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『海を飛ぶ夢』

Sampedro,Ramon 2004 Cartas desde el infierno,Editorial Planeta
=20050423 轟 志津香・宮崎 真紀・中川 紀子 訳,翔年社,207p.


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■Sampedro,Ramon 2004 Cartas desde el infierno,Editorial Planeta
=20050423 轟 志津香・宮崎 真紀・中川 紀子 訳 『海を飛ぶ夢』,アーティストハウス,207p. ISBN-10:4902088738 ISBN-13:978-4902088731 \1238 [amazon][kinokuniya] ※ 

■内容(「BOOK」データベースより)
30年間望み続けてきたもの―それは「死」。安楽死を公式に求めた初のスペイン人、ラモン・サンペドロ。悲惨な事故で四肢麻痺となって以来、ベッドで寝たきりのまま、口にペンをくわえて書いた手紙と詩、エッセイで構成された本書は、1996年初版刊行以来、スペインで壮絶な議論を呼び、ロングセラーを続ける問題作。本書に深くインスパイアされたアレハンドロ・アメナーバルによる映画化で話題となる。死のなかに「自由」を求めて闘ったひとりの男の真摯な生の証。死、自由、愛、家族と介護について鮮烈に問う感動の1冊。

■内容(「MARC」データベースより)
安楽死を公式に求めた初のスペイン人。悲惨な事故で四肢麻痺となって以来、ペンを口にくわえて書いた手紙と詩、エッセイで構成された書。死の中に自由を求めて闘った一人の男の真摯な生の証。

■著者紹介
ラモン・サンペドロ
本名ラモン・サンペドロ・カメラン。1943年1月5日、スペインの北西部ラ・コルーニャ県の小さな村、シューニョに生まれる。22歳のとき、ノルウェーの商船に整備工として乗り組み、世界の49の港を旅する。後にこの経験は、彼の良き時代を象徴する思い出となる。
1968年8月23日、岩場から海に転落。潮が引いていたため、海底に頭部を強打し、第七頚椎を骨折する。以来、約30年にわたり、死が自由をもたらしてくれることを願いながら、四肢麻痺の生活を送る。
スペインで初めて法廷の場で安楽死を求めるが、憲法裁判所は「手続き上の不備」を理由に訴えを却下する。しかし、彼の要求をきっかけに、安楽死が社会的問題として注目を集めるようになる。メディア上でも尊厳死の訴えを続け、国民の支持を得るが、1998年1月、かねてからの計画通り、家族と住んだ家を離れ、近郊の村ボイロである女性の手を借りて自らの人生に終止符を打った。
彼の死後、義姉マヌエラによって彼の訴えは欧州人権裁判所(フランス、ストラスブール)、国連人権委員会に持ち込まれるが、いずれの機関にも受理されることはなかった。

■目次


■引用

本書に寄せて 映画《海を飛ぶ夢》監督 アレハンドロ・アメナーバル
「 厳密にいうと、本書は映画《海を飛ぶ夢》の“原作本”ではない。むしろ、それをはるかに超えたものだ。本書に満ちあふれる知性と詩情に突き動かされ、わたしはこの意義深い映画を撮ることになった。つまり、本書は単なる原作というより、この映画の哲学的支柱というべきものだ。
 著書のラモンは、二十年余という歳月をベッドの上で自らを深く見つめ、さまざまな書物を読みふけり、多くの人々と言葉を交わし、筆を走らせ続けた。そして、ついに彼は、ラモンという一個の人間の自由を尊重するという明確な目的をもって、これらの「手紙」を本にすることを決意したのである。
 本書は同時に、読む者をして死の深淵をのぞかせ、生と死の境界線上に立たせる。わたしたちが生きるこの世界と、「もうひとつの世界」を分かつ境界線――それは「無」というべきものかもしれない――。」(p.6)

訳者あとがき
「「なぜみんな死を恐れる? 死は感染しないのに――」
 映画《海を飛ぶ夢》の中の台詞だ。こんな言葉をさらりと口にする人物、それが本書の著者であり、映画の主人公でもあるラモン・サンペドロである。
「死に興味がある」と自ら語るアレハンドロ・アメナーバル監督は、ラモンに心を奪われた者のひとりだ。アメナーバルと本書との出会いが、後に映画《海を飛ぶ夢》を生むことになる。ラモンの死生観に深く感銘を受け、彼の人生を語り継ぐ使命感に駆られたアメナーバルの手によって、いまは亡きラモンがわたしたちの前に姿を現したのだ。
 映画を観た者は、誰もが思うだろう。何気ない彼の一言一言が、あれほどまでに強い説得力をもってわたしたちの耳に響くのはなぜか。彼のゆるぎない信念はどこからくるのだろうか……。二十九年もの間、彼がベッドの中で考えていたこと、感じていたことを共有したいという思いが湧き上がってくるのだ。本書は、その思いに十分応えてくれるだろう。
 原初"Cartas desde el infierno"(英題 Letters from Hell,地獄からの手紙)は1996年>0204>に出版されたが、2004年、作品の映画化にともない映画監督の序文とラモンが家族に宛てた「別れの手紙」が付け加えられ、新たに刊行された。本書はその邦訳である。」(pp.204-205)


■書評・紹介

■言及

(本書ではなく映画への言及として)
◇浅井 篤 編 20061020 『シネマの中の人間と医療――エシックス・シアターへの招待』,医療文化社
 第14話 『海を飛ぶ夢』積極的安楽死を考える


*作成:石田 智恵
UP:20090203 REV:20091225
安楽死・尊厳死 euthanasia / death with dignity安楽死・尊厳死 文献  ◇身体×世界:関連書籍 2005-  ◇BOOK
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