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『大転換――市場社会の形成と崩壊』

Polanyi, Karl 1957 The Great Tranformation: The Political and Economic Origins of Our Time, Beacon Press
=197504 吉沢 英成・野口 建彦・長尾 史郎・杉村 芳美訳,『大転換――市場社会の形成と崩壊』,東洋経済新報社,447p.


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■Polanyi, Karl 1957 The Great Tranformation: The Political and Economic Origins of Our Time, Beacon Press=197504 吉沢 英成・野口 建彦・長尾 史郎・杉村 芳美訳,『大転換――市場社会の形成と崩壊』,東洋経済新報社,447p. ISBN-10: 4492370293 ISBN-13: 978-4492370292 \3780  [amazon][kinokuniya] p0601

■出版社/著者からの内容紹介
先市場社会における経済の地位に注目しつつ、社会と経済の関係を検討することによって、市場社会たる19~20世紀世界の文明史的意義を解明する。経済社会学の一大古典。

■引用

「アダム・スミスからタウンゼンドへの時代の雰囲気の変化は、実にめざましいものであった。スミスは、トマス・モアやマキャヴェリ、ルターやカルヴィンといった国家の創案者たちとともに始まった時代の終焉を画したのにたいし、タウンゼンドは一九世紀の人間であって、リカードやヘーゲルが各々の対極的角度から国家の法に従属することなく、逆に国家をみずからの法則に従わせるような社会の存在を発見した時代の人であった。」(ポラニー『大転換(旧訳)』 p.151)

「社会改革者のうちで最も実を結んだ人物ジェレミー・ベンサムが、貧民を大規模に使って、彼よりさらに発明の才ある弟のサミュエルのつくった機械を運転して木材や金属の加工をさせる計画を立案したのは、それからちょうど一世紀後のことであった。サー・レスリー・スティーブンは、「ベンサムは弟と一緒になって蒸気エンジンを探しもとめていた。そして今や、蒸気の代りに囚人を雇うことを思いついたのだ」といっている。これは一七九四年のことであった。ジェレミー・ベンサムの円形監獄(パノプティコン)の計画は、監獄を安上りで効果的に監視できるように工夫されていたが、その計画は二年も前から存在しており、彼は今やそれを自分の囚人経営工場に適用することを決意したのだ。そして貧民が囚人にとって代わるはずであった。(…)これによると二五〇を下らない工場が設立され、そこに約五〇万人が収容されることになっていた。その計画にはさまざまの範疇の失業者について詳細な分析が付せられていたが、その分析においてベンサムは、この領域での他の研究者の成果に比して一世紀以上も先んじていた。彼の分類好きな精神はその最善の場合には現実への適応能力を示しえたのである。近年になってあらわれた「行き場のない職人」は、「偶発的不況」ゆえに雇用先を見つけだすことのできない者とは区別されていた。つまり、季節労働者の「周期的不振」は「免職された職人」とは区別されていたのだ。そのような職人とは、たとえば「機械の導入によってはじき出さ」れた者、あるいはもっと近代的な言葉でいえば、技術的失業者のことであった。このグループは、ベンサムの時代に対仏戦争によって目立つようになったもう一つの近代的範疇、すなわち「除隊職人」から構成されていた。しかしながら最も重要な範疇は上述の「偶発的不況」による失業者であった。それには「流行に左右される」仕事をしている職人や工芸家ばかりでなく、それよりはるかに重要な「全般的工業不況が発生したばあいの失業者グループが含まれていた。ベンサムの計画は、失業者を大規模なスケールで商品化することを通して景気の循環を平準化するものにほかならなかったのだ。」(ポラニー『大転換(旧訳)』p.143-145)

■紹介・言及

橋口 昌治 200908 「格差・貧困に関する本の紹介」, 立岩 真也編『税を直す――付:税率変更歳入試算+格差貧困文献解説』,青土社


*作成:橋口 昌治 
UP:20090804 REV: 0811
経済(学) economics  ◇貧困・格差関係の本  ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK 
 
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