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『DES薬害――被害と救済の検証』

水谷 民雄 200406 本の泉社,319p.

last update: 20100709
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■水谷 民雄 200406 『DES薬害――被害と救済の検証』,本の泉社,319p. ISBN-10: 4880238465 ISBN-13: 978-4880238463 \1890 [amazon][kinokuniya]

■内容

(「BOOK」データベースより)
ジエチルスチルベストロール (DES) は1938年に開発された合成女性ホルモン(エストロゲン)剤です。DES胎内暴露児(男・女)およびその母親の徹底的な追跡調査をとおして、これらの被暴露者が、がん、奇形、生殖障害など多様な影響を被っている事実が明らかとなり、被害者の救済が重い課題となってきました。このように、DESによる薬害は、米欧諸国では、その被害の深刻さと規模の大きさからしてサリドマイド薬害と並ぶ、薬害の歴史のうえでも特別な地位を占めるものと見なされています。しかしわが国では、DES薬害についてのまとまった情報は乏しく、一般市民はもちろん、医療従事者、医薬品規制当局、製薬企業、医学・薬学研究者などの関心も決して高いとはいえません。本書は、このような実情を顧みて、DES薬害の全体像を紹介する日本語で書かれたはじめての成書として執筆したものです。
内容(「MARC」データベースより)
1938年に開発された合成女性ホルモン(エストロゲン)剤であるDES。米国を中心に深刻な被害を起こしながら、日本では情報が乏しいDES薬害について、その全体像を紹介する試み。
著者からのコメント

1938年に開発された合成女性ホルモン剤DESは,流産,早産など妊娠中のトラブルの治療・予防に有効であるという誤った思い込みのもとに,1970年代はじめまで,米国ほか30か国以上の妊婦に投与されてきました。DESに暴露された妊婦とその胎児は,米国で1千万人,それ以外の各国で数百万人にものぼると推定されています。1971年,胎内でDES暴露を受けた女児に,その思春期以後,通常ではきわめてまれな膣がん(明細胞腺がん)が発生することが見いだされました。これを契機としたDES胎内暴露児(男女)とその母親の徹底的な調査から,これらの被暴露者では,膣がん以外のがん・生殖器奇形・生殖障害などのリスクも増大する事実が明らかとなり,被害者救済が重い課題となってきました。

DES薬害は,米欧諸国では,被害の規模と深刻さからして,サリドマイド薬害と並ぶ二大薬害のひとつとされています。しかしわが国では,DES薬害についてのまとまった情報は乏しく,一般市民はもちろん,専門家の関心も決して高いとはいえません。本書は,この薬害の被害実態と被害者救済への取り組みの全体像を紹介する日本ではじめての成書です。

DES薬害の経験は,医薬品の開発と利用・医療技術のあるべき姿を考えるうえで,きわめて教訓的な意味をもっているだけでなく,「環境ホルモン」「予防原則」など環境問題や化学物質の安全対策にかかわる新しい概念の成立と発展にとっても大きな影響を与えています。本書が,医学・薬学分野の専門家だけでなく,医学・薬学を志す学生の皆さん,有効性と安全性の向上をめざした医療・薬物治療の改善を願う市民・患者のかたがた,さらには食品や環境を汚染する化学物質の安全問題に関心を寄せる皆さんなど,より広い層の読者にも役立つことを願っています。

著者略歴(「BOOK著者紹介情報」より)
水谷 民雄
1936年、京都府生まれ。1964年、京都大学大学院薬学研究科博士課程修了。京都大学薬学部助手、京都市衛生研究所主任研究員などを経て、1978年、京都府立大学生活科学部教授。1997年、京都府立大学人間環境学部教授。2000年、京都府立大学名誉教授。専門分野は環境毒性学、食品衛生学。環境化学物質の毒性発現のしくみ。薬学博士

■目次

*作成:植村要
UP:20100709 REV:
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