「伝統的でなじみのある知識生産の方法と並んで、新しい知識生産の
方法が登場しつつある」と謳って、M.ギボンズらがそのマニフェストの
書 The new production of knowledge, SAGE, 1994を発表してから10年
近く、訳書での紹介からも5年余が経つ。しかし、そこで導入された「モ
ード」という概念、つまり、知識生産(と消費)の様式論は、果たして、現
代の科学技術活動の姿を、そしてそのあるべき姿を適切に捉えるもの
なのだろうか。流行思想としての一時の熱がさめた今、改めて、その
混乱も含め、様々な視点から再検討が必要だと考える。