『福祉国家から福祉社会へ――福祉の思想と保障の原理』
正村 公宏 20000315 筑摩書房,247p.
■正村 公宏 20000315 『福祉国家から福祉社会へ――福祉の思想と保障の原理』,筑摩書房,247p. ISBN-10: 4480863265 ISBN-13: 978-4480863263 \2730 [amazon]/[kinokuniya] ※
■内容
(「BOOK」データベースより)
社会保障・社会福祉は、すべての国民の「不安」の緩和を目的とする社会的共同事業である。本書は、目前の21世紀の社会福祉はどうあるべきか、制度体系の具体的な提言。
(「MARC」データベースより)
社会保障・社会福祉は、すべての国民の「不安」の緩和を目的とする社会的共同事業である。目前の21世紀の社会福祉はどうあるべきか、制度体系の具体的な提言。
■目次
まえがき
第1章 福祉国家の成立
1 福祉の意味
「福」と「祉」
「さいわい」と「わざわい」
「福祉」と「厚生」
日本国憲法のなかの福祉
厚生経済学
効用と限界効用
「再分配」の効果
2 社会の福祉
「広義のの福祉」と「狭義の福祉」
「弱者救済」の意味
「弱者救済」の動機
宗教と「弱者救済」
「市民革命」と「産業革命」の衝撃
民主主義と団結権と生存権
3 福祉国家
「福祉国家」と「普遍主義」
プロテスタントの社会事業
イギリスの社会保障制度
ビスマルクと社会主義
ドイツの社会保障制度
二つの世界大戦と経済危機
アメリカとイギリス
スウェーデンの福祉国家
4 社会民主主義
「社会派」の「民主主義」
「社会主義」の修正と「自由主義」の修正
イギリスの労働運動と社会主義
ロシア革命の衝撃
マルクス主義からの離脱
中道左派型の社会民主主義
自由主義の修正
日本のなかの改革派
疑似福祉国家
第2章 社会保障の制度
1 社会保障の原理
所得の保障と費用の保障
選別主義と普遍主義 →選別主義・普遍主義
「安心」の給付
社会サービスの供給と政府
当事者の意志と選択の尊重
2 社会保障の費用
費用の調達
社会保険の制度
社会保険の限界
医療費の保険制度
医療費保険の財源調達
老人保健法と退職者医療制度
高齢者の医療費の調達
退職年金の「積立方式」と「賦課方式」
3 老後保障の形態
「積立方式」から「賦課方式」への「変質」
「賦課方式」の基礎年金と介護保険
世代のあいだの公平原理
現代の老後保障の条件
「広義の賦課方式」の諸形態
老人保障の基礎条件
「少子化」による社会の衰退の危機
4 社会保障と経済
指標としての「国民負担率」の不備
財政の規模よりも支出の構造が問題
強くて賢い政府が必要
「小さすぎて弱すぎて愚かな政府」が国を亡ぼす
「臨調行政」による不均衡の拡大
社会保障・社会福祉の必要性と可能性
生活水準のほんとうの指標
改革のプログラムを提示すること
アクセスの権利の保障
第3章 社会福祉の事業
1 社会サービス
「社会資本」と「社会サービス」
所得・費用の給付と社会サービス
情報の非対称性の是正
個人を対象とする事業
ソシアル・ケースワーク
ケースワークの精神
2 「少子・高齢化」と社会福祉
保育事業の目的の変化
医療費保障と市場原理
「出来高払い」の長所と短所
岩手県沢内村の実践
「公共性」と「共同性」の再発見
「社会的入院」の背景
医療行政と医療機関にたいする不審
インフォームド・コンセント
介護保険制度の問題点
ケア・マネージャーの役割
リハビリテーションの意味
3 ノーマライゼーション
施設の不足と不備
ノーマライゼーションの思想
「ノーマライズ」すること
「寝かせきりにされている老人」
「縛られない老後」のために
コミュニティ・ケア
「自立」にたいする支援
4 バリアフリーの社会
福祉の「総合化」
「福祉」と「教育」の連携
プロフェッショナリズムとボランタリズム
「バリアフリー」の住宅基準
都市の構造を変える
「ノーマルな社会」の基礎条件
第4章 福祉社会の課題
1 福祉国家から福祉社会へ
福祉国家の成功が提起したもの
経済の激動にたいする対応
防衛的ナショナリズムと防衛的デモクラティズム
高福祉・高負担・高成長の実現
アメリカと日本
福祉国家と福祉社会
2 国家の役割の見なおし
「福祉国家の危機」
「福祉の見直し」の流行
社会民主主義と混合経済の優越
資源・環境保全型の新しい文明の創造
「市場の相対化」と「企業の民主化」
地域統合と地方分権
「サブシディアリティ」の原則
「国家」と「社会」の関係の見なおし
人間の「量」と「質」の「再生産」
3 生活時間と生活空間
競争の加速と悲劇の増加
労働生産性の上昇を何に使うのか
残業を激しく抑制する法制の必要
労働時間短縮は文明の見直しにつながる
実質所得増加を何に使うのか
「生活空間」の構成要素
「コミュニケーション空間」の改善
4 維持可能な社会
文明化と文明化社会
文明の衰退
文明社会と自然の関係
社会の保育力の回復
日本の教育の失敗
「市場の失敗」と「政府の失敗」
福祉国家と福祉社会の組み合わせ
「民主制」と「民主主義」を機能させること
参考文献
索引
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:三野 宏治