『地域精神医療におけるソーシャルワーク実践――IPSを参考にした訪問型個別就労支援』
立石 宏昭 20101020 ミネルヴァ書房,380p.
last update:20210204
■立石宏昭,2010,『地域精神医療におけるソーシャルワーク実践――IPSを参考にした訪問型個別就労支援』ミネルヴァ書房.[amazon]/[kinokuniya].
■内容
(出版社ホームページより)
わが国の精神保健医療福祉施策は、「入院医療中心から地域生活中心へ」という基本方針が推し進められている。しかし、それは理念や理論の構築にとどまり、具体的な支援方法は未成熟な状態である。本書では、地域生活を支える就労支援の方法に焦点を絞り、米国で開発された就労支援プログラム(IPS)の効果をみていく。そして、量的研究と質的研究の側面から検証を重ね、地域精神医療における導入の可能性を探る。特に、社会資源が脆弱な地方小都市においてIPSの技術・技能の取り入れ方について展望する。
■目次
序章 わが国の地域精神医療
第1章 信頼性を高めるトライアンギュレーション―研究の視点
第2章 ACT/IPSの現状
第3章 準実験研究によるIPSの実践
第4章 訪問型個別就労支援のコンテクスト
第5章 就労支援に向けての直接援助
第6章 就労支援を可能にする環境整備
第7章 訪問型個別就労支援のエビデンス
終章 訪問型個別就労支援の可能性
■言及
■書評・紹介
■引用
pp. i-ii
わが国の精神保健医療福祉施策は、「入院医療中心から地域生活中心へ」という基本方針が推し進めされている。これは、2002年の社会保障審議会障害者精神障害分会報告書「今後の精神保健医療福祉施策について」において、精神保健医療福祉サービスは、地域における保険・医療・福祉を中心としたあり方へ転換するための各種施策を進めると記載されたことに始まる。〔中略〕このような中、2003年、国立精神・神経国府台病院(現・国立国際医療研究センター国府台病院)では、精神症状が持続的に不安定な患者も地域生活へ移行できるよう、米国で開発されたACT(Assertive Community Treatment: 包括型地域生活支援プログラム)を検証するため、24時間連絡体制のもと多職種による訪問サービス、短期入所(院)、症状悪化時における受け入れ確保などのサービスを包括的に提供するACT-J(Assertive Community Treatment Japan)が組織化された。また、2005年には、ACT-JにIPS(Indiveidual Placement and Support: 個別職業紹介とサポート)を統合したIPS-Jが立ち上げられた。現在、これらの実践研究を踏まえ一部の地域でACT/IPSが試みられているが、多くの地域医療機関では、退院後の維持治療や地域生活支援にとどまり、就労に向けた支援を展開するところは少ない。本書は、小都市にある精神科病院を中心とする地域活動支援センターにIPSの技術・技能を取り入れた訪問型個別就労支援チームを構成し、就労支援を進めるために必要な支援プログラムの要素を紹介する。
*作成:伊東香純