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『海のいる風景――重症心身障害のある子どもの親であるということ 新版』

児玉 真美 20120920 生活書院,278p.


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児玉 真美 20120920 『海のいる風景――重症心身障害のある子どもの親であるということ 新版』,生活書院,278p. ISBN-10: 4903690970 ISBN-13: 978-4903690971 1600+ [amazon][kinokuniya] ※
 *初版 20020902 三輪書店,231p. ISBN-10: 4895901793 ISBN-13: 978-4895901796 [amazon][kinokuniya]

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内容(「BOOK」データベースより)
「重い障害のある子どもの親である」ということと向き合いわが身に引き受けていく過程と、その中でのヒリヒリと痛い葛藤や危ういクライシスを描き切った珠玉の一冊。

■著者

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
児玉/真美
1956年生まれ。京都大学文学部卒業。カンザス大学教育学部にてマスター・オブ・アーツ取得(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次

十年の後―新版刊行によせて
ケアラー連盟(現・日本ケアラー連盟)設立一周年記念フォーラムにて
プロローグ てっちゃん家の話
週末の親子
いのち
「不思議の国」
なんか、ヘン…
善意は厄介なのだ
田舎の優等生
母子入園
親バカと世間サマ
車椅子入店拒否事件
病院は娑婆にあらず
美しいウソ
迷い
決断
子育ての「四大苦」
私はただの無になった
あすなろ療育園
追い詰めるのは誰?
言葉を持たないということ
私は「半人前」でしかない…
うちらの子
「受容」は続く
闘い
研修会にて
その夜
気がついたら、いつの間にか

■引用

 「入園中、赤ん坊の頭を苦しい位置に押さえつけて本能的に暴れさせ、その試行錯誤の あがきの中から正しい寝返り動作を身につけさせるというボイタ法の訓練には、私は精神的な影響の方が気になって、正直なところ、あまり信頼を持てなかった。母親との信頼関係を形づくるうえで一番大切な時期にこんな訓練を佐瀬で、取り返<0105<しのつかない傷を心に負わせてしまったら、いったい誰が責任をとってくれるんだ……?
 けれど、母親のそんな懸念をよそに、むしろ、ふんが、ふんが、と鼻膨らませてがんばってみせたのは、当の本人だった。これには内心、度肝を抜かれた。最初の数回こそパニックしたものの、すぐに泣かなくなった海は、一歳足らずの分際で、ちゃんと意欲的にリハビリに取り組もうとしていた。人間が何かを本能的に察知するということはきっと、頭で納得する以上にすごいことなのだ。
 母子入園から帰った日に一度成功すると、海は「できるはず」という手応えを確かにし、 放っておいても一人でせっせと寝返りにチャレンジしていた。そして、寝返りが成功して、きわどいところに置いてあるオモチャをゲットした暁には、「どーだぁ!」とエベレストでも征服したような自慢げな顔で親を振り向き、手にしたオモチャを見せびらかす。そんなふうにして両側ともマスターした海は、そのうちティッシュの箱の誘惑に引きづられて、 少しずつ肘這いもできるようになっていった。」(児玉[2002→2012:105-106])


UP:20121021 REV:20121022
脳性マヒ  ◇児玉 真美  ◇テキストデータ入手可能な本  ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK
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