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『見えないものと見えるもの――社交とアシストの障害学』

石川 准 20040113 医学書院,270p.


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『見えないものと見えるもの――社交とアシストの障害学』

■石川 准 20040113 『見えないものと見えるもの――社交とアシストの障害学』,医学書院,270p. 2100 [amazon][kinokuniya][kinokuniya][bk1] ※

書 名:見えないものと見えるもの―社交とアシストの障害学
著 者:石川 准(静岡県立大学教授、障害学会会長)
仕 様:A5版、タテ組、270ページ
定 価:2000円+税
発 行:医学書院 2004年1月刊
http://www.igaku-shoin.co.jp

■内容説明[bk1]
気づかいは裏切られ、社交は続かず、感情は挫折する。そんな破綻の先で、人はようやく他者と出会えるのかもしれない−。社会学者にしてプログラマ、全知にして全盲、強気にして気弱な著者が、冷静と情熱の間で障害学を語る。

リブロ・コミカレ特別セミナー
『見えないものと見えるもの』発刊記念

語ること、聴くことをめぐる当事者学
石川准vs.上野千鶴子


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日時  4月6日(火)19:00〜20:30
場所  池袋西武イルムス館8階 西武コミュニティ・カレッジ3.4番教室  
参加費 1000円(税込) 先着150名様
★チケットはリブロ池袋本店 注文カウンター(イルムス館 B1F)にて発売中。
★電話でのチケット予約もOK(その場合は、当日・会場入り口にて代金と引換となります。)
問合せ先 リブロ池袋本店・注文カウンター 03-5949-2933

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石川准氏は全盲の社会学者&プログラマ。東大入学後アメリカに留学し、ソフトウェアを開発するかたわらアイデンティティ・ポリティックスについて論じる。昨年設立された障害学会の初代会長でもある。
そんな「できる」障害者である石川氏が、「できないこと、弱いこと」について自在に語ったのが『見えないものと見えるもの――社交とアシストの障害学』(ケアをひらくシリーズ・医学書院)だ。
「存在証明に汲々としている普段の私から最も遠いところにある〈ケア〉とか〈アシスト〉とか〈人とのつながり〉について考えてみたら、すごくおもしろかった」と石川氏は言う。

一方、女性運動に長くかかわり、女性学のパイオニアでもある上野千鶴子氏は、昨年10月に刊行した『当事者主権』(中西正司氏との共著、岩波新書)で、障害者・女性・患者らの当事者運動の連携を呼びかけて話題を呼んだ。また、北海道浦河町にある"脱力系"精神障害者の当事者グループ「べてるの家」との交流ぶりも知られるところだ。
上野氏は「語る人」である一方で、一貫して、口ごもりがちな当事者の語りに耳を傾ける「聴く人」でもあった。

「当事者性」をテーマに論考を進めている両者は、オルタナティブな社会を構想するためのキーワードとして「弱さ」「ケア」「自己決定」に着目するなど共通点は多い。
とはいえ石川氏は、前掲書サブタイトルにあるように「社交とアシスト」に傾く軟派系だ。一方「当事者主権」を主張する上野氏はやはり硬派なのだろう。いま話題の感情労働についても石川氏は、「感情労働は必要だ。なぜなら感情労働が破綻したときにはじめて人と人は出会えるからだ」と一筋縄でいかない議論を展開する。しかし、ケアワーカーら感情労働の多くが女性によって担われている現状を見れば、また別の問い方もあり得るだろう。

同じなのか、違っているのか、地続きなのか――。

女性運動と障害者運動は、かつて近づいたり離れたり、さまざまなかたちで出会ったり、出会いそびれてきた。語ることと聴くことの達人同士は、今度はどんな出会い方をするのだろうか。

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石川 准(いしかわ・じゅん)……1956年富山県生まれ。16歳のときに網膜剥離で失明。東京大学文学部(社会学科)卒業、同大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。現在、静岡県立大学国際関係学部教授。2003年10月に設立された障害学会Japan Society for Disability Studiesの初代会長。
著書に、『アイデンティティ・ゲーム』新評論、『人はなぜ認められたいのか』旬報社、『障害学への招待』『障害学の主張』編著・明石書店、『管理される心』共訳・世界思想社など。最新作に『見えないものと見えるもの』(医学書院)がある。

上野千鶴子(うえの・ちづこ)……1948年石川県生まれ。社会学者。現在東京大学大学院人文社会系研究科教授。著書に『家父長性と資本制』『近代家族の成立と終焉』『差異の政治学』(以上、岩波書店)、『ナショナリズムとジェンダー』(青土社)、『国境お構いなし』(朝日新聞社)『サヨナラ、学校化社会』(太郎次郎社)など。昨年『当事者主権』(共著、岩波新書)最新作を発行した。


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[編集担当の白石正明さん(医学書院)による宣伝]

気づかいは裏切られ、社交は続かず、感情労働は挫折する。
そんな破綻の先で、人はようやく他者と出会えるのかもしれない。
――だから障害学はおもしろい。


石川氏は、16歳で網膜剥離で両眼の視力を失いました。その後、母親に参考書を読んでもらいながら受験勉強を続け20歳で東大に入学。アメリカ留学を経て、現在は第一線の社会学者/プログラマとして活躍しています。
そのような「できる障害者」の一人であり、かつそうありたいと願う石川氏が、「できないこと、弱いこと」がひらく可能性について考え尽くしました。コンピュータのプログラミング、感情労働、暴力、セックス、ネットオークション、地域通貨、社交論など、コミュニケーションにかかわる様々な話題に《障害》という論点を挿し込むといかにおもしろくなるかを教えてくれます。
社会学者にしてプログラマ、全知にして全盲、強気にして気弱、感情的な合理主義者……“いつも二つある”著者が冷静と情熱のあいだで書き下ろした、つながるため障害学です。
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[目次]
第1章 天然いい人、人工いい人
1 社会学者にしてプログラマである理由
2 ユーザを巻き込むことにより私は開発に釘付けになる
3 道具を作る自由

第2章 寛容の身振りの先にあるもの
1 センサーと引き金
2 感情労働者たち
3 他者をもてなすべし
4 アシストに徹する人々もいる
5 感情管理が破綻し、感情公共性の幕が開く

第3章 人はいつ暴力的になるのか
1 芥川の『鼻』を読む
2 善良であろうとする人々の暴力
3 永遠の愛は人間的ではない

第4章 セクシュアリティのツボ
1 人は自己の特権を侵さない者にそそられるのか
2 私はアンビバレンスに魅了される
3 セックスを脱規格化する

第5章 脱社交的関係
1 ネットオークションの醍醐味
2 地域通貨で昔話を買う
3 「託す」という関係
4 社交、非社交、脱社交

第6章 だれもが元気に、自由に、つつがなく暮らせる社会
1 人は無意味に働きたいわけではない
2 配慮の平等

終章 「1型の障害者」と言いたいのはやまやまだが
1 「名付け」と「名乗り」のポリティクス
2 アイデンティティを立ち上げずにポジションを引き受ける


◇石川さんより

Date: Thu, 15 Jan 2004 05:15:12 +0900
Subject: [jsds:8754] 新著の紹介

石川です。
拙著の紹介をいたします。

これまで、存在証明=アイデンティティ論、障害学、感情社会学などを柱に仕事をし
てきましたが、今回初めてケアとかアシストについて考えてみました。
御高覧いただき、感想、ご批判など頂戴できれば幸いです。
なお、今回も出版社=医学書院のご好意で、テキスト版の提供が実現しました。
それから、もう一つ新しい試みとして、本の面表紙にインクを厚く塗る方法で書名と
著者名の点字表記を行いました。ちょっと面白いと思います。
書店に並ぶのは週末あたりのことと思います。

以下は目次です。[略]

◇引用

第5章 脱社交的関係
1 ネットオークションの醍醐味
2 地域通貨で昔話を買う
3 「託す」という関係
4 社交、非社交、脱社交

 「介護する・されるの関係には脱社交的な付き合いを触発する可能性がある。社交的に振る舞えない障害者がいることで、そこに脱社交的の関係が生じる。障害者の非作為的脱社交が、介護者の脱社交を支援する。脱社交モードに入りやすいのは、先にそのモードに入っている人がいるときだ。先に裸になっている人がいると、裸になることが恥ずかしくなる。よそゆきのかっこうをしているほうがむしろ恥かしくなる。
 重度障害者が生きていけるのは、脱社交という感情公共性を主催できる立場にいるからである。そこに自分を開示したいのになかなかできないという人が集まる。自分のすべてをさらけ出して全力で生きている障害者の介護をするなかで、介護者たちは、ある者は介護ノートで、ある者は障害者に直に、自分のことを語り出す。そうやって自分の戦略性が解体していく。」(p.207)

第6章 だれもが元気に、自由に、つつがなく暮らせる社会
1 人は無意味に働きたいわけではない
2 配慮の平等

 立岩『自由の平等』への言及
 「(1)できることと所有することをつなぐことを否定する。生産する人と、生産され譲渡できるもきを切り離す。できた結果を分配することを正しいとする。
 (2)できることは人の価値ではないとする。できることよりも…」


□紹介・書評

◇立岩 真也 2004/05/25 「障害学の本・再度」(医療と社会ブックガイド・38)
 『看護教育』45-05:(医学書院)


UP:20040121 http://www.arsvi.com/b2000/0401ij.htm REV:20040330,0404,06
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