『市民学の挑戦――支えあう市民の公共空間を求めて――』
松田 昇・小木曽 洋司・西山 哲郎・成 元哲 20081020 梓出版社,346p.
■松田 昇・小木曽 洋司・西山 哲郎・成 元哲 20081020 『市民学の挑戦――支えあう市民の公共空間を求めて――』,梓出版社,346p. ISBN-10:4872622249 ISBN-13:9784872622249 \2800 [amazon]/[kinokuniya] ※ pp s4300000 d00p s03
■内容
(「Amazon」内容紹介より)
抜け殻になりつつある公共空間を甦らせる市民像とは何か?
グローバル化とネオリベラリズムが跋扈する今、「社会なるもの」の解体に抗い、自立した個人以外は排除してしまうのではなく、弱さを互いに支えあい、属性の違いを超えて共に生活を形作っていく共同存在としての、市民の新たな可能性を模索する。
社会が複雑化し、学問の専門分化が深化していくなかで、研究者だけでなく学生や人々をも巻き込み、議論できる共通テーマを見出すことが困難になっている。
そのようななかで、学際的な意見交換を可能とする数少ない時代のキーワードが「市民」ではないだろうか。
本書は、市民社会論、医療問題、福祉・介護、ボランティア、社会運動論、教育など数え上げればきりがないほど、多用な研究分野で活動している個性あふれる執筆陣がときには激しくぶつかりあいながら議論を積み重ね、世に送り出すものである。
また市民研究の第一人者・篠原一先生や宮島喬先生、そして障害学を提唱された石川准先生などにもご寄稿いただいている。
(「BOOK」データベースより)
抜け殻になりつつある公共空間を甦らせる市民像とは何か。グローバル化とネオリベラリズムが跋扈する今、「社会なるもの」の解体に抗い、自立した個人以外は排除してしまうのではなく、弱さを互いに支えあい、属性の違いを超えて共に生活を形作っていく共同存在としての、市民の新たな可能性を模索する。
著者について
篠原 一 東京大学名誉教授
松田 昇 中京大学現代社会学部教授
道場親信 大学非常勤講師
西山哲郎 中京大学現代社会学部准教授
成 元哲 中京大学現代社会学部准教授
宮島 喬 法政大学社会学研究科教授
小野征夫 中京大学現代社会学部教授
斉藤尚文 中京大学現代社会学部教授
大谷かがり 愛知県立大学大学院国際文化研究科博士後期過程・看護師
小木曽洋司 中京大学現代社会学部准教授
大岡頼光 中京大学現代社会学部准教授
石川 准 静岡県立大学国際関係学部教授
伊藤葉子 中京大学現代社会学部講師
野口典子 中京大学現代社会学部教授
森 政晴 駒澤大学大学院人文科学研究科社会学専攻研究生
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
松田 昇
中京大学現代社会学部教授
小木曽 洋司
中京大学現代社会学部准教授
西山 哲郎
中京大学現代社会学部准教授
成 元哲
中京大学現代社会学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
■目次
はじめに
序章 市民学への招待 (3)
1 なぜ今,「市民学」を提起するのか (3)
2 本書全体の構成と各章の概要 (7)
第1部 市民学へいたる道程――市民概念の検討から市民科学の実践へ――
第1章 市民社会,シティズンシップ,公共空間……………篠原 一 (21)
1 市民社会 (22)
2 シティズンシップ (35)
3 公共空間 (44)
第2章 「市民社会論のルネサンス」と多層的市民……………松田 昇 (52)
――「市民」概念の歴史的歩みをふまえて――-
1 「市民社会論のルネサンス」とその後 (52)
2 企業に求められるシティズンシップとCSRの現状 (57)
3 「新しい市民社会」像と多層的市民 (61)
4 「公(お上)の民」あるいは「公共の民」としての「公民」と
意識改革 (66)
5 ボランタリーな活動の展開される時空間であるレジャーと
「時間主権」の確立 (69)
第3章 戦後日本における「市民」概念の位置……………道場 親信 (75)
――社会運動史の視座から――
1 運動史の不可視化と歴史の修正 (75)
2 「市民」と「住民」 (81)
3 ネオリベラリズムのもとでの「市民」の再定義 (86)
4 「国家の言うままにならぬという記憶」のコミュニティへ (91)
第4章 批判的地域主義から考える"市民”のアクチュアリティ
……………西山 哲郎 (99)
1 市民になりきれないボランティア (99)
2 現代的課題としてのシティズンシップ (103)
3 クレーマー市民の耐えられない軽さ (107)
4 生活圏とシティズンシップ (110)
5 批判的地域主義(Critivcal Regionalism) (113)
第5章 市民科学の実践としての民衆疫学の可能性……………成 元哲 (120)
1 個別性に基づく新しい主体と知のあり方 (120)
2 そこに住む人の実践に基づく民衆疫学 (121)
3 民衆疫学が生まれるまで (122)
4 民衆疫学の諸段階 (125)
5 個別事例に基づく民衆疫学の拡大・深化 (130)
6 リスク社会における民衆疫学の可能性 (135)
第2部 多文化社会におけるシティズンシップの可能性と課題
第6章 社会の国際化と市民であることの意味……………宮島 喬 (147)
はじめに (147)
1 移民たちが問う「われわれはフランス市民か」 (148)
2 「市民」とは日本人だけを指す? (149)
3 「外国人」といってもさまざま,画一的イメージを超えよ (152)
4 市民は単一の所属でなければいけないのか (152)
5 所与ではなく,獲得されるシティズンシップ (155)
6 「日本人」の幅を広げる (156)
第7章 市民が育てる学習・文化の「公共空間」……………小野 征夫
――アクティブ・シティズンシップと社会教育の可能性――
1 「参加型社会」の構成要素としての成人教育・生涯教育 (160)
2 シティズンシップの教育と「民主主義のパラドックス」 (163)
3 学習・文化の「公共空間」を成り立たせる仕組み (171)
4 社会教育の再構成とシティズンシップを育む舞台のゆくえ (176)
第8章 市民活動を書く……………斉藤 尚文・大谷 かがり (186)
――豊田市の外国人医療支援グループ――
1 ふたつの地球儀 (186)
2 背景 (187)
3 歴史 (190)
4 分析 (200)
5 もうふたつの地球儀 (205)
第9章 「協働」の可能性……………小木曽 洋司 (210)
――住民自治の構築方法としての社会参加――
1 福祉国家再編成期におけるシティズンシップ (210)
2 地方分権化 (211)
3 自治体運営のキー概念としての協働 (212)
4 参加から協働へ (217)
5 地域社会の重層性と地域自治区制度 (222)
6 社会参加としての協働と住民自治 (227)
第10章 公共的に介護されるのは「労働する市民」だけか?
――福祉国家の宗教的起源―― ……………大岡 頼光
1 なぜ老人を公共的に介護するのか (236)
2 現代貧困製作の宗教的起源 (240)
3 老人介護、匿名墓地の字t気的対応 (245)
4 スウェーデン教会の対応 (245)
5 匿名墓地と自然への回帰 (248)
6 匿名墓地と福祉国家 (249)
第3部 支えあう市民学の提唱――新しい公共空間の創造に向けて――
第11章 構造から呼ばれるとき…………………………石川 准 (261)
1 4つのエビデンス (262)
2 政治的文脈 (265)
3 ケアニーズの高まり (267)
4 方法を考えることと価値を生み出すこと (268)
5 統合・排除・同化・異化 (269)
6 アシストモデル (272)
7 配慮の平等 (274)
第12章 ボランティア市民…………………………野口 典子 (278)
――他者との関わりが自分をかえる――
1 ボランティア市民とはなにか (278)
2 さをり織りとの出会い (282)
3 さをり織りボランティアから得たこと (284)
4 ぺてるの家のメンバーから学んだ“生き方” (291)
5 ボランティア市民を必要とする現代 (294)
第13章 スポーツボランティアのジレンマ……………森 政晴 (299)
――スポーツボランティアの経験から――
1 スポーツボランティアとは (299)
2 ボランティアペシミズムからの指摘 (301)
3 イベントボランティアと地域の関わり (304)
4 イベント組織 (306)
5 スポーツイベントでのボランティアはどう正当化されるか
6 今後のイベントボランティアに必要なものは (316)
7 これからのスポーツイベントボランティア (319)
第14章 障害当事者運動とシティズンシップ……………伊藤 葉子 (325)
――授産工賃への所得税課税問題から――
1 障害者と福祉的就労 (325)
2 月額平均工賃10万円の授産施設 (328)
3 身体障害者授産施設への工賃課税問題 (330)
4 働いているのに無職 (338)
5 障害当事者として働くこと (340)
あとがき
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:松村 菜摘子