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ALS/QOL関連文献のレビュー


last update: 20151225

◇Simmons Z, Bremer BA, Robbins RA, Walsh SM, Fischer S (2000):Quality of life in ALS depends on factors other than strength and physical function. Neurology.55:388-392

目的 QOL尺度の評価
対象 96名(男性52名/女性44名、平均年齢57.8歳。全員が呼吸器未装着者。平均病歴は31.8ヶ月)
QOL指標 MQOL、SIP/ALS-19
その他の指標 Tufts Neuromuscular Quantitative Exam、Idler Index of Religiosity
結論
対象者のQOLは、体力や身体機能尺度とは相関しておらず、心理学的・実存的・サポート要因の方がQOLを規定するのに重要な役割を果たしていた。SIP/ALS-19は身体機能を評価するにはよいが、QOL全体のよい尺度とはいえない。MQOLはQOL全体の評価にとって有用である。

◇Robbins RA, Simmons Z, Bremer BA, Walsh SM, Fischer S (2001):Quality of life in ALS is maintained as physical function declines. Neurology.56:442-444

目的 身体機能に特化したSIP/ALS-19の批判的検討。SIP/ALS-19による評価を、MQOL、宗教性に関する指標、ALSFRSのそれぞれの評価と比較検討。
対象 60名(男性32名/女性28名、平均年齢58.5歳、ALSFRSスコア平均28.1)
QOL指標 MQOL、SIP/ALS-19
その他の指標 ALSFRS、Idler Index of Religiosity、
結論
ALSFRSで測定された身体機能が悪化したが、MQOLで測定されるQOLは維持された。これらの患者のQOLは、ALSによる容赦なき身体的衰弱によって規定されない。研究対象になった患者は気管切開も呼吸器も使っていなかったため、気管切開・呼吸器使用患者のQOLが維持されるかどうかについてはコメントできない。研究期間中にBiPAPが必要になった患者が4名。だが身体状態の変化にもかかわらずQOLは変化しなかった。

◇Simmons Z, Felgoise SH, Bremer BA, Walsh SM, Hufford DJ, Bromberg MB, David W, Forshew DA, Heiman-Patterson TD, Lai EC, McCluskey L 2006):The ALSSQOL: balancing physical and nonphysical factors in assessing quality of life in ALS. Neurology.67:1659-1664

目的 患者に評価されたQOL総体を反映するALS疾患特異的QOL指標の開発

対象 342名(男性226名、女性116名、27〜87歳、病歴60ヶ月以内が84%、120ヶ月以内が95%。最長237ヶ月)
QOL指標 ALSSQOL、MQOL、SEIQOL-DW、WHOQOL-BREF

結論
従来の身体的機能に特化したSIP/ALS-19およびALSAQ-40ではALS患者のQOL全体を評価することはできず、他方、非身体的因子に配慮したSEIQOLでは、対象者が大量である場合の有用性に問題がある。ALSSQOLは、ALS患者の生活全体のQOLの評価にとって重要な非身体的な因子に配慮しつつ、大量の対象者間での比較可能性を備えたQOL指標である。


◇Clarke S, Hickey A, O'Boyle C, Hardiman O (2001):Assessing individual quality of life in amyotrophic lateral sclerosis. Qual. Life. Res.10:149-158


目的 (1)SEIQOLの内的整合性による信頼性と妥当性の評価。(2)ALSのQOLに関する簡潔な記述を提示することと、QOL・疾患の重篤度・心理学的苦悩の相関性の検証。
対象 アイルランドALS/MND患者名簿 から適格者を募集。参加に同意した68名の患者の中から、実際に研究に参加したのは26名(69.2%が男性、平均年齢63歳、病歴の平均は31.5ヶ月)

QOL指標 SEIQOL
その他の指標 ALSFRS、Hospital Anxiety and Depression Scale(HADS)

結論 
ALSFRSの疾患重篤度と抑鬱レベルの間には相関性は見られなかった。抑鬱レベルは低かった(だが、研究参加に同意した患者はそもそも抑鬱レベルが低いという可能性もあり、この結果がALS患者全体を代表しているとは言えない(157))。SEIQOLを完成させた21名の患者にとって、QOLと疾患重篤度、QOLと抑鬱ないし不安の間に相関性は見られなかった。またSEIQOLと病歴の間にも相関性は見られなかった。SEIQOLはALSの人のQOL評価の有用なツールたりうるが、重度のALS患者には、SEIQOLを完成させることはできないかもしれない。


◇Neudert C, Wasner M, Borasio GD (2001):Patients' assessment of quality of life instruments: a randomised study of SIP, SF-36 and SEIQoL-DW in patients with amyotrophic lateral sclerosis. J. Neurol. Sci.191:103-109


目的 健康関連QOL指標とSEIQOLというQOL測定に対する異なるアプローチについての患者の選好の同定。どのQOL指標を患者は主観的に妥当だと感じるか。

対象 1998年4月〜1999年5月にミュンヘンのルードヴィッヒ・マクシミラン大学神経内科神経疾患外来に訪れた42名の患者(性別、年齢、病歴情報はなし)。
QOL指標 SIP、SF-36、SEIQOL
結論

患者はSEIQOLを、SIPおよびSF-36よりも妥当な指標だと感じていた。「健康関連QOL」という語は、健康は重篤な疾患をもつ患者の個人的なQOLに関連していない以上、適切ではない。SF-36およびSIPに関しては、「包括的健康状態」という表現が適切である。とくにSIPは、SEIQOLおよびSF-36に比べて、患者に対して非常に大きな感情的苦痛を与えていた。SIPおよびSF-36のALSの健康関連QOLは、疾患の進行に伴ってほぼ直線的に下降傾向を示すが、臨床的経験および論文データは患者のQOLは必ずしも直線的コースを辿らない。SEIQOL-DWはポジティブな介入という面を持ちうる。


◇ Bromberg MB, Forshew DA (2002):Comparison of instruments addressing quality of life in patients with ALS and their caregivers. Neurology.58:320-322


目的 患者およびケアギバーのQOL評価――身体機能中心のQOL指標との比較を通して、SEIQOLの有効性を評価する。
対象 患者25名とその配偶者である13名のケアギバー。患者平均年齢は56歳で平均病歴は27.6ヶ月(最長102ヶ月)。ケアギバーは平均58歳。対照群として五組の健康なカップル。

QOL指標 SEIQOL-DW、SIP/ALS-19

その他の指標 ALSFRS
結論

ALS患者にとって重要なQOL領域は、身体的機能とは結びついていない。逆に、ALS患者の機能レベルはケアギバーにネガティブなインパクトを与える。ALS患者の高いスコアは、患者がQOLの判断基準を変化させているというレスポンスシフトを示している。それは進行性疾患と付き合うポジティブな過程と見なしうる。ケアギバーの低いスコアは、ケアギバーが期待を変えることを強いられるという逆のレスポンスシフトを反映していると思われる。SEIQOLのようなオープンQOLスケールは、患者とケアギバーのレスポンスシフトをより理解するために有用である。



◇Kiebert GM, Green C, Murphy C, Mitchell JD, O'Brien M, Burrell A, Leigh PN (2001):Patients' health-related quality of life and utilities associated with different stages of amyotrophic lateral sclerosis. J. Neurol. Sci.191:87-93


目的 健康状態に関する患者の報告と健康関連QOL(HRQL)の評価。様々な段階のALS患者の健康状態の自己評価の検証。

対象 77名(男性49名、助成28名、平均年齢58.1歳、診断からの平均期間25.3ヶ月、平均病歴43.6ヶ月)
QOL指標 ALSAQ-40、EUROQOL EQ-5D

その他の指標 Standard gamble(SG)――期待効用理論に基づき健康状態効用を算出する方法。 結論
SGには「すぐに死ぬ」といった選択肢も含まれるため、患者に脅威を与えうるが、対面的インタビューにより高い回答率が得られた。ALSAQ-40の活用を支持する経験的エビデンスが得られた。
患者のHRQLは疾患の重篤度が増すとともに低下するが、患者が自らの健康状態に与えている価値は健康状態が深刻に障害されても比較的高いレベルのままだった。


◇Green C, Kiebert G, Murphy C, Mitchell JD, O'Brien M, Burrell A, Leigh PN (2003):Patients' health-related quality-of-life and health state values for motor neurone disease/amyotrophic lateral sclerosis. Qual. Life. Res.12:565-574


目的 健康関連QOL(HRQL)の評価。
対象 77名(同上)

QOL指標 ALSAQ-40、EUROQOL EQ-5D
その他の指標 SG

結論
MND患者から健康状態についての評価を得ることは有用かつ実践的である。健康状態がきわめて悪い場合でさえ、患者は自らのHRQLに高い価値を与えているというエビデンスが得られた。


◇Trail M, Nelson ND, Van JN, Appel SH, Lai EC (2003):A study comparing patients with amyotrophic lateral sclerosis and their caregivers on measures of quality of life, depression, and their attitudes toward treatment options. J. Neurol. Sci.209:79-85


目的 QOL評価、抑鬱の程度、治療選択肢への態度に関する患者およびケアギバーの比較。治療選択肢はPEG、BIPAP、侵襲性人工呼吸器。
対象 27名の患者と19名のケアギバー。二名がPEGを使用、四名がBIPAPを使用。侵襲性の呼吸器使用者はなし。患者は男性18名、女性9名。ケアギバーは女性10名、男性9名。患者の平均年齢57.2歳、ケアギバーは56.9歳。平均病歴は2.7年。
QOL指標 MQOL-SIS

その他の指標 Appel ALS Rating Scale(AALS)、ALSFRS、Beck Depression Inventory-U(BDI-U)

結論
MQOL-SISによる測定では患者とケアギバーのQOLレベルは顕著な違いは見られず、適度の高さを保持していた。ケアギバーのQOLに対する患者の認識の方が、患者のQOLに対するケアギバーの認識よりも7ポイント高かった(患者はケアギバーのQOLを過大評価し、ケアギバーは患者のQOLを過少評価する傾向が見られる)。抑鬱に関して特筆すべき結果はないが、僅かにケアギバーのほうがより抑鬱度が高かった(Rabkin et al 2000とは逆)。抑鬱は身体障害に必ずしも関係していなかった。治療方針についての認識(患者/ケアギバー): PEGは肯定が52%/58%、BIPAPは肯定が56%/63%(否定は3%/32%)、侵襲性の人工呼吸器は肯定15%/5%(侵襲性人工呼吸器に関してRabkin et al.2000と整合)。QOL、抑鬱、治療選択への態度を決める要因は、ALSの進行を通して患者とケアギバーにその都度、検討される必要がある。保健医療専門職は、患者とケアギバーとではその必要と目的が異なることを認識すべき。両者に対して、専門職は、状況に適した参照と介入によってフォローされる問題に焦点化した議論のための、教育と機会を提供すべきである。



◇Lo Coco G, Lo Coco D, Cicero V, Oliveri A, Lo Verso G, Piccoli F, La Bella V (2005):Individual and health-related quality of life assessment in amyotrophic lateral sclerosis patients and their caregivers. J. Neurol. Sci.238:11-17

目的 健康関連QOL(WHOQOL-BREF)と個人的QOL(SEIQOL)により患者と近親者ケアギバーのQOLを比較。

対象 37組の患者-ケアギバーカップル(男女比率は患者は3.1対1でケアギバーは1対3.6.平均年齢は患者が61.3歳、ケアギバー54.7歳。病歴平均は16ヶ月)
QOL指標 WHOQOL-BREF、SEIQOL-DW

その他の指標 ALSFRS
結論

ケアギバーは患者に比較して身体的・心理学的WHOQOL領域で高いスコアを示したが、QOL全体のスコアは、両者で顕著な差異はなかった。ALSFRSで測定した身体的機能障害は、ケアギバーの個人的QOLスコアと顕著な連関はなかった。SEIQOLのキューで最も頻繁にノミネートされたのは、患者とケアギバー両者にとっての健康(身体的ないし心理学的)や家族に関連していた。スピリチュアリティを重要な要素としてあげた患者とケアギバーのQOLは相対的に良かった。ALSは患者およびケアギバー両者にQOLにおいてネガティブなインパクトを与えるが、低いQOLを示したケアギバーが、身体的・心理学的に最も障害の重い患者を世話している人である、というわけでは必ずしもない。


◇Gauthier A, Vignola A, Calvo A, Cavallo E, Moglia C, Sellitti L, Mutani R, Chio A (2007):A longitudinal study on quality of life and depression in ALS patient-caregiver couples. Neurology.68:923-926


目的 ALS患者とケアギバーのカップルにおける9ヶ月間のQOLの改善と抑鬱の評価。それらをALSFRSと比較。
対象 31組のカップル(患者の男女比率は21名/10名、ケアギバーは9名/22名、平均年齢は患者が58.8歳、ケアギバーは54・5歳。関係は、配偶者が25組、子が3組、親が1組、他の親戚ないし友人が2組)
QOL指標 MQOL

その他の指標 Zung Depression Scale、Caregiver Burden Inbentory、Self-Perceived Burden Scale
結論

ALS患者・ケアギバーカップルに、9ヵ月をおいてインタビューを実行。ALSFRSのベースラインでの中間値は28.7で、第二回目のインタビューでは24.1.患者のMQOLスコアは僅かに上昇(6.8から7へ)。患者のZDSスコアも僅かに上昇(43.8から45.7)したが、まだ抑鬱の範囲にとどまっていた。ケアギバーのMQOLは僅かに減少し、ZDSは上昇(38.9から42.2)。CBIスコアは、50.3から55.8へと上昇した。患者のQOLと抑鬱は固定していたが、ケアギバーの負担と抑鬱は大きく上昇していた。患者は、ケアギバーが時間と共に負担を増していることに気づいているようだったが、SPBS指標にはあらわれなかった


◇Goldstein LH, Atkins L, Leigh PN (2002):Correlates of Quality of Life in people with motor neuron disease (MND). Amyotroph. Lateral. Scler. Other. Motor. Neuron. Disord. 3:123-129.


目的 self-generated QOLの評価と、身体的損傷・機能的状態についての当人の報告・心理学的福利・認知的機能についての当人の報告との相関性および社会的支援との相関性の検証。
対象 31名(男性19名、助成12名、22名が結婚しパートナーと同居、4名はシングル、2名は離婚、3名がパートナーと死別)

QOL指標 SEIQOL、SIP
その他の指標 ALSSS、HAD、CPQ(Close Persons Questionnare)、SIML(Short Inventory of Minor Lapses)

結論

SEIQOL上でのQOL全体の評価は、ALSSSないしSIPのサブスケールスコアのどれとも相関していなかった(被調査者の64.5%によって、健康という項目が重要なQOL連関カテゴリーとしてノミネートされていたという事実があるにも拘らず)。だが、QOLスコアは信頼できる感情的支援の存在と、プラス方向(正)での相関があった。QOLスコアはまた、感情的状態とではなく、日常的な認識の障害に関する当人の評価の存在と反対方向(負)の相関があった。個人の自らのQOL評価は、その身体的損傷や機能的制約と単純に等しいということはありえず、支援システムが重要であるだろう、という近年の認識を支持する結果だと言える。


◇De Groot IJ, Post MW, van Heuveln T, Van den Berg LH, Lindeman E (2007):Cross-sectional and longitudinal correlations between disease progression and different health-related quality of life domains in persons with amyotrophic lateral sclerosis. Amyotroph. Lateral. Scler.8:356-361


目的 SF-36の異なる要素に対するALSの影響に関する、クロスセクショナリーかつ進行期間を通した調査。
対象 74名(男女比は47名/27名、平均年齢59.9歳、診断時の平均年齢58.3歳。1名が調査中に死亡。SF-36を完成させた患者は62名)
QOL指標 SF-36

その他の指標 ALSFRS
結論

身体的健康は悪化しても、メンタルヘルスは固定している。ALSの重篤度とHRQOLとの間には多様な相関がある。身体的そしてメンタルなヘルスの多様なパターンは、HRQOLの経験におけるフレーム転換を示唆している。


◇Foley G, O'Mahony P, Hardiman O (2007):Perceptions of quality of life in people with ALS: effects of coping and health care. Amyotroph. Lateral. Scler.8:164-169

目的 (1)ALS患者の感受するQOLの「意味」に関する質的な探究。(2)患者のヘルスケアについての経験が個々人の主観的なwell-beingにいかなる影響を与えるかの探究

対象 5名
QOL指標 なし(SEIQOLによる調査で用いたQOLドメインに基づく現象学的方法論)

その他の指標 ALSFRS-R
結論
9個の主題が抽出された(信念の重要性、コントロールを探究すること、尊厳の重要性、アイデンティティ保持の希求、家族の重要性、喪失感、利他性と支援の重要性、ALSとの闘い、人生への感謝)。疾患の進行により身体能力が喪失していくが、QOLはALSに罹患したときから変わっていないと対象者の多くが感じていた。ヘルスケアサービスと支援がwell-beingに貢献していると感じていた。今回の対象者は多領域のヘルスケア専門職の支援を受けており、また(Irish Motor Neuron Disease Associationが仲介する)ボランタリーセクターからのサービスを活用できる立場にあるという点が留意されるべきである。

◇Van den Berg JP, Kalmijn S, Lindeman E, Veldink JH, de Visser M, Van der Graaff MM, Wokke JH, Van den Berg LH (2005):Multidisciplinary ALS care improves quality of life in patients with ALS. Neurology.65:1264-1267

目的 ALS患者とケアギバーのQOLに、多領域専門職ALSケアの与える効果の検証
対象 208名(男性が61.9%、平均年齢59,1歳)
QOL指標 SF-36
その他の指標 ALSSS、ALSFRS
結論
多領域ALSケア専門職 = リハビリ医学におけるコンサルタントによって率いられたALSチーム(少なくとも1名の理学療法士を含む)、作業療法士、言語療法士、栄養士とソーシャルワーカー。多領域ALSケアを受ける患者群は、SF-36のメンタルサマリースコアでは他の一般的ケアの患者群よりもよいメンタル面でのQOLを示した。QOLの差異は、社会機能とメンタルヘルスの要素で最も明らかだったが、補助機械器具の存在とは独立していた。SF-36の身体サマリースコア、VASあるいはALS患者のケアギバーのQOLにおいて、顕著な違いはみられなかった。高レベルのケアは、ALS患者のメンタルなQOLを改善する。

◇Jenkinson C, Levvy G, Fitzpatrick R, Garratt A (2000):The amyotrophic lateral sclerosis assessment questionnaire (ALSAQ-40): tests of data quality, score reliability and response rate in a survey of patients. J. Neurol. Sci.180:94-100

目的 ALS疾患特異的な健康関連QOL指標ALSAQ-40の回答率、データの質、スコアの信頼性の評価。
対象 500名からランダム抽出された250名。

QOL指標 ALSAQ-40
結論 回答率に悪影響はなかった。ALSAQ-40の内的整合性にもとづく信頼性は極めて高い。ALSAQ-40は、きわめて望ましいサイコメトリックな性質を示した。


◇Kaub-Wittemer D, Steinbuchel N, Wasner M, Laier-Groeneveld G, Borasio GD (2003):Quality of life and psychosocial issues in ventilated patients with amyotrophic lateral sclerosis and their caregivers. J. Pain. Symptom. Manage.26:890-896


目的 NIV使用患者と侵襲性人工呼吸器装着患者のQOLの比較および両者のケアギバーのQOLの比較。
対象 NIV使用患者32名、侵襲性呼吸器使用者21名。NIV患者のケアギバーは31名が配偶者で1名は娘(女性の比率は75%)。侵襲性呼吸器使用患者のケアギバーは20名すべて配偶者(助成の比率は90%)

QOL指標 Profile of Mood States(POMS)、Munich Quality of Life Dimensions List(MLDL) 結論
ケアを得ている患者がポジティブに評価している一方で、集中的かつ持続的なケア提供を強いられる家族ケアギバーの評価は相対的にネガティブである。NIV装着患者とLTMV-TPPV装着患者のケアギバーの意識の比較では、前者の97パーセントが「再び装着する」と答えているのに対して、LTMV患者のケアギバーで再度装着を選択すると答えたのは50パーセントだった。NIV使用のALS患者のほとんどは、気管切開を拒否したが、TV装着患者の81パーセントが再び呼吸器を選択すると答え、80パーセント以上が他の患者にも同じように勧めると答えた。LTMV装着患者のケアギバーの30パーセントは、患者よりも自分のQOLの方が「低い」と感じていた。



◇Gelinas DF, O’Connor P, Miller RG. [1998] “Quality of life for ventilator-dependent ALS patients and their caregivers.” J Neurol Sci (suppl. 1):S134-S136.

目的 人工呼吸器使用ALS患者のQOLとそのケアギバーの負担の相関性を含めた評価
対象 7名の人工呼吸器使用患者と15名の配偶者ケアギバー。
QOL指標 SF-12、ALS Quality-of-Life Index(ALSQLI)
他の指標 The ALS Patient Caregiver Form(ALSPCF)
結論
人工呼吸器を装着する決定を後悔している患者は一人もおらず、ほとんどの患者は大部分の時間を快適で満足に感じていた。患者は家に帰ることができ、社会活動に参加できているときに最も大きな幸福感を感じていた。他方、ケアギバーは人工呼吸器装着の決定について不満足になる傾向があり、多大な欲求不満とルサンチマン、不幸感をあらわしていた。ケアギバーの適応は数年後になってやっと生ずるが、まったく適応できないケアギバーも存在した。患者とケアギバーが人工呼吸器を用いた療養生活にうまく適応する能力は、決定の事前に準備があったか否かではなく、患者とケアギバーのfriendshipの強さと、よい支援システムを活用可能かどうかに依存する。

◇Chio A, Gauthier A, Montuschi A, Calvo A, Di Vito N, Ghiglione P, Mutani R (2004):A cross sectional study on determinants of quality of life in ALS. J. Neurol. Neurosurg. Psychiatry.75:1597-1601

目的 ALSにおけるQOLの規定因をSEIQOLとMQOLの二つのスケールを用いて評価。
対象 80名
QOL指標 MQOL、SEIQOL-DW
その他の指標 ALSFRS、Mini-Mental Status Examination(MMSE)、Patholigical Laughing and Crying Scale(PLACS)、ZDS、BHS、Social Support Questionnare(SSQ)、Social Withdrawal Scale(SWS)、IIR、Psychological Questionnare(PSQ)
結論
SEIQOLおよびMQOLいずれのスケールについても、QOLの最も重要な説明変数は、社会的支援の質についての患者の認識だった。ALS患者のQOLは主に、心理学的要因・支援に関する要因・スピリチュアルな要因によっているため、健康関連QOLはALS患者のQOLを評価するにはふさわしくない。患者のQOLの向上にとって最も重要な課題は、過重な負担を負っているケア提供者家族に対する社会的サポートである。

*作成:堀田義太郎


UP:20080111 REV:
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