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『現代フェミニズムと労働――女性労働と差別』

Beechey, Veronica 1987 Unequal Work, Verso
=19930310 高島 道枝・安川 悦子 訳,中央大学出版部,295p.


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■Beechey, Veronica(ヴェロニカ・ビーチ) 1987 Unequal Work, Verso [London]=19930310 高島 道枝・安川 悦子 訳,『現代フェミニズムと労働――女性労働と差別』,中央大学出版部,295p. ISBN: 4805721502 4200 [amazon][kinokuniya] ※

■内容

(「MARC」データベースより)
「労働力の女性化」を主題とし、現代資本主義社会における雇用構造の変化と女性雇用労働の地位について書かれた九つの論文をまとめた書。雇用構造が変化する中で女性の雇用労働はどのような状況にあり、どのように、それをとらえたらよいかを課題としている。

■目次

まえがきと謝辞
序論
第1章 女性と生産――女性労働に関する社会学理論の批判的分析
第2章 資本主義生産における女性賃労働についての覚え書
第3章 性別分業と労働過程――ブレイヴァマンの批判的検討
第4章 家父長制について
第5章 女性雇用の何がそんなに特殊なのか――有給女性労働についての若干の最近の研究の検討
第6章 パートタイム労働の性格
第7章 イギリスにおける最近の女性雇用研究の方法
第8章 失業は何を意味するか
第9章 将来の労働力の形態
訳注
訳者あとがき
人名索引

■紹介・引用

▼ (by立岩)
第7章 イギリスにおける最近の女性雇用研究の方法
「雇用主は、弾力性のある労働力を手に入れるのに、ジェンダー分離方式をとったことを、明らかにした。」(p.218)


▼ *第九章
 労働を編成するには、二つの主要な道がある。その道というのは、[……]人口のさまざまなグループのあいだの労働の不平等をなくすような方向に進める道であるだろう。第一の道は、パートタイム労働者の賃金を引き上げ、フルタイム労働者と平等な権利を認めることによって、その状況を改善することである。そしてまた職業的階層制におけるあらゆるレベルでのジョブ・シェアリングやパートタイム勤務を導入し、雇用構造に弾力性をうちたて、その結果人びとは、労働の生涯を通じて、パートタイムとフルタイムのあいだを移動することができるようにすることである。こうした方策は、主として女性の状況を改善することになるであろう。パートタイム労働者の圧倒的多数は女性であるからである。しかしどんな措置であれ、パートタイム労働自体の状況を改善する措置は、パートタイム労働を男性にとっても魅力あるものにすることだろう。(Beechey[1987=1993:261-262])

▼ *訳者あとがき
 本書の冒頭で説明されているように、ビーチは、近年の資本主義諸国における労働階級の構造変化を、ジェンダー構成の変化、パートタイム労働化傾向、労働の生涯パターンの変化とおさえ、この労働力の存在構造の変化をどのように評価し、将来の社会変革を見とおしてどのように位置づけるかを問題にした。本書では、こうした問いに答え、将来に向けての具体的な戦略の全体像を提示するというところには至っていない。しかしビーチは、左翼の従来のステレオタイプの労働者概念とそれにもとづくイデオロギー(完全雇用、家族賃金、トレード・ユニオニズムなど)の持つセクシズムを批判し、正常からはみでた「特殊」と規定されてきた女性パートタイム労働を、労働の戦略の正面に据えて考えることが「戦略」への鍵となると考えているように思われる。ビーチの議論は、とても歯切れがよいとはいえないが、労働の将来に対する代替戦略は、ここのところを正面に掲げて中央突破する以外に道はないと彼女は考えていることだけは、確かである。(p.281)


*作成:村上 潔(立命館大学大学院先端総合学術研究科)
UP:20050727 REV:20071120
主婦/パート/労働(海外)  ◇女性の労働・家事労働・性別分業  ◇BOOK 
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