2009年1月/
2月/
3月/
4月/
5月/
6月/
7月/
8月/
9月/
10月/
11月/
12月
▽2009/01
◆2009年1月3日 「65-69歳医療費、窓口負担2割に 与党が公約へ」
http://www.chunichi.co.jp/article/politics/news/CK2009010302000029.html
中日新聞朝刊
自民、公明両党は2日、65-69歳の医療費に公費を投入し、窓口負担を3割から2割に引き下げる方針を固めた。2010年度の実施を目指し、次期衆院選のマニフェスト(政権公約)に盛り込む方針だ。
ただ、増え続ける社会保障の財源に政府が当て込んでいる消費税は、これより1年遅れの11年度に引き上げる方針を麻生政権は示している。財源確保は難航しそうだ。
暫定措置として1割に据え置かれている70-74歳の窓口負担は、医療制度改革関連法本則の2割に戻すことを検討。与党は65-74歳の前期高齢者はすべて2割にそろえる意向だ。
一方、75歳以上を対象とした「後期高齢者医療制度」は名称を変更。新名称として「高齢者医療制度」とする案が浮上している。
前期高齢者の医療費は、各健康保険組合や協会けんぽ(旧政府管掌健康保険)からの納付金で賄われている。しかし、昨年4月の制度スタート後、納付金負担の重さに耐えかね、解散に追い込まれる健保組合が相次いだ。
健康保険組合連合会(健保連)によると、前期高齢者への健保組合の納付金の総額は1兆500億円(08年度)に上り、健保連は公費を投入するよう求めている。
▽2009/02
◆2009年2月17日 「100歳以上高齢者 医療費無料化へ 安中市の新年度予算案 まず26人対象」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20090217/CK2009021702000112.html
東京新聞・群馬
安中市は十六日、総額二百三十億円の二〇〇九年度一般会計当初予算案を発表した。前年度当初比5・5%増。新規事業として、百歳以上の高齢者を対象にした医療費無料化を盛り込んだ。同市によると、県内市町村で初めての事業という。法人市民税は景気悪化を背景に、同27・0%減と過去十年で最大の下げ幅となる。
百歳以上の医療費無料化は、四月から二十六人を対象とし、計約二百万円を計上。市内に五年以上在住する高齢者に、満百歳に達した翌月から自己負担分の全額を支給する。
歳入は、学校校舎整備などに充てる合併特例債などで市債が同91・9%増。ただ、償還金が増えるため、〇九年度末の市債残高は前年度末より微減の見通し。歳出では、防災無線整備や消防団詰め所新築などで消防費が同45・6%と大幅に増える。
ほかの新規事業は、旧松井田町の碓氷関所跡について復元の可能性を探る試掘調査(三百五十万円)など。 (菅原洋)
▽2009/03
◆2009年3月4日 17時48分 「自民、高齢者医療制度で意見聴取 公費投入など軸に見直し」
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2009030401000529.html
東京新聞ニュース速報
自民党は4日、高齢者医療制度見直しに関する会合を開き、老人クラブなど関係3団体から意見聴取した。月内にも党内の意見を集約。その後、公明党と協議し具体的な見直し案を両党で取りまとめ、次期衆院選のマニフェストに反映させる。
見直しの軸となる課題は(1)後期高齢者医療制度で給付費の5割を賄っている公費(税)投入割合の引き上げ(2)「後期高齢者」の名称変更(3)75歳で線引きした独立型制度の是非(4)窓口負担の在り方-の4点。
会合では健康保険組合連合会が、年齢区分を現行の75歳から65歳に下げるよう主張。65-74歳について、現役世代の負担金が過重だとして公費の投入を求めた。
全国老人クラブ連合会の代表は「『後期』『終末期』の用語や、高齢者に限った診療報酬に不満と不安がある」と述べた。佐賀県後期高齢者医療広域連合からは、都道府県の積極的な関与を求める意見も出た。(共同)
◆2009年3月18日 22時59分 「「主治医制度」利用1割 後期高齢者医療の“柱”揺らぐ 」
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090318/plc0903182301017-n1.htm
産経ニュース
75歳以上が対象の後期高齢者医療制度の柱「かかりつけ主治医制度」について、対象となる医療機関の約1割でしか、制度が利用されていないことが18日、分かった。患者側の理解が進んでいないことや、診療報酬が安く医療機関が敬遠していることなどが原因。制度に反対して主治医の届け出自体をしていない医療機関も多く、鳴り物入りで導入された「主治医」そのものの見直し論議にも発展しかねない。
調査は、中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関、中医協)の部会が昨年11月に実施した。患者が「主治医」を利用できるよう社会保険事務局に届け出ている医療機関約9000カ所のうち、3500カ所で行い、1100カ所が回答した(回収率31・4%)。「主治医」に関する公的調査は今回が初めて。
結果では、主治医制度の診療報酬「後期高齢者診療料」を計上した医療機関は全体の10・5%。都道府県別では利用率が2割を超えたのは千葉(35・7%)、岩手(27・8%)、新潟(24・0%)の3県で、長崎はゼロだった。
1人の利用もない理由を医療機関に尋ねたところ(複数回答)、患者の制度理解が困難61・6%▽主治医ではない他の医療機関との調整が困難52・7%▽現行の診療報酬(月6000円)ではコストをまかなえない51・9%-などだった。
■かかりつけ主治医制度 75歳以上の高齢者は、糖尿病や高血圧といった慢性病が多いため、患者が指定する1人の「かかりつけ主治医」が、外来から入院まで一貫して治療にかかわる仕組み。「高齢者担当医制度」が正式名称。窓口自己負担1割の場合、外来では月600円の「後期高齢者診療料」を支払うと、主治医が年間診療計画を作成し、患者は追加料金なしで月内に何度でも検査や処置を受けられる。医師が主治医になるには、高齢者医療に関する研修を受講し、社会保険事務局に届け出なければならない。
▽2009/04
◆2009年4月3日 22時12分 「「後期高齢者」「終末期医療」名称は見直します 与党案」
http://www.asahi.com/health/news/TKY200904030311.html
asahi.com(朝日新聞)
後期高齢者医療制度(後期医療)の見直しを検討してきた与党プロジェクトチーム(PT)は3日、高齢者の反発が強かった「後期高齢者」や「終末期医療」の名称を見直すことを決めた。今後、新たな名称を詰め、来年の通常国会で法改正を目指す。
75歳以上を後期高齢者とするのは、「お年寄りを線引きするものだ」などと批判が根強い。PTがこの日まとめた「基本的考え方」では、「高齢者の心情にそぐわないため見直す」と明記した。昨年4月の施行直後にも通称を「長寿医療制度」に変えて反発の沈静化を狙ったものの、うまくいかなかった経緯があり、効果は不透明だ。
一方、制度については、高齢者を独立した保険制度にする骨格部分については維持する考えだ。将来の消費増税をにらみ、現行の75歳での区分を「65歳で区分するなど、安定的な財源の確保と併せ、抜本的な見直しを検討する」と指摘するのにとどめた。
また、75歳以上になっても企業で働いている人(約35万人)は、強制的に後期医療に移行させるのではなく、健康保険組合などに引き続き加入できるように改めるとした。(南彰)
▽2009/05
▽2009/06
◆2009年6月19日 14:54更新 「【金曜討論】後期高齢者医療制度 古川俊治氏、原中勝征氏」
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/other/268183/
産経新聞
75歳以上を対象とした後期高齢者医療制度の見直しが続いている。与党は、所得が特に低い高齢者の窓口負担の限度額引き下げなどの方針を打ち出しているが、長年、自民党を支援してきた地方医師会の政治団体が反旗を翻す動きも。後期高齢者医療制度の理念は正しいとする医師で自民党参院議員、古川俊治氏と撤廃を求める茨城県医師会の原中勝征会長に聞いた。(佐藤好美)
≪古川俊治氏≫
■統一的医療の理念正しい
--制度に反発が強い
「高齢者医療のあるべき姿を考える必要がある。例えば、今までは患者さんをトータルで診る医師がいなかった。私は80歳の胃がん患者さんを診るが、日ごろ、どこでどんな治療を受けているか分からない。胃がんのことは慶応病院に来るが、それ以外は別の病院に行く。薬が二重に出ていたり、相反する作用の薬が出ているかもしれない。誰かが統一的な医療をするのが望ましい。制度にはその理念が入っている。ところが診療報酬削減の話が出たので、医療関係者から反発された。理念はいいが、保険のつけ方がおかしいという議論をしないといけない」
○診療報酬とは別の話
--終末期の治療方針を医師と患者が相談する「終末期相談支援料」は反対が多く、凍結された
「そういう患者さんと話をすると、時間がかかる。ご本人に死を受け入れてもらい、納得いく人生を生きていただく。そのために真実を知ってもらう。医師は一生懸命に話す。必要なことだから…。しかし、これまでは何の評価もなかった。せめてもと保険点数をつけたら、『人を殺すのか』と批判された。高齢者だけにつけることに反対なら、『全世代に広げましょう』といえばいい。若者にも広げ、もっと点数を高くしてもいい。それは診療報酬のつけ方の問題で、制度の話ではない」
--75歳で切ったとの批判には
「会社員の健康保険も退職すれば65歳で切れる。従来の老人保健制度も介護保険も年齢で分けている。『何歳からにするか』の議論はあっていいが、年齢で区切るのはおかしいという話ではない」
--医療費適正化、医療費削減の手始めだとみなされている
「官邸の社会保障国民会議は医療、介護の費用が対GDP比で現在の7・9%から2025年には1・5倍の11・6~11・9%になると試算した。予算委員会で財務大臣に2025年の適正な対GDP比を聞いたら、そのシミュレーションに言及していた。肯定的だった。だからこの制度は適正化にすぐには結び付かない」
○悪い所は少しずつ直す
--高齢者の保険料負担に反対があり、無駄遣いや天下りをなくすのが先との意見もある
「経済が右肩上がりの時代ではない。同世代扶助の考え方を入れ、収入のある方には10円でも保険料を出してもらう。政府の『ムダ・ゼロ会議』が削減可能としたのは3500億円だ。だが、医療費は年33兆円で毎年8000億円以上増える。無駄をなくせば一時的な足しになるかもしれないが、安定財源にはならない。まずは制度を確固とさせた方が医療は安定する。保険の一元化は理想だが、実現が難しい。制度の悪いところを少しずつ直していくのが政治。理念は学者に任せておけばいい」
◇
≪原中勝征氏≫
■老人だけの制度おかしい
--撤廃を求める理由は
「(制度の導入で)高齢者に健康診断の義務が外れ、当初は入院も日数制限された。男性の平均寿命が79歳なのに、残り4年を別制度に移すのは温かみのないやり方だ。『終末期相談支援料』や『後期高齢者診療料』も問題だ」
--「終末期相談支援料」は凍結されたが
「終末期に延命治療をするか、痛みを取って残された命を生きるか、は誰にとっても大切なことだ。老人だけの制度を作るのはおかしい」
●定額化は医療費圧縮
--「後期高齢者診療料」の問題点は
「高齢者の“主病”を診る1人の医師に定額報酬がつく。老人の病気は『1つだけ』のわけがないのに、それを1人が診ろ、という。今は複数の医師にかかれるが、いずれ必ず、1人にしかかかれない制度になる」
--定額化に、医療費圧縮の気配を感じると
「包括化(定額化)して後で下げるのが、政府のやり方だ。老人保健施設の収入も当初は定額の1人1万6000円くらいだったが、今は1万円。65%を人件費に回しても、職員の年収は300万円程度でなり手がない。これ以上辞められたら、医療も介護もだめになる」
--高齢者の保険料負担にも反対か
「保険料のかかる人、かからない人、病院で看取(みと)られる人、家で死ぬ人、いろいろいていい。公平というのは、低所得の人から保険料を取ることではない。農家には年金が少なく、保険料が天引きされない人が多い。しかし、バス路線がなくなり、子供が出ていき、老人ばかり。腰が曲がった人が車もバスもないのに、役場に保険料を届けられるか。例えば年金が8万円以下なら納めずに済む制度でいい。若い時に納めたんだからね」
「入院時の食費負担も問題だ。国は『入院しなくても、食費はかかる』と言うが、農家では畑の物を取って食べれば、お金はかからない。それができないから入院したのに、食費は高負担だ。そういうことを現実の問題として、なぜ政治家は考えてくれないのか」
●必要なのは公務員改革
--では、従来の制度に戻すか
「年齢で区切る制度には反対だ。理想は、高齢になっても若いときと同じ保険でみること。それが難しければ一元化だが、まずは医療費の対GDP比を先進国並みに上げること。もっとも必要なのは公務員改革。官僚が“渡り”で4億円ももらい、国民に使う金がないのか。無駄をなくした後に保険料や税金といえば、皆さん納得する。死ぬときにいじめられたとか、苦痛を感じながら死んでいくなら、病院の価値はない」
◇
【プロフィル】古川俊治
ふるかわ・としはる 参院議員。医師。弁護士。慶応義塾大学法科大学院教授、同大医学部外科教授。昭和38年埼玉県生まれ。46歳。私立開成高、慶応義塾大学医学部卒。病院勤務の傍ら同大文学部、法学部を卒業。オックスフォード大学大学院修了(MBA)。
【プロフィル】原中勝征
はらなか・かつゆき 茨城県医師会会長。医師。昭和15年福島県生まれ。69歳。福島県立双葉高、日本大学医学部卒。米国スローンケタリング癌研究所客員研究員、東京大学助教授などを歴任。医療法人、社会福祉法人理事長として病院、老人保健施設、特別養護老人ホームなどを経営。
*作成:老い研究会