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『あい・らぶ・ゆー――ねむり続ける君へ』

工藤 浩 20010401 芳賀書店,267p.


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■工藤 浩 20010401 『あい・らぶ・ゆー――ねむり続ける君へ』 芳賀書店,267p. ISBN:4826130481 ISBN-13:9784826130486 2100 [amazon] ※  b d/p

■内容(「BOOK」データベースより)
一九九五年一〇月九日。三つの幼い命が消え、妻は植物状態になった。それから五年、著者は病院の簡易ベッドで暮らす。愛する人を守るため、ひとはこんなに強くなれる…愛の物語。

内容(「MARC」データベースより)
1995年10月9日。3つの幼い命が消え、妻は植物状態になった。それから5年、著者は病院の簡易ベッドで暮らす。愛する人を守るため、ひとはこんなに強くなれる。愛の物語。

■目次
第1章 長い一週間
第2章 二人のこと
第3章 待ちわびた家族
第4章 繰り返されるミス
第5章 東大病院とは
第6章 すこやかなるときも病めるときも

力の限り愛し合う夫婦から医療過誤は全てを奪っていった

■筆者による紹介
http://homepage2.nifty.com/m-ring/
 1995年10月9日、出産のため入院していた妻は1本の注射によってアレルギー症状を起こし呼吸困難に陥りました。出産を間近にしておなかの中の子供 たちは死に、妻はそれ以来意識を回復することなく2000年12月、天に召されました。

 日本を代表する医療施設である東京大学医学部付属病院。

 現場で全てを見ていた医師達は急激に悪化した喘息様発作に手の施しようがなかったと言います。本当にそうだったのでしょうか。誰にでも起こり得る薬物ア レルギーに備えることもなく、呼吸困難の訴えを軽視し、苦悶しながら意識を失っていく患者を前に何もできなかったのではないか。そんな疑問が拭えないま ま、その後もミスは繰り返されました。

 私はできる限りの時間をベッドの上の妻とともに過ごしました。そこで目にしたのは、医師や看護婦達の想像もつかない仕事ぶりでした。巨大な権威を誇る巨 大な病院の中で、妻を少しでも安心して過ごさせようと精一杯戦いましたが、最後まで彼らに私の願いは通じませんでした。妻のいなくなった今も医療過誤裁判 という戦いは続きます。

 17歳の年齢差、周囲の大反対、結婚、米国での不妊治療、三つ子の妊娠。・・・そして全てを失ったあの夜。それ以来私は、付き添いの許されないその病院 で、周囲の冷たい視線にさらされながらも毎晩寝泊りし、妻のそばを離れませんでした。気が付くと5年の月日が過ぎていました。
 私たちが通ってきた道のりは珍しいものだったかもしれません。でもそれはごく自然な、妻を幸せにしたいと思う一歩一歩でした。

 優しかった妻は、今もこうして戦うしかない私をどう見ているでしょうか。

 このページは、最も大事なものすべてを失った私が、死んでいくしかなかった家族と、今も何も変わらないものたちに送るメッセージです。

■引用
[まえがきより]
 長いすでしばらく待たされた後、狭い流し場に通された。使い古された流し台の上に一枚の紙おむつが敷かれていて、子どもたちはその上に産着も着せられる ことなく産まれたままの姿で寝かされていた。

 妻と共に万全を期して挑んだはずの出産は、五年前のあの日、荒んだ日本の無惨に踏みにじられた。私は東京大学医学部付属病院で三人の子どもたちを失った。そして妻は今もねむり続けている。

[第一章より]
 「どうして何の説明もせずにそんな薬を使ったんですか。薬物に敏感な体質だから気をつけてくれとあれほど言ったはずでしょう。なぜ助けられなかったんですか」
 Y病院長は同じ説明を繰り返すだけだった。
 「原因は何ですか」
 「今のところリンデロンによるショックと考えています」
 「ミスではないんですか」
 その問いには答えず、またその薬の必要性に話は戻っていた。
 この間、謝罪の言葉も私を気遣う言葉もなかった。


*作成:山本奈美
UP: 20080618 REV:20081204
医療過誤、医療事故、犯罪…   ◇陣痛促進剤による被害  ◇産・生  ◇身体×世界:関連書籍 2000-2004  ◇BOOK 
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