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『戦後社会保障の証言――厚生官僚120時間オーラルヒストリー』

菅沼 隆・土田 武史・岩永 理恵・田中 聡一郎 編 20180330 有斐閣,369p.

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last update: 20190708

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■菅沼 隆・土田 武史・岩永 理恵・田中 聡一郎 編 20180330 『戦後社会保障の証言――厚生官僚120時間オーラルヒストリー』,有斐閣,369p.ISBN-10: 4641174350 ISBN-13: 978-4641174351 5600+ [amazon][kinokuniya]

■内容

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 ドラマに満ちた社会保障制度の舞台裏
社会保障制度の成立と展開に関する重要なトピックについて,政策立案の舞台裏で活躍した厚生省の官僚にオーラルヒストリーの手法によるインタビューを行い,その証言を収録し,解説を加えた。官僚を中心とした意思決定過程や知られざる舞台裏を明らかにする。

「BOOK」データベースより

終生忘れ得ぬ国民年金法の立案。政治的に押し切られた老人医療費無料化。福祉元年における田中角栄の指示。生活保護法の運用を支える社会調査と実務のバランス。独立保険方式としての介護保険の選択。証言でしか得られない社会保障制度の歴史。

■目次

第1部 戦後社会保障の基盤形成─皆保険・皆年金,社会福祉の展開(1945~72年)
 第1章 国民皆保険成立の史的評価(土田武史)  
 第2章 国民皆年金の達成(中尾友紀)
 第3章 生活保護制度をめぐる展開(岩永理恵)
 第4章 社会福祉の展開と児童手当の導入(浅井亜希・田中聡一郎)

第2部 福祉元年と1980年代の社会保障の見直し(1973~85年)
 第5章 「福祉元年」前後──1973年年金改正,健康保険改正,老人医療費「無料化」(菅沼隆・森田慎二郎・深田耕一郎)
 第6章 医療保険制度改革(新田秀樹)
 第7章 1985年公的年金制度改正(百瀬優・山田篤裕)

第3部 新しい社会福祉の方向性(1980年~2000年)
 第8章 198090年代の社会福祉(田中聡一郎・岩永理恵・深田耕一郎)
 第9章 介護保険の構想(菅沼隆)

■著者略歴

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「BOOK著者紹介情報」より

菅沼/隆(すがぬま たかし) 立教大学経済学部教授
土田/武史(つちだ たけし) 早稲田大学名誉教授
岩永/理恵(いわなが りえ) 日本女子大学人間社会学部准教授
田中/聡一郎(たなか そういちろう) 関東学院大学経済学部講師

■書誌情報(一部)

◆百瀬 優・山田 篤裕 20180330 「一九八五年公的年金制度改正・解題」,菅沼他編[2018:231-245]
◆辻 哲夫 20180330 「一九八五年公的年金制度改革@」,菅沼他編[2018:246-255]
◆青柳 親房 20180330 「一九八五年公的年金制度改革A」,菅沼他編[2018:256-266]
◆坪野 剛史 20180330 「一九八五年公的年金制度改革B」,菅沼他編[2018:267-271]
◇山口新一郎追悼集刊行会 編 1986 『山口新一郎さん』,中央法規出版
◆田中 敏雄 20180330 「障害者福祉の展開」,菅沼他編[2018:296-301]

■引用

◆辻 哲夫 20180330 「一九八五年公的年金制度改革@」,菅沼他編[2018:246-255]
「辻 […]年金課の我々制度技術者としては、福祉年金に拠出制年金のお金を入れて水準をあげなんて考えられないことです。私たちは「局長、それは難しいですよ」と言い続けたのを覚えていますよ。だけど、「やれ」の一言ですね。[…]/そんな逆選択を認めたら、後で老齢年金にも波及するのではないかというのを散々私は言った記憶があるのですが、でも、局長は「大丈夫だ、やれ」と言うんですね。もう、これは経験のある人しかできないことですね。△248
百瀬 保険料を払う機会がなかったからという論理ですよね。
辻 障害のある人への深い思いの下で、まず障害基礎年金の水準に上げるという、先に強い決意があったと思います。そういう意味では、歴史を熟知した上で、年金制度はすべて自分が責任を持つという経験者でなければできない改革をやったのが、山口さんなんですね。」(辻[2018:248-249])
 ※立岩[2019]に引用。辻哲夫は一九四七生。八三年厚生省年金局老人福祉課長、八八厚生省社会局老人福祉課長。

◆青柳 親房 20180330 「一九八五年公的年金制度改革A」,菅沼他編[2018:256-266]
 「青柳 それから 二〇歳前障害は、これは山新さんが非常にこだわってやったということはさっき申し上げた通りです。結局、なんで保険料を払わないのに年金が出るのかという論理をつくるのにすごく苦労して、これは滞納なしという論理でいくしかないと。だから、サラリーマンでも、加入して納付期限が来る前に障害になった人については出すというふうにせざるを得なくなっているので、そこはそれで割り切ったんですね。滞納なしということで。」(青柳[2018:265])
 ※立岩[2019]に引用。青柳親房は一九五三生。八三厚生省年金局年金課課長補佐、九二厚生省大臣官房政策課企画官(年金局併任)。

◆田中 敏雄 20180330 「障害者福祉の展開」,菅沼他編[2018:296-301]

「基本的には年金の水準を下げるようなことが中心だったけれども、ひとつぐらいはいいやつもないといけないというのもあっただろうと思います。障害基礎年金の創設ということで。」(田中[2018:297])

「田中(聡) 理念が中心で、費用徴収のほうは、割にあっさりまとまったのでしょうか?
田中(敏) 費用徴収をやることは、「当然だ」と言っていました。もっとも、自分たちがどれぐらい取られるか、そんなに取られやしないと思っているわけですけどね。所得保障が確立されれば、一般の人は費用を払っているんだから、障害者も払うのは当然だと。それは大いにいいんじゃないのということでね。法律改正の時は、具体的な中味は議論していませんからね。費用徴収の規定を入れるというだけで。後で、具体化するときにはだいぶ揉めたんですけれども、法律改正の時は「当然だ」ということでしたね。
田中(聡) 「当然だ」というのは、障害者団体のほうですか?
田中(敏) そうです。だから所得保障のほうをちゃんとやってねという、そっち側が付いて回っているわけですよ。それが前提だからね。普通の人だったみんな払うものは払うじゃないかと。お金のある人は払うので。もちろん、お金のない人に「払え」なんていう制度じゃないことは知っているからね。」(田中[2018:301])
 ※立岩[2019]に引用。田中敏雄は四三生。八三厚生省更生身体障害者専門家。

■書評・紹介

書評等


■訂正情報

編集上の過誤により人名に誤りがありました。ここに訂正し,お詫び申し上げます。
 366頁下段4行目・巻末索引Y頁左側下から8行目
  (誤)衛藤(征士郎) → (正)衛藤(晟一)


*作成:岩ア 弘泰立岩 真也
UP: 20190708 REV:20190711
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