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『メタヒストリー――一九世紀ヨーロッパにおける歴史的想像力』

White, Hayden 1973 Metahistory: The Historical Imagination in Nineteenth-Century Europe,The Johns Hopkins University Press,464pages.
=20171020 岩崎 稔 監訳,作品社,703p.

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last update:20180514

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■White, Hayden 1973 Metahistory: The Historical Imagination in Nineteenth-Century Europe,The Johns Hopkins University Press,464pages. =20171020 岩崎 稔 監訳 『メタヒストリー――一九世紀ヨーロッパにおける歴史的想像力』,作品社,703p. ISBN-10:486182298X ISBN-13:978-4861822988 [amazon][kinokuniya] ※ n08. p

■内容

(「Amazon」HPより引用)
歴史学に衝撃をもたらした“伝説の名著“
翻訳不可能と言われた問題作が43年を経て、遂に邦訳完成!

「本書を読まずして、歴史を語るなかれ」
本書は、ヘイドン・ホワイトが1974年に発表し、歴史学に衝撃をもたらした、あまりにも有名な名著である。世界では「メタヒストリーを読まずして、歴史を語るなかれ」とまで言われる。しかし、あまりの難解さゆえに、日本では何人もの翻訳者が挫折し、すでに原著刊行から43年が経つが、「翻訳が成されえない最後の名著」として伝説化されてきた。
本書は、10年の歳月をかけて実現した待望の初訳であり、さらに多数の訳注を付し、日本語版序文、解説などを収録した決定版である。

ホワイト日本語版序文
「ようやく! そして、メタヒストリーを再考する意味について」

■監訳者「日本語版解説」より■
本書は、歴史学に言語論的転回をもたらし、人文諸学の多様な領域に、大きな刺激と影響を与えてきた。日本でも伝説的な名著として知られながらも、永く翻訳がない大作の筆頭に、常に挙げられてきた作品である。
本書では、ヘーゲル、ミシュレ、ランケ、トクヴィル、ブルクハルト、マルクス、ニーチェ、クローチェなど、19世紀の歴史学と歴史哲学の事例を吟味することを通じて、歴史叙述において暗黙のうちに働く語りの形式性が掘り下げられていく。歴史叙述とは、けっして客観的実在や痕跡をさまざまな立場から記述する過程ではない。言い換えれば歴史学は、誰もがどんな場合にも不変なものとして想定できる、何らかの所与に依拠して成り立つ知ではない。人間の存在様態としての歴史性とは、常にまるごと言語によって媒介されており、本書には、そうした歴史的な語りがどのような形式的特性をもって立ち現れてくるのかを、反省的に解明するための仮説的な筋道とその実践が示されている。

■著者等紹介

ホワイト,ヘイドン[ホワイト,ヘイドン] [White,Hayden]
アメリカの歴史家、批評家。現在、カリフォルニア大学サンタ・クルーズ校名誉教授。1928年生まれ。1951年にウェイン州立大学を卒業後、1956年にミシガン大学大学院で博士号を取得。ロチェスター大学、カリフォルニア大学ロスアンジェルス校の歴史学部で教鞭を執り、1973年、同校の人文学センター長に就任。1976年、ウェズリアン大学で歴史・文学教授を務めたのち、1978年、カリフォルニア大学サンタ・クルーズ校人文科学部に新設された「意識の歴史(History of Consciousness)」コースの教授に就任。1995年から2014年まで、スタンフォード大学で比較文学・ドイツ研究のコンサルティング・プロフェッサーを務めた。1991年、アメリカ芸術・科学アカデミーの会員に選出された

岩崎稔[イワサキミノル]
東京外国語大学総合国際学研究院教授。専攻:哲学/政治思想。1956年生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科博士後期課程単位取得退学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次

[日本語版序文]
ようやく! そして、メタヒストリーを再考することの意味について

[四〇周年記念版への前書き]
「きみが手にしているすべてが歴史だ」……マイケル・S・ロス

四〇周年記念版への序文

一九七三年版への序文

序論 歴史の詩学
 歴史学的作品の理論
 プロット化による説明
 形式的論証による説明
 イデオロギー的意味による説明
 歴史叙述のスタイルという問題
 喩法の理論
 一九世紀の歴史意識の諸段階

第Ⅰ部 受け入れられた伝統――啓蒙と歴史意識の問題
第1章 隠喩とアイロニーのはざまの歴史的想像力
 はじめに
 啓蒙の歴史叙述の弁証法
 歴史叙述の伝統的な概念
 歴史、言語、プロット
 懐疑主義とアイロニー
 啓蒙以前の歴史叙述の主要形式
 ライプニッツと啓蒙
 歴史の場
 啓蒙の歴史叙述の到達点
 啓蒙の歴史叙述に対するヘルダーの叛乱
 ヘルダーの歴史理念
 ヘルダーからロマン主義と観念論へ

第2章 ヘーゲル――歴史の詩学とアイロニーを超える方法
 はじめに
 言語、芸術、歴史意識
 歴史、詩、レトリック
 可能なプロットの構造
 包摂的なプロット構造としての悲劇と喜劇
 即自的歴史と対自的歴史
 即自かつ対自的歴史
 構造としての《歴史の場》
 国家、個人、悲劇的歴史観
 過程としての《歴史の場》
 悲劇から喜劇へ
 世界史というプロット

第2部 一九世紀の歴史記述における四種類の「リアリズム」

第3章 ミシュレ─―ロマンスとしての歴史的リアリズム
 はじめに
 一九世紀における歴史学の古典
 歴史哲学に抗する
 歴史叙述
 隠喩的様式における「リアリズム」としてのロマン主義的歴史学
 「存在の混沌」としての歴史の場
 ミシュレ─―隠喩として説明され、ロマンスとしてプロット化された歴史叙述

第4章 ランケ─―喜劇としての歴史的リアリズム
 はじめに
 ランケの歴史学的方法の認識論的基礎
 喜劇としての歴史過程
 歴史的分析の「文法」
 歴史的事件の「構文論」
 歴史解釈の「意味論」
 ランケにおける歴史的理念(イデー)の保守的含意
 喜劇としてプロット化された歴史
 歴史的方法として有機体論を本格的に弁護すること
 小括

第5章 トクヴィル――悲劇としての歴史的リアリズム
 はじめに
 弁証法に抗って
 二つの様式における詩と歴史
 自由主義の仮面
 社会的調停の歴史叙述
 歴史過程の「構文論」
 アメリカの歴史の「意味論」
 ヨーロッパ史というドラマ
 リベラルな視点、保守的な語調
 アイロニーの視座から見る悲劇的対立
 革命というドラマのアイロニー的解決
 アイロニー的視点がもつイデオロギー的意味に抵抗する試み
 ゴビノー批判
 アイロニーへの転落
 小括

第6章 ブルクハルト――風刺劇としての歴史的リアリズム
 はじめに
 ブルクハルト――アイロニー的世界観
 世界観としてのペシミズム――ショーペンハウアーの哲学
 歴史意識の基盤としてのペシミズム
 風刺劇的スタイル
 歴史過程の「構文論」
 歴史の「意味論」
 「風刺(サトゥーラ)」のプロット構造
 隠喩に抗って
 アイロニーとしてのリアリズム
 歴史と詩
 小括

第3部 一九世紀後期の歴史哲学における「リアリズム」の拒否

第7章歴史意識と歴史哲学の再生

第8章 マルクス――換喩の様式における歴史の哲学的弁護
 はじめに
 マルクスについて研究するという問題
 歴史をめぐるマルクスの思想の核心
 分析の基礎モデル
 歴史的実存の「文法」
 歴史過程の「構文論」
 歴史の「意味論」
 具体的な歴史的出来事に適用されたマルクスの方法
 茶番劇としての歴史
 小括

第9章 ニーチェ――隠喩の様式における歴史の詩的弁護
 はじめに
 神話と歴史
 記憶と歴史
 道徳と歴史
 真理と歴史
 小括

第10章 クローチェ――アイロニーの様式における歴史の哲学的弁護
 はじめに
 批評としての歴史哲学
 「芸術の一般概念のもとに包摂される歴史」という試論について
 歴史意識の美学
 歴史的知の本性――共通感覚が与える正当化
 歴史学的知の逆説的な本性
 クローチェの歴史観念のイデオロギー的意味
 適用された批評の方法――アイロニーの馴致効果
 クローチェ対マルクス
 クローチェ対ヘーゲル
 クローチェ対ヴィーコ
 ブルジョア・イデオロギーとしての歴史学

結論

[日本語版解説]
メタヒストリーとは、いかなる問いなのか? (岩崎稔)

参考文献一覧
1.本文内で分析された著作
2.歴史学・歴史哲学・批判理論に関する本文内で言及した著作
3.ヘイドン・ホワイトの著作(単著、共著、共編著)
4.ヘイドン・ホワイトの著作・論文の翻訳
5.ヘイドン・ホワイト論

索引

■引用

■書評・紹介

柄谷行人 2017/11/12 「書評 歴史を「言語」から見直す企て」,『BOOK asahi.com』書評 > BOOK asahi.com掲載『メタヒストリー――一九世紀ヨーロッパにおける歴史的想像力』
http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2017111200005.html
◆成田龍一・岩崎稔・橋爪大輝 2017/12/01 「鼎談 『メタヒストリー』が現在に問いかけるもの」,『週刊読書人ウェブ』鼎談 > 週刊読書人ウェブ掲載『メタヒストリー――一九世紀ヨーロッパにおける歴史的想像力』
http://dokushojin.com/article.html?i=2486

■言及



*作成:安田 智博
UP:20180514 REV:
ナラティヴ・物語 哲学/政治哲学(political philosophy)/倫理学 身体×世界:関連書籍  ◇BOOK

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