 事前に録音 PC利用=多摩」
『読売新聞』
「難病で声を失うおそれがある患者のため、声を録音して残す取り組みが都立神経病院(府中市武蔵台)で行われている。作業療法士・本間武蔵さん(50)が導入した。病状が進行した後も、患者たちはパソコンを操作し、自らの声でコミュニケーションすることができる。「マイボイス」と名付けられた取り組みは患者に生きる希望を与え、闘病を支える家族の心も支えている。(長内克彦)
「人類の歴史は時間を造ること」「道具を使うと早く仕事ができた。学校で勉強した産業革命も、時間の創造の結果なんだよ」
1月下旬、同病院の防音室。廣江資司(もとじ)さん(70)(調布市)がマイクの前で、やや不明瞭ながらも自作の原稿を読み上げた。隣には本間さんが座り、付き添いの家族に時折、「どうでしょうか」と声の出方を確認しながら、録音作業を進めた。
廣江さんは、全身の筋肉が動かなくなる難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)患者。昨年7月頃から、言葉をはっきり発せられず、飲食時も「のみ込みにくさ」を感じるようになった。
大学病院で診療を受けたが、原因ははっきりしなかった。11月に都立神経病院で、3週間の検査入院を経てALSと診断された。ショックはあったが、次第に「日々の変化をあるがままに受け止め、自然に過ごしていこう」と思ったという。そして、退院前に主治医から「マイボイス」のことを知らされ、声を残すことを決めた。
通常は、50音や濁音など基本となる125の音素を録音。次に「こんにちは」「おはよう」などの言葉もとりためていく。
廣江さんは、孫2人に宛てたメッセージも録音している。千葉市に住む長女、堤和美さん(42)の娘で、小学5年生と中学2年生。非鉄金属大手の会社役員も務めた廣江さんは、「職業人生や生活で得た知恵を伝えたかった」という。「『うまくしゃべれない中でも、おじいちゃんが残してくれた』と、素直に受け入れてくれるのでは」
廣江さんはいま、手足にはほとんど問題がなく、車の運転もできる。しかし、ALSは進行性の病気で、声の録音も「時間との闘い」だ。録音に必ず立ち会う妻の朝子(ともこ)さん(68)も当初は、「現実を間近で見ることがつらかった」という。
孫へのメッセージをいつ、どのように渡すかは、廣江さんはまだ決めていない。「気負わず、深刻にも悲観的にもならずに。目の前に引かれた道を一歩ずつ歩いて行きたい」
◆都立神経病院 患者・家族の支えに
本間さんが、「マイボイス」の取り組みを始めたのは2004年。気管切開で完全に声を失った患者には、パソコンに文字を入力すると音で再生する福祉機器を給付する制度があるが、進行性のALS患者の場合、7?8割は給付に該当しないままで亡くなっていく。「メッセージを残したい気持ちは同じなのに」と疑問を感じた。だが、ソフト探しなどに苦慮し、長く手探りの状態が続いた。
実現に向けて大きく動き出したのは、長崎県佐世保市のプログラマー吉村隆樹さん(47)の協力だった。脳性小児まひで自らも言語障害がある吉村さんは、障害者向けのパソコン操作支援ソフト「ハーティーラダー」を無料公開している。わずかに動く指先や、センサーを付けるとまばたきでも文章が打ち込める。
「このソフトに音をのせられないか」。本間さんの依頼を受けた吉村さんは、約5年がかりで「マイボイス」を完成。11年夏に「ハーティーラダー」の新機能として追加した。これまでに、本間さんが声の登録を手伝ったのは90人で、昨年は49人に上った。ALS患者が大半で、クイズ番組で人気を集めた篠沢秀夫・学習院大名誉教授もその一人。このほか、筋ジストロフィーやパーキンソン病の患者もいる。
「単音素の連続再生」という仕組みのため、完璧に声を再現できるわけではないが、患者からは、「生きる喜びになる」「自分の声でしゃべることは、自分を表現すること」などの感謝が寄せられている。
また、難病患者の家族は、無力感にさいなまれがちだが、録音の現場に一緒に立ち会うことが心の支えになっている面もあるという。本間さんは「全国の作業療法士や言語聴覚士に『マイボイス』を知ってもらい、患者たちの可能性を広げてほしい」と訴える。
写真=メッセージを録音する廣江さん(中央)と本間さん(左)=都立神経病院で」(全文)
◆2013/02/24 「[いくら?かかるの]難病の医療費助成 56疾患」
『読売新聞』
「◆自己負担 0円?2万3100円
原因が不明で、症例数の少ない難病を抱える患者の医療費を支援する制度として「特定疾患治療研究事業」がある。
収入に応じて、患者の1か月の自己負担に限度額=表=を設け、これらの限度額を超えると、国と都道府県が公費で助成する仕組みだ。限度額は家族の入院で0?2万3100円で、外来はそれぞれ半額になり、重症なら全額公費負担となる。
現在はパーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症(ALS)、スモン、安倍首相も患った潰瘍性大腸炎など56疾患が「特定疾患」に指定されている。
この制度を利用するには、保健所に医師の診断書、住民票、生計の中心になる人の所得証明書などを1年ごとに提出し、都道府県の認定を受ける必要がある。
厚生労働省の専門家委員会は先月、この制度の対象疾患を56から300程度に増やすべきだとする提言をまとめた。
難病情報センターは、ホームページ(http://www.nanbyou.or.jp/)で56疾患の各病名や制度の詳細などを紹介している。
図=特定疾患治療研究事業の1か月の自己負担限度額」(全文)
◆2013/03/01 「iPS細胞――さまざまな細胞・組織に成長(きょうのことば)」
『日経産業新聞』
「▽…皮膚などの細胞に特定の遺伝子を入れて作る。受精卵のように体のさまざまな細胞や組織に成長できる「万能性」を持つため、病気やケガで失われた身体機能を回復させる再生医療の発展に欠かせない。iPS細胞は、人工多能性幹細胞(induced Pluripotent Stem cell)の略。
▽…京都大学の山中伸弥教授が2006年8月にマウスで初めて作製し、07年11月には人での作製に成功したと発表した。この功績から山中教授は12年のノーベル生理学・医学賞を受賞した。
▽…文部科学省が作成したiPS細胞を使った再生医療の工程表によると、臨床研究は目の難病から始まり、その後は血液の病気、神経系難病などが続く。患者の細胞からiPS細胞を作製すれば発症の仕組みを再現することもでき、創薬への期待も大きい。ALS(筋萎縮性側索硬化症)やパーキンソン病など治療の決め手を欠く病気でも、新薬開発に向けた研究が急ピッチで進む。
【表】iPS細胞を使った医療研究の現状
再生医療 京大が血小板を作製、輸血用血液製剤の開発目指す
東京女子医大が心筋細胞を効率作製、2〜3年後に専用装置を実用化
京大が脳神経細胞を作製、サルで機能確認
慶応大、神経細胞を作り脊髄損傷のサルに移植、治療効果を確認
創 薬 京大、ALSの原因の一端解明、治療に役立つ候補物質も
京大、希少な自己免疫疾患の細胞を再現
慶応大、パーキンソン病の発症初期の様子を解析」(全文)
◆2013/03/01 「iPS細胞:臨床研究、国に申請 網膜細胞移植−−理研」
『毎日新聞』
「理化学研究所と先端医療振興財団(神戸市)は28日、あらゆる細胞に分化する人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使った目の病気の治療の臨床研究について、厚生労働省に実施計画を申請した。審査は少なくとも数カ月かかる見込みだが、国が承認すれば、来年中にもiPS細胞を使った世界初の臨床研究が行われる見通し。iPS細胞による再生医療の実現に向けたプロセスは新たな段階に入った。(2面に関連記事)
臨床研究は、理研発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の高橋政代プロジェクトリーダーらが計画。移植した細胞が腫瘍化しないかなど、安全性の確認を主な目的としている。実施機関の理研と先端医療センター(同)の倫理委員会は既に計画を承認した。
計画によると、今回は、高齢者に多く、網膜の中心部にある「黄斑」の機能が損なわれて視力が落ちる「加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)」のうち、網膜の裏側に余分な血管が生える「滲出型(しんしゅつがた)」で、従来の治療法では治らない患者6人が対象。患者自身の皮膚細胞から作製したiPS細胞を、網膜の裏側にある「網膜色素上皮」の細胞に変化させ、シート状にして傷んだ細胞と手術で置き換える。移植後1年間は1〜2カ月に1度検査し、その後も3年間、経過を観察する。
計画は、厚労省の審査委員会がガイドライン「ヒト幹細胞臨床研究指針」に基づき、非公開で審議する。初回の審議は3月下旬の予定。新規の計画の場合、審議に2、3回かかることが多く、最終的には、上部組織の厚生科学審議会科学技術部会の了承が必要。この指針に基づく過去66件の審査では手続き全体に平均約7カ月かかっている。患者の選定は審査終了後に始め、皮膚細胞から移植するシート状の細胞を作製するまでに約8〜10カ月かかるため、今後の手続きが順調に進んでも1例目の手術は来年とみられる。
高橋プロジェクトリーダーは同日、神戸市内で記者会見し、「ようやく(ここまで来た)という気持ち。私の研究者生命の終わるまでに、標準治療にしたい」と語った。【須田桃子】
◇成果、創薬が先行か
iPS細胞から作った細胞や組織を移植する再生医療は、脊髄(せきずい)損傷やパーキンソン病など神経の病気や、心不全などについても研究が進められている。その多くが、薬や手術など既存の治療法では限界のある難病だ。
文部科学省は昨年、iPS細胞を用いた再生医療について、実現の見通しをまとめた最新のロードマップを公表。臨床研究が見込まれる細胞と、開始時期として、▽心筋(3〜5年)▽ドーパミン産生神経細胞(同)▽角膜(4年以内)▽血小板(3〜4年)などが挙がっている。しかし、予定通りに始まるか、未知数の部分が大きい。
一方、京都大iPS細胞研究所のチームは昨年8月、全身の筋肉が動かなくなる筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者のiPS細胞から作った運動神経の細胞を調べ、細胞の異常を抑える物質を見つけたと発表。iPS細胞が難病の治療薬開発に役立つことを示す初の成果として注目された。発症の仕組みを明らかにしたり、薬の候補物質を探るなどの研究の方が、iPS細胞を使った再生医療より早く成果が出るのではとの見方もある。【須田桃子、野田武】
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■ことば
◇加齢黄斑変性
目の奥にある網膜中心部の「黄斑」が年齢とともに異常をきたす病気。視野の真ん中がゆがんだり暗くなったりし、悪化すると失明につながる。痛みや外見上の変化はない。日本の患者は推定約70万人。日本人に多いのは、網膜の裏にできる余分な血管からの出血が原因となる「滲出型」。近年承認された「抗VEGF薬」などが有効だが、症状がよくならない人が2〜3割いる。」(全文)
◆2013/03/02 「ALS患者、闘病の証 九大名誉教授が体験まとめ出版 【西部】」
『朝日新聞』
「ALS患者、闘病の証 九大名誉教授が体験まとめ出版 【西部】
九州大学名誉教授で、内科医として歩んできた川崎晃一(てるかず)さん(76)が筋萎縮性側索硬化症(ALS)=キーワード=の闘病体験をまとめた「絆」(海鳥社)を出版した。だんだん筋力が衰えていく肉体に絶望したが、いまは穏やかな時間を過ごしている。ALS患者だけでなく、死生観や終末期医療のあり方を考える上でも貴重な記録になっている。
1997年ごろ、左足がこむら返りを起こすようになった。歩道のわずかな段差にもつまずく。高血圧などの研究に打ち込んだ九大を退官した2000年夏、ALSと診断された。
その後勤務した九州産業大では、学生たちに健康について講義した。少しずつ症状は進んだが、周囲の助けも借りながら7年後に定年退職。今は福岡市東区の介護付き有料老人ホームで暮らしている。
一番つらかったのは排泄(はいせつ)の介助だ。その心情を「身体の不随は、羞恥(しゅうち)心という人間の根源にあるものを捨て去ることを、いやおう無く迫る」とつづった。頭はさえているだけに、より体の衰えを惨めに感じたという。「終焉(しゅうえん)期を迎えて」の章には、病理解剖や家族葬の実施、生前書いた手紙の知人への送付といった死後の希望も記した。
この本のもとになった自叙伝を11年に出版し、親しい人に贈った。予想外に反響があったため、今回改めて出版することになったという。パソコンでの執筆作業はタイプミスが多く、紙を指でめくるだけで体力を消耗した。それでも約1年かけて一冊にまとめた。
「生きた証しを残したかった」と川崎さん。何より中学1年の孫娘が読んでくれたのがうれしかったという。今は、書き尽くせなかった米国留学時代の思い出を文章にする作業にとりかかっている。
1575円。巻末には11年間に及ぶ「ALS病歴日誌」も掲載した。問い合わせは海鳥社(092・771・0132)。
(岩崎生之助)
◆キーワード
<筋萎縮性側索硬化症(ALS)> 身体を動かす神経が損傷し、筋肉が少しずつ縮んで力がなくなる難病。進行すると呼吸困難になり、命を落とすこともある。原因不明で、有効な治療方法はない。全国に約8千人の患者がいるとされる。理論物理学者のスティーブン・ホーキング博士や米大リーグ選手ルー・ゲーリッグらが発症したことでも知られる。
【写真説明】
ALS闘病記「絆」を手にする川崎さん=福岡市東区香椎浜3丁目」(全文)
◆2013/03/02 「非常用発電機 無償貸し出し 人工呼吸器患者 災害時も安心=和歌山」
『読売新聞』
「◆県、新年度 在宅60人分 長時間停電に対応
南海トラフ巨大地震などの災害時に長時間停電するケースに対応するため、県は2013年度、在宅で人工呼吸器を使用している患者を対象に、無償で非常用発電機を貸し出す制度を創設する。電力不足による計画停電なども想定して、今夏頃から、県内の難病患者ら約60人が自宅で利用できるようにする。
県健康推進課によると、貸し出しの対象となるのは、筋萎縮性側索硬化症(ALS)をはじめとする神経性の難病や、肺気腫などの肺疾患の患者ら。
患者たちが自宅で使用している人工呼吸器は、外部バッテリーなどの予備電源を使った場合には作動時間が6?12時間程度に限られている。
大災害時には、各市町村などが患者を医療機関に緊急搬送するが、東日本大震災では交通網の寸断で搬送が遅れるケースも発生。停電時でも自宅で長時間、人工呼吸器を使用できる環境を整備する必要に迫られた。
一昨年の紀伊水害もあり、県は昨年3月、各保健所に災害時に貸し出すための非常用発電機を設置。今後は普段から自宅に常備してもらうことにした。
配備する発電機はカセットコンロ用の小型ガスボンベ2本で約2時間作動する。複数のボンベを買い置きしておけば、長時間発電することも可能という。1台当たり10万円を全額補助して医療機関に購入してもらい、患者に無期限で貸し出してもらう。
県は13年度当初予算案に患者60人分にあたる600万円を計上。夏場の電力不足に備えるため、7月頃までの配備を目指している。
県健康推進課の担当者は「停電時の不安を解消するには、自宅に発電機を置いてもらうのが一番と考えた。家庭にある小型ガスボンベを使うタイプであれば扱いやすい」と説明している。
写真=難病患者らに貸し出す非常用発電機」(全文)
◆2013/03/03 「[病院の実力・大阪編](62)緩和ケア(連載)=大阪」
『読売新聞』
「◆診療設備や内容 確認を
今回は、「緩和ケア」を取り上げる。
がんが骨に転移したり、周りの臓器に広がったりすると、患者は強い痛みに苦しめられる。気分の落ち込みや不眠などに悩まされることも多い。
緩和ケアは、がんが関係するこうした苦痛を和らげたり予防したりすることで、患者・家族の生活の質を改善する。
アンケートでは、厚生労働大臣指定のがん診療連携拠点病院と、都道府県が独自に定めたがんの拠点病院に、2011年度の診療実績を尋ねた。
表の「入院患者」は、医師、看護師、薬剤師などで構成する緩和ケアチームが、治療を行ったり主治医の相談に応じたりした新規の入院患者数。「外来患者」は、チームや緩和ケア外来で診た新規の外来患者数を示した。「専従医師」「専従看護師」は、8割以上の業務をチームの仕事にあてている人数を指す。
入院を望む終末期の患者向けに緩和ケア病棟を設けている病院には、医療機関名に「*」を付けた。緩和ケア病棟がある病院は、入院前相談のみの患者が外来で訪れることがあり、外来患者数が多くなる傾向がある。また、緩和ケア外来といっても、院内の患者しか診ない施設もある。外部の患者が診療を求める際は、事前に電話で相談したい。
◆治療と並行させたい
◇大阪市立総合医療センター 多田羅竜平 緩和医療科副部長
緩和ケアの方法や意義について、大阪市立総合医療センターの多田羅(たたら)竜平・緩和医療科副部長に聞いた。(竹内芳朗)
??緩和ケアはどんな患者に行われるのか。
成人から子供まで年齢層は幅広いです。成人の場合はがんが大半ですが、ALS(筋萎縮性側索硬化症)や肝硬変などの患者でも行われることがあります。子供の場合はがんが4割、あとの6割は様々な難病です。
??何をするのか。
緩和ケアは、患者さんや家族の様々な苦痛を和らげることを目的とした取り組みです。体の痛みを取り除くのは、投薬治療が中心です。
末期がん患者は9割前後が痛みを訴えますが、医療用麻薬を適切に使えばかなり軽減できます。不安など精神的な苦痛には抗不安薬や抗精神病薬などを投与したり、臨床心理士らがカウンセリングを行ったりします。
??緩和ケアは終末期の患者だけに行われる医療と考える人が多い。
かつてはそのような考え方が少なくありませんでしたが、特にがんでは、「診断された時から緩和ケアを行うことが重要」との認識が世界的に広まっており、通常のがん治療とともに必要に応じて緩和ケアを並行して提供することが求められています。
??大阪市立総合医療センターの特徴は。
「診断直後からの緩和ケア」ができる体制を整えています。緩和ケアチームの看護師が、患者へのがん告知に同席し、病気や生活に関する様々な相談に乗るなどして、早期からサポートします。子どもの緩和ケアにも積極的に取り組んでいます。昨年9月には全国で初めてとなる子ども専用の緩和ケア病床(ユニバーサル・ワンダールーム)を開設しました。これをモデルに、子ども向けの緩和ケア体制が全国的に充実するよう願っています。
◎全国の調査結果は「くらし健康面」に掲載しています。
◇病院の実力「緩和ケア」
医療機関別2011年度治療実績
(読売新聞調べ)
医療機関名 入院患者(人) 外来患者(人) 専従医師(人) 専従看護師(人)
大 阪 府 国・近畿中央胸部疾患セ 581 20 2 2
国・大阪 389 38 2 1
りんくう総合 362 0 5 1
大阪市立総合* 347 199 1 3
関西医大枚方 228 30 1 1
府立急性期・総合 193 22 1
1
大阪医大 188 0 1 1
市立堺 186 14 1 1
東大阪市立総合 181 186 2 1
大阪赤十字 154 33 1 1
市立池田 140 0 0 0
北野 132 19 1 1
済生会千里 130 36 0 0
大阪大 130 9 1 1
多根総合* 120 197 1 0
近畿大 117 43 1 2
箕面市立 113 0 0 1
済生会中津 111 9 1 4
大阪労災 103 9 -- 1
国・大阪南 91 8 0 1
市立豊中 90 25 1 1
大阪市大 90 13 1 1
日生 87 0 1 1
ベルランド総合 86 31 0 0
府立呼吸器・アレルギー* 85 108 -- --
済生会野江 63 17 0 0
松下記念 63 0 0 0
市立貝塚 62 0 0 0
星ヶ丘厚生年金* 61 294 0 0
府立成人病セ 60 120 1 1
若草第一 60 0 0 0
大阪厚生年金 50 2 0 0
八尾市立 48 29 -- --
NTT西日本大阪 48 0 -- --
彩都友紘会* 44 259 -- --
大手前 40 -- -- 1
和泉市立* 35 97 -- --
住友 32 0 0 1
市立岸和田市民* 27 69 1 1
済生会吹田 23 3 0 1
PL 15 1 0 0
北摂総合 15 0 0 0
淀川キリスト教 -- -- 1 1
※「国」は国立病院機構、「セ」はセンター。「-」は無回答または不明。*は緩和ケア病棟のある病院。
写真=小児専用の緩和ケア病床を紹介する多田羅医師(大阪市立総合医療センターで)」(全文)
◆2013/03/05 「頑張る女性メークで応援、ワンコインのセミナー開催、好印象演出「自信もって」。」
『日経産業新聞』
「「家事や仕事に追われ、楽しむことを忘れている女性に、メークを通し自信を持ってほしい」。岐阜市のカラーコンサルタント、長尾なお子さん(41)はワンコイン(500円)で気軽に参加できるメーキャップセミナーを3年間で30回ほど開催。「高い化粧品を買ったり雑誌で流行を追ったりしなくても、自分に似合うメークで印象が良くなり外出が楽しくなる」と呼び掛ける。
「リップを口角から少しだけ上にはみ出すように塗ると表情が柔らかく見えますよ」。岐阜市内の公民館で10〜70代の女性約60人に長尾さんが話し掛けた。眉の描き方やチークの付け方を説明すると、参加者は真剣な表情でメモを取る。無料の託児所も人気だ。
参加したパートの女性(48)は「眉の描き方が分かり、自信を持てるようになった」と笑顔。元ミスユニバース日本代表で、セミナーに講師として招かれた泉あき子さん(40)は「セミナーは、メークに関心が低い人にとっても最初の一歩を踏み出す機会」と話す。
長尾さんは会社員を経て、似合う色を診断し、化粧や服装を指導するカラーコンサルタントに。2007年、ALS(筋萎縮性側索硬化症)で、次第に体が動かなくなる母親を見て「女性に今を楽しんでほしい」とセミナーを思い付いた。
“普通”の主婦だった母親はその後、短歌を自費出版。わずかに動く指で短歌をつづり、思いを伝えようとする姿に「周囲に認められ自信がつけば、社会に出る女性はもっと増える」と確信した。
参加費は運営費を除き、東日本大震災の支援団体などに寄付してきた。毎回盛況のセミナーは参加者が延べ1000人近くになったこともあり、2月でいったん打ち切ったが「今後は被災地でも女性が人生を楽しめ、より積極的になれるような支援をしたい」と話している。
【図・写真】メーキャップの指導をするカラーコンサルタントの長尾さん(2月25日、岐阜県海津市)」(全文)
◆2013/03/07 「逆流性食道炎に関する市民公開講座、腎臓病講座、他(健康がいどガイド)」
『日経産業新聞』
「■逆流性食道炎に関する市民公開講座 日本医科大学病院が16日午後2時〜3時半、東京・文京の同大学橘桜会館2階の橘桜ホールで開く。同大病院消化器内科の川見典之医師が、胃液が逆流して食道に炎症などを起こす逆流性食道炎の症状などについて解説する。無料。事前の申し込み不要。問い合わせは同病院消化器内科((電)03・3822・2131内線7202)。
■腎臓病講座 聖マリアンナ医科大学病院が23日午後1時半〜4時、川崎市の同病院本館の3階大講堂で開催する。慢性腎臓病の特徴や治療薬、食事と栄養管理、日常生活のポイントなどについて、医師、薬剤師、栄養士、看護師がそれぞれの立場から解説する。患者やその家族らが対象で、質疑応答の時間も設ける。定員は約200人。無料。事前の申し込みは不要。問い合わせは同病院腎臓病センター腎臓病講座担当((電)044・977・8111内線5300または5310)。
■神経系難病の医療相談会 東京都難病相談・支援センターが24日午後0時半〜4時半、東京・渋谷の同センターで開く。脊髄小脳変性症、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、重症筋無力症などの患者やその家族が対象。東京医科歯科大学の水沢英洋教授、東京都立神経病院の川田明広脳神経内科部長らが、1人20分ずつ個別の相談に応じる。定員は30人。事前の予約が必要。申し込みは電話やファクス(03・3446・0221)などで。問い合わせ・申し込みは同センター((電)03・3446・1144)。」(全文)
◆2013/03/12 「ノーベル賞2氏が顔合わせ 京大iPS研シンポ」
『日経速報ニュースアーカイブ』
「京都大学iPS細胞研究所は11日、様々な組織に育つiPS細胞に関する国際シンポジウムを開いた。昨年のノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥教授とジョン・ガードン英ケンブリッジ大学名誉教授が授賞式後、初めて顔を合わせ、笑顔で握手を交わした。
ガードン名誉教授は「初めて京都を訪れてから約50年。また来られてうれしい」と笑顔を見せた。山中教授は「このシンポジウムをきっかけに、本格的に研究に戻りたい」と話した。
ガードン名誉教授は講演で、皮膚など普通の細胞を受精卵に近い状態に戻す「初期化」が難しい理由について話した。このほか、欧米の研究者が神経の難病、ALS(筋萎縮性側索硬化症)などに関して最新の成果を発表した。
シンポ開催は昨年に続いて2回目。1回目は2011年3月の予定だったが、東日本大震災で中止した。山中教授は開催のあいさつで「この2年間で研究は大きく進んだが、やるべきことはたくさんある」と話した。」(全文)
◆2013/03/14 「「より良い病院作りたい」 遠藤さん 医療功労賞全国表彰=宮城」
『読売新聞』
「国内外の困難な環境で、長年にわたって地域医療に貢献した人に贈られる「第41回医療功労賞」(読売新聞社主催、厚生労働省、日本テレビ放送網後援、エーザイ協賛)の全国表彰者に、登米市立米谷病院長で内科医の遠藤敏さん(63)が選ばれた。表彰式は、15日に東京で開かれる。
「まさか私が選ばれるなんて」と、受賞の知らせに驚きを隠さない。
東北大医学部卒後、最初に勤めた気仙沼総合病院で、情熱あふれる先輩医師と出会った。「その人の影響で、いつしか地域医療を志すようになった」と振り返る。
現在、院長を務める米谷病院は、常勤医は自身を含め3人。週3回は、夕方までに病院での診療を終えると自ら車を運転し、高齢者や筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの難病患者を訪問している。5、6軒回った後に、病院で当直に入ることもしばしばだ。
震災の際、避難所に医師や看護師らを派遣した。自身は病院にとどまり、沿岸地域から来た患者を診療した。周辺一帯が停電したため、病院のロビーや廊下にベッドを並べて在宅の患者を受け入れ、自家発電で人工呼吸器などを動かした。
「誰かが困っていれば、自分にできることを淡々とやる人」と、外来看護師長の佐々木久美子さん(51)は評する。
七夕やクリスマスには、院内でコンサートを開き、地域住民を招く。「医師不足の状況は、すぐには改善できそうにないが、地域の人々と力を合わせ、より良い病院をつくっていきたい」と、穏やかな笑顔を見せた。
写真=看護師と談笑する遠藤さん(左)。「受賞はスタッフの支えがあったから」と話す(登米市東和町米谷の米谷病院で)」(全文)
◆2013/03/19 「神経系難病にiPS活用、発症解明や治療、日米欧で研究成果。」
『日経産業新聞』
「ヒトiPS細胞を使った神経系難病の発症メカニズム解明や治療研究が日米欧で相次ぎ成果を出している。有効な治療法や動物モデルない難病の研究が、iPS細胞の利用によって大きく前進するとの期待が高い。
慶応大学の岡野栄之教授や大学院生の沼沢佑子さんらは乳幼児の脳神経の発達に問題があるペリツェウス・メルツバッハー病(PMD)の患者2人からiPS細胞を作製。それぞれ神経細胞に育て異常を確認した。
神経細胞を巻き込むように包み電気信号の伝達で重要な役割をもつミエリンが通常より薄く、巻き方も少なかった。ストレスに敏感で、異常なたんぱく質の蓄積があった。正常に戻す物質の候補があり、治療薬開発に生かせる可能性がある。
イアン・ウィルムット英エディンバラ大学名誉教授らはTDP43たんぱく質の遺伝子の特定部分に変異があるALS(筋萎縮性側索硬化症)の患者からiPS細胞を作り、主要神経細胞のアストロサイトに育てた。10日間培養して死ぬ確率は健康な人の細胞の約2・2倍に達した。「アストロサイトの死を確認したのは画期的」(京都大学の井上治久准教授)
米ハーバード大学のケビン・エガン教授らはSOD1遺伝子の変異を持つALS患者のiPS細胞から運動ニューロンを作った。小胞体にストレスを与えると神経活動が激しくなり、さらにストレスが強まる悪循環が生じた。これを食い止められれば治療につながる。」(全文)
◆2013/03/25 「再生医療で大学連携、慶大・自治医大、京大・東北大、難病の治療法探る。」
『日本経済新聞』
「再生医療や難病の研究で各地の大学が連携する動きが相次いでいる。iPS細胞など幹細胞の活用が特徴。慶応義塾大学は自治医科大学などとiPS細胞を使ってALS(筋萎縮性側索硬化症)をはじめ神経の難病の治療法を探る。大阪市立大学や兵庫医科大学などは別の幹細胞を使い、スポーツなどで傷めた軟骨を再生する臨床研究を2013年度にも始める。
政府の成長戦略の一翼を担うとみられる再生医療への期待が高まり、研究への参画をうかがう大学も多い。
さらにiPS細胞などの幹細胞を使うと患者の血液や皮膚から、病変を再現した細胞を大量に作れる。患者の少ない施設でも病気の原因解明や治療法の研究が広く行える半面、安全性の高い細胞を作製・培養する設備を持つ大学は限られる。このため専門家が少なく治療法開発が進んでいない難病などの研究分野で、再生医療に強い大学と組む流れが加速した。
慶応大は、自治医大からALSやパーキンソン病など神経の難病患者の皮膚などを受け取り、iPS細胞に変え、病変を再現した細胞に育てる。この細胞を使い自治医大が治療法を突き止める。東京女子医科大学とも脊髄の運動神経細胞を患う筋萎縮症の研究で組む。
京都大学はiPS細胞を使い、筋細胞が傷んで歩きにくくなる筋疾患の治療薬開発で東北大学と協力する。弘前大学や名古屋大学、千葉大学などともそれぞれ、貧血や炎症の症状が出る血液疾患で共同研究を始める。
再生医療研究で知られる慶大や京大が、厚生労働省の難病研究班に加わる大学と連携。数年以内に新薬の候補物質を見つけたい考えだ。厚労省と文部科学省が支援する。
一方、大阪市立大学や兵庫医科大学など8機関が共同で、スポーツなどで軟骨を傷めた患者に幹細胞を注射して軟骨の再生に取り組む。大阪大学で増やした細胞を移植する。患者40人の骨髄液から軟骨のもとになる幹細胞を採取。骨髄を刺激して修復を促す従来法と比べる。広島大学、近畿大学なども加わる。
いずれの臨床研究もそれぞれの大学が各自の倫理委員会の承認を受け、厚労省に申請した。患者の細胞などを増やす安全性を確保した専用の細胞培養施設は設置に数億円、運営費に年数千万円かかり、個々の医療機関に設置するのは難しい。」(全文)
◆2013/03/25 「JSTと大阪大学、脳の免疫細胞が運動の神経細胞を保護することを発見」
『日経速報ニュースアーカイブ』
「発表日:2013年3月25日
脳の免疫細胞が運動の神経細胞を保護することを発見
−ALSなど運動機能障害性の脳神経疾患への新たな治療法に光−
【ポイント】
>脳と脊髄からなる中枢神経系の神経細胞を維持する仕組みは分かっていなかった。
>脳のミクログリアが運動の神経細胞の保護に関わっていることを発見。
>運動機能に重篤な障害を引き起こすALSなどの脳神経疾患の新たな治療法の開発に期待。
JST課題達成型基礎研究の一環として、大阪大学 大学院医学系研究科の山下 俊英 教授、上野 将紀 元助教(現 シンシナティ小児病院 研究員)、藤田 幸 特任助教らは、脳を修復する免疫細胞とみられていたミクログリア(注1)が、運動機能をつかさどる神経細胞の保護にも関わっていることを発見しました。
ミクログリアは、病気などで障害を受けた脳組織を修復する免疫細胞と考えられていますが、発達段階の脳においての役割は不明のままでした。
本研究グループは、今回、脳の発達期におけるミクログリアの機能を解明するために、阻害薬や遺伝子改変マウスを用いてミクログリアの機能を抑制し、脳内を観察しました。その結果、運動機能をつかさどる神経細胞に選択的に細胞死が誘導されることを発見しました。これにより、ミクログリアが特定の神経細胞を保護する機能を持っていることが初めて示されました。また、ミクログリアが放出するインスリンに似たIGF1(注2)という成長因子がその保護機能に関与していることも明らかになりました。
本研究から、ほ乳類における発達期の神経回路・細胞が維持される新たなメカニズムが明らかになりました。このミクログリアによる神経回路の保護作用を誘導することで、運動機能が障害を受ける筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの脳神経疾患に対する新たな治療法の開発につながることが期待されます。
本研究成果は、2013年3月24日(英国時間)に英国科学誌「Nature Neuroscience」のオンライン速報版で公開されます。
本成果は、以下の事業・研究領域・研究課題によって得られました。
戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)
研究領域 :「脳神経回路の形成・動作原理の解明と制御技術の創出」
(研究総括:小澤 瀞司 高崎健康福祉大学 健康福祉学部 教授)
研究課題名 :「中枢神経障害後の神経回路再編成と機能回復のメカニズムの解明」
研究代表者 :山下 俊英(大阪大学 大学院医学系研究科 教授)
研究期間 :平成22年10月〜平成28年3月
JSTはこの領域で、脳神経回路の発生・発達・再生の分子・細胞メカニズムを解明し、さらに個々の脳領域で多様な構成要素により組み立てられた神経回路がどのように動作してそれぞれに特有な機能を発現するのか、それらの局所神経回路の活動の統合により、脳が極めて全体性の高いシステムをどのようにして実現するのかを追求します。またこれらの研究を基盤として、脳神経回路の形成過程と動作を制御する技術の創出を目指します。
上記研究課題では、脳の障害後に代償性神経回路が形成される分子メカニズムを解明するとともに、神経回路の再編成を促進することによって、失われた神経機能の回復を図る分子標的治療法の開発を行います。
<研究の背景と経緯>
発達期の脳では、神経細胞による活発な神経回路の構築が行われています。このダイナミックに変化する神経回路および神経細胞の生存を維持する仕組みが、神経回路の周囲の環境に存在すると以前から考えられてきました。実際に末梢神経系では、神経細胞の標的となる器官より放出される神経栄養因子により、神経回路・神経細胞の維持が行われていることが知られていますが、中枢神経系において、このような仕組みが本当に存在するのか、またその場合どのような細胞や周囲の環境がこれに寄与するのかについては不明のままでした。
一方で、脳内の免疫細胞とされるミクログリアは、病気などの脳の中で、組織の炎症・修復・除去といった機能に特化する細胞と考えられてきました。しかし近年の研究から、正常な脳あるいは発達期の脳においても、ミクログリアは形態を変化させ、シナプスや死細胞の除去といった脳環境の維持に不可欠な事象に積極的に関わっていることが示されてきています。特に、ヒトやげっ歯類の発達期の脳では、活性化したミクログリアが脳の軸索(注3)が集まる白質(注4)に集中している、という特徴的な所見が報告されていますが、これら細胞がどのような役割を持っているのかは、全く不明のままでした。
<研究の内容>
本研究グループは、脳発達期のミクログリアの役割を調べる目的で、ミクログリアの脳内での分布を調べることから始めました。マウスにおいて、ミクログリアは生後1週間の間に、脳内の神経軸索が通過する部位に集まり、形態的な特徴から活性化していることが分かりました(図1)。この特徴的な分布は、生後2週目以降から成体にかけて認められなくなりました。これらの観察から、ミクログリアが神経軸索に対して、何らかの生理的な役割を持っているのではないかと推察しました。
この役割を解明するために、まずミクログリアの活性化を抑制する薬剤ミノサイクリンを新生児マウスに投与し、脳内に起こる変化を観察しました。すると、大脳皮質(注5)の第5層に存在する神経細胞に特異的に細胞死を引き起こすことを発見しました。
大脳皮質の第5層には、脊髄へと軸索を伸ばし運動機能をつかさどる皮質脊髄路(注6)神経細胞や反対側の大脳皮質へと軸索を伸ばす神経細胞が存在します。ミクログリアの分布を詳細に観察すると、これら神経細胞の軸索の周囲に活性化したミクログリアが集まっていることが分かりました。
これらの結果から、脳発達の特定の時期に、ミクログリアが軸索と密接に関わりながら、大脳皮質第5層神経細胞を保護していると考えられました。このミクログリアの役割を検証するため、ミクログリアのみを除去したり活性化状態を変化させたりすることができる遺伝子改変マウスを用いて観察を続けました。その結果、これらマウスにおいてもミクログリアの機能を阻害すると、大脳皮質第5層の神経細胞に細胞死が誘導されることが分かりました(図2)。
次に本研究グループは、ミクログリアにより神経細胞を保護するメカニズムを解明することを目指しました。ミクログリアから放出される因子を網羅的に調べた結果、IGF1がミクログリアに多く発現していることが分かりました(図3)。培養細胞やマウスを用いてミクログリアから放出されるIGF1を阻害したところ、神経細胞に細胞死が誘導されました。このことから、ミクログリアから放出されるIGF1が神経細胞の保護に関与していることが明らかになりました。また、ミノサイクリンを投与されたマウスやミクログリアのみの活性化状態を変化させたマウスでは、IGF1シグナルを抑制するIGFBPの発現が増加して、神経細胞死を誘導することが分かりました。
<今後の展開>
今回の研究により、脳内の免疫細胞と考えられていたミクログリアの新たな機能が明らかになりました。この発見により、発達期に神経細胞が維持されるメカニズムが明らかになりました。特に大脳皮質第5層に存在する皮質脊髄路神経細胞は、脊髄損傷、脳血管障害、筋萎縮性側索硬化症といった脳の病気やけがで傷害を受け、その結果、運動機能に重篤な障害がもたらされることが知られています。ミクログリアによってこれら神経細胞を保護する効果を誘導することができれば、新たな治療法の開発につながると期待されます。
*参考図、用語解説は添付の関連資料を参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
参考図、用語解説
http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0333475_01.pdf」(全文)
◆2013/03/25 「再生医療で大学連携 慶応・自治医など難病治療探る」
『日経速報ニュースアーカイブ』
「再生医療や難病の研究で各地の大学が連携する動きが相次いでいる。iPS細胞など幹細胞の活用が特徴。慶応義塾大学は自治医科大学などとiPS細胞を使ってALS(筋萎縮性側索硬化症)をはじめ神経の難病の治療法を探る。大阪市立大学や兵庫医科大学などは別の幹細胞を使い、スポーツなどで傷めた軟骨を再生する臨床研究を2013年度にも始める。
政府の成長戦略の一翼を担うとみられる再生医療への期待が高まり、研究への参画をうかがう大学も多い。
さらにiPS細胞などの幹細胞を使うと患者の血液や皮膚から、病変を再現した細胞を大量に作れる。患者の少ない施設でも病気の原因解明や治療法の研究が広く行える半面、安全性の高い細胞を作製・培養する設備を持つ大学は限られる。このため専門家が少なく治療法開発が進んでいない難病などの研究分野で、再生医療に強い大学と組む流れが加速した。
慶応大は、自治医大からALSやパーキンソン病など神経の難病患者の皮膚などを受け取り、iPS細胞に変え、病変を再現した細胞に育てる。この細胞を使い自治医大が治療法を突き止める。東京女子医科大学とも脊髄の運動神経細胞を患う筋萎縮症の研究で組む。
京都大学はiPS細胞を使い、筋細胞が傷んで歩きにくくなる筋疾患の治療薬開発で東北大学と協力する。弘前大学や名古屋大学、千葉大学などともそれぞれ、貧血や炎症の症状が出る血液疾患で共同研究を始める。
再生医療研究で知られる慶大や京大が、厚生労働省の難病研究班に加わる大学と連携。数年以内に新薬の候補物質を見つけたい考えだ。厚労省と文部科学省が支援する。
一方、大阪市立大学や兵庫医科大学など8機関が共同で、スポーツなどで軟骨を傷めた患者に幹細胞を注射して軟骨の再生に取り組む。大阪大学で増やした細胞を移植する。患者40人の骨髄液から軟骨のもとになる幹細胞を採取。骨髄を刺激して修復を促す従来法と比べる。広島大学、近畿大学なども加わる。
いずれの臨床研究もそれぞれの大学が各自の倫理委員会の承認を受け、厚労省に申請した。患者の細胞などを増やす安全性を確保した専用の細胞培養施設は設置に数億円、運営費に年数千万円かかり、個々の医療機関に設置するのは難しい。」(全文)
◆2013/03/25 「JSTと大阪大学、脳の免疫細胞が運動の神経細胞を保護することを発見」
『プレスリリース サービス』
「発表日:2013年3月25日
脳の免疫細胞が運動の神経細胞を保護することを発見
−ALSなど運動機能障害性の脳神経疾患への新たな治療法に光−
【ポイント】
>脳と脊髄からなる中枢神経系の神経細胞を維持する仕組みは分かっていなかった。
>脳のミクログリアが運動の神経細胞の保護に関わっていることを発見。
>運動機能に重篤な障害を引き起こすALSなどの脳神経疾患の新たな治療法の開発に期待。
JST課題達成型基礎研究の一環として、大阪大学 大学院医学系研究科の山下 俊英 教授、上野 将紀 元助教(現 シンシナティ小児病院 研究員)、藤田 幸 特任助教らは、脳を修復する免疫細胞とみられていたミクログリア(注1)が、運動機能をつかさどる神経細胞の保護にも関わっていることを発見しました。
ミクログリアは、病気などで障害を受けた脳組織を修復する免疫細胞と考えられていますが、発達段階の脳においての役割は不明のままでした。
本研究グループは、今回、脳の発達期におけるミクログリアの機能を解明するために、阻害薬や遺伝子改変マウスを用いてミクログリアの機能を抑制し、脳内を観察しました。その結果、運動機能をつかさどる神経細胞に選択的に細胞死が誘導されることを発見しました。これにより、ミクログリアが特定の神経細胞を保護する機能を持っていることが初めて示されました。また、ミクログリアが放出するインスリンに似たIGF1(注2)という成長因子がその保護機能に関与していることも明らかになりました。
本研究から、ほ乳類における発達期の神経回路・細胞が維持される新たなメカニズムが明らかになりました。このミクログリアによる神経回路の保護作用を誘導することで、運動機能が障害を受ける筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの脳神経疾患に対する新たな治療法の開発につながることが期待されます。
本研究成果は、2013年3月24日(英国時間)に英国科学誌「Nature Neuroscience」のオンライン速報版で公開されます。
本成果は、以下の事業・研究領域・研究課題によって得られました。
戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)
研究領域 :「脳神経回路の形成・動作原理の解明と制御技術の創出」
(研究総括:小澤 瀞司 高崎健康福祉大学 健康福祉学部 教授)
研究課題名 :「中枢神経障害後の神経回路再編成と機能回復のメカニズムの解明」
研究代表者 :山下 俊英(大阪大学 大学院医学系研究科 教授)
研究期間 :平成22年10月〜平成28年3月
JSTはこの領域で、脳神経回路の発生・発達・再生の分子・細胞メカニズムを解明し、さらに個々の脳領域で多様な構成要素により組み立てられた神経回路がどのように動作してそれぞれに特有な機能を発現するのか、それらの局所神経回路の活動の統合により、脳が極めて全体性の高いシステムをどのようにして実現するのかを追求します。またこれらの研究を基盤として、脳神経回路の形成過程と動作を制御する技術の創出を目指します。
上記研究課題では、脳の障害後に代償性神経回路が形成される分子メカニズムを解明するとともに、神経回路の再編成を促進することによって、失われた神経機能の回復を図る分子標的治療法の開発を行います。
<研究の背景と経緯>
発達期の脳では、神経細胞による活発な神経回路の構築が行われています。このダイナミックに変化する神経回路および神経細胞の生存を維持する仕組みが、神経回路の周囲の環境に存在すると以前から考えられてきました。実際に末梢神経系では、神経細胞の標的となる器官より放出される神経栄養因子により、神経回路・神経細胞の維持が行われていることが知られていますが、中枢神経系において、このような仕組みが本当に存在するのか、またその場合どのような細胞や周囲の環境がこれに寄与するのかについては不明のままでした。
一方で、脳内の免疫細胞とされるミクログリアは、病気などの脳の中で、組織の炎症・修復・除去といった機能に特化する細胞と考えられてきました。しかし近年の研究から、正常な脳あるいは発達期の脳においても、ミクログリアは形態を変化させ、シナプスや死細胞の除去といった脳環境の維持に不可欠な事象に積極的に関わっていることが示されてきています。特に、ヒトやげっ歯類の発達期の脳では、活性化したミクログリアが脳の軸索(注3)が集まる白質(注4)に集中している、という特徴的な所見が報告されていますが、これら細胞がどのような役割を持っているのかは、全く不明のままでした。
<研究の内容>
本研究グループは、脳発達期のミクログリアの役割を調べる目的で、ミクログリアの脳内での分布を調べることから始めました。マウスにおいて、ミクログリアは生後1週間の間に、脳内の神経軸索が通過する部位に集まり、形態的な特徴から活性化していることが分かりました(図1)。この特徴的な分布は、生後2週目以降から成体にかけて認められなくなりました。これらの観察から、ミクログリアが神経軸索に対して、何らかの生理的な役割を持っているのではないかと推察しました。
この役割を解明するために、まずミクログリアの活性化を抑制する薬剤ミノサイクリンを新生児マウスに投与し、脳内に起こる変化を観察しました。すると、大脳皮質(注5)の第5層に存在する神経細胞に特異的に細胞死を引き起こすことを発見しました。
大脳皮質の第5層には、脊髄へと軸索を伸ばし運動機能をつかさどる皮質脊髄路(注6)神経細胞や反対側の大脳皮質へと軸索を伸ばす神経細胞が存在します。ミクログリアの分布を詳細に観察すると、これら神経細胞の軸索の周囲に活性化したミクログリアが集まっていることが分かりました。
これらの結果から、脳発達の特定の時期に、ミクログリアが軸索と密接に関わりながら、大脳皮質第5層神経細胞を保護していると考えられました。このミクログリアの役割を検証するため、ミクログリアのみを除去したり活性化状態を変化させたりすることができる遺伝子改変マウスを用いて観察を続けました。その結果、これらマウスにおいてもミクログリアの機能を阻害すると、大脳皮質第5層の神経細胞に細胞死が誘導されることが分かりました(図2)。
次に本研究グループは、ミクログリアにより神経細胞を保護するメカニズムを解明することを目指しました。ミクログリアから放出される因子を網羅的に調べた結果、IGF1がミクログリアに多く発現していることが分かりました(図3)。培養細胞やマウスを用いてミクログリアから放出されるIGF1を阻害したところ、神経細胞に細胞死が誘導されました。このことから、ミクログリアから放出されるIGF1が神経細胞の保護に関与していることが明らかになりました。また、ミノサイクリンを投与されたマウスやミクログリアのみの活性化状態を変化させたマウスでは、IGF1シグナルを抑制するIGFBPの発現が増加して、神経細胞死を誘導することが分かりました。
<今後の展開>
今回の研究により、脳内の免疫細胞と考えられていたミクログリアの新たな機能が明らかになりました。この発見により、発達期に神経細胞が維持されるメカニズムが明らかになりました。特に大脳皮質第5層に存在する皮質脊髄路神経細胞は、脊髄損傷、脳血管障害、筋萎縮性側索硬化症といった脳の病気やけがで傷害を受け、その結果、運動機能に重篤な障害がもたらされることが知られています。ミクログリアによってこれら神経細胞を保護する効果を誘導することができれば、新たな治療法の開発につながると期待されます。
*参考図、用語解説は添付の関連資料を参照
関連ホームページ
(独)科学技術振興機構 ホームページ(http://www.jst.go.jp/)
大阪大学 ホームページ(http://www.osaka-u.ac.jp/)」(全文)
◆2013/03/26 「装着型ロボ使い、歩行の臨床試験(Science&Techフラッシュ)」
『日本経済新聞』
「■国立病院機構新潟病院 筑波大学発のベンチャー企業、サイバーダイン社(茨城県つくば市)が開発した装着型ロボット「HAL―HN01」を使った医師主導の臨床試験(治験)を始めた。神経や筋肉の難病で両脚に障害があり、歩行が不安定な患者を対象に、歩行改善と安全性を検証する。日本発の装着型医療ロボットとして世界初の実用化を目指す。
HALは脚を動かそうと思ったときに流れる電流をセンサーで検知し、モーターで患者の脚の動きを補助する。
治験は脊髄性萎縮症、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、筋ジストロフィーなどの希少性疾患が対象。新潟病院のほか、国立病院機構刀根山病院、国立精神・神経医療研究センター病院、自治医科大学付属病院、筑波大学付属病院などで計30人に実施する計画。」(全文)
◆2013/03/26 「国立病院機構新潟病院、装着型ロボ使い歩行の臨床試験」
『日経速報ニュースアーカイブ』
「国立病院機構新潟病院は筑波大学発のベンチャー企業、サイバーダイン社(茨城県つくば市)が開発した装着型ロボット「HAL―HN01」を使った医師主導の臨床試験(治験)を始めた。神経や筋肉の難病で両脚に障害があり、歩行が不安定な患者を対象に、歩行改善と安全性を検証する。日本発の装着型医療ロボットとして世界初の実用化を目指す。
HALは脚を動かそうと思ったときに流れる電流をセンサーで検知し、モーターで患者の脚の動きを補助する。
治験は脊髄性萎縮症、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、筋ジストロフィーなどの希少性疾患が対象。新潟病院のほか、国立病院機構刀根山病院、国立精神・神経医療研究センター病院、自治医科大学付属病院、筑波大学付属病院などで計30人に実施する計画。」(全文)
*作成:長谷川 唯