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西尾 等

にしお・ひとし



◇「鳥 のように 風 のように」(閉鎖)
 http://www.horae.dti.ne.jp/~hnals/ALSweb/

◆「鳥 のように 風 のように」(一部転載 2003.07)
 http://www.arsvi.com/nh/index.htm
 *八木亮さんから送っていただき、ファイルの一部をこのHPの中に収めました。
  つながらないファイルもありますが、西尾さんが遺された貴重なものです。
  ごらんください。


兵庫県

1949/12/26 長野県大町市に生まれる
1968    立命館大学経済学部経済学科入学 1972    立命館大学経済学部経済学科卒業
      医療機器輸入商社に入社し、米国ボストン、シカゴ、サンディエゴ、スイス、シンガポール、デュッセルドルフ、上海などで研修をうける。
1991    空気調和設備会社に転職
1993    症状を自覚
1995/07/13 SPMA脊髄性進行性筋萎縮症と告知を受ける。近い将来ALSに進行する可能性を示唆される。
1997/09/  Mac to Ke:nxの会を設立
1999/01/  ホームページ「鳥 のように 風 のように」開設
      http://www.horae.dti.ne.jp/~hnals/ALSweb/
2002    逝去


・ホームページ「鳥 のように 風 のように」 1999/01/〜
http://www.horae.dti.ne.jp/~hnals/ALSweb/

 [目次]
チューブ/人工呼吸器/治療薬/発病原因/分類/経管栄養/リハビリ/福祉用具/何故に/意思伝達/日課/排泄/介護/ NEW/リンク

◇人工呼吸器
 http://www.horae.dti.ne.jp/~hnals/ALSweb/source/mypf/respi/kokyu.html

1949年12月26日 長野県大町市に生まれる
        立命館大学経済学部経済学科を卒業
1993年     症状を自覚
1995年7月13日 SPMA脊髄性進行性筋萎縮症と告知を受ける。近い将来ALSに進行する可能性を示唆される。

 

◆『鳥 のように 風 のように』

 *西尾さんの御逝去にともない、ホームページ『鳥のように 風のように』は閉鎖されました。立岩のもとに残っていた文字の部分のみ、以下に掲載いたします。
 →その全体をこちらに再録させていただけることになりました(2003.7)→『鳥のように風のように』

『鳥 のように 風 のように』

http://www.horae.dti.ne.jp/~hnals/ALSweb/

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
目次【English】
チューブ/人工呼吸器/治療薬/発病原因/分類/経管栄養/リハビリ/福祉用具/何故に/意思伝達/日課/排泄/介護/ NEW/リンク
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

昭和24年12月26日 長野県大町市に生まれる
中学1年まで大町市に。
父の仕事の関係で、大阪府高槻市に転勤
中学時代は田舎から来たコンプレックスで友人も少なかった。
昭和43年大阪府立島上高校卒業
昭和43年立命館大学経済学部経済学科入学
ESSドラマのクラブ活動に参加
お茶と同情 花咲くチェリー セールスマンの死 熱いトタン屋根の猫 などを英語で公演
大学時代は安保闘争の最中で殺気立っていた
昭和47年卒業

医療機器輸入商社に入社し、米国ボストン、シカゴ、サンディエゴ、スイス、シンガポール、デュッセルドルフ、上海などで研修をうける。

(写真:西ドイツにて/詩人ハイネの家の前にて/今はバーに。)
(写真:ボストン大学遺伝学とサウスカロライナ大学生化学教授(ご夫婦)と/当時。


複合抗癌剤効果判定のソフト開発を担当してからPCに興味を持つ。

輸血/血液/骨髄移植/免疫/遺伝子関係の機器が中心だった。
大阪−博多−名古屋−大阪と転勤。

平成3年 空気調和設備会社に転職
平成5年 右手拇指の違和感に気づく。
  箸で焼き魚をほぐせなかった
平成6年春 自宅近く(兵庫県三田市)の済生会病院/内科、整形診療を受けるが原因不明。しばらく様子をみることになる。
平成6年秋 右腕上腕部の脱力感に進行。スーパーの買い物袋を車の座席に上げられず、腕立て伏せも腹筋も一度も出来なくなっていた。右手拇指と人差し指の間の肉が無くなりやせ細っていた。ピクピクと勝手に痙攣するように動く。(不随意運動)
再度済生会を受診。整形、脳外科でも担当疾患と違うと言われ、神経内科の受診を勧められる。

平成6年12月 大阪大学医学部附属病院 第一内科を受診。約1カ月の検査入院を勧められ、入院。


[検査した項目]
血液検査、肺活量、記憶力/知能検査、深部+浅部筋電図、神経伝達速度、皮膚感覚試験、脳内血流分布 核磁気共鳴装置、起立性貧血(自律神経)検査、糖尿検査、脊髄液検査、頚部や胸部レントゲン、腱反射など。

平成7年7月13日 SPMA脊髄性進行性筋萎縮症と告知を受ける。近い将来ALSに進行する可能性を示唆される。

平成7年1月15日 妻と西宮の門戸厄神に厄払い。

平成7年1月17日 阪神淡路大地震発生
         門戸厄神崩壊

平成7年1月18日 退院

平成7年2月   仕事に復帰
[症状の進行] 〜ほんの数カ月の出来事〜
 トイレの後ズボンのフックがかけられない。箸が使えない。車の窓が開けにくく、ハンドルを持つにも左手で右手を持上げていた。運転禁止。ナイフとフォークの食事から、右手が上がらなくなり左手のスプーン使用のみになる。背広が自分では着れない。トイレの後パンツ/ズボンが上がらない。軟便の時、間に合わない。(左手にも進行)雨が降っても傘がさせない。図面や書類が持てない。背広が脱げないし着れない。自販機のおつりが出せない。電車が揺れた時自分を支えきれない。トイレの水洗が流せない。(呼吸機能低下)姿勢の前屈、歩くとすぐ息切れする。
平成7年5月頃より、B12を止めてセレン+ベータカロチン抗酸化カクテルの治験に参加。その後、症状が急速に進行したのでプラシーボかもしれない?と思っている。

平成7年8月末 会社に休職願い

平成7年9月  庭で転び顔に大怪我。救急車 で済生会病院に。

平成7年10月 国立療養所兵庫中央病院に入院。バビンスキー反射、腱反射、アキレス腱反射の亢進から ALS筋萎縮性側索硬化症に進行と診断。
11月中旬頃より痰の排出が難しく、気管に小さなカニューレ挿入。夜間の痰排出には、当時の看護婦さんに本当にお世話になりました。

また◆12月からBiPapを夜間開始。(LP-6使用)次第に昼間も必要になり、主治医だった 福岡先生に、年明けまでに人工呼吸器装着するorしないの決断をせまられる。
平成8年1月12日 ほかほか弁当のカレーが食べたいと無理を言って買ってきてもらう。これが私の最後の晩餐です。

平成8年1月13日 全身麻酔にて気管切開。気が付いたら人工呼吸器をつけ、声も臭いも失っていた。◆寝たきりのため、足の運動能力も急速に失われていった。

(写真2: 人工呼吸器ニューポートをつけて/1997年)
平成8年3月 マック5220+Ke:nxを友人がセットしてくれ、熱帯魚飼育ソフトで遊ぶ。

また、Apple Disability Centerに声のでる意思を幾つか作ってもらう。Ke:nxを自分で組むキッカケになる。
当時は足はかなり左右にも動いたので、ターボマウスとKe:nxのオンスクリーンを使用して、将来のためにスキャンのプログラムを組み始める。シングルスイッチはフラットタッチセンサーを併用。
平成8年9月 ニフティーのIDを取得して友人の厚意で間接的パソコン通信を開始する。 今は主に海外の医学情報サービス/MND-ML /ALS-Digest/に参加しています。e-mail:(hnals@horae.dti.ne.jp )

Mac5220にはスイッチマン/PKP600/DR600プリンター/外付け2GBのHDとKe:nxが接続してあります。メモリーは48MBで、TVチューナーが内臓されています。内部HDはOS8.1で、外付けはOS8.0です。

(写真:Macintosh 5220)

平成9年9月 Mac to Ke:nxの会を設立。会報を年4回FD郵送しています。将来はMac to Ke:nxの会のホームページもリンク出来ることを願っています。

平成10年3月 Mac to Ke:nxの会第3回会報を門脇さんのご厚意にて、初めてHTML形式でもFD郵送開始。

平成10年7月 友人が自宅のMac6200に、自動スクリプトを組み込み、簡単にニフティーやメールを送受信可能になる。

今年49歳になります。
妻(43歳)と20歳と16歳の二人の娘がいます。一人は看護婦に、もう一人をSTかPTにともくろんでいる父親です。

[私の症状]

右目の上方視野狭窄

舌の委縮は少しある/口はまだ少し開く
四肢筋肉の喪失
首の筋力低下/左右にはまだ動く
四肢の反射完全喪失
便を押し出す腹筋の喪失
咀嚼/飲み込み機能の保持
肉爪
人工呼吸器装着による言語、臭気機能の喪失など(味覚はある)
耳に水がたまり鼓膜切開


◆センサー◆


一番最初の頃使用していた ターボマウス。両足がほとんど歩ける状態で人工呼吸器を装着したので、トラックボールも自由に使えたし、左右にクリック/ダブルクイック/ドラッグ/ストリングスの指定が出来、かなり重宝した。


(写真:ターボマウス)

かつて使用していた足の拇指で光を遮る方式の光センサー 。左側FD(左足親指用)奥にバネセンサーも設置。しばらく夜間Macを自力で起動したい時のためにアダプターをバネセンサーと接続して使用。左に体位交換した時は右足を右側のFDに置き、右足親指を使用。左右の指の曲がり具合が異なり、左指の方が内屈している為よりFDを多く敷いて、高くした。9枚接着。右には5枚接着。


(写真:光センサー)
光センサーは左右のFDの間にある。左の黒いのが発光部で右が受光部


現在使用している頬骨の 光ファイバーセンサー 。反射テープを頬骨に貼っている。眼鏡のずりおち防止テープも額に貼っている。ナースコールをセンサーから制御している為、夜間も眼鏡はつけたまま。欠点は笑うとナースコールが誤作動する事。眼鏡は軽いプラスチックレンズにしといて正解!!!

(写真:メガネと反射センサー)

◆ALS筋萎縮性側索硬化症は様々な症状を呈し、また進行速度もその人によりかなり異なりますが、重要なことは病気についてきちんと自分なりに理解し、自分の将来を直視し決して甘えたり、逃避したりしないことです。
私達ALS患者にとり1分は1時間であり、1日は1年です。
より前向きに人間らしく生きれるか、まだ少しでも動けるうちに決意し準備しなければなりません。時間は想像以上に少ないのです。◆

      西尾 等

http://www.horae.dti.ne.jp/~hnals/ALSweb/source/mypf/respi/why.html

■運動ニューロン疾患について■

 運動神経のみが障害される病気を総称して、MND:運動(モーター)神経(ニューロン)疾患(ディジーズ)と言います。
 その代表的なのがALSです。またSPMA脊髄性進行性筋委縮症との診断を受けても、ALSにその後進行する場合があります。本来SPMAは下位ニューロンの症状のみを示すタイプで、上位ニューロン症状の“腱反射の亢進”は見られません。
 SMA:脊髄性筋委縮症やWH:ウェルドニッヒホフマン病(幼児期から発症)、KW:クーゲルベルクベランダー病(青年期より発症)は遺伝と言われています。また、球脊髄性委縮症(ケネディー症候群)もMNDとする場合があります。上位ニューロンが障害されるX染色体劣性遺伝です。

■ALS筋萎縮性側索硬化症とは■

 ◎上位ニューロンと下位ニューロンの両方が侵される病気で、最初は上肢又下肢の末端から非対称に進行する運動ニューロン疾患(MND)です。
 つまり運動を司る神経のみが選択的に障害を受け、他の感覚系や自律系神経は侵されません。症状としては、筋力低下、筋委縮、筋収束などで始まり、上位ニューロンが侵されると下肢腱反射の亢進等が見られる。
タイプとしては、
1、上肢タイプ
2、下肢タイプ
3、球麻痺タイプ
の3つに区分され、上肢タイプでも、例えば右手から発症して、左手に進行する私の様な場合と、右足に進行する場合など様々です。その進行形態により、M型/N型/逆N型と呼ばれている。
 進行速度はかなり個人差があり、何年も人工呼吸器を付けなくても暮らせる人もいれば、私の様に下肢に進行するより速く呼吸筋が侵されるケースも有ります。
 元ニューヨークヤンキースのルーゲーリック選手や宇宙物理学博士のホーキング氏もALSです。

 しかし、◆「平均5年以上の生存率は20%以下に過ぎません。
この数値はいかに人工呼吸器装着を拒否して、死を選ぶ方が多いかを示しています。何故なのでしょう?
 事実私の入院している病院でも、この2年半の間に人工呼吸器を装着したALS患者は『2名』で、非選択患者は『5名』です。
 酸欠+二酸化炭素の増加により、呼吸困難と最後には顔を土色にして、意識もうろうのまま死を迎えるのです。それが尊厳死の現実なのです。何故? 」◆

■ALS筋萎縮性側索硬化症と治療最前線

『発症原因の研究』

SOD-1遺伝子

 今現在ALS発症の原因として特定できており、また唯一実験可能なALS発病マウスを提供出来る意義は大きい。
 SOD(スーパーオキシドディスミターゼ)は強い活性酸素O2-(スーパーオキシド)を抑制する酵素です。体内ではO2-/H2O2/OH/シングルオキシジェンなどの活性酸素と、抗桔する酵素やベータカロチン(ビタミンA)/ビタミンCのバランスでなりたっているのです。
 人間の体内では、このO2-の強い殺菌作用で外敵から自分自身を防御している。感染が起きると、白血球が集まり酸素を出して殺菌します。泡の出る消毒薬も同じ殺菌原理です。
また、心臓体外循環後や肝臓移植の為に虚血した後、血液を再還流すると活性酸素が発生して、組織障害を起こします。
 発生したO2-は通常ならSODにより、ハイドロゲンペロオキサイド/H2O2などに変化し、さらに様々なペロオキシダーゼにより、シングルオキシジェンに変り、ベータカロチンなどにより、H2Oに変ります。
また、激しいストレスによっても、活性酸素を生じます。活性酸素には白血球の関与があります。
 ところがALSの2%の患者に、このSOD機能に異常(機能低下)があり、しかもそれが家族性(遺伝)であることが判っています。家族性FALSは孤発性PALSの約10%-15%以内と言われています。

第九染色体

 まれに、家族性ALSのうち第9染色体に異常が見つかっている特殊な家系の存在があります。異常な程その家系にはALSが多発しています。

グルタミン酸

 ジョンズホプキンス大学の研究チームが中心になって、グルタミン酸の異常蓄積の原因が、EAAT2タンパクが複製の際に誤ってコードされ、疑似タンパクが正常なタンパクを抑制するため、グルタミン酸を抑制出来ずに、脳と脊髄の運動神経の周りにグルタミン酸が異常蓄積し、そのグルタミン酸は興奮性神経伝達物質で、運動神経を障害していくと考えられている。

発病原因は?

 地域的には和歌山/三重南部に多く、アルミニウム説を唱える学者もいる。また米国では、歯科治療の際のアマルガム(水銀)説や農薬環境物質に注意を喚起さすように訴えている人もいる。また、ポリオが完治したように見えても十数年後に筋委縮を起こす事がある事から、エンテロウイルス説を発表している学者もいる。またライム病原因説を提唱する学者もおり、非常に混乱している。
 血縁関係の無い家族や夫婦でALSになっている方の報告から、ウイルス説を支持するようにも思えるが、多くの夫婦がALSに“感染”している事実は見られない。歯科治療のアマルガムなら、もっとALS患者が増えてもおかしくない?
 交通事故や転落などによる頭部打撲や手術による影響も考えられる。また、喫煙による脳内血流不足も疑われる。
 しかし、これといった確証にはどれも乏しいのが事実です。それにはALS診断が消去法で行われており、確たる診断検査が確立されていない為に、誤診も有り、原因特定の弊害になっています。また、一つの原因で発症する病気ではないのかも知れません。それにALSといっても原因は様々かもしれません。

【アンケートにご協力下さい。】


【DNAとRNAの雑学】
 DNAはデオキシリボ核酸の略で、染色体上にあります。形状はラセン形でAGTCのたった4つの塩基の組み合わせから成り立ち、きちんとした法則があります。A(アデニン)はG(グアニン)とのみ対になり、T(チミン)はC(シトシン)とのみ対になります。つまりG-A, T-C, C-T, A-Gの組み合わせが、ラセン階段に並んだものを想像しましょう。
 §§§§§
 複製する場合は、その対の鎖が酵素で切断されて、1本になっていきます。トランスファー(転写)RNAにより、きちんと塩基配列がコピーされていきます。(CATTGAATTTCAGTAA)のように。各対の塩基は決まっているから、反対側は(TGCCAGGCCCTGACGG)と必然的になります。何と合理的なのか! ! !
 ある塩基配列により、特定のタンパクのみがメッセンジャーRNAにより精製されていきます。しかしその段階で、(例)G→Aと誤って複製されると疑似タンパクが作られていきます。癌などの場合も、本来は対になるはずの無い塩基同士がくっついたり、対の鎖に歪みが生じたり、癌タンパクを作り出したり様々な異変を作ります。
 分子量を調べるには特定の部分で切断する酵素を使い、切断した後、電気泳動をかけます。放射性物質の32p(リン)が結合されているので、どのくらい移動したかは、32pの距離を比べれば分子量が判ります。分子量が大きいとのろく、小さいと速いのです。
 小錦と若乃花と、瀬古を走らせ、距離の差から、体重(分子量)を割り出すのに似ています。

『治療薬の研究』

  1、グルタミン酸抑制薬
    リルテック/ノイロンティン(商品名:ガバペンティン)/LY 300164
  2、免疫抑制剤
    サノフィー(商品名:SR57746A )/FK506
  3、神経保護物質/神経成長因子
    GDNF/FK506
  4、抗酸化剤 
    大豆レシチン結合SOD(対O2-)
    セレン(対H2O2)
  5、その他の治療法
    リンパ球除去(リンフォプラズマ)
    末梢幹細胞移植など。
    免疫グロブリン療法

◆◇◆◇AGTC◆◇◆◇TaGC◆◇◆◇CGTA◇

ALS関係の書物。

「まぶたでつづるALSの日々」
土井巍・土井喜久子 著 1,800円 白水社

「肢体不自由者のためのコミュニケーション機器」
東京いきいきライフ推進センター
1部 300円。

東御建田 郁夫(ひがしみたてだ いくお)
「いのちの瞬き −まだ瞼は動く」
東洋経済新報社刊。本体千四百円。


http://www.horae.dti.ne.jp/~hnals/ALSweb/source/mypf/respi/kokyu.html

■ニューポート

 米国製[ニューポート、メディカル、インストルメンツ社]の人工呼吸器で固定式です。

 国内では東機貿が輸入販売元です。
 加湿器のアウレトレットと患者カニューレ装着近くの回路に温度検出センサープローブがついています。温度設定は、カニューレ側の温度を目安にします。メーカー推奨温度は39度との説明を受けたが、周囲温度にも影響され、私の場合は37ー38度位が丁度良く、上げすぎると痰が増える。湿度調整ダイヤルが付いており、説明では、温度設定は触らず、その設定をプラス側に大きくすると、加湿される。マイナスにすると湿度が失われるので奨められないとの説明だった。しかし、冷房がはいると、急に痰が増えすぎたため37度+/-0くらいにしている。ダイヤル数値は目安としての、リザーバー温度差を示す。つまり設定温度を38度にしてダイヤルを+2にすると、リザーバー温度は40度となる。冷房前は38度プラス1でも問題無かったのに。
 環境やその日の体調(尿の量etc)にかなり影響されるので、意思を伝えにくいALSには大変です。自動的に加湿調整するシステムが必要だと感じます。

 吸気/排気は本体下部のゴム袋をコンプレッサーで指定量膨らまします。回路は吸気と排気は別々になります。熱線の入った回路は吸気側で加湿器とつながり、排気回路は呼気弁にウオータートラップを介してつながっている。
 このシステムでは回路が長く、またゴムの劣化による、ピンホールやリークのトラブルが多い事です。また滅菌回路を直接機器に差し込む今のニューポート方式に、清潔にたいする疑問がわく。
 新しい装置は、PIP気道内圧もデジタル化されています。

■LP-6

 米国製の携帯可能な人工呼吸器です。
 加湿器の温度設定は、温度ではなくダイヤル(1ー9)式になっているから、今の温度が何度かは判りません。普通は4位に設定していた。回路は1本で吸気/排気兼用で、そのため呼気弁がカニーレ近くについていて、そこから排気を行います。PIPをチェックする細いチューブに水がたまりやすく、正確に表示されない(起点が0に戻らない)トラブルや呼気弁に水がたまりやすい欠点があります。
大きさとしたら、何とか工夫すれば車椅子にのせる事が可能です。

■PLV-100

 この人工呼吸器は和歌山にいる和中 勝三 様の使用しているタイプです。説明をお願いしました。この機種も携帯可能です。

商品名
PLV−100
メーカー名
米国レスピロニクス社
国内輸入元
フジ.アールシー株式会社
固定型か携帯可能型か
携帯可能型
特徴
 (1)重量式人工呼吸器では最小
 (2)最軽量内部バッテリーの持続時間最長
 (3)作動時の音が静か

欠点
わずかな誤差を見逃さずに表示が変化してしまう場合がある。

■ベネット2801

 この人工呼吸器は甲府の中島様の使用されておられるタイプです。

商品名(ベネット2801)
メーカー名
国内輸入元
固定型
特徴(音が静かです)
欠点(加湿器がよく故障しました。)

■CV300

 私の入院施設の他の病棟で使用しています。

  加湿器のトラブルについて
 加湿器や検出トラブルは結構多いので、交換機や修理のノウハウ、メーカーがすぐ来ないなどの面から、在宅者は加湿器の代用を採用しているケースが多いようです。私の入院施設でも、機種の老朽化等の影響か?機器トラブルは多いです。


■加湿器のトラブル■

 加湿は水をいれたリザーバーを加温しておこないます。加温方法には、リザーバーの底を加熱する方法やリザーバーの中に、加熱棒を入れる場合などがあります。
 トラブルが起きても、温度表示がそのままの場合、加湿されていなくても、判らない事がある。私もそのようなトラブルに遭遇した。
 回路を交換してから次の日、タンが粘着になり始め、次第にカニューレの奥やカフの周りにへばりつき、ヒューフューと変な呼吸音が出たり、タンがカニューレの入り口にへばりつき、呼吸困難を起こしたりした。温度を上げたりしても改善されず、妻が吸引するとチューブの周りに水飴の固まりがくっついてきた。
 その頃から、あまりにひどいのに気が付き、加湿器を交換したり、吸入を開始したり、カニューレを早めに交換したり、点滴したりと、いろいろしたが効果は少なかった。
夜間にタンが詰り呼吸困難になり、急きょカニューレ交換してもらった。カニューレの周りには茶色い水飴のようなものが、こびりついていた。
 ところが、2週間苦しんだ後、回路交換してから何も無かったように、1〜2日で元に戻っていった。
 センサープローブ自身の故障か、リザーバーの変形の可能性を疑っている。特にプローブは回路と同時に替えるので。しかしエラー表示が出ないのは欠陥機器ですよ。製造者責任PL法上問題です。


■加湿器に代る方法■

 加湿器に代る方法を実践している二人の、わたしの友人の例を紹介します。

例1)和歌山で在宅されておられる、和中さん
 「一回肺に入った空気を全部排気せずに、延長ホースに残った湿った空気と新しい空気を再度吸入」
 回路の長さを長くして、換気量を増やし、回路の中に水滴が常に残るようにして、加湿するようにしている。通常より45cm位長くしている。最初は慣れるまで乾燥したような感じで、大変だったようです。

例2)甲府の病院に入院している、中島さん
 加湿器を止めて、人工鼻を使用しています。人工鼻とは、通常は麻酔時(気管挿入)や気管切開はしたが人工呼吸器を装着しない方の気管を加湿するために、使われています。
人工鼻の外に水分を逃さない仕組みになっているため、加湿されます。その代わり、カニューレの外の近くの人工鼻の中に水分が溜まるので、水抜きが3時間毎に必要です。下記商品は人工鼻+エアーフィルター機能を合せ持つものだそうです。中島様は、回路もフィルターも交換は1週間単位だそうです。(注:カタログでは推奨使用期間は24時間になっています。)
 人工鼻の名前は、「ハイグロバック-M(DARエア・フィルタ)、MALLINCKRODT社製」
 人工鼻の品番は、「352/5805」
 人工鼻の輸入発売元:マリンクロット メデイカル株式会社
 東京都港区虎ノ門4-3-13 秀和神谷町ビル
 人工鼻の形状は、空気フィルターを一回り大きくしたものです。

<写真はニューモイスト(輸入元/株式会社< 佐多商会:販売元/東機貿)の人工鼻です>

 

■立岩の文章(→『ALS』)における言及

 [55]西尾等(兵庫県、ホームページとして西尾[1999-])の発症は一九九三年。
 [158]「ALS筋萎縮性側索硬化症は様々な症状を呈し、また進行速度もその人によりかなり異なりますが、重要なことは病気についてきちんと自分なりに理解し、自分の将来を直視し決して甘えたり、逃避したりしないことです。/私達ALS患者にとり一分は一時間であり、一日は一年です。/より前向きに人間らしく生きれるか、まだ少しでも動けるうちに決意し準備しなければなりません。時間は想像以上に少ないのです。」(西尾[1999])


※おことわり
・このページは、公開されている情報に基づいて作成された、人・組織「について」のページです。その人や組織「が」作成しているページではありません。
・このページは、文部科学省科学研究費補助金を受けている研究(基盤(C)・課題番号12610172)のための資料の一部でもあります。


*作成:立岩 真也
REV:20011207, 20030211, 0702, 29, 20100915
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