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鬱/うつ
depression


 このファイルの作成:松枝亜希子立命館大学大学院先端総合学術研究科

◆うつ病
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%86%E3%81%A4%E7%97%85

■「鬱」的な病の歴史

  北中淳子(慶応義塾大学文学部助教授、医療人類学)が執筆した2本の論文、「鬱の病」(栗山茂久、北澤一利編著『近代日本の身体感覚』2004、前近代における「鬱」の病について記述)、「『神経衰弱』盛衰史―『過労の病』はいかに『人格の病』へとスティグマ化されたか―」(「ユリイカ」第36巻第5号、近代以降の「神経衰弱」の歴史)から、うつ病の用語、それへの意味付与の変遷の部分を抜き出した。

前近代(16世紀)の伝統医学 「鬱証」
鬱(留滞)した気が体を順調にめぐらず、停滞することで、様々な異常を引き起こす病態
原因は「七情の気」 つまり感情によって引き起こされる気鬱
「感情の病」
→「鬱証」 あくまでも「気」という実体を持つ病

江戸中期以降(17世紀後半以降)の医書や公文書 「気鬱病」 
病理機制 「元気の疲労」
道徳論  「心労の病」 苦悩の証 +「怠惰な生き方の徴」 両面価値的な評価

西洋の「メランコリア」が紹介された当初(18世紀末) 
「鬱病」「憂鬱病」の訳
「鬱証」に近い病 軽い鬱気分から重篤の狂気までを含む幅広い概念

日本で精神医学が確立されはじめる19世紀末の「メランコリア」
はるかに重篤で、遺伝によって大きく決定付けられる脳病→近代的鬱病観に 

→<パラダイム変換>
前近代の「鬱証」と、近代の精神病としての「鬱病」の間に深い断絶

明治以降の精神医学 「鬱病」
「脳病」 
エミール・クレペリン「躁鬱病」概念の導入 
「躁鬱病者」が発見され、遺伝性、狂気性が強調 
不可解で危険な異常者として排除の対象へ 
「鬱病」は、躁鬱病に吸収 1900年代以降1950年代まで新聞紙面から姿を消す

20世紀初頭 「神経衰弱」
エリートの「過労の病」 
しかし、精神科医の間では懐疑 「積年の心労」は「誘因」にすぎない
「真」の原因は、生物学的異常、脳異変 
「精神病」という診断が、心因論、状況論を否定し、差別的なものへ(異常者)
遺伝的決定論に
20世紀末 フロイトの「神経症」概念の登場 
「神経衰弱」が心理的な病へ 「怠慢」のしるし 「人格の病」へスティグマ化

※人格の病である「神経衰弱」とは別の精神疾患として「鬱病」という用語が再登場
1932年 「鬱病」 下田光造説
「一見単なる神経衰弱の如く」見えるが、生物学的基盤を持ち、異常者ではなく「模範人」が陥るという精神疾患 「執着気質論」

1950年代後半 「抗うつ剤」の発見
「うつ病」が単独の疾病単位として注目

テレンバッハ「メランコリー親和型性格」の紹介 「人間学的精神医学」

下田説の再評価
=日本の新たな「うつ病」言説の誕生

高度経済成長時代
労働者の「真面目」「勤勉」な人々が病む「うつ病」 社会的な産物
うつ病概念の拡大・拡散
「真性うつ病」・「自称うつ病」の登場

■文献

 これから掲載

◆小杉 正太郎 20030910 『社内うつ――職場ストレスのコントロール術』,講談社,213p.ISBN:406259451X ISBN-13:978-4062594516 1575 [amazon] ※
◆北中 淳子 2004 「鬱の病」,栗山茂久、北澤一利編『近代日本の身体感覚』2004
◆―――― ???? 「『神経衰弱』盛衰史――『過労の病』はいかに『人格の病』へとスティグマ化されたか」,『「ユリイカ』36-5


UP:20070426 REV:20080915
精神障害 

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