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『セルフヘルプグループ――わかちあい・ひとりだ ち・ときはなち』

岡 知史 19990210 星和書店,151 p. ISBN-10: 4791103912


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岡 知史 19990210 『セルフヘルプグループ』,星和書店,151 p. ISBN-10: 4791103912 ISBN-13: 978-4791103911 [amazon]

■出版社/著者からの内容紹介
アルコール依存症者、身体障害者や精神障害者、ひとり親のひとたち──いま、様々なセルフヘルプグループ(当事者・本人の会)実践されています。活動内容 は各々かなり違いますが、共通の考えかたがあります。本書は生きていくのが難しくなったときのために、今の生き方とは、すこし違った「セルフヘルプという もうひとつの生き方」を伝えています。

■内容(「BOOK」データベースより)
アルコール依存症者、身体障害者や精神障害者、ひとり親家庭、パニック障害に苦しむ人たち、うつ病の人たち…今、新しいセルフヘルプの会が次々と登場して います。本書は生きていくのが難しくなった人に「セルフヘルプというもうひとつの生き方」を伝える本です。

■紹介・引用

▼セルフヘルプ・グループの「効用」と「効かない場合」
「「慰めあい」は一時しのぎのことでしょう。「気休め」のウソが含まれるかもしれません。しかし「本人の会」で行われるのは「慰めあい」ではなく「わかち あい」です。自分のなかの抑えられていた気持ちを出すのです。そこには「抑えていたものを出す」ことによって心を軽くし、次のステップに進もうという前向 きの姿勢が含まれています。」(p.13)

「必要な情報は医学的なことに限りません。学校はどうするのか、治療費はどうするのか、どういう福祉制度が利用できるのかといった問題が出てきます。(中 略)むしろ、そういうことは同じ病気の子どもを何年もみている他の親に聞いたほうがいいかもしれません。会には、あなたと同じような体験を何年も前からし ている人がいます。そういう人との出会いから、病気の子どもと暮らすということはどういうことなのか、親として何をすればいいのか、といったことをあなた は学ぶことができるでしょう。」(pp.20-21)

「精神医学的な問題について、素人ばかりが集まって自分たちの方法を作り出すのは聞危険だと思うかもしれません。しかし、こうした会は、いずれも専門の医 師たちの信頼と協力を得ています。心の問題にかかわる会が自分たちでつくりだした方法は、精神科医が用いる方法とは異質なものです。薬を使うことはありま せんし、会のリーダーが診断をすることもありません。精神科医の方法が悪い状態を取り除く「治療」を目指しているとすれば、「本人の会」の方法は自分自身 のありのままの状態を認めて、そのうえでの人間的な成長を目指すものが多いのです。」(p.23)

「最後に、その体験をめぐって出てくる「考えかた」です。その考えかたは、あなたの体験の良い面を強調し、あなたに自身を与え、さまざまな困難を乗り越え ていく勇気を与えてくれることでしょう。会のなかで、困難を乗り越えてきた人の明るい笑顔に実際に出会うことで、あなたは力強い希望を手に入れるにちがい ありません。」(pp.29-30)

「医師など専門的な知識をもつ人々のなかには、「本人の会」は本人にとって危ないものだと考えている人がいます。「専門的な知識をもたない人たちが考えだ した意見は、素人の意見だから間違っていることが多い、だから危険だ」というのです。」(pp.41-42)

「しかし、活動が成功している会では、多くの仲間がいろいろな体験をわかちあってきています。そういう「わかちあいの歴史」が信頼できる情報を生み出すの です。
 会の、もうひとつの悩みは、さまざまな段階にいる人たちがいることです。(中略)自分たちの将来についての情報が、会の仲間との「わかちあい」を通して 伝わってくるのです。
 また、会には同じ条件といっても少しずつ違う状況にある人が集まっています。ですから、「もしも……だったら」という状況が見えてきます。」 (pp.44-45)

「「本人の会」は体験で確かめられた情報を、わかりやすい言葉で、あるいは言葉だけではなく、困難を乗り越えてきた人の姿そのものを通じて伝えていま す。」(p.49)

「ですから、「本人の会」で心を開き、自由にわかちあうことができれば、暖かい日差しのもとで凍った氷が溶けるように、あなたの心を抑えていた重荷が少な くなり、ときはなたれた気持ちになるでしょう。なぜなら「本人の会」では、あなたを差別したり貶めたりする人は誰もいないからです。みんな同じ立場にいま す。」(p.67)

「こうして、私たちは自身をもち、自分で自分を差別してしまう「とらわれ」から自由になれるのです。(中略)
 そんなことがないように「本人の会」は自分自身の気持ちや考え方を変えるだけではなく、周囲の人たちの考えかたも変えようとします。」(pp.71- 72)

「「世間の目」が変われば「世間の動き」が変わり、やがて「世間の仕組み」も変わります。つまり「まわりの気持ちを変える」ことが、結局「社会の仕組みを 変える」ことにつながるのです。」(p.77)

「「本人の会」の活動は社会を変えようとする、その他の社会運動に対して、ひとつの大きな特徴をもっています。それは社会を変えるためには、まず自分が変 わらなければならないと知っていることです。私たちもまた社会の一部であり、社会を変えることは、まず自分自身を変えることから始まると「本人の会」は考 えています。」(pp.80-81)

「「本人の会」は「わかちあい」から始まります。その「わかちあい」の目的には「ひとりだち」と「ときはなち」があります。
 この「ときはなち」には、ふたつの意味があります。
 ひとつは「自分への尊敬」を取り戻すことです。自分自身で抑えつけ閉じ込めてしまっていた気持ちを解き放ち、自分で自分を差別する考えかたをやめるので す。
 もうひとつは、あなたを抑えつけている環境を変えるために「社会に働きかける」ことです。本人の立場から情報を発信し身近な周囲の人たちの考えかたを変 えることで、直接的にあるいは間接的に住み良い社会を作り出すことを目指しています。」(p.82)


*作成:松枝亜希子
UP:20080404
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