『閉じこもるインターネット――グーグル・パーソナライズ・民主主義』
Pariser, Eli 2011 The Filter Bubble: What the Internet is Hiding from You,Elyse Cheney Literary Associates.
=20120225 井口耕二訳,早川書房,328p.
last update:20130112
■Pariser, Eli (イーライ・パリサー) 2011, The Filter Bubble: What the Internet is Hiding from You,Elyse Cheney Literary Associates.
=20120225 井口耕二訳 『閉じこもるインターネット――グーグル・パーソナライズ・民主主義』,早川書房,328p.
ISBN-10: 4152092769 ISBN-13: 978-4152092762 \2000+税
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■内容
自由でパブリックでオープンな場――。かつてインターネットを創った人々が目指したのは、情報を統制から解放し、
異なる意見を持つ人間どうしがつながる時代をもたらすことだった。だが今日のネットは逆方向に進化している。急速なアルゴリズムの発達により、
私たちは、自分が見たい情報だけをフィルタリングして見せてくれる「フィルターバブル」で覆われつつあるのだ。ネット社会の「福音」か、それとも最大の危機か。
あなた好みの情報を自動的に取捨選択して見せてくれる、近年のネット社会のフィルタリング技術。その裏に潜む、民主主義さえゆるがしかねない意外な落とし穴とは。
情報過多の現代において一見「福音」とも思えるこの「フィルターバブル」が、私たちの思想、行動、ひいては民主主義に及ぼす悪影響とは?
黎明期のネットの理想を実現するために、政府、企業、そして私たちは何をすべきか?
「フィルターバブル」問題に警鐘を鳴らすニューヨークタイムズ・ベストセラー、待望の日本語版。本書を読まずして、これからの情報社会は語れない。
■著者紹介
1980年生まれ。アメリカ最大のリベラル系市民政治団体の1つ、「ムーブオン」(MoveOn.org)の元エグゼクティブ・ディレクターで、現在は理事会長。
2001年、暴力の連鎖を断ち切って平和を訴える署名サイト「9‐11peace.org」を開設。わずか数週間で192カ国から50万人の署名を集めたことで脚光を浴び、
ムーブオンのキャンペーン・ディレクターにスカウトされる。「Obama in 30 Seconds」など彼の独創性あふれるキャンペーンと、少額寄付システムの確立によって、
ムーブオンは会員数500万人を突破。1億2000万ドルの寄付を集める有力NPOに成長している。2011年、本書のテーマでTED講演"Beware online "filter bubbles""を行ない、
大きな反響を呼んだ。TED講演(日本語字幕付き)はこちら。
http://www.ted.com/talks/lang/ja/eli_pariser_beware_online_filter_bubbles.html
■訳者紹介
1959年生まれ。東京大学工学部卒業。米国オハイオ州立大学大学院修士課程修了。大手石油会社勤務を経て、技術・実務翻訳者として独立。翻訳活動のかたわら、
プロ翻訳者の情報交換サイト「翻訳フォーラム」を共同主宰。訳書にアイザックソン『スティーブ・ジョブズ』、ガロ『スティーブ・ジョブズ――驚異のプレゼン』、
ウォズニアック『アップルを創った怪物』、ジットレイン『インターネットが死ぬ日』、ラニアー『人間はガジェットではない』など多数。
著書に『実務翻訳を仕事にする』がある。
■目次
はじめに
第一章 関連性を追求する競争
ジョン・アーヴィング問題/クリック信号/どこでもフェイスブック/データ市場
第二章 ユーザーがコンテンツ
世間一般という聴衆の興亡/新たな「中」/ビッグボード/アップルとアフガニスタン
第三章 アデラル社会
絶妙なバランス/アデラル社会/発見の時代/カリフォルニア島にて
第四章 自分ループ
「あなた」を表現するおそまつな方法/弱点を狙う/深くて狭い道/事件や冒険
第五章 大衆は関連性がない
クラウドの領主たち/友好的世界症候群/目に見えない選挙活動/細分化/対話と民主主義
第六章 Hello, World!
知者の帝国/新種の建築家/ご都合主義/500億ドルの砂の城/「どういうゲームをしているのか?」
第七章 望まれるものを――望むと望まざるとにかかわらず
ゲイダーを持つロボット/すでに未来はここにある/理論の終焉/仮想世界でもタダのランチはありえない/変わる世界/失われつつあるコントロール
第八章 孤立集団の街からの逃亡
モザイク/個人にできること/企業にできること/政府と市民にできること
訳者あとがき
参考文献
原注
■引用
■書評・紹介
「あなたが見ているネットは、わたしが見ているネットと同じではない。広告から検索結果まで、あらゆる情報がカスタマイズされるいま、グーグル、フェイスブック、
ツイッターの未来について考えることは『政治』そのものなのだ。」――東浩紀(『一般意志2.0』)
「ネットはもはや『誰でも自由に参加できる情報の公共空間』ではない。我々に今求められているのは、情報社会の未来像を知り、自ら考え、行動することだ。
最新のスマホを買う前に本書を読み、それを持つことの意味を考えてもらいたい。」――津田大介(『情報の呼吸法』)
「衝撃的な一冊。」 ――クリス・アンダーソン(『フリー』)
「10年以上前から、先見の明ある人々は、インターネットの「完璧すぎるパーソナライズ」が行きつく先を懸念してきた。
本書はこの問題をめぐる最もパワフルかつタフな論考である。」――ローレンス・レッシグ(『CODE』)
■言及
*作成:北村 健太郎