HOME > BOOK >

『大いなる叫び――茨城青い芝の会の障害者解放運動』

茨城青い芝の会 20210630 251p.

Tweet
last update:20210903

このHP経由で購入すると寄付されます


■茨城青い芝の会 20210630 『大いなる叫び――茨城青い芝の会の障害者解放運動』,251p. 1000 ※r

内容
目次

■内容

編集後記から抜粋

本書は前半を茨城青い芝の会が実際に歩み、たたかってきた経過を振り返っています。折本昭子さんたちが六〇年前に始めた障害者運動は、「座敷牢」から障害者を外に出すために、県内各地を自転車やバスで一軒一軒訪ね歩くことから始まりました。 車も利用できない時代でした。障害者が「街に出る」ことが大変なたたかいでした。
やがて大仏和尚と出会い、障害者の会は青い芝の会へと発展します。(p.247)

■目次

目次
第一章 茨城青い芝の会
一 茨城の障害者運動の出発から青い芝の会の活動 折本昭子 二
二 元気に地域で自立生活をしています 沼尻好夫 三五
三 私の半生 里内龍史 四七

第二章 閑居山マハラバ村
一 マハラバ村の共同生活 折本昭子 五四
二 マハラバ村 小山正義 六四
三 閑居山から茨城の生活が始まる 里内龍史 七五
四 マハラバを生きる 増田・大仏・レア 七九

第三章 障害者解放運動と福祉政策の戦後史
一 青い芝の考え方・優生思想との闘い 九四
二 行動綱領と私 横田弘
三 沼尻好夫の六五歳介護保険問題との闘い 障害者の地域生活を進める会 一二二

第四章 現代に強められる優生思想
一 障害者と優生思想 里内龍史 一三〇
二 母体の血をのぞきみてー母体血検査と原発 古井正代 一三六
三 津久井やまゆり園事件と蔓延する優生思想 古賀典夫 一四三
四 新型コロナウイルス問題と命の選別 里内龍史 一五二
五 戦争と優生思想 里内龍史 一六〇

第五章 共生者から見た茨城青い芝の会
私からみた里内龍史くんと茨城青い芝の会 天海国男 一六八
茨城青い芝の会との出会い、そして優生政策への闘いへ 古賀典夫 一七五
「水平社宣言」と「行動綱領」 井橋昌夫 一八三
和尚・大仏尊教氏から教わったこと 有座保雄 一九一
折本昭子さんと沼尻かつ江さんの思い出 細田三枝子 一九六
障害者に学べ 小山省吾 二〇七

第六章 これまでのおもな活動 編集者編
一 水戸事件をたたかう 二一七
二 あらゆる差別と反動を許さず共同闘争をたたかう 二二一
資料 「恋愛・結婚・性」補稿 大仏空 二二七
社会科学としての労働 大仏空 二三五

年表 二四〇
あとがき 井橋昌夫 二四七
編集後記 阿部浩 二四九

■引用

◇折本昭子氏が19歳の時に受けた手術についての記述
以下、同書中の 折本昭子「茨城の障害者運動の出発から青い芝の会の活動」(p.2-34)から、「一九歳で脳手術」の項を引用する。

一九歳で脳手術
 私が一九歳の年に脳手術をしたんです。それまでは結構いろんなことができて、歩行も三キロや四キロは平気で歩きました。おばあちゃん、おじいちゃんが農家をやっていました。敗戦後だったんで、農民で畑とか田圃を耕さざる者は人間に非ずみたいな風潮の所で思春期を迎えました。やはり私も食っていかなくてはならないんで、人の半分かそれ以下しかできないながらも苗の草取りから始まり、今みたいに機械でできないから手で植えて、田圃の草取り、稲刈り、みんな一応こなしました。
 一九歳の時、脳を手術したんです。東京大学医学部付属病院の神経科で手術をしました。九月九日のことです。それは完全な失敗に終わって、全身麻酔で目が覚めた時には、もう何て言うのかな、口もくけない、ただ目が開いているだけで、意識がはっきりしているんですが、指一本動かせない状態でベットの上に寝せられていたんです。
 「これ以上悪くなることは絶対にない。悪くなったとしても、このままの状態だ。いくらどんな悪くなるといってもこのままの状態だ」と言う医者の言葉をまるまるとそのまま信じちゃったんです。その頃はもう、死ぬことしか考えていませんでした。
 その後、どうしたはずみか、今まで動かなかった左の指先がピクっと動いたんです。そうしたらグッグッグッとうごくようになったとたんに突っ張ってしまいました。全身突っ張って、海老が丸くなるように背中も突っ張ってしまったんです。そのショックやなんかで、大変でした。それを収めるためにいろんなことをしたんです。
 それまでは右手で何でもやっていたんです。食事の支度もしていたんです。それが全然できなくなっていました。そうして、それ以上良くならないということで、三ヵ月入院して帰ってきました。
 そんなことがあって、それが私にとっては良かった結果を招いたと思うんです。それが今の私を作ったというか、自分自身を作るもとになったんでしょうね(p.3-4)


*作成:山口 和紀
UP:20210726 REV:20210729, 0731, 0903
報告書・資料等  ◇青い芝の会 身体×世界:関連書籍  ◇BOOK
TOP HOME (http://www.arsvi.com)