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ALS患者のQOL評価に関する文献調査に基づく研究

厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患克服研究事業)
総合研究報告書
Word版〔DOC〕

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last update: 20160218


ALS患者のQOL評価に関する文献調査に基づく研究

堀田義太郎 立命館大学衣笠総合研究機構 ポストドクトラルフェロー
安藤道人 株式会社三菱総合研究所 地域経営研究本部 研究員
分担研究者 川口有美子 NPO法人ALS/MNDサポートセンターさくら会理事

研究要旨
目的:QOL評価、とくに適切な測定評価法に関する文献をレビューし、その意義と課題を明らかにする。方法:文献研究。結果: PUBMEDにより[ALS QOL]で検索した結果を中心にして、目的に基づき19件の論文を選別した。傾向は非身体的QOL構成要素に着目する研究が10件、患者とケア提供者の双方のQOLに着眼した研究が6件であった。これらのレビューを通して、この二つの傾向の意義を確認し、さらにその課題を提示した。


A.研究目的

本研究の目的は、ALS患者を対象としたQOL評価の先行研究をレビューし、その意義と課題について考察することである。
臨床医学や医療経済学においては、患者の健康状態を評価し、医療の効果あるいは費用対効果を計ることは最重要課題の一つである。また、ALSのように重度の身体障害を伴う難病患者の生活の質(QOL)の評価は、医学的な関心を超えて、難病患者や障害者の社会的生活の実態把握や効果的な社会的支援のあり方にも関わる問題である。

B.研究方法

文献調査に基づく。
なお、本研究は文献研究であるため倫理面に配慮する必要はなかった。

C.研究結果
C−1. QOL評価の概要
C−1−1. QOLの定義

まず、あらためてQuality of Life(QOL:生活の質あるいは生命の質)の意味と、これまでの研究で用いられてきたQOLの主要な尺度について概説しておきたい。QOLが多義的であり、容易に定義付けられないことは多くのQOLの教科書や論文の冒頭に書かれている 。たとえばWHOは以下のようにQOLを解説している。

文化や価値観により規定され、その個人の目標、期待、基準および心配事に関連付けられた、生活状況に関する個人個人の知覚(perception)である。QOLはその人の身体的健康、心理状態、依存性レベル、社会関係、個人的信条およびその人の周りの環境の特徴とそれらとの関係性を複雑に含んだ広い範囲の概念である。この定義はQOLが文化的、社会的、環境的な文脈に組み込まれた個人の主観的な評価として参照されるものであるという観点を反映している。QOLは単に"健康状態"、"生活様式"、"生活の満足"、"精神状態"、"幸福状態"と等価ではなくより正確に言えば、QOLはそれら以外の生活側面をも含む多次元的概念である

 この解説から明らかなように、QOLをより厳密に定式化しようとすると、その多元性が失われてしまい、人々の生活全般の質を表すことは困難となってしまう。
しかし、多くの臨床医学や医療経済学で用いられるQOL指標は、分析上・操作上の必要性から、上述した広範な概念よりも限定的な尺度となることが一般的である。例えば、臨床医学や医療経済学で頻繁に用いられるSIP、SIF-36やEuroQoLといった包括的尺度 は、健康関連QOL(以下HRQL)と呼ばれ、健康状態に直接起因するものではないQOLは測定の対象外とされている 。

C−1−2. 包括的尺度

以下ではFayers et al[2000]などに基づいて、SIP、SIF-36、EuroQoLの3つのHRQLの包括的尺度について、その概要を再確認しておこう。
SIPはBergner et al(1981)などによって開発され、患者が知覚する健康状態を行動への影響によって測定しようとするものである。
SIPは136項目からなり、各項目には日常活動があげられ、12の主要な機能不全の領域が網羅されている。回答者は自分ができる活動と自分が該当する記述にマークをつける。感情や認知よりも社会生活面での活動や行動に対する健康の影響に主眼がおかれているが、情緒的なウェルビーイングに関わる項目もいくつか含まれる。これらの項目によって12の各機能不全尺度が算出され、標準スコア算出法 によってスコア化される。
 SIF-36はWare et al[1993]などによって開発されたものであり、身体面、社会生活面、情緒面の機能状態が重視されている。8つの健康の概念を表す36の項目があり、身体的健康と精神的健康を測定する。身体的健康の尺度は身体機能(10項目)、日常役割機能‐身体(4項目)、身体の痛み(2項目)、全体的健康感(5項目)であり、精神的健康の尺度は活力(4項目)、社会生活機能(2項目)、日常役割機能‐情緒(3項目)、心の健康(5項目)である。加えて一般的な健康の変化を尋ねる質問が1項目あり、回答者が自分の健康をどう受け止めているかについての包括的質問がある。これらの項目は標準スコア算出法を用いてスコア化される。
 EuroQol(EQ-5D)はBrooks et al[1996]などによって開発され、簡明さと多国間比較可能性に重点がおかれている。EuroQolでは移動、セルフケア、日常生活活動、痛み/不快感、不安/抑うつの5つの次元が定められ、それぞれ簡単な3種類の回答の選択肢が与えられている。加えて回答者は「今日の自分の健康状態」を垂直VASによって0〜100の間で示すことを求められる。EuroQolは臨床試験の成果指標としてはあまり使われてこなかったが、費用対効果分析を含む一般的な健康評価では広く使われている。
Fayers et al[2000]はHRQLについて一般的に合意が得られていることとして「全般的健康、身体機能、身体症状や薬物毒性による症状、情緒機能、認知機能、役割機能、社会的機能、性機能、および実存的問題を含めてよいということである」と指摘している。しかし、何が健康状態に起因するQOLであるか、を定義あるいは判別するのは容易ではない。例えば、SIP、SIF-36、EuroQoLではいずれも身体機能がQOLの評価尺度として用いられているが、身体機能をそのままQOL評価に含めるとすると、「QOLの高い重度のALS患者」や「QOLの高い重度の身体障害者」は存在し得ないことになってしまう。
また、そもそも「医療によるHRQLの向上の評価」は資源配分による人間のQOLの向上の一側面にしか過ぎない。例えば看護や介護は、必ずしもALS患者の医学的な健康状態を改善させないが、それにかかわらず彼・彼女らのQOL向上に大きく貢献する場合がある。しかしこれらはHRQLでは適切に評価されない可能性がある。
このような問題を克服してより包括的なQOLの測定を意図したQOL尺度も存在する。例えばSEIQoLは、患者自身が自分にとって最も重要と考える項目を選択し、それぞれの項目の重み付けも患者自身が行うという、より主観的な側面が重視されたQOL尺度である。
他に、ALS患者のQOL評価としてよく用いられる包括的尺度としてはMcGill QOL(MQOL)がある。MQOLは、1995年にMcGill大学のRobin Cohenらによって、HRQLでは評価が困難な、life-threatening illnessおよびterminally illの患者のQOLを評価するために開発された 。96年に発表された版では、質問項目は16個で、それぞれに、身体的項目(1〜4)、心理学的項目(5〜8)、実存的側面に関わる項目(9〜14)、サポート領域に関する項目(15および16)の質問が割り振られている。それぞれの質問項目についての知覚は0〜10点で評価される。
しかし、このMQOLについても、身体機能領域を超えた質問を含んでいるがオープンクエスチョンは依然として医学的症状に焦点化されている、という指摘はある 。

C−1−3. 疾患特異的尺度

ALS患者に特化した疾患特異的尺度としては、健康関連QOLとしてSIP/ALS-19(Sickness Impact Profile ALS-19)とALSAQ-40(ALS-specific QOL)があり、MQOLに基づいて非身体的(nonphysical)な側面を含めた包括的QOLを評価する目的で開発された指標として、ALSSQOLがある。開発時期は、SIP/ALS-19が1997年であり、ALSAQ-40が1999年、最も新しいALSSQOLが2006年である。
SIP/ALS-19は、とくにALS患者に対する臨床試験における有用性を目的にして指標数を限定したSIPである。開発理由は、136項目の通常のSIPでは、ALS患者のQOLを測定・評価し、臨床試験において用いるには制御が困難だから、ということである。ALSという疾患にとくに関連する19項目は、ALS患者の身体機能の評価指標とされるTufts Quantitative Neuromuscular Exam(TQNE)との相関性に基づいて導出されている。SIPのサブスケールとTQNE CMとの関係の検証によって33項目と19項目に測定項目を絞り、この二つのMini-SIP指標による測定結果を、筋力の弱化とALS患者のQOLとの影響に関するSIP全体による結果と比較して、最終的に19項目の指標が採用されている 。
ALSAQ-40は、「ALS患者あるいは他の運動神経疾患患者の研究に用いるための疾患特異的な健康関連QOL instrument」である 。開発者であるJenkinson et al.によれば、質問項目は「ALS患者への精密なインタビューに基づいてデザイン」されている。インタビューを通して挙げられた多くの質問項目の候補から、当初は78個の質問項目へ、最終的には「患者の最も顕著かつ中心的な関心事」を表現しているとされる40項目へと絞られている 。
40項目は、健康状態に関する5つの領域(areas)ないし次元(dimensions)に配分されている。健康状態に関する5領域とは、身体的な可動性(Physical Mobility)、ADLと自立性(ADL/Independence)、食べて飲むこと(Eating and Drinking)、コミュニケーション(Communication)、感情作用(Emotional Functioning)であり、質問は、「食べて飲むこと」について3項目、「コミュニケーション」に7項目、他の三つの領域にそれぞれ10項目ずつ配分されている 。
項目内容は、1項目を除いて全ての項目に「私は……なってきた(I have)」という表現が用いられており、40項目のうちの17項目には「……が困難になってきた」といった表現が用いられている 。それぞれの項目に対して、「全く違う(Never)」、「稀に(Rarely)」、「ときどき(Sometimes)」、「しばしば(Often)」、「つねにあるいはまったく避けられない(Always or cannot walk at all)」という5つの評価軸が用意されている。
ALSSQOLは、身体的機能に特化した上記二つのALS疾患特異的QOL指標に対して、非身体的な側面を含めてALS患者のQOL総体を測定しうる指標として開発されている。開発者のSimmons et al.によれば、従来の身体的機能に特化したSIP/ALS-19でもALSAQ-40でもALS患者のQOL全体を評価することはできない。他方で、非身体的因子に配慮したSEIQOLでは、多数の対象者への調査の有用性に問題がある。ALSSQOLは、これらの問題点を踏まえて、ALS患者の生活全体のQOLの評価にとって重要な非身体的な因子に配慮しつつ、大量の対象者間での比較可能性を備えたQOL指標として提示されている。
ALSSQOLのベースはMQOLであり、ALS患者へのインタビューに基づいてとくにスピリチュアルな側面と宗教に関わる項目が加えられている。項目数は、完全版では59個で、それぞれについて0〜10のスコアがある(合計0点〜590点)。59項目のなかの46項目は、6つの因子(factors)に配分される。6つの因子とその該当項目数はそれぞれ、「否定的感情(Negative emotion)」(13項目)、「人々および社会との相互作用(Interaction with people and the environment)」(11項目)、「親密性(Intimacy)」(7項目)、「宗教性(Religiosity)」(4項目)、「身体的症候(Physical symptoms)」(6項目)、「球機能(Bulbar function)」(5項目)である(Simmons et al. 2006: 1660)。これら46項目のバージョンを簡易版として用いることも可能だとされている。

※ 表1には、代表的なHRQLであるSF-36、EuroQoL、MQOL、そして健康状態を超えた生活の質全般を評価しようとする試みであるSEIQoL、さらにALSに対する疾患特異的測定尺度であるALSSQOLとALSAQ-40について整理している。

C−2. ALS患者のQOL評価の先行研究

PUBMED上で「ALS QOL」で検索して得られた文献(38本)を主な対象として、ALS患者のQOL評価方法にとくに焦点化した論文を選別した結果、以下の19件が得られた(発行年順)。

@ Gelinas DF, O'Connor P, Miller RG. [1998] "Quality of life for ventilator-dependent ALS patients and their caregivers." J Neurol Sci (suppl. 1):S134-S136.
A Jenkinson C, Levvy G, Fitzpatrick R, Garratt A (2000):The amyotrophic lateral sclerosis assessment questionnaire (ALSAQ-40): tests of data quality, score reliability and response rate in a survey of patients. J. Neurol. Sci.180:94-100
B Simmons Z, Bremer BA, Robbins RA, Walsh SM, Fischer S (2000):Quality of life in ALS depends on factors other than strength and physical function. Neurology.55:388-392
C Robbins RA, Simmons Z, Bremer BA, Walsh SM, Fischer S (2001):Quality of life in ALS is maintained as physical function declines. Neurology.56:442-444
D Clarke S, Hickey A, O'Boyle C, Hardiman O (2001):Assessing individual quality of life in amyotrophic lateral sclerosis. Qual. Life. Res.10:149-158
E Neudert C, Wasner M, Borasio GD (2001):Patients' assessment of quality of life instruments: a randomised study of SIP, SF-36 and SEIQoL-DW in patients with amyotrophic lateral sclerosis. J. Neurol. Sci.191:103-109
F Kiebert GM, Green C, Murphy C, Mitchell JD, O'Brien M, Burrell A, Leigh PN (2001):Patients' health-related quality of life and utilities associated with different stages of amyotrophic lateral sclerosis. J. Neurol. Sci.191:87-93
G Goldstein LH, Atkins L, Leigh PN (2002):Correlates of Quality of Life in people with motor neuron disease (MND). Amyotroph. Lateral. Scler. Other. Motor. Neuron. Disord. 3:123-129.
H Bromberg MB, Forshew DA (2002):Comparison of instruments addressing quality of life in patients with ALS and their caregivers. Neurology.58:320-322
I Green C, Kiebert G, Murphy C, Mitchell JD, O'Brien M, Burrell A, Leigh PN (2003):Patients' health-related quality-of-life and health state values for motor neurone disease/amyotrophic lateral sclerosis. Qual. Life. Res.12:565-574
J Trail M, Nelson ND, Van JN, Appel SH, Lai EC (2003):A study comparing patients with amyotrophic lateral sclerosis and their caregivers on measures of quality of life, depression, and their attitudes toward treatment options. J. Neurol. Sci.209:79-85
K Kaub-Wittemer D, Steinbuchel N, Wasner M, Laier-Groeneveld G, Borasio GD (2003):Quality of life and psychosocial issues in ventilated patients with amyotrophic lateral sclerosis and their caregivers. J. Pain. Symptom. Manage.26:890-896
L Chi? A, Gauthier A, Montuschi A, Calvo A, Di Vito N, Ghiglione P, Mutani R (2004):A cross sectional study on determinants of quality of life in ALS. J. Neurol. Neurosurg. Psychiatry.75:1597-1601
M Van den Berg JP, Kalmijn S, Lindeman E, Veldink JH, de Visser M, Van der Graaff MM, Wokke JH, Van den Berg LH (2005):Multidisciplinary ALS care improves quality of life in patients with ALS. Neurology.65:1264-1267
N Lo Coco G, Lo Coco D, Cicero V, Oliveri A, Lo Verso G, Piccoli F, La Bella V (2005):Individual and health-related quality of life assessment in amyotrophic lateral sclerosis patients and their caregivers. J. Neurol. Sci.238:11-17
O Simmons Z, Felgoise SH, Bremer BA, Walsh SM, Hufford DJ, Bromberg MB, David W, Forshew DA, Heiman-Patterson TD, Lai EC, McCluskey L 2006):The ALSSQOL: balancing physical and nonphysical factors in assessing quality of life in ALS. Neurology.67:1659-1664
P Gauthier A, Vignola A, Calvo A, Cavallo E, Moglia C, Sellitti L, Mutani R, Chio A (2007):A longitudinal study on quality of life and depression in ALS patient-caregiver couples. Neurology.68:923-926
Q De Groot IJ, Post MW, van Heuveln T, Van den Berg LH, Lindeman E (2007):Cross-sectional and longitudinal correlations between disease progression and different health-related quality of life domains in persons with amyotrophic lateral sclerosis. Amyotroph. Lateral. Scler.8:356-361
R Foley G, O'Mahony P, Hardiman O (2007):Perceptions of quality of life in people with ALS: effects of coping and health care. Amyotroph. Lateral. Scler.8:164-169

※ 今回とくにレビュー対象とした文献の概要は、表2に示した。

これらを地域別で分類すると(研究対象が重なる文献もあるので文献数全体の地域比率)、アメリカ合州国が6件、イギリスが4件、アイルランドとドイツが2件ずつ、オランダが2件、イタリアが3件である。
以下に、QOLの非身体的要素への着目と家族ケア提供者(Family caregivers)のQOLへの着目という二つの観点から、その内容を簡単にまとめる。

C−2−1. 非身体的要素への着目――主観的QOLと疾患の重篤度との関係性

QOL評価方法に焦点化した論文に限定したことの帰結でもあるが、非身体的な側面に焦点化して患者のQOLを評価しようとする文献が、独自のQOL指標の開発を目指した議論も含めると10件である(BCDEGLNOQR なおNは次項の分類にも該当する)。
Q(De Groot et al.)を除く9件が、身体機能中心の健康関連QOL指標とは別に、MQOLやSEIQOLなどの非身体的な個人的QOL指標を用いてQOL評価を試みている。
これらの研究のすべてが、患者の主観的QOLスコア(De GrootらにおいてはSF-12の「メンタルヘルス」に関する項目)は身体機能の障害の進行とともに必ずしも低下しない、と指摘している。
患者の非身体的QOLに関心をもつ理由として最もよく言及されるのは、実際にALS患者の主観的なQOLは身体機能中心のQOL指標で出される評価とは異なる、という点である。また、ALSという疾患に対する医療的介入およびケアの質の評価にとって非身体的な観点からのQOL評価が不可避的だという点にも言及されている 。
非身体的要素を重視する研究の多くが、評価対象になる要素の中心に宗教性(Religiosity)とスピリチュアリティを位置づけていた。とくに、ALSSQOL開発グループのメンバーによる調査(BCO)では、一貫して宗教性とスピリチュアリティの要素が強調されている。
また、社会的サポートを評価するための独立の尺度を用いてその重要性を明示しているのはL(Chi? et al.)のみだったが、社会的サポートがALS患者のQOL向上の条件の一つであるという点は複数の研究で示唆されている 。

C−2−2. 患者とケア提供者のQOLの比較研究

今回の文献のなかで非身体的な要素に着目した研究と並んで多かったのは、患者とケア提供者のQOLを比較検討した研究である。これに該当するのは、@HJKMNPの7件である。そのなかで、P(Van den Berg et al.)は多領域専門職ケア提供者と患者を対象としていたが、他の6件は家族ケア提供者(family caregivers)を対象としていた。
ただ、ケア提供者を対象にした研究が多かったという今回の結果は、必ずしも、ALSのQOL評価方法をめぐる研究の全体的な傾向を反映しているわけではない。ケア提供者(とりわけ家族ケア提供者)のQOLに留意した研究は、たしかに近年増えつつあるが、N(Lo Coco et al.)やJ(Trail et al.)が先行研究として参照する文献の多くが重複しているように、いまだに多くはない。この点に関して、Lo Coco et al. は次のように述べている。

過去数年間に、ケア提供の経験の探求への関心は高まってきており、WHOは家族と家族ケア提供者(family caregivers)のニーズに対処することを、緩和ケアの主要対象のひとつとして定義している。とりわけ、ALSケアにおいて、家族ケア提供者は患者に対するサポートの大部分を提供し、また医学的な意思決定においても中心的な役割を果たすため、家族ケア提供者はALSケアにおける主要人物である。にもかかわらず、ALSにおけるケア提供の経験に関係するQOLの諸問題を扱った研究は、数えるほどしか存在しない。

私たちのこれまでのレビューから見ても、ケア提供者のQOLに留意した研究は、その必要性の高さを鑑みると決して多くはないと言えるだろう 。
家族ケア提供者のQOLと患者のQOLとの相関関係に関しては、人工呼吸器装着の有無にかかわらず、N(Lo Coco et al.)を除く5つの研究で、両者にはズレが存在することが指摘されていた。そのズレとは、患者とケア提供者のQOLのスコアが、身体的可動性に関わるQOLと主観的なQOLで逆になる場合がある、ということである。
侵襲性であるか否かにかかわらず、人工呼吸器装着患者に特化した研究は、@(Gelinas et al.)およびK(Kaub-Wittemer et al.)の2件だけだった。人工呼吸治療に対する満足度に関して、いずれの研究でも、ともに患者のほうがケア提供者よりも満足度が高い、と報告されている。
また、ALSの進行が個人的QOLに与えるマイナス影響について、H(Bromberg et al.)およびP(Gauthier et al.)は、患者よりもケア提供者の方が顕著に大きい、と報告している。
J(Trail et al.)は、患者がケア提供者のQOLを実際よりも高く評価しているのに対して、ケア提供者は患者のQOLを実際よりも低く評価する傾向が見られると報告し、さらに治療方針に対する両者の見解の相違も明らかにしている。とくに、NIV導入に関しては、患者よりもケア提供者の方が否定的なスタンスをとる割合が圧倒的に高いことを報告している(BIPAPに否定的な患者は3%に過ぎなかったのに対して、32%のケア提供者が否定的だった)。
患者とケア提供者の主観的/非身体的QOL構成要素に関して、N(Lo Coco et al.)はこれら5本とは異なる結果を報告している。それによれば、ALSの進行度に比例して、患者とケア提供者双方のSEIQOLスコアは低下し、両者のあいだには顕著な差異は見られない。この結果の相違について、Lo Coco et al.は、「研究対象者間での障害の程度、社会的および文化的環境における違いと、医学的サポートの活用可能性における違い」といった変数の影響の可能性を指摘している。
P(Van den Berg et al.)は、家族ケア提供者以外のケア提供者を対象として、多領域ケア専門職チームがケアを行ったほうが患者とケア提供者双方にとってより望ましいQOLが得られる、という結果を報告している。

C - 2 - 3. その他
 
上記の二つの傾向に含まれない研究としては、期待効用理論に基づくSG尺度を用いてQOLとの相関関係を調査したFおよびI(これらの被験者は同一)、ALSAQ-40の開発者グループによる、ALSAQ-40の統計学的妥当性を提示したBがある。

※ QOL指標とともに用いられていたQOL関連因子の個別的指標の概要は以下である。

身体機能関連指標
The ALS Functional Rating Scale(ALSFRS)
10項目で40点の尺度で球機能、上肢および下肢末端機能、呼吸機能を評価。0(深刻に障害されている)〜40(正常に機能)でスコア。
The Appel ALS Rating Scale(AALS)
 ALSの機能的障害と疾患の進行を量的に測定する指標。球麻痺(会話と嚥下)、呼吸器官、筋力、上肢および下肢末端の筋肉機能を含めた主観的/客観的に量化された疾患重篤度の評価。

心理的精神的側面関連
Idler Index of Religiosity(IIR)
宗教性に関する組織的/公的な次元(IIR-Pu)と主観的/プライベートな次元(IIR-Pr)を評価。IIR-Puは2〜10、IIR-Prは2〜7でスコア、トータル4(ほとんど宗教性がない)〜17(最も宗教性が高い)で評価。
Hospital Anxiety and Depression Scale(HADS)
14項目の別々のスコアで不安(anxiety)と抑鬱(depression)を評価。トータルは0〜21点。高得点の方が心理学的distressが高い。7点以下は問題なし、8〜10点は臨床的にdistressの可能性あり、11点以上は臨床的に明確なdistressを示す。
Short Inventory of Minor Lapses(SIML)
 15項目で、注意力と集中力に関する日常的困難さを自己評価。
Beck Depression Inventory-U(BDI-U)
 21項目の自己報告スケールで抑鬱の深刻度を評価する。
Beck Hopelessness Scale(BHS)
 8〜13は緩やかな絶望。14以上は深刻な絶望。
Mini-Mental Status Examination(MMSE)
 メンタルな状態を評価する指標。
Pathological Laughing and Crying Scale(PLACS)
 メンタルな状態を評価する指標(とくにALSにおける前頭側頭点(frontotemporale)関連症候である感情失禁を評価する指標)
Zung Depression Scalede (ZDS)
 1〜4点にランクされた20項目の自己管理スケールで抑鬱を評価。トータルは20点〜80点。50以上のスコアが抑鬱の存在を示す。50〜59点は最小限から弱い抑鬱。60〜69点は緩やかな抑鬱、70点以上は深刻な抑鬱。

社会生活・社会参加に関する指標
Social Withdrawal Scale(SWS)
 4つの「引きこもり(withdrawal)」領域(共同体およびより広い世界から、家族および親密な友人から、感情的、物理的)に即して、6項目ずつの合計24項目について、1(全然そんなことはないnone at all)〜6(全くその通りcompletely agree)で評価。
Psychological Questionnaire(PSQ)
社会的地位を示す4項目の指標。

ケア提供者/サポート体制に関する指標
Close Persons Questionnaire(CPQ)
 回答者と親密な人間4名までにつき、サポートの諸側面に関する項目で評価。サポートの種類に応じて、高スコアが高レベルのサポートを示す。個人的関係性についての全体的満足感および家族構成を含む日常的社会的ネットワークの程度を示す。
Social Support Questionnaire(SSQ)
 患者が(a)手助けを得ることができる人数、(b)リストされた人によって受けるケアの満足度を、1(非常に満足)〜6(全く不満足)で測定することを可能にする指標。
Self-Perceived Burden Scale(SPBS)
 25〜125のレンジで、自らがケア提供者の負担になっている程度についての患者自身の認識/知覚を評価。スコアは「負担をかけている感」の高さを示す。

ケア提供者の負担
The ALS Patient Caregiver Form(ALSPCF)
 Caregiver Burden Scaleの一部からの20個の質問。ケア提供者の健康、雇用状況、家族への責任、社会的活動に対する、ケア提供活動の影響を評価。また、この影響に対するケア提供者の態度を調査。
Caregiver Burden Inbentory(CBI)
 5つのサブスケール(それぞれに0〜20点)の合計0〜100点により負担を評価。スコアの高さ負担の高さを示す

D.考察  ALSにおけるQOL研究の意義と課題

意義
ALSにおけるQOL研究の意義は、ALS療養者のQOL向上にとって重要な要素が、身体機能の改善とは別の水準に存在することを明確化した点にある。HRQLによって測定される諸要素は、たしかに一般的にはQOLの重要な側面であると言える。
だがHRQLで評価測定できるALS患者のQOLは、きわめて限られる。そうした人々のQOL向上にとっては、医学的に客観的に特定できる身体機能の改善を目標にした医療的介入よりも、身体感覚の安楽と残存機能を保全し、失われた身体機能を補完する(看護や介護を含む)ケアの方が大きな役割を果たす。
近年のALSのQOL研究では、当人の感受するQOLは、HRQL指標で評価されるほど低くはならない、ということは共通了解になりつつある。評価項目自体を患者自身が(調査者とのやり取りのなかで)構成していくSEIQolや、非身体的要素を重視したMQOLにより、ALS患者のQOLを保持ないし向上させる要素が明らかにされてきている。
今回レビューした文献では、QOLを保持する因子として重視されていたのは患者個人の「宗教心」等だが、布教は医療やケアの役割ではないため、QOL研究の成果から導かれる行動指針があるとすれば、それは第一義的には、疾患の進行とともに低下する運動能力や身体活動能力を補うような適切なケアとサポートの提供になるだろう。
また、家族ケア提供者の負担に焦点を当てた研究も徐々に行われつつある。これらの研究が、ALS患者に対する家族ケア提供者の負担を軽減するための社会的サポートの必要性が示唆している点は、大きく評価できる。こうした研究動向は、十分なケアとサポートの提供が患者のQOL保持と向上の必要条件であるという点と、ALS患者に対する日常的ケア提供が主に家族によって負担されているという現状の直接的かつ当然の帰結であり、今後、この領域での研究のさらなる展開が期待される。

課題・問題点

これらの研究の問題点と課題は以下である。
・ 難病患者やケア提供者の社会的生活の具体的分析に対する適応可能性を評価できない。今回レビューした研究は、生活のあり方を詳しく分析・評価するようなスキームを持たず、あくまで医学的・臨床的見地からの分析であるため、ALS患者のQOLにとって重要な看護や介護サポートの状況を適切に評価するまでには至っていない。
・ 諸生活機能の実現度やそのための効果的・効率的な社会的ケアのあり方を分析的に評価できる分析枠組みを構築する必要がある。
・ 個人の主観的な選択と重み付によるQOL評価だけに基づいてケアの方針を決定することには限界がある。制約された状況に適応した選好に基づく選択を、主観的選択として字義通りに認めることができない場合もありうる、という点に留意する必要がある。
・ ALS患者が在宅で療養する際には、家族が主要なケア提供を負担するということが自明視されている。

E 結論

QOLを向上させる支援を行うためにはQOLの構成要素を正確に把握する必要がある。また、QOLの構成要素とその重要度の組み合わせは、諸個人に応じて異なる。そうした個別性に留意しつつ、介入方針を特定するための基礎として活用できるような一般性をもつQOL評価法の確立が課題になっている。
だが同時に、とくに治療の内容と効果によっては、単に諸個人の主観的選好や個別性を尊重するだけでは不十分な場面が存在することを同時に銘記しておくべきである。
諸個人の選好や選択は、諸個人が置かれた生活環境と、それに基づいて形成される予期に大きく左右されるため、選択内容に留意せずに単に《当人の選択を尊重すればよい》ということは安易である。
この点、具体的には、たとえばSPBS、CPQ、SSQ評価と、侵襲性人工呼吸治療を含む治療選択傾向との相関関係の問題として立てることもできるが、問題はより深刻である。ここで問題にしているのは、SPBS等々に対する当人の主観的回答を鵜呑みにできない可能性がある、ということでもあるからだ。
必要なことは、こうした調査そのものの限界を踏まえつつ、主観的な選好や意向を尊重することの重要性とその限界の双方を適切に認識するための理論的枠組みを構築することである。

F.健康危険情報 

特になし

G.研究発表
1.論文発表

2.学会発表

H.知的財産権の出願・登録状況 

該当項目はなし。

文献

Ando M, Hotta Y, Kawaguchi Y, Tateiwa S. 2007. "Examining the capabilities of ALS patients," Conference of the HDCA (the Human Development and Capability Association): "Ideas Changing History" 9/17-20, 2007 in NY New School University.
Bergner M, Bobbit RA, Carter WB and Gilson BS. [1981]. The Sickness Impact Profile: development and final revision of a health status measure. Medical Care, 19, 787-805.
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表1 主要なQOL尺度
指標名 指標の性質・目的 評価項目
SIP ・包括的尺度・HRQL 136項目からなり、各項目には日常活動があげられ、12の主要な機能不全の領域が網羅されている
SF-36 ・包括的尺度・HRQL 8つの健康の概念を表す36の項目があり、身体的健康と精神的健康を測定する。
EuroQoL(EU-5D) ・包括的尺度・HRQL 移動、セルフケア、日常生活活動、痛み/不快感、不安/抑うつの5つの次元が定められ、それぞれ簡単な3種類の回答の選択師が与えられている。それに加えて回答者は「今日の自分の健康状態」を垂直VASによって0~100の間で示すことを求められる。
SEIQoL ・包括的尺度 (1)回答者が自らのQOLにとって重用だと思う生活の領域を指名する。(2)それらの重要な領域のそれぞれにおいて現在の機能レベルを評価する。(3)選択したキューのそれぞれの相対的重要性をランクづける。
MQOL ・終末期疾患患者に特化した包括的尺度 質問項目は16個とされ、身体的項目に1〜4、心理学的項目に5〜8、実存的側面に関わる項目に9〜14、サポート領域に関する項目として15および16と配分。それぞれの質問項目を0〜10の目盛りで評価。
SIP/ALS-19 ・疾病特異的尺度・SIPの ALS版 ALSにとくに関連する19項目は、ALS患者の身体機能の医学的指標Tufts Quantitative Neuromuscular Examとの相関性に基づいて導出。SIPのサブスケールとTQNE CMとの関係の検証から19項目を特定。
ALSAQ-40 疾病特異的尺度 40項目は、健康状態に関する五つの領域ないし次元に配分される。五つの次元は、フィジカルな可動性(Physical Mobility)、ADLと自立性(ADL/Independence)、食べて飲むこと(Eating and Drinking)、コミュニケーション(Communication)、感情作用(Emotional Functioning)であり、質問は、「食べて飲むこと」について3つ、「コミュニケーション」に7つ、他の三領域に10項目ずつ。
ALSSQOL 疾病特異的尺度 完全版は項目数59個で、0〜10にスコア化(合計0〜590点)。59項目のうち46項目は6因子(factors)に配分される。6因子とその該当項目数は、「否定的感情(Negative emotion)」(13個)、「人々および社会とのインタラクション(Interaction with people and the environment)」(11個)、「親密性(Intimacy)」(7個)、「宗教性(Religiosity)」(4個)、「身体的症候(Physical symptoms)」(6個)、「球機能(Bulbar function)」(5個)。


表2:ALS患者のQOL評価の先行研究(発行年順)
著者(発行年) 目的 調査対象者(人数、性別比率、平均年齢、病歴、状態、地域等) QOL指標 その他の指標(身体症状/運動・身体機能/心理学的苦悩等) ※ 結論
Gelinas et al. (1998) 人工呼吸器使用ALS患者のQOLとそのケア提供者の負担の相関性を含めた評価 患者7名(人工呼吸器使用)とケア提供者15名(配偶者)アメリカ(カリフォルニア・大西洋医療センター) SF-12 ALS Quality-of-Life Index(ALSQLI) The ALS Patient Caregiver Form(ALSPCF) ・人工呼吸器を装着する決定を後悔している患者は一人もおらず、ほとんどの患者は大部分の時間を快適で満足に感じていた。・患者は家に帰ることができ、社会活動に参加できているときに最も大きな幸福感を感じていた。・ケア提供者は人工呼吸器装着の決定について不満足になる傾向があり、多大な欲求不満とルサンチマン、不幸感をあらわしていた。・ケア提供者の適応は数年後になってやっと生ずるが、まったく適応できないケア提供者も存在した。・患者とケア提供者が人工呼吸器を用いた療養生活にうまく適応する能力は、決定の事前に準備があったか否かではなく、患者とケア提供者のfriendshipの強さと、よい支援システムを活用可能かどうかに依存する。
Jenkinson et al. (2000) ALS疾患特異的な健康関連QOL指標ALSAQ-40の回答率、データの質、スコアの信頼性の評価。 500名からランダム抽出された250名。イギリス(MND協会) ALSAQ-40 ・回答率に悪影響はなかった。・ALSAQ-40の内的整合性にもとづく信頼性は極めて高い。・ALSAQ-40は、きわめて望ましいサイコメトリックな性質を示した。
Simmons et al. (2000) ・QOL尺度の評価 96名男性52名/女性44名平均年齢57.8歳。全員が呼吸器未装着者。平均病歴は31.8ヶ月。アメリカ(ペンシルバニア州、ハーシー医療センター) MQOL SIP/ALS-19 Tufts Neuromuscular Quantitative Exam Idler Index of Religiosity(IIR) ・対象者のQOLは、体力や身体機能尺度とは相関しておらず、心理学的・実存的・サポート要因の方がQOLを規定するのに重要な役割を果たしていた。・SIP/ALS-19は身体機能を評価するにはよいが、QOL全体のよい尺度とはいえない。MQOLはQOL全体の評価にとって有用である。
Robbins et al. (2001) ・身体機能に特化したSIP/ALS-19の批判的検討。・SIP/ALS-19による評価を、MQOL、宗教性に関する指標、ALSFRSのそれぞれの評価と比較検討。 60名男性32名/女性28名、平均年齢58.5歳、ALSFRSスコア平均28.1。アメリカ(ペンシルバニア州、ハーシー医療センター) MQOL SIP/ALS-19 ALSFRS IIR ・ALSFRSで測定された身体機能が悪化したが、MQOLで測定されるQOLは維持された。・これらの患者のQOLは、ALSによる容赦なき身体的衰弱によって規定されない。・研究対象になった患者は気管切開も呼吸器も使っていなかったため、気管切開・呼吸器使用患者のQOLが維持されるかどうかについてはコメントできない。・研究期間中にBiPAPが必要になった患者が4名。だが身体状態の変化にもかかわらずQOLは変化しなかった。
Clarke et al. (2001) (1)SEIQOLの内的整合性による信頼性と妥当性の評価。(2)ALSのQOLに関する簡潔な記述を提示することと、QOL・疾患の重篤度・心理学的苦悩の相関性の検証。 アイルランドALS/MND患者名簿[1]から募集。参加に同意した68名の患者の中から26名。(69.2%が男性、平均年齢63歳、平均病歴31.5ヶ月)。人工呼吸器使用率等は不明。 アイルランド SEIQOL ALSFRS Hospital Anxiety and Depression Scale(HADS) ・ALSFRSの疾患重篤度と抑鬱レベルの間には相関性は見られなかった。抑鬱レベルは低かった(だが、研究参加に同意した患者はそもそも抑鬱レベルが低いという可能性もあり、この結果がALS患者全体を代表しているとは言えない(157))。・SEIQOLを完成させた21名の患者にとって、QOLと疾患重篤度、QOLと抑鬱ないし不安の間に相関性は見られなかった。またSEIQOLと病歴の間にも相関性は見られなかった。・SEIQOLはALSの人のQOL評価の有用なツールたりうるが、重度のALS患者には、SEIQOLを完成させることはできないかもしれない。
Neudert et al. (2001) 健康関連QOL指標とSEIQOLというQOL測定に対する異なるアプローチについての患者の選好の同定。どのQOL指標を患者は主観的に妥当だと感じるか。 1998年4月〜1999年5月にミュンヘンのルードヴィッヒ・マクシミラン大学神経内科神経疾患外来に訪れた42名の患者(性別、年齢、病歴情報はなし)。ドイツ SIP SF-36 SEIQOL ・患者はSEIQOLを、SIPおよびSF-36よりも妥当な指標だと感じていた。・「健康関連QOL」という語は、健康は重篤な疾患をもつ患者の個人的なQOLに関連していない以上、適切ではない。SF-36およびSIPに関しては、「包括的健康状態」という表現が適切である。・とくにSIPは、SEIQOLおよびSF-36に比べて、患者に対して非常に大きな感情的苦痛を与えていた。・SIPおよびSF-36のALSの健康関連QOLは、疾患の進行に伴ってほぼ直線的に下降傾向を示すが、臨床的経験および論文データは患者のQOLは必ずしも直線的コースを辿らない、ということを示している。・SEIQOL-DWはポジティブな介入という面をも持ちうる。
Kiebert et al. (2001) 健康状態に関する患者の報告と健康関連QOL(HRQL)の評価。様々な段階のALS患者の健康状態の自己評価の検証。 77名(男性49名、助成28名、平均年齢58.1歳、診断からの平均期間25.3ヶ月、平均病歴43.6ヶ月)イギリス(王立MNDケア&研究センター、王立大学病院、ロイヤルプレストン病院) ALSAQ-40EUROQOL EQ-5D Standard gamble(SG)――期待効用理論に基づき健康状態効用を算出する方法。 ・SGには「すぐに死ぬ」といった選択肢も含まれるため、患者に脅威を与えうるが、対面的インタビューにより高い回答率が得られた。・ALSAQ-40の活用を支持する経験的エビデンスが得られた。・患者のHRQLは疾患の重篤度が増すとともに低下するが、患者が自らの健康状態に与えている価値は健康状態が深刻に障害されても比較的高いレベルのままだった。
Goldstein et al. (2002) self-generated QOLの評価と、身体的損傷・機能的状態についての当人の報告・心理学的福利・認知的機能についての当人の報告との相関性および社会的支援との相関性の検証。 31名(男性19名、助成12名、22名が結婚しパートナーと同居、4名はシングル、2名は離婚、3名がパートナーと死別)イギリス(王立MNDケア&研究センター) SEIQOL SIP ALSSS HAD Close Persons Questionnaire (CPQ) Short Inventory of Minor Lapses (SIML) ・SEIQOL上でのQOL全体の評価は、ALSSSないしSIPのサブスケールスコアのどれとも相関していなかった(被調査者の64.5%が「健康」を、重要なQOL相関カテゴリーとして指定していたにも拘らず)。 ・QOLスコアは信頼できる感情的支援の存在と、プラス方向(正)での相関があった。QOLスコアはまた、感情的状態とではなく、日常的な認識の障害に関する当人の評価と、反対方向(負)の相関があった。 ・個人の自らのQOL評価は、その身体的損傷や機能的制約と単純に等しいということはありえず、支援システムが重要であるだろう、という近年の認識を支持する結果だと言える。
Bromberg et al. (2002) 患者およびケア提供者のQOL評価――身体機能中心のQOL指標との比較を通して、SEIQOLの有効性を評価する。 患者25名とその配偶者である13名のケア提供者。患者平均年齢56歳。平均病歴は27.6ヶ月(最長102ヶ月)。ケア提供者は平均58歳。対照群として五組の健康なカップル。呼吸器・PEGの使用率等は不明。 アメリカ(ユタ大学) SEIQOL-DW SIP/ALS-19 ALSFRS ・ALS患者にとって重要なQOL領域は、身体的機能とは結びついていない。逆に、ALS患者の機能レベルはケア提供者にネガティブなインパクトを与える。 ・ALS患者の高いスコアは、患者がQOLの判断基準を変化させているというレスポンスシフトを示している。それは進行性疾患と付き合うポジティブな過程と見なしうる。 ・ケア提供者の低いスコアは、ケア提供者が期待を変えることを強いられるという逆のレスポンスシフトを反映していると思われる。 ・SEIQOLのようなオープンQOLスケールは、患者とケア提供者のレスポンスシフトをより理解するために有用である。
Green et al. (2003) 健康関連QOL(HRQL)の評価。 77名(Kiebert et al. (2001)と同じ) ALSAQ-40 EUROQOL EQ-5D SG ・MND患者から健康状態についての評価を得ることは有用かつ実践的である。 ・健康状態がきわめて悪い場合でさえ、患者は自らのHRQLに高い価値を与えているというエビデンスが得られた。
Trail et al. (2003) QOL評価、抑鬱の程度、治療選択肢への態度に関する患者およびケア提供者の比較。 治療選択肢はPEG、BIPAP、侵襲性人工呼吸器。 27名の患者と19名のケア提供者。患者は男性18名、女性9名。ケア提供者は女性10名、男性9名。患者の平均年齢57.2歳、ケア提供者は56.9歳。平均病歴は2.7年。 2名がPEG使用、4名がBIPAPを使用。侵襲性呼吸器使用者はなし。 アメリカ(テキサス、ベイラー医科大学) MQOL-SIS Appel ALS Rating Scale(AALS) ALSFRS Beck Depression Inventory-U(BDI-U) ・MQOL-SISによる測定では患者とケア提供者のQOLレベルは顕著な違いは見られず、適度の高さを保持していた。 ・ケア提供者のQOLに対する患者の認識の方が、患者のQOLに対するケア提供者の認識よりも7ポイント高かった(患者はケア提供者のQOLを過大評価し、ケア提供者は患者のQOLを過少評価する傾向が見られる)。 ・抑鬱に関しては特筆すべき結果ではないが、僅かにケア提供者のほうがより抑鬱度が高かった(Rabkin et al 2000とは逆)。抑鬱は身体障害に必ずしも関係していなかった。 ・治療方針についての認識(患者/ケア提供者): PEGは肯定が52%/58%、BIPAPは肯定が56%/63%(否定は3%/32%)、侵襲性の人工呼吸器は肯定15%/5%(侵襲性人工呼吸器に関してRabkin et al.2000と整合)。 ・QOL、抑鬱、治療選択への態度を決める要因は、ALSの進行を通して患者とケア提供者にその都度、検討される必要がある。保健医療専門職は、患者とケア提供者とではその必要と目的が異なることを認識すべき。両者に対して、専門職は、状況に適した参照と介入によってフォローされる問題に焦点化した議論のための、教育と機会を提供すべきである。
Kaub-Wittemer et al. (2003) NIV使用患者と侵襲性人工呼吸器装着患者のQOLの比較。 および両者のケア提供者のQOLの比較。 NIV使用患者32名、侵襲性呼吸器使用者21名。NIV患者のケア提供者は31名が配偶者で1名は娘(女性の比率は75%)。侵襲性呼吸器使用患者のケア提供者は20名すべて配偶者(女性の比率は90%) ドイツ Profile of Mood States(POMS) Munich Quality of Life Dimensions List(MLDL) ・ケアを得ている患者がポジティブに評価している一方で、集中的かつ持続的なケア提供を強いられる家族ケア提供者の評価は相対的にネガティブである。 ・NIV装着患者とLTMV-TPPV装着患者のケア提供者の意識の比較では、前者の97パーセントが「再び装着する」と答えているのに対して、LTMV患者のケア提供者で再度装着を選択すると答えたのは50パーセント。 ・NIV使用のALS患者のほとんどは、気管切開を拒否したが、TV装着患者の81パーセントが再び呼吸器を選択すると答え、80パーセント以上が他の患者にも同じように勧めると答えた。 ・LTMV装着患者のケア提供者の30パーセントは、患者よりも自分のQOLの方が「低い」と感じていた
Chio et al. (2004) ALSにおけるQOLの規定因をSEIQOLとMQOLの二つのスケールを用いて評価。 80名 イタリア(トリノ大学) MQOL SEIQOL-DW ALSFRS Mini-Mental Status Examination(MMSE) Pathological Laughing and Crying Scale(PLACS) Zung Depression Scale (ZDS) BHS Social Support Questionnaire(SSQ) Social Withdrawal Scale(SWS) IIR Psychological Questionnaire(PSQ) ・SEIQOLおよびMQOLいずれのスケールについても、QOLの最も重要な説明変数は、社会的支援の質についての患者の認識だった。 ・ALS患者のQOLは主に、心理学的要因・支援に関する要因・スピリチュアルな要因によっているため、健康関連QOLはALS患者のQOLを評価するにはふさわしくない。 ・患者のQOLの向上にとって最も重要な課題は、過重な負担を負っているケア提供者家族に対する社会的サポートである 
Van den Verg et al. (2005) ALS患者とケア提供者のQOLに、多領域専門職ALSケアの与える効果の検証 208名(男性が61.9%、平均年齢59,1歳) オランダ(ユトレヒト大学) SF-36 ALSSS ALSFRS ・多領域ALSケア専門職 = リハビリ医学におけるコンサルタントによって率いられたALSチーム(少なくとも1名の理学療法士を含む)、作業療法士、言語療法士、栄養士とソーシャルワーカー。 ・多領域ALSケアを受ける患者群は、SF-36のメンタルサマリースコアでは他の一般的ケアの患者群よりもよいメンタル面でのQOLを示した。 ・QOLの差異は、社会機能とメンタルヘルスの要素で最も著しかったが、補助機械器具の存在とは独立していた。SF-36の身体サマリースコア、VASあるいはALS患者のケア提供者のQOLにおいて、顕著な違いはみられなかった。高レベルのケアは、ALS患者のメンタルなQOLを改善する。
Lo Coco et al. (2005) 健康関連QOL(WHOQOL-BREF)と個人的QOL(SEIQOL)により患者と近親者ケア提供者のQOLを比較。 37組の患者-ケア提供者カップル(患者は男性3.1対女性1、ケア提供者は1対3.6。平均年齢は患者が61.3歳、ケア提供者54.7歳。病歴平均16ヶ月。全員がPEGも呼吸器も使用しておらず、全員が家族と同居。対照群として7組の健康なカップル。 イタリア(パレルモ大学) WHOQOL-BREF[1] SEIQOL-DW ALSFRS  ・ケア提供者は患者に比較して身体的・心理学的WHOQOL領域で高いスコアを示したが、QOL全体のスコアは、両者で顕著な差異はなかった。 ・ALSFRSで測定した身体的機能障害は、患者のSEIQOL-DWスコアと緩やかに連関していたが、ケア提供者の個人的QOL(SEIQOL)スコアと顕著な連関はなかった。SEIQOLのキューで最も頻繁にノミネートされたのは、患者とケア提供者両者にとっての健康(身体的ないし心理学的)や家族に関連していた。 ・スピリチュアリティを重要な要素としてあげた患者とケア提供者のQOLは相対的に良かった。 ・身体的・心理学的なWHOQOL-BREFによる評価では、ALSは患者およびケア提供者両者にネガティブなインパクトを与えていた。しかし、低いQOLを示したケア提供者が、身体的・心理学的に最も障害の重い患者を世話している人である、というわけでは必ずしもない。
Simmons et al. (2006) ・患者に評価されたQOL総体を反映するALS疾患特異的QOL指標(ALSSQOL)の開発 342名(男性226名、女性116名、27〜87歳、病歴60ヶ月以内が84%、120ヶ月以内が95%。最長237ヶ月) アメリカ(ハーシー医療センター) ALSSQOL MQOL SEIQOL-DW WHOQOL-BREF ・従来の身体的機能に特化したSIP/ALS-19およびALSAQ-40ではALS患者のQOL全体を評価することはできず、他方、非身体的因子に配慮したSEIQOLでは、対象者が大量である場合の有用性に問題がある。 ・ALSSQOLは、ALS患者の生活全体のQOLの評価にとって重要な非身体的な因子に配慮しつつ、大量の対象者間での比較可能性を備えたQOL指標である。
Gauthier et al. (2007) ALS患者とケア提供者のカップルにおける9ヶ月間のQOLの改善と抑鬱の評価。それらをALSFRSと比較。 31組のカップル(患者の男女比率は21名/10名、ケア提供者は9名/22名、平均年齢は患者58.8歳、ケア提供者54.5歳。関係は、配偶者が25組、子が3組、親が1組、他の親戚ないし友人が2組) 侵襲性人工呼吸器使用者は2名、PEGないしRIG使用者は6名、NIV使用者は8名。 イタリア(トリノ大学) MQOL ZDS Caregiver Burden Inbentory(CBI) Self-Perceived Burden Scale(SPBS) ・ALS患者・ケア提供者カップルに、9ヵ月をおいてインタビューを実行。ALSFRSのベースラインでの中間値は28.7で、第二回目のインタビューでは24.1.患者のMQOLスコアは僅かに上昇(6.8から7へ)。患者のZDSスコアも僅かに上昇(43.8から45.7)したが、まだ抑鬱の範囲にとどまっていた。 ・ケア提供者のMQOLは低下し、ZDSは上昇(38.9から42.2)。CBIスコアは、50.3から55.8へと上昇。 ・患者のQOLと抑鬱は固定していたが、ケア提供者の負担と抑鬱は大きく上昇していた。 ・患者はケア提供者が時間と共に負担を増していっていることに気づいているようだったが、明確にSPBS指標にはあらわれなかった
De Groot et al. (2007) SF-36の異なる要素に対するALSの影響に関する、クロスセクショナリーかつ進行期間を通した調査。 74名(男女比は47名/27名、平均年齢59.9歳、診断時の平均年齢58.3歳。1名が調査中に死亡。SF-36を完成させた患者は62名) オランダ(北西地域) SF-36 ALSFRS ・身体的健康は悪化しても、メンタルヘルスは固定している。 ・ALSの重篤度とHRQOLとの間には多様な相関がある。 ・身体的そしてメンタルなヘルスの多様なパターンは、HRQOLの経験におけるフレーム転換を示唆している。
Foley et al. (2007) (1)ALS患者の感受するQOLの「意味」に関する質的な探究。 (2)患者のヘルスケアについての経験が個々人の主観的なwell-beingにいかなる影響を与えるかの探究 5名(詳細な情報は不明)アイルランド 現象学的方法(SEIQOLによる調査で用いたQOLドメインに基づく) ALSFRS-R ・9個の主題が抽出された(信念の重要性、コントロールを探究すること、尊厳の重要性、アイデンティティ保持の希求、家族の重要性、喪失感、利他性と支援の重要性、ALSとの闘い、人生への感謝)。 ・疾患の進行により身体能力が喪失していくが、QOLはALSに罹患したときから変わっていないと対象者の多くが感じていた。 ・ヘルスケアサービスと支援がwell-beingに貢献していると感じていた。 ・今回の対象者は多領域のヘルスケア専門職の支援を受けており、また(IMNDAが仲介する)ボランタリーセクターからのサービスを活用できる立場にあるという点が留意されるべきである。


UP:20100304 REV: 20160218
ALS  ◇全文掲載
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