『仕事中だけ「うつ」になる人たち――ストレス社会で生き残る働き方とは』
小杉 正太郎・川上 真史 20040921 日本経済新聞社,190p.
■小杉 正太郎・川上 真史 20040921 『仕事中だけ「うつ」になる人たち――ストレス社会で生き残る働き方とは』,日本経済新聞社,190p. ISBN-10:4532311233 ISBN-13:978-4532311230 \1575 [amazon]/[kinokuniya] ※ d05
■内容
(「BOOK」データベースより)
人間関係のトラブル、過大な業務量、成果主義のプレッシャー―さまざまな職場ストレスが引き起こす適応障害=「社内うつ」を手がかりに、企業内のカウンセリングに長年取り組んできた心理学者と、コンピテンシーに基づく人事制度導入を手がけてきた人事コンサルタントが、ビジネス社会のいまを読み解き、ストレス社会での働き方を提案する。
(「MARC」データベースより)
人間関係のトラブル、過大な業務量、成果主義のプレッシャーなど、さまざまな職場ストレスが引き起こす適応障害=「社内うつ」を手がかりに、ビジネス社会のいまを読み解き、ストレス社会での働き方を提案する。
■目次
序章 いま職場で起こっていること
会社のなかは「うつ病」だらけなのか?
カウンセリングブームに踊らされるな!
ビジネスを知らないカウンセラー、こころの洞察がないビジネスマン
第1章 「社内うつ」が職場に忍び寄っている
あなたの職場に「社内不活性・社外活性」な人はいないか
「社内うつ」と「うつ病」はここが違う
会社によって異なる「社内うつ」の現状
第2章 タイプ別に見るメンタルトラブル
年齢によって異なるトラブルの要因
ハイパフォーマーほど心があぶない
「勘違い」経営者と「生まじめ」上司が現場を混乱させる
退職前中高年の「将来に対する漠然とした不安」
第3章 経営改革会社はOK社員もOK?
間違った成果主義が生む笑えない悲劇
むりやり差をつける人事制度には意味がない
毎年自分を追い込まず、抜く時期を作ってもいい
階層型組織はやさしい?ベンチャー型組織は疲れる?
第4章 転職者三〇〇万人時代の落とし穴
多発する転職者のメンタルトラブル
次々と転職を繰り返し、キャリア漂流する若者たち
第5章 ストレス社会で生き抜くサバイバル術
生まじめでない場面をつくる
スモールウィン(小さな成功)を積み重ねる
モデルを見つけ出す
ソーシャルサポートを獲得する
EAPの効果的な活用
まずは状況を把握する
できないものはできない
■引用
ある調査によると、平成15年度にメンタルヘルスに取り組んでいる企業の比率は、従業員数が1000人以上の企業では90%を超えており、300人以上の企業でも65%が導入しているという結果が出ています。その前年の平成14年度では、23%の企業しか導入していないことを考えると、急速にメンタルヘルスへの取り組みが増えていることが分かります。(p12)
企業が、社員の心の問題に関心を持ち始めたのはよい傾向だと考えられますが、そこで実施されている対策は本当に効果をあげているのでしょうか? メンタルヘルスとして、何に取り組んでいるのかを見ると、一番多いのは「カウンセリングの実施」、次に「管理者への教育」となっています。つまり、企業で起こっている「メンタルな問題」の実態や原因を解明し、そこに手を打つような根本的な対策ではなく、「管理者に教育し、そのような問題を抱えている社員を見つけ出してもらい、専門家に任せていく」というような対称療法をおこなっているだけのように感じます。(p12-13)
企業のメンタルな問題については、「病気になったら病院に行って治してもらえばよい」のではなく、もっと「病気にならないようにするには、どうすればよいか」という考え方が必要です。そのためにも、企業でいま何が起こっているのかを、もっと正確にとらえることが大切ではないでしょうか。(p13)
■書評・紹介
■言及
*作成:櫻井 浩子